JPH09214051A - 窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子及びその製造方法

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JPH09214051A
JPH09214051A JP1279696A JP1279696A JPH09214051A JP H09214051 A JPH09214051 A JP H09214051A JP 1279696 A JP1279696 A JP 1279696A JP 1279696 A JP1279696 A JP 1279696A JP H09214051 A JPH09214051 A JP H09214051A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 劈開により活性層の端面に共振面が形成され
た窒化物半導体レーザ素子と、該レーザ素子の新規な製
造方法を提供することにより、窒化物半導体をレーザ発
振させる。 【構成】 サファイア基板のA面にレーザ発振する活性
層を有する窒化物半導体を成長させた後、前記基板をR
面に沿って劈開し、その劈開と同時に得られ、基板のR
面と異なる面で劈開された活性層の劈開面にレーザ光の
共振面を作成することにより、活性層を含む窒化物半導
体層は、基板と異なる方向で劈開され、しかも鏡面均一
に劈開できるため、その窒化物半導体層を共振面とする
とレーザ発振が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化物半導体(InX
YGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなるレ
ーザ素子及びその製造方法に係り、特に劈開により共振
面が得られたレーザ素子と、その共振面の形成方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】LD、LED等の発光素子の材料とし
て、ワイドバンドギャップ半導体の窒化物半導体(In
XAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が知ら
れている。この半導体は通常サファイア基板の上にMO
VPE(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成
長法)等の気相成長法を用いて成長される。サファイア
にはA面、C面、R面、M面等の面方位があるが、窒化
物半導体はC面に専ら成長される。一般に、サファイア
基板の上に成長された窒化物半導体ウェーハは、サファ
イア基板が劈開性を有していないため、他のGaAs、
Si、GaP等の劈開性のある基板を有するウェーハに
比べて、チップ状にするのが非常に難しいという問題が
ある。さらにサファイアはモース光度が9以上に硬い物
質であるので、ダイサーで切断しても、切断面にチップ
の割れ、欠け等のいわゆるチッピングが多く発生し、切
断面が平坦なチップを得ることは難しかった。
【0003】このような事情から、サファイアの上に成
長された窒化物半導体層を切断して、その切断面に共振
面を作製することは非常に難しい。レーザ素子の場合、
活性層の光を内部で反射させる共振面を形成する必要が
あり、その共振面は凹凸が非常に少ない、いわば鏡面に
近い平坦面を形成する必要がある。GaAs基板を用い
た赤外、赤色レーザであれば、その共振面は基板の劈開
性が利用された劈開面が利用される。しかしながら、前
記のようにサファイアC面を基板とする窒化物半導体ウ
ェーハでは劈開性がないので、基板を劈開して共振面を
形成することはほとんど不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
とするところは、劈開により活性層の端面に共振面が形
成された窒化物半導体レーザ素子と、該レーザ素子の新
規な製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】我々は窒化物半導体の成
長面をA面とするサファイアのみ、R面に劈開性を有す
ることを見い出すと共に、R面で劈開するとA面に成長
された窒化物半導体が特有の方向で劈開されることを新
たに発見し、本発明を成すに至った。即ち、本発明の窒
化物半導体レーザ素子は、レーザ発振する活性層を備え
た窒化物半導体がサファイア基板のA面上に成長されて
おり、前記サファイア基板はR面で劈開されると共に、
そのR面と同一水平面にない活性層の劈開面が共振面と
されていることを特徴とする。
【0006】本発明のレーザ素子では、前記共振面の幅
は20μm以下であることを特徴とする。
【0007】また前記共振面は窒化物半導体平面側から
見てサファイア基板のR面方向に対し左右5゜±4゜の
範囲内にあることを特徴とする。
【0008】さらに、本発明のレーザ素子の製造方法
は、サファイア基板のA面にレーザ発振する活性層を有
する窒化物半導体を成長させた後、前記基板をR面に沿
って劈開し、その劈開と同時に得られ、基板のR面と異
なる面で劈開された活性層の劈開面にレーザ光の共振面
を作成することを特徴とする。
【0009】
【作用】図1にサファイア単結晶の面方位を示すユニッ
トセル図を示す。サファイアは正確には菱面体構造を有
しているが、この図に示すように六方晶系で近似でき
る。本発明の方法では、窒化物半導体はこの図の斜線部
に示すようにサファイアのA面に成長させる。A面は面
方位で示すと、例えば
【数1】 と示すことができ、本発明ではこのA面の上に成長され
た窒化物半導体をR面で劈開する。図1に示すようにR
面は面方位で示すと、例えば
【数2】 と示すことができる。サファイアはA面を結晶成長面と
し、このR面方位で劈開すると、所望の大きさで基板が
劈開でき、鏡面に近いサファイアの劈開面を得ることが
できる。さらに基板を劈開する前に、基板の厚さを15
0μm以下、さらに好ましくは100μm以下に研磨し
て薄くすることにより、より容易に劈開できる。
【0010】以下、本発明のレーザ素子の作用を製造方
法を主に説明する。本発明のレーザ素子では、レーザ発
振する活性層を有する窒化物半導体層は、サファイアの
A面の上に成長させる。A面の上に成長させることによ
り、窒化物半導体が劈開され易くなるように配向して結
晶成長できる。次に、A面に窒化物半導体が結晶成長さ
れた基板をR面で劈開する。R面で劈開されたサファイ
ア基板はその劈開性により鏡面状にまっすぐに割れる性
質がある。一方、サファイアの上に成長された窒化物半
導体は、サファイアと同じ六方晶系であるが、格子定数
が異なるので、R面では劈開されない。しかしながら、
A面に成長された窒化物半導体はR面で劈開すると、そ
の窒化物半導体結晶の配向性により、サファイアの劈開
と同時にある一定の面で劈開されやすい傾向にある。そ
の一定の面で劈開された窒化物半導体層の劈開面と、活
性層の端面とが一致することにより、活性層の端面には
劈開により得られた、鏡面に近い共振面を作製できる。
これが本発明の作用である。
【0011】
【発明の実施の形態】図2は本発明の製造方法の一工程
を説明する窒化物半導体ウェーハの平面図であり、この
図はウェーハを半導体層側から見た図を示している。ま
た、図3は図2のウェーハより切り出されたレーザ素子
の形状を示す模式的な斜視図であり、これらの図は本発
明を理解しやすくするために、電極ストライプ型のレー
ザ素子を示している。
【0012】サファイアのA面に成長される窒化物半導
体層は、基本的に、光を閉じ込めるn型層と、そのn型
層の上にレーザ発振する活性層と、その活性層の上に同
じく光を閉じ込めるp型層が積層された構造を有する。
電極ストライプ型のレーザ素子では、図に示すように、
レーザの共振方向(図2ではI−I方向)に対して平行な
方向にp型層と活性層とn型層の一部がエッチングされ
て、活性層を含む窒化物半導体層がストライプ形状を有
している。
【0013】次に、A面上に成長されたウェーハをR面
で劈開する。R面は図で示すII−IIの方向にあたり、R
面で劈開するとp層窒化物半導体層はR面に沿って真っ
直ぐに割れず、図2に示すように劈開面に無数の凹凸若
しくはギザギザが発生する。その劈開面はストライプ幅
が20μm以下であれば、この図に示すように、n層の
劈開面の形状とは異なる形状で互いに斜めに劈開されや
すい。しかも劈開面が互いに平行であるために、ストラ
イプの中に活性層があれば、劈開面が活性層の共振面と
なる。ある程度の規則性を有して割れやすいストライプ
幅は、20μm以下、さらに好ましくは10μm以下で
ある。つまり、活性層の共振面の幅が20μm以下であ
れば、互いに平行な好ましい共振面が得られやすい。図
3はレーザ素子の形状を示しているが、この図に示すよ
うに、サファイアの劈開面(R面)と、活性層を有する
窒化物半導体の劈開面とが異なっており、レーザの共振
面とする活性層の共振面は、R面とは同一水平面にな
く、ねじれの関係にある。
【0014】図4は図2と同じく本発明の製造方法の一
工程を説明する窒化物半導体ウェーハの平面図であり、
ウェーハを半導体層側から見た図を示している。また、
図5は図4のウェーハの一部を拡大して示す図である。
さらに、図6は図4から切り出されたレーザ素子の形状
を示す模式的な斜視図である。なお、図3及び図6にお
いて、I−Iの方向で切り出されたチップの断面形状は、
本発明と特に関係がないので直線で示している。
【0015】図4〜図6は、いずれも活性層を有する窒
化物半導体層をストライプ状にエッチングせず、例えば
屈折率導波型のようなレーザ素子を作製した際の状態を
示しているが、本発明はこのようなレーザ素子にでも適
用できる。図4で示す斜線部は活性層の導波路領域を示
しており、この領域は例えば、電流狭窄層、電流阻止層
等を窒化物半導体層内に形成することにより作製でき
る。活性層はこの領域で発振する。図4に示すようにサ
ファイア基板のA面の上に活性領域を有する窒化物半導
体をR面(II-II)で劈開すると、図2と同様に劈開面
の窒化物半導体層面に無数の凹凸若しくはギザギザが発
生し、そのギザギザの傾斜面は互いに平行になりやすい
傾向にある。互いに平行になる好ましい長さが、R面に
対して平行な方向で20μm以下であり、その20μm
の範囲内に活性層の幅を納めれば、劈開面を共振面とで
きる。
【0016】我々の実験によると、窒化物半導体が劈開
される角度は、図5に示すように、基板の劈開面、R面
に対し、左右θ1の方向から±θ2の範囲に割れること
が多い。つまりR面からそれぞれ左右θ1を中心として
±θ2の範囲に窒化物半導体が劈開されることが多く、
本発明のレーザ素子ではθ1が5゜に相当し、θ2が±4
゜に相当する。この範囲内において互いに平行で鏡面に
近い劈開面が得やすい。
【0017】しかも、その形状にはある程度の規則性が
あり、II−IIとII−IIとで劈開した面同士が互いに平行
になる傾向にある。従って劈開面が互いに平行であるた
め、この平行面にストライプの活性層があれば、活性層
の端面が共振面となる。なお、図6にレーザ素子の斜視
図を示しているが、窒化物半導体は負電極を取り出すた
めにn層が露出するようにエッチングされているが、こ
の図も図3と同様に正電極、負電極は特に図示していな
い。
【0018】以上のようにしてサファイア基板のA面に
成長された窒化物半導体を有するウェーハを基板のR面
に沿って劈開すると、基板と同時に劈開される活性層を
有する窒化物半導体が、R面とは異なる方向で劈開され
る。しかもその窒化物半導体の劈開面が互いに平行とな
るので、レーザの共振面となりうる。なお、完全な共振
面を作製するために、この劈開面に常法に従って誘電体
多層膜、金属薄膜のような反射鏡を後に形成してもよい
ことは云うまでもない。
【0019】[実施例1]図7は本発明の一実施例に係
るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、素子
をサファイアのR面で切断した際の図を示している。以
下この図を基に実施例1について説明する。
【0020】結晶成長面をA面とする厚さ500μmの
サファイア基板10をMOVPE装置の反応容器内に設
置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウム)
と、アンモニアを用い、温度500℃で基板の表面にG
aNよりなるバッファ層を200オングストロームの膜
厚で成長させた。このバッファ層は基板と窒化物半導体
との格子不整合を緩和する作用があり、他にAlN、A
lGaN等を成長させることも可能であるが、このバッ
ファ層は特に図示していない。
【0021】続いて温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH
4(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなる
n型コンタクト層11を4μmの膜厚で成長させた。n
型コンタクト層はInXAlYGa 1-X-YN(0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にGaN、I
nGaN、その中でもSiをドープしたGaNで構成す
ることにより、キャリア濃度の高いn型層が得られ、ま
た負電極と好ましいオーミック接触が得られるので、レ
ーザ素子のしきい値電流を低下させることができる。
【0022】次に温度を1050℃に保持して、原料ガ
スにTMG、アンモニア、不純物ガスにCp2Mgを用
い、Mgドープp型GaNよりなる電流阻止層20を
0.5μmの膜厚で成長させた。この電流阻止層は後
に、活性層に電流を集中させて導波路を作製する作用が
ある。
【0023】電流阻止層20を成長後、ウェーハを反応
容器から取り出し、電流阻止層20を図7に示すよう
に、n型コンタクト層11に達する深さでV溝状にメサ
エッチした。V溝の幅は5μmとして、電流阻止層20
の表面にストライプ状に深さ2.5μmで形成した。
【0024】次に再度ウェーハを反応容器に移送し、温
度を750℃にして、原料ガスにTMG、TMI(トリ
メチルインジウム)、アンモニア、不純物ガスにシラン
ガスを用い、SiドープIn0.1Ga0.9Nよりなるクラ
ック防止層を500オングストロームの膜厚で成長させ
た。このクラック防止層は特に図示していないが、In
を含むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成
長させることにより、次に成長させるAlを含む窒化物
半導体よりなるn型光閉じこめ層12を厚膜で成長させ
ることが可能となる。LDの場合は、光閉じ込め層、光
ガイド層となる層を、例えば0.1μm以上の膜厚で成
長させる必要がある。従来ではGaN、AlGaN層の
上に直接厚膜のAlGaNを成長させると、後から成長
させたAlGaNにクラックが入るので素子作製が困難
であったが、このクラック防止層が次に成長させる光閉
じこめ層にクラックが入るのを防止することができる。
しかも次に成長させる光閉じこめ層3を厚膜で成長させ
ても膜質良く成長できる。なおこのクラック防止層は1
00オングストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成
長させることが好ましい。100オングストロームより
も薄いと前記のようにクラック防止として作用しにく
く、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向
にある。なお、このクラック防止層は成長方法、成長装
置によっては省略することもできる。
【0025】次に、原料ガスにTEG、TMA(トリメ
チルアルミニウム)、アンモニア、不純物ガスにシラン
ガスを用いて、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nよりな
るn型光閉じこめ層12を0.5μmの膜厚で成長させ
た。n型光閉じこめ層12はAlを含むn型の窒化物半
導体で構成し、好ましくは二元混晶あるいは三元混晶の
AlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより、結晶
性の良いものが得られ、また活性層との屈折率差を大き
くしてレーザ光の縦モードの閉じ込めに有効である。こ
の層は通常0.1μm〜1μmの膜厚で成長させること
が望ましい。0.1μmよりも薄いと光閉じ込め層とし
て作用しにくく、1μmよりも厚いと、結晶中にクラッ
クが入りやすくなり素子作成が困難となる傾向にある。
【0026】続いて、原料ガスにTMG、アンモニア、
不純物ガスにシランガスを用い、Siドープn型GaN
よりなるn型光ガイド層13を500オングストローム
の膜厚で成長させた。n型光ガイド層13は、Inを含
むn型の窒化物半導体若しくはn型GaNで構成し、好
ましくは三元混晶若しくは二元混晶のInXGa1-X
(0≦X<1)とする。この層は通常100オングスト
ローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、特
にInGaN、GaNとすることにより次の活性層を量
子井戸構造とすることが容易に可能になる。
【0027】次に原料ガスにTMG、TMI、アンモニ
アを用いて活性層14を成長させた。活性層は温度を7
50℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8Nよ
りなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長させ
る。次にTMIのモル比を変化させるのみで同一温度
で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を5
0オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を1
3回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚0.1μ
mの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性層14を成長
させた。
【0028】活性層14成長後、温度を1050℃にし
てTMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物源
としてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウ
ム)を用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなる
p型キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長
させた。このp型キャップ層も特に図示していないが、
1μm以下、さらに好ましくは10オングストローム以
上、0.1μm以下の膜厚で成長させることにより、I
nGaNよりなる活性層が分解するのを防止するキャッ
プ層としての作用があり、また活性層の上にAlを含む
p型窒化物半導体よりなるp型キャップ層を成長させる
ことにより、発光出力が格段に向上する。逆に活性層に
接するp層をGaNとすると素子の出力が約1/3に低
下してしまう。これはAlGaNがGaNに比べてp型
になりやすく、またp型キャップ層成長時に、InGa
Nが分解するのを抑える作用があるためと推察される
が、詳しいことは不明である。このp型キャップ層の膜
厚は1μmよりも厚いと、層自体にクラックが入りやす
くなり素子作製が困難となる傾向にある。なおこのp型
キャップ層も省略可能である。
【0029】次に温度を1050℃に保持しながら、T
MG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型G
aNよりなるp型光ガイド層15を500オングストロ
ームの膜厚で成長させた。このp型光ガイド層15は、
Inを含む窒化物半導体若しくはGaNで構成し、好ま
しくは二元混晶または三元混晶のInYGa1-YN(0<
Y≦1)を成長させる。光ガイド層は、通常100オン
グストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望まし
く、特にInGaN、GaNとすることにより、次のp
型光閉じこめ層を結晶性良く成長できる。
【0030】続いて、TMG、TMA、アンモニア、C
p2Mgを用いてMgドープAl0.3Ga0.7Nよりなる
p型光閉じこめ層16を0.5μmの膜厚で成長させ
た。このp型光閉じ込め層16は、Alを含むp型の窒
化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶または三元混
晶のAlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより結
晶性の良いものが得られる。p型光閉じこめ層はn型光
閉じこめ層と同じく、0.1μm〜1μmの膜厚で成長
させることが望ましく、AlGaNのようなAlを含む
p型窒化物半導体とすることにより、活性層との屈折率
差を大きくして光閉じ込め層として有効に作用する。
【0031】続いて、TMG、アンモニア、Cp2Mg
を用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層17を0.5μmの膜厚で成長させた。p型コンタク
ト層17はp型InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にInGa
N、GaN、その中でもMgをドープしたp型GaNと
すると、最もキャリア濃度の高いp型層が得られて、正
電極と良好なオーミック接触が得られ、しきい値電流を
低下させることができる。なお以上説明したn型層の一
般式AlXGa1-XN、p型層のAlXGa1-XN等の組成
比X値は単に一般式を示しているに過ぎず、n型層のXと
p型層のXとが同一の値を示すものではない。また同様
に他の一般式において使用するY値も同一の一般式が同
一の値を示すものではない。
【0032】以上のようにして窒化物半導体を積層した
ウェーハを反応容器から取り出し、反応性イオンエッチ
ング(RIE)装置にて、最上層のp型コンタクト層か
ら選択エッチを行い、負電極を形成すべきn型コンタク
ト層11の平面を露出させた。次に最上層のp型コンタ
クト層17のほぼ全面に正電極を形成し、露出させたn
型コンタクト層にはストライプ状の負電極を形成した。
【0033】電極形成後、ウェーハを研磨装置に移送
し、サファイア基板を80μmの厚さになるまで研磨し
て薄くした後、サファイア基板面のR面に相当する窒化
物半導体層側に傷を付け、外力により基板を劈開して、
劈開面が露出した半導体バーを作製した。この操作によ
り、この操作により、サファイア基板はR面で劈開され
たが、窒化物半導体層の劈開面は基板のR面とは異なる
ねじれの位置にある面で劈開されていた。しかし窒化物
半導体層の劈開面において、n型光閉じ込め層、活性
層、及びp型光閉じ込め層が含まれているV溝の劈開面
は鏡面であり、劈開面と劈開面とが平行であった。
【0034】以上のようにして得られた半導体バーの劈
開面に誘電体多層膜よりなる反射鏡をスパッタリング装
置を用いて形成した後、R面に対して垂直な位置でダイ
シングによりバーを切断して500μm角のレーザチッ
プとした。このレーザチップをヒートシンクに設置し、
常温でパルス発振させたところ、しきい値電流密度2k
A/cm2で410nmのレーザ発振を示した。
【0035】[実施例2]実施例1において、電流阻止
層20を成長させないで、バッファ層〜p型コンタクト
層17までの窒化物半導体を、サファイア基板のA面に
成長させた。
【0036】次にこのウェーハを実施例1と同様に、p
型コンタクト層17側からR面に垂直な方向でエッチン
グを行い、電極を形成すべきn型コンタクト層11の表
面を露出させるのであるが、図2および図3に示すよう
に活性層を含む窒化物半導体層のストライプ幅が10μ
mとなるようにエッチングし、電極ストライプ型とし
た。後は、ストライプに平行な方向でそれぞれ正電極と
負電極とを形成した。
【0037】電極形成後、ウェーハを実施例1と同様に
して、ストライプに直交する方向、つまり基板のR面に
沿って劈開し、半導体バーを作製した。劈開の結果、基
板はR面で劈開されたが、活性層を有する10μmのス
トライプ幅の窒化物半導体層はR面からおよそ3゜の方
向でずれた面で劈開され、窒化物半導体の劈開面と劈開
面とが互いに平行な鏡面に近い共振面が作製できた。
【0038】後はこのバーの劈開面に誘電体多層膜より
なる反射鏡をプラズマCVD装置を用いて形成した後、
電極に平行な位置でチップをダイシングにより切断して
レーザチップとした。このレーザチップをヒートシンク
に設置し、常温でパルス発振させたところ、しきい値電
流密度2.5kA/cm2で410nmのレーザ発振を示
した。
【0039】[実施例3]p型コンタクト層からエッチ
ングするストライプの幅を20μmとする他は実施例2
と同様にして、バーを作製したところ、活性層を有する
ストライプ状の窒化物半導体層の劈開面はR面からおよ
そ8゜の方向でずれた面が劈開されていた。このバーを
同様にしてレーザチップとしたところ、しきい値電流密
度3kA/cm2で同じくレーザ発振した。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、共
振面が劈開によって形成された窒化物半導体よりなるレ
ーザ素子が作製できる。一方、エッチング、研磨等の手
段で共振面を形成すると共振面に凹凸ができやすくなる
ので、しきい値電流が高くなるが、本発明では鏡面に近
い面が得られるため、しきい値を低下させることもでき
る。このように窒化物半導体で共振面が作製できたこと
は、窒化物半導体レーザ素子を実用化する上で非常に有
意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サファイア単結晶の面方位を示すユニットセ
ル図。
【図2】 本発明の方法の一工程を説明する窒化物半導
体ウェーハの平面図。
【図3】 図2のウェーハより切り出されたレーザ素子
の形状を示す模式的な斜視図。
【図4】 本発明の方法の一工程を説明する窒化物半導
体ウェーハの平面図。
【図5】 図4のウェーハの一部を拡大して示す平面
図。
【図6】 図4のウェーハより切り出されたレーザ素子
の形状を示す模式的な斜視図。
【図7】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す模式断面図。
【符号の説明】
10・・・・サファイア基板 11・・・・n型コンタクト層 20・・・・p型電流阻止層 12・・・・n型光閉じ込め層 13・・・・n型光ガイド層 14・・・・活性層 15・・・・p型光ガイド層 16・・・・p型光閉じ込め層 17・・・・p型コンタクト層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ発振する活性層を備えた窒化物半
    導体がサファイア基板のA面上に成長されており、前記
    サファイア基板はR面で劈開されると共に、そそのR面
    と同一水平面にない活性層の劈開面が共振面とされてい
    ることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記共振面の幅は20μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のレーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記共振面は、窒化物半導体平面側から
    見てサファイア基板のR面方向に対し左右5゜±4゜の
    範囲内にあることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のレーザ素子。
  4. 【請求項4】 サファイア基板のA面にレーザ発振する
    活性層を有する窒化物半導体を成長させた後、前記基板
    をR面に沿って劈開し、その劈開と同時に得られ、基板
    のR面と異なる面で劈開された活性層の劈開面にレーザ
    光の共振面を作成することを特徴とする窒化物半導体レ
    ーザ素子の製造方法。
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