JP2000004063A - 窒化物半導体レーザ素子及びその電極形成方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子及びその電極形成方法

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JP2000004063A
JP2000004063A JP12654998A JP12654998A JP2000004063A JP 2000004063 A JP2000004063 A JP 2000004063A JP 12654998 A JP12654998 A JP 12654998A JP 12654998 A JP12654998 A JP 12654998A JP 2000004063 A JP2000004063 A JP 2000004063A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リッジストライプがp層側に設けられてなる
レーザ素子において、p側のクラッド層の表面に絶縁性
の高い絶縁膜が設けられた信頼性の高いレーザ素子を提
供すると共に、均一な膜厚で絶縁膜を形成すると共に、
簡単な方法で絶縁膜を形成して、その絶縁膜を介して電
極を形成しやすくできる電極の形成方法を提供する。 【構成】 p側クラッド層の上に、p側コンタクト層が
積層され、そのp側コンタクト層からエッチングされ
て、p側コンタクト層よりも下の層に、ストライプ状の
導波路領域が設けられた窒化物半導体レーザ素子におい
て、そのストライプ導波路のストライプの両側面、およ
びその側面と連続した窒化物半導体層の平面が、前記p
側クラッド層の膜厚方向において、下端面からp側コン
タクト層方向0.2μmよりも基板側にあり、その平面
には、Si酸化物以外の絶縁膜が形成され、さらにその
絶縁膜を介して、前記ストライプの最上層にあるコンタ
クト層の表面に電極が設けられている。さらにストライ
プ導波路の位置をp側クラッド層よりも下の層とすると
閾値が著しく低下する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化物半導体(Ina
bGa1-a-bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)よりなるレ
ーザ素子と、窒化物半導体レーザ素子の電極形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】我々は窒化物半導体基板の上に、活性層
を含む窒化物半導体レーザ素子を作製して、世界で初め
て室温での連続発振1万時間以上を達成したことを発表
した(ICNS'97 予稿集,October 27-31,1997,P444-446、
及びJpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)pp.L1568-1571、Pa
rt2,No.12A,1 December 1997)。基本的な構造として
は、サファイア基板上部に、部分的に形成されたSiO
2膜を介して選択成長されたn−GaNよりなる窒化物
半導体基板の上に、レーザ素子構造となる窒化物半導体
層が複数積層されてなる。(詳細はJpn.J.Appl.Phys.Vo
l.36参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図6は従来のレーザ素
子の一構造を示す模式断面図である。この図は前記J.
J.A.P.に示される図とほぼ同じ図である。この図に
示すように従来のレーザ素子ではp−Al0.14Ga0.86
N/GaNの超格子構造よりなるp側クラッド層とp−
GaNよりなるp側コンタクト層から上にリッジが設け
られており、そのリッジの側面とp側クラッド層の平面
とに渡って、SiO2よりなる絶縁膜が形成され、その
絶縁膜を介してp−GaN層と電気的に接続されたp電
極が形成されている。リッジのストライプ幅は例えば1
0μm以下と非常に狭く調整されており、そのストライ
プ幅の狭いリッジ最表面に、オーミック用のp電極を形
成し、さらにはそのp電極の上に直接ボンディングする
のは困難である。そのため、この図に示すように、p電
極と電気的に接続し、そのp電極よりも大面積を有する
pパッド電極が、p側クラッド層の表面に形成された絶
縁膜を介して形成される。
【0004】しかしながらSiO2よりなる絶縁膜は、
通常、スパッタ、蒸着等のPVD技術を用いて形成され
るため、絶縁性の高いSiO2になっていないことが多
く、Si酸化物の絶縁性が不十分な傾向にある。絶縁性
が不十分であると、リッジ以外のp側クラッド層に電流
が流れ、閾値が上昇する原因となる。また、p側クラッ
ド層は膜厚が1.0μm以下と他の半導体材料に比べて
非常に薄く、さらにAlを含む窒化物半導体で成長され
ているのでクラッド層内に微細な孔(ピット)が発生し
やすい。p側クラッド層の上に形成された絶縁膜の絶縁
性が不十分であると、そのピットから電流が流れて、シ
ョートしてしまう恐れがある。
【0005】一方、電極形成方法について、ストライプ
幅の狭いp側コンタクト層の表面にオーミック用のp電
極を設けるには非常に細かい作業を必要とする。また絶
縁膜形成時に、p側クラッド層の表面に均一な膜厚で絶
縁膜を設けないと、膜厚の薄い所に電流が集中して、シ
ョートの原因となる。さらにリッジストライプ形成時に
SiO2をマスクとして使用すると、クラッド層上部の
保護膜を同じSiO2で形成することは、両者とも同一
のフッ酸で溶けてしまうため、工程上困難である。
【0006】従って、本発明の目的とするところは、リ
ッジストライプがp層側に設けられてなるレーザ素子に
おいて、p側のクラッド層の表面に絶縁性の高い絶縁膜
が設けられた信頼性の高いレーザ素子を提供すると共
に、簡単な方法で絶縁膜を形成して、その絶縁膜を介し
て電極を形成しやすくできる電極の形成方法を提供する
ことにある。さらに、新規な電極の構造を提供すること
によりレーザ素子の閾値を低下させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レ
ーザ素子は、第1のp型窒化物半導体を含むp側クラッ
ド層の上に、第2のp型窒化物半導体を含むp側コンタ
クト層が積層され、そのp側コンタクト層側からエッチ
ングされて、そのp側コンタクト層よりも下の層に、ス
トライプ状の導波路領域が設けられた窒化物半導体レー
ザ素子において、そのストライプ導波路のストライプの
両側面、およびその側面と連続した窒化物半導体層の平
面には、Si酸化物以外の絶縁膜が形成され、さらにそ
の絶縁膜を介して、前記ストライプの最上層にあるコン
タクト層の表面に電極が設けられていることを特徴とす
る。
【0008】本発明のレーザ素子では、前記ストライプ
の側面と連続した窒化物半導体の平面が、前記p側クラ
ッド層の膜厚方向において、下端面からp側コンタクト
層方向0.2μmよりも基板側にあることを特徴とす
る。
【0009】また、前記ストライプの側面と連続した窒
化物半導体の平面が、p側クラッド層の下端面よりも下
にあることを特徴とする。このことによりレーザ素子の
閾値が2/3以下と著しく低下し、非常に好ましい。な
おp側クラッド層の下端面とは、p側クラッド層が形成
されている下地層と、そのp側クラッド層との界面を指
すものとする。また下端面からp側コンタクト層方向
0.2μmとは、前記界面から、p側クラッド層が0.
2μm残った状態を指す。
【0010】さらに本発明のレーザ素子では、前記スト
ライプの幅が、4μm〜0.5μmの範囲を有すること
を特徴とする。さらに好ましくは3μm〜1μmに調整
する。4μmよりも広いと横モードが多モードとなりや
すく、また0.5μmより狭いと、ストライプの形成が
難しく、また電極との接触面積が小さいため、閾値が上
昇しやすい。
【0011】絶縁膜としては、Ti、V、Zr、Nb、
Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の
元素を含む酸化物、BN、SiC、AlNの内の少なく
とも一種を選択することが望ましく、最も好ましくはZ
r、Hfの酸化物、BN、SiCを用いる。なおSiC
はスパッタ、蒸着等のPVDによる製膜ではアモルファ
ス状になるため絶縁体であり、またn、p型の不純物を
含んでいないSiCも絶縁体である。
【0012】また本発明のレーザ素子の電極形成方法
は、第1のp型窒化物半導体を含むp側クラッド層の上
に、第2のp型窒化物半導体を含むp側コンタクト層を
積層した後、そのp側コンタクト層の表面に、ストライ
プ状の第1の保護膜を形成する第1の工程と、第1の保
護膜を介して、該第1の保護膜が形成されていない部分
の窒化物半導体をエッチングして、保護膜直下部分にス
トライプ状の導波路領域を形成する第2の工程と、第2
の工程後、第1の保護膜と異なる材料であって、絶縁性
を有する第2の保護膜を、ストライプ導波路の側面及び
エッチングされて露出した窒化物半導体層の平面に形成
する第3の工程と、第3の工程後、第1の保護膜を除去
して、前記第2の保護膜と最上層のp型窒化物半導体層
の表面に、そのp側コンタクト層と電気的に接続した電
極を形成する第4の工程とを具備することを特徴とす
る。
【0013】本発明の電極形成方法では、前記第2の工
程において、エッチングストップをp側クラッド層の膜
厚方向において、下端面からp側コンタクト層方向0.
2μmよりも基板側にある窒化物半導体の平面とするこ
とを特徴とする。エッチングストップとは言うまでもな
くエッチングを停止する層であり、このエッチングスト
ップ後に、窒化物半導体にストライプ状の導波路領域が
形成され、そのストライプの側面と連続した窒化物半導
体の平面が露出される。
【0014】また、前記第2の工程において、エッチン
グストップをp側クラッド層の下端面よりも基板側にあ
る窒化物半導体の平面とする。エッチングストップをp
側クラッド層下端面よりも基板側にある窒化物半導体平
面にすることにより、レーザ素子の閾値が著しく低下す
る。
【0015】また本発明の電極形成方法では、前記第1
の工程において、p型窒化物半導体層最上層のほぼ全面
に第1の保護膜を形成し、その第1の保護膜の上にスト
ライプ状の第3の保護膜を形成した後、その第3の保護
膜を介して、第1の保護膜をストライプ状にエッチング
する工程により、第1の保護膜を形成することを特徴と
する。これは即ち第1の保護膜の形成方法を示すもので
ある。
【0016】また本発明では、前記第1の工程におい
て、第1の保護膜をリフトオフ法により形成することを
特徴とする。
【0017】さらに、前記第2の保護膜はSi酸化物以
外の絶縁材料よりなることを特徴とする。第1の保護膜
としては、Siの酸化物よりなり、前記第2の保護膜は
Ti、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択
された少なくとも一種の元素を含む酸化物、またはB
N、SiC、AlNの内の少なくとも一種を選択し、第
2の保護膜として、さらに好ましくはZr、Hfの酸化
物、BN、SiCを用いる。第1の保護膜と第2の保護
膜とをこれらの材料にすると、保護膜の溶解度差、エッ
チング速度差により、リフトオフにより第1の保護膜の
みが除去できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の電極形成方法の
工程を説明するための、窒化物半導体ウェーハの部分的
な構造を示す模式的な断面図であり、エッチングにより
形成したストライプ導波路に対し垂直方向、即ち共振面
に対して平行方向で切断した際の図を示している。本発
明の第1の工程では図1(c)に示すように、最上層に
あるp側コンタクト層13の上にストライプ状の第1の
保護膜61を形成する。
【0019】第1の保護膜61は、特に絶縁性は問わ
ず、窒化物半導体のエッチング速度と差がある材料であ
ればどのような材料でも良い。例えばSi酸化物(Si
2を含む)、フォトレジスト等が用いられ、好ましく
は、後に形成する第2の保護膜との溶解度差を設けるた
めに、第2の保護膜よりも酸に対して溶解されやすい性
質を有している材料を選択する。酸としてはフッ酸を好
ましく用い、そのためフッ酸に対して溶解しやすい材料
として、Si酸化物を好ましく用いる。第1の保護膜の
ストライプ幅(W)としては4μm〜0.5μm、好ま
しくは3μm〜1μmに調整する。第1の保護膜61の
ストライプ幅が、おおよそ導波路領域のストライプ幅に
相当する。
【0020】図1(a)、(b)は前記第1の保護膜6
1を形成するための具体的な工程を示すものである。即
ち、図1(a)に示すように、第1の保護膜61をp側
コンタクト層13の表面のほぼ全面に形成し、次にその
第1の保護膜61の上にストライプ状の第3の保護膜6
3を形成する。その後、図1(b)に示すように、その
第3の保護膜63をつけたまま、第1の保護膜61をエ
ッチングした後、第3保護膜63を除去すれば、図1
(c)に示すようなストライプ状の第1の保護膜61を
形成することができる。なお第3の保護膜63をつけた
ままエッチングガス、若しくはエッチング手段等を変え
て、p側コンタクト層13側からエッチングすることも
できる。
【0021】また図1(c)に示すようなストライプ状
の第1の保護膜61を形成するにはリフトオフ法を用い
ることもできる。即ち、ストライプ状の孔が開いた形状
のフォトレジストを形成し、そのフォトレジストの上か
ら全面に第1の保護膜を形成し、その後フォトレジスト
を溶解除去することにより、p側コンタクト層と接触し
ている第1の保護膜のみを残す手段である。なおリフト
オフ法でストライプ状の第1の保護膜を形成するより
も、前記図1(a)、(b)のようにエッチングにより
形成する方が端面がほぼ垂直で形状が整ったストライプ
が得られやすい傾向にある。
【0022】次に本発明の第2の工程では図1(d)に
示すように、第1の保護膜61を介して、該第1の保護
膜61が形成されていない部分のp側コンタクト層13
からエッチングして、第1の保護膜61の直下部分に保
護膜の形状に応じたストライプ状の導波路領域を形成す
る。エッチングを行う場合、エッチストップをどの位置
にするかでレーザ素子の構造、特性が異なってくる。エ
ッチストップはp側コンタクト層よりも下の層であれば
どの窒化物半導体層で止めてもよい。図1に示す例では
p側コンタクト層13の下にあるp側クラッド層12の
途中をエッチストップとしている。p側クラッド層の下
端面からp側コンタクト層方向0.2μmよりも基板側
をエッチストップとすると、ストライプがリッジとなっ
て屈折率導波路型のレーザ素子ができる。下端面とは厚
さ方向に対して最も下のクラッド層の面を指し、先にも
述べたようにクラッド層の下に光ガイド層がある場合に
は、ガイド層とクラッド層の界面が下端面に相当する。
エッチストップをこの下端面よりも上にすると、エッチ
ング時間が短くなり、またエッチングレートを制御しや
すいので、生産技術上都合がよい。また、p側クラッド
層がストライプの下に存在しているため、閾値は高くな
る傾向にあるが、電極間のショートが少ない素子が容易
にできる。
【0023】一方、また図1には示していないが、エッ
チストップをp側クラッド層の下端面よりも下にある窒
化物半導体とすることもできる。下端面よりも基板側の
層をエッチストップとすると、側面の露出する面積が多
く、電極がショートしやすい傾向にあるものの、閾値が
著しく低下する傾向にあり、その点では好ましい。
【0024】エッチング手段としては、例えばRIE
(反応性イオンエッチング)のようなドライエッチング
を用いる場合、第1の工程で多用するSi酸化物よりな
る第1の保護膜をエッチングするには、CF4のような
フッ素化合物系のガスを用いることが望ましく、第2の
工程では窒化物半導体をエッチングするには他のIII−
V族化合物半導体で良く用いられている、Cl2、CC
4、SiCl4のような塩素系のガスを用いると、Si
酸化物との選択比が大きくできるため望ましい。
【0025】次に第3の工程では、図1(e)に示すよ
うに、第1の保護膜61と異なる材料であって、絶縁性
を有する第2の保護膜62を、ストライプ状の導波路の
側面と、エッチングされて露出した窒化物半導体層(図
1eでは、p側クラッド層12)の平面とに形成する。
第1の保護膜61は第2の保護膜62と異なる材料より
なるため、エッチング手段に対して、第2の保護膜と選
択性を有している。そのため、後に第1の保護膜61の
みを、例えばフッ酸で除去すると、次の図1(f)に示
すような、p型クラッド層12の表面とストライプの側
面との両方に連続した第2の保護膜62を形成すること
ができる。第2の保護膜を連続して形成することによ
り、高い絶縁性を保持できる。しかも第1の保護膜61
の上から連続して第2の保護膜62を形成すると、p側
クラッド層12の上に均一な膜厚で形成できるため、膜
厚の不均一が起こりにくく、膜厚の不均一に起因する電
流の集中も発生しなくなる。なお、第2の工程において
エッチストップをp側クラッド層12の途中としている
ため、図1(e)では第2の保護膜62はp側クラッド
層の平面に形成されるが、エッチストップをp側クラッ
ド層12よりも下にすると、当然第2の保護膜はそのエ
ッチストップした窒化物半導体層の平面に形成されるこ
とは言うまでもない。
【0026】第2の保護膜の材料としてはSiO2以外
の材料、好ましくはTi、V、Zr、Nb、Hf、Ta
よりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む
酸化物、BN、SiC、AlNの内の少なくとも一種で
形成することが望ましく、その中でもZr、Hfの酸化
物、BN、SiCを用いることが特に好ましい。これら
の材料はフッ酸に対しても多少溶解する性質を有してい
るものもあるが、レーザ素子の絶縁層にすれば埋め込み
層としてSiO2よりもかなり信頼性が高くなる傾向に
ある。またPVD、CVDのような気相で製膜した酸化
物系薄膜は、その元素と酸素とが当量反応した酸化物と
なりにくいので、酸化物系薄膜の絶縁性に対する信頼性
が不十分となりにくい傾向にあるが、本発明で選択した
前記元素のPVD、CVDによる酸化物、BN、Si
C、AlNはSi酸化物よりも絶縁性に対して信頼性に
優れている傾向にある。しかも酸化物の屈折率を窒化物
半導体よりも小さいもの(例えばSiC以外のもの)を
選択すると、レーザ素子の埋め込み層として非常に都合
がよい。さらにまた、第1の保護膜61をSi酸化物と
すると、Si酸化物に対して、フッ酸による選択性を有
しているため、図1(e)に示すようにストライプ導波
路の側面、そのストライプが形成されている平面(エッ
チストップ層)、及び第1の保護膜61の表面に連続し
て形成すると、リフトオフ法により、第1の保護膜61
のみを除去すると、図1(f)に示すような、平面に対
して膜厚が均一な第2の保護膜62を形成することがで
きる。
【0027】次に本発明の第4の工程では、図1(f)
に示すように、第1の保護膜61を除去した後に、次に
図1(g)に示すように、第2の保護膜62とp側コン
タクト層13の上に、そのp側コンタクト層と電気的に
接続したp電極を形成する。本発明では、先に第2の保
護膜を先に形成しているために、このp電極を形成する
際に、ストライプ幅の狭いコンタクト層のみに形成する
必要がなく、大面積で形成できる。しかも、オーミック
接触を兼ねた電極材料を選択してオーミックとボンディ
ング用の電極を兼ねた電極とを一緒に形成できる。
【0028】窒化物半導体レーザ素子では、ストライプ
状の導波路領域を形成する場合、ウェットエッチングで
はエッチングが難しいため、ドライエッチングが用いら
れる。ドライエッチングでは、第1の保護膜と窒化物半
導体との選択性が重要視されるため、第1の保護膜とし
てSiO2が用いられる。しかしながらSiO2をエッチ
ストップした層の平面に形成する第2の保護膜にも使用
することは、絶縁性が不十分であり、また第1の保護膜
と同一材料であるので、第1の保護膜のみを除去するこ
とが困難となる。そのため、本発明では、第2の保護膜
をSiO2以外の材料とすると、第1の保護膜との選択
性が得られる、しかも第2の保護膜形成後は窒化物半導
体をエッチングしないため、第2の保護膜は、窒化物半
導体とのエッチング速さに関して、問題とされない。
【0029】
【実施例】[実施例1]図2は本発明の一実施例に係る
レーザ素子の構造を示す模式的な断面図でありストライ
プ導波路に垂直な方向で切断した際の図を示すものであ
る。以下、この図を基に実施例1について説明する。
【0030】(下地層2)1インチφ、C面を主面とす
るサファイアよりなる異種基板1をMOVPE反応容器
内にセットし、温度を500℃にして、トリメチルガリ
ウム(TMG)、アンモニア(NH3)を用い、GaN
よりなるバッファ層を200オングストロームの膜厚で
成長させる。バッファ層成長後、温度を1050℃にし
て、同じくGaNよりなる下地層2を4μmの膜厚で成
長させる。この下地層は保護膜を部分的に表面に形成し
て、次に窒化物半導体基板の選択成長を行うための下地
層として作用する。
【0031】(保護膜3)下地層成長後、ウェーハを反
応容器から取り出し、この下地層の表面に、ストライプ
状のフォトマスクを形成し、PVD装置によりストライ
プ幅10μm、ストライプ間隔(窓部)2μmのSiO
2よりなる保護膜3を形成する。保護膜の形状はストラ
イプの窓部よりも保護膜の面積を大きくする方が、次に
成長させる結晶欠陥の少ない窒化物半導体基板が得られ
る。保護膜の材料としては、例えば酸化ケイ素(SiO
X)、窒化ケイ素(SiXY)、酸化チタン(Ti
X)、酸化ジルコニウム(ZrOX)等の酸化物、窒化
物、またこれらの多層膜の他、1200℃以上の融点を
有する金属等を用いることができる。これらの保護膜材
料は、窒化物半導体の成長温度600℃〜1100℃の
温度にも耐え、その表面に窒化物半導体が成長しない
か、若しくは成長しにくい性質を有している。なおこの
保護膜3は窒化物半導体基板4の成長を行うための保護
膜であり、本発明の方法の保護膜とは異なる。
【0032】(窒化物半導体基板4)保護膜形成後、ウ
ェーハを再度MOVPEの反応容器内にセットし、温度
を1050℃にして、TMG、アンモニアを用い、アン
ドープGaNよりなる窒化物半導体基板4を20μmの
膜厚で成長させる。この窒化物半導体基板は保護膜3上
部において横方向に成長されたものであるため、結晶欠
陥が105個/cm2以下と下地層2に比較して2桁以上少
なくなる。
【0033】(n側コンタクト層5)次に、アンモニア
とTMG、不純物ガスとしてシランガスを用い、窒化物
半導体基板1の上に、1050℃でSiを3×1018
cm3ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層5を4
μmの膜厚で成長させる。
【0034】(クラック防止層6)次に、TMG、TM
I(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度
を800℃にしてIn0.06Ga0.94Nよりなるクラック
防止層6を0.15μmの膜厚で成長させる。なお、こ
のクラック防止層は省略可能である。
【0035】(n側クラッド層7)続いて、1050℃
でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモ
ニアを用い、アンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層
を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてTM
Aを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm
3ドープしたn型GaNよりなる層を25オングストロ
ームの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超
格子層を構成し、総膜厚1.2μmの超格子よりなるn
側クラッド層7を成長させる。
【0036】(n側光ガイド層8)続いて、シランガス
を止め、1050℃でアンドープGaNよりなるn側光
ガイド層8を0.1μmの膜厚で成長させる。このn側
光ガイド層8にn型不純物をドープしても良い。
【0037】(活性層9)次に、温度を800℃にし
て、SiドープIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層を1
00オングストロームの膜厚で成長させ、続いて同一温
度で、アンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を4
0オングストロームの膜厚で成長させる。障壁層と井戸
層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜
厚380オングストロームの多重量子井戸構造(MQ
W)の活性層を成長させる。活性層は本実施例のように
アンドープでもよいし、またn型不純物及び/又はp型
不純物をドープしても良い。不純物は井戸層、障壁層両
方にドープしても良く、いずれか一方にドープしてもよ
い。なお障壁層にのみn型不純物をドープすると閾値が
低下しやすい。
【0038】(p側キャップ層10)次に、温度を10
50℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、Cp2M
g(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側
光ガイド層11よりもバンドギャップエネルギーが大き
い、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga
0.7Nよりなるp側キャップ層7を300オングストロ
ームの膜厚で成長させる。
【0039】(p側光ガイド層11)続いてCp2M
g、TMAを止め、1050℃で、バンドギャップエネ
ルギーがp側キャップ層10よりも小さい、アンドープ
GaNよりなるp側光ガイド層11を0.1μmの膜厚
で成長させる。
【0040】(p側クラッド層12)続いて、1050
℃でアンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層を25オ
ングストロームの膜厚で成長させ、続いてCp2Mg、
TMAを止め、アンドープGaNよりなる層を25オン
グストロームの膜厚で成長させ、総膜厚0.6μmの超
格子層よりなるp側クラッド層12を成長させる。p側
クラッド層は少なくとも一方がAlを含む窒化物半導体
層を含み、互いにバンドギャップエネルギーが異なる窒
化物半導体層を積層した超格子で作製した場合、不純物
はいずれか一方の層に多くドープして、いわゆる変調ド
ープを行うと結晶性が良くなる傾向にあるが、両方に同
じようにドープしても良い。クラッド層12は、Alを
含む窒化物半導体層、好ましくはAlXGa1-XN(0<
X<1)を含む超格子構造とすることが望ましく、さら
に好ましくはGaNとAlGaNとを積層した超格子構
造とする。p側クラッド層12を超格子構造とすること
によって、クラッド層全体のAl混晶比を上げることが
できるので、クラッド層自体の屈折率が小さくなり、さ
らにバンドギャップエネルギーが大きくなるので、閾値
を低下させる上で非常に有効である。さらに、超格子と
したことにより、クラッド層自体に発生するピットが超
格子にしないものよりも少なくなるので、ショートする
確率も低くなる。
【0041】(p側コンタクト層13)最後に、105
0℃で、p側クラッド層9の上に、Mgを1×1020
cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層1
3を150オングストロームの膜厚で成長させる。p側
コンタクト層はp型のInXAlYGa1-X-YN(0≦X、
0≦Y、X+Y≦1)で構成することができ、好ましくは
MgをドープしたGaNとすれば、p電極20と最も好
ましいオーミック接触が得られる。コンタクト層13は
電極を形成する層であるので、1×1017/cm3以上の
高キャリア濃度とすることが望ましい。1×1017/cm
3よりも低いと電極と好ましいオーミックを得るのが難
しくなる傾向にある。さらにコンタクト層の組成をGa
Nとすると、電極材料と好ましいオーミックが得られや
すくなる。
【0042】以上のようにして窒化物半導体を成長させ
たウェーハを反応容器から取り出し、最上層のp側コン
タクト層の表面にSiO2よりなる保護膜を形成して、
RIE(反応性イオンエッチング)を用いSiCl4
スによりエッチングし、図2に示すように、n電極を形
成すべきn側コンタクト層5の表面を露出させる。この
ように窒化物半導体を深くエッチングするには保護膜と
してSiO2が最適である。
【0043】次に本発明の電極形成方法について詳説す
る。まず、図1(a)に示すように、最上層のp側コン
タクト層13のほぼ全面に、PVD装置により、Si酸
化物(主として、SiO2)よりなる第1の保護膜61
を0.5μmの膜厚で形成した後、第1の保護膜61の
上に所定の形状のマスクをかけ、フォトレジストよりな
る第3の保護膜63を、ストライプ幅2μm、厚さ1μ
mで形成する。
【0044】次に、図1(b)に示すように第3の保護
膜63形成後、RIE(反応性イオンエッチング)装置
により、CF4ガスを用い、第3の保護膜63をマスク
として、前記第1の保護膜をエッチングして、ストライ
プ状とする。その後エッチング液で処理してフォトレジ
ストのみを除去することにより、図1(c)に示すよう
にp側コンタクト層13の上にストライプ幅2μmの第
1の保護膜61が形成できる。
【0045】さらに、図1(d)に示すように、ストラ
イプ状の第1の保護膜61形成後、再度RIEによりS
iCl4ガスを用いて、p側コンタクト層13、および
p側クラッド層12をエッチングして、ストライプ状の
導波路領域(この場合、リッジストライプ)を形成す
る。ストライプを形成する際、そのストライプの断面形
状を図2に示すような順メサの形状とすると、横モード
がシングルモードとなりやすく非常に好ましい。このス
トライプ形状は本発明のストライプ導波路の形状全てに
ついて適用可能である。
【0046】リッジストライプ形成後、ウェーハをPV
D装置に移送し、図1(e)に示すように、Zr酸化物
(主としてZrO2)よりなる第2の保護膜62を、第
1の保護膜61の上と、エッチングにより露出されたp
側クラッド層12の上に0.5μmの膜厚で連続して形
成する。
【0047】第2の保護膜62形成後、ウェーハを60
0℃で熱処理する。このようにSiO2以外の材料を第
2の保護膜として形成した場合、第2の保護膜製膜後
に、300℃以上、好ましくは400℃以上、窒化物半
導体の分解温度以下(1200℃)で熱処理することに
より、第2の保護膜が第1の保護膜の溶解材料(フッ
酸)に対して溶解しにくくなり、この工程を加えること
がさらに望ましい。
【0048】次に、ウェーハをフッ酸に浸漬し、図1
(f)に示すように、第1の保護膜61をリフトオフ法
により除去する。
【0049】次に図1(g)に示すように、p側コンタ
クト層13の上の第1の保護膜61が除去されて露出し
たそのp側コンタクト層の表面にNi/Auよりなるp
電極20を形成する。但しp電極20は100μmのス
トライプ幅として、この図に示すように、第2の保護膜
62の上に渡って形成する。
【0050】第2の保護膜形成後、一番最初に露出させ
たn側コンタクト層5の表面にはTi/Alよりなるn
電極21をストライプと平行な方向で形成する。
【0051】以上のようにして、n電極とp電極とを形
成したウェーハのサファイア基板を研磨して70μmと
した後、ストライプ状の電極に垂直な方向で、基板側か
らバー状に劈開し、劈開面(11−00面、六角柱状の
結晶の側面に相当する面=M面)に共振器を作製する。
共振器面にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形
成し、最後にp電極に平行な方向で、バーを切断して図
2に示すようなレーザ素子とする。なお共振器長は30
0〜500μmとすることが望ましい。
【0052】このレーザ素子をヒートシンクに設置し、
それぞれの電極をワイヤーボンディングして、室温でレ
ーザ発振を試みたところ、発振波長400〜420n
m、閾値電流密度2.9kA/cm2において室温連続発
振を示した。さらに電流値を上げて出力を上げ、40m
Wとしても、素子自体にショートは発生せず、50時間
以上の連続発振を続けた。
【0053】一方、第2の保護膜をSiO2とした従来
のものは、閾値電流密度はほぼ同じで連続発振したが、
出力を40mWとすると、即、電極間でショートが発生
するものがあった。
【0054】[実施例2]実施例1において、ストライ
プ導波路形成後、第2の保護膜62を形成する際に、P
VD装置で、BNを0.5μmの膜厚で連続して形成す
る他は実施例と同様にしてレーザ素子を得たところ、実
施例1とほぼ同等の特性を有するレーザ素子が得られ
た。
【0055】[実施例3]実施例1において、ストライ
プ導波路形成後、第2の保護膜62を形成する際に、P
VD装置で、Hf酸化物(主としてHfO2)を0.5
μmの膜厚で連続して形成する他は実施例と同様にして
レーザ素子を得たところ、実施例1とほぼ同等の特性を
有するレーザ素子が得られた。
【0056】[実施例4]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、SiCを0.
5μmの膜厚で連続して形成する他は実施例と同様にし
てレーザ素子を得たところ、実施例1とほぼ同等の特性
を有するレーザ素子が得られた。
【0057】[実施例5]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、Ti酸化物
(主としてTiO2)を0.5μmの膜厚で連続して形
成する他は実施例と同様にしてレーザ素子を得たとこ
ろ、閾値がやや高くなり、40mWの出力において、寿
命が40時間とやや短くなった。
【0058】[実施例6]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、V酸化物(主
としてV23)を0.5μmの膜厚で連続して形成する
他は実施例と同様にしてレーザ素子を得たところ、実施
例5とほぼ同等の特性を示した。
【0059】[実施例7]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、Nb酸化物
(主としてNb25)を0.5μmの膜厚で連続して形
成する他は実施例と同様にしてレーザ素子を得たとこ
ろ、実施例5とほぼ同等の特性を示した。
【0060】[実施例8]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、Ta酸化物
(主としてTa25)を0.5μmの膜厚で連続して形
成する他は実施例と同様にしてレーザ素子を得たとこ
ろ、実施例5とほぼ同等の特性を示した。
【0061】[実施例9]実施例1において、第2の保
護膜62を形成する際に、PVD装置で、AlNを0.
5μmの膜厚で連続して形成する他は実施例と同様にし
てレーザ素子を得たところ、実施例5とほぼ同等の特性
を示した。
【0062】[実施例10]実施例1において、p側コ
ンタクト層13成長後、そのp側コンタクト層13の上
に2μmのストライプ状の開口部を有するフォトレジス
トを、0.5μmの膜厚で形成した後、そのフォトレジ
ストの上から、Si酸化物(主として、SiO2)より
なる第1の保護膜61を0.5μmの膜厚で形成する。
その後リフトオフ法により、フォトレジストを溶解除去
することにより、図1(c)に示すような2μmのスト
ライプ幅を有する第1の保護膜61を形成する。後は実
施例1と同様にしてレーザ素子を作製したところ、実施
例1とほぼ同等の特性を有するレーザ素子が得られた。
【0063】[実施例11]図3は本発明の他の実施例
に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、
以下この図を元に実施例11について説明する。
【0064】(窒化物半導体基板4’)実施例1におい
て、下地層2の表面にストライプ状の保護膜3形成後、
ウェーハを再度MOVPEの反応容器内にセットし、温
度を1050℃にして、TMG、アンモニアを用い、ア
ンドープGaNを5μmの膜厚で成長させる。その後、
ウェーハをHVPE(ハイドライド気相成長法)装置に
移送し、原料にGaメタル、HClガス、及びアンモニ
アを用い、アンドープGaNよりなる窒化物半導体基板
4’を200μmの膜厚で成長させる。このようにMO
VPE法により保護膜3の上に窒化物半導体を成長させ
た後、HVPE法で100μm以上のGaN厚膜を成長
させると結晶欠陥は実施例1に比較してもう一桁以上少
なくなる。窒化物半導体基板4’成長後、ウェーハを反
応容器から取り出し、サファイア基板1、バッファ層
2、保護膜3、アンドープGaN層を研磨により除去
し、窒化物半導体基板4’単独とする。
【0065】後は実施例1と同様にして、研磨側と反対
側の窒化物半導体基板4’の上にn側コンタクト層5〜
p側コンタクト層13までを積層する。
【0066】p側コンタクト層13成長後、実施例1と
同様にして、ストライプ状の第1の保護膜61を形成し
た後、第2の工程において、エッチングストップをn側
コンタクト層5の表面とする。後は実施例と同様にし
て、ZrO2を主成分とする第2の保護膜62をストラ
イプ導波路の側面、及びn側コンタクト層5の表面に形
成した後、それぞれのコンタクト層に電極を形成して、
図3に示すような構造のレーザ素子とする。なお共振面
を形成する場合、窒化物半導体基板の劈開面は実施例1
と同じM面とする。このレーザ素子は実施例1に比較し
て、閾値電流密度は1.8kA/cm2にまで低下し、寿
命は3倍以上向上した。
【0067】[実施例12]図4は本発明の他の実施例
に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、
以下この図を元に実施例11について説明する。
【0068】実施例11において、窒化物半導体基板
4'を作製する際にHVPE装置において原料にシラン
ガスを加え、Siを1×1018/cm3ドープしたGaN
よりなる窒化物半導体基板4''を200μmの膜厚で成
長させる。なおSi濃度は1×1017/cm3〜5×10
19/cm3の範囲とすることが望ましい。窒化物半導体基
板4''成長後、実施例1と同様にしてサファイア基板
1、バッファ層2、保護膜3、アンドープGaN層を研
磨して除去し、窒化物半導体基板4''単体とする。
【0069】次にこの窒化物半導体基板4''の上に実施
例1と同様にして、クラック防止層6〜p側コンタクト
層13までを積層成長させる。p側コンタクト層13成
長後、実施例1と同様にして、ストライプ状の第1の保
護膜61を形成した後、第2の工程において、エッチン
グストップを図4に示すn側クラッド層7の表面とす
る。後は実施例と同様にして、ZrO2を主成分とする
第2の保護膜62をストライプ導波路の側面と、n側ク
ラッド層7の表面とに形成した後、その第2の保護膜を
介してp電極20を形成する。一方、窒化物半導体基板
の裏面側のほぼ全面にn電極21を形成する。電極形成
後、窒化物半導体基板のM面で劈開して、共振面を作製
し、図3に示すような構造のレーザ素子としたところ、
実施例11とほぼ同等の特性を有するレーザ素子が得ら
れた。
【0070】なお実施例12のレーザ素子を作製する工
程において、第2の工程においてエッチングストップ
を、窒化物半導体基板の上に積層した種々の半導体層と
した場合に、レーザ素子の閾値電流密度と、エッチング
深さとの関係を示している。Aはp側クラッド層12の
上端面から0.1μm入ったところ、Bはp側クラッド
層が0.2μm残ったところ、Cはp側光ガイド層11
の中央、Dはn側光ガイド層8の中央、Eはn側クラッ
ド層7の中央、Fは基板上端面から0.1μm入ったと
ころを示している。この図に示すように、エッチングス
トップをp側クラッド層の下端面よりも基板側の層とす
ると閾値が著しく低下することが分かる。また、B点よ
りも深くエッチングすると、2.0kA/cm2以下の
閾値電流密度が得られる。2.0kA/cm2より閾値
が高くなると、高出力で500時間以上連続発振させた
場合に、レーザ素子が切れやすい傾向にある。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子ではストライプ導波路領域の側面、及びその側面と連
続した窒化物半導体の平面に、絶縁性に優れて信頼性が
高い保護膜が形成されているために、その保護膜の上に
電極を形成して、高電流を流しても、電極間でショート
せずにレーザ素子の寿命を延ばすことができる。さらに
その位置をp側クラッド層下端面より基板側にすること
により、閾値が著しく低下したレーザ素子を作製でき
る。また本発明の方法によると、ほぼ均一な膜厚でクラ
ッド層の上に保護膜が形成できるので、電流の集中が起
こることが少ない。また第1の保護膜の材料と、第2の
保護膜との材料を異ならせているために、保護膜による
エッチング手段による選択性を用いて、再現性よく電極
形成を行うことができる。このように本発明は、これか
らレーザ素子を高出力にして長寿命化するために、非常
に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の各工程を説明するための、各
工程においてそれぞれ得られるウェーハの部分的な構造
を示す模式断面図。
【図2】 本発明の一実施例にかかるレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図3】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図5】 エッチングストップ層と、レーザ素子の閾値
電流密度との関係を示す図。
【図6】 従来のレーザ素子の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・異種基板 2・・・下地層 3・・・窒化物半導体基板成長用の保護膜 4、4’4''・・・窒化物半導体基板 5・・・n側コンタクト層 6・・・クラック防止層 7・・・n側クラッド層 8・・・n側光ガイド層 9・・・活性層 10・・・p側キャップ層 11・・・p側光ガイド層 12・・・p側クラッド層 13・・・p側コンタクト層 61・・・第1の保護膜 62・・・第2の保護膜 63・・・第3の保護膜 20・・・p電極 21・・・n電極

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のp型窒化物半導体を含むp側クラ
    ッド層の上に、第2のp型窒化物半導体を含むp側コン
    タクト層が積層され、そのp側コンタクト層側からエッ
    チングされて、p側コンタクト層よりも下の層に、スト
    ライプ状の導波路領域が設けられた窒化物半導体レーザ
    素子において、そのストライプ導波路のストライプの両
    側面、およびその側面と連続した窒化物半導体層の平面
    には、Si酸化物以外の絶縁膜が形成され、さらにその
    絶縁膜を介して、前記ストライプの最上層にあるコンタ
    クト層の表面に電極が設けられていることを特徴とする
    窒化物半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記ストライプの両側面と連続した窒化
    物半導体の平面が、p側クラッド層の膜厚方向におい
    て、下端面からp側コンタクト層方向0.2μmよりも
    基板側にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物
    半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記ストライプの両側面と連続した窒化
    物半導体の平面が、p側クラッド層下端面よりも基板側
    にあることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体
    レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記ストライプの幅が、4μm〜0.5
    μmの範囲を有することを特徴とする請求項1乃至3の
    内のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 前記絶縁膜が、Ti、V、Zr、Nb、
    Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の
    元素を含む酸化物、BN、SiC、AlNの内の少なく
    とも一種からなることを特徴とする請求項1に記載の窒
    化物半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 第1のp型窒化物半導体を含むp側クラ
    ッド層の上に、第2のp型窒化物半導体を含むp側コン
    タクト層を積層した後、そのp側コンタクト層の表面
    に、ストライプ状の第1の保護膜を形成する第1の工程
    と、 第1の保護膜を介して、該第1の保護膜が形成されてい
    ない部分の窒化物半導体をエッチングして、保護膜直下
    部分にストライプ状の導波路領域を形成する第2の工程
    と、 第2の工程後、第1の保護膜と異なる材料であって、絶
    縁性を有する第2の保護膜を、ストライプ導波路の側面
    及びエッチングされて露出した窒化物半導体層の平面に
    形成する第3の工程と、 第3の工程後、第1の保護膜を除去して、前記第2の保
    護膜と最上層のp型窒化物半導体層の表面に、そのp側
    コンタクト層と電気的に接続した電極を形成する第4の
    工程とを具備することを特徴とする窒化物半導体レーザ
    素子の電極形成方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の工程において、エッチングス
    トップをp側クラッド層の膜厚方向において、p側クラ
    ッド層の下端面からp側コンタクト層方向0.2μmよ
    りも基板側にある窒化物半導体の平面とすることを特徴
    とする請求項6に記載の電極形成方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の工程において、エッチングス
    トップをp側クラッド層の下端面よりも基板側にある窒
    化物半導体の平面とすることを特徴とする請求項6に記
    載の電極形成方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の工程において、p側コンタク
    ト層のほぼ全面に第1の保護膜を形成し、その第1の保
    護膜の上にストライプ状の第3の保護膜を形成した後、
    その第3の保護膜を介して、第1の保護膜をストライプ
    状にエッチングする工程により、第1の保護膜を形成す
    ることを特徴とする請求項6に記載の電極形成方法。
  10. 【請求項10】 前記第1の工程において、第1の保護
    膜をリフトオフ法により形成することを特徴とする請求
    項6に記載の電極形成方法。
  11. 【請求項11】 前記第2の保護膜はSi酸化物以外の
    絶縁材料よりなることを特徴とする請求項6乃至9の内
    のいずれか1項に記載の電極形成方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の保護膜はSiの酸化物より
    なり、前記第2の保護膜はTi、V、Zr、Nb、H
    f、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元
    素を含む酸化物、またはBN、SiC、AlNの内の少
    なくとも一種よりなることを特徴とする請求項6乃至1
    1の内のいずれか1項に記載の電極形成方法。
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