JPH09199798A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子

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JPH09199798A
JPH09199798A JP629896A JP629896A JPH09199798A JP H09199798 A JPH09199798 A JP H09199798A JP 629896 A JP629896 A JP 629896A JP 629896 A JP629896 A JP 629896A JP H09199798 A JPH09199798 A JP H09199798A
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JP
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nitride semiconductor
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light
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JP629896A
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Inventor
Shinichi Nagahama
慎一 長濱
Shuji Nakamura
修二 中村
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Nichia Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nichia Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒化物半導体よりなるレーザ素子のしきい値
電流を小さくして、室温で連続発振可能な素子を実現す
る。 【構成】 Inを含む窒化物半導体よりなる活性層の上
に、p型の窒化物半導体よりなる光ガイド層、光閉じ込
め層及びコンタクト層を少なくとも有し、前記レーザ素
子のレーザ光の共振方向に平行な方向にあたる前記光ガ
イド層、光閉じこめ層及びコンタクト層の幅が前記活性
層の幅よりもエッチングにより狭く調整されており、さ
らに前記光ガイド層、光閉じこめ層及びコンタクト層の
エッチング面には絶縁性薄膜が連続して形成されて、そ
の絶縁性薄膜を介してコンタクト層と接続した正電極が
設けられていることにより、レーザ光の横モードの光を
制御してしきい値電流を下げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は窒化物半導体(InX
YGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなるレ
ーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外〜青色に発振する半導体レーザの材
料として窒化物半導体が研究されているが、最近まで実
際に発振に成功したという報告は成されていなかった。
ところが、我々は95年12月この材料よりなるレーザ
素子で、410nmの室温でのパルス発振を世界で初め
て発表した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】パルス発振に成功した
素子はストライプ状の電極を正電極とし、電極幅でもっ
て活性層に係る電流を制限する利得導波型のレーザ素子
であり、しきい値電流密度で4kA/cm2以上ある。連
続発振させるためにはしきい値電流密度をさらに下げる
必要がある。
【0004】従って本発明はこのような事情を鑑みて成
されたものであって、その目的とするところは、窒化物
半導体よりなるレーザ素子のしきい値電流を小さくし
て、室温で連続発振可能な素子を実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のレーザ素子は、
次の(a)〜(c)の要件を有することを特徴とする (a) Inを含む窒化物半導体よりなる活性層の上
に、p型の窒化物半導体よりなる光ガイド層、光閉じ込
め層及びコンタクト層を少なくとも有している。 (b) 前記レーザ素子のレーザ光の共振方向に平行な
方向にあたる前記光ガイド層、光閉じこめ層及びコンタ
クト層の幅が前記活性層の幅よりもエッチングにより狭
く調整されている。 (c) 前記光ガイド層、光閉じこめ層及びコンタクト
層のエッチング面には絶縁性薄膜が連続して形成され
て、その絶縁性薄膜を介してコンタクト層と接続した正
電極が設けられている。
【0006】さらに本発明のレーザ素子では、エッチン
グされた前記光ガイド層、前記光閉じこめ層及び前記コ
ンタクト層の断面形状は、レーザ光の共振方向に垂直な
方向に対し、活性層側を底部とし、コンタクト層側を上
部とする台形を有することを特徴とする。
【0007】さらにまた、前記活性層はInXGa1-X
(0<X<1)よりなる井戸層を有する多重量子井戸構
造であることを特徴とする。
【0008】
【作用】窒化物半導体は厚膜を成長させるのが困難であ
るという性質を有している。例えばAlを含む窒化物半
導体は特にその性質が強い。レーザ発振させるためには
結晶性の良い活性層を成長させることが重要である。本
発明の(a)要件では、活性層をInを含む窒化物半導
体としているので、その結晶の性質がAlを含む他の窒
化物半導体に比べて柔らかいため、厚膜を成長させやす
く結晶性の良い活性層が成長できる。さらに活性層の上
にp型窒化物半導体よりなる光ガイド層を設けている。
GaAlAs系の半導体レーザであれば活性層で光ガイ
ド層が兼用でき特に必要がないが、窒化物半導体の場
合、前記したように厚膜が成長させにくいため、この光
ガイド層が必須となる。次の光閉じ込め層は活性層より
もバンドギャップが大きい層であればどのような層でも
良いが、活性層よりもバンドギャップを大きくするため
には、Alを含む窒化物半導体が選択される。ところが
Alを含むp型窒化物半導体は電極とのオーミックが取
りにくいので、コンタクト層を必須とする。
【0009】(b)の要件ではレーザ素子のレーザ光の
共振方向に平行な方向にあたる光ガイド層、光閉じこめ
層及びコンタクト層の幅がエッチングにより活性層の幅
よりも狭く調整されているので、いわゆる実効屈折率導
波型のレーザ素子となる。このような構造であると電流
が活性層よりも上のp型層中で広がらずに、活性層の一
点に集中でき、しかも光はp型層の下の活性部のみに集
中できるので、横モードのレーザ光の閉じ込めができ、
しきい値電流を低下させることができる。
【0010】(c)の要件では、絶縁性薄膜により光ガ
イド層、光閉じこめ層及びコンタクト層のエッチング面
を保護すると共に、直接大面積の正電極をエッチングさ
れたコンタクト層に形成するのが難しいので、絶縁性薄
膜を介して大面積の正電極が形成できるようにしてい
る。また、正と負の電極を同一面側に設けた窒化物半導
体レーザ素子でも、絶縁性薄膜を介することにより、両
電極間の短絡を防止することができる。
【0011】次に、エッチングされた光ガイド層、光閉
じこめ層及びコンタクト層の断面形状を、レーザ光の共
振方向に垂直な方向に対し、活性層側を底部とし、コン
タクト層側を上部とする台形とすると、膜厚が均一でピ
ット、欠陥の無い絶縁性薄膜を形成することができる。
絶縁性薄膜にピット、欠陥があると電極をCVD等で形
成する際に電極材料がピット中に侵入して、素子を電気
的に短絡させる恐れがある。
【0012】また活性層はInXGa1-XN(0<X<
1)よりなる井戸層を有する多重量子井戸構造であるこ
とを特徴とする。InGaNは結晶性良く成長できる。
InXGa1-XNよりなる井戸層の膜厚は100オングス
トローム以下、さらに好ましくは70オングストローム
以下が望ましい。多重量子井戸構造の場合、障壁層も積
層するが障壁層は井戸層よりもバンドギャップが大きい
InGaN、GaNを選択し、特に好ましくは障壁層も
InGaNとすると、井戸層と障壁層が両方ともInを
含むため同一温度で成長できるので、GaNを形成する
ときのように高温にしなくても済み、先に形成したIn
GaN井戸層が分解しにくくなる。そのため多重量子井
戸構造の全体の結晶性が良くなるため容易にレーザ発振
しやすくなる。障壁層の膜厚は特に限定しないが、井戸
層の2倍以下の膜厚を有していることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例に係るレ
ーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、図2は図
1のレーザ素子の形状を示す斜視図である。図1は図2
に示す素子のレーザ光の共振方向に垂直方向で切断した
際の断面図を示している。素子構造としては、基板1の
上に、n型コンタクト層2、n型光閉じこめ層3、n型
光ガイド層4、活性層5、p型光ガイド層6、p型光閉
じ込め層7、p型コンタクト層8を順に積層した基本構
造を有している。なお、本明細書で示すレーザ素子の構
造はあくまでも基本的な構造を示すものであり、これら
に示す層の間に他の窒化物半導体よりなる層を挿入して
も、本発明の請求項に示す思想を逸脱しない範囲であれ
ば適宜変更を加えても良い。
【0014】基板1はサファイア(Al23、A面、C
面、R面)、スピネル(MgAl24、111面)等の
絶縁性基板が多く用いられるが、この他SiC、Mg
O、Si、ZnO等の単結晶よりなる従来より知られて
いる基板が用いられる。
【0015】n型コンタクト層2はInXAlYGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することが
でき、特にGaN、InGaN、その中でもSiをドー
プしたGaNで構成することにより、キャリア濃度の高
いn型層が得られ、また負電極20と好ましいオーミッ
ク接触が得られるので、レーザ素子のしきい値電流を低
下させることができる。負電極20の材料としてはA
l、Ti、W、Cu、Zn、Sn、In等の金属若しく
は合金が好ましいオーミックが得られる。GaNに限ら
ず窒化物半導体は、ノンドープ(不純物をドープしない
状態)でも結晶内部にできる窒素空孔のためn型となる
性質があるが、Si、Ge、Sn等のドナー不純物を結
晶成長中にドープすることにより、キャリア濃度が高
く、好ましいn型特性を示す窒化物半導体が得られる。
【0016】n型光閉じこめ層3はAlを含むn型の窒
化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶あるいは三元
混晶のAlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることによ
り、結晶性の良いものが得られ、また活性層との屈折率
差を大きくしてレーザ光の縦モードの閉じ込めに有効で
ある。この層は通常0.1μm〜1μmの膜厚で成長さ
せることが望ましい。0.1μmよりも薄いと光閉じ込
め層として作用しにくく、1μmよりも厚いと、結晶中
にクラックが入りやすくなり素子作成が困難となる傾向
にある。
【0017】n型光ガイド層4は、Inを含むn型の窒
化物半導体若しくはn型GaNで構成し、好ましくは三
元混晶若しくは二元混晶のInXGa1-XN(0≦X<
1)とする。この層は通常100オングストローム〜1
μmの膜厚で成長させることが望ましく、特にInGa
N、GaNとすることにより次の活性層5を量子井戸構
造とすることが容易に可能になる。
【0018】活性層5は先にも述べたように、Inを含
む窒化物半導体で構成し、好ましくは三元混晶のInX
Ga1-XN(0<X<1)とする。三元混晶のInGaN
は四元混晶のものに比べて結晶性が良い物が得られるの
で、発光出力が向上する。その中でも特に好ましくは活
性層をInXGa1-XNよりなる井戸層と、井戸層よりも
バンドギャップの大きい窒化物半導体よりなる障壁層と
を積層した多重量子井戸構造(MQW:Multi-quantum-
well)とする。障壁層も同様に三元混晶のIn X'Ga
1-X'N(0≦X'<1、X'<X)が好ましく、井戸+障壁
+井戸+・・・+障壁+井戸層となるように積層して多
重量子井戸構造を構成する。このように活性層をInG
aNを積層したMQWとすると、量子準位間発光で約3
65nm〜660nm間での高出力なLDを実現するこ
とができる。さらに、井戸層の上にInGaNよりなる
障壁層を積層すると、InGaNよりなる障壁層はGa
N、AlGaN結晶に比べて結晶が柔らかい。そのため
クラッド層のAlGaNの厚さを厚くできるのでレーザ
発振が実現できる。さらに、InGaNとGaNとでは
結晶の成長温度が異なる。例えばMOVPE法ではIn
GaNは600℃〜800℃で成長させるのに対して、
GaNは800℃より高い温度で成長させる。従って、
InGaNよりなる井戸層を成長させた後、GaNより
なる障壁層を成長させようとすれば、成長温度を上げて
やる必要がある。成長温度を上げると、先に成長させた
InGaN井戸層が分解してしまうので結晶性の良い井
戸層を得ることは難しい。さらに井戸層の膜厚は数十オ
ングストロームしかなく、薄膜の井戸層が分解するとM
QWを作製するのが困難となる。それに対し本発明で
は、障壁層もInGaNであるため、井戸層と障壁層が
同一温度で成長できる。従って、先に形成した井戸層が
分解することがないので結晶性の良いMQWを形成する
ことができる。これはMQWの最も好ましい態様を示し
たものであるが、他に井戸層をInGaN、障壁層をG
aN、AlGaNのように井戸層よりも障壁層のバンド
ギャップエネルギーを大きくすればどのような組成でも
良い。
【0019】多重量子井戸構造の活性層5の総膜厚は1
00オングストローム以上に調整することが好ましい。
100オングストロームよりも薄いと、十分に出力が上
がらず、レーザ発振しにくい傾向にある。また活性層の
膜厚も厚すぎると出力が低下する傾向にあり、1μm以
下、さらに好ましくは0.5μm以下に調整することが
望ましい。1μmよりも厚いと活性層の結晶性が悪くな
るか、レーザ光が活性層中に広がってしまい、しきい値
電流が増加する傾向にある。
【0020】次にp型光ガイド層6は、Inを含む窒化
物半導体若しくはGaNで構成し、好ましくは二元混晶
または三元混晶のInYGa1-YN(0<Y≦1)を成長
させるる。この光ガイド層6は、通常100オングスト
ローム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、特
にInGaN、GaNとすることにより、次のp型光閉
じこめ層7を結晶性良く成長できる。なお、p型の窒化
物半導体はZn、Mg、Be、Cd、Ca等のアクセプ
ター不純物を結晶成長中にドープすることによって得ら
れるが、その中でもMgが最も好ましいp型特性を示
す。また結晶成長後、不活性ガス雰囲気中で、400℃
以上でアニーリングすることにより、さらに低抵抗なp
型を得ることができる。
【0021】p型光閉じこめ層7は、Alを含むp型の
窒化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶または三元
混晶のAlYGa1-YN(0<Y≦1)とすることにより
結晶性の良いものが得られる。このp型光閉じこめ層は
n型光閉じこめ層と同じく、0.1μm〜1μmの膜厚
で成長させることが望ましく、AlGaNのようなAl
を含むp型窒化物半導体とすることにより、活性層との
屈折率差を大きくして、縦モードのレーザ光の光閉じ込
め層として有効に作用する。
【0022】p型コンタクト層8はp型InXAlYGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成することが
でき、特にInGaN、GaN、その中でもMgをドー
プしたp型GaNとすると、最もキャリア濃度の高いp
型層が得られて、正電極30と良好なオーミック接触が
得られ、しきい値電流を低下させることができる。正電
極30の材料としてはNi、Pd、Ir、Rh、Pt、
Ag、Au等の比較的仕事関数の高い金属又は合金がオ
ーミックが得られやすい。
【0023】以上、本発明のレーザ素子の基本構造につ
いて説明したが、本明細書において示すn型層の一般式
AlXGa1-XN、p型層のAlXGa1-XN等の組成比X
値は単に一般式を示しているに過ぎず、n型層のXとp
型層のXとが同一の値を示すものではない。また同様に
他の一般式において使用するY値も同一の一般式が同一
の値を示すものではない。
【0024】次に、本発明のレーザ素子では、レーザ光
の共振方向に水平な方向のp型光ガイド層6、p型光閉
じこめ層7及びp型コンタクト層8は、エッチングによ
り活性層5の幅よりも狭くされる。エッチング手段はド
ライエッチングを好ましく用い、例えば反応性イオンエ
ッチング、イオンミリング、ECRエッチング、集束イ
オンビームエッチング、イオンビームアシストエッチン
グ等を用いることができる。エッチングされたp型層の
好ましい幅としては、10μm以下、さらに好ましくは
5μm以下、最も好ましくは3μm以下に調整すると、
レーザの非点隔差が小さくなり、しきい値電流も低くな
る。図1ではこれらのエッチング手段により端面を垂直
にエッチングしているが、メサエッチによりエッチング
後の断面形状が台形になるようにするのがさらに好まし
い。
【0025】次に絶縁性薄膜10を形成するには、プラ
ズマCVD、スパッタリング、分子線蒸着等の常用され
ている気相製膜手段を用いることができる。絶縁性薄膜
10の材料としては、例えばSiO2、SiN、Al
N、Al23等の高誘電体材料が使用できる。この絶縁
性薄膜の膜厚は特に問うものではないが、例えば0.0
1μm〜50μm程度の膜厚で形成できる。
【0026】本発明に類似した技術として例えば特開平
6−152072号公報に屈折率導波型のレーザ素子が
示されている。しかしながらこの公報ではエッチング深
さが活性層を超えてn型層にまで至っている。本発明の
レーザ素子ではエッチング深さは図1、図3に示すよう
に活性層を超えない。活性層を超えないことによりエッ
チングダメージが活性層中に入りにくくなるので、レー
ザ素子の寿命を長くすることができる。
【0027】正電極30は絶縁性薄膜10を介してp型
コンタクト層8に接続されている。なおこの図では電極
をp型コンタクト層8の真上に形成しているが、図3に
示すように、電極面積を広げるために絶縁性薄膜10を
介して正電極30を延長してもよい。
【0028】図3は本発明の他の実施例に係るレーザ素
子の構造を示す模式的な断面図である。この図では、p
型光ガイド層6、p型光閉じこめ層7及びp型コンタク
ト層8のエッチング後の断面形状が、レーザ光の共振方
向に垂直な方向に対し、活性層5側を底部とし、p型コ
ンタクト層8側を上部とする台形とされている。図1に
示すようにエッチング端面をほぼ垂直な形状とすると、
エッチングされた面に形成する絶縁性薄膜にピット
(孔)が発生しやすくなる。つまりエッチングにより発
生した直角部分、垂直部分にあたる箇所は水平部分に比
べて、均一な膜ができにくい。正電極となる金属材料が
万一ピットから侵入すると短絡する恐れがある。しか
し、図3に示すような形状とすると絶縁性薄膜10が均
一な膜厚で形成できるので、素子の信頼性が高まる。台
形にメサエッチされた最上層のp型コンタクト層のスト
ライプ幅も10μm以下、さらに好ましくは5μm以
下、最も好ましくは3μm以下に調整することが望まし
い。また、図3に示すようにエッチング深さは、図1の
ように活性層5に達するまでエッチングしなくとも、p
型光ガイド層6の途中で止めることも可能である。さら
に、正電極30も、レーザ素子をヒートシンク、あるい
はサブマウントとワイヤーボンディング、あるいはダイ
レクトボンディングするためにその電極面積を広げるこ
とも可能である。
【0029】[実施例]図4は本発明の一実施例に係る
レーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、以下本
発明の具体例をこの図を元に説明する。また実施例の方
法はMOVPE法によりLD素子を作成する方法である
が、本発明の素子はMOVPE法だけではなく、例えば
MBE、HDVPE等の他の知られている窒化物半導体
の気相成長法を用いて成長させることができる。
【0030】よく洗浄されたスピネル基板41(MgA
24、111面)をMOVPE装置の反応容器内に設
置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウム)
と、アンモニアを用い、温度500℃でサファイア基板
の表面にGaNよりなるバッファ層42を200オング
ストロームの膜厚で成長させた。このバッファ層41は
基板と窒化物半導体との格子不整合を緩和する作用があ
り、他にAlN、AlGaN等を成長させることも可能
である。このバッファ層を成長させることにより、基板
の上に成長させるn型窒化物半導体の結晶性が良くなる
ことが知られているが、成長方法、基板の種類等により
バッファ層が成長されない場合もある。
【0031】続いて温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH
4(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなる
n型コンタクト層43を4μmの膜厚で成長させた。
【0032】次に温度を750℃まで下げ、原料ガスに
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニ
ア、不純物ガスにシランガスを用い、SiドープIn0.
1Ga0.9Nよりなるクラック防止層44を500オング
ストロームの膜厚で成長させた。このクラック防止層4
4はInを含むn型の窒化物半導体、好ましくはInG
aNで成長させることにより、次に成長させるAlを含
む窒化物半導体よりなるn型光閉じこめ層45を厚膜で
成長させることが可能となる。LDの場合は、光閉じ込
め層、光ガイド層となる層を、例えば0.1μm以上の
膜厚で成長させる必要がある。従来ではGaN、AlG
aN層の上に直接厚膜のAlGaNを成長させると、後
から成長させたAlGaNにクラックが入るので素子作
製が困難であったが、このクラック防止層が次に成長さ
せる光閉じこめ層45にクラックが入るのを防止するこ
とができる。しかも次に成長させる光閉じこめ層45を
厚膜で成長させても膜質良く成長できる。なおこのクラ
ック防止層44は100オングストローム以上、0.5
μm以下の膜厚で成長させることが好ましい。100オ
ングストロームよりも薄いと前記のようにクラック防止
として作用しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自
体が黒変する傾向にある。なお、このクラック防止層4
4は成長方法、成長装置によっては省略することもでき
る。
【0033】次に、温度を1050℃にして、原料ガス
にTEG、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモ
ニア、不純物ガスにシランガスを用いて、Siドープn
型Al0.3Ga0.7Nよりなるn型光閉じこめ層45を
0.5μmの膜厚で成長させた。
【0034】続いて、原料ガスにTMG、アンモニア、
不純物ガスにシランガスを用い、Siドープn型GaN
よりなるn型光ガイド層46を500オングストローム
の膜厚で成長させた。
【0035】次に原料ガスにTMG、TMI、アンモニ
アを用いて活性層47を成長させた。活性層は温度を7
50℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8Nよ
りなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長させ
る。次にTMIのモル比を変化させるのみで同一温度
で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を5
0オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を1
3回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚0.1μ
mの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性層47を成長
させた。
【0036】活性層47成長後、温度を1050℃にし
てTMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物源
としてCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウ
ム)を用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなる
p型キャップ層48を100オングストロームの膜厚で
成長させた。このp型キャップ層48は1μm以下、さ
らに好ましくは10オングストローム以上、0.1μm
以下の膜厚で成長させることにより、InGaNよりな
る活性層が分解するのを防止するキャップ層としての作
用があり、また活性層の上にAlを含むp型窒化物半導
体よりなるp型キャップ層48を成長させることによ
り、発光出力が格段に向上する。逆に活性層に接するp
層をGaNとすると素子の出力が約1/3に低下してし
まう。これはAlGaNがGaNに比べてp型になりや
すく、またp型キャップ層48成長時に、InGaNが
分解するのを抑える作用があるためと推察されるが、詳
しいことは不明である。このp型キャップ層48の膜厚
は1μmよりも厚いと、層自体にクラックが入りやすく
なり素子作製が困難となる傾向にある。なおこのp型キ
ャップ層48も省略可能である。
【0037】次に温度を1050℃に保持しながら、T
MG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型G
aNよりなるp型光ガイド層49を500オングストロ
ームの膜厚で成長させた。この第二のp型光ガイド層4
9は上記したように、InGaN、GaNとすることに
より次のAlを含む光閉じこめ層50を結晶性良く成長
できる。
【0038】続いて、TMG、TMA、アンモニア、C
p2Mgを用いてMgドープAl0.3Ga0.7Nよりなる
p型光閉じこめ層50を0.5μmの膜厚で成長させ
た。
【0039】続いて、TMG、アンモニア、Cp2Mg
を用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層51を0.5μmの膜厚で成長させた。
【0040】以上のようにして窒化物半導体を積層した
ウェーハを反応容器から取り出し、反応性イオンエッチ
ング(RIE)装置にて、最上層のp型コンタクト層5
1から選択エッチを行い、負電極20を形成すべきn型
コンタクト層43の表面を露出させた。なおエッチング
形状は、後に形成する共振器の方向に対して平行なスト
ライプ状とし、ストライプ幅は10μmとした。
【0041】次に、p型コンタクト層51の上から同じ
くRIEにより、選択メサエッチを行い、p型コンタク
ト層51、p型光閉じこめ層50、p型光ガイド層4
9、p型層48の一部をストライプ状にエッチングし
た。エッチングにより残る最上層のp型コンタクト層の
ストライプ幅は1μmとし、台形状の底部にあたるp型
層48のストライプ幅はおよそ4μmとした。
【0042】エッチングの終わった窒化物半導体ウェー
ハの正電極、負電極を形成すべき部分にマスクをかけ、
さらにプラズマCVD装置でSiO2よりなる絶縁膜1
1をp型コンタクト層51、p型光閉じこめ層50、p
型光ガイド層49、p型キャップ層48のエッチング端
面に4μmの膜厚で形成した。
【0043】次に、p型コンタクト層51にはNiとA
uよりなるストライプ状の正電極31を絶縁膜11を介
して形成し、先に露出させたn型コンタクト層43には
TiとAlよりなるストライプ状の負電極21を形成し
た。
【0044】以上のようにしたウェーハを、まずストラ
イプ状の電極に平行な位置で分割した後、次に電極に垂
直な方向で分割し、垂直な方向で分割した分割面を研磨
して鏡面とした。その共振面に常法に従って誘電体多層
膜を形成してレーザチップとした。このレーザチップを
ヒートシンクに設置し、常温でパルス発振させたところ
しきい値電流密度2kA/cm2で410nmのレーザ発
振を示した。
【0045】これに対し、メサエッチを行わずにp型コ
ンタクト層51の表面にSiO2よりなる1μm幅(露
出するp型コンタクト層のストライプ幅が1μmである
こと。)の電流狭窄層を設け、同様にして正電極を設け
た利得導波型のレーザ素子はしきい値電流密度が4kA
/cm2以上であった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子では横モードのレーザ光が制御できるためにレーザ発
振のしきい値電流密度が低下して、連続発振に近づける
ことが可能となった。窒化物半導体は現在研究されてい
るII−VI族化合物半導体よりなるレーザ素子に比べて短
波長が発振できるという利点がある。従って窒化物半導
体で連続発振が可能となると、書き込み光源、読みとり
光源としての需要が爆発的に増え、その産業上の利用価
値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す模式断面図。
【図2】 図1のレーザ素子の形状を示す斜視図。
【図3】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・・基板 2・・・・n型コンタクト層 3・・・・n型光閉じこめ層 4・・・・n型光ガイド層 5・・・・活性層 6・・・・p型光ガイド層 5・・・・p型光閉じこめ層 6・・・・p型コンタクト層 10・・・・絶縁性薄膜 20、30・・・・電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(a)〜(c)の要件を具備するこ
    とを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 (a) Inを含む窒化物半導体よりなる活性層の上
    に、p型の窒化物半導体よりなる光ガイド層、光閉じ込
    め層及びコンタクト層を少なくとも有している。 (b) 前記レーザ素子のレーザ光の共振方向に平行な
    方向にあたる前記光ガイド層、光閉じこめ層及びコンタ
    クト層の幅が前記活性層の幅よりもエッチングにより狭
    く調整されている。 (c) 前記光ガイド層、光閉じこめ層及びコンタクト
    層のエッチング面には絶縁性薄膜が連続して形成され
    て、その絶縁性薄膜を介してコンタクト層と接続した正
    電極が設けられている。
  2. 【請求項2】 エッチングされた前記光ガイド層、前記
    光閉じこめ層及び前記コンタクト層の断面形状は、レー
    ザ光の共振方向に垂直な方向に対し、活性層側を底部と
    し、コンタクト層側を上部とする台形を有することを特
    徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記活性層はInXGa1-XN(0<X<
    1)よりなる井戸層を有する多重量子井戸構造であるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の窒化物半
    導体レーザ素子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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