JPH09208510A - 4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルの製造方法 - Google Patents

4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルの製造方法

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JPH09208510A
JPH09208510A JP8013472A JP1347296A JPH09208510A JP H09208510 A JPH09208510 A JP H09208510A JP 8013472 A JP8013472 A JP 8013472A JP 1347296 A JP1347296 A JP 1347296A JP H09208510 A JPH09208510 A JP H09208510A
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diphenyl
bis
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JP8013472A
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English (en)
Inventor
Hisaji Taniguchi
久次 谷口
Eisaku Nomura
英作 野村
Masahiro Uchida
昌宏 内田
Norimitsu Nasaka
紀充 名坂
Atsushi Doi
篤 土居
Setsuo Kawashima
節男 川島
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NANKAI KAGAKU KOGYO KK
WAKAYAMA PREF GOV
Wakayama Prefecture
Original Assignee
NANKAI KAGAKU KOGYO KK
WAKAYAMA PREF GOV
Wakayama Prefecture
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【課題】 4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニル
を原料として、4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジ
フェニルを収率よく得ること。 【解決手段】 この製造方法は、4,4′−ビス(クロ
ロメチル)ジフェニルを、親水性有機溶媒中においてア
ルカリ触媒の存在下で加水分解させることにより4,
4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルを得るよう
にしたものである。または、まず4,4′−ビス(クロ
ロメチル)ジフェニルからエステル化物を得、次いでエ
ステル化物をアルカリ触媒または酸触媒の存在下で加水
分解させることにより4,4′−ビス(ヒドロキシメチ
ル)ジフェニルを得るようにしたものである。ここで、
上記のエステル化物を得るにあたっては、4,4′−ビ
ス(クロロメチル)ジフェニルを親水性有機溶媒中で有
機酸塩とエステル化反応させるか、または4,4′−ビ
ス(クロロメチル)ジフェニルを疎水性有機溶媒中にお
いて相間移動触媒の存在下で有機酸塩とエステル化反応
させて得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、4,4′−ビス
(クロロメチル)ジフェニルを出発物質として、4,
4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルを得る製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジフェニルを基本骨格に持つ4,4′−
ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルは、例えばエンジ
ニアリングプラスチックや液晶等の機能性高分子材料用
の原料として期待されている。一方、本発明者等は4,
4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを効率的に得る
製造方法も研究していたことから、発展的に4,4′−
ビス(クロロメチル)ジフェニルを出発物質として4,
4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルを大量に合
成できないものかと推考した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、4,4′−ビス(クロ
ロメチル)ジフェニルを原料として、4,4′−ビス
(ヒドロキシメチル)ジフェニルを収率よく得ることの
できる製造方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、下記の化1で例示される反応式のよう
に、4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを、親
水性有機溶媒中においてアルカリ触媒の存在下で加水分
解させることからなる4,4′−ビス(ヒドロキシメチ
ル)ジフェニルの製造方法を提供するものである。
【0005】
【化1】
【0006】化1において、アルカリ,親水性有機溶媒
は、 アルカリ :NaOH,KOH,Na2 CO3
2 CO3 ,NaHCO3 ,KHCO3 ,LiOH 親水性有機溶媒 :HMPA,DMF,DMSO,TH
F,CH3 COCH3 の各群からそれぞれ選択されたものである。
【0007】また、下記の化2で例示される反応式のよ
うに、4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを親
水性有機溶媒中で有機酸塩と反応させてエステル化物を
得、このエステル化物をアルカリ触媒または酸触媒の存
在下で加水分解させることからなる4,4′−ビス(ヒ
ドロキシメチル)ジフェニルの製造方法、または、4,
4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを疎水性有機溶
媒中において相間移動触媒の存在下で有機酸塩と反応さ
せてエステル化物を得、このエステル化物をアルカリ触
媒または酸触媒の存在下で加水分解させることからなる
4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルの製造
方法を提供するものである。
【0008】
【化2】
【0009】化2において、R,有機酸塩,親水性有機
溶媒,疎水性有機溶媒,相間移動触媒,アルカリ,およ
び酸は、 R :H,CH3 ,C2 5 有機酸塩 :HCOONa,HCOOK,CH3
OONa,CH3 COOK,C2 5 COONa,C2
5 COOK 親水性有機溶媒:HMPA,DMF,DMSO,TH
F,CH3 COCH3 疎水性有機溶媒:CH2 Cl2 ,ClCH2 CH2
l,トルエン,ベンゼン,クロルベンゼン 相間移動触媒 :18−Crown−6,PhCH2 Me3
+ Cl- ,PhCH2 Me3 + Br- ,Bu4 +
- ,Bu4 + Br- ,(C8 173 MeN+ Cl-
(C8 173 MeN+ Br- ,Me4 + Br- ,PhCH
2 Et3 + Br- ,C1633Me3 + Br- ,C1633
Et3 + Br- ,Bu4 + Cl- ,Bu4 + Br- ,Ph
4 + Br- ,Ph3 MeP+ Br- ,C1633Et3 +
- アルカリ :NaOH,KOH,Na2 CO3 ,K
2 CO3 ,NaHCO3,KHCO3 ,LiOH 酸 :HCl,H2 SO4 ,H3 PO4 の各群からそれぞれ選択されたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、クロロメチル基
の塩素をヒドロキシル基と置換するために、4,4′−
ビス(クロロメチル)ジフェニルを親水性有機溶媒中に
おいてアルカリ触媒の存在下で直接加水分解するにあた
り、用いられるアルカリ触媒としては特に限定されない
が、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリ
ウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸ナ
トリウム(Na2 CO3 )、炭酸カリウム(K2
3 )、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )、炭酸水
素カリウム(KHCO3 )などが例示される。使用され
る親水性有機溶媒としては特に限定されないが、例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(T
HF)、アセトン、ヘキサメチルホスホルアミド(HM
PA)などといった極性の強いものが例示される。かか
る親水性有機溶媒を用いたことにより、水に不溶の4,
4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを溶解させるこ
とができ、これによって直接加水分解反応を促進でき
る。この親水性有機溶媒は単独で、あるいはこれらの親
水性有機溶媒と水との混合溶媒を使用することができ
る。
【0011】この反応に際して、アルカリ触媒として水
酸化ナトリウムを用いる場合を例に挙げると、親水性有
機溶媒としてDMF、DMSO、HMPAを用いるとき
は反応温度50〜100℃で2〜3時間、THFやアセ
トンを用いるときは環流温度で6〜10時間で行うと、
反応条件に応じてほぼ定量的に目的生成物である粗4,
4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルが得られ
る。これをヘキサンを用いて洗浄するか、またはアセト
ンを主溶媒とする再結晶で精製を行うと、純度99%以
上の4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルが
高収率で得られる。
【0012】一方、4,4′−ビス(クロロメチル)ジ
フェニルを親水性有機溶媒中で有機酸塩と反応させてエ
ステル化するにあたり、用いられる有機酸塩は、一般に
は、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどが入手容易なこ
とから好適であるが、他の使用可能な有機酸塩として
は、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸ナト
リウム、プロピオン酸カリウムなどが例示される。使用
される親水性有機溶媒としては、例えば、HMPA、D
MF、DMSO、THF、アセトンなどといった極性の
強いものを使用することが好ましい。
【0013】この反応に際し、有機酸塩として酢酸ナト
リウムを用いる場合を例に挙げると、親水性有機溶媒と
してDMF、DMSO、HMPAを用いるときは反応温
度100〜130℃で1〜3時間、THFやアセトンを
用いるときは環流温度で5〜20時間で行うと、反応条
件に応じてほぼ定量的にエステル化物が得られる。これ
をヘキサンとベンゼンの混合溶媒を用いて再結晶を行う
と、純度99%以上のエステル化物が高収率で得られ
る。
【0014】他方、4,4′−ビス(クロロメチル)ジ
フェニルを、疎水性有機溶媒中において相間移動触媒の
存在下で有機酸塩によりエステル化するにあたり、用い
られる有機酸塩は、一般には、酢酸ナトリウムや酢酸カ
リウムなどが入手容易なことから好適であるが、他の使
用可能な有機酸塩としては、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリ
ウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム
などが例示される。使用される疎水性有機溶媒としては
特に限定されないが、例えば、塩化メチレンや1,2−
ジクロロエチレン、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼ
ンなどが例示される。使用される相間移動触媒としては
特に限定されないが、例えば、18−Crown−6、
PhCH2 Me3 + Cl- 、PhCH2 Me3 +
- 、Bu4+ Cl- 、Bu4 + Br- 、(C8
173 MeN+ Cl- 、(C8 17 3 MeN+
- 、Me4 + Br- 、PhCH2 Et3 +
- 、C1633Me3 + Br- 、C1633Et3 +
Br- などの第四級アンモニウム塩や、Bu4 + Cl
- 、Bu4 + Br- 、Ph4 + Br- 、Ph3 Me
+ Br - 、C1633Et3 + Br- などのホスホニ
ウム塩などを例示することができる。ここで、Phはフ
ェニル基、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブ
チル基を示す。かかる相間移動触媒は、反応に際し有機
酸塩を含む水系と疎水性有機溶媒との間を移動してエス
テル化反応を促進させる機能を有する。
【0015】この反応に際して、特に、有機酸塩として
酢酸ナトリウムを、疎水性有機溶媒として塩化メチレン
を、相間移動触媒として18−Crown−6をそれぞれ
用いる場合を例に挙げると、反応温度40℃で3〜10
時間反応を行うと、反応条件に応じてほぼ定量的にエス
テル化物が得られる。これをヘキサンとベンゼンの混合
溶媒を用いて再結晶すると、純度95%以上のエステル
化物が99%以上の高収率で得られる。
【0016】更に、上記のようにして得たエステル化物
を、アルカリ触媒または酸触媒の存在下で加水分解する
にあたり、用いられるアルカリ触媒としては特に限定さ
れないが、例えば、NaOH、KOH、LiOH、Na
2 CO3 、K2 CO3 、NaHCO3 、KHCO3 など
が例示される。また、酸触媒としては特に限定されない
が、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などが例示される。
尚、この加水分解反応の出発物質となるエステル化物は
水と溶け合わないため、DMF、DMSO、THF、ア
セトン、HMPAなどといった極性の強い親水性有機溶
媒のみを、あるいはこれらの親水性有機溶媒と水との混
合溶媒を使用することが好ましい。それにより、水に不
溶のエステル化物を溶解させることができ、加水分解反
応を促進できる。
【0017】この反応に際し、酸触媒として塩酸を用い
る場合を例に挙げると、親水性有機溶媒としてDMF、
DMSO、HMPAを用いるときに反応温度50〜10
0℃で1〜2時間、THF、アセトンを用いるときに環
流温度で3〜5時間で行うと、反応条件に応じてほぼ定
量的に目的生成物である粗4,4′−ビス(ヒドロキシ
メチル)ジフェニルが得られる。これをヘキサンを用い
て洗浄するか、またはアセトンを主溶媒として再結晶を
行うと、純度99%以上の4,4′−ビス(ヒドロキシ
メチル)ジフェニルが収率95%で得られる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。ここでは、説明の便宜のため、直接加水分
解、エステル化(−1,−2)、加水分解に大
別して例示する。
【0019】直接加水分解(実施例1〜11) 実施例1.4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニル
1.00g、水酸化ナトリウム2.00g、水2.0
g、ジメチルホルムアミド3.5mlを、100mlの
三口フラスコに入れ、この混合物を80〜85℃で1〜
2時間加熱攪拌した。放冷後の混合物を氷水に注ぎ、希
塩酸でpH5〜6にした。このとき析出した固体を濾過
後、50mlの水で洗浄した。得られた濾物をビーカー
に移し、アセトンとヘキサンの混合溶媒で再結晶して最
終生成物を得た。この最終生成物は、以下の分析結果か
ら4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルと同
定され、ガスクロマト分析により純度ほぼ99%以上の
ものと判明した。この4,4′−ビス(ヒドロキシメチ
ル)ジフェニルは0.81g(収率95%)を得た。
【0020】上記した最終生成物の分析結果は、以下の
通りである。 ・「融点測定」 m.p.175〜177℃ (無色板状結晶) ・「IRスペクトル」 IR(KBr錠剤法):3360,3030,292
5,2850,1488 1400,1212,1045,1010,1000,
835,800,785cm-1 ・「NMRスペクトル」1 H−NMR(DMSO): δ;4.53(d,4
H,J=5.6Hz,CH2 ),5.21(t,2H,
J=5.6Hz,OH),7.39(d,4H,J=
8.4Hz,ArH),7.61ppm(d,4H,J
=8.4Hz,ArH)(ここで、sはシングレット、
dはダブレット、ArHはアロマチック水素を意味す
る。以下同様である。)13 C−NMR(DMSO): δ;62.49,12
6.10,126.90,138.34,141.47
ppm ・「元素分析」 C14142 に関する計算値がC=78.48、H=
6.60であるのに対し、実測値はC=78.45、H
=6.59であった。
【0021】実施例2〜5.実施例1における溶媒の種
類、反応温度、または反応時間を適宜変更した。それら
以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0022】実施例6〜11.実施例1におけるアルカ
リ触媒の種類、または反応時間を適宜変更した。それら
以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0023】上記した実施例1〜11の結果を以下の表
1に纏めて示す。
【0024】
【表1】
【0025】すなわち、表1から明らかなように、親水
性有機溶媒中においてアルカリ触媒の存在下で直接加水
分解を行えば、高収率で4,4′−ビス(ヒドロキシメ
チル)ジフェニルを得られることがわかる。アルカリ触
媒の種類では、NaOHを用いるのが最も好ましいこと
がわかる(実施例1、2、5)。また、親水性有機溶媒
の種類では、HMPAを用いるのが最も好ましいが(実
施例11)、DMFでも一定以上の結果を得られること
がわかる(実施例1、6〜10)。反応温度について
は、溶媒の沸点に依存する場合もあるが、100℃程度
(実施例1、2、5〜11)で比較的良好な結果(短時
間で収率90%以上)を得ている。
【0026】−1.エステル化(実施例12〜21:
有機酸塩および親水性有機溶媒を使用) 実施例12.4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニ
ル1.00g、酢酸ナトリウム1.60g、ジメチルホ
ルムアミド3.5mlを、100mlの三口フラスコに
入れ、この混合物を100〜120℃で1〜2時間加熱
攪拌した。放冷後の混合物を氷水に注ぎ、希塩酸でpH
5〜6にし、塩化メチレンで有機物を抽出した。この有
機層を50mlの水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥させて、濃縮・乾固後、ヘキサンとベンゼンの混合
溶媒で再結晶して中間生成物を得た。この中間生成物
は、以下の分析結果から4,4′−ビス(アセトキシメ
チル)ジフェニルと同定され、ガスクロマト分析により
純度ほぼ99%以上のものと判明した。このエステル化
物は1.11g(収率95%)を得た。
【0027】上記したエステル化物の分析結果は、以下
の通りである。 ・「融点測定」 m.p.80〜81℃.(無色板状結晶) ・「IRスペクトル」 IR(KBr錠剤法):3050,3030,294
0,1738,1730,1500,1460,138
0,1365,1255,1240,1050,102
0,1000,940,920,800,650,63
5,605,480cm-1 ・「NMRスペクトル」1 H−NMR(CDCl3 ): δ;2.12(s,6
H,COCCH3 ),5.15(s,4H,CH2 ),
7.44(d,4H,J=8.4Hz,ArH),7.
58ppm(d,4H,J=8.4Hz,ArH)13 C−NMR(CDCl3 ): δ;21.06,6
6.03,127.32,128.82,135.1
3,140.68,170.93ppm ・「元素分析」 C18184 に関する計算値がC=72.45、H=
6.09であるのに対し、実測値はC=72.43、H
=6.07であった。
【0028】実施例13〜17.実施例12における有
機酸塩の種類、または反応時間を適宜変更した。それら
以外は、実施例12と同様の操作を行った。
【0029】実施例18〜21.実施例12における溶
媒の種類、反応温度、または反応時間を適宜変更した。
それら以外は、実施例12と同様の操作を行った。
【0030】上記した実施例12〜21の結果を以下の
表2に纏めて示す。
【0031】
【表2】
【0032】すなわち、表2から明らかなように、親水
性有機溶媒中で有機酸塩と反応させれば、エステル化物
を収率よく得られることがわかる。有機酸塩の種類で
は、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムを用いるのが最も好
ましいことがわかる(実施例12、13、21)。ま
た、親水性有機溶媒の種類では、HMPAを用いるのが
最も好ましいが(実施例21)、DMFでも一定以上の
結果を得られることがわかる(実施例12〜17)。反
応温度については、100℃程度(実施例12〜18、
21)で比較的良好な結果(短時間で収率93%以上)
を得ている。
【0033】加水分解(実施例22〜38:−1で
得たエステル化物を出発物質とし、収率はそのエステル
化物を基準に算出した) 実施例22.実施例12で得られたエステル化物(4,
4′−ビス(アセトキシメチル)ジフェニル)1.11
g、水酸化ナトリウム2.00g、水2.0g、ジメチ
ルホルムアミド3.5mlを、100mlの三口フラス
コに入れ、この混合物を80〜85℃で1〜2時間加熱
攪拌した。放冷後の混合物を氷水に注ぎ、析出した固体
を濾過後、50mlの水で洗浄した。得られた濾物をビ
ーカーに移し、アセトンとヘキサンの混合溶媒で再結晶
した。これを乾燥させると純度99%以上の4,4′−
ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニル0.77g(収率
95%)を得ることができた。
【0034】実施例23〜26.実施例22における有
機溶媒の種類、反応温度、または反応時間を適宜変更し
た。それら以外は実施例22と同様の操作を行った。
【0035】実施例27〜32.実施例22における触
媒を水酸化ナトリウムから適宜変更し、反応時間を2時
間に変更した以外は、実施例22と同様の操作を行っ
た。
【0036】実施例33〜34.実施例22におけるエ
ステル化物を4,4′−ビス(ホルミルオキシメチル)
ジフェニルおよび4,4′−ビス(プロピルオキシメチ
ル)ジフェニルに変更し、反応時間を2時間に変更した
以外は、実施例22と同様の操作を行った。
【0037】実施例35〜36.実施例22における水
酸化ナトリウムを酸触媒(塩酸)に変更し、有機溶媒の
種類、または反応温度を適宜変更した以外は、実施例2
2と同様の操作を行った。
【0038】実施例37〜38.実施例35における酸
触媒の種類を変更し、反応時間を2時間に変更した以外
は、実施例35と同様の操作を行った。
【0039】上記した実施例22〜38の結果を以下の
表3に纏めて示す。
【0040】
【表3】
【0041】すなわち、表3から明らかなように、エス
テル化物は親水性有機溶媒中においてアルカリ触媒また
は酸触媒の存在下で加水分解されるので、4,4′−ビ
ス(ヒドロキシメチル)ジフェニルが収率よく得られる
ことがわかる(実施例22〜38)。アルカリ触媒また
は酸触媒の種類では、塩酸を用いるのが最も好ましく
(実施例35、36)、NaOHも優れていることがわ
かる(実施例22〜26)。また、親水性有機溶媒の種
類では、アセトンを用いるのが最も好ましいが(実施例
25、36)、DMFでもよい(実施例22、27〜3
5)。用いられるエステル化物は、4,4′−ビス(ア
セトキシメチル)ジフェニルを用いた方が4,4′−ビ
ス(ホルミルオキシメチル)ジフェニルや4,4′−ビ
ス(プロピルオキシメチル)ジフェニルよりも収率が良
好であった(実施例33、34)。
【0042】−2.エステル化(実施例39〜63:
有機酸塩、相間移動触媒、および疎水性有機溶媒を使
用) 実施例39.4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニ
ル1.00g、酢酸ナトリウム0.74g、18−Cr
own−6 0.48g、塩化メチレン8mlを、50
mlの三口フラスコに入れ、この混合物を40℃で6時
間加熱攪拌した。放冷後の混合物を氷水に注ぎ、希塩酸
でpH5〜6にし、塩化メチレンで有機物を抽出した。
この有機物層を50mlの水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムを用いて乾燥させ、濃縮・乾固後、ヘキサンとベ
ンゼンの混合溶媒で再結晶して中間生成物を得た。この
中間生成物は、実施例12と同様の機器分析結果などか
ら、エステル化物である4,4′−ビス(アセトキシメ
チル)ジフェニルと同定され、ガスクロマト分析により
純度ほぼ99%以上のものと判明した。このエステル化
物は1.16g(収率99%)を得た。
【0043】実施例40〜44.実施例39における有
機酸塩の種類、または反応時間を適宜変更した以外は、
実施例39と同様の操作を行った。
【0044】実施例45〜48.実施例39における有
機溶媒の種類を適宜変更した以外は、実施例39と同様
の操作を行った。
【0045】実施例49.実施例39の18−Crow
n−6の代わりにPhCH2 Me3 + Cl- 0.32
gを用いたこと以外は、実施例39と同様の操作を行っ
た。この場合、反応時間は実施例39の3〜4倍程度か
かったが、純度99%以上のエステル化物1.10g
(収率94%)を得ることができた。
【0046】実施例50〜63.実施例49における相
間移動触媒の種類を適宜変更した以外は、実施例49と
同様の操作を行った。
【0047】上記した実施例39〜63の結果を、以下
の表4および表5に纏めて示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】すなわち、表4および表5から明らかなよ
うに、疎水性有機溶媒中において相間移動触媒の存在下
で有機酸塩により4,4′−ビス(クロロメチル)ジフ
ェニルをエステル化させると、エステル化物を極めて収
率よく得られることがわかる。この場合、相間移動触媒
の種類では、18−Crown−6を用いるのが最も好
ましいが(実施例39〜48)、他の相間移動触媒を用
いても遜色なく全般的に極めて高収率でエステル化を行
えることがわかる(実施例49〜63)。尚、有機酸塩
の種類(実施例39〜44)や疎水性有機溶媒の種類
(実施例45〜48)によっては有意差は認められなか
った。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明製法によれ
ば、親水性有機溶媒中においてアルカリ触媒の存在下で
4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを直接加水
分解させるようにしたので、機能性高分子材料として有
用な4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルを
収率よく得ることができる。しかも、加水分解だけの単
一工程で得ることができる。
【0052】また、親水性有機溶媒中で有機酸塩とエス
テル化させるようにしたので、原料の4,4′−ビス
(クロロメチル)ジフェニルが反応系になじみやすくな
って反応が促進される。従って、エステル化物を収率よ
く得ることができる。また、疎水性有機溶媒中において
相間移動触媒の存在下で有機酸塩とエステル化させるよ
うにした場合は、原料の4,4′−ビス(クロロメチ
ル)ジフェニルが疎水性有機溶媒になじみ、相間移動触
媒は有機酸塩を含む水系と疎水性有機溶媒との間を移動
して反応を促進させることから、極めて高収率でエステ
ル化物を得ることができる。ここで用いられる疎水性有
機溶媒は水に不溶なので、廃水をほとんど生じない。従
って、このエステル合成法は公害対策面で有利である。
更に、上記で得られたそれぞれのエステル化物は、アル
カリ触媒または酸触媒の存在下で加水分解されて、4,
4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルにされる。
従って、エステル化物を経由して製造する場合でも、原
料たる4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェニルを基
準とした換算収率が極めて高い製法を提供できるのであ
る。すなわち、本発明による4,4′−ビス(ヒドロキ
シメチル)ジフェニルの製法は、工業的に極めて有用な
製造方法であるといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 27/232 B01J 27/232 X 27/236 27/236 X 31/04 31/04 X C07C 29/124 9155−4H C07C 29/124 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 内田 昌宏 和歌山県橋本市古佐田三丁目9番4号 (72)発明者 名坂 紀充 和歌山県和歌山市小雑賀2丁目2番15号 南海化学工業株式会社南海寮 (72)発明者 土居 篤 和歌山県和歌山市堀止東1丁目5番40号 メゾンリビエール102号 (72)発明者 川島 節男 高知県高知市加賀野井1丁目18番15号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェ
    ニルを、親水性有機溶媒中においてアルカリ触媒の存在
    下で加水分解させることからなる4,4′−ビス(ヒド
    ロキシメチル)ジフェニルの製造方法。
  2. 【請求項2】 4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェ
    ニルを親水性有機溶媒中で有機酸塩と反応させてエステ
    ル化物を得、このエステル化物をアルカリ触媒または酸
    触媒の存在下で加水分解させることからなる4,4′−
    ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルの製造方法。
  3. 【請求項3】 4,4′−ビス(クロロメチル)ジフェ
    ニルを疎水性有機溶媒中において相間移動触媒の存在下
    で有機酸塩と反応させてエステル化物を得、このエステ
    ル化物をアルカリ触媒または酸触媒の存在下で加水分解
    させることからなる4,4′−ビス(ヒドロキシメチ
    ル)ジフェニルの製造方法。
JP8013472A 1996-01-30 1996-01-30 4,4′−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルの製造方法 Pending JPH09208510A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100428437B1 (ko) * 2001-04-09 2004-04-27 (주)경인양행 4,4'-비스(클로로메틸)비페닐의 제조방법
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