JP3515270B2 - 同調回路 - Google Patents
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- JP3515270B2 JP3515270B2 JP06020696A JP6020696A JP3515270B2 JP 3515270 B2 JP3515270 B2 JP 3515270B2 JP 06020696 A JP06020696 A JP 06020696A JP 6020696 A JP6020696 A JP 6020696A JP 3515270 B2 JP3515270 B2 JP 3515270B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積化が容易であ
って、入力信号の中から任意の周波数成分を選択して出
力する同調回路に関する。
って、入力信号の中から任意の周波数成分を選択して出
力する同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、テレビジョン受像機等において
映像信号を受信するために用いられる同調回路では、比
較的広帯域の信号を選択する必要があり、例えばスタガ
同調増幅回路が用いられている。このスタガ同調増幅回
路は、狭帯域の信号を選択する単一の同調回路を複数段
組み合わせて、全体として広い周波数帯域幅と所定の増
幅度を得るものであり、上述したテレビジョン受像機の
他にレーダの中間周波増幅回路等に用いられている。
映像信号を受信するために用いられる同調回路では、比
較的広帯域の信号を選択する必要があり、例えばスタガ
同調増幅回路が用いられている。このスタガ同調増幅回
路は、狭帯域の信号を選択する単一の同調回路を複数段
組み合わせて、全体として広い周波数帯域幅と所定の増
幅度を得るものであり、上述したテレビジョン受像機の
他にレーダの中間周波増幅回路等に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のスタガ同調増幅回路に使用される複数の単一同調増
幅回路は、一般にはインダクタとキャパシタとによる共
振回路を組み合わせて構成しており、この共振周波数を
相互に所定量ずらすことにより全体として広帯域で平坦
な同調特性を持たせている。このようなスタガ同調増幅
回路では、組み合わせるインダクタとキャパシタの各素
子定数によって同調周波数が決まるが、例えば同調周波
数を所定量ずらした2段の単一同調増幅回路を組み合わ
せただけで広い周波数帯域幅を得ようとすると、中間の
周波数領域において不必要な減衰が生じる場合があり平
坦な同調特性が得られない。したがって、広帯域の周波
数特性を得るためには、接続する単一同調増幅回路の段
数を多くする必要がある。ところが、3段以上の段数を
有する同調増幅回路の同調周波数を可変しようとする
と、各単一同調増幅回路が有する共振周波数を連動させ
て変更する必要があり、制御が複雑になるとともに同調
周波数を変更したときの特性変動が大きいという不都合
があり、同調周波数を可変するような使い方はしていな
かった。例えば、ヘテロダイン方式では、中間周波に変
換して処理することにより、同調周波数を一定に保って
いる。
来のスタガ同調増幅回路に使用される複数の単一同調増
幅回路は、一般にはインダクタとキャパシタとによる共
振回路を組み合わせて構成しており、この共振周波数を
相互に所定量ずらすことにより全体として広帯域で平坦
な同調特性を持たせている。このようなスタガ同調増幅
回路では、組み合わせるインダクタとキャパシタの各素
子定数によって同調周波数が決まるが、例えば同調周波
数を所定量ずらした2段の単一同調増幅回路を組み合わ
せただけで広い周波数帯域幅を得ようとすると、中間の
周波数領域において不必要な減衰が生じる場合があり平
坦な同調特性が得られない。したがって、広帯域の周波
数特性を得るためには、接続する単一同調増幅回路の段
数を多くする必要がある。ところが、3段以上の段数を
有する同調増幅回路の同調周波数を可変しようとする
と、各単一同調増幅回路が有する共振周波数を連動させ
て変更する必要があり、制御が複雑になるとともに同調
周波数を変更したときの特性変動が大きいという不都合
があり、同調周波数を可変するような使い方はしていな
かった。例えば、ヘテロダイン方式では、中間周波に変
換して処理することにより、同調周波数を一定に保って
いる。
【0004】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、広い同調帯域幅を有してお
り、同調帯域幅あるいは同調周波数を容易に変更するこ
とができ、しかも集積化に適した同調回路を提供するこ
とにある。
たものであり、その目的は、広い同調帯域幅を有してお
り、同調帯域幅あるいは同調周波数を容易に変更するこ
とができ、しかも集積化に適した同調回路を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1に記載の同調回路は、複数の同調増幅
部を縦続接続して構成される。各同調増幅部は、2つの
移相回路と非反転回路とを所定の順序で縦続接続して構
成され、最終段の出力は帰還インピーダンス素子を介し
て前段側に帰還される。複数の同調増幅部を設けること
により、同調帯域幅を広く設定できる。また、非反転回
路の増幅度を調整することにより、帰還ループのオープ
ンループゲインを1以下に設定できる。
ために、請求項1に記載の同調回路は、複数の同調増幅
部を縦続接続して構成される。各同調増幅部は、2つの
移相回路と非反転回路とを所定の順序で縦続接続して構
成され、最終段の出力は帰還インピーダンス素子を介し
て前段側に帰還される。複数の同調増幅部を設けること
により、同調帯域幅を広く設定できる。また、非反転回
路の増幅度を調整することにより、帰還ループのオープ
ンループゲインを1以下に設定できる。
【0006】請求項2に記載の同調回路は、2つの移相
回路全体における位相シフト量が所定の周波数で360
°になるようにするため、所定の周波数近傍の信号のみ
を抽出することができる。
回路全体における位相シフト量が所定の周波数で360
°になるようにするため、所定の周波数近傍の信号のみ
を抽出することができる。
【0007】請求項3、4に記載の同調回路は、2つの
移相回路内の直列回路を構成する抵抗とリアクタンス素
子との接続を変えるだけで、2つの移相回路全体におけ
る位相シフト量が所定の周波数で360°になるように
設定できる。
移相回路内の直列回路を構成する抵抗とリアクタンス素
子との接続を変えるだけで、2つの移相回路全体におけ
る位相シフト量が所定の周波数で360°になるように
設定できる。
【0008】請求項5に記載の同調回路は、複数の同調
増幅部を縦続接続して構成される。各同調増幅部は、2
つの移相回路と位相反転回路とを所定の順序で縦続接続
して構成され、最終段の出力は帰還インピーダンス素子
を介して前段側に帰還される。位相反転回路を設けるた
め、同一タイプの移相回路を縦続接続することができ
る。また、位相反転回路の増幅度を調整することによ
り、帰還ループのオープンループゲインを1以下に設定
できる。
増幅部を縦続接続して構成される。各同調増幅部は、2
つの移相回路と位相反転回路とを所定の順序で縦続接続
して構成され、最終段の出力は帰還インピーダンス素子
を介して前段側に帰還される。位相反転回路を設けるた
め、同一タイプの移相回路を縦続接続することができ
る。また、位相反転回路の増幅度を調整することによ
り、帰還ループのオープンループゲインを1以下に設定
できる。
【0009】請求項6に記載の同調回路は、2つの移相
回路全体における位相シフト量が所定の周波数で180
°になるようにするため、位相反転回路を合わせた同調
回路全体の位相シフト量は360°となり、所定の周波
数近傍の信号のみを抽出することができる。
回路全体における位相シフト量が所定の周波数で180
°になるようにするため、位相反転回路を合わせた同調
回路全体の位相シフト量は360°となり、所定の周波
数近傍の信号のみを抽出することができる。
【0010】請求項7、8に記載の同調回路は、2つの
移相回路内の直列回路を構成する抵抗とリアクタンス素
子との接続を変えるだけで、2つの移相回路全体におけ
る位相シフト量が所定の周波数で180°になるように
設定できる。
移相回路内の直列回路を構成する抵抗とリアクタンス素
子との接続を変えるだけで、2つの移相回路全体におけ
る位相シフト量が所定の周波数で180°になるように
設定できる。
【0011】請求項9に記載の同調回路は、2つの移相
回路内の直列回路を構成する抵抗を可変抵抗により形成
したため、直列回路の時定数を変化させることができ、
同調周波数の変更を簡易に行える。
回路内の直列回路を構成する抵抗を可変抵抗により形成
したため、直列回路の時定数を変化させることができ、
同調周波数の変更を簡易に行える。
【0012】請求項10に記載の同調回路は、同調周波
数がほぼ同じ値の複数の同調増幅部を縦続接続すること
により、同じ最大減衰量を有する単一の同調増幅部と比
べて、同調帯域幅のみを広くできる。
数がほぼ同じ値の複数の同調増幅部を縦続接続すること
により、同じ最大減衰量を有する単一の同調増幅部と比
べて、同調帯域幅のみを広くできる。
【0013】請求項11に記載の同調回路は、同調周波
数が互いに所定量異なる複数の同調増幅部を縦続接続す
るため、同調帯域幅をより広げることができる。
数が互いに所定量異なる複数の同調増幅部を縦続接続す
るため、同調帯域幅をより広げることができる。
【0014】請求項12に記載の同調回路は、移相回路
内の差動入力増幅器を演算増幅器で構成するため、同調
増幅部の動作の安定度を増すことができる。
内の差動入力増幅器を演算増幅器で構成するため、同調
増幅部の動作の安定度を増すことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した一実施形
態の同調回路について、図面を参照しながら具体的に説
明する。
態の同調回路について、図面を参照しながら具体的に説
明する。
【0016】図1は、本発明を適用した一実施形態の同
調回路の構成を示す原理ブロック図である。同図に示す
同調回路1は、縦続接続された第1の同調増幅部2と第
2の同調増幅部3とにより構成されている。
調回路の構成を示す原理ブロック図である。同図に示す
同調回路1は、縦続接続された第1の同調増幅部2と第
2の同調増幅部3とにより構成されている。
【0017】第1の同調増幅部2は、同調周波数がf1
に設定されており、入力端子に入力された信号の中から
周波数がf1 近傍のものだけを抽出して出力する。ま
た、第2の同調増幅部3は、同調周波数がf2 に設定さ
れており、第1の同調増幅部2から出力された信号の中
から周波数がf2 近傍のものだけを抽出して出力端子か
ら出力する。なお、上述した第1および第2の同調増幅
部2、3の各同調周波数f1 とf2 はほぼ等しく(全く
同じである場合を含む)設定されている。
に設定されており、入力端子に入力された信号の中から
周波数がf1 近傍のものだけを抽出して出力する。ま
た、第2の同調増幅部3は、同調周波数がf2 に設定さ
れており、第1の同調増幅部2から出力された信号の中
から周波数がf2 近傍のものだけを抽出して出力端子か
ら出力する。なお、上述した第1および第2の同調増幅
部2、3の各同調周波数f1 とf2 はほぼ等しく(全く
同じである場合を含む)設定されている。
【0018】〔同調増幅部の第1の構成例〕図2は、上
述した一方の同調増幅部2の第1の構成例を示す回路図
である。なお、他方の同調増幅部3も同様の構成を有し
ている。
述した一方の同調増幅部2の第1の構成例を示す回路図
である。なお、他方の同調増幅部3も同様の構成を有し
ている。
【0019】同図に示す同調増幅部2は、それぞれが入
力される交流信号の位相を所定量シフトさせることによ
り所定の周波数において合計で360°の位相シフトを
行う2つの移相回路10C、30Cと、後段の移相回路
30Cの出力を位相を変えることなく所定の増幅度で増
幅する非反転回路50と、非反転回路50の出力を前段
側に帰還させる帰還抵抗70と、この帰還抵抗70を通
過する帰還信号と入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵
抗70の抵抗値のn倍の抵抗値を有しているものとす
る)を通過する入力信号とを所定の割合で加算する加算
回路とを含んで構成される。
力される交流信号の位相を所定量シフトさせることによ
り所定の周波数において合計で360°の位相シフトを
行う2つの移相回路10C、30Cと、後段の移相回路
30Cの出力を位相を変えることなく所定の増幅度で増
幅する非反転回路50と、非反転回路50の出力を前段
側に帰還させる帰還抵抗70と、この帰還抵抗70を通
過する帰還信号と入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵
抗70の抵抗値のn倍の抵抗値を有しているものとす
る)を通過する入力信号とを所定の割合で加算する加算
回路とを含んで構成される。
【0020】図3は、図2に示した前段の移相回路10
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す前
段の移相回路10Cは、差動増幅器の一種であるオペア
ンプ12と、入力端22に入力された信号の位相を所定
量シフトさせてオペアンプ12の非反転入力端子に入力
するキャパシタ14および可変抵抗16と、入力端22
とオペアンプ12の反転入力端子との間に挿入された抵
抗18と、オペアンプ12の出力端子と反転入力端子と
の間に接続された抵抗20とを含んで構成されている。
このような構成を有する移相回路10Cにおいて、抵抗
18と抵抗20の抵抗値は同じに設定されている。
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す前
段の移相回路10Cは、差動増幅器の一種であるオペア
ンプ12と、入力端22に入力された信号の位相を所定
量シフトさせてオペアンプ12の非反転入力端子に入力
するキャパシタ14および可変抵抗16と、入力端22
とオペアンプ12の反転入力端子との間に挿入された抵
抗18と、オペアンプ12の出力端子と反転入力端子と
の間に接続された抵抗20とを含んで構成されている。
このような構成を有する移相回路10Cにおいて、抵抗
18と抵抗20の抵抗値は同じに設定されている。
【0021】図3に示した入力端22に所定の交流信号
が入力されると、オペアンプ12の非反転入力端子に
は、可変抵抗16の両端に現れる電圧VR1が印加され
る。また、オペアンプ12の2つの入力端子間には電位
差が生じないので、オペアンプ12の反転入力端子の電
位と、キャパシタ14と可変抵抗16の接続点の電位と
は等しくなる。したがって、抵抗18の両端には、キャ
パシタ14の両端に現れる電圧VC1と同じ電圧VC1が現
れる。
が入力されると、オペアンプ12の非反転入力端子に
は、可変抵抗16の両端に現れる電圧VR1が印加され
る。また、オペアンプ12の2つの入力端子間には電位
差が生じないので、オペアンプ12の反転入力端子の電
位と、キャパシタ14と可変抵抗16の接続点の電位と
は等しくなる。したがって、抵抗18の両端には、キャ
パシタ14の両端に現れる電圧VC1と同じ電圧VC1が現
れる。
【0022】ここで、2つの抵抗18、20には同じ電
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗18と抵抗2
0の各抵抗値が等しいので、抵抗20の両端にも電圧V
C1が現れる。これら2つの抵抗18、20の各両端に現
れる電圧VC1はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ12の反転入力端子(電圧VR1)を基準にして考
えると、抵抗18の両端電圧VC1をベクトル的に加算し
たものが入力電圧Eiに、抵抗20の両端電圧VC1をベ
クトル的に減算したものがオペアンプ12の出力電圧E
o となり、この電圧Eo が移相回路10Cの出力端24
から取り出される。
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗18と抵抗2
0の各抵抗値が等しいので、抵抗20の両端にも電圧V
C1が現れる。これら2つの抵抗18、20の各両端に現
れる電圧VC1はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ12の反転入力端子(電圧VR1)を基準にして考
えると、抵抗18の両端電圧VC1をベクトル的に加算し
たものが入力電圧Eiに、抵抗20の両端電圧VC1をベ
クトル的に減算したものがオペアンプ12の出力電圧E
o となり、この電圧Eo が移相回路10Cの出力端24
から取り出される。
【0023】図4は、前段の移相回路10Cの入出力電
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
【0024】同図に示すように、可変抵抗16の両端電
圧VR1とキャパシタ14の両端電圧VC1とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図4に示す半
円の円周に沿って可変抵抗16の両端電圧VR1とキャパ
シタ14の両端電圧VC1とが変化する。
圧VR1とキャパシタ14の両端電圧VC1とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図4に示す半
円の円周に沿って可変抵抗16の両端電圧VR1とキャパ
シタ14の両端電圧VC1とが変化する。
【0025】また、上述したように電圧VR1から電圧V
C1をベクトル的に減算したものが移相回路10Cの出力
電圧Eo となる。非反転入力端子に印加される電圧VR1
を基準に考えると、入力電圧Ei と出力電圧Eo とは電
圧VC1を合成する方向が異なるだけでありその絶対値は
等しくなる。したがって、入力電圧Ei と出力電圧Eo
の大きさと位相の関係は、入力電圧Ei および出力電圧
Eo を斜辺とし、電圧VC1の2倍を底辺とする二等辺三
角形で表すことができ、出力電圧Eo の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図4に示すφ1 で表されることがわかる。
C1をベクトル的に減算したものが移相回路10Cの出力
電圧Eo となる。非反転入力端子に印加される電圧VR1
を基準に考えると、入力電圧Ei と出力電圧Eo とは電
圧VC1を合成する方向が異なるだけでありその絶対値は
等しくなる。したがって、入力電圧Ei と出力電圧Eo
の大きさと位相の関係は、入力電圧Ei および出力電圧
Eo を斜辺とし、電圧VC1の2倍を底辺とする二等辺三
角形で表すことができ、出力電圧Eo の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図4に示すφ1 で表されることがわかる。
【0026】また、図4から明らかなように、電圧VR1
と電圧VC1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VR1との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路10C全体のシフト量φ1 はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。しかも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ1 を変化させることができる。
と電圧VC1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VR1との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路10C全体のシフト量φ1 はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。しかも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ1 を変化させることができる。
【0027】図5は、図2に示した後段の移相回路30
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す移
相回路30Cは、差動増幅器の一種であるオペアンプ3
2と、入力端42に入力された交流信号の位相を所定量
シフトさせてオペアンプ32の非反転入力端子に入力す
る可変抵抗36およびキャパシタ34と、入力端42と
オペアンプ32の反転入力端子との間に挿入された抵抗
38と、オペアンプ32の出力端子と反転入力端子との
間に接続された抵抗40とを含んで構成されている。こ
のような構成を有する移相回路30Cにおいて、抵抗3
8と抵抗40の抵抗値が同じに設定されている。
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す移
相回路30Cは、差動増幅器の一種であるオペアンプ3
2と、入力端42に入力された交流信号の位相を所定量
シフトさせてオペアンプ32の非反転入力端子に入力す
る可変抵抗36およびキャパシタ34と、入力端42と
オペアンプ32の反転入力端子との間に挿入された抵抗
38と、オペアンプ32の出力端子と反転入力端子との
間に接続された抵抗40とを含んで構成されている。こ
のような構成を有する移相回路30Cにおいて、抵抗3
8と抵抗40の抵抗値が同じに設定されている。
【0028】図5に示す入力端42に所定の交流信号が
入力されると、オペアンプ32の非反転入力端子には、
キャパシタ34の両端に現れる電圧VC2が印加される。
また、オペアンプ32の2つの入力端子間には電位差が
生じないので、オペアンプ32の反転入力端子の電位
と、可変抵抗36とキャパシタ34の接続点の電位とは
等しくなる。したがって、抵抗38の両端には、可変抵
抗36の両端に現れる電圧VR2と同じ電圧VR2が現れ
る。
入力されると、オペアンプ32の非反転入力端子には、
キャパシタ34の両端に現れる電圧VC2が印加される。
また、オペアンプ32の2つの入力端子間には電位差が
生じないので、オペアンプ32の反転入力端子の電位
と、可変抵抗36とキャパシタ34の接続点の電位とは
等しくなる。したがって、抵抗38の両端には、可変抵
抗36の両端に現れる電圧VR2と同じ電圧VR2が現れ
る。
【0029】ここで、2つの抵抗38、40には同じ電
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗38と抵抗4
0の各抵抗値が等しいので、抵抗40の両端にも電圧V
R2が現れる。これら2つの抵抗38、40の各両端に現
れる電圧VR2はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ32の非反転入力端子(電圧VC2)を基準にして
考えると、抵抗38の両端電圧VR2をベクトル的に加算
したものが入力電圧Ei に、抵抗40の両端電圧VR2を
ベクトル的に減算したものがオペアンプ32の出力電圧
Eo となり、この電圧Eo が移相回路30Cの出力端4
4から取り出される。
流Iが流れ、しかも、上述したように抵抗38と抵抗4
0の各抵抗値が等しいので、抵抗40の両端にも電圧V
R2が現れる。これら2つの抵抗38、40の各両端に現
れる電圧VR2はベクトル的に同方向を向いており、オペ
アンプ32の非反転入力端子(電圧VC2)を基準にして
考えると、抵抗38の両端電圧VR2をベクトル的に加算
したものが入力電圧Ei に、抵抗40の両端電圧VR2を
ベクトル的に減算したものがオペアンプ32の出力電圧
Eo となり、この電圧Eo が移相回路30Cの出力端4
4から取り出される。
【0030】図6は、前段の移相回路30Cの入出力電
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
圧とキャパシタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル
図である。
【0031】同図に示すように、キャパシタ34の両端
電圧VC2と可変抵抗36の両端電圧VR2とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図6に示す半
円の円周に沿ってキャパシタ34の両端電圧VC2と可変
抵抗36の両端電圧VR2とが変化する。
電圧VC2と可変抵抗36の両端電圧VR2とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが入力電圧Ei となる。したがって、入力信号の振幅
が一定で周波数のみが変化した場合には、図6に示す半
円の円周に沿ってキャパシタ34の両端電圧VC2と可変
抵抗36の両端電圧VR2とが変化する。
【0032】また、上述したように電圧VC2から電圧V
R2をベクトル的に減算したものが移相回路30Cの出力
電圧Eo となる。非反転入力端子に印加される電圧VC2
を基準に考えると、入力電圧Ei と出力電圧Eo とは電
圧VR2を合成する方向が異なるだけでありその絶対値は
等しくなる。したがって、入力電圧Ei と出力電圧Eo
の大きさと位相の関係は、入力電圧Ei および出力電圧
Eo を斜辺とし、電圧VR2の2倍を底辺とする二等辺三
角形で表すことができ、出力電圧Eo の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図6に示すφ2 で表されることがわかる。
R2をベクトル的に減算したものが移相回路30Cの出力
電圧Eo となる。非反転入力端子に印加される電圧VC2
を基準に考えると、入力電圧Ei と出力電圧Eo とは電
圧VR2を合成する方向が異なるだけでありその絶対値は
等しくなる。したがって、入力電圧Ei と出力電圧Eo
の大きさと位相の関係は、入力電圧Ei および出力電圧
Eo を斜辺とし、電圧VR2の2倍を底辺とする二等辺三
角形で表すことができ、出力電圧Eo の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図6に示すφ2 で表されることがわかる。
【0033】また、図6から明らかなように、電圧VC2
と電圧VR2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VC2との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路30C全体のシフト量φ2 はその
2倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化
する。しかも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ2 を変化させることができる。
と電圧VR2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Ei と電圧VC2との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路30C全体のシフト量φ2 はその
2倍であり、周波数に応じて0°から180°まで変化
する。しかも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変すること
により、位相シフト量φ2 を変化させることができる。
【0034】このようにして、2つの移相回路10C、
30Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトされる。
しかも、図4および図6に示すように、各移相回路10
C、30Cのそれぞれにおける入出力電圧の相対的な位
相関係は反対方向であって、所定の周波数において2つ
の移相回路10C、30Cの全体により位相シフト量の
合計が360°となる。
30Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトされる。
しかも、図4および図6に示すように、各移相回路10
C、30Cのそれぞれにおける入出力電圧の相対的な位
相関係は反対方向であって、所定の周波数において2つ
の移相回路10C、30Cの全体により位相シフト量の
合計が360°となる。
【0035】また、図2に示すように、後段の移相回路
30Cの出力は非反転回路50に入力され、位相を変え
ることなく所定の増幅度で増幅される。非反転回路50
の出力は、出力端子92から同調増幅部2の出力として
取り出されるとともに、帰還抵抗70を介して前段の移
相回路10Cの入力側に帰還される。そして、この帰還
された信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが
加算され、この加算された信号が前段の移相回路10C
に入力される。
30Cの出力は非反転回路50に入力され、位相を変え
ることなく所定の増幅度で増幅される。非反転回路50
の出力は、出力端子92から同調増幅部2の出力として
取り出されるとともに、帰還抵抗70を介して前段の移
相回路10Cの入力側に帰還される。そして、この帰還
された信号と入力抵抗74を介して入力される信号とが
加算され、この加算された信号が前段の移相回路10C
に入力される。
【0036】このように、2つの移相回路10C、30
Cによって所定の周波数における位相シフト量の合計が
360°となり、このとき2つの移相回路10C、30
Cおよび帰還抵抗70を含んで形成される帰還ループの
ループゲインを1以下に設定することにより、上述した
所定の周波数成分の信号のみを通過させる同調動作が行
われる。
Cによって所定の周波数における位相シフト量の合計が
360°となり、このとき2つの移相回路10C、30
Cおよび帰還抵抗70を含んで形成される帰還ループの
ループゲインを1以下に設定することにより、上述した
所定の周波数成分の信号のみを通過させる同調動作が行
われる。
【0037】図7は、上述した構成を有する2つの移相
回路10C、30Cおよび非反転回路50の全体を伝達
関数K1 を有する回路に置き換えたシステム図であり、
伝達関数K1 を有する回路と並列に抵抗R0 を有する帰
還抵抗70が、直列に帰還抵抗70のn倍の抵抗値(n
R0 )を有する入力抵抗74が接続されている。図8
は、図7に示すシステムをミラーの定理によって変換し
たシステム図であり、変換後のシステム全体の伝達関数
Aは、 A=Vo /Vi =K1 /{n(1−K1 )+1} ・・・(1) で表すことができる。
回路10C、30Cおよび非反転回路50の全体を伝達
関数K1 を有する回路に置き換えたシステム図であり、
伝達関数K1 を有する回路と並列に抵抗R0 を有する帰
還抵抗70が、直列に帰還抵抗70のn倍の抵抗値(n
R0 )を有する入力抵抗74が接続されている。図8
は、図7に示すシステムをミラーの定理によって変換し
たシステム図であり、変換後のシステム全体の伝達関数
Aは、 A=Vo /Vi =K1 /{n(1−K1 )+1} ・・・(1) で表すことができる。
【0038】ところで、前段の移相回路10Cの伝達関
数K2 は、可変抵抗16とキャパシタ14からなるCR
回路の時定数をT1 (可変抵抗16の抵抗値をR、キャ
パシタ14の静電容量をCとするとT1 =CR)とする
と、 K2 =−(1−T1 s)/(1+T1 s) ・・・(2) となる。ここで、s=jωである。
数K2 は、可変抵抗16とキャパシタ14からなるCR
回路の時定数をT1 (可変抵抗16の抵抗値をR、キャ
パシタ14の静電容量をCとするとT1 =CR)とする
と、 K2 =−(1−T1 s)/(1+T1 s) ・・・(2) となる。ここで、s=jωである。
【0039】また、後段の移相回路30Cの伝達関数K
3 は、キャパシタ34と可変抵抗36からなるCR回路
の時定数をT2 (キャパシタ34の静電容量をC、可変
抵抗36の抵抗値をRとするとT2 =CR)とすると、 K3 =(1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(3) となる。
3 は、キャパシタ34と可変抵抗36からなるCR回路
の時定数をT2 (キャパシタ34の静電容量をC、可変
抵抗36の抵抗値をRとするとT2 =CR)とすると、 K3 =(1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(3) となる。
【0040】非反転回路50の利得を1とすると、2つ
の移相回路10C、30Cと非反転回路50とを縦続接
続した場合の全体の伝達関数K1 は、 K1 =−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(4) となる。なお、上述した(4)式においては、計算を簡
単なものとするために、各移相回路の時定数T1 、T2
をともにTとした。また、実際には、帰還抵抗70を含
んで形成される閉ループで生じる損失を補うために、非
反転回路50の利得を1より大きな値に設定する。この
(4)式を上述した(1)式に代入すると、 A=−{1+(Ts)2 −2Ts} /〔(2n+1){1+(Ts)2 }+2Ts〕 =−{1/(2n+1)}〔{1+(Ts)2 −2Ts} /{1+(Ts)2 +2Ts/(2n+1)}〕 ・・・(5) となる。
の移相回路10C、30Cと非反転回路50とを縦続接
続した場合の全体の伝達関数K1 は、 K1 =−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(4) となる。なお、上述した(4)式においては、計算を簡
単なものとするために、各移相回路の時定数T1 、T2
をともにTとした。また、実際には、帰還抵抗70を含
んで形成される閉ループで生じる損失を補うために、非
反転回路50の利得を1より大きな値に設定する。この
(4)式を上述した(1)式に代入すると、 A=−{1+(Ts)2 −2Ts} /〔(2n+1){1+(Ts)2 }+2Ts〕 =−{1/(2n+1)}〔{1+(Ts)2 −2Ts} /{1+(Ts)2 +2Ts/(2n+1)}〕 ・・・(5) となる。
【0041】この(5)式によれば、ω=0(直流の領
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにもA
=−1/(2n+1)となって、最大減衰量を与えるこ
とがわかる。さらに、ω=1/Tの同調点(各移相回路
の時定数が異なる場合には、ω=1/√(T1 ・T2)
の同調点)においてはA=1であって帰還抵抗70と入
力抵抗74の抵抗比nに無関係であることがわかる。換
言すれば、図9に示すように、nの値を変化させても同
調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も変化しな
い。
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにもA
=−1/(2n+1)となって、最大減衰量を与えるこ
とがわかる。さらに、ω=1/Tの同調点(各移相回路
の時定数が異なる場合には、ω=1/√(T1 ・T2)
の同調点)においてはA=1であって帰還抵抗70と入
力抵抗74の抵抗比nに無関係であることがわかる。換
言すれば、図9に示すように、nの値を変化させても同
調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も変化しな
い。
【0042】また、最大減衰量は帰還抵抗70と入力抵
抗74の抵抗比nによって決定され、同調周波数は移相
回路10C、30C内の可変抵抗16、36によって決
定されるため、最大減衰量や同調周波数を互いに干渉さ
せることなく調整することができる。
抗74の抵抗比nによって決定され、同調周波数は移相
回路10C、30C内の可変抵抗16、36によって決
定されるため、最大減衰量や同調周波数を互いに干渉さ
せることなく調整することができる。
【0043】また、移相回路10C内の抵抗18と抵抗
20の抵抗値を同じ値に設定するとともに移相回路30
C内の抵抗38と抵抗40の抵抗値を同じ値に設定して
いるため、各同調増幅部において同調周波数を変えた際
の振幅変動を防止してほぼ一定の振幅を有する同調出力
を得ることができる。
20の抵抗値を同じ値に設定するとともに移相回路30
C内の抵抗38と抵抗40の抵抗値を同じ値に設定して
いるため、各同調増幅部において同調周波数を変えた際
の振幅変動を防止してほぼ一定の振幅を有する同調出力
を得ることができる。
【0044】特に、同調出力の振幅変動を抑えたことに
より、上述した抵抗比nを大きくして同調増幅部2のQ
の値を大きくすることができる。すなわち、オープンル
ープゲインに周波数依存性があると、利得の低い周波数
では抵抗比nを大きくしてもQが上がらず、利得の高い
周波数ではオープンループゲインが1を越えて発振する
ことがある。したがって、振幅変動が大きい場合には、
このような発振を防止するために抵抗比nをあまり大き
な値に設定することができず、同調増幅部2のQの値も
小さくなる。
より、上述した抵抗比nを大きくして同調増幅部2のQ
の値を大きくすることができる。すなわち、オープンル
ープゲインに周波数依存性があると、利得の低い周波数
では抵抗比nを大きくしてもQが上がらず、利得の高い
周波数ではオープンループゲインが1を越えて発振する
ことがある。したがって、振幅変動が大きい場合には、
このような発振を防止するために抵抗比nをあまり大き
な値に設定することができず、同調増幅部2のQの値も
小さくなる。
【0045】なお、(2)式あるいは(3)から図4、
図6に示したφ1 、φ2 を求めると、 φ1 =−tan{2ωT1 /(1−ω2 T1 2)} ・・・(6) φ2 =tan{2ωT2 /(1−ω2 T2 2)} ・・・(7) となる。なお、(6)、(7)式のφ1 およびφ2 は、
図4および図6に示す電圧Ei を基準として時計回り方
向を正方向としたものである。
図6に示したφ1 、φ2 を求めると、 φ1 =−tan{2ωT1 /(1−ω2 T1 2)} ・・・(6) φ2 =tan{2ωT2 /(1−ω2 T2 2)} ・・・(7) となる。なお、(6)、(7)式のφ1 およびφ2 は、
図4および図6に示す電圧Ei を基準として時計回り方
向を正方向としたものである。
【0046】例えばT1 =T2 (=T)の場合には、ω
=1/Tのときに2つの移相回路10C、30Cによる
位相シフト量の合計が360°となって上述した同調動
作が行われ、このときφ1 =−90°(=270°)、
φ2 =90°となる。
=1/Tのときに2つの移相回路10C、30Cによる
位相シフト量の合計が360°となって上述した同調動
作が行われ、このときφ1 =−90°(=270°)、
φ2 =90°となる。
【0047】ところで、図4によれば、前段の移相回路
10Cの出力電圧Eo は入力電圧Ei よりも位相が進ん
でいるように見えるが、実際には入力信号を基準に考え
ると出力信号は常に遅れ位相の状態にある。すなわち、
前段の移相回路10Cは、入力電圧Ei を基準として時
計回り方向に(360°+φ1 )だけ位相が遅れるのに
対し、後段の移相回路30Cは、入力電圧Ei を基準と
して時計回り方向にφ2 だけ位相が遅れる。したがっ
て、2つの移相回路10C、30Cを縦続接続すると、
所定の周波数(ω=1/T)において、φ1 =270°
かつφ2 =90°となり、全体として360°だけ位相
がシフトする。
10Cの出力電圧Eo は入力電圧Ei よりも位相が進ん
でいるように見えるが、実際には入力信号を基準に考え
ると出力信号は常に遅れ位相の状態にある。すなわち、
前段の移相回路10Cは、入力電圧Ei を基準として時
計回り方向に(360°+φ1 )だけ位相が遅れるのに
対し、後段の移相回路30Cは、入力電圧Ei を基準と
して時計回り方向にφ2 だけ位相が遅れる。したがっ
て、2つの移相回路10C、30Cを縦続接続すると、
所定の周波数(ω=1/T)において、φ1 =270°
かつφ2 =90°となり、全体として360°だけ位相
がシフトする。
【0048】図10は、各同調周波数を同じ値に設定し
た同調増幅部2、3を2段縦続接続した同調回路1の特
性を示す図である。同図のa(点線)は例えば帰還抵抗
70と入力抵抗74の抵抗比nを「10」とした場合の
第1および第2の同調増幅部2、3のそれぞれの同調特
性を、同図のb(実線)はこれらの各同調増幅部を縦続
接続した本実施形態の同調回路1全体の同調特性をそれ
ぞれ示している。また、同図のc(一点鎖線)は比較の
ために本実施形態の同調回路1の最大減衰量と同程度の
減衰量を1つの同調増幅部2(あるいは3)によって実
現した場合の同調特性を示しており、同調帯域幅が本実
施形態の同調回路1のそれに比べると狭いことがわか
る。
た同調増幅部2、3を2段縦続接続した同調回路1の特
性を示す図である。同図のa(点線)は例えば帰還抵抗
70と入力抵抗74の抵抗比nを「10」とした場合の
第1および第2の同調増幅部2、3のそれぞれの同調特
性を、同図のb(実線)はこれらの各同調増幅部を縦続
接続した本実施形態の同調回路1全体の同調特性をそれ
ぞれ示している。また、同図のc(一点鎖線)は比較の
ために本実施形態の同調回路1の最大減衰量と同程度の
減衰量を1つの同調増幅部2(あるいは3)によって実
現した場合の同調特性を示しており、同調帯域幅が本実
施形態の同調回路1のそれに比べると狭いことがわか
る。
【0049】図9および図10から明らかなように、帰
還抵抗70と入力抵抗74との抵抗比nの値を小さく設
定した最大減衰量が少ない2つの同調増幅部2、3を縦
続接続することにより、全体として最大減衰量が大きく
設定され、しかも同調帯域幅を広げることができる。
還抵抗70と入力抵抗74との抵抗比nの値を小さく設
定した最大減衰量が少ない2つの同調増幅部2、3を縦
続接続することにより、全体として最大減衰量が大きく
設定され、しかも同調帯域幅を広げることができる。
【0050】特に、図9に示す同調特性によれば、各同
調増幅部2、3における最大減衰量を約1/2に設定し
た場合の同調帯域幅は2倍よりかなり広いことがわか
る。したがって、本実施形態では最大減衰量を約1/2
に設定した同調増幅部を2つ縦続接続することにより、
最大減衰量は変わらずに同調帯域幅のみを広くした同調
回路1を実現している。なお、各同調増幅部における最
大減衰量は、それぞれを約1/2に設定する場合の他、
それぞれについて異なる減衰量を設定、すなわち異なる
抵抗比nを設定して、全体として所定の減衰量となるよ
うにしてもよい。
調増幅部2、3における最大減衰量を約1/2に設定し
た場合の同調帯域幅は2倍よりかなり広いことがわか
る。したがって、本実施形態では最大減衰量を約1/2
に設定した同調増幅部を2つ縦続接続することにより、
最大減衰量は変わらずに同調帯域幅のみを広くした同調
回路1を実現している。なお、各同調増幅部における最
大減衰量は、それぞれを約1/2に設定する場合の他、
それぞれについて異なる減衰量を設定、すなわち異なる
抵抗比nを設定して、全体として所定の減衰量となるよ
うにしてもよい。
【0051】なお、上述した同調回路1においては、2
つの同調増幅部2、3を縦続接続する場合を考えたが、
ほぼ同調周波数が一致した3つ以上の同調増幅部を縦続
接続するようにしてもよい。この場合には、各同調増幅
部の最大減衰量をさらに少なく、すなわちそれぞれの同
調帯域幅を極端に広く設定した特性曲線を重ね合わせる
ことになるため、同調回路全体の同調帯域幅をさらに広
く設定することができる。
つの同調増幅部2、3を縦続接続する場合を考えたが、
ほぼ同調周波数が一致した3つ以上の同調増幅部を縦続
接続するようにしてもよい。この場合には、各同調増幅
部の最大減衰量をさらに少なく、すなわちそれぞれの同
調帯域幅を極端に広く設定した特性曲線を重ね合わせる
ことになるため、同調回路全体の同調帯域幅をさらに広
く設定することができる。
【0052】また、図10では2つの同調増幅部2、3
の同調周波数を一致させた場合を説明したが、各同調周
波数を所定量ずらして設定するようにしてもよい。この
場合であっても、最大減衰量が少なく同調帯域幅が広い
2つの同調増幅部2、3を縦続接続することにより全体
として最大減衰量が目標値に設定され、しかも同調帯域
幅を広げることができる。特に、従来から存在するスタ
ガ同調増幅回路と違って、各同調増幅部2、3の同調帯
域幅を広げているため、縦続接続する同調増幅部の段数
を少なくすることができる。
の同調周波数を一致させた場合を説明したが、各同調周
波数を所定量ずらして設定するようにしてもよい。この
場合であっても、最大減衰量が少なく同調帯域幅が広い
2つの同調増幅部2、3を縦続接続することにより全体
として最大減衰量が目標値に設定され、しかも同調帯域
幅を広げることができる。特に、従来から存在するスタ
ガ同調増幅回路と違って、各同調増幅部2、3の同調帯
域幅を広げているため、縦続接続する同調増幅部の段数
を少なくすることができる。
【0053】〔同調増幅部の第2の構成例〕図1に示し
た同調回路1に含まれる同調増幅部2、3は各移相回路
10C、30CをCR回路を含んで構成したが、CR回
路を抵抗とインダクタからなるLR回路に置き換えた移
相回路を用いて同調増幅部を構成することもできる。
た同調回路1に含まれる同調増幅部2、3は各移相回路
10C、30CをCR回路を含んで構成したが、CR回
路を抵抗とインダクタからなるLR回路に置き換えた移
相回路を用いて同調増幅部を構成することもできる。
【0054】図11は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図3に示した同調増幅部2の前段
の移相回路10Cと置き換え可能な構成が示されてい
る。同図に示す移相回路10Lは、図3に示した移相回
路10C内のキャパシタ14と可変抵抗16からなるC
R回路を、可変抵抗16とインダクタ17からなるLR
回路に置き換えた構成を有しており、抵抗18と抵抗2
0の各抵抗値は同じ値に設定されている。
を示す回路図であり、図3に示した同調増幅部2の前段
の移相回路10Cと置き換え可能な構成が示されてい
る。同図に示す移相回路10Lは、図3に示した移相回
路10C内のキャパシタ14と可変抵抗16からなるC
R回路を、可変抵抗16とインダクタ17からなるLR
回路に置き換えた構成を有しており、抵抗18と抵抗2
0の各抵抗値は同じ値に設定されている。
【0055】したがって、上述した移相回路10Lの入
出力電圧等の関係は、図12のベクトル図に示すよう
に、図4に示した電圧VC1を可変抵抗16の両端電圧V
R3に、図4に示した電圧VR1をインダクタ17の両端電
圧VL1にそれぞれ置き換えて考えることができる。
出力電圧等の関係は、図12のベクトル図に示すよう
に、図4に示した電圧VC1を可変抵抗16の両端電圧V
R3に、図4に示した電圧VR1をインダクタ17の両端電
圧VL1にそれぞれ置き換えて考えることができる。
【0056】また、図11に示した移相回路10Lの伝
達関数は、インダクタ17と可変抵抗16からなるLR
回路の時定数をT1 (インダクタ17のインダクタンス
をL、可変抵抗16の抵抗値をRとするとT1 =L/
R)とすると、(2)式に示したK2 をそのまま適用で
き、図12に示す位相シフト量φ3 も上述した(6)式
に示したφ1 と同じになる。
達関数は、インダクタ17と可変抵抗16からなるLR
回路の時定数をT1 (インダクタ17のインダクタンス
をL、可変抵抗16の抵抗値をRとするとT1 =L/
R)とすると、(2)式に示したK2 をそのまま適用で
き、図12に示す位相シフト量φ3 も上述した(6)式
に示したφ1 と同じになる。
【0057】このように、図11に示す移相回路10L
は、図3に示した移相回路10Cと位相シフト量φ3 お
よび位相のシフト方向が同じであるため、移相回路10
Cを移相回路10Lに置き換えることも可能である。ま
た、図12に示した抵抗18と20の各抵抗値は同じ値
に設定されているため、同調周波数を可変した際の振幅
変動がなく、ほぼ一定の同調出力を得ることができる。
は、図3に示した移相回路10Cと位相シフト量φ3 お
よび位相のシフト方向が同じであるため、移相回路10
Cを移相回路10Lに置き換えることも可能である。ま
た、図12に示した抵抗18と20の各抵抗値は同じ値
に設定されているため、同調周波数を可変した際の振幅
変動がなく、ほぼ一定の同調出力を得ることができる。
【0058】図13は、LR回路を含む移相回路の他の
構成を示す回路図であり、図5に示した同調増幅部2の
後段の移相回路30Cと置き換え可能な構成が示されて
いる。同図に示す移相回路30Lは、図5に示した後段
の移相回路30C内のキャパシタ34と可変抵抗36か
らなるCR回路を、可変抵抗36とインダクタ37から
なるLR回路に置き換えた構成を有しており、抵抗38
と抵抗40の各抵抗値は同じ値に設定されている。
構成を示す回路図であり、図5に示した同調増幅部2の
後段の移相回路30Cと置き換え可能な構成が示されて
いる。同図に示す移相回路30Lは、図5に示した後段
の移相回路30C内のキャパシタ34と可変抵抗36か
らなるCR回路を、可変抵抗36とインダクタ37から
なるLR回路に置き換えた構成を有しており、抵抗38
と抵抗40の各抵抗値は同じ値に設定されている。
【0059】したがって、上述した移相回路30Lの入
出力電圧等の関係は、図14のベクトル図に示すよう
に、図6に示した電圧VR2をインダクタ37の両端電圧
VL2に、図6に示した電圧VC2を可変抵抗36の両端電
圧VR4にそれぞれ置き換えて考えることができる。
出力電圧等の関係は、図14のベクトル図に示すよう
に、図6に示した電圧VR2をインダクタ37の両端電圧
VL2に、図6に示した電圧VC2を可変抵抗36の両端電
圧VR4にそれぞれ置き換えて考えることができる。
【0060】また、図13に示す移相回路30Lの伝達
関数は、可変抵抗36とインダクタ37からなるLR回
路の時定数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、インダ
クタ37のインダクタンスをLとするとT2 =L/R)
とすると、(3)式に示したK3 をそのまま適用でき、
図14に示す位相シフト量φ4 も上述した(7)式に示
したφ2 と同じになる。
関数は、可変抵抗36とインダクタ37からなるLR回
路の時定数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、インダ
クタ37のインダクタンスをLとするとT2 =L/R)
とすると、(3)式に示したK3 をそのまま適用でき、
図14に示す位相シフト量φ4 も上述した(7)式に示
したφ2 と同じになる。
【0061】したがって、図13に示す移相回路30L
は、図5に示した移相回路30Cと基本的に等価であ
り、図5に示した移相回路30Cから図13に示した移
相回路30Lへの置き換えが可能であることがわかる。
また、図13に示した抵抗38と40の各抵抗値は同じ
値に設定されているため、同調周波数を可変した際の振
幅変動がなく、ほぼ一定の同調出力を得ることができ
る。
は、図5に示した移相回路30Cと基本的に等価であ
り、図5に示した移相回路30Cから図13に示した移
相回路30Lへの置き換えが可能であることがわかる。
また、図13に示した抵抗38と40の各抵抗値は同じ
値に設定されているため、同調周波数を可変した際の振
幅変動がなく、ほぼ一定の同調出力を得ることができ
る。
【0062】このように、図2に示した2つの移相回路
10Cおよび30Cのいずれか一方、あるいは両方を図
11、13に示した移相回路10L、30Lに置き換え
ることができる。2つの移相回路10C、30Cの両方
を移相回路10L、30Lに置き換えた場合には、同調
増幅部全体を集積化することにより同調周波数の高周波
化が容易となる。
10Cおよび30Cのいずれか一方、あるいは両方を図
11、13に示した移相回路10L、30Lに置き換え
ることができる。2つの移相回路10C、30Cの両方
を移相回路10L、30Lに置き換えた場合には、同調
増幅部全体を集積化することにより同調周波数の高周波
化が容易となる。
【0063】また、2つの移相回路10C、30Cのい
ずれか一方のみを移相回路10Lあるいは30Lに置き
換えた場合であって、LR回路を構成するインダクタを
含めて、あるいはこのインダクタを除く同調回路全体を
集積化した場合には、温度変化による同調周波数の変動
を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。
ずれか一方のみを移相回路10Lあるいは30Lに置き
換えた場合であって、LR回路を構成するインダクタを
含めて、あるいはこのインダクタを除く同調回路全体を
集積化した場合には、温度変化による同調周波数の変動
を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0064】図15および図16は、各同調増幅部内部
の移相回路と非反転回路の接続状態を示す図である。な
お、これらの図に示した帰還インピーダンス素子70a
および入力インピーダンス素子74aは、各同調増幅部
の出力信号と入力信号とを所定の割合で合成するための
ものであり、最も一般的には図2に示すように、帰還イ
ンピーダンス素子70aとして帰還抵抗70を、入力イ
ンピーダンス素子74aとして入力抵抗74を使用す
る。但し、帰還インピーダンス素子70aおよび入力イ
ンピーダンス素子74aをともにキャパシタにより形成
したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてインピーダ
ンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうるようにし
てもよい。
の移相回路と非反転回路の接続状態を示す図である。な
お、これらの図に示した帰還インピーダンス素子70a
および入力インピーダンス素子74aは、各同調増幅部
の出力信号と入力信号とを所定の割合で合成するための
ものであり、最も一般的には図2に示すように、帰還イ
ンピーダンス素子70aとして帰還抵抗70を、入力イ
ンピーダンス素子74aとして入力抵抗74を使用す
る。但し、帰還インピーダンス素子70aおよび入力イ
ンピーダンス素子74aをともにキャパシタにより形成
したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてインピーダ
ンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうるようにし
てもよい。
【0065】図15(A)は、移相回路10Cあるいは
10L、移相回路30Cあるいは30L、非反転回路5
0の順に縦続接続した構成を示しており、図2に示した
構成に対応している。図15(B)は、移相回路30C
あるいは30L、移相回路10Cあるいは10L、非反
転回路50の順に接続した構成を示している。このよう
に、2つの移相回路の後段に非反転回路50を配置した
場合には、この非反転回路50に出力バッファの機能を
持たせることにより、大きな出力電流を取り出すことも
できる。
10L、移相回路30Cあるいは30L、非反転回路5
0の順に縦続接続した構成を示しており、図2に示した
構成に対応している。図15(B)は、移相回路30C
あるいは30L、移相回路10Cあるいは10L、非反
転回路50の順に接続した構成を示している。このよう
に、2つの移相回路の後段に非反転回路50を配置した
場合には、この非反転回路50に出力バッファの機能を
持たせることにより、大きな出力電流を取り出すことも
できる。
【0066】また、図15(C)は、移相回路10Cあ
るいは10L、非反転回路50、移相回路30Cあるい
は30Lの順に縦続接続した構成を示し、図15(D)
は、移相回路30Cあるいは30L、非反転回路50、
移相回路10Cあるいは10Lの順に縦続接続した構成
を示している。このように、中間に非反転回路50を配
置した場合には、前段の移相回路と後段の移相回路の相
互干渉を完全に防止することができる。
るいは10L、非反転回路50、移相回路30Cあるい
は30Lの順に縦続接続した構成を示し、図15(D)
は、移相回路30Cあるいは30L、非反転回路50、
移相回路10Cあるいは10Lの順に縦続接続した構成
を示している。このように、中間に非反転回路50を配
置した場合には、前段の移相回路と後段の移相回路の相
互干渉を完全に防止することができる。
【0067】また、図16(A)は、非反転回路50、
移相回路10Cあるいは10L、移相回路30Cあるい
は30Lの順に縦続接続した構成を示し、図16(B)
は、非反転回路50、移相回路30Cあるいは30L、
移相回路10Cあるいは10Lの順に縦続接続した構成
を示している。このように、前段に非反転回路50を配
置した場合には、前段の移相回路に対する帰還インピー
ダンス素子70aおよび入力インピーダンス素子74a
の影響を最小限に抑えることができる。
移相回路10Cあるいは10L、移相回路30Cあるい
は30Lの順に縦続接続した構成を示し、図16(B)
は、非反転回路50、移相回路30Cあるいは30L、
移相回路10Cあるいは10Lの順に縦続接続した構成
を示している。このように、前段に非反転回路50を配
置した場合には、前段の移相回路に対する帰還インピー
ダンス素子70aおよび入力インピーダンス素子74a
の影響を最小限に抑えることができる。
【0068】〔同調増幅部の第3の構成例〕上述した同
調増幅部2および3は、2つの移相回路による位相シフ
ト量の合計が360°となる周波数で所定の同調動作を
行っていたが、基本的に同じ動作を行う2つの移相回路
を組み合わせて同調増幅部を構成することにより、2つ
の移相回路による位相シフト量の合計が180°となる
周波数で所定の同調動作を行うようにしてもよい。
調増幅部2および3は、2つの移相回路による位相シフ
ト量の合計が360°となる周波数で所定の同調動作を
行っていたが、基本的に同じ動作を行う2つの移相回路
を組み合わせて同調増幅部を構成することにより、2つ
の移相回路による位相シフト量の合計が180°となる
周波数で所定の同調動作を行うようにしてもよい。
【0069】図17は同調回路1内部の前段の同調増幅
部の第3の構成例を示す回路図であるが、後段の同調増
幅部も同様の構成を有する。同図に示す同調増幅部2A
は、図2に示した後段の移相回路30Cの代わりに移相
回路10Cを接続し、非反転回路50の代わりに位相反
転回路80を接続したものである。
部の第3の構成例を示す回路図であるが、後段の同調増
幅部も同様の構成を有する。同図に示す同調増幅部2A
は、図2に示した後段の移相回路30Cの代わりに移相
回路10Cを接続し、非反転回路50の代わりに位相反
転回路80を接続したものである。
【0070】位相反転回路80は、入力される交流信号
が抵抗84を介して反転入力端子に入力されるとともに
非反転入力端子が接地されたオペアンプ82と、このオ
ペアンプ82の反転入力端子と出力端子との間に接続さ
れた抵抗86とにより構成されている。抵抗84を介し
てオペアンプ82の反転入力端子に交流信号が入力され
ると、オペアンプ82の出力端子からは位相が反転した
逆相の信号が出力され、この逆相の信号が帰還されて前
段の移相回路10Cに入力される。また、この位相反転
回路80は、2つの抵抗84、86の抵抗比によって定
まる所定の増幅度を有しており、抵抗84の抵抗値より
抵抗86の抵抗値を大きくすることにより1より大きな
利得が得られる。
が抵抗84を介して反転入力端子に入力されるとともに
非反転入力端子が接地されたオペアンプ82と、このオ
ペアンプ82の反転入力端子と出力端子との間に接続さ
れた抵抗86とにより構成されている。抵抗84を介し
てオペアンプ82の反転入力端子に交流信号が入力され
ると、オペアンプ82の出力端子からは位相が反転した
逆相の信号が出力され、この逆相の信号が帰還されて前
段の移相回路10Cに入力される。また、この位相反転
回路80は、2つの抵抗84、86の抵抗比によって定
まる所定の増幅度を有しており、抵抗84の抵抗値より
抵抗86の抵抗値を大きくすることにより1より大きな
利得が得られる。
【0071】ところで、上述したように、2つの移相回
路10Cのそれぞれは、入力信号の周波数ωが0から∞
まで変化するに従って、180°から0°まで位相がシ
フトする。例えば、2つの移相回路10C内のCR回路
の時定数が同じであると仮定し、これをTとおくと、ω
=1/Tの周波数では2つの移相回路10Cのそれぞれ
における位相シフト量が90°となる。したがって、2
つの移相回路10Cの全体によって位相が180°シフ
トされ、しかも2つの移相回路10Cの後段に接続され
た位相反転回路80によって位相が反転されるため、全
体として、位相が一巡して位相シフト量が360°とな
る信号が位相反転回路80から出力される。
路10Cのそれぞれは、入力信号の周波数ωが0から∞
まで変化するに従って、180°から0°まで位相がシ
フトする。例えば、2つの移相回路10C内のCR回路
の時定数が同じであると仮定し、これをTとおくと、ω
=1/Tの周波数では2つの移相回路10Cのそれぞれ
における位相シフト量が90°となる。したがって、2
つの移相回路10Cの全体によって位相が180°シフ
トされ、しかも2つの移相回路10Cの後段に接続され
た位相反転回路80によって位相が反転されるため、全
体として、位相が一巡して位相シフト量が360°とな
る信号が位相反転回路80から出力される。
【0072】また、上述した同調増幅部2Aでは、各移
相回路で利得を稼ぐ代わりに、上述した位相反転回路8
0の利得を1より大きな値に設定しており、帰還ループ
で生じる損失を補うことが容易となる。
相回路で利得を稼ぐ代わりに、上述した位相反転回路8
0の利得を1より大きな値に設定しており、帰還ループ
で生じる損失を補うことが容易となる。
【0073】〔同調増幅部の第4の構成例〕図17に示
した同調増幅部2Aは、移相回路10Cを縦続接続する
例を示したが、図2に示した後段の移相回路30Cを縦
続接続した場合も同調動作を行わせることができる。
した同調増幅部2Aは、移相回路10Cを縦続接続する
例を示したが、図2に示した後段の移相回路30Cを縦
続接続した場合も同調動作を行わせることができる。
【0074】図18は同調回路1内部の前段の同調増幅
部の第4の構成例を示す回路図であるが、後段の同調増
幅部も同様の構成を有する。同図に示す同調増幅部2B
は、図2に示した前段の移相回路10Cの代わりに移相
回路30Cを接続し、非反転回路50の代わりに位相反
転回路80を接続したものである。
部の第4の構成例を示す回路図であるが、後段の同調増
幅部も同様の構成を有する。同図に示す同調増幅部2B
は、図2に示した前段の移相回路10Cの代わりに移相
回路30Cを接続し、非反転回路50の代わりに位相反
転回路80を接続したものである。
【0075】同図に示す各移相回路30Cは、図6に示
したように、入力信号の周波数ωが0から∞まで変化す
るに従って、0°から180°まで位相がシフトする。
例えば、2つの移相回路30C内のCR回路の時定数が
同じであると仮定し、これをTとおくと、ω=1/Tの
周波数では、2つの移相回路30Cのそれぞれにおける
位相シフト量が90°となる。したがって、2つの移相
回路30Cの全体によって位相が180°シフトされ、
しかも2つの移相回路30Cの後段に接続された位相反
転回路80によって位相が反転されるため、全体とし
て、位相が一巡して位相シフト量が360°となる信号
が位相反転回路80から出力される。
したように、入力信号の周波数ωが0から∞まで変化す
るに従って、0°から180°まで位相がシフトする。
例えば、2つの移相回路30C内のCR回路の時定数が
同じであると仮定し、これをTとおくと、ω=1/Tの
周波数では、2つの移相回路30Cのそれぞれにおける
位相シフト量が90°となる。したがって、2つの移相
回路30Cの全体によって位相が180°シフトされ、
しかも2つの移相回路30Cの後段に接続された位相反
転回路80によって位相が反転されるため、全体とし
て、位相が一巡して位相シフト量が360°となる信号
が位相反転回路80から出力される。
【0076】また、図17に示した同調増幅部2Aと同
様に、上述した同調増幅部2Bでは、各移相回路で利得
を稼ぐ代わりに、上述した位相反転回路80の利得を1
より大きな値に設定しており、帰還ループで生じる損失
を補うことが容易となる。
様に、上述した同調増幅部2Bでは、各移相回路で利得
を稼ぐ代わりに、上述した位相反転回路80の利得を1
より大きな値に設定しており、帰還ループで生じる損失
を補うことが容易となる。
【0077】また、図17、18に示した同調増幅部2
A、2Bは、いずれも2つの移相回路をCR回路を含ん
で構成したが、LR回路を含んで構成するようにしても
よい。具体的には、図17に示した同調増幅部2Aにお
いて、前段および後段の移相回路10Cの少なくとも一
方を図11に示した移相回路10Lに置き換えてもよ
い。同様に、図17に示した同調増幅部2Aにおいて、
前段および後段の移相回路30Cの少なくとも一方を図
13に示した移相回路30Lに置き換えてもよい。
A、2Bは、いずれも2つの移相回路をCR回路を含ん
で構成したが、LR回路を含んで構成するようにしても
よい。具体的には、図17に示した同調増幅部2Aにお
いて、前段および後段の移相回路10Cの少なくとも一
方を図11に示した移相回路10Lに置き換えてもよ
い。同様に、図17に示した同調増幅部2Aにおいて、
前段および後段の移相回路30Cの少なくとも一方を図
13に示した移相回路30Lに置き換えてもよい。
【0078】図19および図20は、各同調増幅部内部
の2つの移相回路と位相反転回路の接続状態を示す図で
ある。なお、これらの図において、帰還インピーダンス
素子70aおよび入力インピーダンス素子74aは、各
同調増幅部の出力信号と入力信号とを所定の割合で合成
するためのものであり、最も一般的には図2等に示すよ
うに、帰還インピーダンス素子70aとして帰還抵抗7
0を、入力インピーダンス素子74aとして入力抵抗7
4を使用する。但し、帰還インピーダンス素子70aお
よび入力インピーダンス素子74aは、それぞれの素子
に入力された信号の位相関係を変えることなく合成でき
ればよいことから、帰還インピーダンス素子70aおよ
び入力インピーダンス素子74aをともにキャパシタに
より形成したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてイ
ンピーダンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうる
ようにしてもよい。
の2つの移相回路と位相反転回路の接続状態を示す図で
ある。なお、これらの図において、帰還インピーダンス
素子70aおよび入力インピーダンス素子74aは、各
同調増幅部の出力信号と入力信号とを所定の割合で合成
するためのものであり、最も一般的には図2等に示すよ
うに、帰還インピーダンス素子70aとして帰還抵抗7
0を、入力インピーダンス素子74aとして入力抵抗7
4を使用する。但し、帰還インピーダンス素子70aお
よび入力インピーダンス素子74aは、それぞれの素子
に入力された信号の位相関係を変えることなく合成でき
ればよいことから、帰還インピーダンス素子70aおよ
び入力インピーダンス素子74aをともにキャパシタに
より形成したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてイ
ンピーダンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうる
ようにしてもよい。
【0079】図19(A)は、移相回路10Cあるいは
10L、移相回路10Cあるいは10L、位相反転回路
80の順に縦続接続した構成を示し、図19(B)は、
移相回路30Cあるいは30L、移相回路30Cあるい
は30L、位相反転回路80の順に縦続接続した構成を
示しており、それぞれ図17、18に示した構成に対応
している。このように、後段に位相反転回路80を配置
した場合には、この位相反転回路80に出力バッファの
機能を持たせることにより、大きな出力電流を取り出す
こともできる。
10L、移相回路10Cあるいは10L、位相反転回路
80の順に縦続接続した構成を示し、図19(B)は、
移相回路30Cあるいは30L、移相回路30Cあるい
は30L、位相反転回路80の順に縦続接続した構成を
示しており、それぞれ図17、18に示した構成に対応
している。このように、後段に位相反転回路80を配置
した場合には、この位相反転回路80に出力バッファの
機能を持たせることにより、大きな出力電流を取り出す
こともできる。
【0080】図19(C)は、移相回路10Cあるいは
10L、位相反転回路80、移相回路10Cあるいは1
0Lの順に縦続接続した構成を示し、図19(D)は、
移相回路30Cあるいは30L、位相反転回路80、移
相回路30Cあるいは30Lの順に縦続接続した構成を
示している。このように、中間に位相反転回路80を配
置した場合には、前段の移相回路と後段の移相回路との
相互干渉を完全に防止することができる。
10L、位相反転回路80、移相回路10Cあるいは1
0Lの順に縦続接続した構成を示し、図19(D)は、
移相回路30Cあるいは30L、位相反転回路80、移
相回路30Cあるいは30Lの順に縦続接続した構成を
示している。このように、中間に位相反転回路80を配
置した場合には、前段の移相回路と後段の移相回路との
相互干渉を完全に防止することができる。
【0081】図20(A)は、位相反転回路80、移相
回路10Cあるいは10L、移相回路10Cあるいは1
0Lの順に縦続接続した構成を示し、図20(B)は、
位相反転回路80、移相回路30Cあるいは30L、移
相回路30Cあるいは30Lの順に縦続接続した構成を
示している。このように、前段に位相反転回路80を配
置した場合には、前段の移相回路に対する帰還インピー
ダンス素子70aおよび入力インピーダンス素子74a
の影響を最小限に抑えることができる。
回路10Cあるいは10L、移相回路10Cあるいは1
0Lの順に縦続接続した構成を示し、図20(B)は、
位相反転回路80、移相回路30Cあるいは30L、移
相回路30Cあるいは30Lの順に縦続接続した構成を
示している。このように、前段に位相反転回路80を配
置した場合には、前段の移相回路に対する帰還インピー
ダンス素子70aおよび入力インピーダンス素子74a
の影響を最小限に抑えることができる。
【0082】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施
が可能である。
ものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施
が可能である。
【0083】例えば、上述した同調回路を構成する各種
の同調増幅部に含まれる可変抵抗16、36等は、半導
体基板上に集積化するには接合型あるいはMOS型のF
ETのチャネルを抵抗体として用いて実現することがで
きる。このようにFETによって可変抵抗を形成した場
合には、ゲート電圧を可変することによりソース・ドレ
イン間の抵抗を変化させることができる。
の同調増幅部に含まれる可変抵抗16、36等は、半導
体基板上に集積化するには接合型あるいはMOS型のF
ETのチャネルを抵抗体として用いて実現することがで
きる。このようにFETによって可変抵抗を形成した場
合には、ゲート電圧を可変することによりソース・ドレ
イン間の抵抗を変化させることができる。
【0084】また、上述した可変抵抗16、36等をp
チャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続し
て構成してもよい。このように、2つのFETを組み合
わせて可変抵抗を構成することにより、FETの非線形
領域の改善を行うことができるため、同調出力の歪みを
少なくすることができる。
チャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続し
て構成してもよい。このように、2つのFETを組み合
わせて可変抵抗を構成することにより、FETの非線形
領域の改善を行うことができるため、同調出力の歪みを
少なくすることができる。
【0085】また、上述した各種の同調増幅部において
は、2つの移相回路に可変抵抗を含ませておいたが、ど
ちらか一方の移相回路のみに可変抵抗を含ませておいて
同調周波数を変化させるようにしてもよい。2つの移相
回路に可変抵抗を含ませておいた場合には、これらの抵
抗値を同時に可変することにより同調周波数の可変範囲
を大きく設定できる利点があり、一方の移相回路のみに
可変抵抗を含ませておいた場合には、同調周波数の可変
制御が簡易化するという利点がある。
は、2つの移相回路に可変抵抗を含ませておいたが、ど
ちらか一方の移相回路のみに可変抵抗を含ませておいて
同調周波数を変化させるようにしてもよい。2つの移相
回路に可変抵抗を含ませておいた場合には、これらの抵
抗値を同時に可変することにより同調周波数の可変範囲
を大きく設定できる利点があり、一方の移相回路のみに
可変抵抗を含ませておいた場合には、同調周波数の可変
制御が簡易化するという利点がある。
【0086】また、CR回路を有する移相回路において
は、各移相回路内のCR回路を構成する抵抗の抵抗値を
変化させるのではなく、キャパシタの静電容量を変える
ことによりCR回路の時定数を変化させ、これにより移
相回路の位相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周
波数を変化させるようにしてもよい。
は、各移相回路内のCR回路を構成する抵抗の抵抗値を
変化させるのではなく、キャパシタの静電容量を変える
ことによりCR回路の時定数を変化させ、これにより移
相回路の位相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周
波数を変化させるようにしてもよい。
【0087】具体的には、CR回路を構成するキャパシ
タ(例えば図3に示したキャパシタ14)を可変容量ダ
イオードと直流電流阻止用のキャパシタに置き換える。
可変容量ダイオードは、印加する逆バイアス電圧を変え
ることによりアノード・カソード間の静電容量が変化す
るものである。このような可変容量ダイオードと抵抗と
を直列接続してCR回路を構成することにより、印加す
る逆バイアス電圧を変えてこのCR回路の時定数を変え
ることができ、移相回路による位相シフト量を変化させ
ることができる。また、この可変容量ダイオードの代わ
りに、ゲートに印加する制御電圧に応じてそのゲート容
量がある範囲で変更可能なFETを可変容量素子として
用いるようにしてもよい。
タ(例えば図3に示したキャパシタ14)を可変容量ダ
イオードと直流電流阻止用のキャパシタに置き換える。
可変容量ダイオードは、印加する逆バイアス電圧を変え
ることによりアノード・カソード間の静電容量が変化す
るものである。このような可変容量ダイオードと抵抗と
を直列接続してCR回路を構成することにより、印加す
る逆バイアス電圧を変えてこのCR回路の時定数を変え
ることができ、移相回路による位相シフト量を変化させ
ることができる。また、この可変容量ダイオードの代わ
りに、ゲートに印加する制御電圧に応じてそのゲート容
量がある範囲で変更可能なFETを可変容量素子として
用いるようにしてもよい。
【0088】同様に、LR回路を有する移相回路におい
ては、各移相回路内のLR回路を構成する抵抗の抵抗値
を変化させるのではなく、インダクタを可変インダクタ
に置き換えて、このインダクタンスを変えることにより
LR回路の時定数を変化させ、これにより移相回路の位
相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周波数を変化
させるようにしてもよい。
ては、各移相回路内のLR回路を構成する抵抗の抵抗値
を変化させるのではなく、インダクタを可変インダクタ
に置き換えて、このインダクタンスを変えることにより
LR回路の時定数を変化させ、これにより移相回路の位
相シフト量、すなわち各同調増幅部の同調周波数を変化
させるようにしてもよい。
【0089】図21は、可変インダクタの具体例を示す
図であり、半導体基板上に形成された平面構造の概略が
示されている。
図であり、半導体基板上に形成された平面構造の概略が
示されている。
【0090】同図に示す可変インダクタ17aは、半導
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412と、その外周を周回するように形成された制御
用導体414と、これらインダクタ導体412および制
御用導体414の両方を覆うように形成された絶縁性磁
性体418とを含んで構成されている。
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412と、その外周を周回するように形成された制御
用導体414と、これらインダクタ導体412および制
御用導体414の両方を覆うように形成された絶縁性磁
性体418とを含んで構成されている。
【0091】上述した制御用導体414は、制御用導体
414の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可
変電圧電源416が接続され、この可変電圧電源416
によって印加する直流バイアス電圧を可変に制御するこ
とにより、制御用導体414に流れるバイアス電流を変
化させることができる。
414の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可
変電圧電源416が接続され、この可変電圧電源416
によって印加する直流バイアス電圧を可変に制御するこ
とにより、制御用導体414に流れるバイアス電流を変
化させることができる。
【0092】また、半導体基板410は、例えばn型シ
リコン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例
えばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体412は、ア
ルミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の
半導体材料が渦巻き形状に形成されている。なお、この
半導体基板410には、可変インダクタ17aの他に図
2等に示した各同調増幅部の他の構成部品が形成されて
いる。
リコン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例
えばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体412は、ア
ルミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の
半導体材料が渦巻き形状に形成されている。なお、この
半導体基板410には、可変インダクタ17aの他に図
2等に示した各同調増幅部の他の構成部品が形成されて
いる。
【0093】図22は、図21に示した可変インダクタ
17aのインダクタ導体412および制御用導体414
の形状をさらに詳細に示す図である。
17aのインダクタ導体412および制御用導体414
の形状をさらに詳細に示す図である。
【0094】同図に示すように、内周側に位置するイン
ダクタ導体412は、所定ターン数(例えば約4ター
ン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つ
の端子電極422、424が接続されている。同様に、
外周側に位置する制御用導体414は、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極426、428が接続され
ている。
ダクタ導体412は、所定ターン数(例えば約4ター
ン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つ
の端子電極422、424が接続されている。同様に、
外周側に位置する制御用導体414は、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極426、428が接続され
ている。
【0095】図23は、図22のA−A線拡大断面図で
あり、インダクタ導体412と制御用導体414を含む
絶縁性磁性体418の横断面が示されている。
あり、インダクタ導体412と制御用導体414を含む
絶縁性磁性体418の横断面が示されている。
【0096】同図に示すように、半導体基板410表面
に絶縁性の磁性体膜418aを介してインダクタ導体4
12および制御用導体414が形成されており、さらに
その表面に絶縁性の磁性体膜418bが被覆形成されて
いる。これら2つの磁性体膜418a、418bによっ
て図21に示した絶縁性磁性体418が形成されてい
る。
に絶縁性の磁性体膜418aを介してインダクタ導体4
12および制御用導体414が形成されており、さらに
その表面に絶縁性の磁性体膜418bが被覆形成されて
いる。これら2つの磁性体膜418a、418bによっ
て図21に示した絶縁性磁性体418が形成されてい
る。
【0097】例えば、磁性体膜418a、418bとし
ては、ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の
各種磁性体膜を用いることができる。また、これらの磁
性体膜の材質や形成方法については各種のものが考えら
れ、例えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する
方法や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化
学気相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性
体膜を形成する方法等がある。
ては、ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の
各種磁性体膜を用いることができる。また、これらの磁
性体膜の材質や形成方法については各種のものが考えら
れ、例えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する
方法や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化
学気相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性
体膜を形成する方法等がある。
【0098】なお、絶縁膜430は、非磁性体材料によ
って形成されており、インダクタ導体412および制御
用導体414の各周回部分の間を覆っている。このよう
にして各周回部分間の磁性体膜418a、418bを排
除することにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最
小限に抑えることができるため、インダクタ導体412
が発生する磁束を有効に利用して大きなインダクタンス
を有する可変インダクタ17aを実現することができ
る。
って形成されており、インダクタ導体412および制御
用導体414の各周回部分の間を覆っている。このよう
にして各周回部分間の磁性体膜418a、418bを排
除することにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最
小限に抑えることができるため、インダクタ導体412
が発生する磁束を有効に利用して大きなインダクタンス
を有する可変インダクタ17aを実現することができ
る。
【0099】このように、図21等に示した可変インダ
クタ17aは、インダクタ導体412と制御用導体41
4とを覆うように絶縁性磁性体418(磁性体膜418
a、418b)が形成されており、制御用導体414に
流す直流バイアス電流を可変に制御することにより、上
述した絶縁性磁性体418を磁路とするインダクタ導体
412の飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体412
が有するインダクタンスが変化する。
クタ17aは、インダクタ導体412と制御用導体41
4とを覆うように絶縁性磁性体418(磁性体膜418
a、418b)が形成されており、制御用導体414に
流す直流バイアス電流を可変に制御することにより、上
述した絶縁性磁性体418を磁路とするインダクタ導体
412の飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体412
が有するインダクタンスが変化する。
【0100】したがって、インダクタ導体412のイン
ダクタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板410上に薄膜形成技術や半導体製造技
術を用いて形成することができるため製造が容易とな
る。さらに、半導体基板410上には同調増幅部2等の
他の構成部品を形成することも可能であり、同調回路1
の全体を集積化によって一体形成する場合に適してい
る。
ダクタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板410上に薄膜形成技術や半導体製造技
術を用いて形成することができるため製造が容易とな
る。さらに、半導体基板410上には同調増幅部2等の
他の構成部品を形成することも可能であり、同調回路1
の全体を集積化によって一体形成する場合に適してい
る。
【0101】なお、図21等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
交互に周回させたり、インダクタ導体412と制御用導
体414とを重ねて形成するようにしてもよい。いずれ
の場合であっても、制御用導体414に流す直流バイア
ス電流を変化させることにより絶縁性磁性体418の飽
和磁化特性を変えることができ、インダクタ導体412
が有するインダクタンスをある範囲で変化させることが
できる。
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
交互に周回させたり、インダクタ導体412と制御用導
体414とを重ねて形成するようにしてもよい。いずれ
の場合であっても、制御用導体414に流す直流バイア
ス電流を変化させることにより絶縁性磁性体418の飽
和磁化特性を変えることができ、インダクタ導体412
が有するインダクタンスをある範囲で変化させることが
できる。
【0102】また、図21等に示した可変インダクタ1
7aは、半導体基板410上にインダクタ導体412等
を形成する場合を例にとり説明したが、セラミックス等
の絶縁性あるいは導電性の各種基板上に形成するように
してもよい。
7aは、半導体基板410上にインダクタ導体412等
を形成する場合を例にとり説明したが、セラミックス等
の絶縁性あるいは導電性の各種基板上に形成するように
してもよい。
【0103】また、磁性体膜418a、418bとして
絶縁性材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電
性材料を用いるようにしてもよい。但し、このような導
電性の磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜418a等
に置き換えて使用すると、インダクタ導体412等の各
周回部分が短絡されてインダクタ導体として機能しなく
なるため、各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間
を電気的に絶縁する必要がある。この絶縁方法として
は、インダクタ導体412等を酸化して絶縁酸化膜を形
成する方法や、化学気相法等によりシリコン酸化膜ある
いは窒化膜を形成する方法等がある。
絶縁性材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電
性材料を用いるようにしてもよい。但し、このような導
電性の磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜418a等
に置き換えて使用すると、インダクタ導体412等の各
周回部分が短絡されてインダクタ導体として機能しなく
なるため、各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間
を電気的に絶縁する必要がある。この絶縁方法として
は、インダクタ導体412等を酸化して絶縁酸化膜を形
成する方法や、化学気相法等によりシリコン酸化膜ある
いは窒化膜を形成する方法等がある。
【0104】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0105】また、図21等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414の両
方の全体を絶縁性磁性体418で覆うようにしたが、一
部のみを覆って磁路を形成するようにしてもよい。この
ように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性
体でもよい)を部分的に形成した場合には、磁路が狭ま
ることによりインダクタ導体412および制御用導体4
14によって生じる磁束が飽和しやすくなる。したがっ
て、制御用導体414に少ないバイアス電流を流した場
合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス電流を可変
に制御することによりインダクタ導体412のインダク
タンスを変えることができる。このため、制御系の構造
を簡略化することができる。
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414の両
方の全体を絶縁性磁性体418で覆うようにしたが、一
部のみを覆って磁路を形成するようにしてもよい。この
ように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性
体でもよい)を部分的に形成した場合には、磁路が狭ま
ることによりインダクタ導体412および制御用導体4
14によって生じる磁束が飽和しやすくなる。したがっ
て、制御用導体414に少ないバイアス電流を流した場
合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス電流を可変
に制御することによりインダクタ導体412のインダク
タンスを変えることができる。このため、制御系の構造
を簡略化することができる。
【0106】また、図21等に示した可変インダクタ1
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
同心状に巻回して形成したが、これら各導体を半導体基
板410表面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶
縁性あるいは導電性の磁性体によって形成した磁路によ
って磁気結合させてもよい。
7aは、インダクタ導体412と制御用導体414とを
同心状に巻回して形成したが、これら各導体を半導体基
板410表面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶
縁性あるいは導電性の磁性体によって形成した磁路によ
って磁気結合させてもよい。
【0107】図24は、インダクタ導体と制御用導体と
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
【0108】同図に示す可変インダクタ17bは、半導
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412aと、このインダクタ導体412aと隣接した
位置に形成された渦巻き形状の制御用導体414aと、
インダクタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻
き中心を覆うように形成された絶縁性磁性体(あるいは
導電性磁性体)419とを含んで構成されている。
体基板410上に形成された渦巻き形状のインダクタ導
体412aと、このインダクタ導体412aと隣接した
位置に形成された渦巻き形状の制御用導体414aと、
インダクタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻
き中心を覆うように形成された絶縁性磁性体(あるいは
導電性磁性体)419とを含んで構成されている。
【0109】図22等に示した可変インダクタ17aと
同様に、制御用導体414aにはその両端に可変のバイ
アス電圧を印加するために可変電圧電源416が接続さ
れており、この可変電圧電源416によって印加するバ
イアス電圧を可変に制御することにより、制御用導体4
14aに流れる所定のバイアス電流を変化させることが
できる。
同様に、制御用導体414aにはその両端に可変のバイ
アス電圧を印加するために可変電圧電源416が接続さ
れており、この可変電圧電源416によって印加するバ
イアス電圧を可変に制御することにより、制御用導体4
14aに流れる所定のバイアス電流を変化させることが
できる。
【0110】上述した可変インダクタ17bは、インダ
クタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻き中心
を通るように環状の絶縁性磁性体419(磁性体膜41
9a、419b)が形成されている。したがって、制御
用導体414aに流す直流バイアス電流を可変に制御す
ることにより、上述した磁性体419を磁路とするイン
ダクタ導体412aの飽和磁化特性が変化し、インダク
タ導体412aが有するインダクタンスも変化する。
クタ導体412aと制御用導体414aの各渦巻き中心
を通るように環状の絶縁性磁性体419(磁性体膜41
9a、419b)が形成されている。したがって、制御
用導体414aに流す直流バイアス電流を可変に制御す
ることにより、上述した磁性体419を磁路とするイン
ダクタ導体412aの飽和磁化特性が変化し、インダク
タ導体412aが有するインダクタンスも変化する。
【0111】また、上述した各種の同調増幅部を半導体
基板上に形成した場合には、キャパシタ14等としてあ
まり大きな静電容量を設定することができない。したが
って、半導体基板上に実際に形成したキャパシタの小さ
な静電容量を回路を工夫することにより、見かけ上大き
くすることができれば時定数Tを大きな値に設定して同
調周波数の低周波数化を図る際に都合がよい。
基板上に形成した場合には、キャパシタ14等としてあ
まり大きな静電容量を設定することができない。したが
って、半導体基板上に実際に形成したキャパシタの小さ
な静電容量を回路を工夫することにより、見かけ上大き
くすることができれば時定数Tを大きな値に設定して同
調周波数の低周波数化を図る際に都合がよい。
【0112】図25は、図3に示した移相回路10C等
に用いたキャパシタ14等を素子単体ではなく回路によ
って構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板
上に形成されるキャパシタの静電容量を見かけ上大きく
みせる静電容量変換回路の構成が示されている。なお、
図25に示した静電容量変換回路の全体が移相回路10
C等に含まれるキャパシタ14等に対応している。
に用いたキャパシタ14等を素子単体ではなく回路によ
って構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板
上に形成されるキャパシタの静電容量を見かけ上大きく
みせる静電容量変換回路の構成が示されている。なお、
図25に示した静電容量変換回路の全体が移相回路10
C等に含まれるキャパシタ14等に対応している。
【0113】図25に示す静電容量変換回路14aは、
所定の静電容量C0 を有するキャパシタ510と、2つ
のオペアンプ512、514と、4つの抵抗516、5
18、520、522とを含んで構成されている。
所定の静電容量C0 を有するキャパシタ510と、2つ
のオペアンプ512、514と、4つの抵抗516、5
18、520、522とを含んで構成されている。
【0114】1段目のオペアンプ512は、出力端子と
反転入力端子との間に抵抗518(この抵抗値をR18と
する)が接続されており、さらにこの反転入力端子が抵
抗516(この抵抗値をR16とする)を介して接地され
ている。
反転入力端子との間に抵抗518(この抵抗値をR18と
する)が接続されており、さらにこの反転入力端子が抵
抗516(この抵抗値をR16とする)を介して接地され
ている。
【0115】1段目のオペアンプ512の非反転入力端
子に印加される電圧E1 と出力端子に現れる電圧E2 と
の間には、 E2 =(1+R18/R16)E1 ・・・(8) の関係がある。この1段目のオペアンプ512は、主に
インピーダンス変換を行うバッファとして機能するもの
であり、利得は1であってもよい。利得1の場合とはR
18/R16=0のとき、すなわちR16を無限大(抵抗51
6を除去すればよい)、あるいはR18を0Ω(直結すれ
ばよい)に設定する。
子に印加される電圧E1 と出力端子に現れる電圧E2 と
の間には、 E2 =(1+R18/R16)E1 ・・・(8) の関係がある。この1段目のオペアンプ512は、主に
インピーダンス変換を行うバッファとして機能するもの
であり、利得は1であってもよい。利得1の場合とはR
18/R16=0のとき、すなわちR16を無限大(抵抗51
6を除去すればよい)、あるいはR18を0Ω(直結すれ
ばよい)に設定する。
【0116】また、2段目のオペアンプ514は、出力
端子と反転入力端子との間に抵抗522(この抵抗値を
R22とする)が接続されているとともに反転入力端子と
上述したオペアンプ512の出力端子との間に抵抗52
0(この抵抗値をR20とする)が接続されており、さら
に非反転入力端子が接地されている。
端子と反転入力端子との間に抵抗522(この抵抗値を
R22とする)が接続されているとともに反転入力端子と
上述したオペアンプ512の出力端子との間に抵抗52
0(この抵抗値をR20とする)が接続されており、さら
に非反転入力端子が接地されている。
【0117】2段目のオペアンプ514の出力端子に現
れる電圧をE3 とすると、この電圧E3 と1段目のオペ
アンプ512の出力端子に現れる電圧E2 との間には、 E3 =−(R22/R20)E2 ・・・(9) の関係がある。このように2段目のオペアンプ514は
反転増幅器として機能するものであり、その入力側を高
インピーダンスに設定するために1段目のオペアンプ5
12が使用されている。
れる電圧をE3 とすると、この電圧E3 と1段目のオペ
アンプ512の出力端子に現れる電圧E2 との間には、 E3 =−(R22/R20)E2 ・・・(9) の関係がある。このように2段目のオペアンプ514は
反転増幅器として機能するものであり、その入力側を高
インピーダンスに設定するために1段目のオペアンプ5
12が使用されている。
【0118】また、このような接続がなされた1段目の
オペアンプ512の非反転入力端子と2段目のオペアン
プ514の出力端子との間には、上述したように所定の
静電容量を有するキャパシタ510が接続されている。
オペアンプ512の非反転入力端子と2段目のオペアン
プ514の出力端子との間には、上述したように所定の
静電容量を有するキャパシタ510が接続されている。
【0119】図25に示した静電容量変換回路14aに
おいて、キャパシタ510を除く回路全体の伝達関数を
K4 とすると、静電容量変換回路14aは図26に示す
システム図で表すことができる。図27は、これをミラ
ーの定理によって変換したシステム図である。
おいて、キャパシタ510を除く回路全体の伝達関数を
K4 とすると、静電容量変換回路14aは図26に示す
システム図で表すことができる。図27は、これをミラ
ーの定理によって変換したシステム図である。
【0120】図26に示したインピーダンスZ0 を用い
て図27に示したインピーダンスZ1 を表すと、 Z1 =Z0 /(1−K4 ) ・・・(10) となる。ここで、図25に示した静電容量変換回路14
aの場合には、インピーダンスZ0 =1/(jωC0 )
であり、これを(10)式に代入して、 Z1 =(1/(jωC0 ))/(1−K4 ) =1/(jω((1−K4 )C0 )) ・・・(11) C=(1−K4 )C0 ・・・(12) となる。この(12)式は、静電容量変換回路14aに
おいてキャパシタ510が有する静電容量C0 が見掛け
上は(1−K4)倍になったことを示している。したがっ
て、増幅器の利得K4 が負の場合には(1−K4)は常に
1より大きくなるため、静電容量C0 を大きいほうに変
化させることができる。
て図27に示したインピーダンスZ1 を表すと、 Z1 =Z0 /(1−K4 ) ・・・(10) となる。ここで、図25に示した静電容量変換回路14
aの場合には、インピーダンスZ0 =1/(jωC0 )
であり、これを(10)式に代入して、 Z1 =(1/(jωC0 ))/(1−K4 ) =1/(jω((1−K4 )C0 )) ・・・(11) C=(1−K4 )C0 ・・・(12) となる。この(12)式は、静電容量変換回路14aに
おいてキャパシタ510が有する静電容量C0 が見掛け
上は(1−K4)倍になったことを示している。したがっ
て、増幅器の利得K4 が負の場合には(1−K4)は常に
1より大きくなるため、静電容量C0 を大きいほうに変
化させることができる。
【0121】ところで、図25に示した静電容量変換回
路14aにおける増幅器の利得、すなわちオペアンプ5
12と514の全体により構成される増幅器の利得K4
は、(8)式および(9)式から、 K4 =−(1+R18/R16)R22/R20 ・・・(13) となる。この(13)式を(12)式に代入すると、 C=(1+(1+R18/R16)R22/R20)C0 ・・・(14) となる。したがって、4つの抵抗516、518、52
0、522の抵抗値を所定の値に設定することにより、
2つの端子524、526間の見掛け上の静電容量Cを
大きくすることができる。
路14aにおける増幅器の利得、すなわちオペアンプ5
12と514の全体により構成される増幅器の利得K4
は、(8)式および(9)式から、 K4 =−(1+R18/R16)R22/R20 ・・・(13) となる。この(13)式を(12)式に代入すると、 C=(1+(1+R18/R16)R22/R20)C0 ・・・(14) となる。したがって、4つの抵抗516、518、52
0、522の抵抗値を所定の値に設定することにより、
2つの端子524、526間の見掛け上の静電容量Cを
大きくすることができる。
【0122】また、1段目のオペアンプ512による増
幅器の利得が1の場合、すなわち上述したようにR16を
無限大(抵抗516を除去)、あるいはR18を0Ωに設
定したときであってR18/R16=0の場合には、上述し
た(14)式は簡略化されて、 C=(1+R22/R20)C0 ・・・(15) となる。
幅器の利得が1の場合、すなわち上述したようにR16を
無限大(抵抗516を除去)、あるいはR18を0Ωに設
定したときであってR18/R16=0の場合には、上述し
た(14)式は簡略化されて、 C=(1+R22/R20)C0 ・・・(15) となる。
【0123】このように、上述した静電容量変換回路1
4aは、抵抗520と抵抗522との抵抗比R22/R20
あるいは抵抗516と抵抗518との抵抗比R18/R16
を変えることにより、実際に半導体基板上に形成するキ
ャパシタ510の静電容量C0 を見掛け上大きい方に変
換することができる。そのため、半導体基板上に図2等
に示した各種の同調増幅部の全体を形成するような場合
には、半導体基板上に小さな静電容量C0 を有するキャ
パシタ510を形成しておいて、図25に示した回路に
よって大きな静電容量Cに変換することができ、集積化
に際して好都合となる。特に、このようにして大きな静
電容量を確保することができれば、各同調増幅部の実装
面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能となる。
4aは、抵抗520と抵抗522との抵抗比R22/R20
あるいは抵抗516と抵抗518との抵抗比R18/R16
を変えることにより、実際に半導体基板上に形成するキ
ャパシタ510の静電容量C0 を見掛け上大きい方に変
換することができる。そのため、半導体基板上に図2等
に示した各種の同調増幅部の全体を形成するような場合
には、半導体基板上に小さな静電容量C0 を有するキャ
パシタ510を形成しておいて、図25に示した回路に
よって大きな静電容量Cに変換することができ、集積化
に際して好都合となる。特に、このようにして大きな静
電容量を確保することができれば、各同調増幅部の実装
面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能となる。
【0124】また、抵抗516、518、520、52
2の中の少なくとも1つを可変抵抗により形成すること
により、具体的には接合型やMOS型のFETあるいは
pチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接続し
て可変抵抗を形成することにより、容易に静電容量が可
変のキャパシタを形成することができる。したがって、
このキャパシタを可変容量ダイオードの代わりに使用す
ることにより、位相シフト量をある範囲で任意に変化さ
せることができる。このため、各同調増幅部において一
巡する信号の位相シフト量が0°となる周波数を変える
ことができ、同調周波数を任意に変更することができ
る。
2の中の少なくとも1つを可変抵抗により形成すること
により、具体的には接合型やMOS型のFETあるいは
pチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接続し
て可変抵抗を形成することにより、容易に静電容量が可
変のキャパシタを形成することができる。したがって、
このキャパシタを可変容量ダイオードの代わりに使用す
ることにより、位相シフト量をある範囲で任意に変化さ
せることができる。このため、各同調増幅部において一
巡する信号の位相シフト量が0°となる周波数を変える
ことができ、同調周波数を任意に変更することができ
る。
【0125】なお、上述したように第1段目のオペアン
プ512は入力インピーダンスを高くするためのバッフ
ァとして用いているため、このオペアンプ512をエミ
ッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換える
ようにしてもよい。
プ512は入力インピーダンスを高くするためのバッフ
ァとして用いているため、このオペアンプ512をエミ
ッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換える
ようにしてもよい。
【0126】ところで、上述した図25では、所定の利
得を有する増幅器とキャパシタとを組み合わせることに
より、見かけ上の静電容量を実際にキャパシタ素子が有
する静電容量より大きくする場合を説明したが、キャパ
シタの代わりにインダクタを用い、このインダクタが有
するインダクタンスを見かけ上大きくすることもでき
る。
得を有する増幅器とキャパシタとを組み合わせることに
より、見かけ上の静電容量を実際にキャパシタ素子が有
する静電容量より大きくする場合を説明したが、キャパ
シタの代わりにインダクタを用い、このインダクタが有
するインダクタンスを見かけ上大きくすることもでき
る。
【0127】すなわち、上述したように図26に示した
インピーダンスZ0 を用いて図27に示したインピーダ
ンスZ1 を表すと(10)式のようになる。ここで、イ
ンダクタンスL0 を有するインダクタの場合には、イン
ピーダンスZ0 =jωL0 であり、これを(10)式に
代入して、 Z1 =jωL0 /(1−K4 ) =jωL(L0 /(1−K4 )) ・・・(16) L=L0 /(1−K4 ) ・・・(17) となる。この(17)式は、実際にインダクタ素子が有
するインダクタンスが見かけ上1/(1−K4 )倍にな
ったことを示しており、利得K4 が0から1の間に設定
されているときには、見かけ上のインダクタンスが大き
くなることがわかる。
インピーダンスZ0 を用いて図27に示したインピーダ
ンスZ1 を表すと(10)式のようになる。ここで、イ
ンダクタンスL0 を有するインダクタの場合には、イン
ピーダンスZ0 =jωL0 であり、これを(10)式に
代入して、 Z1 =jωL0 /(1−K4 ) =jωL(L0 /(1−K4 )) ・・・(16) L=L0 /(1−K4 ) ・・・(17) となる。この(17)式は、実際にインダクタ素子が有
するインダクタンスが見かけ上1/(1−K4 )倍にな
ったことを示しており、利得K4 が0から1の間に設定
されているときには、見かけ上のインダクタンスが大き
くなることがわかる。
【0128】図28は、図11に示した移相回路10L
内のインダクタ17等を素子単体ではなく回路によって
構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板上に
形成されるインダクタ素子(インダクタ導体)のインダ
クタンスを見かけ上大きくみせるインダクタンス変換回
路の構成が示されている。
内のインダクタ17等を素子単体ではなく回路によって
構成した変形例を示す図であり、実際に半導体基板上に
形成されるインダクタ素子(インダクタ導体)のインダ
クタンスを見かけ上大きくみせるインダクタンス変換回
路の構成が示されている。
【0129】図28に示すインダクタンス変換回路17
cは、所定のインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60と、2つのオペアンプ562、564と、2つの抵
抗566、568とを含んで構成されている。
cは、所定のインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60と、2つのオペアンプ562、564と、2つの抵
抗566、568とを含んで構成されている。
【0130】1段目のオペアンプ562は、出力端子が
反転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ564も出力端子が
反転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器
として機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間
には抵抗566と568による分圧回路が挿入されてい
る。
反転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ564も出力端子が
反転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器
として機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間
には抵抗566と568による分圧回路が挿入されてい
る。
【0131】このように、間に分圧回路を挿入すること
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
【0132】図28に示したインダクタンス変換回路1
7cにおいて、インダクタ560を除く回路(増幅器)
全体の伝達関数をK4 とすると、この利得K4 は抵抗5
66と568によって構成される分圧回路の分圧比によ
って決まり、それぞれの抵抗値をR66、R68とすると、 K4 =R68/(R66+R68) ・・・(18) となる。この利得K4 を(17)式に代入して見かけ上
のインダクタンスLを計算すると、 L=L0 /(1−R68/(R66+R68)) =(1+R68/R66)L0 ・・・(19) となる。したがって、抵抗566と568の抵抗比R68
/R66を大きくすることにより、2つの端子554、5
56間の見かけ上のインダクタンスLを大きくすること
ができる。例えば、R68=R66の場合には、(19)式
からインダクタンスLをL0 の2倍にすることができ
る。
7cにおいて、インダクタ560を除く回路(増幅器)
全体の伝達関数をK4 とすると、この利得K4 は抵抗5
66と568によって構成される分圧回路の分圧比によ
って決まり、それぞれの抵抗値をR66、R68とすると、 K4 =R68/(R66+R68) ・・・(18) となる。この利得K4 を(17)式に代入して見かけ上
のインダクタンスLを計算すると、 L=L0 /(1−R68/(R66+R68)) =(1+R68/R66)L0 ・・・(19) となる。したがって、抵抗566と568の抵抗比R68
/R66を大きくすることにより、2つの端子554、5
56間の見かけ上のインダクタンスLを大きくすること
ができる。例えば、R68=R66の場合には、(19)式
からインダクタンスLをL0 の2倍にすることができ
る。
【0133】このように、上述したインダクタンス変換
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分
圧回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されて
いるインダクタ560のインダクタンスL0 を見かけ上
大きくすることができる。そのため、半導体基板上に各
同調増幅部の全体を形成するような場合には、半導体基
板上に小さなインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60を渦巻き形状の導体等によって形成しておいて、図
28に示したインダクタンス変換回路によって大きなイ
ンダクタンスLに変換することができ、集積化に際して
好都合となる。特に、このようにして大きなインダクタ
ンスを確保することができれば、同調増幅部の同調周波
数を比較的低い周波数領域まで下げることが容易とな
る。また、集積化を行うことにより、同調増幅部全体の
実装面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能とな
る。
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分
圧回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されて
いるインダクタ560のインダクタンスL0 を見かけ上
大きくすることができる。そのため、半導体基板上に各
同調増幅部の全体を形成するような場合には、半導体基
板上に小さなインダクタンスL0 を有するインダクタ5
60を渦巻き形状の導体等によって形成しておいて、図
28に示したインダクタンス変換回路によって大きなイ
ンダクタンスLに変換することができ、集積化に際して
好都合となる。特に、このようにして大きなインダクタ
ンスを確保することができれば、同調増幅部の同調周波
数を比較的低い周波数領域まで下げることが容易とな
る。また、集積化を行うことにより、同調増幅部全体の
実装面積を小型化して、材料コスト等の低減も可能とな
る。
【0134】なお、抵抗566、568による分圧回路
の分圧比を固定した場合の他、これら2つの抵抗56
6、568の少なくとも一方を可変抵抗により形成する
ことにより、具体的には接合型やMOS型のFETある
いはpチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接
続して可変抵抗を形成することにより、この分圧比を連
続的に変化させてもよい。この場合には、図28に示し
たオペアンプ562、564を含んで構成される増幅器
全体の利得が変わり、端子554、556間のインダク
タンスLも連続的に変化する。したがって、このインダ
クタンス変換回路17cを可変インダクタの代わりに使
用することにより、各移相回路における位相シフト量を
ある範囲で任意に変化させることができる。このため、
同調増幅部において一巡する信号の位相シフト量が0°
となる周波数を変えることができ、同調周波数を任意に
変更することができる。
の分圧比を固定した場合の他、これら2つの抵抗56
6、568の少なくとも一方を可変抵抗により形成する
ことにより、具体的には接合型やMOS型のFETある
いはpチャネルFETとnチャネルFETとを並列に接
続して可変抵抗を形成することにより、この分圧比を連
続的に変化させてもよい。この場合には、図28に示し
たオペアンプ562、564を含んで構成される増幅器
全体の利得が変わり、端子554、556間のインダク
タンスLも連続的に変化する。したがって、このインダ
クタンス変換回路17cを可変インダクタの代わりに使
用することにより、各移相回路における位相シフト量を
ある範囲で任意に変化させることができる。このため、
同調増幅部において一巡する信号の位相シフト量が0°
となる周波数を変えることができ、同調周波数を任意に
変更することができる。
【0135】また、図28に示したインダクタンス変換
回路17cは、2つのオペアンプ562、564を含む
増幅器全体の利得が1以下に設定されているため、全体
をエミッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き
換えるようにしてもよい。
回路17cは、2つのオペアンプ562、564を含む
増幅器全体の利得が1以下に設定されているため、全体
をエミッタホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き
換えるようにしてもよい。
【0136】また、上述した第1および第2の構成例で
示した同調増幅部2等では、オペアンプを用いた移相回
路10C等を用いることにより安定度の高い回路を実現
することができるが、上述した実施形態の移相回路10
C、30C等のような使い方をする場合にはオフセット
電圧や電圧利得はそれほど高性能なものが要求されない
ため所定の増幅度を有する差動増幅器を各移相回路内の
オペアンプの代わりに使用するようにしてもよい。
示した同調増幅部2等では、オペアンプを用いた移相回
路10C等を用いることにより安定度の高い回路を実現
することができるが、上述した実施形態の移相回路10
C、30C等のような使い方をする場合にはオフセット
電圧や電圧利得はそれほど高性能なものが要求されない
ため所定の増幅度を有する差動増幅器を各移相回路内の
オペアンプの代わりに使用するようにしてもよい。
【0137】図29は、オペアンプの構成の中で移相回
路の動作に必要な部分を抽出した回路図であり、全体が
所定の増幅度を有する差動増幅器として動作する。同図
に示す差動増幅器は、FETにより構成された差動入力
段100と、この差動入力段100に定電流を与える定
電流回路102と、定電流回路102に所定のバイアス
電圧を与えるバイアス回路104と、差動入力段100
に接続された出力アンプ106とによって構成されてい
る。同図に示すように、実際のオペアンプに含まれてい
る電圧利得を稼ぐための多段増幅回路を省略して、差動
増幅器の構成を簡略化し、広帯域化を図ることができ
る。このように、回路の簡略化を行うことにより、動作
周波数の上限を高くすることができるため、その分この
差動増幅器を用いて構成した同調増幅部の同調周波数の
上限を高くすることができる。
路の動作に必要な部分を抽出した回路図であり、全体が
所定の増幅度を有する差動増幅器として動作する。同図
に示す差動増幅器は、FETにより構成された差動入力
段100と、この差動入力段100に定電流を与える定
電流回路102と、定電流回路102に所定のバイアス
電圧を与えるバイアス回路104と、差動入力段100
に接続された出力アンプ106とによって構成されてい
る。同図に示すように、実際のオペアンプに含まれてい
る電圧利得を稼ぐための多段増幅回路を省略して、差動
増幅器の構成を簡略化し、広帯域化を図ることができ
る。このように、回路の簡略化を行うことにより、動作
周波数の上限を高くすることができるため、その分この
差動増幅器を用いて構成した同調増幅部の同調周波数の
上限を高くすることができる。
【0138】
【発明の効果】以上の実施形態に基づく説明から明らか
なように、同調周波数がほぼ等しいあるいは同調周波数
が所定量異なる複数の同調増幅部を接続して同調回路を
構成し、各同調増幅部を、位相反転回路あるいは非反転
回路と2つの移相回路とを含む構成としており、同調増
幅部を単独で用いる場合に比べて広い同調帯域幅を設定
できる。
なように、同調周波数がほぼ等しいあるいは同調周波数
が所定量異なる複数の同調増幅部を接続して同調回路を
構成し、各同調増幅部を、位相反転回路あるいは非反転
回路と2つの移相回路とを含む構成としており、同調増
幅部を単独で用いる場合に比べて広い同調帯域幅を設定
できる。
【0139】また、各同調増幅部内の2つの移相回路を
CR回路を含んで構成した場合には、同調回路全体を容
易に集積化することができる。同様に、2つの移相回路
をLR回路を含んで構成した場合には、集積化によって
小さなインダクタを形成することにより容易に同調周波
数の高周波化が可能となる。また、一方の移相回路をC
R回路を含んで、他方の移相回路をLR回路を含んで構
成した場合には、温度等による変動を防止して特性の安
定化が可能となる。
CR回路を含んで構成した場合には、同調回路全体を容
易に集積化することができる。同様に、2つの移相回路
をLR回路を含んで構成した場合には、集積化によって
小さなインダクタを形成することにより容易に同調周波
数の高周波化が可能となる。また、一方の移相回路をC
R回路を含んで、他方の移相回路をLR回路を含んで構
成した場合には、温度等による変動を防止して特性の安
定化が可能となる。
【図1】一実施形態の同調回路の構成を示す原理ブロッ
ク図である。
ク図である。
【図2】図1に示す同調増幅部2の第1の構成例を示す
回路図である。
回路図である。
【図3】図2に示す前段の移相回路の構成を抜き出して
示した図である。
示した図である。
【図4】図3に示す移相回路の入出力電圧とキャパシタ
等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図5】図2に示す後段の移相回路の構成を抜き出して
示した図である。
示した図である。
【図6】図5に示す移相回路の入出力電圧とキャパシタ
等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図7】図2に示す2つの移相回路および非反転回路の
全体を伝達関数K1 を有する回路に置き換えたシステム
図である。
全体を伝達関数K1 を有する回路に置き換えたシステム
図である。
【図8】図7に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図である。
換したシステム図である。
【図9】一実施形態の同調増幅部の同調特性を示す図で
ある。
ある。
【図10】一実施形態の同調回路の同調帯域幅を示す図
である。
である。
【図11】LR回路を含む移相回路の構成を示す回路図
である。
である。
【図12】図11に示す移相回路の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図13】LR回路を含む移相回路の他の構成を示す回
路図である。
路図である。
【図14】図13に示す移相回路の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図15】2つの移相回路と非反転回路の接続状態を示
す図である。
す図である。
【図16】図15に続く図である。
【図17】同調回路内部の前段の同調増幅部の第3の構
成例を示す回路図である。
成例を示す回路図である。
【図18】同調回路内部の前段の同調増幅部の第4の構
成例を示す回路図である。
成例を示す回路図である。
【図19】2つの移相回路と位相反転回路の接続状態を
示す図である。
示す図である。
【図20】図19に続く図である。
【図21】可変インダクタの具体例を示す図である。
【図22】図21に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図であ
る。
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図であ
る。
【図23】図22のA−A線拡大断面図である。
【図24】インダクタ導体と制御用導体とを隣接した位
置に並べて形成した場合の可変インダクタの概略を示す
平面図である。
置に並べて形成した場合の可変インダクタの概略を示す
平面図である。
【図25】図3に示した移相回路等に用いたキャパシタ
14等を素子単体ではなく回路によって構成した変形例
を示す図である。
14等を素子単体ではなく回路によって構成した変形例
を示す図である。
【図26】図25に示す回路全体を伝達関数K4 を有す
る回路に置き換えた図である。
る回路に置き換えた図である。
【図27】図26に示すシステムをミラーの定理によっ
て変換したシステム図である。
て変換したシステム図である。
【図28】図11に示した移相回路内のインダクタ等を
素子単体ではなく回路によって構成した変形例を示す図
である。
素子単体ではなく回路によって構成した変形例を示す図
である。
【図29】オペアンプの構成の中で移相回路の動作に必
要な部分を抽出した回路図である。
要な部分を抽出した回路図である。
1 同調回路
2、3 同調増幅部
10、30 移相回路
12、32 オペアンプ
14、34 キャパシタ
16、36 可変抵抗
17、37 インダクタ
50 非反転回路
80 位相反転回路
70 帰還抵抗
74 入力抵抗
90 入力端子
92 出力端子
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭61−281708(JP,A)
特開 平5−75384(JP,A)
特開 昭53−10947(JP,A)
特開 平3−150811(JP,A)
特公 昭60−1966(JP,B2)
実公 昭59−41629(JP,Y2)
実公 昭54−17328(JP,Y2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H03F 1/00 - 3/72
H03H 11/12
Claims (13)
- 【請求項1】 複数の同調増幅部が縦続接続された同調
回路であって、 前記同調増幅部のそれぞれは、 前記入力信号が一方端に入力される入力インピーダンス
素子と、帰還信号が一方端に入力される帰還インピーダ
ンス素子とを含んでおり、前記入力信号と前記帰還信号
とを加算する加算回路と、 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接続され前記第1
の抵抗を介して交流信号が入力される差動入力増幅器
と、前記差動入力増幅器の反転入力端子および出力端子
の間に接続された第2の抵抗と、キャパシタあるいはイ
ンダクタによるリアクタンス素子と第3の抵抗とで構成
され前記第1の抵抗の他方端に接続された直列回路とを
含み、前記第3の抵抗および前記リアクタンス素子の接
続部を前記差動入力増幅器の非反転入力端子に接続した
2つの移相回路と、 入力される交流信号の位相を変えずに出力する非反転回
路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記非反転回路を所
定の順序で縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
路の最終段の出力を前記帰還信号として前記帰還インピ
ーダンス素子の一方端に入力し、前記加算回路の出力を
前記縦続接続された複数の回路の初段に入力し、前記移
相回路のいずれかの出力あるいは前記非反転回路の出力
を前記同調増幅部のそれぞれから出力することを特徴と
する同調回路。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記同調増幅部のそれぞれは、前記2つの移相回路の全
体により位相シフト量の合計が360°となる周波数近
傍の信号のみを通過させることを特徴とする同調回路。 - 【請求項3】 請求項2において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の双方の前記直列
回路に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
まれている場合、あるいは双方の前記直列回路に前記リ
アクタンス素子として前記インダクタが含まれている場
合には、前記直列回路を構成する抵抗および前記リアク
タンス素子の接続の仕方を前記2つの移相回路において
反対にしたことを特徴とする同調回路。 - 【請求項4】 請求項2において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の一方の前記直列
回路に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
まれ、他方の前記直列回路に前記リアクタンス素子とし
て前記インダクタが含まれている場合には、前記直列回
路を構成する抵抗および前記リアクタンス素子の接続の
仕方を前記2つの移相回路において同じにしたことを特
徴とする同調回路。 - 【請求項5】 複数の同調増幅部が縦続接続された同調
回路であって、 前記同調増幅部のそれぞれは、 前記入力信号が一方端に入力される入力インピーダンス
素子と、帰還信号が一方端に入力される帰還インピーダ
ンス素子とを含んでおり、前記入力信号と前記帰還信号
とを加算する加算回路と、 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接続され前記第1
の抵抗を介して交流信号が入力される差動入力増幅器
と、前記差動入力増幅器の反転入力端子および出力端子
の間に接続された第2の抵抗と、キャパシタあるいはイ
ンダクタによるリアクタンス素子と第3の抵抗とで構成
され前記第1の抵抗の他方端に接続された直列回路とを
含み、前記第3の抵抗および前記リアクタンス素子の接
続部を前記差動入力増幅器の非反転入力端子に接続した
2つの移相回路と、 入力される交流信号の位相を反転して出力する位相反転
回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記位相反転回路を
所定の順序で縦続接続し、これら縦続接続された複数の
回路の最終段の出力を前記帰還信号として前記帰還イン
ピーダンス素子の一方端に入力し、前記加算回路の出力
を前記縦続接続された複数の回路の初段に入力し、前記
移相回路のいずれかの出力あるいは前記位相反転回路の
出力を前記同調増幅部のそれぞれから出力することを特
徴とする同調回路。 - 【請求項6】 請求項5において、 前記同調増幅部のそれぞれは、前記2つの移相回路の全
体により位相シフト量の合計が180°となる周波数近
傍の信号のみを通過させることを特徴とする同調回路。 - 【請求項7】 請求項6において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の双方の前記直列
回路に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
まれている場合、あるいは双方の前記直列回路に前記リ
アクタンス素子として前記インダクタが含まれている場
合には、前記直列回路を構成する抵抗および前記リアク
タンス素子の接続の仕方を前記2つの移相回路において
同じにしたことを特徴とする同調回路。 - 【請求項8】 請求項6において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の一方の前記直列
回路に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
まれ、他方の前記直列回路に前記リアクタンス素子とし
て前記インダクタが含まれている場合には、前記直列回
路を構成する抵抗および前記リアクタンス素子の接続の
仕方を前記2つの移相回路において反対にしたことを特
徴とする同調回路。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかにおいて、 前記縦続接続された2つの移相回路内の前記直列回路を
構成する抵抗の少なくとも一方を可変抵抗により形成
し、前記可変抵抗の抵抗値を変えることで同調周波数を
可変することを特徴とする同調回路。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記複数の同調増幅部の各同調周波数をほぼ同じ値に設
定することを特徴とする同調回路。 - 【請求項11】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記複数の同調増幅部の各同調周波数を互いに所定量ず
らして設定することを特徴とする同調回路。 - 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかにおいて、 前記差動入力増幅器は演算増幅器であることを特徴とす
る同調回路。 - 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかにおいて、 構成部品を半導体基板上に一体形成したことを特徴とす
る同調回路。
Priority Applications (1)
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JP06020696A JP3515270B2 (ja) | 1996-02-22 | 1996-02-22 | 同調回路 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06020696A JP3515270B2 (ja) | 1996-02-22 | 1996-02-22 | 同調回路 |
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---|---|---|---|
JP07021120 Division | 1995-01-12 | 1995-01-12 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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-
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- 1996-02-22 JP JP06020696A patent/JP3515270B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08237040A (ja) | 1996-09-13 |
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