JPH09260771A - 窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法

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JPH09260771A
JPH09260771A JP6763196A JP6763196A JPH09260771A JP H09260771 A JPH09260771 A JP H09260771A JP 6763196 A JP6763196 A JP 6763196A JP 6763196 A JP6763196 A JP 6763196A JP H09260771 A JPH09260771 A JP H09260771A
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JP6763196A
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Takao Yamada
孝夫 山田
Shigeto Iwasa
成人 岩佐
Shuji Nakamura
修二 中村
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Nichia Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 容易にストライプ幅の狭い活性領域が作製で
きる窒化物半導体レーザ素子の製造方法と、従来の電極
ストライプ型のレーザ素子よりも閾値電流が低下した新
規な窒化物半導体レーザ素子の構造とを提供して、室温
での連続発振を目指す。 【構成】 第1の窒化物半導体層の上に、活性層と異な
る屈折率を有し、さらに表面に窒化物半導体が成長でき
る性質を有する電流阻止層を形成し、前記電流阻止層の
表面に所定のストライプ溝を有するマスクを形成し、さ
らにマスクが形成された電流阻止層をエッチングして、
その電流阻止層に活性層の導波路に相当するストライプ
状の開口部を形成することにより、電流阻止層がストラ
イプ状の開口部を有する形状で、窒化物半導体積層構造
の内部に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化物半導体(In
XAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりな
るレーザ素子とそのレーザ素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外〜青色の領域に発光するレーザ素子
の材料として窒化物半導体が知られており、本出願人
は、最近この材料を用いてパルス電流において、室温で
の410nmのレーザ発振を発表した(例えば、Jpn.J.
Appl.Phys. Vol.35 (1996) pp.L74-76)。発表したレー
ザ素子はいわゆる電極ストライプ型のレーザ素子であ
り、活性層を含む窒化物半導体層のストライプ幅を数十
μmにして、レーザ発振させたものである。
【0003】前記レーザ素子では、ストライプ導波路を
作製するための電流狭窄はエッチングにより形成された
ストライプの幅によって調整されており、閾値電流は1
〜2Aもある。またエッチングによりストライプ導波路
を形成するには、非常にストライプ幅の狭いフォトマス
クを窒化物半導体の最表面に形成する必要があるが、ス
トライプ幅の狭いフォトマスクを作製すると、そのフォ
トマスクの位置合わせが難しいため、ストライプ幅を狭
くすることが困難な傾向にある。導波路の幅は閾値電流
を下げるためには狭いほど好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】410nmの短波長レ
ーザのパルス発振が確認された現在では、早急に室温で
の連続発振が望まれている。従って、本発明はこのよう
な事情を鑑みて成されたものであって、その目的とする
ところは、容易にストライプ幅の狭い活性領域が作製で
きる窒化物半導体レーザ素子の製造方法と、従来の電極
ストライプ型のレーザ素子よりも閾値電流が低下した新
規な窒化物半導体レーザ素子の構造とを提供して、室温
での連続発振を目指すことにある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明のレーザ素子
は、表面に窒化物半導体が成長できる性質を有する電流
阻止層が、ストライプ状の開口部を有する形状で、窒化
物半導体積層構造の内部に形成されていることを特徴と
する。開口部のストライプ幅は10μm以下、さらに好
ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下の幅に
調整されていることが、閾値電流を低下させる上で望ま
しい。
【0006】電流阻止層は、基板と活性層との間に形成
され、さらに、その活性層の一部が、電流阻止層の開口
部内に埋め込まれていることを特徴とする。また電流阻
止層は活性層に接して形成されていることが好ましい。
【0007】また本発明の製造方法は、第1の窒化物半
導体層の上に、表面に窒化物半導体が成長できる性質を
有する電流阻止層を形成する工程と、前記電流阻止層の
表面に所定の形状でマスクを形成する工程と、マスクが
形成された電流阻止層をエッチングして、その電流阻止
層に活性層の導波路に相当するストライプ状の開口部を
形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0008】さらに、本発明の製造方法では、前記スト
ライプ状の開口部内に、第2の窒化物半導体よりなる活
性層を成長させる工程を備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明のレーザ素子の一構
造を示す模式的な断面図である。このレーザ素子は、基
本的に基板1の上に窒化物半導体よりなるn型コンタク
ト層2、n型光閉じ込め層3、n型光ガイド層4、活性
層5、p型光ガイド層6、p型光閉じ込め層7、p型コ
ンタクト層8の積層構造を有しており、ストライプ状の
開口部を有する電流阻止層20が、活性層5とp型光ガ
イド層6との間に形成されている。
【0010】電流阻止層20は表面に窒化物半導体が成
長でき、さらに、活性層に電流を集中させるために電流
の流れを阻止して、電流狭窄する作用を奏するようにす
る材料が形成でき、例えば、Al23(サファイア)、
MgAl24(スピネル)、p型、n型、i型の窒化物
半導体(但し、p型、n型の窒化物半導体の場合は、電
流阻止層で素子に逆バイアスが係るようにすることはい
うまでもない。)または窒化物半導体よりも抵抗率が大
きいZnO、SiC、その他、窒化物半導体を成長で
き、窒化物半導体よりも抵抗率が大きい公知の酸化物
(例えば特開平2−229475号公報)等を挙げるこ
とができる。そしてその中で活性層と屈折率の異なる材
料、特に活性層よりも屈折率の小さい材料を適宜選択す
る。
【0011】ストライプ状の開口部を有する電流阻止層
20を形成することにより、その開口部内に電流を集中
させ、活性層にストライプ状の導波路を形成することが
できる。さらに、電流阻止層20はその表面に窒化物半
導体が成長する性質を有しているため、活性層5の上に
あるp型光閉じ込め層6〜p型コンタクト層8までを連
続して成長できる。そのため最上層のp型コンタクト層
8の面積が広いままで成長できるので、正電極10の電
極面積も広げることができるので、正電極のコンタクト
抵抗を下げることが可能となり、順方向電圧が下がる。
このためレーザ素子の駆動電圧と電流と両方を下げるこ
とができる。
【0012】図1では電流阻止層が、活性層5に接し
て、活性層5とp型コンタクト層8との間に設けられて
いるが、電流を阻止するという作用であれば、n型コン
タクト層2〜p型コンタクト層8の間であれば、窒化物
半導体積層構造のどの層の間に形成しても良い。好まし
くは図1に示すように活性層5に接して形成することが
望ましい。なぜなら、活性層5に接して形成することに
より、電流阻止層20の上に形成されているp型光ガイ
ド層6、p型光閉じ込め層7等が、電流阻止層20の開
口部内に埋め込まれたような形となり、活性層の発光が
開口部内集中するようになる。電流阻止層20は活性層
と異なる屈折率を有するために、活性層の発光がストラ
イプ状の開口部内に集中することにより、実効屈折率導
波型のレーザ素子となり、閾値電流を低下させることが
できる。図1に示すような構造の場合、電流阻止層20
の材料の屈折率は、活性層5および光ガイド層6よりも
小さいことが望ましい。
【0013】また、図2も本発明のレーザ素子に係る他
の態様を示す模式的な断面図であり、図1と同一符号は
同一部材を示している。このレーザ素子は、ストライプ
状の開口部を有する電流阻止層20が、活性層5に接し
て、活性層5とn型光ガイド層4との間に形成されてい
る。この図のように電流阻止層20を活性層よりも下、
つまり、n型層側に形成することにより、活性層5が電
流阻止層20の開口部内に埋め込まれたような形とな
る。開口部内に埋め込まれたストライプ状の活性層は、
同時にそのストライプ側面には屈折率の異なる電流阻止
層があるため、埋め込みヘテロ型のレーザ素子が作製さ
れることにより、閾値電流を低下させることができる。
【0014】図3も本発明の一実施例に係るレーザ素子
の構造を示す模式的な断面図である。このレーザ素子
は、電流阻止層20の膜厚を活性層5の膜厚よりも厚く
形成して、開口部の深さを深くしている。さらに、電流
阻止層20を活性層よりも下のn型コンタクト層2の表
面に形成しているにより、n型光閉じ込め層3、n型光
ガイド層4、活性層5、p型光ガイド層6、光閉じ込め
層7が開口部内に埋め込まれた構造を有している。この
ように、活性層6と、活性層6よりもバンドギャップが
大きい光閉じ込め層4、7を開口部内に埋め込んだ構造
とすると。開口部内の活性層の横方向の光が制御され
て、単一モードのレーザ光が得られ易く、また閾値も低
下させることができる。
【0015】図4ないし図8は本発明の製造方法の一工
程において得られる窒化物半導体ウェーハの主要部の構
造を示す模式的な断面図である。以下これらの図面を元
に本発明の製造方法について詳説する。
【0016】[実施例1]スピネル(MgAl24)1
11面を主面とする基板1をMOVPE装置の反応容器
内に設置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウ
ム)と、アンモニアを用い、温度500℃で、基板1の
表面にGaNよりなるバッファ層を200オングストロ
ームの膜厚で成長させる。基板1にはスピネルの他、A
面、R面、C面を主面とするサファイアも使用でき、ま
たこの他、SiC、MgO、GaN、Si、ZnO等の
単結晶よりなる従来より知られている基板が用いられ
る。バッファ層は基板の種類、成長方法等によっては削
除できるので、図では特に示していない。
【0017】続いて温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH
4(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなる
n型コンタクト層2を4μmの膜厚で成長させる。n型
コンタクト層2はInXAlYGa 1-X-YN(0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にGaN、I
nGaN、その中でもSiドープGaNで構成すること
により、キャリア濃度の高いn型層が得られ、また負電
極と好ましいオーミック接触が得られるので、レーザ素
子のしきい値電流を低下させることができる。負電極の
材料としてはAl、Ti、W、Cu、Zn、Sn、In
等の金属若しくは合金が好ましいオーミックが得られ
る。
【0018】次に、温度を750℃にして、原料ガスに
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニ
ア、不純物ガスにシランガスを用い、SiドープIn0.
1Ga0.9Nよりなるクラック防止層(図示せず)を50
0オングストロームの膜厚で成長させる。クラック防止
層はInを含むn型の窒化物半導体、好ましくはInG
aNで成長させることにより、次に成長させるAlを含
む窒化物半導体よりなるn型光閉じ込め層312を厚膜
で成長させることが可能となり、非常に好ましい。LD
の場合は、光閉じ込め層を例えば0.1μm以上の膜厚
で成長させる必要がある。従来ではGaN、AlGaN
層の上に直接厚膜のAlGaNを成長させると、後から
成長させたAlGaNにクラックが入りやすくなるので
素子作製が困難であったが、このクラック防止層が、次
に成長させる光閉じ込め層にクラックが入るのを防止す
ることができる。クラック防止層は100オングストロ
ーム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させることが好
ましい。100オングストロームよりも薄いと前記のよ
うにクラック防止として作用しにくく、0.5μmより
も厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。なお、この
クラック防止層も成長方法、成長装置等によっては省略
可能であるので特に図示していないが、レーザ素子を作
製する上では成長させる方が好ましい。
【0019】次に、原料ガスにTMG、TMA(トリメ
チルアルミニウム)、アンモニア、不純物ガスにシラン
ガスを用いて、Siドープn型Al0.07Ga0.93Nより
なるn型光閉じ込め層3を0.6μmの膜厚で成長させ
る。n型光閉じ込め層3はAlを含むn型の窒化物半導
体で構成し、好ましくは二元混晶あるいは三元混晶のA
YGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより、結晶性
の良いものが得られ、また活性層との屈折率差を大きく
してレーザ光の縦方向の閉じ込めに有効である。この層
は通常0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが望
ましい。0.1μmよりも薄いと光閉じ込め層として作
用しにくく、1μmよりも厚いと結晶中にクラックが入
りやすくなり、素子作成が困難となる傾向にある。
【0020】続いて、温度を1050℃にして、TM
G、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Si
ドープn型GaNよりなるn型光ガイド層4を500オ
ングストロームの膜厚で成長させる。このn型光ガイド
層4は、Inを含むn型の窒化物半導体若しくはn型G
aN、好ましくは三元混晶若しくは二元混晶のInX
1-XN(0≦X≦1)とする。この層は通常100オン
グストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望まし
く、特にInGaN、GaNとすることにより次の活性
層5を量子構造とすることが容易に可能になる。
【0021】次に、原料ガスにTMG、TMI、アンモ
ニアを用いて活性層5を成長させる。活性層5は温度を
750℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8N
よりなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長さ
せる。次にTMIのモル比を変化させるのみで、同一温
度で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を
50オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を
4回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚325オ
ングストロームの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性
層5を成長させる。
【0022】活性層5はInを含む窒化物半導体で構成
し、好ましくは三元混晶のInXGa1-XN(0<X<
1)を含む層とすることが望ましい。三元混晶のInG
aNは四元混晶のものに比べて結晶性が良い物が得られ
るので、発光出力が向上する。その中でも特に好ましく
は活性層をInXGa1-XNよりなる井戸層と、井戸層よ
りもバンドギャップの大きい窒化物半導体よりなる障壁
層とを積層した多重量子井戸構造(MQW:Multi-quan
tum-well)とする。障壁層も同様に三元混晶のInX'
1-X'N(0≦X'<1、X'<X)が好ましく、例えば井
戸+障壁+井戸+・・・+障壁+井戸層(逆でも可)と
なるように積層して多重量子井戸構造を構成する。この
ように活性層をInGaNを積層したMQWとすると、
量子準位間発光で約365nm〜660nm間での高出
力なLDを実現することができる。さらに、井戸層の上
にInGaNよりなる障壁層を積層すると、InGaN
よりなる障壁層はGaN、AlGaN結晶に比べて結晶
が柔らかい。そのためクラッド層のAlGaNの厚さを
厚くできるのでレーザ発振が実現できる。さらに、In
GaNとGaNとでは結晶の成長温度が異なる。例えば
MOVPE法ではInGaNは600℃〜800℃で成
長させるのに対して、GaNは800℃より高い温度で
成長させる。従って、InGaNよりなる井戸層を成長
させた後、GaNよりなる障壁層を成長させようとすれ
ば、成長温度を上げてやる必要がある。成長温度を上げ
ると、先に成長させたInGaN井戸層が分解してしま
うので結晶性の良い井戸層を得ることは難しい。さらに
井戸層の膜厚は数十オングストロームしかなく、薄膜の
井戸層が分解するとMQWを作製するのが困難となる。
それに対し本発明では、障壁層もInGaNであるた
め、井戸層と障壁層が同一温度で成長できる。従って、
先に形成した井戸層が分解することがないので、結晶性
の良いMQWを形成することができる。これはMQWの
最も好ましい態様を示したものであるが、他に井戸層を
InGaN、障壁層をGaN、AlGaNのように井戸
層よりも障壁層のバンドギャップエネルギーを大きくす
ればどのような組成でも良い。また活性層5を単一の井
戸層のみで構成した単一量子井戸構造としても良い。
【0023】(電流阻止層を成長する工程)続いて、原
料ガスにTMG、TMA、アンモニア、不純物ガスにジ
エチルジンクを用い、1050℃でZnドープi型Al
0.4Ga0.6Nよりなる電流阻止層20を0.5μmの膜
厚で成長させる。i型窒化物半導体を成長させるには、
Zn、Cd等のII族元素よりなるp型不純物を、n導電
性が補償される程度ドープするか、またはAlの混晶比
を例えば0.4以上にするとi型となりやすい。窒化物
半導体は結晶内部の窒素空孔により、ノンドープの状態
でn型になりやすいことが知られている。しかし窒素空
孔によるn型では該キャリア濃度を制御することは困難
である。そこで、Zn、Cd等のII族元素よりなるアク
セプター不純物をドープすることにより、n型導電性が
補償されてi型若しくはp型が得やすくなる。図4に電
流阻止層20を形成したウェーハの主要部の構造を示
す。
【0024】先にも述べたように、電流阻止層の材料と
してはその表面に窒化物半導体が成長できる材料であれ
ば良く、例えばサファイア、スピネルのように窒化物半
導体以外の材料を成長させる場合には、ウェーハを一度
反応容器から取り出し、他のCVD装置を用いて、先に
形成した第1の窒化物半導体層(実施例では活性層5)
の表面に形成することができる。窒化物半導体自身を電
流阻止層とするには、i型の窒化物半導体の他、電流阻
止層が逆バイアスとなるように、n型窒化物半導体とp
型窒化物半導体からなる、少なくとも2層構造として、
n−p接合を形成することもできる。
【0025】このように、活性層をInXGa1-XNを含
む層として、電流阻止層をAlYGa1-YNを含む層にす
ると、活性層との屈折率差を大きくできるので横方向の
光閉じ込めが効果的に行える。さらに好ましいことに、
AlYGa1-YNはY値が大きくなるに従って、つまりA
l混晶比が大きくなるに従って、抵抗率が大きくなると
いう性質を有している。このため、i型の電流阻止層と
して使用するには最適である。この性質はAlYGa1-Y
Nの非常に有用な作用である。
【0026】電流阻止層20形成後、反応容器内を常温
まで冷却し、ウェーハを反応容器から取り出す。そのウ
ェーハを他のCVD装置に移送して、図5に示すように
電流阻止層20の表面に、SiO2よりなるマスク30
を2μmのストライプ幅の開口部を有する形状で形成す
る。マスク30の材料としては、窒化物半導体よりもエ
ッチングレートが遅い材料であれば、どのような材料で
も良く、SiO2の他に例えばSiXNYよりなる窒化ケ
イ素、SiO2以外のSiXY等を形成することができ
る。本発明の製造方法では、このように開口部のストラ
イプ幅が狭いマスクを形成することにより、活性層のス
トライプ導波路を容易に形成できる。
【0027】次にマスク30が形成されたウェーハを、
RIE(反応性イオンエッチング)装置に移送し、CC
4ガスを用いて、マスクの上から電流阻止層20を活
性層5二達する深さでエッチングする。エッチング後、
マスク30をフッ酸で除去したウェーハの構造を示す断
面図を図6に示す。
【0028】エッチング後、再度ウェーハを反応容器内
に移し、温度を1050℃にしてTMG、TMA、アン
モニア、アクセプター不純物源としてCp2Mg(シク
ロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgドープp
型Al0.2Ga0.8Nよりなるp型キャップ層を100オ
ングストロームの膜厚で成長させる。このp型キャップ
層は1μm以下、さらに好ましくは10オングストロー
ム以上、0.1μm以下の膜厚で成長させることによ
り、InGaNよりなる活性層が分解するのを防止する
キャップ層としての作用があり、また活性層の上にAl
を含むp型窒化物半導体、好ましくはAlYGa1-Y
(0<Y<1)よりなるp型キャップ層を成長させるこ
とにより、発光出力が格段に向上する。このp型キャッ
プ層の膜厚は1μmよりも厚いと、層自体にクラックが
入りやすくなり素子作製が困難となる傾向にある。な
お、p型キャップ層も成長方法、成長装置等によっては
省略可能であるため、特に図示していない。
【0029】次に温度を1050℃に保持しながら、T
MG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型G
aNよりなるp型光ガイド層6を500オングストロー
ムの膜厚で成長させる。p型光ガイド層6も、Inを含
むp型の窒化物半導体若しくはp型GaN、好ましくは
二元混晶または三元混晶のInXGa1-XN(0≦X≦
1)を成長させる。p型光ガイド層6は、通常100オ
ングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ま
しく、特にInGaN、GaNとすることにより、次の
p型光閉じ込め層7を結晶性良く成長できる。
【0030】続いて、TMG、TMA、アンモニア、C
p2Mgを用いてMgドープAl0.07Ga0.93Nよりな
るp型光閉じ込め層7を0.6μmの膜厚で成長させ
る。なお、p型光閉じ込め層7は、Alを含むp型の窒
化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶または三元混
晶のAlaGa1-aN(0<a≦1)とすることにより結
晶性の良いものが得られる。p型光閉じ込め層7はn型
光閉じ込め層3と同じく、0.1μm〜1μmの膜厚で
成長させることが望ましく、AlGaNのようなAlを
含むp型窒化物半導体とすることにより、活性層との屈
折率差を大きくして、レーザ光の縦方向の光閉じ込め層
として有効に作用する。
【0031】続いて、TMG、アンモニア、Cp2Mg
を用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層8を、0.2μmの膜厚で成長させる。p型コンタク
ト層8はp型InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X
+Y≦1)で構成することができ、特にInGaN、G
aN、その中でもMgをドープしたp型GaNとする
と、最もキャリア濃度の高いp型層が得られて、正電極
と良好なオーミック接触が得られ、しきい値電流を低下
させることができる。正電極の材料としてはNi、P
d、Ir、Rh、Pt、Ag、Au等の比較的仕事関数
の高い金属又は合金がオーミックが得られやすい。成長
後のウェーハの主要部の断面図が図7である。
【0032】以上のようにして窒化物半導体を積層した
ウェーハを反応容器から取り出した後、p型コンタクト
層8の表面に、新たなSiO2よりなる第2のマスク3
1を形成した後、RIEで、負電極を形成すべきn型コ
ンタクト層2の平面を露出させる。エッチング後の断面
図を図8に示す。
【0033】次に、第2のマスク31を同じくフッ酸で
除去した後、p型コンタクト層8のほぼ全面に正電極1
0を形成し、先ほど露出させたn型コンタクト層2に
は、活性層の発振領域に平行、つまり電流阻止層20の
ストライプ状の開口部に平行な、ストライプ状の負電極
11を形成する。なお、この図に示すように、活性層の
ストライプの長さ方向、つまり共振方向に対して平行な
負電極11を、正電極10を挟んで対向する形状で設け
ている。このように、正電極10を挟んでレーザの共振
方向に平行な負電極を対向して設けることにより、電流
が電極に均一に分配されるため、窒化物半導体層に電界
の集中を回避できるので閾値電流を下げることができる
という作用もある。この負電極の作用については、同一
面側に正、負一対の電極が形成された窒化物半導体より
なるレーザ素子であれば、素子の構造を問わず全てにつ
いて適用可能である。
【0034】電極形成後、ウェーハを研磨装置に移送
し、基板を80μmの厚さになるまで研磨して薄くした
後、負電極11に垂直な方向でウェーハを劈開して共振
面を作製する。共振面となる劈開面に誘電体多層膜より
なる反射鏡をスパッタリング装置を用いて形成して共振
器を作製する。さらにストライプ状の負電極11に平行
な方向でウェーハをダイシングして、共振器長500μ
mのレーザチップとする。図4はこのレーザチップの構
造を示す断面図である。以上のようにして得られたチッ
プをヒートシンクに設置してレーザ素子としたところ、
しきい値電流が直流0.1Aで、10V、410nmの
連続発振を示した。
【0035】[実施例2]実施例1において、n型コン
タクト層2成長後、そのn型コンタクト層2の表面に、
電流阻止層として、Mgドープp型Al0.3Ga0.7Nを
0.5μmと、その上にSiドープn型Al0.3Ga0.7
Nを0.5μm成長させる。
【0036】電流阻止層成長後、同様に2μmの開口部
を有するストライプ形状のマスクを形成して、電流阻止
層をn型コンタクト層2までエッチングする。後は実施
例1と同様にして、電流阻止層の開口部に、クラック防
止層、n型光閉じ込め層、n型光ガイド層、活性層、p
型キャップ層、p型光ガイド層を成長させ、そのp型光
ガイド層の上に、p型光閉じ込め層、p型コンタクト層
を成長させる。その後同様にしてレーザ素子としたとこ
ろ、実施例1とほぼ同等の特性を示すレーザ素子が作製
できた。なお、このレーザ素子の構造は図3に示してい
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子は、窒化物半導体積層構造の間に、ストライプ状の開
口部を有する電流阻止層を有することにより、活性層に
電流を集中させることができる。また、本発明の製造方
法では電流阻止層の表面に、導波路に相当するストライ
プ溝を有するマスクを形成することにより、ストライプ
幅の狭い電流阻止層を形成することが容易にできるよう
になる。このため、窒化物半導体を用いたレーザ素子が
室温で連続発振可能となり、その産業上の利用価値は非
常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るレーザ素子の一構造を示す模式
断面図。
【図2】 本発明に係るレーザ素子の一構造を示す模式
断面図。
【図3】 本発明に係るレーザ素子の一構造を示す模式
断面図。
【図4】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの
主要部の構造を示す模式断面図。
【図5】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの
主要部の構造を示す模式断面図。
【図6】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの
主要部の構造を示す模式断面図。
【図7】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの
主要部の構造を示す模式断面図。
【図8】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの
主要部の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・基板 2・・・n型コンタクト層 3・・・n型光閉じ込め層 4・・・n型光ガイド層 5・・・活性層 6・・・p型光ガイド層 7・・・p型光閉じ込め層 8・・・p型コンタクト層 20・・・電流阻止層 30・・・マスク 10・・・正電極 11・・・負電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層と異なる屈折率を有し、さらに表
    面に窒化物半導体が成長できる性質を有する電流阻止層
    が、ストライプ状の開口部を有する形状で、窒化物半導
    体積層構造の内部に形成されていることを特徴とする窒
    化物半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記電流阻止層は、基板と活性層との間
    に形成され、さらに、その活性層の一部が、電流阻止層
    の開口部内に埋め込まれていることを特徴とする請求項
    1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 第1の窒化物半導体層の上に、活性層と
    異なる屈折率を有し、さらに表面に窒化物半導体が成長
    できる性質を有する電流阻止層を形成する工程と、前記
    電流阻止層の表面に所定のストライプ溝を有するマスク
    を形成する工程と、マスクが形成された電流阻止層をエ
    ッチングして、その電流阻止層に活性層の導波路に相当
    するストライプ状の開口部を形成する工程とを具備する
    ことを特徴とする窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ストライプ状の開口部内に、第2の
    窒化物半導体よりなる活性層を成長させる工程を備える
    ことを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体レーザ
    素子の製造方法。
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