JPH09223934A - 同調回路 - Google Patents

同調回路

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JPH09223934A
JPH09223934A JP1944196A JP1944196A JPH09223934A JP H09223934 A JPH09223934 A JP H09223934A JP 1944196 A JP1944196 A JP 1944196A JP 1944196 A JP1944196 A JP 1944196A JP H09223934 A JPH09223934 A JP H09223934A
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circuit
tuning
phase shift
resistor
voltage
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JP1944196A
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Tadataka Oe
忠孝 大江
Tsutomu Nakanishi
努 中西
Takeshi Ikeda
毅 池田
Akira Okamoto
明 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い同調帯域幅を有しており、同調帯域幅あ
るいは同調周波数を容易に変更することができる同調増
幅器を提供すること。 【解決手段】 同調増幅器は縦続接続された2つの同調
増幅部によって構成されている。各同調増幅部は、縦続
接続された移相回路10C、30C、非反転回路50お
よび分圧回路160と、帰還抵抗70および入力抵抗7
4からなる加算回路とを含んで構成されており、2つの
移相回路10C、30Cの全体によって所定の周波数に
おいて360°の位相シフトが行われ、分圧回路160
の出力を帰還させたときの帰還ループのオープンループ
ゲインを1以下に設定することにより所定の同調動作が
行われる。各同調増幅部の帰還抵抗70と入力抵抗74
の抵抗比を調整することにより、各同調増幅部の最大減
衰量が少なく、かつ同調帯域幅が広くなり、このような
2つの同調増幅部を縦続接続することにより、全体の最
大減衰量が大きく、かつ同調帯域幅を広く設定すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積化が容易であ
って、入力信号の中から任意の周波数成分を選択して出
力する同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、テレビジョン受像機等において
映像信号を受信するために用いられる同調回路では、比
較的広帯域の信号を選択する必要があり、例えばスタガ
同調増幅回路が用いられている。このスタガ同調増幅回
路は、狭帯域の信号を選択する単一の同調回路を複数段
組み合わせて、全体として広い周波数帯域幅と所定の増
幅度が得られるようになっており、上述したテレビジョ
ン受像機の他にレーダの中間周波増幅回路等に用いられ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のスタガ同調増幅回路に使用される複数の単一同調増
幅回路は、一般にはインダクタとキャパシタとによる共
振回路を組み合わせて構成しており、この共振周波数を
相互に所定量ずらすことにより全体として広帯域で平坦
な同調特性を持たせている。このようなスタガ同調増幅
回路では、組み合わせるインダクタとキャパシタの各素
子定数によって同調周波数が決まるが、例えば同調周波
数を所定量ずらした2段の単一同調増幅回路を組み合わ
せただけで広い周波数帯域幅を得ようとすると、中間の
周波数領域において不必要な減衰が生じる場合があり平
坦な同調特性が得られない。したがって、広帯域の周波
数特性を得るためには、接続する単一同調増幅回路の段
数を多くする必要がある。ところが、3段以上によって
構成された同調増幅回路の同調周波数を可変しようとす
ると、各単一同調増幅回路が有する共振周波数を連動さ
せて変更する必要があり、制御が複雑になるとともに同
調周波数を変更したときの特性変動が大きいという不都
合があり、同調周波数を可変するような使い方はしてい
なかった。例えば、ヘテロダイン方式では、中間周波に
変換して処理することにより、同調周波数を一定に保っ
ている。
【0004】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、広い同調帯域幅を有してお
り、同調帯域幅あるいは同調周波数を容易に変更するこ
とができ、しかも集積化に適した同調回路を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の同調回路は、同調周波数がほぼ等しい
あるいは所定量ずらした複数の同調増幅部を縦続接続し
ており、各同調増幅部は、全域通過型の2つの移相回路
と、帰還信号および入力信号を加算する加算回路とを含
んで構成されている。各同調増幅部では、全域通過型の
2つの移相回路全体による位相シフト量の合計が360
°(あるいは180°)となる周波数の信号のみが選択
されて、所定の同調動作が行われる。
【0006】このような同調増幅部を複数縦続接続する
ことにより、所定の最大減衰量を確保するとともに、同
調増幅部を単独で用いる場合に比べて広い同調帯域幅を
設定することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した一の実施
形態の同調回路について、図面を参照しながら具体的に
説明する。
【0008】図1は、本発明を適用した一の実施形態の
同調回路の構成を示す原理ブロック図である。同図に示
す同調回路1は、縦続接続された第1の同調増幅部2と
第2の同調増幅部3とにより構成されている。
【0009】第1の同調増幅部2は、同調周波数がf1
に設定されており、入力端子に入力された信号の中から
周波数がf1 近傍のものだけを抽出して出力する。ま
た、第2の同調増幅部3は、同調周波数がf2 に設定さ
れており、第1の同調増幅部2から出力された信号の中
から周波数がf2 近傍のものだけを抽出して出力端子か
ら出力する。なお、上述した第1および第2の同調増幅
部2、3の各同調周波数f1 とf2 はほぼ等しく(全く
同じである場合を含む)設定されている。
【0010】(同調増幅部の第1の構成例)図2は、上
述した一方の同調増幅部2の第1の構成例を示す回路図
である。なお、他方の同調増幅部3も同様の構成を有し
ている。
【0011】図2に示す同調増幅部2は、それぞれが入
力される交流信号の位相を所定量シフトさせることによ
り所定の周波数において合計で360°の位相シフトを
行う2つの移相回路10C、30Cと、後段の移相回路
30Cの出力側に設けられた抵抗162および164か
らなる分圧回路160と、帰還抵抗70および入力抵抗
74(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵抗値のn倍の抵
抗値を有しているものとする)のそれぞれを介すること
により分圧回路160の分圧出力(帰還信号)と入力端
子90に入力される信号(入力信号)とを所定の割合で
加算する加算回路とを含んで構成されている。
【0012】図3は、図2に示した前段の移相回路10
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す前
段の移相回路10Cは、差動増幅器の一種であるオペア
ンプ12と、入力端24に入力された交流信号の位相を
所定量シフトさせてオペアンプ12の非反転入力端子に
入力する可変抵抗16およびキャパシタ14と、入力端
24とオペアンプ12の反転入力端子との間に挿入され
た抵抗18と、オペアンプ12の出力端子に接続されて
分圧回路を構成する抵抗21および23と、この分圧回
路とオペアンプ12の反転入力端子との間に接続された
抵抗20とを含んで構成されている。
【0013】このような構成を有する移相回路10Cに
おいて、抵抗18と抵抗20の抵抗値が同じに設定され
ている。
【0014】図3に示す入力端24に所定の交流信号が
入力されると、オペアンプ12の非反転入力端子には、
キャパシタ14の両端に現れる電圧VC1が印加される。
また、オペアンプ12の2つの入力端子間には電位差が
生じないので、オペアンプ12の反転入力端子の電位
と、可変抵抗16とキャパシタ14の接続点の電位とは
等しくなる。したがって、抵抗18の両端には、可変抵
抗16の両端に現れる電圧VR1と同じ電圧VR1が現れ
る。
【0015】ここで、2つの抵抗18、20には同じ電
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗18と抵抗2
0の各抵抗値が等しいので、抵抗20の両端にも電圧V
R1が現れる。これら2つの抵抗18、20の各両端に現
れる電圧VR1はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ12の反転入力端子(電圧VC1)を基準にして考
えると、抵抗18の両端電圧VR1をベクトル的に加算し
たものが入力電圧Eiに、抵抗20の両端電圧VR1をベ
クトル的に減算したものが抵抗21と抵抗23の接続点
の電圧(分圧出力)Eo ′になる。
【0016】また、移相回路10Cの出力端26から
は、上述した抵抗21と抵抗23からなる分圧回路を介
さずに、オペアンプ12の出力端子に現れる電圧がその
まま出力電圧Eo として取り出される。
【0017】図4は、前段の移相回路10Cの入出力電
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
【0018】同図に示すように、キャパシタ14の両端
電圧VC1と可変抵抗16の両端電圧VR1とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図4に示す半
円の円周に沿ってキャパシタ14の両端電圧VC1と可変
抵抗16の両端電圧VR1とが変化する。
【0019】また、上述したように電圧VC1から電圧V
R1をベクトル的に減算したものが分圧出力Eo ′とな
る。非反転入力端子に印加される電圧VC1を基準に考え
ると、入力電圧Ei と分圧電圧Eo ′とは電圧VR1を合
成する方向が異なるだけでありその絶対値は等しくな
る。したがって、入力電圧Ei と分圧出力Eo ′の大き
さと位相の関係は、入力電圧Ei および分圧出力Eo ′
を斜辺とし、電圧VR1の2倍を底辺とする二等辺角形で
表すことができ、分圧出力Eo ′の振幅は周波数に関係
なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量は図
4に示すφ1 で表されることがわかる。
【0020】また、図4から明らかなように、電圧VC1
と電圧VR1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VC1との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路10C全体のシフト量φ1 はその
2倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化
する。しかも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ1 を変化させることができる。
【0021】また、移相回路10Cの出力端26はオペ
アンプ12の出力端子に接続されているため、抵抗21
の抵抗値をR21、抵抗23の抵抗値をR23とすると、出
力電圧Eo と上述した分圧出力Eo ′との間には、抵抗
20の抵抗値に対してR21、R23が十分小さいときはE
o =(1+R21/R23)Eo ′の関係がある。したがっ
て、R21およびR23の値を調整することにより1より大
きなゲインが得られ、しかも図4に示すように周波数が
変化しても出力電圧Eo の振幅が一定であり、位相のみ
を所定量シフトすることができる。
【0022】図5は、図2に示した後段の移相回路30
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す後
段の移相回路30Cは、差動増幅器の一種であるオペア
ンプ32と、入力端44に入力された信号の位相を所定
量シフトさせてオペアンプ32の非反転入力端子に入力
するキャパシタ34および可変抵抗36と、入力端44
とオペアンプ32の反転入力端子との間に挿入された抵
抗38と、オペアンプ32の出力端子に接続されて分圧
回路を構成する抵抗41および43と、この分圧回路と
オペアンプ32の反転入力端子との間に接続された抵抗
40とを含んで構成されている。
【0023】このような構成を有する移相回路30Cに
おいて、抵抗38と抵抗40の抵抗値が同じに設定され
ている。
【0024】図5に示した入力端44に所定の交流信号
が入力されると、オペアンプ32の非反転入力端子に
は、可変抵抗36の両端に現れる電圧VR2が印加され
る。また、オペアンプ32の2つの入力端子間には電位
差が生じないので、オペアンプ32の反転入力端子の電
位と、キャパシタ34と可変抵抗36の接続点の電位と
は等しくなる。したがって、抵抗38の両端には、キャ
パシタ34の両端に現れる電圧VC2と同じ電圧VC2が現
れる。
【0025】ここで、2つの抵抗38、40には同じ電
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗38と抵抗4
0の各抵抗値が等しいので、抵抗40の両端にも電圧V
C2が現れる。これら2つの抵抗38、40の各両端に現
れる電圧VC2はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ32の反転入力端子(電圧VR2)を基準にして考
えると、抵抗38の両端電圧VC2をベクトル的に加算し
たものが入力電圧Eiに、抵抗40の両端電圧C2をベク
トル的に減算したものが抵抗41と抵抗43の接続点の
電圧(分圧出力)Eo ′になる。
【0026】また、移相回路30Cの出力端46から
は、上述した抵抗41と抵抗43からなる分圧回路を介
さずに、オペアンプ32の出力端子に現れる電圧がその
まま出力電圧Eo として取り出される。
【0027】図6は、後段の移相回路30Cの入出力電
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
【0028】同図に示すように、可変抵抗36の両端電
圧VR2とキャパシタ34の両端電圧VC2とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図6に示す半
円の円周に沿って可変抵抗36の両端電圧VR2とキャパ
シタ34の両端電圧VC2とが変化する。
【0029】また、上述したように電圧VR2から電圧V
C2をベクトル的に減算したものが分圧出力Eo ′とな
る。非反転入力端子に印加される電圧VR2を基準に考え
ると、入力電圧Ei と分圧出力Eo ′とは電圧VC2を合
成する方向が異なるだけでありその絶対値は等しくな
る。したがって、入力電圧Ei と分圧出力Eo ′の大き
さと位相の関係は、入力電圧Ei および分圧出力Eo ′
を斜辺とし、電圧VC2の2倍を底辺とする二等辺角形で
表すことができ、分圧出力Eo ′の振幅は周波数に関係
なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量は図
6に示すφ2 で表されることがわかる。
【0030】また、図6から明らかなように、電圧VR2
と電圧VC2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VR2との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路30C全体のシフト量φ2 はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。しかも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ2 を変化させることができる。
【0031】また、移相回路30Cの出力端46はオペ
アンプ32の出力端子に接続されているため、抵抗41
の抵抗値をR41、抵抗43の抵抗値をR43とすると、出
力電圧Eo と上述した分圧出力Eo ′との間には、抵抗
40の抵抗値に対してR41、R43が十分小さいときはE
o =(1+R41/R43)Eo ′の関係がある。したがっ
て、R41およびR43の値を調整することにより1より大
きなゲインが得られ、しかも図6に示すように周波数が
変化しても出力電圧Eo の振幅が一定であり、位相のみ
を所定量シフトすることができる。
【0032】このようにして、2つの移相回路10C、
30Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトされる。
しかも、図4および図6に示すように、各移相回路10
C、30Cのそれぞれにおける入出力電圧の相対的な位
相関係は反対方向であって、所定の周波数において2つ
の移相回路10C、30Cの全体により位相シフト量の
合計が360°となる。
【0033】また、後段の移相回路30Cの出力は、出
力端子92から同調増幅部2の出力として取り出される
とともに、この移相回路30Cの出力を分圧回路160
を通した信号が帰還抵抗70を介して前段の移相回路1
0Cの入力側に帰還されている。そして、この帰還され
た信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが加算
され、この加算された信号が前段の移相回路10Cに入
力される。
【0034】このように、2つの移相回路10C、30
Cによって所定の周波数における位相シフト量の合計が
360°となり、このとき2つの移相回路10C、30
Cと分圧回路160および帰還抵抗70によるオープン
ループゲインを1以下に設定することにより、上述した
所定の周波数成分の信号のみを通過させる同調動作が行
われる。
【0035】また、同調増幅部2の出力端子92から
は、分圧回路160に入力される前の移相回路30Cの
出力が取り出されているため、同調増幅部2自体に利得
を持たせることができ、同調動作と同時に信号振幅の増
幅が可能となる。
【0036】なお、各移相回路10C、30C内のCR
回路の時定数をT1 、T2 として、図4、図6に示した
φ1 、φ2 を求めると、 φ1 =tan{2ωT1 /(1−ω2 1 2)} ・・・(1) φ2 =−tan{2ωT2 /(1−ω2 2 2)} ・・・(2) となる。なお、ここでは図4に示したφ1 を基準に考え
て、図6に示したφ2 の符号を「−」として表した。
【0037】例えばT1 =T2 (=T)の場合には、ω
=1/Tのときに2つの移相回路10C、30Cによる
位相シフト量の合計が360°となって上述した同調動
作が行われ、このときφ1 =90°、φ2 =−90°と
なる。
【0038】ところで、図6では後段の移相回路30C
の入力電圧Ei よりも出力電圧Eoの方が位相が進んで
いるように図示したが、実際には入力信号を基準に考え
ると出力信号は常に遅れ位相の状態にある。
【0039】図7は、2つの移相回路10C、30Cに
入出力される信号間の位相関係を示す図であり、前段の
移相回路10Cに同調周波数と等しい周波数の信号が入
力された場合であって、一例として各移相回路10C、
30Cの時定数T1 、T2 が等しい場合が示されてい
る。
【0040】前段の移相回路10Cは、図7(A)に示
すように、入力信号S1に対してφ1 (=90°)の位
相シフトを行って、出力信号S2を出力している。
【0041】また、後段の移相回路30Cは、図7
(B)に示すように、入力信号S2(前段の移相回路1
0Cの出力信号と共通)に対してφ2 の位相シフトを行
って、出力信号S3を出力している。ここで、出力信号
S3は入力信号S2に対して、一見90°位相が進んで
いるように見えるが、実際には信号が反転してさらに9
0°の位相遅れになるので、位相遅れ方向にφ2 ′=2
70°の位相シフトが行われる。
【0042】したがって、2つの移相回路10C、30
Cを縦続接続した場合には、図7(C)に示すように、
上述したφ1 =90°とφ2 ′=270°が足し合わさ
れて、全体として360°の位相シフトが行われる。
【0043】図8は、上述した構成を有する2つの移相
回路10C、30Cおよび分圧回路160の全体を伝達
関数K1 を有する回路に置き換えたシステム図であり、
伝達関数K1 を有する回路と並列に抵抗R0 を有する帰
還抵抗70が、直列に帰還抵抗70のn倍の抵抗値(n
R0 )を有する入力抵抗74が接続されている。図9
は、図8に示すシステムをミラーの定理によって変換し
たシステム図であり、変換後のシステム全体の伝達関数
Aは、 A=Vo /Vi =K1 /{n(1−K1 )+1} ・・・(3) で表すことができる。
【0044】ところで、前段の移相回路10Cの伝達関
数K2 は、可変抵抗16とキャパシタ14からなるCR
回路の時定数をT1 (可変抵抗16の抵抗値をR、キャ
パシタ14の静電容量をCとするとT1 =CR)とする
と、 K2 =a1 (1−T1 s)/(1+T1 s) ・・・(4) となる。ここで、s=jωであり、a1 は移相回路10
Cのゲインであってa1=(1+R21/R23)>1であ
る。
【0045】また、後段の移相回路30Cの伝達関数K
3 は、キャパシタ34と可変抵抗36からなるCR回路
の時定数をT2 (キャパシタ34の静電容量をC、可変
抵抗36の抵抗値をRとするとT2 =CR)とすると、 K3 =−a2 (1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(5) となる。ここで、a2 は移相回路30Cのゲインであっ
てa2 =(1+R41/R43)>1である。
【0046】分圧回路160を介することによって信号
振幅が1/a1 2 に減衰するものとすると、2つの移
相回路10C、30Cと分圧回路160を縦続接続した
場合の全体の伝達関数K1 は、 K1 =−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(6) となる。なお、上述した(6)式においては、計算を簡
単なものとするために、各移相回路の時定数T1 、T2
をともにTとした。この(6)式を上述した(3)式に
代入すると、 A=−{1+(Ts)2 −2Ts} /〔(2n+1){1+(Ts)2 }+2Ts〕 =−{1/(2n+1)}〔{1+(Ts)2 −2Ts} /{1+(Ts)2 +2Ts/(2n+1)}〕 ・・・(7) となる。
【0047】この(7)式によれば、ω=0(直流の領
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにもA
=−1/(2n+1)となって、最大減衰量を与えるこ
とがわかる。さらに、ω=1/Tの同調点(各移相回路
の時定数が異なる場合には、ω=1/√(T1 ・T2
の同調点)においてはA=1であって帰還抵抗70と入
力抵抗74の抵抗比nに無関係であることがわかる。換
言すれば、図10に示すように、nの値を変化させても
同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も変化し
ない。
【0048】また、最大減衰量は、帰還抵抗70と入力
抵抗74の抵抗比nによって決定されるため、移相回路
10C、30C内の可変抵抗16、36の抵抗値を変え
て同調周波数を変えた場合であっても、この最大減衰量
に影響を与えることはなく、同調周波数や最大減衰量を
互いに干渉しあうことなく調整することができる。
【0049】また、移相回路10C内の抵抗18と抵抗
20の抵抗値を同じ値に設定するとともに移相回路30
C内の抵抗38と抵抗40の抵抗値を同じ値に設定して
いるため、各同調増幅部において同調周波数を変えた際
の振幅変動を防止してほぼ一定の振幅を有する同調出力
を得ることができる。
【0050】特に、同調出力の振幅変動を抑えたことに
より、上述した抵抗比nを大きくして同調増幅部2のQ
の値を大きくすることができる。すなわち、オープンル
ープゲインに周波数依存性があると、利得の低い周波数
では抵抗比nを大きくしてもQが上がらず、利得の高い
周波数ではオープンループゲインが1を越えて発振する
ことがある。したがって、振幅変動が大きい場合には、
このような発振を防止するために抵抗比nをあまり大き
な値に設定することができず、同調増幅部2のQの値も
小さくなる。反対に、移相回路10C、30C内に分圧
回路を接続して同調増幅部2の同調出力の振幅変動を抑
えることにより、抵抗比nを大きく設定することができ
るため、同調増幅部2のQの値を大きくすることができ
る。
【0051】図1に示した同調回路1は、上述した構成
を有する2つの同調増幅部2、3を縦続接続しており、
しかも各同調増幅部の同調周波数はほぼ等しく、あるい
は所定量ずらして設定されている。
【0052】図11は、各同調周波数を同じ値に設定し
た同調増幅部を2段縦続接続した同調回路1の特性を示
す図である。同図のa(点線)は例えば抵抗比nを「1
0」とした場合の第1および第2の同調増幅部2、3の
それぞれの同調特性を、同図のb(実線)はこれらの各
同調増幅部を縦続接続した本実施例の同調回路1全体の
同調特性をそれぞれ示している。また、同図のc(一点
鎖線)は比較のために本実施例の同調回路1の最大減衰
量と同程度の減衰量を1つの同調増幅部2(あるいは
3)によって実現した場合の同調特性を示しており、同
調帯域幅が本実施例の同調回路1のそれに比べると狭い
ことがわかる。
【0053】図10および図11から明らかなように、
帰還抵抗70と入力抵抗74との抵抗比nの値を小さく
設定した最大減衰量が少ない2つの同調増幅部2、3を
縦続接続することにより、全体として最大減衰量が大き
く設定され、しかも同調帯域幅を広げることができる。
【0054】特に、図11に示す同調特性によれば、各
同調増幅部2、3における最大減衰量を約1/2に設定
した場合の同調帯域幅は2倍よりかなり広いことがわか
る。したがって、本実施形態では最大減衰量を約1/2
に設定した同調増幅部を2つ縦続接続することにより、
最大減衰量は変わらずに同調帯域幅のみを広くした同調
回路1を実現している。なお、各同調増幅部における最
大減衰量は、それぞれを約1/2に設定する場合の他、
それぞれについて異なる減衰量を設定、すなわち異なる
抵抗比nを設定して、全体として所定の減衰量となるよ
うにしてもよい。
【0055】なお、上述した同調回路1においては、2
つの同調増幅部2、3を縦続接続する場合を考えたが、
ほぼ同調周波数が一致した3つ以上の同調増幅部を縦続
接続するようにしてもよい。この場合には、各同調増幅
部の最大減衰量をさらに少なく、すなわちそれぞれの同
調帯域幅を極端に広く設定した特性曲線を重ね合わせる
ことになるため、同調回路全体の同調帯域幅をさらに広
く設定することができる。
【0056】また、図11では2つの同調増幅部2、3
の同調周波数を一致させた場合を説明したが、各同調周
波数を所定量ずらして設定するようにしてもよい。この
場合であっても、最大減衰量が少なく同調帯域幅が広い
2つの同調増幅部2、3を縦続接続することにより全体
として最大減衰量が目標値に設定され、しかも同調帯域
幅を広げることができる。特に、従来から存在するスタ
ガ同調増幅回路と違って、各同調増幅部2、3の同調帯
域幅を広げているため、縦続接続する同調増幅部の段数
を少なくすることができる。
【0057】図12は、各同調周波数を所定量ずらした
同調増幅部を2段縦続接続した同調回路1の特性を示す
図である。一例として、450kHzを中心に一方の同
調増幅部2の同調周波数を450kHzより低い方に所
定量ずらすとともに、他方の同調増幅部3の同調周波数
を450kHzより高い方に所定量ずらした場合が示さ
れている。同図において、縦軸は減衰量(dB単位)
を、横軸は入力信号の周波数をそれぞれ示しており、各
特性曲線に対応したBの値は中心周波数(450kH
z)からの周波数の偏差を表している。例えば、B=0
は2つの同調増幅部2、3の各同調周波数がいずれも中
心周波数に一致している場合を、B=0.02は同調増
幅部2の同調周波数を450kHzより2%低くすると
ともに同調増幅部3の同調周波数を450kHzより2
%高くする場合を表している。
【0058】図12に示すように、2つの同調増幅部
2、3の同調周波数を所定量ずらした場合には同調点近
傍の減衰特性が平坦になり、しかもずらす量を調整する
ことによりこの平坦部分を増減させることができるた
め、任意の帯域幅を確保することができる。なお、2つ
の同調増幅部2、3の同調周波数をずらした場合には、
同調点近傍における減衰量が増加して信号振幅の減衰が
生じるが、この場合には同調回路1の後段に増幅器を接
続して、この減衰分に相当する信号振幅の増幅を行えば
よい。
【0059】図13は、3つの同調増幅部を縦続接続し
て同調回路を構成した場合の特性を示す図である。一例
として、3段目の同調増幅部の同調周波数を450kH
zに設定するとともに、1段目の同調増幅部の同調周波
数を450kHzより低い方に所定量ずらし、2段目の
同調増幅部の同調周波数を450kHzより高い方に所
定量ずらした場合が示されている。
【0060】図12から明らかなように、同調増幅部を
2段縦続接続した場合には、2つの同調増幅部の同調周
波数の差が大きくなるにしたがって、中心周波数近傍で
大きな減衰が生じる。これに対し、同調増幅部を3段縦
続接続した場合には、図13から明らかなように、中心
周波数近傍における減衰が生じないため、より広い帯域
幅を確保したい場合には、同調増幅部を3段あるいはそ
れ以上縦続接続する。
【0061】このように、2つあるいはそれ以上の同調
増幅部を縦続接続するとともに、各同調周波数を一致さ
せて、あるいは所定量ずらすことにより、帯域幅を広く
設定することができるた、TVチューナ等を容易に実現
することができる。なお、TVチューナ等を実現する場
合には、必要に応じて同調回路1にトラップ回路を接続
してもよい。
【0062】また、上述した同調回路1は、2つの同調
増幅部2、3内(あるいは3段以上の各同調増幅部)の
各移相回路10C、30Cに含まれる可変抵抗16ある
いは36の抵抗値を可変することにより、同調周波数を
簡単に変えることができることから、同調周波数可変の
同調回路1を容易に実現することができる。
【0063】また、上述した同調回路1を構成する同調
増幅部2、3のそれぞれは、差動増幅器、キャパシタお
よび抵抗を組み合わせて構成されており、どの構成素子
も半導体基板上に形成することができることから、同調
回路1の全体を半導体基板上に形成して集積回路とする
ことも容易である。
【0064】なお、上述した本実施形態の説明では、2
つあるいはそれ以上の同調増幅部を直接接続したが、相
互の干渉を防止するために各同調増幅部の間にバッファ
を挿入してもよい。あるいは、各同調増幅部の間に増幅
器を挿入してもよい。増幅器を挿入することにより、例
えば図13に示した特性において、同調点近傍をさらに
平坦にすることもできる。
【0065】ところで、図2に示した同調増幅部2(あ
るいは3)は、各移相回路10C、30CをCR回路を
含んで構成したが、CR回路を抵抗とインダクタからな
るLR回路に置き換えた移相回路を用いて同調増幅部を
構成することもできる。
【0066】図14は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図2に示した同調増幅部2の前段
の移相回路10Cと置き換え可能な構成が示されてい
る。同図に示す移相回路10Lは、図3に示した移相回
路10C内のキャパシタ14と可変抵抗16からなるC
R回路を、可変抵抗16とインダクタ17からなるLR
回路に置き換えた構成を有している。
【0067】図15は、移相回路10Lの入出力電圧と
インダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図で
ある。同図に示すように、可変抵抗16の両端電圧VR3
とインダクタ17の両端電圧VL1とは互いに90°位相
がずれており、これらをベクトル的に加算したものが入
力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅が一定
で周波数のみが変化した場合には、図15に示す半円の
円周に沿って可変抵抗16の両端電圧VR3とインダクタ
17の両端電圧VL1とが変化する。
【0068】また、電圧VR3から電圧VL1をベクトル的
に減算したものが分圧出力Eo ′となる。非反転入力端
子に印加される電圧VR3を基準に考えると、入力電圧E
i と分圧出力Eo ′とは電圧VL1を合成する方向が異な
るだけでありその絶対値は等しくなる。したがって、入
力電圧Ei と分圧出力Eo ′の大きさと位相の関係は、
入力電圧Ei および分圧出力Eo ′を斜辺とし、電圧V
L1の2倍を底辺とする二等辺角形で表すことができ、分
圧出力Eo ′の振幅は周波数に関係なく入力信号の振幅
と同じであって、位相シフト量は図15に示すφ3 で表
されることがわかる。
【0069】また、図15から明らかなように、電圧V
R3と電圧VL1とは円周上で直角に交わるため、理論的に
は入力電圧Ei と電圧VR3との位相差は、周波数ωが0
から∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路10L全体のシフト量φ3 はその
2倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化
する。
【0070】また、移相回路10Lの出力端26はオペ
アンプ12の出力端子に接続されているため、抵抗21
の抵抗値をR21、抵抗23の抵抗値をR23とすると、出
力電圧Eo と上述した分圧出力Eo ′との間には、Eo
=(1+R21/R23)Eo ′の関係がある。したがっ
て、R21およびR23の値を調整することにより1より大
きなゲインが得られ、しかも図15に示すように周波数
が変化しても出力電圧Eo の振幅が一定であり、位相の
みを所定量シフトすることができる。
【0071】ところで、図14に示した移相回路10L
の伝達関数は、インダクタ17と可変抵抗16からなる
LR回路の時定数をT1 (インダクタ17のインダクタ
ンスをL、可変抵抗16の抵抗値をRとするとT1 =L
/R)とすると、(4)式に示したK2 をそのまま適用
することができる。したがって、位相シフト量φ3 も時
定数T1 を用いて表現すると、上述した(1)式に示し
たφ1 と同じとなる。
【0072】図16は、LR回路を含む移相回路の他の
構成を示す回路図であり、図2に示した同調増幅部2の
後段の移相回路30Cと置き換え可能な構成が示されて
いる。同図に示す移相回路30Lは、図5に示した移相
回路30C内の可変抵抗36とキャパシタ34からなる
CR回路を、インダクタ37と可変抵抗36からなるL
R回路に置き換えた構成を有している。
【0073】図17は、移相回路30Lの入出力電圧と
インダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図で
ある。インダクタ37の両端に現れる電圧VL2と可変抵
抗36の両端に現れる電圧VR4とは互いに90°位相が
ずれており、これらをベクトル的に加算したものが入力
電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅が一定で
周波数のみが変化した場合には、第17に示す半円の円
周に沿ってインダクタ37の両端電圧VL2と可変抵抗3
6の両端電圧VR4とが変化する。
【0074】また、電圧VL2から電圧VR4をベクトル的
に減算したものが分圧出力Eo ′となる。非反転入力端
子に印加される電圧VL2を基準に考えると、入力電圧E
i と分圧出力Eo ′とは電圧VR4を合成する方向が異な
るだけでありその絶対値は等しくなる。したがって、入
力電圧Ei および分圧出力Eo ′の大きさと位相の関係
は、入力電圧Ei および分圧出力Eo ′を斜辺とし、電
圧VR4の2倍を底辺とする二等辺角形で表すことがで
き、分圧出力Eo ′の振幅は周波数に関係なく入力信号
の振幅と同じであって、位相シフト量は図17に示すφ
4 で表されることがわかる。
【0075】また、図17から明らかなように、電圧V
L2と電圧VR4とは円周上で直角に交わるため、理論的に
は入力電圧Ei と電圧VL2との位相差は、周波数ωが0
から∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路30L全体のシフト量φ4 はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。
【0076】また、移相回路30Lの出力端46はオペ
アンプ32の出力端子に接続されているため、抵抗41
の抵抗値をR41、抵抗43の抵抗値をR43とすると、出
力電圧Eo と上述した分圧出力Eo ′との間には、Eo
=(1+R41/R43)Eo ′の関係がある。したがっ
て、R41およびR43の値を調整することにより1より大
きなゲインが得られ、しかも図17に示すように周波数
が変化しても出力電圧Eo の振幅が一定であり、位相の
みを所定量シフトすることができる。
【0077】ところで、図16に示した移相回路30L
の伝達関数は、可変抵抗36とインダクタ37からなる
LR回路の時定数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、
インダクタ37のインダクタンスをLとするとT2 =L
/R)とすると、(5)式に示したK3 をそのまま適用
することができる。したがって、位相シフト量φ4 も時
定数T2 を用いて表現すると、上述した(2)式に示し
たφ2 と同じとなる。
【0078】このように、図14に示した移相回路10
Lおよび図16に示した移相回路30Lのそれぞれは、
図3あるいは図5に示した移相回路10C、30Cと等
価であり、図2に示した同調増幅部2において、前段の
移相回路10Cを図14に示した移相回路10Lに、後
段の移相回路30Cを図16に示した移相回路30Lに
それぞれ置き換えることが可能である。
【0079】また、上述した2つの移相回路10L、3
0Lのそれぞれは、各移相回路10L、30Lに含まれ
るLR回路の時定数によって同調周波数が決まることに
なるが、各時定数Tは例えばL/Rであって、これら2
つの移相回路10L、30Lを含んで同調増幅部を構成
した場合の同調周波数ωは1/T=R/Lに比例する。
ここで、LR回路を構成するインダクタは、写真触刻法
等により渦巻き形状の導体を半導体基板上に形成するこ
とにより実現できるが、このようにして形成したインダ
クタを用いることにより、各同調増幅部の全体を半導体
基板上に集積化することができる。
【0080】但し、この場合にはインダクタが有するイ
ンダクタンスが極めて小さくなるため、同調周波数が高
くなる。別の見方をすれば、同調増幅部の同調周波数は
例えば各移相回路10L、30L内のLR回路の時定数
の逆数R/Lに比例し、この中でインダクタンスLは集
積化等により小さくすることが容易であるため、2つの
移相回路10L、30Lを含んで構成した同調増幅部全
体を集積化することにより同調周波数の高周波化が容易
となる。
【0081】また、図2に示した同調増幅部2におい
て、移相回路10C、30Cのいずれか一方を図14あ
るいは図16に示した移相回路10L、30Lに置き換
えるようにしてもよい。特に、このような同調増幅部全
体を集積化した場合には、温度変化による同調周波数の
変動を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。すな
わち、CR回路の時定数TはCRであり、LR回路の時
定数TはL/Rであって、それぞれにおいて抵抗値Rが
分子と分母に分かれるため、集積化によってCR回路お
よびLR回路を構成する抵抗を半導体材料により形成す
るような場合には、これら各抵抗の温度変化に対する同
調周波数の変動を抑制する効果がある。
【0082】ところで、図2に示した同調増幅部は、2
つの移相回路10C、30Cのさらに後段に分圧回路1
60を接続し、この分圧回路160の出力を帰還抵抗7
0を介して帰還させることにより、同調増幅部全体の利
得を1以上に設定している。したがって、この分圧回路
160の分圧比を1に設定することにより、あるいはこ
の分圧回路160自体を取り除くことにより、同調増幅
部全体の利得を1に設定することができる。
【0083】図18は、後段の移相回路と出力端子92
の間に挿入した分圧回路を取り除いた同調増幅部の構成
を示す回路図である。同図に示す同調増幅部2Aは、図
2に示した同調増幅部2の分圧回路160の分圧比を1
に設定したものであり、図2に示した分圧回路160内
の2つの分圧抵抗を図18に示す抵抗78に置き換えた
構成を有している。
【0084】このような構成を有する同調増幅部2A
は、図2に示した分圧回路160が接続されていないた
め、移相回路10C、30Cを含むオープンループゲイ
ンの損失分のみを補うように各移相回路10C、30C
の利得が1以上に設定されている。
【0085】なお、図2あるいは図18に示した同調増
幅部2、2Aにおいては、2つの移相回路10C、30
Cのそれぞれに抵抗21、23による分圧回路あるいは
抵抗41、43による分圧回路を接続することにより、
各移相回路10C、30Cのゲインを1より大きな値に
設定し、これによりオープンループゲインの損失分を補
うようにしたが、2つの移相回路10C、30Cのいず
れか一方のゲインのみを1より大きな値に設定し、他方
のゲインを1に設定してもよい。移相回路10Cのゲイ
ンを1に設定するには抵抗21、23によって構成され
る分圧回路を取り除いて、オペアンプ12の出力を抵抗
20を介して直接帰還させればよい。また、移相回路3
0Cのゲインを1に設定するには抵抗41、43によっ
て構成される分圧回路を取り除いて、オペアンプ32の
出力を抵抗40を介して直接帰還させればよい。
【0086】また、移相回路10C、30Cと帰還抵抗
70を含む帰還ループのオープンループゲインの損失
は、前段の移相回路10Cの入力インピーダンスに起因
するものであるから、この入力インピーダンスに起因す
る損失の発生を抑えるために、前段の移相回路10Cの
さらに前段にトランジスタによるホロワ回路を挿入し、
帰還される信号をこのホロワ回路を介して前段の移相回
路10Cに入力する方法も考えられる。
【0087】但し、このようにしてオープンループゲイ
ンの損失を防止したとしても、ホロワ回路自体によって
利得損失を生じるので、このホロワ回路による損失を補
償するためには、移相回路10C、30Cにおいて1以
上の利得をもつようにしなければならない。
【0088】図19は、トランジスタによるホロワ回路
を追加した同調増幅部2Bの構成を示す回路図である。
【0089】前段の移相回路10Cの入力側に挿入され
たホロワ回路50は、ドレインが正電源Vddに、ソース
が抵抗54を介して負電源Vssにそれぞれ接続されたF
ET52を含んで構成されている。これらFET52と
抵抗54によりソースホロワ回路が形成されており、こ
のソースホロワ回路の出力が前段の移相回路10Cに入
力されている。なお、ソースホロワ回路の代わりにエミ
ッタホロワ回路を用いるようにしてもよい。
【0090】(同調増幅部の第2の構成例)図20は、
同調増幅部の第2の構成例を示す回路図である。同図に
示す同調増幅部2Cは、それぞれが入力される交流信号
の位相を所定量シフトさせることにより所定の周波数に
おいて合計で360°の位相シフトを行う2つの移相回
路110C、130Cと、帰還抵抗70および入力抵抗
74(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵抗値のn倍の抵
抗値を有しているものとする)のそれぞれを介すること
により後段の移相回路130Cから出力される信号(帰
還信号)と入力端子90に入力される信号(入力信号)
とを所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成され
ている。
【0091】図2等に示した同調増幅部2、2A、2B
においては、前段の移相回路10C内の抵抗18と抵抗
20の各抵抗値を同じに設定しており、これにより入力
される交流信号の周波数が変わったときの振幅変化を抑
えている。また、オペアンプ12の出力側に抵抗21と
23による分圧回路を接続することにより、移相回路1
0Cの利得を1より大きな値に設定している。これに対
し、図20に示す同調増幅部2Cに含まれる前段の移相
回路110Cは、上述した抵抗21、23による分圧回
路を用いずに、抵抗18′の抵抗値よりも抵抗20′の
抵抗値を大きく設定することにより、移相回路110C
の利得を1より大きな値に設定している。
【0092】後段の移相回路130Cについても同様で
あり、抵抗38′の抵抗値よりも抵抗40′の抵抗値を
大きく設定することにより、移相回路130Cの利得を
1より大きな値に設定している。
【0093】このように、図20に示した2つの移相回
路110C、130Cの各利得を1以上に設定すること
により、同調増幅部2Cの帰還ループのオープンループ
ゲインの損失分を補うことができ、図2に示した同調増
幅部2等と同様の同調動作が行われる。
【0094】ところで、各移相回路の利得を1より大き
な値に設定した場合には、入力される信号の周波数に応
じて利得変動が生じる。例えば、前段の移相回路110
Cについて考えると、入力信号の周波数が低い場合には
移相回路110Cはボルテージホロワ回路となるためこ
のときの利得は1倍となるのに対し、周波数が高い場合
には移相回路110Cは反転増幅器となるためこのとき
の利得は−m倍(mは抵抗20′と抵抗18′の抵抗
比)となるため、入力信号の周波数が変化したときに移
相回路110Cの利得も変化して出力信号の振幅変動が
生じる。
【0095】このような振幅変動は、オペアンプ12の
反転入力端子に抵抗22を接続して、入力信号の周波数
が低い場合と高い場合の利得を一致させることにより抑
えることができる。移相回路130Cについても同様で
あり、オペアンプ32の反転入力端子に所定の抵抗値を
有する抵抗42を接続することにより、出力信号の振幅
変動を抑えることができる。
【0096】次に、この抵抗22(あるいは抵抗42)
の抵抗値をどのような値に設定すればよいかを検討す
る。図21は、上述した移相回路110Cおよび130
Cを一般化した図であり、各移相回路に含まれるCR回
路をインピーダンスz1 、z2を有する素子に置き換え
た構成が示されている。同図に示すように、オペアンプ
の入力抵抗の抵抗値をr、帰還抵抗の抵抗値をmr、オ
ペアンプの反転入力端子に接続された抵抗(抵抗22あ
るいは42)の抵抗値をR、オペアンプの反転入力端子
の電位をVとする。
【0097】入力電圧Ei と電圧Vとの間には、 r(Ia +Ib )+V=Ei ・・・(8) の関係がある。また、電圧Vを図21に示した各種の定
数を用いて表すと、 V=Ib R ・・・(9) V=Eo +mr・Ia ・・・(10) V={z2 /(z1 +z2 )}Ei =kEi ・・・(11) となる。(11)式において、インピーダンスz1 、z
2 を有する2つの素子による分圧比をkとした。
【0098】(10)式からIa を、(9)式からIb
をそれぞれ求め、これらを(8)式に代入し、さらにそ
の代入した結果に(11)式を代入してVを消去する
と、 Eo =(Rk+Rmk+mrk−Rm)Ei /R ・・・(12) となる。
【0099】ところで、図21に示した移相回路が反転
増幅器として動作する場合とは、インピーダンスz2 が
0Ωであってk=0の場合であり、このとき(12)式
から、 Eo =−mEi ・・・(13) となる。また、図21に示した移相回路がホロワ回路と
して動作する場合とは、インピーダンスz1 が0Ωであ
ってk=1の場合であり、このとき(12)式から、 Eo =(R+mr)Ei /R ・・・(14) となる。移相回路110Cあるいは130Cが反転増幅
器およびホロワ回路として動作するときの利得変動がな
い場合とは、(13)式で求めたEo の絶対値と(1
4)式で求めたEo の絶対値が等しい場合であり、 m=(R+mr)/R ・・・(15) となる。Rについて解くと、 R=mr/(m−1) ・・・(16) となる。したがって、移相回路110C内の抵抗22の
抵抗値R、あるいは移相回路130C内の抵抗42の抵
抗値Rを(16)にしたがって設定することにより、同
調周波数を低周波から高周波まで変化させたときに生じ
る利得変動を抑えることができる。
【0100】ところで、図20に示した同調増幅部2C
は、各移相回路110C、130CをCR回路を含んで
構成したが、CR回路を抵抗とインダクタからなるLR
回路に置き換えた移相回路を用いて同調増幅部を構成す
ることもできる。
【0101】図22は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図20に示した同調増幅部2Cの
前段の移相回路110Cと置き換え可能な構成が示され
ている。同図に示す移相回路110Lは、図20に示し
た前段の移相回路110C内のキャパシタ14と可変抵
抗16からなるCR回路を、可変抵抗16とインダクタ
17からなるLR回路に置き換えた構成を有している。
【0102】上述した移相回路110Lの伝達関数は、
インダクタ17と可変抵抗16からなるLR回路の時定
数をT1 (インダクタのインダクタンスをL、可変抵抗
16の抵抗値をRとするとT1 =L/R)とすると、上
述した移相回路110Cと同じであって(4)式に示し
たK2 をそのまま適用することができる。したがって、
位相シフト量も時定数T1 を用いて表現すると、上述し
た(1)式に示したφ1 と同じとなる。
【0103】また、図23はLR回路を含む移相回路の
他の構成を示す回路図であり、図20に示した同調増幅
部2Cの後段の移相回路130Cと置き換え可能な構成
が示されている。同図に示す移相回路130Lは、図2
0に示した後段の移相回路130C内の可変抵抗36と
キャパシタ34からなるCR回路を、インダクタ37と
可変抵抗36からなるLR回路に置き換えた構成を有し
ている。
【0104】上述した移相回路130Lの伝達関数は、
可変抵抗36とインダクタ37からなるLR回路の時定
数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、インダクタ37
のインダクタンスをLとするとT2 =L/R)とする
と、上述した移相回路130Cと同じであって(5)式
に示したK3 をそのまま適用することができる。したが
って、位相シフト量も時定数T2 を用いて表現すると、
上述した(2)式に示したφ2 と同じとなる。
【0105】このように、図22に示した移相回路11
0Lおよび図23に示した移相回路130Lのそれぞれ
は、図20に示した移相回路110Cあるいは130C
と等価であり、図20に示した同調増幅部2Cにおい
て、前段の移相回路110Cを図22に示した移相回路
110Lに、後段の移相回路130Cを図23に示した
移相回路130Lにそれぞれ置き換えることが可能であ
る。2つの移相回路110C、130Cのそれぞれを移
相回路110L、130Lに置き換えた場合には、同調
増幅部全体を集積化することにより同調周波数の高周波
化が容易となる。
【0106】また、2つの移相回路110C、130C
のいずれか一方を移相回路110Lあるいは130Lに
置き換えるようにしてもよい。この場合には、温度変化
に対する同調周波数の変動を抑制する効果がある。
【0107】ところで、図20に示した同調増幅部2C
は、2つの移相回路110C、130Cのそれぞれに抵
抗22あるいは42を接続することにより、同調周波数
を可変したときの振幅変動を防止したが、この可変範囲
が狭い場合には振幅変動も少なくなるため上述した抵抗
22、42を取り除いて同調増幅部を構成することもで
きる。あるいは、一方の抵抗22あるいは42のみを取
り除いて同調増幅部を構成することもできる。
【0108】図24は、同調増幅部の他の構成を示す回
路図であり、図20に示した同調増幅部2Cにおいて各
移相回路110C、130Cに含まれる抵抗22、42
を取り除いた構成が示されている。
【0109】(同調増幅部の第3の構成例)図25は、
同調増幅部の第3の構成例を示す回路図である。同図に
示す同調増幅部2Eは、それぞれが入力される交流信号
の位相を所定量シフトさせることにより所定の周波数に
おいて合計で360°の位相シフトを行う2つの移相回
路210C、230Cと、移相回路230Cの出力信号
の位相を変えずに所定の増幅度で増幅して出力する非反
転回路250と、非反転回路250の後段に設けられた
抵抗162および164からなる分圧回路160と、帰
還抵抗70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵
抗70のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそれ
ぞれを介することにより分圧回路160の分圧出力(帰
還信号)と入力端子90に入力される信号(入力信号)
とを所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成され
ている。
【0110】帰還抵抗70と直列に接続されたキャパシ
タ71、および入力抵抗74と入力端子90との間に挿
入されたキャパシタ75はともに直流電流を阻止するた
めのものであり、そのインピーダンスは動作周波数にお
いて極めて小さく、すなわち大きな静電容量を有してい
る。
【0111】図26は、図25に示した前段の移相回路
210Cの構成を抜き出して示したものである。同図に
示す前段の移相回路210Cは、ゲートが入力端222
に接続されたトランジスタ212と、このトランジスタ
212のソース・ドレイン間に直列に接続された可変抵
抗216およびキャパシタ214と、トランジスタ21
2のドレインと正電源との間に接続された抵抗218
と、トランジスタ212のソースとアースとの間に接続
された抵抗220とを含んで構成されている。
【0112】ここで、上述したトランジスタ212のソ
ースおよびドレインに接続された2つの抵抗220、2
18の抵抗値はほぼ等しく設定されており、入力端22
2に印加される入力電圧の交流成分に着目すると、位相
が一致した信号がトランジスタ212のソースから、位
相が反転した(位相が180°シフトした)信号がトラ
ンジスタ212のドレインからそれぞれ出力されるよう
になっている。
【0113】なお、図25に示した移相回路210C内
の抵抗226は、トランジスタ212に適切なバイアス
電圧を印加するためのものである。
【0114】このような構成を有する移相回路210C
において、所定の交流信号が入力端222に入力される
と、すなわちトランジスタ212のゲートに所定の交流
電圧(入力電圧)が印加されると、トランジスタ212
のソースにはこの入力電圧と同相の交流電圧が現れ、反
対にトランジスタ212のドレインにはこの入力電圧と
逆相であってソースに現れる電圧と振幅が等しい交流電
圧が現れる。このソースおよびドレインに現れる交流電
圧の振幅をともにEi とする。
【0115】このトランジスタ212のソース・ドレイ
ン間には可変抵抗216とキャパシタ214とにより構
成される直列回路(CR回路)が接続されている。した
がって、トランジスタ212のソースおよびドレインに
現れる電圧のそれぞれを可変抵抗216あるいはキャパ
シタ214を介して合成した信号が出力端224から出
力される。
【0116】図27は、前段の移相回路210Cの入出
力電圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベク
トル図である。
【0117】トランジスタ212のソースとドレインに
はそれぞれ入力電圧と同相および逆相であって電圧振幅
がEi の交流電圧が現れるため、ソース・ドレイン間の
電位差(交流成分)は2Ei となる。また、キャパシタ
214の両端に現れる電圧VC11 と可変抵抗216の両
端に現れる電圧VR11 とは互いに90°位相がずれてお
り、これらをベクトル的に合成したものが、トランジス
タ212のソース・ドレイン間の電圧2Ei に等しくな
る。
【0118】したがって、図27に示すように、電圧E
i の2倍を斜辺とし、キャパシタ214の両端電圧VC1
1 と可変抵抗216の両端電圧VR11 とが直交する2辺
を構成する直角三角形を形成することになる。このた
め、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合
には、図27に示す半円の円周に沿ってキャパシタ21
4の両端電圧VC11 と可変抵抗216の両端電圧VR11
とが変化する。
【0119】ところで、キャパシタ214と可変抵抗2
16の接続点とグランドレベルとの電位差を出力電圧E
o として取り出すものとすると、この出力電圧Eo は、
図27に示した半円においてその中心点を始点とし、電
圧VC11 と電圧VR11 とが交差する円周上の一点を終点
とするベクトルで表すことができ、その大きさは半円の
半径Ei に等しくなる。しかも、入力信号の周波数が変
化しても、このベクトルの終点は円周上を移動するだけ
であるため、周波数に応じて出力振幅が変化しない安定
した出力を得ることができる。
【0120】また、図27から明らかなように、電圧V
C11 と電圧VR11 とは円周上で直角に交わるため、理論
的にはトランジスタ212のゲートに印加される入力電
圧と電圧VC11 との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って0°から90°まで変化する。そし
て、移相回路210C全体の位相シフト量φ1 はその2
倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化す
る。
【0121】同様に、図28は図25に示した後段の移
相回路230Cの構成を抜き出して示したものである。
同図に示す後段の移相回路230Cは、ゲートが入力端
242に接続されたトランジスタ232と、このトラン
ジスタ232のソース・ドレイン間に直列に接続された
キャパシタ234および可変抵抗236と、トランジス
タ232のドレインと正電源との間に接続された抵抗2
38と、トランジスタ232のソースとアースとの間に
接続された抵抗240とを含んで構成されている。
【0122】移相回路210Cと同様に、図28に示し
たトランジスタ232のソースおよびドレインに接続さ
れた2つの抵抗240、238の抵抗値はほぼ等しく設
定されており、入力端242に印加される入力電圧の交
流成分に着目すると、位相が一致した信号がトランジス
タ232のソースから、位相が反転した信号がトランジ
スタ232のドレインからそれぞれ出力されるようにな
っている。
【0123】なお、図25に示した移相回路230C内
の抵抗246はトランジスタ232に適切なバイアス電
圧を印加するためのものであり、移相回路230Cと2
10Cとの間に設けられたキャパシタ248は、移相回
路210Cの出力から直流成分を取り除く直流電流阻止
用であり、交流成分のみが移相回路230Cに入力され
る。
【0124】このような構成を有する移相回路230C
において、所定の交流信号が入力端242に入力される
と、すなわちトランジスタ232のゲートに所定の交流
電圧(入力電圧)が印加されると、トランジスタ232
のソースにはこの入力電圧と同相の交流電圧が現れ、反
対にトランジスタ232のドレインにはこの入力電圧と
逆相であってソースに現れる電圧と振幅が等しい交流電
圧が現れる。このソースおよびドレインに現れる交流電
圧の振幅をともにEi とする。
【0125】このトランジスタ232のソース・ドレイ
ン間にはキャパシタ234と可変抵抗236とにより構
成される直列回路(CR回路)が接続されている。した
がって、トランジスタ232のソースおよびドレインに
現れる電圧のそれぞれをキャパシタ234あるいは可変
抵抗236を介して合成した信号が出力端244から出
力される。
【0126】図29は、後段の移相回路230Cのキャ
パシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【0127】トランジスタ232のソースとドレインに
はそれぞれ入力電圧と同相および逆相であって電圧振幅
がEi の交流電圧が現れるため、ソース・ドレイン間の
電位差は2Ei となる。また、可変抵抗236の両端に
現れる電圧VR12 とキャパシタ234の両端に現れる電
圧VC12 とは互いに90°位相がずれており、これらを
ベクトル的に加算したものが、トランジスタ232のソ
ース・ドレイン間の電位差2Ei に等しくなる。
【0128】したがって、図29に示すように、電圧E
i の2倍を斜辺とし、可変抵抗236の両端電圧VR12
とキャパシタ234の両端電圧VC12 とが直交する2辺
を構成する直角三角形を形成することになる。このた
め、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合
には、図29に示す半円の円周に沿って可変抵抗236
の両端電圧VR12 とキャパシタ234の両端電圧VC12
とが変化する。
【0129】可変抵抗236とキャパシタ234の接続
点とグランドレベルとの電位差を出力電圧Eo として取
り出すものとすると、この出力電圧Eo は、図29に示
した半円においてその中心点を始点とし、電圧VR12 と
電圧VC12 とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Eiに
等しくなる。しかも、入力信号の周波数が変化しても、
このベクトルの終点は円周上を移動するだけであるた
め、周波数に応じて出力振幅が変化しない安定した出力
を得ることができる。
【0130】また、図29から明らかなように、電圧V
R12 と電圧VC12 とは円周上で直角に交わるため、理論
的にはトランジスタ232のゲートに印加される入力電
圧と電圧VR12 との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って90°から0°まで変化する。そし
て、移相回路30C全体の位相シフト量φ2 はその2倍
であり、周波数に応じて180°から0°まで変化す
る。
【0131】このようにして、2つの移相回路210
C、230Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトさ
れる。しかも、図27および図29に示すように、各移
相回路210C、230Cのそれぞれにおける入出力電
圧の相対的な位相関係は反対方向であって、所定の周波
数において2つの移相回路210C、230Cの全体に
より位相シフト量の合計が360°となる信号が出力さ
れる。
【0132】また、図25に示した非反転回路250
は、ドレインと正電源との間に抵抗254が、ソースと
アースとの間に抵抗256がそれぞれ接続されたトラン
ジスタ252と、ベースがトランジスタ252のドレイ
ンに接続されているとともにコレクタが抵抗260を介
してソースに接続されたトランジスタ258と、トラン
ジスタ252に適切なバイアス電圧を印加するための抵
抗262とを含んで構成されている。なお、図25に示
した非反転回路250の前段に設けられたキャパシタ2
64は、後段の移相回路230Cの出力から直流成分を
取り除く直流電流阻止用であり、交流成分のみが非反転
回路250に入力される。
【0133】トランジスタ252は、ゲートに交流信号
が入力されると、逆相の信号をドレインから出力する。
また、トランジスタ258は、ベースにこの逆相の信号
が入力されると、さらに位相を反転した信号、すなわち
トランジスタ252のゲートに入力された信号の位相を
基準に考えると同相の信号をコレクタから出力し、この
同相の信号が非反転回路250から出力される。
【0134】この非反転回路250の出力は、出力端子
92から同調増幅部2Eの出力として取り出されるとと
もに、この非反転回路250の出力を分圧回路160を
通した信号が帰還抵抗70を介して前段の移相回路21
0Cの入力側に帰還されている。そして、この帰還され
た信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが加算
され、この加算された信号の電圧が前段の移相回路21
0Cの入力端(図26に示した入力端222)に印加さ
れている。
【0135】また、上述した非反転回路250の増幅度
は、上述した抵抗254、256、260の各抵抗値に
よって決まり、これら各抵抗の抵抗値を調整することに
より、図25に示した2つの移相回路210C、230
C、分圧回路160および帰還抵抗70を含んで形成さ
れる帰還ループのオープンループゲインが1以下になる
ように設定されている。すなわち、2つの移相回路21
0C、230Cおよび分圧回路160を通すことにより
信号振幅の減衰が生じるが、この減衰分を非反転回路2
50による増幅で補うことにより、同調増幅部全体の帰
還ループのオープンループゲインが1以下になるように
設定している。
【0136】また、同調増幅部2Eの出力端子92から
は、分圧回路160に入力される前の非反転回路250
の出力信号が取り出されているため、同調増幅部2E自
体に利得を持たせることができ、同調動作と同時に信号
振幅の増幅が可能となる。
【0137】なお、各移相回路210C、230C内の
CR回路の時定数をT1 、T2 として、図27、図29
に示したφ1 、φ2 を求めると、上述した(1)式およ
び(2)式をそのまま適用することができる。
【0138】また、前段の移相回路210Cの伝達関数
K21は、可変抵抗216とキャパシタ214からなるC
R回路の時定数をT1 (可変抵抗216の抵抗値をR、
キャパシタ214の静電容量をCとするとT1 =CR)
とすると、 K21=a3 (1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(17) となる。ここで、a3 は移相回路210Cの利得であっ
て1未満の値となる。
【0139】また、後段の移相回路230Cの伝達関数
K31は、キャパシタ234と可変抵抗236からなるC
R回路の時定数をT2 (可変抵抗236の抵抗値をR、
キャパシタ234の静電容量をCとするとT2 =CR)
とすると、 K3 =−a4 (1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(18) となる。ここで、a4 は移相回路230Cの利得であっ
て1未満の値となる。
【0140】また、分圧回路160の利得をa5 (≦
1)とするとともに、これら移相回路210C、230
Cおよび分圧回路160による信号振幅の減衰分を補う
ために、非反転回路250の利得を1/a3 4 5
すると、移相回路210C、230C、非反転回路25
0および分圧回路160を縦続接続した場合の全体の伝
達関数K11は、 K11=−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(19) となる。なお、計算を簡単なものとするために、各移相
回路の時定数T1 、T2をともにTとした。
【0141】(19)式に示したK11は、上述した
(6)式に示したK1 と全く同じであり、(19)式を
上述した(3)式に代入することにより、Aについて示
した(7)式をそのまま適用することができる。したが
って、上述した同調増幅部2Eは、図2に示した同調増
幅部2等と同様の同調動作を行うことがわかる。
【0142】また、上述した同調増幅部2Eは、トラン
ジスタ、キャパシタおよび抵抗を組み合わせて構成され
ており、どの構成素子も半導体基板上に形成することが
できることから、同調回路1の全体を半導体基板上に形
成して集積回路とすることも容易である。
【0143】ところで、図25に示した同調増幅部2E
は、各移相回路210C、230CをCR回路を含んで
構成したが、CR回路を抵抗とインダクタからなるLR
回路に置き換えた移相回路を用いて同調増幅部を構成す
ることもできる。
【0144】図30は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図25に示した同調増幅部2Eの
前段の移相回路210Cと置き換え可能な構成が示され
ている。同図に示す移相回路210Lは、図26に示し
た移相回路210C内のキャパシタ214と可変抵抗2
16からなるCR回路を、可変抵抗216とインダクタ
217からなるLR回路に置き換えた構成を有してい
る。なお、可変抵抗216とトランジスタ212のドレ
インとの間に挿入されたキャパシタ219は直流電流阻
止用であり、そのインピーダンスは動作周波数において
極めて小さく設定され、すなわち大きな静電容量を有し
ている。
【0145】図31は、移相回路210Lの入出力電圧
とインダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。可変抵抗216の両端に現れる電圧VR13 とイ
ンダクタ217の両端に現れる電圧VL11 とは互いに9
0°位相がずれており、これらをベクトル的に合成した
ものがトランジスタ212のソース・ドレイン間の電圧
2Ei に等しくなる。したがって、図31に示すよう
に、電圧Ei の2倍を斜辺とし、可変抵抗216の両端
電圧VR13 とインダクタ217の両端電圧VL11とが直
交する2辺を構成する直角三角形を形成することにな
る。このため、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変
化した場合には、図31に示す半円の円周に沿って可変
抵抗216の両端電圧VR13 とインダクタ217の両端
電圧VL11 とが変化する。
【0146】可変抵抗216とインダクタ217の接続
点とグランドレベルとの電位差を出力電圧Eo として取
り出すものとすると、この出力電圧Eo は、図31に示
した半円においてその中心点を始点とし、電圧VR13 と
電圧VL11 とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Eiに
等しくなる。しかも、入力信号の周波数が変化しても、
このベクトルの終点は円周上を移動するだけであるた
め、周波数に応じて出力振幅が変化しない安定した出力
を得ることができる。
【0147】また、図31から明らかなように、電圧V
R13 と電圧VL11 とは円周上で直角に交わるため、理論
的にはトランジスタ212のゲートに印加される入力電
圧と電圧VR13 との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って0°から90°まで変化する。そし
て、移相回路210L全体の位相シフト量φ3 はその2
倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化す
る。
【0148】また、この位相シフト量φ3 は、可変抵抗
216とインダクタ217により構成されるLR回路の
時定数をT1 (可変抵抗216の抵抗値をR、インダク
タ217のインダクタンスをLとするとT1 =L/R)
とすると、上述した移相回路210Cと同様に(1)式
に示したφ1 と同じとなる。
【0149】図32は、LR回路を含む移相回路の他の
構成を示す回路図であり、図25に示した同調増幅部2
Eの後段の移相回路230Cと置き換え可能な構成が示
されている。同図に示す移相回路230Lは、図28に
示した移相回路230C内の可変抵抗236とキャパシ
タ234からなるCR回路を、インダクタ237と可変
抵抗236からなるLR回路に置き換えた構成を有して
いる。なお、インダクタ237とトランジスタ232の
ドレインとの間に挿入されたキャパシタ239は直流電
流阻止用であり、そのインピーダンスは動作周波数にお
いて極めて小さく設定され、すなわち大きな静電容量を
有している。
【0150】図33は、移相回路230Lの入出力電圧
とインダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。インダクタ237の両端に現れる電圧VL12 と
可変抵抗236の両端に現れる電圧VR14 とは互いに9
0°位相がずれており、これらをベクトル的に合成した
ものがトランジスタ232のソース・ドレイン間の電圧
2Ei に等しくなる。したがって、図33に示すよう
に、電圧Ei の2倍を斜辺とし、インダクタ237の両
端電圧VL12 と可変抵抗236の両端電圧VR14とが直
交する2辺を構成する直角三角形を形成することにな
る。このため、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変
化した場合には、図33に示す半円の円周に沿ってイン
ダクタ237の両端電圧VL12 と可変抵抗236の両端
電圧VR14 とが変化する。
【0151】インダクタ237と可変抵抗236の接続
点とグランドレベルとの電位差を出力電圧Eo として取
り出すものとすると、この出力電圧Eo は、図33に示
した半円においてその中心点を始点とし、電圧VL12 と
電圧VR14 とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Eiに
等しくなる。しかも、入力信号の周波数が変化しても、
このベクトルの終点は円周上を移動するだけであるた
め、周波数に応じて出力振幅が変化しない安定した出力
を得ることができる。
【0152】また、図33から明らかなように、電圧V
L12 と電圧VR14 とは円周上で直角に交わるため、理論
的にはトランジスタ232のゲートに印加される入力電
圧と電圧VL12 との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って90°から0°まで変化する。そし
て、移相回路230L全体の位相シフト量φ4 はその2
倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化す
る。
【0153】また、この位相シフト量φ4 は、インダク
タ237と可変抵抗236により構成されるLR回路の
時定数をT2 (インダクタ237のインダクタンスを
L、可変抵抗236の抵抗値をRとするとT2 =L/
R)とすると、上述した移相回路230Cと同様に
(2)式に示したφ2 と同じとなる。
【0154】このように、図30に示した移相回路21
0Lおよび図32に示した移相回路230Lのそれぞれ
は、図26あるいは図28に示した移相回路210C、
230Cと等価であり、図25に示した同調増幅部2E
において、前段の移相回路210Cを図30に示した移
相回路210Lに、後段の移相回路230Cを図32に
示した移相回路230Lにそれぞれ置き換えることが可
能である。
【0155】また、上述した2つの移相回路210L、
230Lのそれぞれは、各移相回路210L、230L
に含まれるLR回路の時定数によって同調周波数が決ま
ることになるが、同調増幅部の全体を半導体基板上に集
積化した場合には、同調周波数の高周波化が容易とな
る。
【0156】また、図25に示した同調増幅部2Eにお
いて、移相回路210C、230Cのいずれか一方を図
30あるいは図32に示した移相回路210L、230
Lに置き換えるようにしてもよい。このような同調増幅
部全体を集積化した場合には、温度変化による同調周波
数の変動を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0157】(同調増幅部の第4の構成例)上述した同
調増幅部2Eは、互いに移相方向が異なる2つの移相回
路を含んで構成したが、基本的に同じ構成を有する2つ
の移相回路を組み合わせて各同調増幅部を構成すること
もできる。
【0158】図34は、同調増幅部の他の構成を示す回
路図である。同図に示す同調増幅部2Fは、それぞれが
入力される交流信号の位相を所定量シフトさせることに
より所定の周波数において合計で180°の位相シフト
を行う2つの移相回路210Cと、後段の移相回路21
0Cの出力信号の位相をさらに反転する位相反転回路2
80と、位相反転回路280の後段に設けられた抵抗1
62および164からなる分圧回路160と、帰還抵抗
70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70
の抵抗値のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそ
れぞれを介することにより分圧回路160の分圧出力
(帰還信号)と入力端子90に入力される信号(入力信
号)とを所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成
されている。
【0159】前段および後段の移相回路210Cは、そ
の詳細構成および入出力信号の位相関係は図26および
図27を用いて説明した通りであり、例えば可変抵抗2
16とキャパシタ214からなるCR回路の時定数をT
1 とすると、ω=1/T1 の周波数において位相シフト
量φ1 が遅れ位相方向に90°となり、2つの移相回路
210Cの全体による位相シフト量の合計が180°と
なる。
【0160】また、位相反転回路280は、ドレインと
正電源との間に抵抗284が、ソースとアースとの間に
抵抗286がそれぞれ接続されたトランジスタ282
と、トランジスタ282のゲートに所定のバイアス電圧
を印加する抵抗288とを含んで構成されている。トラ
ンジスタ282のゲートに交流信号が入力されると、ト
ランジスタ282のドレインからは位相を反転した逆相
の信号が出力される。また、この位相反転回路280
は、2つの抵抗284、286の抵抗比によって定まる
所定の増幅度を有する。
【0161】このように、所定の周波数において、2つ
の移相回路210Cによって位相が180°シフトさ
れ、さらに後段に接続された位相反転回路280によっ
て位相が反転され、これら3つの回路の全体による位相
シフト量の合計が360°となる。
【0162】また、位相反転回路280の出力は出力端
子92から同調増幅部2Fの出力として取り出されると
ともに、位相反転回路280の出力を分圧回路160を
通した信号が帰還抵抗70を介して前段の移相回路21
0Cの入力側に帰還されている。そして、この帰還され
る信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが加算
され、この加算された信号の電圧が前段の移相回路21
0Cの入力端に印加されている。
【0163】このように、分圧回路160の出力を帰還
抵抗70を介して前段の移相回路10Cの入力側に帰還
させ、この帰還信号に入力抵抗74を介して入力した信
号を加算するとともに、位相反転回路280の利得と分
圧回路160の分圧比を調整して帰還ループのオープン
ループゲインを1以下に設定することにより、図25に
示した同調増幅部2Eと同様の同調動作および増幅動作
を行うことができる。
【0164】図35は、同調増幅部の他の構成を示す回
路図である。同図に示す同調増幅部2Gは、それぞれが
入力される交流信号の位相を所定量シフトさせることに
より所定の周波数において合計で180°の位相シフト
を行う2つの移相回路230Cと、後段の移相回路23
0Cの出力信号の位相をさらに反転する位相反転回路2
80と、位相反転回路280の後段に設けられた抵抗1
62および164からなる分圧回路160と、帰還抵抗
70および入力抵抗74のそれぞれを介することにより
分圧回路160の分圧出力(帰還信号)と入力端子90
に入力される信号(入力信号)とを所定の割合で加算す
る加算回路とを含んで構成されている。
【0165】前段および後段の移相回路230Cは、そ
の詳細構成および入出力信号の位相関係は図28および
図29を用いて説明した通りであり、例えば可変抵抗2
36とキャパシタ234からなるCR回路の時定数をT
2 とすると、ω=1/T2 の周波数における位相シフト
量φ2 が270°(位相を反転してさらに位相遅れ方向
に90°)となり、2つの移相回路30Cの全体による
位相シフト量の合計が180°となる。
【0166】このように、2つの移相回路230Cを用
いた場合であっても、所定の周波数において2つの移相
回路230Cによって位相が180°シフトされ、さら
にその後段に接続された位相反転回路280によって位
相が反転され、これら3つの回路の全体による位相シフ
ト量の合計が360°となる。
【0167】したがって、上述した同調増幅部2Gは、
分圧回路160の出力を帰還抵抗70を介して前段の移
相回路230Cの入力側に帰還させ、この帰還信号に入
力抵抗74を介して入力した信号を加算するとともに、
位相反転回路280の利得と分圧回路160の分圧比を
調整して帰還ループのオープンループゲインを1以下に
設定することにより、図34に示した同調増幅部2Fと
同様の同調動作および増幅動作を行うことができる。
【0168】なお、図34、図35に示した同調増幅部
2F、2Gは、いずれも2つの移相回路をCR回路を含
んで構成したが、少なくとも一方をLR回路を含んで構
成するようにしてもよい。
【0169】具体的には、図34に示した同調増幅部2
Fにおいて、前段あるいは後段の移相回路210Cを図
30に示した移相回路210Lに置き換える。または、
2つの移相回路210Cの両方を上述した移相回路21
0Lに置き換える。
【0170】また、図35に示した同調増幅部2Gにお
いて、前段あるいは後段の移相回路230Cを図32に
示した移相回路230Lに置き換える。または、2つの
移相回路230Cの両方を上述した移相回路230Lに
置き換える。
【0171】特に、両方の移相回路をLR回路を有する
移相回路に置き換えた場合には、各同調増幅部全体を集
積化することにより同調周波数の高周波化が容易とな
り、一方の移相回路をLR回路を有する移相回路に置き
換えた場合には、温度変化による同調周波数の変動を防
止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0172】(同調増幅部の第5の構成例)図36は、
同調増幅部の第5の構成例を示す回路図である。同図に
示す同調増幅部2Hは、入力される交流信号の位相を変
えずに出力する非反転回路350と、それぞれが入力信
号の位相を所定量シフトさせることにより所定の周波数
において合計で360°の位相シフトを行う2つの移相
回路310C、330Cと、後段の移相回路330Cの
さらに後段に設けられた抵抗162および164からな
る分圧回路160と、帰還抵抗70および入力抵抗74
(入力抵抗74は帰還抵抗70のn倍の抵抗値を有して
いるものとする)のそれぞれを介することにより分圧回
路160の分圧出力(帰還信号)と入力端子90に入力
される信号(入力信号)とを所定の割合で加算する加算
回路とを含んで構成されている。
【0173】なお、非反転回路350はバッファ回路と
して機能するものであり、前段の移相回路310Cと上
述した加算回路とを直接接続した場合に生じる信号の損
失等を防止するために設けられている。例えば、エミッ
タホロワ回路やソースホロワ回路等により構成されてい
る。直接接続した場合の損失等を最小限に抑えるように
帰還抵抗70等の各素子の素子定数を選定した場合に
は、この非反転回路350を省略して同調回路を構成し
てもよい。
【0174】図37は、図36に示した前段の移相回路
310Cの構成を抜き出して示したものである。同図に
示す前段の移相回路310Cは、2入力の差分電圧を所
定の増幅度で増幅して出力する差動増幅器312と、入
力端322に入力された信号の位相を所定量シフトさせ
て差動増幅器312の非反転入力端子に入力する可変抵
抗316およびキャパシタ314(これらの可変抵抗3
16、キャパシタ314により第1の直列回路が構成さ
れる)と、入力端322に入力された信号の位相を変え
ずにその電圧レベルを約1/2に分圧して差動増幅器3
12の反転入力端子に入力する抵抗318および320
(これら2つの抵抗318、320により第2の直列回
路が構成される)とを含んで構成されている。
【0175】このような構成を有する移相回路310C
において、所定の交流信号が入力端322に入力される
と、差動増幅器312の反転入力端子には、入力端32
2に印加される電圧Ei を抵抗318と抵抗320とに
よって約1/2に分圧した電圧が印加される。
【0176】一方、入力信号が入力端322に入力され
ると、差動増幅器312の非反転入力端子には、可変抵
抗316とキャパシタ314の接続点に現れる信号が入
力される。可変抵抗316とキャパシタ314により構
成されるCR回路の一方端には入力信号が入力されてい
るため、入力信号の位相をこのCR回路によって所定量
シフトした信号の電圧が差動増幅器312の非反転入力
端子に印加される。差動増幅器312は、このようにし
て2つの入力端子に印加される電圧の差分を所定の増幅
度で増幅した信号を出力する。
【0177】図38は、移相回路310Cの入出力電圧
とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。
【0178】同図に示すように、キャパシタ314の両
端に現れる電圧VC21 と可変抵抗316の両端に現れる
電圧VR21 は、互いに位相が90°ずれており、これら
をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei となる。し
たがって、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化し
た場合には、図38に示す半円の円周に沿ってキャパシ
タ314の両端電圧VC21 と可変抵抗316の両端電圧
VR21 とが変化する。
【0179】また、差動増幅器312の非反転入力端子
に印加される電圧(キャパシタ314の両端電圧VC21
)から反転入力端子に印加される電圧(抵抗320の
両端電圧Ei /2)をベクトル的に減算したものが差分
電圧Eo ′となる。この差分電圧Eo ′は、図38に示
した半円において、その中心点を始点とし、電圧VC21
と電圧VR21 とが交差する円周上の一点を終点とするベ
クトルで表すことができ、その大きさは半円の半径Ei
/2に等しくなる。
【0180】差動増幅器312の出力電圧Eo はこの差
分電圧Eo ′を所定の増幅度で増幅したものとなる。し
たがって、上述した移相回路310Cにおいて、出力電
圧Eo は入力信号の周波数によらず一定であって、全域
通過回路として動作する。
【0181】また、図38から明らかなように、電圧V
C21 と電圧VR21 とは円周上で直角に交わるため、入力
電圧Ei と電圧VC21 の位相差は、周波数ωが0から∞
まで変化するに従って0°から90°まで変化する。そ
して、移相回路310C全体の位相シフト量φ1 はその
2倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化
する。
【0182】同様に、図39は図36に示した後段の移
相回路330Cの構成を抜き出して示したものである。
同図に示す後段の移相回路330Cは、2入力の差分電
圧を所定の増幅度で増幅して出力する差動増幅器332
と、入力端342に入力された信号の位相を所定量シフ
トさせて差動増幅器332の非反転入力端子に入力する
キャパシタ334および可変抵抗336(これらのキャ
パシタ334、可変抵抗336により第1の直列回路が
構成される)と、入力端342に入力された信号の位相
を変えずにその電圧レベルを約1/2に分圧して差動増
幅器332の反転入力端子に入力する抵抗338および
340(これら2つの抵抗338、340により第2の
直列回路が構成される)とを含んで構成されている。
【0183】このような構成を有する移相回路330C
において、所定の交流信号が入力端342に入力される
と、差動増幅器332の反転入力端子には、入力端34
2に印加される電圧Ei を抵抗338と抵抗340とに
よって約1/2に分圧した電圧が印加される。
【0184】一方、入力信号が入力端342に入力され
ると、差動増幅器332の非反転入力端子には、キャパ
シタ334と可変抵抗336の接続点に現れる信号が入
力される。キャパシタ334と可変抵抗336により構
成されるCR回路の一方端には入力信号が入力されてい
るため、入力信号の位相をこのCR回路によって所定量
シフトした信号の電圧が差動増幅器332の非反転入力
端子に印加される。差動増幅器332は、このようにし
て2つの入力端子に印加される電圧の差分を所定の増幅
度で増幅した信号を出力する。
【0185】図40は、移相回路330Cの入出力電圧
とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。
【0186】同図に示すように、可変抵抗336の両端
に現れる電圧VR22 とキャパシタ334の両端に現れる
電圧VC22 は、互いに位相が90°ずれており、これら
をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei となる。し
たがって、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化し
た場合には、図40に示す半円の円周に沿って可変抵抗
336の両端電圧VR22 とキャパシタ334の両端電圧
VC22 とが変化する。
【0187】また、差動増幅器332の非反転入力端子
に印加される電圧(可変抵抗336の両端電圧VR22 )
から反転入力端子に印加される電圧(抵抗340の両端
電圧Ei /2)をベクトル的に減算したものが差分電圧
Eo ′となる。この差分電圧Eo ′は、図40に示した
半円において、その中心点を始点とし、電圧VR22 と電
圧VC22 とが交差する円周上の一点を終点とするベクト
ルで表すことができ、その大きさは半円の半径Ei /2
に等しくなる。
【0188】差動増幅器332の出力電圧Eo はこの差
分電圧Eo ′を所定の増幅度で増幅したものとなる。し
たがって、上述した移相回路330Cにおいて、出力電
圧Eo は入力信号の周波数によらず一定であって、全域
通過回路として動作する。
【0189】また、図40から明らかなように、電圧V
R22 と電圧VC22 とは円周上で直角に交わるため、入力
電圧Ei と電圧VR22 の位相差は、周波数ωが0から∞
まで変化するに従って90°から0°まで変化する。そ
して、移相回路330C全体の位相シフト量φ2 はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。
【0190】このようにして、2つの移相回路310
C、330Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトさ
れる。しかも、図38および図40に示すように、各移
相回路310C、330Cのそれぞれにおける入出力電
圧の相対的な位相関係は反対方向であって、所定の周波
数において2つの移相回路310C、330Cの全体に
より位相シフト量の合計が360°となる信号が出力さ
れる。
【0191】また、後段の移相回路330Cの出力は、
出力端子92から同調増幅部2Hの出力として取り出さ
れるとともに、この移相回路330Cの出力を分圧回路
160を通した信号が帰還抵抗70を介して非反転回路
350の入力側に帰還されている。そして、この帰還さ
れた信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが加
算され、この加算された信号が非反転回路350を介し
て前段の移相回路310Cに入力されている。
【0192】また、上述した2つの移相回路310C、
330Cの各利得を調整することにより、図36に示し
た2つの移相回路310C、330C、分圧回路160
および帰還抵抗70を含んで形成される帰還ループのオ
ープンループゲインが1以下になるように設定されてい
る。すなわち、分圧回路160や帰還抵抗70を通すこ
とにより信号振幅の減衰が生じるが、この減衰分を移相
回路310C、330Cによる増幅で補うことにより、
同調増幅部全体の帰還ループのオープンループゲインが
1以下になるように設定されている。なお、移相回路3
10C、330Cの各利得を調整する代わりに、非反転
回路350に1以上の利得を持たせ、この値を調整して
もよい。
【0193】また、同調増幅部2Hの出力端子92から
は、分圧回路160に入力される前の移相回路330C
の出力信号が取り出されているため、同調増幅部2H自
体に利得を持たせることができ、後述する同調動作と同
時に信号振幅の増幅が可能となる。
【0194】なお、各移相回路310C、330C内の
CR回路の時定数をT1 、T2 として、図38、図40
に示したφ1 、φ2 を求めると、上述した(1)式およ
び(2)式をそのまま適用することができる。
【0195】また、前段の移相回路310Cの伝達関数
K22は、可変抵抗316とキャパシタ314からなるC
R回路の時定数をT1 (可変抵抗316の抵抗値をR、
キャパシタ314の静電容量をCとするとT1 =CR)
とすると、 K22=a6 (1−T1 s)/(1+T1 s) ・・・(20) となる。ここで、a6 は移相回路310Cの利得であっ
て1以上の値となる。
【0196】また、後段の移相回路330Cの伝達関数
K32は、キャパシタ334と可変抵抗336からなるC
R回路の時定数をT2 (可変抵抗336の抵抗値をR、
キャパシタ334の静電容量をCとするとT2 =CR)
とすると、 K32=−a7 (1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(21) となる。ここで、a7 は移相回路30Cの利得であって
1以上の値となる。
【0197】また、分圧回路160の利得をa8 (≦
1)、非反転回路350の利得をa9とするとともに、
これら分圧回路160および非反転回路350による信
号の減衰等を補うために2つの移相回路310C、33
0Cの利得a6 、a7 を設定すると、非反転回路35
0、移相回路310C、330Cおよび分圧回路160
を縦続接続した場合の全体の伝達関数K12は、 K12=−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(22) となる。なお、計算を簡単なものとするために、各移相
回路の時定数T1 、T2をともにTとした。
【0198】(22)式に示したK12は、上述した
(6)式に示したK1 や(19)式に示したK11と全く
同じであり、(22)式を上述した(3)式に代入する
ことにより、Aについて示した(7)式をそのまま適用
することができる。したがって、上述した同調増幅部2
Hは、図2に示した同調増幅部2等と同様の同調動作を
行うことがわかる。
【0199】また、上述した同調増幅部2Hは、差動増
幅器、キャパシタおよび抵抗を組み合わせて構成されて
おり、どの構成素子も半導体基板上に形成することがで
きることから、同調回路1の全体を半導体基板上に形成
して集積回路とすることも容易である。
【0200】ところで、図36に示した同調増幅部2H
は、各移相回路310C、330CをCR回路を含んで
構成したが、CR回路を抵抗とインダクタからなるLR
回路に置き換えた移相回路を用いて同調増幅部を構成す
ることもできる。
【0201】図41は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図36に示した同調増幅部2Hの
前段の移相回路310Cと置き換え可能な構成が示され
ている。同図に示す移相回路310Lは、図37に示し
た移相回路310C内のキャパシタ314と可変抵抗3
16からなるCR回路を、可変抵抗316とインダクタ
317からなるLR回路に置き換えた構成を有してい
る。おな、インダクタ317に直列に接続されたキャパ
シタ319は直流電流阻止用であり、そのインピーダン
スは動作周波数において極めて小さく設定され、すなわ
ち大きな静電容量を有している。
【0202】図42は、移相回路310Lの入出力電圧
とインダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。図37に示した移相回路310Cと同様に、差
動増幅器312の非反転入力端子に印加される電圧(可
変抵抗316の両端電圧VR23 )から反転入力端子に印
加される電圧(抵抗320の両端電圧Ei /2)をベク
トル的に減算したものが差分電圧Eo ′となる。この差
分電圧Eo ′は、図42に示した半円において、その中
心点を始点とし、電圧VR23 とインダクタ317の両端
電圧VL21 とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Ei /
2に等しくなる。差動増幅器312の出力電圧Eo はこ
の差分電圧Eo ′を所定の増幅度で増幅したものであ
り、移相回路310Lは、出力電圧Eo が入力信号の周
波数によらず一定であって全域通過回路として動作す
る。
【0203】また、図42に示した移相回路310Lの
位相シフト量φ3 は、インダクタ317と可変抵抗31
6により構成されるLR回路の時定数をT1 (インダク
タ317のインダクタンスをL、可変抵抗316の抵抗
値をRとするとT1 =L/R)とすると、上述した移相
回路310Cと同様に(1)式に示したφ1 と同じとな
る。
【0204】図43は、LR回路を含む移相回路の他の
構成を示す回路図であり、図36に示した同調増幅部2
Hの後段の移相回路330Cと置き換え可能な構成が示
されている。同図に示す移相回路330Lは、図39に
示した移相回路330C内の可変抵抗336とキャパシ
タ334からなるCR回路を、インダクタ337と可変
抵抗336からなるLR回路に置き換えた構成を有して
いる。なお、インダクタ337と直列に接続されている
キャパシタ339は直流電流阻止用であり、そのインピ
ーダンスは動作周波数において極めて小さく設定され、
すなわち大きな静電容量を有している。
【0205】図44は、移相回路330Lの入出力電圧
とインダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図
である。図39に示した移相回路330Cと同様に、差
動増幅器332の非反転入力端子に印加される電圧(イ
ンダクタ337の両端電圧VL22 )から反転入力端子に
印加される電圧(抵抗340の両端電圧Ei /2)をベ
クトル的に減算したものが差分電圧Eo ′となる。この
差分電圧Eo ′は、図44に示した半円において、その
中心点を始点とし、電圧VL22 と可変抵抗336の両端
電圧VR24 とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Ei /
2に等しくなる。差動増幅器332の出力電圧Eo はこ
の差分電圧Eo ′を所定の増幅度で増幅したものであ
り、移相回路330Lは、出力電圧Eo が入力信号の周
波数によらず一定であって全域通過回路として動作す
る。
【0206】また、図44に示した移相回路330Lの
位相シフト量φ4 は、可変抵抗336とインダクタ33
7により構成されるLR回路の時定数をT2 (可変抵抗
336の抵抗値をR、インダクタ337のインダクタン
スをLとするとT2 =L/R)とすると、上述した移相
回路330Cと同様に(2)式に示したφ2 と同じとな
る。
【0207】このように、図41に示した移相回路31
0Lおよび図43に示した移相回路330Lのそれぞれ
は、図37あるいは図39に示した移相回路310C、
330Cと等価であり、図36に示した同調増幅部2H
において、前段の移相回路310Cを図41に示した移
相回路310Lに、後段の移相回路330Cを図43に
示した移相回路330Lにそれぞれ置き換えることが可
能である。
【0208】また、上述した2つの移相回路310L、
330Lのそれぞれは、各移相回路310L、330L
に含まれるLR回路の時定数によって同調周波数が決ま
ることになるが、同調増幅部の全体を半導体基板上に集
積化した場合には、同調周波数の高周波化が容易とな
る。
【0209】また、図36に示した同調増幅部2Hにお
いて、移相回路310C、330Cのいずれか一方を図
41あるいは図43に示した移相回路310L、330
Lに置き換えるようにしてもよい。このような同調増幅
部全体を集積化した場合には、温度変化による同調周波
数の変動を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0210】(同調増幅部の第6の構成例)上述した同
調増幅部2Hは、互いに移相方向が異なる2つの移相回
路を含んで構成したが、基本的に同じ構成を有する2つ
の移相回路を組み合わせて各同調増幅部を構成すること
もできる。
【0211】図45は、同調増幅部の他の構成を示す回
路図である。同図に示す同調増幅部2Jは、入力される
交流信号の位相を反転して出力する位相反転回路380
と、それぞれが入力される交流信号の位相を所定量シフ
トさせることにより所定の周波数において合計で180
°の位相シフトを行う2つの移相回路310Cと、後段
の移相回路310Cのさらに後段に設けられた抵抗16
2および164からなる分圧回路160と、帰還抵抗7
0および入力抵抗74のそれぞれを介することにより分
圧回路160の分圧出力(帰還信号)と入力端子90に
入力される信号(入力信号)とを所定の割合で加算する
加算回路とを含んで構成されている。
【0212】前段および後段の移相回路310Cは、そ
の詳細構成および入出力信号の位相関係は図37および
図38を用いて説明した通りであり、例えば可変抵抗3
16とキャパシタ314からなるCR回路の時定数をT
1 とすると、ω=1/T1 の周波数において位相シフト
量φ1 が遅れ位相方向に90°となり、2つの移相回路
310Cの全体による位相シフト量の合計が180°と
なる。
【0213】また、2つの移相回路310Cの前段に接
続された位相反転回路380は、入力される交流信号の
位相を反転するものであり、例えば、エミッタ接地回路
やソース接地回路あるいはオペアンプと抵抗を組み合わ
せた回路によって実現される。
【0214】このように、所定の周波数において、2つ
の移相回路310Cによって位相が180°シフトさ
れ、さらにその前段に接続された位相反転回路380に
よって位相が反転され、これら3つの回路の全体による
位相シフト量の合計が360°となる。
【0215】また、後段の移相回路310Cの出力は出
力端子92から同調増幅部2Jの出力として取り出され
るとともに、後段の移相回路310Cの出力を分圧回路
160を通した信号が帰還抵抗70を介して位相反転回
路380の入力側に帰還されている。そして、この帰還
される信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが
加算され、この加算された信号が位相反転回路80に入
力されている。
【0216】このように、分圧回路160の出力を帰還
抵抗70を介して位相反転回路380の入力側に帰還さ
せ、この帰還信号に入力抵抗74を介して入力した信号
を加算するとともに、2つの移相回路310Cの利得を
調整して分圧回路160や帰還抵抗70と入力抵抗74
の接続部において生じる損失等を補って帰還ループのオ
ープンループゲインを1以下に設定することにより、図
36に示した同調増幅部2Hと同様の同調動作および増
幅動作を行うことができる。なお、移相回路310Cの
各利得を調整する代わりに、位相反転回路380の利得
を調整してもよい。
【0217】図46は、同調増幅部の他の構成を示す回
路図である。同図に示す同調増幅部2Kは、入力される
交流信号の位相を反転して出力する位相反転回路380
と、それぞれが入力される交流信号の位相を所定量シフ
トさせることにより所定の周波数において合計で180
°の位相シフトを行う2つの移相回路330Cと、後段
の移相回路330Cのさらに後段に設けられた抵抗16
2および164からなる分圧回路160と、帰還抵抗7
0および入力抵抗74のそれぞれを介することにより分
圧回路160の分圧出力(帰還信号)と入力端子90に
入力される信号(入力信号)とを所定の割合で加算する
加算回路とを含んで構成されている。
【0218】前段および後段の移相回路330Cは、そ
の詳細構成および入出力信号の位相関係は図39および
図40を用いて説明した通りであり、例えばキャパシタ
334と可変抵抗336からなるCR回路の時定数をT
2 とすると、ω=1/T2 の周波数において位相シフト
量φ2 が進み位相方向に90°となり、2つの移相回路
330Cの全体による位相シフト量の合計が180°と
なる。
【0219】このように、上述した2つの移相回路33
0Cを用いた場合であっても、所定の周波数において2
つの移相回路330Cによって位相が180°シフトさ
れ、さらにその前段に接続された位相反転回路380に
よって位相が反転され、これら3つの回路の全体による
位相シフト量の合計が360°となる。
【0220】したがって、上述した同調増幅部2Kは、
分圧回路160の出力を帰還抵抗70を介して位相反転
回路380の入力側に帰還させ、この帰還信号に入力抵
抗74を介して入力した信号を加算するとともに、2つ
の移相回路330Cの利得を調整して分圧回路160や
帰還抵抗70と入力抵抗74の接続部において生じる損
失等を補って帰還ループのオープンループゲインを1以
下に設定することにより、図45に示した同調増幅部2
J等と同様の同調動作および増幅動作を行うことができ
る。
【0221】なお、図45、図46に示した同調増幅部
2J、2Kは、いずれも2つの移相回路をCR回路を含
んで構成したが、少なくとも一方をLR回路を含んで構
成するようにしてもよい。
【0222】具体的には、図45に示した同調増幅部2
Jにおいて、前段あるいは後段の移相回路310Cを図
41に示した移相回路310Lに置き換える。または、
2つの移相回路310Cの両方を上述した移相回路31
0Lに置き換える。
【0223】また、図46に示した同調増幅部2Kにお
いて、前段あるいは後段の移相回路330Cを図43に
示した移相回路330Lに置き換える。または、2つの
移相回路330Cの両方を上述した移相回路330Lに
置き換える。
【0224】特に、両方の移相回路をLR回路を有する
移相回路に置き換えた場合には、各同調増幅部全体を集
積化することにより同調周波数の高周波化が容易とな
り、一方の移相回路をLR回路を有する移相回路に置き
換えた場合には、温度変化による同調周波数の変動を防
止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0225】ところで、上述した第3の構成例から第6
の構成例で示した各種の同調増幅部は、2つの移相回路
と非反転回路あるいは2つの移相回路と位相反転回路を
含んで構成されており、接続された3つの回路の全体に
よって所定の周波数において合計の位相シフト量を36
0°にすることにより所定の同調動作を行うようになっ
ている。したがって、位相シフト量だけに着目すると、
2つの移相回路のどちらを前段に用いるか、あるいは上
述した3つの回路をどのような順番で接続するかはある
程度の自由度があり、必要に応じて接続順番を決めるこ
とができる。
【0226】図47は、2つの移相回路と非反転回路を
組み合わせて各同調増幅部を構成した場合において、そ
の接続状態を示す図である。なお、これらの図におい
て、帰還インピーダンス素子70aおよび入力インピー
ダンス素子74aは、各同調増幅部の出力信号と入力信
号とを所定の割合で加算するためのものであり、最も一
般的には図25等に示すように、帰還インピーダンス素
子70aとして帰還抵抗70を、入力インピーダンス素
子74aとして入力抵抗74を使用する。
【0227】但し、帰還インピーダンス素子70aおよ
び入力インピーダンス素子74aは、それぞれの素子に
入力された信号の位相関係を変えることなく加算できれ
ばよいことから、帰還インピーダンス素子70aおよび
入力インピーダンス素子74aをともにキャパシタによ
り形成したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてイン
ピーダンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうるよ
うにしてもよい。
【0228】また、図47および後述する図48に示し
た同調増幅部の構成には分圧回路160を除いた構成を
示したが、最終段の回路のさらに後段にこの分圧回路1
60を接続する場合には、分圧後の信号を帰還信号とし
て用いるとともに分圧前の信号を出力として取り出せば
よい。
【0229】図47(A)には2つの移相回路の後段に
非反転回路250(あるいは350)を配置した構成が
示されている。このように、後段に非反転回路250を
配置した場合には、この非反転回路250に出力バッフ
ァの機能を持たせることにより、大きな出力電流を取り
出すこともできる。
【0230】図47(B)には2つの移相回路の間に非
反転回路250を配置した構成が示されている。このよ
うに、中間に非反転回路250を配置した場合には、前
段の移相回路と後段の移相回路の相互干渉を完全に防止
することができる。
【0231】図47(C)には2つの移相回路のさらに
前段に非反転回路250を配置した構成が示されいる。
このように、初段に非反転回路250を配置した場合に
は、帰還インピーダンス素子70aや入力インピーダン
ス素子74aと非反転回路250の接続部において生じ
る損失等を防止することができる。
【0232】同様に、図48は、2つの移相回路と位相
反転回路を組み合わせて各同調増幅部を構成した場合に
おいて、その接続状態を示す図である。
【0233】図48(A)には2つの移相回路の後段に
位相反転回路280(あるいは380)を配置した構成
が示されている。このように、後段に位相反転回路28
0を配置した場合には、この位相反転回路280に出力
バッファの機能を持たせることにより、大きな出力電流
を取り出すこともできる。
【0234】図48(B)には2つの移相回路の間に位
相反転回路280を配置した構成が示されており、この
場合には2つの移相回路間の相互干渉を完全に防止する
ことができる。図48(C)には2つの移相回路のさら
に前段に位相反転回路280を配置した構成が示されて
いる。この場合には帰還インピーダンス素子70aや入
力インピーダンス素子74aと位相反転回路280の接
続部において生じる損失等を防止することができる。
【0235】なお、上述した第3〜第6の構成例で示し
た各種の同調増幅部2E等は、後段の移相回路と出力端
子92との間に分圧回路160を挿入し、この分圧回路
160によって分圧された信号を帰還信号としたが、こ
の分圧回路160を省略してもよい。この場合には、後
段の移相回路230C等の出力がそのまま帰還信号とし
て用いられるが、分圧回路160を省略するということ
は分圧回路160の分圧比を1に設定することであり、
このように考えると分圧回路160を省略した同調増幅
部も図25等に示した各種の同調増幅部に含まれると考
えることができる。
【0236】(その他の変形例)本発明は上述した各種
の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨
の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0237】例えば、上述した同調回路を構成する各種
の同調増幅部に含まれる可変抵抗16、36等は、半導
体基板上に集積化するには接合型あるいはMOS型のF
ETのチャネルを抵抗体として用いて実現することがで
きる。このようにFETによって可変抵抗を形成した場
合には、ゲート電圧を可変することによりソース・ドレ
イン間の抵抗を変化させることができる。
【0238】また、上述した可変抵抗16、36等をp
チャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続し
て構成してもよい。このように、2つのFETを組み合
わせて可変抵抗を構成することにより、FETの非線形
領域の改善を行うことができるため、同調出力の歪みを
少なくすることができる。
【0239】また、上述した各種の同調増幅部において
は、2つの移相回路に可変抵抗を含ませておいたが、ど
ちらか一方の移相回路に可変抵抗を含ませておいて同調
周波数を変化させるようにしてもよい。2つの移相回路
に可変抵抗を含ませておいた場合には、これらの抵抗値
を同時に可変することにより同調周波数の可変範囲を大
きく設定できる利点がある。一方の移相回路のみに可変
抵抗を含ませておいた場合には、同調周波数の可変制御
が容易に行えるという利点がある。
【0240】また、上述した可変抵抗をPINダイオー
ドによって構成し、このPINダイオードに流す電流値
を変化させて、両端に現れる抵抗を変化させるようにし
てもよい。
【0241】また、CR回路を有する移相回路において
は、各移相回路内のCR回路を構成する抵抗の抵抗値を
変化させるのではなく、キャパシタの静電容量を変える
ことによりCR回路の時定数を変化させ、これにより移
相回路の位相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周
波数を変化させるようにしてもよい。
【0242】具体的には、CR回路を構成するキャパシ
タ(例えば図3に示したキャパシタ14)を可変容量ダ
イオードと直流電流阻止用のキャパシタに置き換える。
可変容量ダイオードは、印加する逆バイアス電圧を変え
ることによりアノード・カソード間の静電容量が変化す
るものである。このような可変容量ダイオードと抵抗と
を直列接続してCR回路を構成することにより、印加す
る逆バイアス電圧を変えてこのCR回路の時定数を変え
ることができ、移相回路による位相シフト量を変化させ
ることができる。また、この可変容量ダイオードの代わ
りに、ゲートに印加する制御電圧に応じてそのゲート容
量がある範囲で変更可能なFETを可変容量素子として
用いるようにしてもよい。
【0243】同様に、LR回路を有する移相回路におい
ては、各移相回路内のLR回路を構成する抵抗の抵抗値
を変化させるのではなく、インダクタを可変インダクタ
に置き換えて、このインダクタンスを変えることにより
LR回路の時定数を変化させ、これにより移相回路の位
相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周波数を変化
させるようにしてもよい。
【0244】図49は、可変インダクタの具体例を示す
図であり、半導体基板上に形成された平面構造の概略が
示されている。
【0245】同図に示す可変インダクタ17aは、半導
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412と、その外周を周回するように形成された制御
用導体414と、これらインダクタ導体412および制
御用導体414の両方を覆うように形成された絶縁性磁
性体418とを含んで構成されている。
【0246】上述した制御用導体414は、制御用導体
414の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可
変電圧電源416が接続され、この可変電圧電源416
によって印加する直流バイアス電圧を可変に制御するこ
とにより、制御用導体414に流れるバイアス電流を変
化させることができる。
【0247】また、半導体基板410は、例えばn型シ
リコン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例
えばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体412は、ア
ルミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の
半導体材料が渦巻き形状に形成されている。なお、この
半導体基板410には、可変インダクタ17aの他に図
2等に示した各同調増幅部の他の構成部品が形成されて
いる。
【0248】図50は、図49に示した可変インダクタ
17aのインダクタ導体412および制御用導体414
の形状をさらに詳細に示す図である。
【0249】同図に示すように、内周側に位置するイン
ダクタ導体412は、所定ターン数(例えば約4ター
ン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つ
の端子電極422、424が接続されている。同様に、
外周側に位置する制御用導体414は、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極426、428が接続され
ている。
【0250】図51は、図50のA−A線拡大断面図で
あり、インダクタ導体412と制御用導体414を含む
絶縁性磁性体418の横断面が示されている。
【0251】同図に示すように、半導体基板410表面
に絶縁性の磁性体膜418aを介してインダクタ導体4
12および制御用導体414が形成されており、さらに
その表面に絶縁性の磁性体膜418bが被覆形成されて
いる。これら2つの磁性体膜418a、418bによっ
て図49に示した絶縁性磁性体418が形成されてい
る。
【0252】例えば、磁性体膜418a、418bとし
ては、ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の
各種磁性体膜を用いることができる。また、これらの磁
性体膜の材質や形成方法については各種のものが考えら
れ、例えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する
方法や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化
学気相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性
体膜を形成する方法等がある。
【0253】なお、絶縁膜430は、非磁性体材料によ
って形成されており、インダクタ導体412および制御
用導体414の各周回部分の間を覆っている。このよう
にして各周回部分間の磁性体膜418a、418bを排
除することにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最
小限に抑えることができるため、インダクタ導体412
が発生する磁束を有効に利用して大きなインダクタンス
を有する可変インダクタ17aを実現することができ
る。
【0254】このように、図49等に示した可変インダ
クタ17aは、インダクタ導体412と制御用導体41
4とを覆うように絶縁性磁性体418(磁性体膜418
a、418b)が形成されており、制御用導体414に
流す直流バイアス電流を可変に制御することにより、上
述した絶縁性磁性体418を磁路とするインダクタ導体
412の飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体412
が有するインダクタンスが変化する。
【0255】したがって、インダクタ導体412のイン
ダクタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板410上に薄膜形成技術や半導体製造技
術を用いて形成することができるため製造が容易とな
る。さらに、半導体基板410上には同調増幅部2等の
他の構成部品を形成することも可能であり、同調回路1
の全体を集積化によって一体形成する場合に適してい
る。
【0256】なお、図49等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
交互に周回させたり、インダクタ導体412と制御用導
体414とを重ねて形成するようにしてもよい。いずれ
の場合であっても、制御用導体414に流す直流バイア
ス電流を変化させることにより絶縁性磁性体418の飽
和磁化特性を変えることができ、インダクタ導体412
が有するインダクタンスをある範囲で変化させることが
できる。
【0257】また、図49等に示した可変インダクタ1
7aは、半導体基板410上にインダクタ導体412等
を形成する場合を例にとり説明したが、セラミックス等
の絶縁性あるいは導電性の各種基板上に形成するように
してもよい。
【0258】また、磁性体膜418a、418bとして
絶縁性材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電
性材料を用いるようにしてもよい。但し、このような導
電性の磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜418a等
に置き換えて使用すると、インダクタ導体412等の各
周回部分が短絡されてインダクタ導体として機能しなく
なるため、各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間
を電気的に絶縁する必要がある。この絶縁方法として
は、インダクタ導体412等を酸化して絶縁酸化膜を形
成する方法や、化学気相法等によりシリコン酸化膜ある
いは窒化膜を形成する方法等がある。
【0259】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0260】また、図49等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414の両
方の全体を絶縁性磁性体418で覆うようにしたが、一
部のみを覆って磁路を形成するようにしてもよい。この
ように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性
体でもよい)を部分的に形成した場合には、磁路が狭ま
ることによりインダクタ導体412および制御用導体4
14によって生じる磁束が飽和しやすくなる。したがっ
て、制御用導体414に少ないバイアス電流を流した場
合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス電流を可変
に制御することによりインダクタ導体412のインダク
タンスを変えることができる。このため、制御系の構造
を簡略化することができる。
【0261】また、図49等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
同心状に巻回して形成したが、これら各導体を半導体基
板410表面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶
縁性あるいは導電性の磁性体によって形成した磁路によ
って磁気結合させてもよい。
【0262】図52は、インダクタ導体と制御用導体と
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
【0263】同図に示す可変インダクタ17bは、半導
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412aと、このインダクタ導体412aと隣接した
位置に形成された渦巻き形状の制御用導体414aと、
インダクタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻
き中心を覆うように形成された絶縁性磁性体(あるいは
導電性磁性体)419とを含んで構成されている。
【0264】図49等に示した可変インダクタ17aと
同様に、制御用導体414aにはその両端に可変のバイ
アス電圧を印加するために可変電圧電源416が接続さ
れており、この可変電圧電源416によって印加するバ
イアス電圧を可変に制御することにより、制御用導体4
14aに流れる所定のバイアス電流を変化させることが
できる。
【0265】上述した可変インダクタ17bは、インダ
クタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻き中心
を通るように環状の絶縁性磁性体419(磁性体膜41
9a、419b)が形成されている。したがって、制御
用導体414aに流す直流バイアス電流を可変に制御す
ることにより、上述した磁性体419を磁路とするイン
ダクタ導体412aの飽和磁化特性が変化し、インダク
タ導体412aが有するインダクタンスも変化する。
【0266】また、上述した各種の同調増幅部を半導体
基板上に形成した場合には、キャパシタ14等としてあ
まり大きな静電容量を設定することができない。したが
って、半導体基板上に実際に形成したキャパシタの小さ
な静電容量を回路を工夫することにより、見かけ上大き
くすることができれば時定数Tを大きな値に設定して同
調周波数の低周波数化を図る際に都合がよい。
【0267】図53は、図3に示した移相回路10C等
に用いたキャパシタ14等を素子単体ではなく回路によ
って構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板
上に形成されるキャパシタの静電容量を見かけ上大きく
みせる静電容量変換回路の構成が示されている。なお、
図53に示した静電容量変換回路の全体が移相回路10
C等に含まれるキャパシタ14等に対応している。
【0268】図53に示す静電容量変換回路14aは、
所定の静電容量C0 を有するキャパシタ510と、2つ
のオペアンプ512、514と、4つの抵抗516、5
18、520、522とを含んで構成されている。
【0269】1段目のオペアンプ512は、出力端子と
反転入力端子との間に抵抗518(この抵抗値をR18と
する)が接続されており、さらにこの反転入力端子が抵
抗516(この抵抗値をR16とする)を介して接地され
ている。
【0270】1段目のオペアンプ512の非反転入力端
子に印加される電圧E1 と出力端子に現れる電圧E2 と
の間には、 E2 =(1+R18/R16)E1 ・・・(23) の関係がある。この1段目のオペアンプ512は、主に
インピーダンス変換を行うバッファとして機能するもの
であり、利得は1であってもよい。利得1の場合とはR
18/R16=0のとき、すなわちR16を無限大(抵抗51
6を除去すればよい)、あるいはR18を0Ω(直結すれ
ばよい)に設定する。
【0271】また、2段目のオペアンプ514は、出力
端子と反転入力端子との間に抵抗522(この抵抗値を
R22とする)が接続されているとともに反転入力端子と
上述したオペアンプ512の出力端子との間に抵抗52
0(この抵抗値をR20とする)が接続されており、さら
に非反転入力端子が接地されている。
【0272】2段目のオペアンプ514の出力端子に現
れる電圧をE3 とすると、この電圧E3 と1段目のオペ
アンプ512の出力端子に現れる電圧E2 との間には、 E3 =−(R22/R20)E2 ・・・(24) の関係がある。このように2段目のオペアンプ514は
反転増幅器として機能するものであり、その入力側を高
インピーダンスに設定するために1段目のオペアンプ5
12が使用されている。
【0273】また、このような接続がなされた1段目の
オペアンプ512の非反転入力端子と2段目のオペアン
プ514の出力端子との間には、上述したように所定の
静電容量を有するキャパシタ510が接続されている。
【0274】図53に示した静電容量変換回路14aに
おいて、キャパシタ510を除く回路全体の伝達関数を
K4 とすると、静電容量変換回路14aは図54に示す
システム図で表すことができる。図55は、これをミラ
ーの定理によって変換したシステム図である。
【0275】図54に示したインピーダンスZ0 を用い
て図55に示したインピーダンスZ1 を表すと、 Z1 =Z0 /(1−K4 ) ・・・(25) となる。ここで、図53に示した静電容量変換回路14
aの場合には、インピーダンスZ0 =1/(jωC0 )
であり、これを(25)式に代入して、 Z1 =(1/(jωC0 ))/(1−K4 ) =1/(jω((1−K4 )C0 )) ・・・(26) C=(1−K4 )C0 ・・・(27) となる。この(27)式は、静電容量変換回路14aに
おいてキャパシタ510が有する静電容量C0 が見掛け
上は(1−K4)倍になったことを示している。したがっ
て、増幅器の利得K4 が負の場合には(1−K4)は常に
1より大きくなるため、静電容量C0 を大きいほうに変
化させることができる。
【0276】ところで、図53に示した静電容量変換回
路14aにおける増幅器の利得、すなわちオペアンプ5
12と514の全体により構成される増幅器の利得K4
は、(23)式および(24)式から、 K4 =−(1+R18/R16)R22/R20 ・・・(28) となる。この(28)式を(27)式に代入すると、 C=(1+(1+R18/R16)R22/R20)C0 ・・・(29) となる。したがって、4つの抵抗516、518、52
0、522の抵抗値を所定の値に設定することにより、
2つの端子524、526間の見掛け上の静電容量Cを
大きくすることができる。
【0277】また、1段目のオペアンプ512による増
幅器の利得が1の場合、すなわち上述したようにR16を
無限大(抵抗516を除去)、あるいはR18を0Ωに設
定したときであってR18/R16=0の場合には、上述し
た(29)式は簡略化されて、 C=(1+R22/R20)C0 ・・・(30) となる。
【0278】このように、上述した静電容量変換回路1
4aは、抵抗520と抵抗522との抵抗比R22/R20
あるいは抵抗516と抵抗518との抵抗比R18/R16
を変えることにより、実際に半導体基板上に形成するキ
ャパシタ510の静電容量C0 を見掛け上大きい方に変
換することができる。そのため、半導体基板上に図2等
に示した各種の同調増幅部の全体を形成するような場合
には、半導体基板上に小さな静電容量C0 を有するキャ
パシタ510を形成しておいて、図53に示した回路に
よって大きな静電容量Cに変換することができ、集積化
に際して好都合となる。特に、このようにして大きな静
電容量を確保することができれば、各同調増幅部の実装
面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能となる。
【0279】また、抵抗516、518、520、52
2の中の少なくとも1つを可変抵抗により形成すること
により、具体的には接合型やMOS型のFETあるいは
pチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接続し
て可変抵抗を形成することにより、容易に静電容量が可
変のキャパシタを形成することができる。したがって、
このキャパシタを可変容量ダイオードの代わりに使用す
ることにより、位相シフト量をある範囲で任意に変化さ
せることができる。このため、各同調増幅部において一
巡する信号の位相シフト量が0°となる周波数を変える
ことができ、同調周波数を任意に変更することができ
る。
【0280】なお、上述したように第1段目のオペアン
プ512は入力インピーダンスを高くするためのバッフ
ァとして用いているため、このオペアンプ512をエミ
ッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換える
ようにしてもよい。
【0281】ところで、上述した図53では、所定の利
得を有する増幅器とキャパシタとを組み合わせることに
より、見かけ上の静電容量を実際にキャパシタ素子が有
する静電容量より大きくする場合を説明したが、キャパ
シタの代わりにインダクタを用い、このインダクタが有
するインダクタンスを見かけ上大きくすることもでき
る。
【0282】すなわち、上述したように図54に示した
インピーダンスZ0 を用いて図55に示したインピーダ
ンスZ1 を表すと(25)式のようになる。ここで、イ
ンダクタンスL0 を有するインダクタの場合には、イン
ピーダンスZ0 =jωL0 であり、これを(25)式に
代入して、 Z1 =jωL0 /(1−K4 ) =jωL(L0 /(1−K4 )) ・・・(31) L=L0 /(1−K4 ) ・・・(32) となる。この(32)式は、実際にインダクタ素子が有
するインダクタンスが見かけ上1/(1−K4 )倍にな
ったことを示しており、利得K4 が0から1の間に設定
されているときには、見かけ上のインダクタンスが大き
くなることがわかる。
【0283】図56は、図14に示した移相回路10L
内のインダクタ17等を素子単体ではなく回路によって
構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板上に
形成されるインダクタ素子(インダクタ導体)のインダ
クタンスを見かけ上大きくみせるインダクタンス変換回
路の構成が示されている。
【0284】図56に示すインダクタンス変換回路17
cは、所定のインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60と、2つのオペアンプ562、564と、2つの抵
抗566、568とを含んで構成されている。
【0285】1段目のオペアンプ562は、出力端子が
反転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ564も出力端子が
反転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器
として機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間
には抵抗566と568による分圧回路が挿入されてい
る。
【0286】このように、間に分圧回路を挿入すること
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
【0287】図56に示したインダクタンス変換回路1
7cにおいて、インダクタ560を除く回路(増幅器)
全体の伝達関数をK4 とすると、この利得K4 は抵抗5
66と568によって構成される分圧回路の分圧比によ
って決まり、それぞれの抵抗値をR66、R68とすると、 K4 =R68/(R66+R68) ・・・(33) となる。この利得K4 を(33)式に代入して見かけ上
のインダクタンスLを計算すると、 L=L0 /(1−R68/(R66+R68)) =(1+R68/R66)L0 ・・・(34) となる。したがって、抵抗566と568の抵抗比R68
/R66を大きくすることにより、2つの端子554、5
56間の見かけ上のインダクタンスLを大きくすること
ができる。例えば、R68=R66の場合には、(34)式
からインダクタンスLをL0 の2倍にすることができ
る。
【0288】このように、上述したインダクタンス変換
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分
圧回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されて
いるインダクタ560のインダクタンスL0 を見かけ上
大きくすることができる。そのため、半導体基板上に各
同調増幅部の全体を形成するような場合には、半導体基
板上に小さなインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60を渦巻き形状の導体等によって形成しておいて、図
56に示したインダクタンス変換回路によって大きなイ
ンダクタンスLに変換することができ、集積化に際して
好都合となる。特に、このようにして大きなインダクタ
ンスを確保することができれば、同調増幅器の同調周波
数を比較的低い周波数領域まで下げることが容易とな
る。また、集積化を行うことにより、同調増幅器全体の
実装面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能とな
る。
【0289】なお、抵抗566、568による分圧回路
の分圧比を固定した場合の他、これら2つの抵抗56
6、568の少なくとも一方を可変抵抗により形成する
ことにより、具体的には接合型やMOS型のFETある
いはpチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接
続して可変抵抗を形成することにより、この分圧比を連
続的に変化させてもよい。この場合には、図56に示し
たオペアンプ562、564を含んで構成される増幅器
全体の利得が変わり、端子554、556間のインダク
タンスLも連続的に変化する。したがって、このインダ
クタンス変換回路17cを可変インダクタの代わりに使
用することにより、各移相回路における位相シフト量を
ある範囲で任意に変化させることができる。このため、
同調増幅器において一巡する信号の位相シフト量が0°
となる周波数を変えることができ、同調周波数を任意に
変更することができる。
【0290】また、図56に示したインダクタンス変換
回路17cは、2つのオペアンプ562、564を含む
増幅器全体の利得が1以下に設定されているため、全体
をエミッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き
換えるようにしてもよい。
【0291】また、上述した第1および第2の構成例で
示した同調増幅部2等では、オペアンプを用いた移相回
路10C等を用いることにより安定度の高い回路を実現
することができるが、上述した実施形態の移相回路10
C、30C等のような使い方をする場合にはオフセット
電圧や電圧利得はそれほど高性能なものが要求されない
ため所定の増幅度を有する差動増幅器を各移相回路内の
オペアンプの代わりに使用するようにしてもよい。
【0292】図57は、オペアンプの構成の中で移相回
路の動作に必要な部分を抽出した回路図であり、全体が
所定の増幅度を有する差動増幅器として動作する。同図
に示す差動増幅器は、FETにより構成された差動入力
段100と、この差動入力段100に定電流を与える定
電流回路102と、定電流回路102に所定のバイアス
電圧を与えるバイアス回路104と、差動入力段100
に接続された出力アンプ106とによって構成されてい
る。同図に示すように、実際のオペアンプに含まれてい
る電圧利得を稼ぐための多段増幅回路を省略して、差動
増幅器の構成を簡略化し、広帯域化を図ることができ
る。このように、回路の簡略化を行うことにより、動作
周波数の上限を高くすることができるため、その分この
差動増幅器を用いて構成した同調増幅部の同調周波数の
上限を高くすることができる。
【0293】また、上述した同調回路を構成する2つあ
るいは3つ以上の各同調増幅部は、同一の構成を有する
ものとして説明したが、各構成例で示した各種の同調増
幅部は原理的には同じ特性を有しているため、構成が異
なる同調増幅部を組み合わせて縦続接続するようにして
もよい。例えば、第1の構成例で示した同調増幅部2と
第3の構成例で示した同調増幅部25Eを縦続接続する
等の各種の変形が考えられる。また、当然ながら構成が
異なる2つあるいはそれ以上の同調増幅部の接続順序は
自由に設定することができる。
【0294】また、各種の同調増幅部に含まれる2つの
移相回路はいずれも全域通過回路として動作するもので
あるため、位相シフト量が同じに設定された各移相回路
を相互に入れ換えて各同調増幅部を構成するようにして
もよい。例えば、図2に示した同調増幅部2内の後段の
移相回路30Cを図20に示した後段の移相回路130
Cに置き換えたり、図2に示した同調増幅部2内の後段
の移相回路30Cを図25に示した後段の移相回路23
0Cに置き換える等の各種の変形が可能である。
【0295】
【発明の効果】以上の実施形態に基づく説明から明らか
なように、同調周波数がほぼ等しいあるいは所定量ずら
した複数の同調増幅部を縦続接続し、各同調増幅部を全
域通過型の2つの移相回路と、帰還信号および入力信号
を加算する加算回路とを含んで構成することにより、所
定の最大減衰量を確保するとともに、同調増幅部を単独
で用いる場合に比べて広い同調帯域幅を設定することが
できる。
【0296】また、各同調増幅部内の2つの移相回路を
CR回路を含んで構成した場合には、同調回路全体を容
易に集積化することができる。同様に、2つの移相回路
をLR回路を含んで構成した場合には、集積化によって
小さなインダクタを形成することにより容易に同調周波
数の高周波化が可能となる。一方の移相回路をCR回路
を含んで、他方の移相回路をLR回路を含んで構成した
場合には、温度等による特性の変動を防止して特性の安
定化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した同調回路の構成を示す原理ブ
ロック図である。
【図2】同調増幅部の第1の構成例を示す回路図であ
る。
【図3】図2に示した前段の移相回路の構成を示す回路
図である。
【図4】図3に示した移相回路の入出力電圧とキャパシ
タ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図5】図2に示した後段の移相回路の構成を示す回路
図である。
【図6】図5に示した移相回路の入出力電圧とキャパシ
タ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図7】同調増幅部に含まれる2つの移相回路に入出力
される信号間の位相関係を示す図である。
【図8】同調増幅部に含まれる2つの移相回路と分圧回
路の全体を所定の伝達関数を有する回路に置き換えた回
路図である。
【図9】図8に示す構成をミラーの定理によって変換し
た回路図である。
【図10】同調増幅部の特性図である。
【図11】互いの同調周波数を一致させた2つの同調増
幅部により構成された同調回路の特性図である。
【図12】互いの同調周波数を所定量ずらした2つの同
調増幅部により構成された同調回路の特性図である。
【図13】互いの同調周波数を所定量ずらした3つの同
調増幅部により構成された同調回路の特性図である。
【図14】図3に示した移相回路と置き換え可能な移相
回路の構成を示す回路図である。
【図15】図14に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図16】図5に示した移相回路と置き換え可能な移相
回路の構成を示す回路図である。
【図17】図16に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図18】同調増幅部の他の構成を示す回路図である。
【図19】同調増幅部の他の構成を示す回路図である。
【図20】同調増幅部の第2の構成例を示す回路図であ
る。
【図21】図20に示した同調増幅部に含まれる移相回
路を一般化した回路図である。
【図22】図20に示した前段の移相回路と置き換え可
能な移相回路の構成を示す回路図である。
【図23】図20に示した後段の移相回路と置き換え可
能な移相回路の構成を示す回路図である。
【図24】同調増幅部の他の構成を示す回路図である。
【図25】同調増幅部の第3の構成例を示す回路図であ
る。
【図26】図25に示した前段の移相回路の構成を示す
回路図である。
【図27】図26に示した移相回路の入出力電圧とキャ
パシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図28】図25に示した後段の移相回路の構成を示す
回路図である。
【図29】図28に示した移相回路の入出力電圧とキャ
パシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図30】図26に示した移相回路と置き換え可能な移
相回路の構成を示す回路図である。
【図31】図30に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図32】図28に示した移相回路と置き換え可能な移
相回路の構成を示す回路図である。
【図33】図32に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図34】同調増幅部の第4の構成例を示す回路図であ
る。
【図35】同調増幅部の他の構成を示す回路図である。
【図36】同調増幅部の第5の構成例を示す回路図であ
る。
【図37】図36に示した前段の移相回路の構成を示す
回路図である。
【図38】図37に示した移相回路の入出力電圧とキャ
パシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図39】図36に示した後段の移相回路の構成を示す
回路図である。
【図40】図39に示した移相回路の入出力電圧とキャ
パシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図41】図37に示した移相回路と置き換え可能な移
相回路の構成を示す回路図である。
【図42】図41に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図43】図39に示した移相回路と置き換え可能な移
相回路の構成を示す回路図である。
【図44】図43に示した移相回路の入出力電圧とイン
ダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図であ
る。
【図45】同調増幅部の第6の構成例を示す回路図であ
る。
【図46】同調増幅部の他の構成を示す回路図である。
【図47】同調増幅部に含まれる2つの移相回路と非反
転回路の接続形態を示す図である。
【図48】同調増幅部に含まれるる2つの移相回路と位
相反転回路の接続形態を示す図である。
【図49】可変インダクタの一例を示す図である。
【図50】図49に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図であ
る。
【図51】図50のA−A線拡大断面図である。
【図52】可変インダクタの他の例を示す図である。
【図53】キャパシタが実際に有する静電容量を見かけ
上大きくする静電容量変換回路の構成を示す回路図であ
る。
【図54】図53に示した回路を伝達関数を用いて表し
た図である。
【図55】図53に示す構成をミラーの定理によって変
換した図である。
【図56】インダクタが実際に有するインダクタンスを
見かけ上大きくするインダクタンス変換回路の構成を示
す図である。
【図57】オペアンプの構成の中で移相回路の動作に必
要な部分を抽出した回路図である。
【符号の説明】
1 同調回路 2、3 同調増幅部 10C、30C 移相回路 12、32 オペアンプ 14、34 キャパシタ 16、36 可変抵抗 18、20、38、40 抵抗 70 帰還抵抗 74 入力抵抗 90 入力端子 92 出力端子 160 分圧回路

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の同調増幅部が縦続接続された同調
    回路であって、 前記同調増幅部のそれぞれは、 縦続接続された全域通過型の2つの移相回路と、後段の
    前記移相回路の出力を前段の前記移相回路の入力側に帰
    還させるとともにこの帰還信号と入力信号とを加算して
    前段の前記移相回路に入力する加算回路と、 を備え、前記2つの移相回路の全体により位相シフト量
    の合計が360°となる周波数近傍の信号のみを通過さ
    せることを特徴とする同調回路。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記2つの移相回路は、キャパシタあるいはインダクタ
    と第1の抵抗からなる第1の直列回路と、差動増幅器と
    を含んでおり、互いに移相方向が反対となることを特徴
    とする同調回路。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記移相回路は、 反転入力端子に第2の抵抗が接続されており、前記第2
    の抵抗を介して交流信号が入力される前記差動増幅器
    と、前記差動増幅器の出力端子と前記差動増幅器の反転
    入力端子との間に接続された第3の抵抗と、前記第1の
    直列回路とを含み、 前記第1の直列回路を構成する前記キャパシタあるいは
    前記インダクタと前記第1の抵抗の接続部を前記差動増
    幅器の非反転入力端子に接続することを特徴とする同調
    回路。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 前記移相回路は、 反転入力端子に第2の抵抗が接続されており、前記第2
    の抵抗を介して交流信号が入力される前記差動増幅器
    と、前記差動増幅器の出力端子に接続された分圧回路
    と、前記分圧回路の出力端と前記差動増幅器の反転入力
    端子との間に接続された第3の抵抗と、前記第1の直列
    回路とを含み、 前記第1の直列回路を構成する前記キャパシタあるいは
    前記インダクタと前記第1の抵抗の接続部を前記差動増
    幅器の非反転入力端子に接続することを特徴とする同調
    回路。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記第2の抵抗と前記第3の抵抗の抵抗値を同じ値に設
    定することを特徴とする同調回路。
  6. 【請求項6】 請求項2において、 前記移相回路は、 反転入力端子に第2の抵抗が接続されており、前記第2
    の抵抗を介して交流信号が入力される前記差動増幅器
    と、前記差動増幅器の反転入力端子と出力端子との間に
    接続された第3の抵抗と、一方端が前記差動増幅器の反
    転入力端子に接続され他方端が接地された第4の抵抗
    と、前記第1の直列回路とを含み、 前記第1の直列回路を構成する前記キャパシタあるいは
    前記インダクタと前記第1の抵抗の接続部を前記差動増
    幅器の非反転入力端子に接続することを特徴とする同調
    回路。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記第3の抵抗の抵抗値を前記第2の抵抗の抵抗値より
    高く設定することを特徴とする同調回路。
  8. 【請求項8】 請求項2〜7のいずれかにおいて、 前記差動増幅器は演算増幅器であることを特徴とする同
    調回路。
  9. 【請求項9】 請求項1において、 前記2つの移相回路は、 キャパシタあるいはインダクタと第1の抵抗により構成
    されており、入力される交流信号が両端に印加される第
    1の直列回路と、抵抗値がほぼ等しい第2および第3の
    抵抗により構成されており、前記交流信号が両端に印加
    される第2の直列回路と、前記第1の直列回路を構成す
    る前記キャパシタあるいは前記インダクタと前記第1の
    抵抗の接続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前
    記第2および第3の抵抗の接続点の電位との差分を所定
    の増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含み、 互いに移相方向が反対となることを特徴とする同調回
    路。
  10. 【請求項10】 請求項2〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路と前記加算回路との間にトランジス
    タによるホロワ回路を挿入することを特徴とする同調回
    路。
  11. 【請求項11】 複数の同調増幅部が縦続接続された同
    調回路であって、 前記同調増幅部のそれぞれは、 縦続接続された全域通過型の2つの移相回路および非反
    転回路と、これら縦続接続された複数の回路の中の最終
    段の出力を初段の入力側に帰還させるとともにこの帰還
    信号と入力信号とを加算して前段の前記移相回路に入力
    する加算回路と、 を備え、前記縦続接続された複数の回路の全体により位
    相シフト量の合計が360°となる周波数近傍の信号の
    みを通過させることを特徴とする同調回路。
  12. 【請求項12】 複数の同調増幅部が縦続接続された同
    調回路であって、 前記同調増幅部のそれぞれは、 縦続接続された全域通過型の2つの移相回路および位相
    反転回路と、これら縦続接続された複数の回路の中の最
    終段の出力を初段の入力側に帰還させるとともにこの帰
    還信号と入力信号とを加算して前段の前記移相回路に入
    力する加算回路と、 を備え、前記縦続接続された複数の回路の全体により位
    相シフト量の合計が360°となる周波数近傍の信号の
    みを通過させることを特徴とする同調回路。
  13. 【請求項13】 請求項11または12において、 前記2つの移相回路は、入力される交流信号を同相およ
    び逆相の交流信号に変換して出力する変換手段と、前記
    変換手段によって変換された一方の交流信号をキャパシ
    タあるいはインダクタを介して、他方の交流信号を抵抗
    を介して合成する合成手段とを含むことを特徴とする同
    調回路。
  14. 【請求項14】 請求項13において、 前記移相回路に含まれる前記変換手段は、ソースおよび
    ドレインのそれぞれにあるいはエミッタおよびコレクタ
    のそれぞれに抵抗値がほぼ等しい抵抗が接続されている
    とともに、ゲートあるいはベースに交流信号が入力され
    るトランジスタによって構成されており、前記トランジ
    スタのソース・ドレイン間あるいはエミッタ・コレクタ
    間に前記合成手段を構成する前記キャパシタあるいは前
    記インダクタと前記抵抗からなる第1の直列回路を接続
    することを特徴とする同調回路。
  15. 【請求項15】 請求項11または12において、 前記2つの移相回路は、 キャパシタあるいはインダクタと第1の抵抗により構成
    されており、入力される交流信号が両端に印加される第
    1の直列回路と、抵抗値がほぼ等しい第2および第3の
    抵抗により構成されており、前記交流信号が両端に印加
    される第2の直列回路と、前記第1の直列回路を構成す
    る前記キャパシタあるいは前記インダクタと前記第1の
    抵抗の接続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前
    記第2および第3の抵抗の接続点の電位との差分を所定
    の増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含むことを
    特徴とする同調回路。
  16. 【請求項16】 請求項1、11、12のいずれかにお
    いて、 請求項2〜8のいずれかに記載された前記移相回路を含
    む第1の同調増幅部と、請求項9に記載された前記前記
    移相回路を含む第2の同調増幅部と、請求項13または
    14に記載された前記移相回路を含む第3の同調増幅部
    の中のいずれか2つあるいは3つを組み合わせることを
    特徴とする同調回路。
  17. 【請求項17】 請求項1〜15のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路を含んで形成される帰還ループの一
    部に分圧回路を挿入し、この分圧回路に入力前の信号を
    前記同調増幅部の出力として取り出すことを特徴とする
    同調回路。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のいずれかにおいて、 前記複数の同調増幅部の各同調周波数をほぼ同じ値に設
    定することを特徴とする同調回路。
  19. 【請求項19】 請求項1〜17のいずれかにおいて、 前記複数の同調増幅部の各同調周波数を互いに所定量ず
    らして設定することを特徴とする同調回路。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれかにおいて、 前記加算回路は、前記入力信号が一方端に入力される入
    力インピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力され
    る帰還インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力イ
    ンピーダンス素子と前記帰還インピーダンス素子の素子
    定数の比に応じて信号の加算を行うことを特徴とする同
    調回路。
  21. 【請求項21】 請求項20において、 前記入力インピーダンス素子および前記帰還インピーダ
    ンス素子のそれぞれは抵抗であり、これらの抵抗比を変
    えることにより、前記同調増幅部の同調帯域幅を可変す
    ることを特徴とする同調回路。
  22. 【請求項22】 請求項2〜10、14、15のいずれ
    かにおいて、 前記第1の直列回路の時定数を変化させることにより、
    同調特性を可変することを特徴とする同調回路。
  23. 【請求項23】 請求項22において、 前記第1の直列回路に含まれる抵抗を可変抵抗によって
    形成し、この可変抵抗の抵抗値を変化させることによ
    り、同調特性を可変することを特徴とする同調回路。
  24. 【請求項24】 請求項23において、 前記可変抵抗をpチャネル型のFETとnチャネル型の
    FETとを並列接続することにより形成し、ゲート電圧
    の大きさを変えてチャネル抵抗を変えることを特徴とす
    る同調回路。
  25. 【請求項25】 請求項2〜10、14、15のいずれ
    かにおいて、 前記インダクタは、半導体基板上に形成されており、磁
    性体を介して相互に磁気結合した2本の渦巻き形状の電
    極を有しており、一方の電極に流す直流バイアス電流の
    大きさを変えることにより、他方の電極が有するインダ
    クタンスを変化させることを特徴とする同調回路。
  26. 【請求項26】 請求項2〜10、14、15のいずれ
    かにおいて、 前記キャパシタを、利得が負の値を有する増幅器と、前
    記増幅器の入出力間に並列接続されたキャパシタ素子と
    からなる静電容量変換回路によって形成することを特徴
    とする同調回路。
  27. 【請求項27】 請求項2〜10、14、15のいずれ
    かにおいて、 前記インダクタを、利得を0から1の間に設定した増幅
    器と、前記増幅器の入出力間に並列接続されたインダク
    タ素子とからなるインダクタンス変換回路によって形成
    することを特徴とする同調回路。
  28. 【請求項28】 請求項1〜27のいずれかにおいて、 構成部品を半導体基板上に一体形成したことを特徴とす
    る同調回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011114420A (ja) * 2009-11-25 2011-06-09 Hioki Ee Corp 増幅回路

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