JPH09207264A - コンクリート化粧板の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面上に鮮明な絵柄模様を有する安価なコン
クリート化粧板の製造方法を提供するものである。 【解決手段】 通水性を有する不織布と織布を積層して
転写シート基材とし、前記転写シート基材の前記織布面
に水溶性インキからなる剥離層と印刷模様層を順に形成
し、前記転写シート基材の前記不織布面を型枠の内面に
接触するように敷設し、次いで前記型枠に生コンクリー
トを流し込んで硬化させた後、前記型枠及び前記転写シ
ート基材を剥がすことにより、コンクリート表面に印刷
模様層を形成するコンクリート化粧板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築内外装材等に
用いられる良好な絵柄模様を有するコンクリート化粧板
の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、石膏やセメント等を主成分とし、
これに樹脂や補強材を必要に応じて混入し成形されたコ
ンクリート板が、不燃材又は難燃材として壁面材や床材
等に利用されており、これらのコンクリート板は表面に
絵付けをして装飾効果を高め利用価値を上げることが行
われている。しかしながらこれらの材料は一般に表面が
凹凸を有することが多く、単なる熱転写方式や直接に印
刷する方法では良好な絵柄を得ることは困難であった。

【０００３】また水溶性インキで合成樹脂フイルム等の
転写シート基材に絵柄を印刷し、この転写シートを型枠
に貼付けた後、コンクリート等の水和硬化素材を流し込
んで硬化させ、素材の水分により絵柄を転写する方法も
知られているが、この方法によれば絵柄が水溶性である
ので、素材が硬化する時に発生する水分が転写シートを
透過しないため素材が硬化するまでに絵柄がブリードし
て鮮明な絵柄が得られない。また、転写シート基材上に
水不溶性インキにより絵柄を形成した転写シートを型枠
に貼付けた後、コンクリート等の水和硬化素材を流し込
んで硬化させると同時に絵付けをする方法も知られてい
るが、通常のコンクリートの場合インキの密着性が悪
く、インキの密着性を改良するためにポリマーをコンク
リート中に混合させる必要がありコスト的に高価になる
という欠点があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
に鑑みて成されたものであって、その目的とするところ
は、表面上に鮮明な絵柄模様を有する安価なコンクリー
ト化粧板の製造方法を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】通水性を有する不織布と
織布を積層して転写シート基材とし、前記転写シート基
材の前記織布面に水溶性インキからなる剥離層と印刷模
様層を順に形成し、前記転写シート基材の前記不織布面
を型枠の内面に接触するように敷設し、次いで前記型枠
に生コンクリートを流し込んで硬化させた後、前記型枠
及び前記転写シート基材を剥がすことにより、コンクリ
ート表面に印刷模様層が形成されたことを特徴とするコ
ンクリート化粧板の製造方法である。この場合、剥離層
および印刷模様層が水溶性インキにより設けられている
ため、生コンクリート中の水分によって剥離層が転写シ
ート基材より離型し、コンクリートに浸透し前記印刷模
様層が転写されると共に前記生コンクリートに含まれて
いた余剰の水は転写シート基材の不織布層を通って外部
に放出されるためにコンクリートの硬化は促進され、印
刷模様層のブリードが防止され鮮明な絵柄が得られる。
また、上記印刷模様層が硬化コンクリートの表面層に浸
透一体化するため密着性に優れたコンクリート化粧板と
なる。また印刷模様層が織布層に設けられているため絵
柄模様が鮮明に形成される。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１は本発明の製造方法により得
られるコンクリート化粧板の断面図、図２は本発明のコ
ンクリート化粧板の製造方法を説明する断面図であり、
１はコンクリート化粧板、２ａは生コンクリート層、２
ｂは硬化コンクリート層、３は転写層、３１は剥離層、
３２は印刷模様層、４は転写シート基材、４１は織布、
４２は不織布、５は転写シート、６は型枠をそれぞれ表
している。

【０００７】本発明の製造方法によって得られるコンク
リート化粧板１の構成は、図１に示すように、硬化コン
クリート層２ｂの表面に転写により印刷模様層３２、剥
離層３１を順に積層した構成からなっている。本発明の
コンクリート化粧板１の特徴は、通水性を有する不織布
と織布を積層した積層体を転写シート基材とし、該転写
シート基材の織布面に水溶性インキによる剥離層および
印刷模様層を設けた転写シートを用いて、汎用のコンク
リート板の表面にコンクリートを硬化させながら加飾し
た点にある。

【０００８】次に、本発明のコンクリート化粧板１の製
造方法の一例について図面を用いて説明する。先ず、図
２（イ）に示すように、不織布４２の一方の面に織布４
１を積層した構成よりなる転写シート基材４の織布４１
の表面に水溶性インキよりなる剥離層３１及び印刷模様
層３２が設けられた転写シート５を準備する。次に図２
（ロ）に示すように、前記転写シート５の印刷模様層３
２を有しない面が型枠６の内面に接触するように敷設す
る。次いで、図２（ハ）に示すように、この型枠６内に
生コンクリート２ａを注入して養生硬化させる。その
後、型枠６を脱型後、転写シート基材４を剥がし、図２
（ニ）に示すような硬化コンクリート２ｂの表面に印刷
模様層３２と剥離層３１からなる化粧層を順に設けたコ
ンクリート化粧板１が得られる。

【０００９】本発明のコンクリート化粧板１に印刷模様
層３２を形成するための転写シート５の構成としては、
図２（イ）に示されているように、通水性を有する不織
布４２の一方の面に織布４１を積層した転写シート基材
４に剥離層３１が全面に形成され、該剥離層３１面に任
意の印刷模様層３２を形成した転写層３が設けられてい
る。

【００１０】転写シート基材４としては、印刷適性に優
れ、通水性を有する織布４１と伸縮性が少なく耐圧性等
強度、物理的化学的性質に優れ、通水性を有する不織布
４２よりなり、厚さとしては１．０〜５．０mm程度が好
ましい。

【００１１】本発明で使用される織布４１は、合成繊維
で構成されたもの、即ち疎水性繊維を使用するのが良
く、このようにすることにより、脱気性、排水性ならび
にコンクリートからの剥離性を向上させる性質を有する
ので、コンクリート成型用内張り材としては好適であ
る。かかる疎水性の繊維素材としては、例えばポリエチ
レンやポリプロピレン等から成るポリオレフィン系繊
維、ナイロン６やナイロン６６などからなるポリアミド
系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維ならびにポリエチ
レンテレフタレートやポリテトラメチレンテレフタレー
トなどからなるポリエステル系繊維などの各種の合成繊
維を使用することができる。また、本発明で使用する織
布の織組織としては、たとえば平織組織、朱子織組織、
綾織組織のものなどを使用することができるが、中でも
平織組織のものが開口部と繊維部によるモアレが比較的
少ない点で印刷適性上からも好ましいものである。

【００１２】本発明で使用される不織布４２は、表面織
布４１から吸収された余剰水を通して系外へ排出する機
能を有するものであり、好ましくは見掛繊維密度０．１
〜０．５ｇ／cm³ の範囲にある不織布で構成される。見
掛繊維密度が低すぎると印刷適性が劣り、高すぎると通
水性が劣る傾向を示す。この不織布４２は、前記の織布
４１と同じく疎水性の繊維で構成するのが通水性の点か
ら好ましい。

【００１３】このような不織布を構成する繊維として
は、好ましくは単糸繊度１〜２０デニール、さらに好ま
しくは３〜１５デニールの範囲のものが、上述の見掛繊
維密度を容易に形成できる上に、さらに通水性能に優れ
た不織布を提供することができるので好ましい。このよ
うな不織布を構成する繊維はステープルでもフィラメン
トでもよいが、好ましくはフィラメントが通水性に優れ
ていてよい。また、不織布には、スパンボンド法により
作られたものと、ニードルパンチ法により作られたもの
との二種があるが、本発明には後者のニードルパンチ法
により作られた不織布が優れた効果を発揮するので好ま
しい。

【００１４】本発明に用いられる転写シート基材４は、
印刷適性に優れた層を構成する織布４１と通水性に優れ
た層を構成する不織布４２とからなる積層構造体シート
よりなるものであるが、このような織布４１と不織布４
２とを積層する手段としては、例えば、縫製による結合
方法でも接着剤による接合方法でもよいが不織布側の表
面に接着剤で接合、特に、帯状または点状に部分接着す
る方法が簡便でよい。

【００１５】本発明に用いられる剥離層３１および印刷
模様層３２を形成する樹脂ビヒクルとしては、水および
メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、ブチルアルコール等の一価のアルコールの単
体または混合物に溶解または懸濁されるものが好まし
く、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアル
コール樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等か
らなる単体又は複数の混合体に必要に応じて、着色顔
料、体質顔料等を適宜混合したものを用いることができ
る。また、転移性向上の為エマルジョン化の容易なもの
であることが望ましく、エチレン−ビニルアルコール樹
脂が好ましく用いられる。

【００１６】本発明のコンクリート化粧板１の製造方法
に用いる転写基材シート４は、不織布の裏面に粘着層を
設け、粘着層の粘着力により型枠面に貼付する構成とし
てもよい。この粘着層を構成する粘着剤としては、例え
ばウレタン系粘着剤などが挙げられ、粘着層の厚さは
０．５〜２ｍｍ程度であり、通常はストライプ状に形成
される。粘着層がこのようなストライプ状であると、型
枠面への確実な接着力を保持しつつ通水性も良好で脱型
が容易なものとなる。

【００１７】本発明において使用する型枠６は通常のも
のが使用でき、例えばＦＲＰ製、シリコンラバー製、木
製、金属製などのものが挙げられ、その形状はフラット
なものに限られることなく任意のものが使用できる。そ
して異形型枠を用いれば、任意の凹凸模様や曲面などを
持ったコンクリート化粧板が得られる。

【００１８】本発明において使用するコンクリート素材
は型枠への流し込みが可能な流動性および水硬性を有す
るものが用いられる。例えば、半水石膏、無水石膏など
の各種石膏、ポルトランドセメント、アルミナセメン
ト、マグネシアセメント、混合セメントなどの各種セメ
ントなどの単独または混合したものを適当量の水と混合
してスラリー状として用いる。このスラリー中には補強
のため、パルプ、合成繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭
素繊維などを混合しても良くさらに種々の添加剤を加え
ることもできる。

【００１９】本発明の方法により得られるコンクリート
化粧板１はそのままの状態においても使用可能である
が、コンクリート化粧板１の表面にアクリルウレタン
系、フッ素系塗料等の透明樹脂層をスプレーコートなど
の通常の方法により設ける後加工を行う事により、耐久
性、耐侯性、光沢、意匠性などの特性をより高めること
が出来る。

【００２０】実施例１ コンクリート成型用内張り材（Ｊ，Ｃコンポジット製、
表面ナイロン糸織布に不織布裏打品）のナイロン糸織布
面にエチレン−ビニルアルコールエマルジョン系インキ
（ザ・インクテック製、ＨＩ−ＧＫミキサー）を４０Ｌ
角度０のベタ版にてグラビアコートして剥離層を形成
し、さらに、エチレン−ビニルアルコールエマルジョン
系インキ（ザ・インクテック製、ＨＩ−ＧＫ）にて石目
柄を印刷し転写シートを作製した。次いで表面平滑な耐
水合板に前記転写シートの不織布の面が耐水合板に接す
るように取付け型枠を組み立て、その中に、下記配合の
生コンクリートを流し込んだ。 ポルトランドセメント １００重量部 細骨材 ２００重量部 粗骨材 ８０重量部 水 ４５重量部 その後、養生の為に常温にて２４時間放置した後型枠を
外し、コンクリート成型用内張り材を剥がして、表面に
石目柄を有する意匠性の高いコンクリート化粧板を得
た。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、表面に織布を積層した不織布
を転写シートの基材シートとし、該織布の面に、水溶性
インキによる剥離層及び印刷模様層を設け、該転写基材
シートの不織布の面が型枠側となるように貼付けて型枠
を作製し、該型枠の中に生コンクリートを流し込み硬化
させてコンクリートセメント層を形成すると同時に表面
に印刷模様を転写して化粧するため、現場施工性に優れ
ており、非常に生産性が高い。

【００２２】剥離層及び印刷模様層が水溶性インキによ
り形成されているために、汎用のポルトランドセメント
との密着力も充分となり高価なポリマーセメントの混入
を不要とし安価なコンクリート化粧板を得ることが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製造方法により得られたコンクリート
化粧板の断面図である。

【図２】本発明のコンクリート化粧板の製造工程を説明
する断面図である。

【符号の説明】

１ コンクリート化粧板 ２ａ 生コンクリート ２ｂ 硬化コンクリート ３ 転写層 ３１ 剥離層 ３２ 印刷模様層 ４ 転写シート基材 ４１ 織布 ４２ 不織布 ５ 転写シート ６ 型枠

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通水性を有する不織布と織布を積層して
   転写シート基材とし、前記転写シート基材の前記織布面
   に水溶性インキからなる剥離層と印刷模様層を順に形成
   し、前記転写シート基材の前記不織布面を型枠の内面に
   接触するように敷設し、次いで前記型枠に生コンクリー
   トを流し込んで硬化させた後、前記型枠及び前記転写シ
   ート基材を剥がすことにより、コンクリート表面に印刷
   模様層が形成されたことを特徴とするコンクリート化粧
   板の製造方法。