JPH0921269A - 引戸用レール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス戸のような戸車を有する引戸の開閉に
伴う騒音の発生を減少せしめるために敷居上に取付けら
れる引戸用レールを提供する。 【構成】 弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムを素材と
した長尺板体からなるレール下層体１の上面に長手方向
に沿う嵌合凹条２を形成してなる下レールＡと、剛性を
有する合成樹脂や金属を素材とした長尺板体からなるレ
ール上層体３の上面に長手方向に沿う断面略Ｖ字状の戸
車ガイド溝４を形成するとともに該レール上層体３の下
面に上記嵌合凹条２に嵌合する嵌合突条５を形成してな
る上レールＢとからなり、嵌合凹条２に嵌合突条５を嵌
合し、下レールＡ上に上レールＢを密着させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はガラス戸のような戸車を
有する引戸の開閉の用に供される引戸用レール、特に、
合成樹脂や金属を素材とした長尺板体の上面に長手方向
に沿う断面略Ｖ字状の戸車ガイド溝を設けてなる通称Ｖ
型レールと称される引戸用レールに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、引戸用レールとしては、引戸の下
面に装着された戸車をガイドするための棒状からなるレ
ールを敷居や床面上に装着してなるものが一般に使用さ
れていたが、戸車がレールを跨いで回動するために戸車
の痛みや動摩擦抵抗の増大に伴う引戸の開閉性の低下を
来すばかりでなく、レールが床面上に突出するために老
人が該レールに躓いて骨折する等の弊害をも合わせ生じ
ていた。

【０００３】そこで、最近では上記弊害を防止するため
に戸車との接触面積が比較的小さくて動きが軽く、しか
も敷居や床面と略面一に取付けられる前記Ｖ型レールが
集合住宅を中心に広く使用されるようになった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記Ｖ型レ
ールはあまりにも戸車の回動が軽いために自ずから引戸
の動きが速くなり、この結果、振動音が高くなり、しか
も、このＶ型レールは滑性に優れた合成樹脂や金属を素
材とした長尺角棒状体からなるレール基体の上面に長手
方向に沿う断面略Ｖ字状の戸車ガイド溝を刻設してなる
一体成形体を敷居や床面上に形成された溝にハンマー等
による打ち込みにより埋設してなるものであるために上
記振動音がレール基体と溝の壁面や底面との界面におけ
る共鳴により増幅されて階上や階下等に伝わり響くと言
う騒音に対する苦情が新たな弊害として生じているが、
未だ充分に解決されていないのが現状である。

【０００５】本発明は上記従来品の欠点を解消すべく発
明されたものであって、引戸の開閉に際して軽い力でス
ムーズに行え、しかもこれに伴う騒音の発生の少ない引
戸用レールを提供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み発明
されたものであって、弾発力を有する合成樹脂や合成ゴ
ムを素材とした長尺板体からなるレール下層体の上面に
長手方向に沿う嵌合凹条を形成してなる下レールと、剛
性を有する合成樹脂や金属を素材とした長尺板体からな
るレール上層体の上面に長手方向に沿う断面略Ｖ字状の
戸車ガイド溝を形成するとともに該レール上層体の下面
に上記嵌合凹条に嵌合する嵌合突条を形成してなる上レ
ールとからなり、嵌合凹条に嵌合突条を嵌合し、下レー
ル上に上レールを密着せしめてなることを特徴とする引
戸用レールである。

【０００７】本発明における引戸用レールは、戸車の回
動に際しての過度な応力による下レールの変形に伴う上
レールの極端な傾斜を防止するとともに該上レールと下
レールとの密着性を良好ならしめるためにレール上層体
の下面両側部に長手方向に沿う係合突起を形成するとと
もにレール下層体の上面両側部に上記係合突起に係合す
る係合段部を形成することが好ましい。

【０００８】また、引戸の荷重による下レールの変形を
防止するとともに上レールからの振動の伝播を遮断する
ためにレール基体の底面部近傍に少なくとも該底面に沿
う水平板部を有する金属板体をインサートすることが好
ましい。

【０００９】また、上記上レールと下レールとの密着性
を向上せしめるとともに下レールの変形を防止するため
に嵌合凹条および該嵌合凹条に嵌合する嵌合突条は弾性
により互いに嵌合する蟻溝および膨出突条であることが
好ましい。

【００１０】また、敷居や床面の溝への下レールの固定
性を良好ならしめるためにレール下層体の下面に両面粘
着テープを付着してなるものの使用が好ましい。

【００１１】また、上記上レールと下レールとの密着性
をより良好ならしめるためにレール下層体とレール上層
体との界面に両面粘着テープを成層して一体となしたも
のの使用が好ましい。

【００１２】尚、上記下レールの素材としては高重合度
ポリ塩化ビニル、半硬質ポリ塩化ビニル、クロロプレン
等からなる弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムが使用さ
れる。

【００１３】一方、上レールの素材としては硬質ポリ塩
化ビニル、ポリアセタール、アルミニウム、真鍮のよう
な剛性を有する合成樹脂や金属が使用される。

【００１４】本発明の引戸用レールは上記構成よりなる
ため、施工に際しては敷居や床面に形成された溝の底面
上に下レールの底面が密着するようにハンマー等にて打
ち込み、これを釘着により固定し、次いで、上記引戸用
レールの戸車ガイド溝上に引戸の戸車を載置することに
より使用される。

【００１５】

【作用】本発明は弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムを
素材とした長尺板体からなるレール下層体の上面に長手
方向に沿う嵌合凹条を形成してなる下レールと、剛性を
有する合成樹脂や金属を素材とした長尺板体からなるレ
ール上層体の上面に長手方向に沿う断面略Ｖ字状の戸車
ガイド溝を形成するとともに該レール上層体の下面に上
記嵌合凹条に嵌合する嵌合突条５を形成してなる上レー
ルとからなり、嵌合凹条に嵌合突条を嵌合し、下レール
上に上レールを密着せしめてなる構成よりなり、戸車の
回動に伴い振動音を発生する戸車ガイド溝が位置する部
分と、上記振動音の伝播により敷居の溝との界面におけ
る共鳴により増幅する部分とを、戸車の回動に支障を来
さない剛性を有する上レールと、この上レールの振動自
体を低減するとともに上記伝播された振動音を吸収し得
る弾発力を有する下レールとに分離させていることか
ら、上記振動音および該振動音の共鳴に起因する騒音が
低減される。

【００１６】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例について更
に詳細に説明すれば、図１は本発明の引戸用レールの一
実施例を示す斜視図、図２は同上拡大横断面図、図３は
同上部材たる上レールの拡大横断面図、図４は同上部材
たる下レールの拡大横断面図を各々示すもので、図中、
符号Ａは弾発力に優れた硬質ポリ塩化ビニルを素材とし
て成形された下レールであり、符号１は幅略９ｍｍ、高
さ略６ｍｍの長尺板体からなる下レールＡのレール下層
体であって、上記幅および高さは後述する上レールを含
めて取付けんとする敷居Ｃの溝Ｄの幅および深さと略等
しくなるように形成されているものであり、符号２は上
記レール下層体１の上面の幅方向に対する略中央部に形
成された嵌合凹条であって、断面が略三角形状からなる
蟻溝にして上方に狭幅な上方開口部を有するものであ
る。

【００１７】図中、符号Ｂは剛性に優れたポリアセター
ルを素材として成形された上レールであり、符号３は幅
略９ｍｍ、高さ略５ｍｍの長尺板体からなる上レールＢ
のレール上層体であり、符号４はレール上層体３の上面
に形成された戸車ガイ下溝であって、最大深さが略３ｍ
ｍからなる断面略Ｖ字状の溝を長手方向に沿うように形
成してなるものであり、符号５は上記レール上層体３の
下面略中央部から下方に向けて突設された断面が矢尻状
からなる嵌合突条であって、その先端部分には上記嵌合
凹条２に弾性により嵌合するように断面略三角形状の膨
出突条が設けられている。

【００１８】図中、符号６は上記レール上層体３の下面
両側部に各々突設された係合突起であって、幅略２ｍ
ｍ、高さ略３ｍｍにして、上記嵌合突条５と共同して下
レールＡの上方部分を挟着し得るように突設してなるも
のである。

【００１９】図中、符号７はレール下層体１の上面両側
部に各々形成された係合段部であって、上記係合突起６
の係合の用に供されるものである。

【００２０】図中、符号８は上記レール下層体１の底面
部近傍にインサートされた金属板体であって、レール下
層体１の底面に沿うように水平金属薄板をインサートし
てなるものである。

【００２１】図中、符号９はレール下層体１の下面に付
着された両面粘着テープを示すものであって、下面に剥
離紙を貼着してなるものである。

【００２２】図中、符号１０はレール下層体１とレール
上層体３との界面に付着された両面粘着テープを示すも
のである。

【００２３】尚、符号１１はレール下層体１の両側壁面
に突設された突条を示すものであって、敷居Ｃの溝Ｄへ
の固定性を良好ならしめるために各々等間隔をもって二
条突設してなるものである。

【００２４】図５は本発明の引戸用レールの使用状態を
示す一部欠截拡大断面図であって、敷居Ｃの溝Ｄに上レ
ールＢを装着してなる下レールＡを打ち込み、これを釘
着することにより固定し、次いで、固定された上レール
Ｂの戸車ガイド溝４の面上に引戸の戸車Ｅを載置するこ
とにより取付けられている。

【００２５】図６は本発明の引戸用レールの他の実施例
を示す拡大横断面図であって、長尺帯状板体からなるレ
ール下層体１の上面両側部近傍に二条の嵌合凹条２を形
成してなる下レールＡと、長尺帯状板体からなるレール
上層体３の下面に上記嵌合凹条２に嵌合する二条の嵌合
突条５を形成してなる上レールＢとからなるものであ
る。

【００２６】

【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の引戸
用レールは弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムを素材と
した長尺板体からなるレール下層体の上面に長手方向に
沿う嵌合凹条を形成してなる下レールと、剛性を有する
合成樹脂や金属を素材とした長尺板体からなるレール上
層体の上面に長手方向に沿う断面略Ｖ字状の戸車ガイド
溝を形成するとともに該レール上層体の下面に上記嵌合
凹条に嵌合する嵌合突条５を形成してなる上レールとか
らなり、嵌合凹条に嵌合突条を嵌合し、下レール上に上
レールを密着せしめてなる構成よりなり、戸車の回動に
伴い振動音を発生する戸車ガイド溝が位置する部分と、
上記振動音を敷居の溝との界面における共鳴により増幅
して騒音を発生させる部分とが別体となった上レールと
下レールとに分離して設けられ、しかも、上レールが戸
車の回動に支障を来さない剛性を有する合成樹脂や金属
を素材として形成され、また、下レールが上レールの振
動自体を吸収するとともに上記伝播された振動音を吸収
し得る弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムを素材として
形成されているため、上記振動音および該振動音の共鳴
に起因する騒音が低減される。

【００２７】また、レール下層体の上面に形成された嵌
合凹条とレール上層体の下面に形成された嵌合突条との
嵌合により下レールと上レールとが一体化されているた
め、下レールの素材として弾発力を有する合成樹脂や合
成ゴムを使用するも引戸の荷重による該下レールの変形
が防止され、更には、レール下層体に金属板体をインサ
ートすることにより上記下レールの変形および振動音の
伝播に伴う共鳴が一段と低減され、これより集合住宅に
おいて使用するも、従来品にみられるような階上や階下
等への騒音の伝播がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の引戸用レールの一実施例を示す斜視
図。

【図２】本発明の引戸用レールの一実施例を示す拡大横
断面図。

【図３】本発明の引戸用レールの一実施例の部材たる上
レールを示す拡大横断面図。

【図４】本発明の引戸用レールの一実施例の部材たる下
レールを示す拡大横断面図。

【図５】本発明の引戸用レールの一実施例の使用状態を
示す一部欠截拡大断面図。

【図６】本発明の引戸用レールの他の実施例を示す拡大
横断面図。

【符号の説明】

Ａ 下レール Ｂ 上レール １ レール下層体 ２ 嵌合凹条 ３ レール上層体 ４ 戸車ガイド溝 ５ 嵌合突条 ６ 係合突起 ７ 係合段部 ８ 金属板体 ９ 両面粘着テープ １０ 両面粘着テープ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾発力を有する合成樹脂や合成ゴムを素
   材とした長尺板体からなるレール下層体１の上面に長手
   方向に沿う嵌合凹条２を形成してなる下レールＡと、剛
   性を有する合成樹脂や金属を素材とした長尺板体からな
   るレール上層体３の上面に長手方向に沿う断面略Ｖ字状
   の戸車ガイド溝４を形成するとともに該レール上層体３
   の下面に上記嵌合凹条２に嵌合する嵌合突条５を形成し
   てなる上レールＢとからなり、嵌合凹条２に嵌合突条５
   を嵌合し、下レールＡ上に上レールＢを密着せしめてな
   ることを特徴とする引戸用レール。
2. 【請求項２】 レール上層体３の下面両側部に長手方向
   に沿う係合突起６を形成するとともにレール下層体１の
   上面両側部に上記係合突起６に係合する係合段部７を形
   成せしめてなることを特徴とする請求項１記載の引戸用
   レール。
3. 【請求項３】 レール下層体１の底面部近傍に少なくと
   も該底面に沿う水平板部を有する金属板体８をインサー
   トせしめてなることを特徴とする請求項１記載の引戸用
   レール。
4. 【請求項４】 嵌合凹条２および該嵌合凹条２に嵌合す
   る嵌合突条５が弾性により互いに嵌合する蟻溝および膨
   出突条であることを特徴とする請求項１記載の引戸用レ
   ール。
5. 【請求項５】 レール下層体１の下面に両面粘着テープ
   ９を付着せしめてなることを特徴とする請求項１記載の
   引戸用レール。
6. 【請求項６】 レール下層体１とレール上層体３との界
   面に両面粘着テープ１０を成層せしめてなることを特徴
   とする請求項１記載の引戸用レール。