JP4197891B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなるレーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外〜青色の領域に発光するレーザ素子の材料として窒化物半導体が知られており、本出願人は、最近この材料を用いてパルス電流において、室温での410nmのレーザ発振を発表した(例えば、Jpn.J.Appl.Phys. Vol35 (1996) pp.L74-76)。発表したレーザ素子はいわゆる電極ストライプ型のレーザ素子であり、活性層を含む窒化物半導体層のストライプ幅を数十μmにして、レーザ発振させたものである。しかしながら,前記レーザ素子の閾値電流は1〜2Aもあり、連続発振させるためには、さらに閾値電流を下げる必要がある。
【0003】
例えば特開平6−152072号公報に窒化物半導体よりなるレーザ素子の構造がいくつか示されている。この公報では、クラッド層で挟まれたストライプ状の活性層の両側をi型の窒化物半導体で挟んだ埋め込みへテロ型のレーザ素子が示されている。しかし、このレーザ素子の構造では閾値電流の低下は難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
410nmの短波長レーザのパルス発振が確認された現在では、早急に室温での連続発振が望まれている。従って、本発明はこのような事情を鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、窒化物半導体よりなるレーザ素子の閾値電流を下げて室温での連続発振を目指すことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、下記(1)〜(11)の構成によって達成することができる。
)基板上部に形成された活性層と、活性層より上に形成されたリッジ形状のストライプを有する第1の半導体層とを有し、その第1の半導体層のストライプ側面を含む第1の半導体層表面に、活性層及び第1の半導体層よりも屈折率の小さいAl b Ga 1-b N(0< b ≦1)よりなる層を有する窒化物半導体よりなる埋め込み層が形成され、該埋め込み層は積層構造よりなることを特徴とする。
)さらに本発明の具体的な半導体レーザ素子としては、前記第1の半導体層及び埋め込み層の上にコンタクト層が形成されている、
)前記第1の半導体層がAlaGa1-aN(0≦a<1、a<b)よりなる層を有する、
)前記活性層がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有する、
)前記第1の半導体層は、光閉じ込め層である、
)前記リッジ形状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上である、
)前記コンタクト層は、前記埋め込み層の表面と、前記第1の半導体層の表面とに接して形成されている、
)前記コンタクト層は、第1の半導体層よりもバンドギャップが小さい半導体層である、
)前記コンタクト層は、GaNからなる、
10)前記コンタクト層の上に電極が形成されている、
11)前記埋め込み層の導電型はi型若しくはn型である、
ことを特徴とする。
【0006】
活性層がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有し、前記第1のp型クラッド層がAlaGa1-aN(0≦a<1)よりなる層を有し、前記埋め込み層がAlbGa1-bN(0<b≦1、b>a)よりなる層を有する。活性層、p型クラッド層、および埋め込み層とも単一の窒化物半導体層で形成されていなくても良く、複数の窒化物半導体層の積層構造よりなっていても良い。
【0007】
さらに好ましい態様として、前記埋め込み層に少なくともn型の窒化物半導体層若しくはi型窒化物半導体層を含むことにより電流狭窄ができる。
【0008】
また、本発明のレーザ素子によると、リッジ形状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上であることにより、結晶性良く埋め込み層が成長できる。
【0009】
埋め込み層の表面と、第1のp型クラッド層の表面とに接して、さらに第1のp型クラッド層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2のp型クラッド層が、その埋め込み層の上に形成されていると、例えば第2のp型クラッド層に直接電極が形成でき、電極の接触抵抗が下がる。
【0010】
【作用】
図1は本発明の一レーザ素子の構造を示す模式的な断面図である。基本構造として、基板10の上に、n型コンタクト層11、n型クラッド層12、活性層13、p型クラッド層14、およびp型コンタクト層15の積層構造を有しており、n型クラッド層12とp型クラッド層14は、両方ともレーザ光の縦方向の光閉じ込め層として作用している。本発明のレーザ素子では、活性層13上にリッジ形状のストライプを有するp型クラッド層14を有している。この図はストライプに垂直な方向で素子を切断した際の断面図を示しており、リッジ状のp型クラッド層14のストライプ側面に、活性層および第1のp型クラッド層よりも屈折率の小さい窒化物半導体よりなる埋め込み層20が形成されている。これにより、活性層13の発光はp型クラッド層14のリッジの下に集中することにより、横方向の光が制御されるので、閾値電流が低下する。活性層13およびp型クラッド層14の屈折率よりも、埋め込み層20の屈折率を小さくするには、例えば、Al組成比が活性層およびp型クラッド層14よりも大きい窒化物半導体で埋め込み層20を形成すればよい。さらに、埋め込み層20は窒化物半導体よりなっているため、窒化物半導体よりなるp型クラッド層14の上に、同じ窒化物半導体を成長させるため、埋め込み層が成長しやすく、また後に、埋め込み層20の上にp型コンタクト層15を成長させる際においても、結晶性良く成長できる。埋め込み層20の導電型はn型、p型、i型いずれの導電型でも良いが、好ましくはi型若しくはn型の導電型とする。
【0011】
さらに、本発明のレーザ素子では、活性層がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有し、p型クラッド層がAlaGa1-aN(0≦a<1)よりなる層を有し、埋め込み層がAlbGa1-bN(0<b≦1、b>a)よりなる層を有する。活性層をInGaNを含む層とするのは、InGaNは結晶の性質がAlGaNに比べて柔らかいので、レーザ発振させるために、多重量子井戸構造としやすいからである。またバンドギャップエネルギーが1.95eV〜3.4eVまであるため、365nm〜660nm間での高出力なLDを実現することができる。さらに窒化物半導体の中でも屈折率の比較的大きな材料でもあるので、活性層にするとクラッド層、電流阻止層の設計が容易になる。一方、リッジ型のp型クラッド層をAlaGa1-aN(0≦a<1)とすると、活性層との屈折率差を大きくできるので縦方向の光閉じ込めが効果的に行える。さらにまた、ストライプ状のリッジの側面に形成されている埋め込み層を、p型クラッド層よりもAl組成比か大きいAlbGa1-bN(0<b≦1)とすると、屈折率がp型クラッド層よりも小さくなるため、実質的に活性層の横方向の光がリッジの下に閉じ込められて、実効屈折率導波型のレーザ素子となるため、単一モードのレーザ光が得やすくなる。さらに好ましいことに、AlbGa1-bNはb値が大きくなるに従って、抵抗率が大きくなるという性質を有している。例えばAl組成比(b値)が0.4以上になるとその傾向が大きい。このため、i型の埋め込み層として作用し、埋め込み層がi型となると、電流を阻止する作用を奏するために、リッジ部分のp型クラッド層に電流を集中させることができる。この性質はAlGaNの非常に有用な作用である。また上記のように、電流を阻止するためにはn型の導電型とすることも好ましい。
【0012】
また本発明のレーザ素子では、活性層、p型クラッド層、および埋め込み層とも単一の窒化物半導体層で形成されていなくても良く、複数の窒化物半導体層の積層構造よりなっていても良い。この例として図3に本発明のレーザ素子に係る他の構造を示す模式断面図を示す。このレーザ素子は基板110の上に、n型コンタクト層111、n型光閉じ込め層112、n型光ガイド層113、多重量子井戸構造の活性層114、p型光ガイド層115、p型光閉じ込め層116、p型コンタクト層117とが積層された構造となっている。n型光閉じ込め層112、n型光ガイド層113はn型クラッド層として作用し、p型光ガイド層115、およびp型光閉じ込め層116がp型クラッド層として作用している。まず、この図に示すように、活性層114の上に、p型光ガイド層115と、p型光閉じ込め層116とからなるリッジ形状のストライプを有しており、リッジの下部に活性層の光が閉じ込められる。さらに、リッジの側面に形成された埋め込み層は活性層114側に接近して形成された第1の埋め込み層201と、p型コンタクト層117側に接近して形成された第2の埋め込み層202との少なくとも二層構造を有している。埋め込み層を二層以上の構造とすると、例えばAlGaNよりなる窒化物半導体を厚膜で形成すると、結晶中にクラックが入りやすくなるので、クラックの入りにくい範囲でAlGaN薄膜を積層して、全体としての埋め込み層にクラックを入りにくくできる。また、活性層114は多重量子井戸構造とされている。多重量子井戸構造とすることにより井戸層と障壁層との積層構造による量子準位間発光が得られ、レーザ素子の活性層として特に好ましい。なお、図2の構造のレーザ素子においても、活性層がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有し、p型クラッド層がAlaGa1-aN(0≦a<1)よりなる層を有し、埋め込み層がAlbGa1-bN(0<b≦1、b>a)よりなる層(特にn型、若しくはi型)を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明のレーザ素子では、リッジ形状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上であることを特徴としている。つまり、図1および図2に示すθ1およびθ2の角度が90゜以上であることが好ましい。本発明のレーザ素子において、ストライプ状のp型クラッド層のリッジの形状は特に問うものではなく、図θ1、θ2が90゜よりも大きい角度、順メサ形状となるようにしても良く、またθ1、θ2が90゜よりも小さい角度、逆メサ形状となるようにしても良い。しかしながら、本発明では90゜以上、好ましくは90゜より大きい角度、さらに好ましくは95゜以上にする。なぜなら、90゜よりも小さい逆メサ部には窒化物半導体が均一な膜厚で成長しにくい傾向にあるからである。これに対し、θ1、θ2を90゜以上にすると、AlGaNのような屈折率の小さい窒化物半導体でも、結晶中にクラックが入らないようにして成長させることができる。
【0014】
さらにまた、本発明のレーザ素子では、埋め込み層の表面と、第1のp型クラッド層の表面とに接して、その第1のp型クラッド層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2のp型クラッド層が形成されている。即ち、図1および図2ではp型コンタクト層15、117がその第2のp型クラッド層に相当する。電極を形成するための第2のp型クラッド層の材料としてはp型GaNが最も好ましい。p型GaNはキャリア濃度の高い層が得られ易く、正電極30と好ましいオーミック接触が得られる他、正電極30をp型コンタクト層のほぼ全面に形成することができるので、レーザ素子のVf(順方向電圧)を低下させることができる。また正電極30を埋め込み層20、202の上に形成した場合に比べて、素子の信頼性が良くなる。
【0015】
なお、これらの図では、活性層のストライプの長さ方向、つまり共振方向に対して平行な負電極31を、正電極30を挟んで対向する形状で設けている。このように、活性層を挟んでレーザの共振方向に平行な負電極を対向して設けることにより、電流が電極に均一に分配されるため、窒化物半導体層に電界の集中を回避できるので閾値電流を下げることができるという作用もある。この負電極の作用については、同一面側に正、負一対の電極が形成された窒化物半導体よりなるレーザ素子であれば、素子の構造を問わず全てについて適用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
[実施例]
図3は本実施例に係るレーザ素子の構造を示す模式的断面図であり、図4〜図7は実施例において得られるウェーハの構造を示す模式的な断面図である。以下これらの図を元に、MOVPE法により本発明のレーザ素子を作製する方法について詳説する。
【0017】
(クラッド層および活性層を成長する工程)
スピネル(MgAl2O4)111面を主面とする基板310をMOVPE装置の反応容器内に設置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウム)と、アンモニアを用い、温度500℃で、基板310の表面にGaNよりなるバッファ層を200オングストロームの膜厚で成長させる。基板310にはスピネルの他、A面、R面、C面を主面とするサファイアも使用でき、またこの他、SiC、MgO、GaN、Si、ZnO等の単結晶よりなる従来より知られている基板が用いられる。バッファ層は基板の種類、成長方法等によっては削除できるので、図では特に示していない。
【0018】
続いて温度を1050℃に上げ、原料ガスにTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH4(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなるn型コンタクト層311を4μmの膜厚で成長させる。n型コンタクト層311はInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にGaN、InGaN、その中でもSiドープGaNで構成することにより、キャリア濃度の高いn型層が得られ、また負電極と好ましいオーミック接触が得られるので、レーザ素子の閾値電流を低下させることができる。負電極の材料としてはAl、Ti、W、Cu、Zn、Sn、In等の金属若しくは合金が好ましいオーミックが得られる。
【0019】
次に、温度を750℃にして、原料ガスにTMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、SiドープIn0.1Ga0.9Nよりなるクラック防止層を500オングストロームの膜厚で成長させる。クラック防止層はInを含むn型の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長させることにより、次に成長させるAlを含む窒化物半導体よりなるn型光閉じ込め層312を厚膜で成長させることが可能となり、非常に好ましい。LDの場合は、光閉じ込め層、光ガイド層となる層を、例えば0.1μm以上の膜厚で成長させる必要がある。従来ではGaN、AlGaN層の上に直接厚膜のAlGaNを成長させると、後から成長させたAlGaNにクラックが入りやすくなるので素子作製が困難であったが、このクラック防止層が、次に成長させる光閉じ込め層にクラックが入るのを防止することができる。クラック防止層は100オングストローム以上、0.5μm以下の膜厚で成長させることが好ましい。100オングストロームよりも薄いと前記のようにクラック防止として作用しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変する傾向にある。なお、このクラック防止層も成長方法、成長装置等によっては省略可能であるので特に図示していないが、レーザ素子を作製する上では成長させる方が好ましい。
【0020】
次に、原料ガスにTEG、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用いて、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなるn型光閉じ込め層312を0.5μmの膜厚で成長させる。n型光閉じ込め層312はAlを含むn型の窒化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶あるいは三元混晶のAlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより、結晶性の良いものが得られ、また活性層との屈折率差を大きくしてレーザ光の縦方向の閉じ込めに有効である。この層は通常0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが望ましい。0.1μmよりも薄いと光閉じ込め層として作用しにくく、1μmよりも厚いと、たとえ、クラック防止層の上に成長させたAlGaNでも、結晶中にクラックが入りやすくなり、素子作成が困難となる傾向にある。
【0021】
続いて、原料ガスにTMG、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、Siドープn型GaNよりなるn型光ガイド層313を500オングストロームの膜厚で成長させる。n型光ガイド層313は、Inを含むn型の窒化物半導体若しくはn型GaN、好ましくは三元混晶若しくは二元混晶のInXGa1-XN(0≦X≦1)とする。この層は通常100オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、特にInGaN、GaNとすることにより次の活性層104を量子構造とすることが容易に可能になる。なお、本発明ではクラック防止層、n型光閉じ込め層312、およびn型光ガイド層313等の活性層を挟んだ一方のn型層は、全てn型クラッド層の中に含まれるものとする。
【0022】
次に原料ガスにTMG、TMI、アンモニアを用いて活性層314を成長させる。活性層は温度を750℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長させる。次にTMIのモル比を変化させるのみで、同一温度で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を13回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚0.1μmの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性層314を成長させる。
【0023】
活性層314はInを含む窒化物半導体で構成し、前記したように好ましくは三元混晶のInXGa1-XN(0<X<1)を含む層とすることが望ましい。三元混晶のInGaNは四元混晶のものに比べて結晶性が良い物が得られるので、発光出力が向上する。その中でも特に好ましくは活性層をInXGa1-XNよりなる井戸層と、井戸層よりもバンドギャップの大きい窒化物半導体よりなる障壁層とを積層した多重量子井戸構造(MQW:Multi-quantum-well)とする。障壁層も同様に三元混晶のInX'Ga1-X'N(0≦X'<1、X'<X)が好ましく、例えば井戸+障壁+井戸+・・・+障壁+井戸層(逆でも可)となるように積層して多重量子井戸構造を構成する。このように活性層をInGaNを積層したMQWとすると、量子準位間発光で約365nm〜660nm間での高出力なLDを実現することができる。さらに、井戸層の上にInGaNよりなる障壁層を積層すると、InGaNよりなる障壁層はGaN、AlGaN結晶に比べて結晶が柔らかい。そのためクラッド層のAlGaNの厚さを厚くできるのでレーザ発振が実現できる。さらに、InGaNとGaNとでは結晶の成長温度が異なる。例えばMOVPE法ではInGaNは600℃〜800℃で成長させるのに対して、GaNは800℃より高い温度で成長させる。従って、InGaNよりなる井戸層を成長させた後、GaNよりなる障壁層を成長させようとすれば、成長温度を上げてやる必要がある。成長温度を上げると、先に成長させたInGaN井戸層が分解してしまうので結晶性の良い井戸層を得ることは難しい。さらに井戸層の膜厚は数十オングストロームしかなく、薄膜の井戸層が分解するとMQWを作製するのが困難となる。それに対し本発明では、障壁層もInGaNであるため、井戸層と障壁層が同一温度で成長できる。従って、先に形成した井戸層が分解することがないので、結晶性の良いMQWを形成することができる。これはMQWの最も好ましい態様を示したものであるが、他に井戸層をInGaN、障壁層をGaN、AlGaNのように井戸層よりも障壁層のバンドギャップエネルギーを大きくすればどのような組成でも良い。またこの活性層314を単一の井戸層のみで構成した単一量子井戸構造としても良い。
【0024】
活性層314成長後、温度を1050℃にしてTMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物源としてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなるp型キャップ層を100オングストロームの膜厚で成長させる。このp型キャップ層は1μm以下、さらに好ましくは10オングストローム以上、0.1μm以下の膜厚で成長させることにより、InGaNよりなる活性層が分解するのを防止するキャップ層としての作用があり、また活性層の上にAlを含むp型窒化物半導体、好ましくはAlYGa1-YN(0<Y<1)よりなるp型キャップ層を成長させることにより、発光出力が格段に向上する。このp型キャップ層の膜厚は1μmよりも厚いと、層自体にクラックが入りやすくなり素子作製が困難となる傾向にある。なお、p型キャップ層も成長方法、成長装置等によっては省略可能であるため、特に図示していない。
【0025】
次に温度を1050℃に保持しながら、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型GaNよりなるp型光ガイド層315を500オングストロームの膜厚で成長させる。p型光ガイド層315も、Inを含むp型の窒化物半導体若しくはp型GaN、好ましくは二元混晶または三元混晶のInXGa1-XN(0≦X≦1)を成長させる。光ガイド層は、通常100オングストローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、特にInGaN、GaNとすることにより、次のp型光閉じ込め層315を結晶性良く成長できる。
【0026】
続いて、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mgを用いてMgドープAl0.3Ga0.7Nよりなるp型光閉じ込め層316を0.5μmの膜厚で成長させる。図4にp型光閉じ込め層316まで成長させたウェーハの断面構造を示す。なお、p型光閉じ込め層316は、Alを含むp型の窒化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶または三元混晶のAlaGa1-aN(0<a≦1)とすることにより結晶性の良いものが得られる。p型光閉じ込め層316はn型光閉じ込め層312と同じく、0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、AlGaNのようなAlを含むp型窒化物半導体とすることにより、活性層との屈折率差を大きくして、レーザ光の縦方向の光閉じ込め層として有効に作用する。
【0027】
(リッジ形状のp型クラッド層を形成する工程)
p型光閉じ込め層316成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、p型光閉じ込め層316の表面に、フォトリソグラフィー技術を用いて、ストライプ幅5μmのSiO2よりなる保護膜を形成する。保護膜300形成後、RIE(反応性イオンエッチング)装置を用いて、図5に示すように、p型光閉じ込め層316を0.4μmの深さでストライプ状にメサエッチし、ストライプ状のリッジ形状を有するp型光閉じ込め層316を作製する。なおリッジ側面の基板に対する角度はおよそ100゜とする。エッチング後、保護膜を除去した状態の断面図が図5であり、この図はストライプに垂直な方向で切断した際の図を示している。本実施例ではエッチング深さをp型光閉じ込め層316の途中までとしたが、いうまでもなく、p型光ガイド層315、またはp型キャップ層までエッチングしても、その作用には変わりない。また、p型光ガイド層315で成長を止め、そのp型光ガイド層315のみをストライプ状のリッジとしても良い。好ましいストライプ幅としては、幅の広い方のストライプで10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下とする。
【0028】
エッチング後、保護膜を除去し、新たにリッジの頂上のp型光閉じ込め層316の表面に、SiO2よりなる別の保護膜を形成した後、ウェーハを再び反応容器内に移送し、次にp型光閉じ込め層316の表面に埋め込み層400を形成する。
【0029】
(埋め込み層を形成する工程)
再度ウェーハを反応容器に設置した後、原料ガスにTMG、TMA、アンモニアを用い、不純物ガスにシランガスを用い、1050℃でSiドープn型Al0.5Ga0.5Nよりなる埋め込み層400を0.2μmの膜厚で選択成長させる。埋め込み層400は窒化物半導体よりなる光閉じ込め層316の上には成長するが、SiO2よりなる保護膜の上には成長しない。その他、このような選択的性質を有する保護膜としては、SiO2以外の酸化ケイ素(SiXOY)、窒化ケイ素(SiXNY)等がある。また、埋め込み層400はi型のAlYGa1-YNとしてもよい。i型にするには、Zn、Cd、Mg等のII族元素よりなるp型不純物を、n導電性が補償される程度ドープするか、またはノンドープの状態で、あるいはp型不純物をドープした状態でAlの混晶比を例えば0.4以上にするとi型となりやすい。i型およびp型の埋め込み層を形成すると電流狭窄層としての作用がある。その他、埋め込み層はp型の窒化物半導体としても良い。但し、p型の窒化物半導体とすると電流狭窄層としての作用はなく、活性層の横方向の光を閉じ込める層のみとして作用する。
【0030】
埋め込み層400形成後、ウェーハを反応容器から取り出し、保護膜を除去する。保護膜除去後のウェーハの構造を示す断面図が図6である。保護膜を除去した後、ウェーハを反応容器内に設置し、1050℃でMgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層317を、0.5μmの膜厚で成長させる。p型コンタクト層317はp型InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、特にInGaN、GaN、その中でもMgをドープしたp型GaNとすると、最もキャリア濃度の高いp型層が得られて、正電極と良好なオーミック接触が得られ、閾値電流を低下させることができる。正電極の材料としてはNi、Pd、Ir、Rh、Pt、Ag、Au等の比較的仕事関数の高い金属又は合金がオーミックが得られやすい。
【0031】
以上のようにして窒化物半導体を積層したウェーハを反応容器から取り出した後、反応性イオンエッチング(RIE)装置にて、最上層のp型コンタクト層317から選択エッチを行い、負電極を形成すべきn型コンタクト層311の平面を露出させる。次に最上層のp型コンタクト層317のほぼ全面に正電極30を形成し、露出させたn型コンタクト層311には、活性層の発振領域に平行、つまりリッジのストライプに平行な、ストライプ状の負電極31を形成する。なお本発明ではp型キャップ層、p型光ガイド層315、p型光閉じ込め層316等の活性層を挟んだ一方のp型層は、全てp型クラッド層の中に含まれるものとする。
【0032】
電極形成後、ウェーハを研磨装置に移送し、基板を80μmの厚さになるまで研磨して薄くした後、負電極31に垂直な方向でウェーハを劈開して共振面を作製する。共振面となる劈開面に誘電体多層膜よりなる反射鏡をスパッタリング装置を用いて形成して共振器を作製する。さらにストライプ状の負電極31に平行な方向でウェーハをダイシングして、共振器長500μmのレーザチップとする。図3はこのレーザチップの構造を示す断面図である。以上のようにして得られたチップをヒートシンクに設置してレーザ素子としたところ、閾値電流が直流0.1Aで、410nmの連続発振を示した。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、活性層の上に形成されたリッジ形状のストライプを有するp型クラッド層を有し、p型クラッド層のストライプ側面に、活性層および第p型クラッド層よりも屈折率の小さい窒化物半導体よりなる埋め込み層が形成されていることにより、リッジの下の部分にある活性層に光を集中させることができるので、横方向のレーザ光が制御される。従って、素子構造として、実効屈折率導波型のレーザ素子ができあがるため、電極ストライプ型のレーザ素子に比べて閾値電流を下げることができ、室温での連続発振が可能となる。このように、本発明によると、窒化物半導体では初めて実用的な屈折率導波型のレーザ素子が実現でき、短波長半導体レーザを実現するために、その産業上の利用価値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一レーザ素子の構造を示す模式断面図。
【図2】 本発明に係る一レーザ素子の構造を示す模式断面図。
【図3】 本発明に係る一レーザ素子の構造を示す模式断面図。
【図4】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの主要部の構造を示す模式断面図。
【図5】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの主要部の構造を示す模式断面図。
【図6】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの主要部の構造を示す模式断面図。
【図7】 実施例の一工程を説明するためのウェーハの主要部の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
10、110、310・・・基板
11、111、311・・・n型コンタクト層
12、112、312・・・n型光閉じ込め層
113、313・・・n型光ガイド層
13、114、314・・・活性層
115、315・・・p型光ガイド層
14、116、316・・・p型光閉じ込め層
15、117、317・・・p型コンタクト層
20、201、202、400・・・埋め込み層
30・・・正電極
31・・・負電極

Claims (11)

  1. 基板上部に形成された活性層と、活性層より上に形成されたリッジ形状のストライプを有する第1の半導体層とを有し、その第1の半導体層のストライプ側面を含む第1の半導体層表面に、活性層及び第1の半導体層よりも屈折率の小さいAl b Ga 1-b N(0< b ≦1)よりなる層を有する窒化物半導体よりなる埋め込み層が形成され、該埋め込み層は積層構造よりなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記第1の半導体層及び埋め込み層の上にコンタクト層が形成されていることを特徴とする請求項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記第1の半導体層がAlaGa1-aN(0≦a<1、a<b)よりなる層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記活性層がInXGa1-XN(0<X<1)よりなる層を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記第1の半導体層は、光閉じ込め層である請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記リッジ形状の側面の基板表面に対する角度が90゜以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記コンタクト層は、前記埋め込み層の表面及び前記第1の半導体層の表面に接して形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記コンタクト層は、第1の半導体層よりもバンドギャップが小さい半導体層であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記コンタクト層は、GaNからなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記コンタクト層の上に電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 前記埋め込み層の導電型はi型若しくはn型であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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