JPH09202800A - Ctla4変異体分子およびそれの使用 - Google Patents

Ctla4変異体分子およびそれの使用

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JPH09202800A JP8210535A JP21053596A JPH09202800A JP H09202800 A JPH09202800 A JP H09202800A JP 8210535 A JP8210535 A JP 8210535A JP 21053596 A JP21053596 A JP 21053596A JP H09202800 A JPH09202800 A JP H09202800A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 B7抗原に対するリガンドとしてのCTLA4
変異体分子を提供する。またCTLA4 変異体分子を可溶性
の機能的分子として発現させる方法、CTLA4 変異体融合
タンパク質の調製方法、およびそれらの可溶性分子をT
細胞相互作用を調節するためおよびそのような相互作用
による免疫応答を調節するために使用する方法も提供す
る。 【効果】 CTLA4 変異体分子は、シクロスポリンやグル
コステロイドのような非特異的阻害剤よりも、T細胞活
性の阻害剤として生体内で有用であると予想される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CTLA4 変異体分子
の発現およびCTLA4 変異体分子を使った細胞相互作用の
調節方法に関する。
【0002】
【従来の技術】抗原に対して特異的な免疫応答を引き起
こす中心現象は、抗原提示細胞(APC)とTリンパ球
の親密な会合を伴う。T細胞が抗原刺激に対してうまく
細胞媒介または抗体媒介免疫応答に着手するためには、
APCからの明確な活性化シグナルが要求される。T細
胞抗原レセプターがAPCの表面上の主要組織適合複合
体(MHC)分子により提示された抗原ペプチドに結合
すると、抗原特異的シグナルが発生する。
【0003】しかしながら、この現象だけではT細胞の
増殖を刺激するのに十分ではなく、単独では、クローン
不活性化またはアネルギーを引き起こし得る〔Schwart
z, R.H. (1990) Science 248: 1349-1356〕。効率的
な免疫応答が起こるためには、APCからT細胞に第二
の非抗原特異的な共同刺激シグナルも伝えられなければ
ならない〔Freeman 他, J. Immunol. 143 (8):2714-2
722 (1989)〕。
【0004】CTLA4 は、抗原提示細胞上に発現される、
B7対抗レセプター、即ちB7-1 (CD80) およびB7-2 (CD8
6) と会合するT細胞表面レセプターである〔Hathcock
他, "Comparative Analysis of B7-1 and B7-2 Co-Stim
ulatory Ligands: Expressionand Function", 1994 Jou
rnal of Experimental Medicine, 180 (2):631-40〕。
この会合は重要なT細胞共同刺激経路の分子基礎を樹立
する。それの主な機能は、抗原への暴露後にT細胞のサ
イトカイン産生および増殖を誘導することである〔Lins
ley 他, J. Exp. Med. 173:721-730 (1991)〕。
【0005】確証データは、CTLA4 の一態様、即ちCTLA
4Ig が、CD28/B7相互作用を抑制し、それによってT細
胞増殖を防止しそして抗原特異的不応答を誘導するとい
う試験管内免疫応答の有力な阻害剤であることを示した
〔Blazar他, "In Vivo Blockage of CD28/CTLA4: B7/BB
1 Interaction With CTLA4-Ig Reduces Lethal Murine
Graft-Versus-Host Disease Across the Major Histoco
mpatibility ComplexBarrier in Mice", Blood, 1994
年6月15日, 83(12):3815-25〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】それらの共同刺激シグ
ナルの性質は懸命な研究努力の中心であり、その目標は
免疫系を理解することだけでなく、共同刺激シグナルの
伝達を阻止し、それによって免疫応答を更に調節するこ
とができる治療薬を開発することでもあった。本発明の
CTLA4 変異体分子はそれらの目標を達成するために開発
された。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、B7リガンドを
結合する能力に影響を与えるために変異されているCTLA
4 分子を開示する。これらの変異はCTLA4 の細胞外領域
に位置する。詳しくは、CTLA4 の細胞外領域のMYPPPYモ
チーフ中の最初のチロシン成分の位置に変異が造られ
る。我々は、変異体(即ち、この位置にアラニン、アル
ギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、
グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イ
ソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニル
アラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトフ
ァンまたはバリンのいずれか1つを有するもの)がB7-1
(CD80) を結合する能力を有することを示す。しかし、
幾つかはB7-2(CD86)を結合しない。更に、本発明のCT
LA4 変異体分子の作製および使用方法も提供される。
【0008】定義 本明細書中で使用する時、次の語または句は明記された
意味を有する。本明細書中で使用する「B7相互作用を阻
止する」とは、CD28および/またはCTLA4 のようなリガ
ンドへのB7抗原の結合を阻害し、それによってT細胞お
よびB細胞相互作用を妨害することを意味する。本明細
書中で使用する「B7結合性分子」とは、B7抗原のいずれ
か一方または両方を結合するであろう任意の分子を意味
する。
【0009】本明細書中で使用する「CD80抗原と反応性
の分子」とは、CD80を認識し結合するであろう任意の分
子を意味する。本明細書中で使用する「CD86抗原と反応
性の分子」とは、CD86を認識し結合するであろう任意の
分子を意味する。
【0010】本明細書中で使用する「非CTLA4 分子」と
は、CTLA4 の細胞外領域に接着または結合させることが
でき且つ標的へのCTLA4 の結合を妨害しないような任意
の分子を意味する。それらの分子としては、ポリペプチ
ド標識、免疫グロブリン(Ig)末尾、生物学的もしくは
化学的に活性なタンパク質、例えば乳頭腫ウイルスE7遺
伝子産物、メラノーマ関連抗原p97 およびHIV env タン
パク質、またはCTLA4もしくはそれの変異形の細胞外部
分を可溶性にし且つ活性にするアミノ酸の配列が挙げら
れる。本明細書中に開示される発明をより十分に理解す
るために、次の説明を与える。
【0011】本発明の組成物 本発明は、CD80抗原と反応性のCTLA4 変異体分子であっ
て、CTLA4 の細胞外領域においてアミノ酸モチーフMYPP
PY中の最初のチロシンがチロシン以外のアミノ酸により
置換されているCTLA4 変異体分子を提供する。CTLA4 変
異体分子は多様な形態をとることができる。唯一の制限
は、それがCD80を結合する能力を保持していることであ
る。
【0012】本発明の一態様では、CTLA4 変異体分子は
機能的な可溶性CTLA4 変異体分子である。CTLA4 の細胞
外領域は可溶性CTLA4 変異体分子の一例である。一例で
は、可溶性CTLA4 変異体分子はCD80抗原を結合するがCD
86抗原を結合しない。本発明の更なる態様では、可溶性
CTLA4 変異体分子は、ポリペプチド標識のような非CTLA
4 分子に連結された変異型CTLA4 の細胞外領域を有する
(CTLA4 変異体融合タンパク質とも呼称される)。可溶
性CTLA4 分子の別の態様としては、生物学的または化学
的に活性なタンパク質、例えば乳頭腫ウイルスE7遺伝子
産物、メラノーマ関連抗原p97 およびHIV env タンパク
質の一部分と融合または連結された変異型CTLA4 の細胞
外領域を有するものが挙げられる。
【0013】本発明の実施によれば、本発明のCTLA4 変
異体および同族体分子は他のアミノ酸置換を有してもよ
く、CTLA4 変異体分子の機能的性質をまだ保持してお
り、即ち、そのような置換を有する分子はまだCD80抗原
を結合するだろう。それらのアミノ酸置換としては、当
業界で「保存的」として知られるアミノ酸置換が挙げら
れるが、必ずしもそれに限定されない。
【0014】例えば、「保存的アミノ酸置換」と呼ばれ
る或る種のアミノ酸置換は、しばしばタンパク質のコン
ホメーションも機能もいずれも変えることなく行うこと
ができる。そのような変更としては、イソロイシン
(I)、バリン(V)およびロイシン(L)のいずれか
をそれらの疎水性アミノ酸の他のもので置換すること;
アスパラギン酸(D)をグルタミン酸(E)で置換する
こと、およびその逆;グルタミン(Q)をアスパラギン
で置換すること、およびその逆;並びにセリン(S)を
スレオニン(T)で置換すること、およびその逆が挙げ
られる。特定のアミノ酸の環境やタンパク質の三次元構
造におけるそれの役割に依存して、他の置換も保存的置
換であることがある。例えば、グリシン(G)とアラニ
ン(A)はしばしば互いに交換可能であり、同様にアラ
ニンとバリン(V)もそうである。
【0015】比較的疎水性であるメチオニン(M)は、
しばしばロイシンやイソロイシンと交換可能であり、時
にはバリンと交換可能である。リジン(K)とアルギニ
ン(R)は、アミノ酸残基の重要な特徴がそれの電荷で
あり且つそれらの2つのアミノ酸の異なるpKが重要で
ないような位置でしばしば交換可能である。特定の環境
では更に別の変更が「保存的」と見なされることがあ
る。
【0016】本発明の組成物の調製方法 CTLA4 変異体分子に相当するアミノ酸配列をコードする
DNA配列をクローニングしそして発現させる技術、例
えばオリゴヌクレオチドの合成、PCR、細胞の形質転
換、ベクターの作製、発現系などは当業界で十分に確立
されており、ほとんどの実験者は特定の条件や手順のた
めの標準的な供給材料をよく知っている。しかしなが
ら、次の節は便宜と標準技術の変更の記述のために与え
られ、ガイドラインとして役立つだろう。
【0017】レセプターおよび融合タンパク質をコード
する配列のクローニングと発現 本発明のCTLA4 変異体分子に相当する構成物は、Linsle
y 他, J. Exp. Med. 173:721-730 (1991) (これは参考
として本明細書中に組み込まれる)により記載された通
りに調製した。あるいは、B7抗原とC28 レセプターを発
現する細胞から得られたRNAから、発表されたそれら
のタンパク質の配列〔AruffoおよびSeed, Proc. Natl.
Acad. Sci. 84:8573-8577 (1987)並びにFreeman 他, "M
urine B7-2, an Alternative CTLA4 Counter-Receptor
that Co-Stimulates T-cell Proliferation and Interl
eukin 2 Production" (1993) Journal of Experimenta
lMedicine 178 (6): 2185-92〕の知識に基づいて、標
準手順を使ってcDNAクローンを調製することができる。
【0018】変異型CTLA4 の細胞外領域並びにヒトIgC
γ1のヒンジ、CH2およびCH3領域に相当するアミ
ノ酸配列をコードするDNAから成るCTLA4 変異体分子
は、PCR断片の連結によって作製した。それらのアミ
ノ酸配列をコードするcDNAをポリメラーゼ連鎖反応
(“PCR”)技術〔Mullis他への米国特許第4,683,19
5号および同第4,683,202 号、並びにMullis & Faloona,
Methods Enzymol. 154:335-350 (1987)〕を使って増幅
させた。CTLA4 の細胞外領域の約1位から約125位まで
のアミノ酸配列とIgCγ1のヒンジ、CH2およびCH
3領域に相当するアミノ酸配列をコードするDNAを有
するCTLA4Ig 変異体融合ポリペプチドを得た。
【0019】幾つかのヒト白血病細胞系の全細胞RNA
から調製したPCR cDNAを、発表されたCTLA4 遺伝子配列
(Dariavach 他, 前掲)からのオリゴヌクレオチドをプ
ライマーとして使ってスクリーニングした。試験したcD
NAのうち、H38 細胞(HTLV II 関連白血病系)は期待の
サイズを有するPCR生成物の最高収率を提供した。CT
LA4 遺伝子中にはCTLA4 のシグナルペプチドが同定され
なかったので、オリゴヌクレオチドを使って2段階にお
いて、CTLA4 の推定配列のN末端をオンコスタチンMの
シグナルペプチド〔Malik 他, Molec. and Cell. Biol.
9:2847 (1989)〕と融合させた。PCR反応生成物を、
IgCγ1のヒンジ、CH2およびCH3領域に相当する
アミノ酸をコードするcDNAと共に発現ベクター(例えば
CDM8またはπLN)中に連結せしめた。
【0020】全長ヒトCTLA4 をコードするDNAを得る
ために、PCRによりH38 細胞からCTLA4 の膜貫通領域
と細胞内領域をコードするcDNAを得、そして下記実施例
中に記載のオリゴヌクレオチドプライマーを使って上記
のようにして得られた、CTLA4 のN末端に融合したオン
コスタチンMシグナルペプチドをコードするCTLA4Igか
らの断片と連結せしめた。PCR断片をプラスミドCDM8
中に連結せしめ、全長CTLA4 遺伝子をコードする発現プ
ラスミドを得、その発現プラスミドをOMCTLA4と命名し
た。
【0021】CTLA4 配列の特定領域中に変異を生じさせ
るために、CTLA4 の細胞外領域がヒトIgG 重鎖のヒンジ
領域と定常領域に遺伝子的に融合されているCTLA4 の可
溶性キメラ形態(CTLA4Ig )を含むπLNベクターにおい
て、部位特異的変異誘発を実施した〔Linsley 他, J. E
xp. Med. 173:721-730 (1991) 〕。重複オリゴヌクレオ
チドプライマー中に所望の変異をコードさせ、そして鋳
型としてπLN CTLA4Igプラスミド構成物を使ってPCR
により変異体を作製することにより(Ho他, 1989, 前
掲)、CTLA4 部位特異的変異体を調製した。
【0022】細胞外領域に向けられた広範囲の変異体シ
リーズを作製するために、MYPPPYモチーフ中の最初のチ
ロシンのコドンを変更して別の19のアミノ酸の各々をコ
ードする新コドンを生じさせた。このモチーフはCTLA−
B7リガンド間相互作用にきわめて重要であると思われる
ので、それらの変異を含むCTLA4 分子は全てB7抗原を結
合する能力が変更されているだろう。クローン化DNA
を大量生産するために、標準技術を使って、本発明の変
異型CTLA4 DNA を含有するベクターを適当な宿主細胞、
例えば細菌細胞系E.コリ株MC1061/p3 (Invitrogen C
orp., San Diego, CA )中に形質転換せしめ、そしてコ
ロニーを適当なプラスミドについてスクリーニングし
た。
【0023】上述のようにして得られた変異型CTLA DNA
を含むクローンを、次いで適当な発現用宿主中にトラン
スフェクションした。使用する宿主細胞によって、トラ
ンスフェクションはそのような細胞に適切な標準技術を
使って行われる。例えば、哺乳類細胞中へのトランスフ
ェクションは、DEAE−デキストラン媒介トランスフェク
ション、CaPO4 共沈、リポフェクション、エレクトロポ
レーションまたはプロトプラスト融合、並びに、リゾチ
ーム融合または赤血球融合、スクラッピング、直接取り
込み、浸透圧またはショ糖ショック、直接マイクロイン
ジェクション、間接マイクロインジェクション、例えば
赤血球媒介技術によるもの、および/または宿主細胞を
電流にかけることによるものをはじめとする当業界で既
知の他の方法を使って行われる。遺伝情報を細胞中に導
入する別の方法がおそらく開発されるだろうから、トラ
ンスフェクション技術の上記例が排他的であると見なし
てはならない。
【0024】多細胞生物から誘導した真核宿主細胞培養
物中での発現が好ましい〔Tissue Cultures, Academic
Press, Cruz およびPatterson 編 (1973) 〕。それらの
系は、イントロンをスプライス切除できるという追加の
利点を有し、従ってそのままゲノム断片を発現させるの
に使うことができる。有用な宿主細胞系としては、チャ
イニーズハムスター卵巣(CHO) 、サル腎臓(COS) 、VERO
およびHeLa細胞が挙げられる。本発明では、融合構成物
を安定に発現する細胞系が好ましい。
【0025】そのような細胞のための発現ベクターは、
通常は哺乳類細胞と適合性のプロモーターおよび調節配
列、例えばCMV プロモーター(CDM8ベクター)およびト
リ肉腫ウイルス(ASV) プロモーター(πLNベクター)を
含有する。他の汎用される初期および後期プロモーター
としては、シミアンウイルス40(SV40)からのもの〔Fi
ers 他, Nature 273:113 (1973)〕、または他のウイル
スプロモーター、例えばポリオーマウイルス、アデノウ
イルス2およびウシ乳頭腫ウイルス由来のものが挙げら
れる。調節可能なプロモーター、hMTII (Karin 他, Na
ture 299:797-802 (1982) 〕を使ってもよい。
【0026】哺乳類細胞宿主系形質転換の概要はAxelに
より記載されている(1983年8月16日に発行された米国
特許第4,399,216 号)。発現を最適にするには「エンハ
ンサー」領域が重要であることは今や明らかである。そ
れらは一般に、非コードDNA領域中のプロモーター領
域の上流または下流に見つかる配列である。必要なら
ば、ウイルス源から複製開始点を得ることができる。し
かしながら、染色体中への組み込みが真核生物中でのD
NA複製の一般機構である。
【0027】融合構成物の発現に好ましい宿主細胞とし
てはCOS またはCHO 細胞といった真核細胞が挙げられる
けれども、他の真核微生物を宿主として使ってもよい。
パン酵母であるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharo
myces cerevisiae)の実験株が最も汎用されているが、
シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomycespom
be)のような別の株を使ってもよい。例えば、2μ複製
開始点〔Broach, Meth. Enz. 101:307 (1983) 〕、また
は他の酵母適合性複製開始点〔例えば、Stinchcomb他,
Nature 282:39 (1979) ; Tschempe 他, Gene 10:157 (1
980) ;およびClarke他, Meth. Enz. 101:300 (1983) 〕
を使用するベクターを使うことができる。
【0028】酵母ベクターのための調節配列としては、
解糖酵素の合成のためのプロモーター〔Hess他, J. Ad
v. Enzyme Reg. 7:149 (1968) ; Holland 他, Biochem
istry17:4900 (1978)〕が挙げられる。当業界で既知の
追加のプロモーターとしては、CDM8ベクター中に提供さ
れたCMV プロモーター〔ToyamaおよびOkayama, FEBS26
8:217-221 (1990) 〕;3−ホスホグリセレートキナー
ゼのプロモーター〔Hitzeman他, J. Biol. Chem. 255:2
073 (1980)〕および他の解糖酵素のプロモーターが挙げ
られる。
【0029】増殖条件により調節される追加の転写の利
点を有する他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲ
ナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、
窒素代謝に関連する分解酵素、およびマルトースやガラ
クトース利用の原因となる酵素のプロモーター領域であ
る。コード配列の3′末端にターミネーター配列が望ま
しいことも信じられている。そのようなターミネーター
は酵母由来遺伝子中のコード配列の後ろの3′非翻訳領
域中に見つかる。
【0030】あるいは、原核生物を発現用宿主として使
うことができる。原核生物は最も頻繁には大腸菌E.コ
リ(E. coli )の様々な株により代表される。しかしな
がら、他の微生物を使うこともできる。リボソーム結合
部位配列と共に、所望によりオペレーターを含む、転写
開始のためのプロモーターとしては、β−ラクタマーゼ
(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac) プロモータ
ー系〔Chang 他, Nature 198:1056 (1977)〕、トリプト
ファン(trp) プロモーター系〔Goeddel 他, Nucl. Acid
s Res. 8:4057 (1980)〕、並びにλ由来PL プロモータ
ーとN遺伝子リボソーム結合部位(NRBS )〔Shimatak
e 他, Nature 292:128 (1981) 〕のような常用プロモー
ターが挙げられる。
【0031】CTLA4 変異体分子をコードするヌクレオチ
ド配列は、上述したような様々な系において発現させる
ことができる。該cDNAを適当な制限酵素で切除し、そし
てそのような発現に適当な原核または真核発現ベクター
中に連結せしめる。融合タンパク質としてのCTLA4 変異
体分子の発現はそれらのタンパク質の二量体形成を許容
する。
【0032】本発明の変異型CTLA4 レセプターの発現
は、COS 細胞のような細胞系をトランスフェクション
し、そしてCTLA4 でトランスフェクトされた細胞をCTLA
4 レセプターのためのリガンドに結合させることによ
り、例えばB7Ig融合タンパク質への細胞の結合を試験す
ることによって発現を検出することにより達成される。
本発明の変異型CTLA4Ig 融合タンパク質の発現は、COS
細胞のような細胞系をトランスフェクションし、そして
適当なリガンドを発現する細胞への変異型CTLA4Ig 融合
タンパク質の結合を試験することによって発現を検出す
ることにより達成される。
【0033】得られた構成物の配列は、既知の手順を使
ったDNA配列決定により、例えばMessing 他, Nuclei
c Acids Res. 9:309 (1981) により更に記載された、Sa
nger他, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463 (1977)
により記載されたような方法、またはMaxam 他, Method
s Enzymol. 65:499 (1980)の方法により、確認すること
ができる。
【0034】可溶性CTLA4 変異体分子の作製および発現 CTLA4 変異体分子およびタンパク質パートナーまたは標
識化合物(例えば生物学的または化学的に活性な分子、
例えばオボアルブミン、p97 、E7およびenv gp120 )の
適当なDNA断片は、PCR〔Millis他への米国特許第
4,683,195 号および同第4,683,202 号、並びにMullis &
Faloona, Methods Enzymol. 154:335-350 (1987) 〕に
よりcDNAから単離することができる。
【0035】CTLA4 の融合タンパク質のDNAは、CTLA
4 のDNAを様々なタンパク質標識化合物のDNAと連
結せしめることにより調製することができる。ELISA お
よびFACSアッセイにおいて、標識化合物、例えばオボア
ルブミン、env gp120 、HPVE7およびp97 に対して向け
られた抗体を使って、可溶性CTLA4 変異体の結合と発現
を検出した。
【0036】オボアルブミン遺伝子のDNA配列は既知
であり〔Schweers他, J. Biol. Chem. (1990) 265 (1
3):7590-5 〕;E7乳頭腫ウイルス腫瘍遺伝子のDNA配
列は既知であり〔Tindle他, J. Gen. Vir. (1990) 71:1
347-54〕;メラノーマ関連抗原p97 のDNA配列は既知
であり〔Kahn他, J. Immunol. (1991) 146 (9):3235-4
1 〕;env gp120 のDNA配列は既知である〔Wain-Hob
son 他, "Nucleotide sequence of AIDS virus LAV",
Cell (1985) 40:9-17 ; Ratner他, "Complete nucleoti
de sequence of the AIDS virus HTLV3", Nature 313:
277-284 (1985)〕。各々の可溶性分子(即ち融合タンパ
ク質)について得られた遺伝子の正体はDNA配列決定
により確認することができる。
【0037】融合タンパク質のcDNAは、哺乳類(CO
S, DEAE デキストラントランスフェクション)または昆
虫(バキュロウイルストランスフェクション)細胞系の
いずれかで発現させることができる〔Jones 他, Nature
(1986) 523: 346〕。トランスフェクションされた細胞
系の上清を収得し、アッセイし、次いでアフィニティー
クロマトグラフィーにより融合タンパク質を精製した。
【0038】タンパク質生成物の回収 適当なプロセシングが可能である細胞中のオンコスタチ
ンMのシグナル配列のようなシグナル配列のコドンを含
む、CTLA4 の細胞外領域に相当するアミノ酸配列をコー
ドするDNAは、本来二量体のタンパク質のFc領域に
相当するアミノ酸配列をコードするDNAと融合され
る。従って、細胞からの分泌後のそれらの融合タンパク
質生成物の精製は、融合タンパク質の抗免疫グロブリン
部分と反応する抗体を使って促進される。培地中に分泌
されたら、標準的なタンパク質精製技術を使って、例え
ばプロテインAカラムへの適用により、融合タンパク質
生成物が回収される。
【0039】本発明の組成物の使用法 MYPPPYモチーフ中の最初のチロシンの位置に特異的アミ
ノ酸置換を有するCTLA4 タンパク質は、ユニークな結合
能を有する。このチロシンを例えばフェニルアラニンか
トリプトファンのいずれかで置換することにより生じる
変異体は、B7抗原間を区別する能力を有する。詳しく
は、それらの変異体分子はB7-1 (CD80) 抗原を結合する
がB7-2 (CD86) 抗原を結合しないだろう。従って、それ
らの変異体分子は上記2つの抗原間を区別するのに用い
ることができる。加えて、それらの変異体を使って、異
なるB7抗原により媒介される特定の生物学的過程に違っ
たふうに影響を与えることができる。
【0040】CTLA4 変異体分子および/またはその断片
は、B7陽性細胞、例えばB細胞と反応させてB7抗原陽性
細胞とT細胞の相互作用により媒介される免疫応答を調
節するのに用いることができ、またはB細胞成熟段階お
よび/またはB細胞関連疾患を限定するための試験管内
での白血球型決定に用いることができる。白血球の表面
免疫染色は免疫蛍光法または免疫酵素活性測定法により
達成されるが、他の検出方法も可能である。
【0041】可溶性CTLA4 変異体分子、および/または
それらのタンパク質の断片および誘導体は、B細胞をは
じめとするB7陽性細胞と反応させてT細胞依存性B細胞
応答により媒介される免疫応答を調節するのに用いるこ
とができる。本明細書中で使用する用語「断片」は、B7
を結合することができる"CTLA4" と呼ばれるタンパク質
をコードするアミノ酸配列の一部分を意味する。可溶性
CTLA4 変異体分子の断片は、本明細書中に記載されるよ
うに可溶性CTLA4 を得るのに使ったCTLA4 レセプターに
相当するアミノ酸配列の或る部分に相当するアミノ酸配
列を有するポリペプチドである。
【0042】一態様では、CTLA4 変異体分子は適当な薬
剤担体中で生体内に導入することができ、即ち、免疫系
疾患または癌といった病的状態の治療のために患者に投
与することができる〔Pearson 他, "Transplantation T
olerance Induced by CTLA4-Ig", Transplantation, 1
994 年6月27日, 57(12):1701-6 ; Bolling 他, "TheEf
fect of Combinations Cyclosporine and CTLA4-Ig The
rapy on Cardiac Allograft Survival", Journal of Su
rgical Research, 1994, 57(1):60-4〕。
【0043】CTLA4 変異体分子の生体内への導入は、B7
陽性細胞への該リガンドの結合の結果として、他の細
胞、例えばB細胞とのT細胞相互作用の妨害をもたらす
と期待される。正常なT細胞相互作用の妨害は、低下し
たT細胞活性、例えば減少したT細胞増殖をもたらし得
る。加えて、変異融合タンパク質の生体内投与は、イン
ターロイキン、例えばインターロイキン ("IL")-2, IL-
3, IL-4, IL-6, IL-8 を含むがそれらに限定されないサ
イトカイン、腫瘍増殖因子("TGF") 、コロニー刺激因子
("CSF") 、インターフェロン("IFN") および腫瘍壊死因
子("TNF") などの増殖因子の生体内レベルの調節をもた
らし、患者において所望の効果を促進する。例えば、融
合タンパク質を生体内に導入すると、それは悪性増殖、
例えば腫瘍細胞の増殖の原因となるサイトカインの生産
を阻止することができる。該融合タンパク質は、T細胞
活性化に依存するウイルスの増殖、例えばAIDSを引き起
こすウイルスHTLV1 の増殖も阻止することができる。
【0044】ある状況下では、上述したように、CTLA4
変異体分子またはそれの断片の生体内投与の効果は阻害
的であり、CTLA4 およびCD28の融合タンパク質によりT
細胞/B細胞接触から生じる始動を阻止することに起因
する。例えば、CTLA4 変異体分子はT細胞増殖を抑制す
ることができる。CTLA4 変異体分子の生体内導入は、従
ってT細胞およびB細胞が媒介する免疫応答の両方に対
して効果を生むだろう。融合タンパク質はサイトカイン
または他の治療薬の導入と併用して患者に投与してもよ
い。
【0045】本発明の追加の態様では、T細胞相互作用
を調節するのにCTLA4 変異体分子と反応性の誘導体を含
む他の試薬が使われる。例えば、CTLA4 レセプターと反
応性の抗体および/または抗体断片をスクリーニングし
て、B7-1抗原へのCTLA4 変異体分子の結合を阻害するこ
とができるものを同定することができる。次いで抗体ま
たはFab もしくはF(ab')2 断片のような抗体断片を使っ
て、例えばT細胞増殖を阻害するために、T細胞と反応
させることができる。
【0046】別の態様では、CTLA4 またはCD28とB7抗原
との相互作用を調節することができる他の化合物を同定
するためにCTLA4 変異体分子を使うことができる。その
ような化合物としては、B細胞および/またはT細胞と
反応させるのに使うことができる小さな天然分子が挙げ
られる。例えば、CTLA4/B7相互作用を阻害する能力につ
いて醗酵ブロスを試験することができる。加えて、T細
胞増殖を抑制するのに上述のようなCTLA4Ig 変異体融合
タンパク質の誘導体を使うことができる。例えば、同種
異系骨髄移植に伴う移植片対宿主(GVH)病において
T細胞増殖を抑制するために前記断片または誘導体を使
うことができる。
【0047】CD28媒介T細胞増殖経路は、CD3/Ti細胞レ
セプター複合体により始動される増殖とは異なり、シク
ロスポリン耐性である〔June他, Mol. Cell. Biol. 7:4
472-4481 (1987) 〕。シクロスポリンはGVH病の治療
薬として比較的効果がない〔Storb, Blood 68:119-12
5 (1986)〕。GVH病はCD28抗原を発現するTリンパ球
により媒介されると考えられる〔Storb およびThomas,
Immunol. Rev. 88:215-238 (1985)〕。よって、CTLA4
変異体分子は単独でもまたはシクロスポリンのような免
疫抑制薬と組み合わせても、GVH病においてT細胞増
殖を阻害するのに、並びに自己免疫、移植拒絶、感染症
および新形成のような他の病的状態を治療するのに有用
であろう。
【0048】本明細書に記載のCTLA4 変異体分子は様々
な剤形において製剤化することができる。そのような剤
形としては、液体溶液または懸濁液、錠剤、ピル、粉
末、坐剤、高分子マイクロカプセルまたはマイクロビシ
クル、リポソーム、および注射または注入可能な溶液が
挙げられるが、それらに限定されない。好ましい剤形は
投与形式および治療用途による。
【0049】本発明の分子に最も効果的な投与形式およ
び投薬摂生は、病気の重さと進行度、患者の健康および
治療に対する応答並びに治療する医師の判断に依存す
る。従って、分子の投与量は個々の患者に対して滴定す
べきである。mg/m2表面積に基づく様々な大きさや種類
の動物と人間についての投薬量の相関関係はFreireich,
E.J. 他により記載されている(Quantitative Compari
sonof Toxicity of Anticancer Agents in Mouse, Rat,
Hamster, Dog, Monkey andMan. Cancer Chemother. Re
p., 50, No.4, 219-244, 1996 年5月)。
【0050】投薬摂生の調整を行って増殖阻害反応を最
適化することができる。用量を分割して一日を基準に投
与することができ、または状況に応じて用量を比例的に
減少させることができる。例えば、毎日数回に分割した
用量を投与するかまたは特定の治療状況により示される
ように用量を比例的に減少させることができる。本発明
の実施によれば、患者を治療するのに有効な量は、約0.
1 〜約10 mg/kg患者の体重であるだろう。また、有効量
は約1〜約10 mg/kg患者の体重の量であってもよい。
【0051】
【発明の効果】本発明のCTLA4 変異体分子は、シクロス
ポリンやグルコステロイドのような非特異的阻害剤より
も、T細胞活性の阻害剤として生体内で有用であると予
想される。
【0052】活性化されたB細胞および他の系統の細胞
上に発現されたB7-1 (CD80) 抗原と、T細胞上に発現さ
れたCTLA4 レセプターとは、互いに直接結合することが
でき、この相互作用は細胞−細胞相互作用を媒介するこ
とができる。活性化されたB細胞および他の系統の細胞
上に発現されたB7-2 (CD86) 抗原と、T細胞上に発現さ
れたCD28レセプターとは、互いに直接結合することがで
き、この相互作用は細胞−細胞相互作用を媒介すること
ができる。B7-1はCTLA4 に対して大きな特異性がありそ
してB7-2はCD28に対して大きな特異性があるけれども、
それらのリガンド間には幾らかの量の交差反応性が存在
する〔Kuchroo 他, Cell 80:707-718 (1995) 〕。
【0053】それらのリガンド間の相互作用はT細胞の
活性化経路を直接始動させ、サイトカイン生産、T細胞
増殖、および免疫グロブリン産生細胞へのB細胞分化を
引き起こす。それにより起こるB細胞の活性化は、B7抗
原の発現の増加および更にCD28刺激を引き起こし、自己
免疫病、同種異系移植拒絶、移植片対宿主病または慢性
アレルギー反応におけるような慢性炎症状態を引き起こ
し得る。この反応を阻止または阻害することは、T細胞
サイトカイン生産を防ぎ、従って炎症反応を防止または
逆転させる上で効果的であるかもしれない。
【0054】可溶性CTLA4 分子は、TおよびB細胞相互
作用を必要とする試験管内リンパ球機能の有力な阻害剤
であることが以前に示されている(米国特許出願第08/2
28,208号を参照のこと)。これは、B7抗原とそれらの対
抗レセプターCTLA4 および/またはCD28との相互作用の
重要性を示している。
【0055】最近のデータは、B7-1分子とB7-2分子が違
ったふうにT細胞サブセットを活性化することを示唆し
ている。詳しくは、それらの抗原は、刺激と同時に、各
々それ自身の種類のサイトカインを生産しそして別々の
エフェクター機能を媒介する2つの異なる亜集団(Th1
およびTh2 と命名)に分化する、CD4 Tヘルパー細胞の
分化に関連づけられている。驚くべきことに、それらの
異なるサブセットは、多数の臨床病理学において特別な
役割を果たすらしい〔Cohen, J. Science 262:175-176
(1993) およびSimon 他, P.N.A.S. 91:8562-8566 (199
4)〕。それらのT細胞サブセットのエフェクター機能に
影響を及ぼすことにより、CTLA4 変異体分子は上記種類
の病理学を防止または逆転することができる。
【0056】T細胞とB細胞との接触の結果としてT細
胞/B細胞相互作用が起こるような条件下で、B7抗原陽
性細胞(例えばB細胞)と反応する導入されたCTLA4 変
異体分子の結合は、T細胞/B細胞相互作用を妨害し、
即ち抑制し、免疫応答の調節をもたらすことができる。
他に見られないこの阻害効果のため、CTLA4 変異体分子
は、シクロスポリンやグルコステロイドのような非特異
的阻害剤よりも、T細胞活性の阻害剤として生体内で有
用であると期待される。次の実施例は本発明を例示する
ためおよび本発明を実施および使用する際に技術者を助
けるために与えられる。この実施例はどんな形でも本発
明の範囲を限定するつもりではない。
【0057】
【実施例】実施例1 部位特異的および相同変異誘発により、我々はB7-1への
高い結合活性が要求されるCTLA4Ig 中の領域を同定し
た。下記はB7を結合する可溶性CTLA4/CD28ハイブリッド
融合タンパク質を作製する方法を記載する。
【0058】方法および材料 モノクローナル抗体(mAbs)。CTLA4 に特異的なマウス
Mab は以前に記載された通りに調製し特徴づけた〔Lins
ley 他, J. Exp. Med. (1992) 176:1595-1604〕。抗体
9.3 (抗CD28)は以前に記載されている〔Hansen他, Im
munogenetics 10:247-260 (1980)〕。細胞培養。安定に
トランスフェクションされたB7-1陽性 CHO細胞の調製は
以前に記載されている〔Linsley 他, J. Exp. Med. 17
3:721-730 (1991) ; P.S. Linsley他, J. Exp. Med. 17
4:561 (1991) 〕。
【0059】10%ウシ胎児血清(FBS)、0.2 mMプロ
リンおよび1μMメトトレキセートが補足されたDME
M中に細胞を維持した。COS 細胞は10%FBSが補足さ
れたDMEM中で増殖させた。以前に記載された通りに
(米国特許出願第08/228,208号の実施例2)CHO 細胞中
でCTLA4Ig を調製した。
【0060】CTLA4Ig およびCD28Ig部位特異的変異体発
現プラスミド。CTLA4 の細胞外領域がヒトIgG重鎖のヒ
ンジ領域と定常領域に遺伝子的に融合されたCTLA4 の可
溶性キメラ形態(CTLA4Ig )をコードするベクター上に
部位特異的変異誘発を行った〔Linsley 他, J. Exp. Me
d. 173:721-730 (1991) 〕。重複オリゴヌクレオチドプ
ライマー中に所望の変異をコードせしめ、そして鋳型と
してCTLA4Ig プラスミド構成物を使ってPCR(Ho他,
1989, 前掲)により変異体を生じさせることにより、CT
LA4Ig 部位特異的変異体を調製した。
【0061】推定上のCDR3様領域の高度に保存されたヘ
キサペプチド98MYPPPY103 形成部分(図1)中にアラニ
ンへの置換をコードする6つの変異体を調製した(Ho
他, 1989, 前掲)。それらの変異体は第II表に記載され
る。加えて、同じ方法により鋳型としてCD28Igを使っ
て、CD28Ig 99MYPPPY104ヘキサペプチドから、残基P103
AとY104A 〔それぞれ、MYPPAY(配列番号7)とMYPPPA
(配列番号8)〕をコードする2つの変異体も調製し
た。それらの変異体も第II表に記載される。
【0062】PCR反応に必要であるが変異の導入には
必要でないプライマーは、(1) CDM8stuffer領域の5′
末端のHindIII 制限部位の上流の相補的配列をコードす
るCDM8正(CDM8FP)プライマー、および(2) CDM8 stuff
er領域の3′末端のXbaI部位の下流の相補的配列をコー
ドする逆(CDM8RP)プライマーを含んだ。それらのプラ
イマーは次の配列をコードした: CDM8FP:5'-AATACGACTCACTATAGG (配列番号9) CDM8RP:5'-CACCACACTGTATTAACC (配列番号10)
【0063】PCR条件は、94℃で6分に続いて、94℃
で1分、55℃で2分および72℃で3分の25サイクルから
成った。供給業者(Perkin Elmer Cetus, Emeryville,
CA)により推奨される通りにTaq ポリメラーゼと反応条
件を使った。PCR生成物をHindIII とXbaIで消化し、
HindIII/XbaIで切断されたCDM8発現ベクターに連結せし
めた。所望の変異が挿入されていることを確認するた
め、そして二次変異がないことを確かめるため、各CTLA
4Ig 変異体融合タンパク質(可溶性CTLA4 変異体融合タ
ンパク質の一例)を、製造業者の教示(United States
Biochemical Corp., Cleveland, OH)に従ってシークエ
ナーゼ試薬を使ったジデオキシチェーンターミネーショ
ン/伸長反応により配列決定した。
【0064】プラスミドをCOS 細胞中にトランスフェク
ションし〔Aruffo他, Cell 61:1303(1990) 〕、そして
得られたIg変異体融合タンパク質の入手源として順化培
地を使った。CTLA4/CD28Igハイブリッド発現プラスミ
ド。構成物HS2, HS4, HS4-A, HS4-BおよびHS5 (図3お
よび第I表)をコードする CTLA4/CD28Igハイブリッド
スキャンプラスミドは、CD28Ig中にCTLA4 配列を導入す
ると同時にCD28から同等領域を削除するようにデザイン
された重複オリゴヌクレオチドプライマーを使ったPC
Rにより調製した。上記と同じCDM8正および逆PCRプ
ライマーも使用した。下表は製造した CTLA4/CD28ハイ
ブリッド融合タンパク質の一覧表である。
【0065】
【表1】
【0066】可溶性キメラ体を作製するために、各cDNA
構成物をヒトIgG1のヒンジ領域と定常領域をコードする
cDNAに遺伝子的に連結せしめた。HS6 ハイブリッドは、
CTLA4Ig 中のCDR1様領域がCD28Igからの同等領域で置き
換えらることを以外は上記と同様にして調製した。HS7,
HS8およびHS9 構成物は、それぞれHS4, HS4-AおよびHS
4-B の約350 塩基対のHindIII/HpaI5′断片を、HS5 か
ら同様に消化した同等のcDNA断片で置き換え、それによ
って既にCTLA4 CDR3様領域を含んでいるそれらのハイブ
リッドにCTLA4 のCDR1様ループを導入することにより調
製した。
【0067】HS10〜HS13構成物は、以前に作製した相同
変異体中にCTLA4Ig のCDR2様ループを導入することによ
り調製した領域相同変異体である。これは、相同鋳型中
にCTLA4 CDR2様配列を導入すると同時に該分子から同等
のCD28 CDR2 様領域を削除するようにプライマーをデザ
インする重複PCR変異誘発により行われた。従って、
HS4 はHS10を作製するための鋳型として働き;HS7 はHS
11を作製するための鋳型として働き;HS4-A はHS12を作
製するための鋳型として働き;そしてHS8 はHS13を作製
するための鋳型として働いた(図3および第I表)。上
述のCDM8プライマーをそれらの作製にも使用した。
【0068】HS14ハイブリッド構成物は、CD28のCDR2様
ループをCTLA4Ig からの同等のループで置き換えること
により調製した(図3および第I表)。それらの変更を
導入するようにデザインされたオリゴヌクレオチドプラ
イマーを、他の変異体について記載されたものと同じ重
複PCR変異誘発において使用した。PCR反応および
CDM8中へのサブクローニングは上述した通りに行った。
同じく全ての変異体をジデオキシチェーンターミネーシ
ョン/伸長反応により配列決定した。
【0069】各々の変異体をコードするプラスミドをC
OS細胞中にトランスフェクトせしめ、培地中の生成可
溶性Ig融合タンパク質を次の段落に記載のようにしてウ
エスタンブロットにより定量し視覚化した。培地中の生
成Ig融合タンパク質の定量。無血清COS細胞中に存在
するIgの量を測定することにより、エンザイムイムノ
アッセイにおいて可溶性変異体融合タンパク質を定量し
た。
【0070】マイクロタイタープレート(Immulon2 ; D
ynatech Labs., Chantilly, VA)を0.5 μg/mlのヤギ抗
ヒトIgG(Jackson Immunoresearch Labs., West Chest
er,PA)により4℃にて16〜24時間コーティングした。
試料希釈剤(Genetic Systems, Seattle, WA)を使って
ウエルを1時間ブロックし、次いで0.05%Tween 20を含
むPBS (PBS-Tw) を使って洗浄した。融合タンパク質
を含むCOS細胞培地を様々な希釈率で添加し、22℃で
1時間インキュベートした。標準曲線を得るために各プ
レートの別のウエルに既知濃度のCTLA4Ig を添加した。
【0071】洗浄後、1:12,000希釈した西洋ワサビペル
オキシダーゼ(HPP)接合ヤギ抗ヒトIgG(Tago, Bu
rlingame, CA)を加え、22℃で1時間インキュベートし
た。次いでウエルを洗浄しそして3,3′,5,5′−
テトラメチルベンジジン(TMB)基質(Genetic Syst
ems )と共に15分間インキュベートした後、1 N H2SO4
の添加により反応を停止させた。450 nmと630 nmの二波
長においてマイクロタイタープレートリーダー(Geneti
c Systems )上で光学濃度を測定した。
【0072】変異型Ig融合タンパク質の濃度を既知濃度
のCTLA4Ig の標準曲線との比較により決定した。免疫沈
澱およびウエスタンブロット分析。培地中に存在するCT
LA4/CD28Igハイブリッド融合タンパク質を4℃で一晩の
インキュベーションによりプロテインA−セファロース
に吸着させた。0.1 %Nonidet-P40 (NP40)を含むPBS
を使って該ビーズを洗浄し、次いでSDS-PAGE試料緩衝液
を添加し、溶出したタンパク質をSDS ポリアクリルアミ
ドゲル上に負荷した。
【0073】ニトロセルロース上へのタンパク質のウエ
スタンブロット移行を標準手順により行った。次いで0.
1 %NP40と1%脱脂粉乳を含むPBSを使ってニトロセ
ルロース膜をブロックした。PBS-Tw中で洗浄した後、膜
を1:1,000 希釈したアルカリホスファターゼ接合ヤギ抗
ヒトIgG(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN )
と共に22℃で1時間インキュベートした。次いで標準手
順を使ってブロットを洗浄しそして視覚化した。
【0074】B7陽性CHO 細胞のエンザイムイムノアッセ
イ。CHO 細胞上に安定して発現されるB7-1に結合するCT
LA4Ig 変異体融合タンパク質およびCTLA4/CD28Igハイブ
リッド融合タンパク質の能力を、エンザイムイムノアッ
セイにより測定した。丸底の組織培養用96ウエルマイク
ロタイタープレート(Corning, Corning, NY)に103
胞/ウエルの密度でB7-1陽性CHO 細胞を接種した。2日
後、集密的細胞を95%エタノール中で15分間固定した。
【0075】PBS-Twで洗浄した後、変異型Ig融合タンパ
ク質を様々な濃度で添加し、そして4℃にて1時間イン
キュベートした。洗浄後、1:10,000希釈したHRP接合
ヤギ抗ヒトIgG(Tago)を加え、22℃で1時間インキュ
ベートした。次いでウエルを洗浄し、上記と同様にTM
B基質を添加し、30分間反応させた後、1 N H2SO4 を使
って反応を停止させた。ウエルの吸光度を450 nmで測定
した。CD28Ig部位特異的変異体融合タンパク質結合アッ
セイ。CD28Igの部位特異的変異体融合タンパク質を、間
接エンザイムイムノアッセイによりB7-1への結合能力に
ついてアッセイした。
【0076】ELISA プレートのウエルを、マウスIgG1の
Fc領域に融合されたヒトB7-1の細胞外領域を含むキメラ
融合タンパク質で5μg/mlの濃度に4℃にて16時間コー
ティングした。試料希釈剤(Genetic Systems )を使っ
て1時間ウエルをブロックし、次いでPBS-Twを使って洗
浄した。既知濃度の変異体融合タンパク質を含むCOS細
胞培地を様々な希釈率で添加し、22℃で1時間インキュ
ベートした。
【0077】各プレートの別のウエルに既知濃度のCD28
Igも添加した。洗浄後、1:10,000希釈したHPP接合ヤ
ギ抗ヒトIgG(Tago)を加え、22℃で1時間インキュベ
ートした。次いでTMB基質を添加し、培地中のIg融合
タンパク質の定量について記載したのと同様に光学濃度
を読んだ。Ig融合タンパク質へのmAb 結合。CTLA4/CD28
Igハイブリッド融合タンパク質およびCTLA4Ig 変異体融
合タンパク質を結合する抗CTLA4 mAb および抗CD28 mAb
9.3の能力をエンザイムイムノアッセイにより評価し
た。
【0078】マイクロタイタープレート(Immulon 2 )
のウエルを、0.5 μg/mlのヤギ抗ヒトIgG(Jackson )
で4℃にて16〜24時間コーティングした。試料希釈剤
(Genetic Systems )を使って1時間プレートをブロッ
クし、PBS-Twで洗浄し、次いでIg融合タンパク質と共に
22℃で1時間インキュベートした。洗浄後、ウエルを1
μg/mlのmAb と共に22℃で1時間インキュベートした。
【0079】更に洗浄した後、1:10,000希釈したHRP
接合ヤギ抗マウスIg(Tago)を加え、22℃で1時間イン
キュベートした。次いでTMB基質を添加し、上述した
通りに光学濃度を測定した。CTLA4 分子モデル。IGSF可
変部様領域の共通残基の保存に基づいてCTLA4 細胞外領
域の適当な三次元モデルを作製した。配列整列のために
「固定点」としてそのようなIGSF共通残基を使って、CT
LA4残基をIg可変部折り畳みのA,B,C,C’,
C'',D,E,F,G鎖(Williams/Barclay, 1988, 前
掲)および連結するループ領域に割り当てた(図6)。
【0080】鋳型構造としてHyHEL-5 (Sheriff 他, 19
87, PNAS 84:8075-8079)の可変重鎖を使って、CTLA4
モデルを作製した(InsightII, Discover, Molecular M
odeling and Mechanics Programs, Biosym Technologie
s, Inc., San Diego)。側鎖の置換およびループのコン
ホメーションはコンホメーション分析(Bruccoleri他,
1988, 335: 564-568)を使って近似させた。IGSF可変部
折り畳みとのCTLA4 細胞外領域配列の最初の整列を改善
するために、β鎖またはループへの幾つかの残基の割り
当てが異なっている数種類のモデルの変形を、3Dプロ
フィール分析(Luthy 他, 1992, Nature 336: 83-85)
を使ってテストした。
【0081】結果 CTLA4Ig/CD28変異体融合タンパク質の作製および結合
活性。CD28およびCTLA4 の様々な同族体の配列整列は図
1に示される。図1では、ヒト(H)、マウス(M)、
ラット(R)およびニワトリ(Ch)のCD28の配列をヒト
およびマウスCTLA4 と整列させる。シグナルペプチドを
有する成熟タンパク質のN末端から残基に番号を付け、
そして膜貫通領域に下線が引かれ、CDR 様領域が指摘さ
れている。暗い陰影が付けられた部分は残基の完全な保
存を強調し、一方で明るい陰影が付けられた部分は全て
のファミリーメンバーにおける保存的アミノ酸置換を強
調する。
【0082】配列保存領域はそれらのタンパク質の細胞
外領域全体に散在しており、最も厳格な保存は、CTLA4
とCD28の両方のCDR3様ループ中に存在するヘキサペプチ
ドMYPPPY(配列番号11)モチーフに見られる(図1)。
これは、この領域がおそらくB7抗原(例えばB7-1および
B7-2)との相互作用において役割を果たすだろうことを
暗示する。この可能性を調べるために、PCRオリゴヌ
クレオチドプライマー指令変異誘発を使って、CTLA4Ig
のこの領域中に部位特異的アラニンスキャニング変異を
導入し、それによってCTLA4Ig 変異体融合タンパク質を
生ぜしめた。同様にしてCD28Ig MYPPPY モチーフ中に2
つのアラニン変異を導入し、それによってCD28Ig変異体
融合タンパク質を生ぜしめた。
【0083】COS 細胞中へのトランスフェクション前に
全てのcDNA構成物を配列決定して所望の変異を確かめ
た。無血清COS 細胞培地中の変異体Ig融合タンパク質の
濃度をIg定量分析により決定した。安定にトランスフェ
クションされたCHO 細胞上に発現されたB7-1に結合する
各CTLA4Ig 変異体融合タンパク質の能力を、間接細胞結
合イムノアッセイにより決定した。B7-1へのCD28Ig変異
体融合タンパク質の結合は、間接エンザイムイムノアッ
セイにより評価した。それらのアッセイの各々は「材料
および方法」の箇所に記載されている。
【0084】Ala へのCTLA4Ig MYPPPYモチーフの各残基
の変異誘発は、図2に示されるようにB7-1への結合に意
味深い効果があった。図2は、CTLA4Ig およびCD28Igの
MYPPPYモチーフ中の変異がB7-1への結合を壊すことを示
す。一時的にトランスフェクションされたCOS 細胞中で
部位特異的変異体Ig融合タンパク質を生産させ、定量
し、そしてB7-1への結合能力について試験した。
【0085】図2では、反復測定を使って融合タンパク
質の定量を少なくとも2回繰り返した。詳しくは、図2
は、CTLA4Ig 変異体が、安定にトランスフェクションさ
れELISA 組織培養皿中で集密的にまで増殖されそしてエ
タノール固定されたB7-1陽性CHO 細胞に結合することを
示す。結合データは複製ウエルの平均として表され、少
なくとも2回の実験を代表する。Y99aおよびP101A 変異
体は、B7-1に結合したが野性型CTLA4Ig に比較して相当
低い能力を有した。対比して、変異体M98A, P100A, P10
2AおよびY103A は、結合のほとんど完全な欠失を示し
た。更に、CD28Ig MYPPPY 変異体であるP103A とY104A
は、ELISA プレートのウエル上に固定されたB7-1への検
出可能な結合を示さなかった(図2)。
【0086】CTLA4Ig 変異体融合タンパク質と共にイン
キュベートし、抗ヒトFITCで標識し、そしてFACSCAN を
使ってアッセイした、B7-1でトランスフェクションされ
たCHO 細胞も同等な結果を示した。それらの結果は、B7
-1へのCTLA4Ig およびCD28Igの結合の両方におけるMYPP
PYモチーフの重要な役割を明らかに証明する。CTLA4/C
D28Igハイブリッド融合タンパク質の特徴づけ。MYPPPY
モチーフはCTLA4Ig とCD28Igの両方に共通であるので、
それだけではCTLA4Ig とCD28Igに見られるB7-1への結合
の差を説明できない。一連の同族変異体を使って、B7-1
への高い結合活性へのあまり良く保存されてない残基の
寄与を評価した。
【0087】CD28の3つのCDR 様領域を、様々な組み合
わせでCTLA4 細胞外領域からの同等領域により置き換え
た(図3および第I表)。図3は、CTLA4Ig に比較した
B7-1+ CHO 細胞への%結合活性を示す CTLA4/CD28Ig変
異体融合タンパク質の地図である。保存されたシステイ
ン残基(C)がそれぞれ22, 93および121 位に示される
(CTLA4 ナンバリング)。MYPPPYモチーフの位置も示さ
れる。白い部分はCD28配列を表し;黒く塗った部分はCT
LA4 配列を表し;陰影を付けた部分はIgG Fcの始まりを
表す(第I表にも言及)。%結合活性は、CTLA4Ig に関
して結合曲線(図4/5)を比較しそしてCTLA4Ig につ
いて見られるのと同じO.D.を与えるのに必要とされる変
異体の濃度を見つけることにより決定した。次いで特定
のO.D.における変異体タンパク質対CTLA4Ig 濃度の比を
%結合活性として表した。CTLA4Ig 結合曲線の直線部分
から少なくとも2つのA450読みをとり、そして平均%結
合活性を決定した。
【0088】合計14のハイブリッド構成物を調製し、配
列決定し、そしてCOS 細胞中にトランスフェクションし
た。無血清培地中のIg融合タンパク質の濃度を決定し、
それらの電気泳動移動度をウエスタンブロット分析を含
むSDS-PAGEにより比較した。還元条件下では、各キメラ
タンパク質は、置換領域のサイズに依存してCTLA4Ig (M
r =50 kDa) とCD28Ig (Mr=70 kDa) のものの間に位置
する相対分子量で移動した。
【0089】非還元条件下では、該タンパク質は主に10
0 〜140 kDa で移動し、これは、Fcのヒンジ領域中のシ
ステイン残基の変異誘発にもかかわらず、それらの融合
タンパク質がジスルフィド結合した二量体として存在す
ることを示した。CTLA4 とCD28中の5つの保存されたシ
ステイン残基のうちの4つが鎖内ジスルフィド結合に携
わっていると思われ、従って融合タンパク質の二量化は
おそらくCTLA4 中の121 位(CD28中の123 位)のところ
の5番目の保存されたシステイン残基に帰することがで
きよう。
【0090】B7-1への CTLA4/CD28Igハイブリッドタン
パク質の結合。部位特異的CTLA4IgおよびCD28Ig変異体
融合タンパク質をアッセイするのに使ったのと同じ間接
細胞結合イムノアッセイにより、B7-1に結合する能力に
ついてハイブリッド融合タンパク質を試験した。
【0091】それらの条件下では、CD28IgとB7-1の結合
はわずかに検出可能である(図4/5)。しかしなが
ら、CD28の残基97〜125 (CDR3様の伸びた領域)をCTLA
4 の対応残基で置換することにより、B7-1へのCD28Ig類
似体の結合におよそ2.5 ケタ分の増加が生じた(図4/
5)。図4/5は、CTLA4 /CD28Ig変異体融合タンパク
質がB7-1 CHO細胞への高い結合活性にCDR 様領域が関連
することを示す。変異体は図2に記載したのと同様にア
ッセイした。データは複製ウエルの平均として表され、
少なくとも3回の実験の代表である。それらの曲線か
ら、図3に説明・指示した通りに、CTLA4Ig に比較した
%結合活性を決定した。
【0092】HS4 と命名されたこの構成物によるB7-1へ
の結合(図3)は、野性型CTLA4Igよりも約5倍小さ
い。CTLA4 の追加のN末端残基(アミノ酸1〜22)を含
むHS2ハイブリッドは、HS4 に比較したB7-1に結合する
ハイブリッド分子の能力を改善しなかった。CD28のCDR1
様領域(残基25〜32)を含むこと以外はCTLA4Ig 配列を
表すHS6 構成物は、同じ程度に結合した。しかしなが
ら、HS4 構成物中へのCTLA4 CDR1様領域(残基25〜32)
の追加の包含(構成物HS7 )は、結合親和力がCTLA4Ig
の約44%であるように更に改善された結合を示した(図
3)。
【0093】対比して、HS4 中へのCTLA4 のCDR2様領域
(残基51〜58)の包含(構成物HS10)は、結合を更に増
加させなかった(図3)。CD28Ig中にCTLA4 の3つのCD
R 様領域の全ての配列が包含された構成物HS11について
も同様な結果が観察された。CTLA4 のCDR1様領域のみを
含んだHS5 ハイブリッドは非常に低レベルで結合した。
CTLA4/CD28Igハイブリッド HS4-Aは、C末端の方に延
長されたCDR3様領域中のCTLA4Ig 残基96〜113 をコード
し;HS4 よりも9個のCTLA4 由来残基だけ少ない(図3
および第I表)。HS4-A はHS4 よりもかなり少なくB7-1
CHO細胞を結合した(図3および5)。しかしながら、
CTLA4 CDR1様ループの付加(HS8 ハイブリッド)は、野
性型結合の約2%から60%近くまでB7-1結合を増加させ
た。
【0094】他方で、HS4-A 中へのCTLA4 CDR2様ループ
の付加(HS12)は、HS4-A に比べて結合を増加させなか
った。3つのCTLA4 CDR 様領域の全ての付加(HS13、図
3)も結合を増加させなかった。HS4-B と命名された別
のハイブリッドは、MYPPPYモチーフの後にCTLA4 残基11
4 〜122 を含むCD28 CDR3 様領域をコードした(第I表
および図3)。HS4-B とHS4-A は同様なB7-1への結合を
示した。しかしながら、HS4-A と違い、HS4-B 中へのCT
LA4 CDR1様ループの包含(HS9 )は結合を改善しなかっ
た(図3)。このことは、CTLA4Ig MYPPPYモチーフのす
ぐ近隣の残基が高い結合活性への重要な決定基であるこ
とを示唆した。
【0095】CTLA4/CD28Igハイブリッド融合タンパク
質に結合するモノクローナル抗体。CTLA4 またはCD28に
特異的なmAb と結合する能力をエンザイムイムノアッセ
イにおいて評価することにより、各ハイブリッド融合タ
ンパク質の構造的完全性を調べた。CTLA4 特異的mAb で
ある7F8, 11D4 および10A8はリガンド結合をブロックす
る〔Linsley 他 (1992) 前掲〕。
【0096】それらの抗体は、P100A とP102A に結合で
きなかった11D4を除いて、CTLA4Ig変異体融合タンパク
質の各々に結合した(第II表)。7F8 と10A8はそれらの
変異体に結合したので、11D4による結合の欠失はおそら
く、11D4により認識されるエピトープを乱す変異誘発に
帰することができるだろう。逆に、各抗体は、HS6 に結
合した7F8 とHS8 に弱く結合した11D4とを除いて、同族
のスキャンハイブリッド融合タンパク質のいずれにも結
合できなかった。それらの同族ハイブリッド融合タンパ
ク質の多くは、ある程度は、B7-1に結合することができ
るので、該抗体による結合の欠失は、おそらく空間的に
近いが非直線的な配列によって形成される配座エピトー
プの破壊によるものであったらしい。
【0097】CD28特異的mAb 9.3 〔Linsley 他 (1992)
前掲〕は、CD28部位特異的変異体融合タンパク質のいず
れにも結合することができなかったが、ハイブリッド融
合タンパク質HS4, HS4-A, HS7 およびHS8 には結合し
た。HS2 とは、弱い結合が観察された。HS5 およびHS6
構成物とは全く結合が見られなかった。CTLA4 モデル。
図6は、CTLA4 モデルの略図を示す。CDR1様領域へのCT
LA4 残基の割り当ては図1に示される。CTLA4 モデル
は、CTLA4 とIg可変部折り畳みの類似性を支持する、残
基Cys49 とCys67 の間の追加の(非Ig)ジスルフィド結
合の存在を示唆する。
【0098】CTLA4 中の2つの可能なN結合グリコシル
化部位は、Igのβ鎖フレームワーク領域の溶媒暴露部分
にマッピングされる。3Dプロフィール分析は、CTLA4
配列が、より遠縁にもかかわらず、IgのV折り畳みと全
体的に適合することを示した。残基Val115は、CTLA4Ig
様領域の最終残基を表す。CTLA4 同種二量体を形成する
と思われるVal115と膜近位のCys121との間の領域のコン
ホメーションは、CD28ファミリー間で高度に可変的であ
る。イメージ像は、CD28ファミリーのメンバーが主にB7
-1への結合に3つのCDR 様領域のうちの2つの残基を使
うものである。
【0099】MYPPPYモチーフは、それのC末端延長によ
り増加されると思われ且つ超可変性CDR1様領域により特
異的に調節される、保存された結合のための骨格を表
す。CDR3およびCDR1様領域は空間的にIg可変部折り畳み
と連続している。CDR2様領域は空間的に離れており、CD
28ファミリーの場合、B7-1への結合に有意には寄与しな
い。
【0100】実施例2 部位特異的変異誘発により、我々はCD80とCD86の両方を
結合するCTLA4 分子の能力において極めて重要な役割を
果たすCTLA4 中のアミノ酸位置を同定した。加えて、野
性型分子と同様にCD80を結合する能力を有するがCD86を
結合する能力を欠いている変異型CTLA4Ig 分子を生じ
る、この位置の2つのアミノ酸置換を同定した。下記は
CD80を結合するがCD86を結合しない可溶性CTLA4 融合タ
ンパク質を作製する方法を記載する。
【0101】方法および材料 モノクローナル抗体(mAbs)。CD80およびCD86に特異的
なマウスモノクローナル抗体は以前に記載されている
〔Kuchroo 他, Cell 80:707-718 (1995)〕。細胞培養。
安定にトランスフェクションされたB7-1(CD80)陽性C
HO細胞の調製は以前に記載されている〔Linsley 他,
J. Exp. Med. 173:721-730 (1991); P.S. Linsley他,
J. Exp. Med. 174:561 (1991) 〕。安定にトランスフェ
クションされたB7-2(CD86)陽性細胞の調製は以前に記
載されている〔Freeman 他,J. Exp. Med. 178:2185 (19
93) ; PCT WO95/06738 〕。LCL 細胞の調製は以前に記
載されている〔Wyss-Coray他, European Journal of Im
munology 23(12):3350-3357 (1993)〕。
【0102】10%ウシ胎児血清(FBS)、0.2 mMプロ
リンおよび1μMメトトレキセートが補足されたDME
M中に細胞を維持した。COS細胞は10%FBSが補足
されたDMEM中で増殖させた。以前に記載された通り
に(米国特許出願第08/228,208号の実施例2を参照のこ
と)CHO細胞中でCTLA4Ig を調製した。
【0103】CTLA4Ig 部位特異的変異体発現プラスミ
ド。CTLA4 の細胞外領域がヒトIgG重鎖のヒンジ領域と
定常領域に遺伝子的に融合されたCTLA4 の可溶性キメラ
形態(CTLA4Ig )をコードするベクター上に部位特異的
変異誘発を行った〔Linsley 他, J. Exp. Med. 173:721
-730 (1991) 〕。重複オリゴヌクレオチドプライマー中
に所望の変異をコードせしめ、そして鋳型としてπLN C
TLA4Igプラスミド構成物を使ってPCR(Ho他, 1989,
前掲)により変異体を生じさせることにより、CTLA4Ig
部位特異的変異体を調製した(米国特許出願第08/228,2
08号の実施例1を参照のこと)。
【0104】CTLA4 の高度に保存されたMYPPPYモチーフ
(図1)中の最初のチロシン位置にアミノ酸置換をコー
ドする18の変異体を調製した(Ho他, 1989, 前掲)。こ
の変異体シリーズは、システインを除く20アミノ酸の各
々をコードする新規コドンを生じるようにこの位置のコ
ドンを変えることによって作製した。PCR反応に必要
であるが変異の導入には必要でないプライマーは、(1)
CTLA4Ig πLN配列の5′末端のSacI制限部位の上流の相
補的配列をコードするπLN正プライマー(πLNIgFP)、
および(2) 免疫グロブリンコード領域の3′末端のXbaI
部位の下流の相補的配列をコードする逆プライマー(π
LNIgRP)を含んだ。
【0105】それらのプライマーは次の配列をコードし
た: πLNIgFP:5'-TGCAAGGTGGAGCTCATGTTCCCACCGCCATAC(配
列番号12) πLNIgRP:5'-GCGCTCGACTCTAGAAGCATCCTCGTG(配列番号
13) PCR条件は、94℃で6分に続いて、94℃で1分、55℃
で2分および72℃で3分の30サイクルから成った。供給
業者(Perkin Elmer Cetus, Emeryville, CA)により推
奨される通りにTaq ポリメラーゼと反応条件を使った。
PCR生成物をSacIとXbaIで消化し、SacI/XbaI で切断
されたπLN CTLA4Ig発現ベクターに連結せしめた。
【0106】所望の変異が挿入されていることを確認す
るため、そして二次変異がないことを確かめるため、各
CTLA4Ig 変異体融合タンパク質(可溶性CTLA4 変異体融
合タンパク質の一例)を、製造業者の教示(United Sta
tes Biochemical Corp., Cleveland, OH)に従ってシー
クエナーゼ試薬を使ったジデオキシチェーンターミネー
ション/伸長反応により配列決定した。各変異体をコー
ドするプラスミドをCOS細胞中にトランスフェクショ
ンし〔Aruffo他, Cell 61:1303 (1990) 〕、そして生成
Ig変異体融合タンパク質の入手源として順化培地を使っ
た。
【0107】培地中の生成Ig融合タンパク質の定量。以
前に記載されたようなFACS分析により(米国特許出願第
08/228,208号の実施例1を参照のこと)可溶性変異体融
合タンパク質を定量した。抗CD80または抗CD86 mAbs の
存在下でのCTLA4Ig 融合タンパク質の結合。CTLA4Ig タ
ンパク質および競合分子を含む結合実験は、以前に記載
された手順を使った(米国特許出願第08/228,208号の実
施例4を参照のこと)。Ig融合タンパク質の精製。Ig融
合タンパク質は以前に記載された通りに精製した(米国
特許出願第08/228,208号の実施例1を参照のこと)。
【0108】結果 CTLA4Ig 変異体融合タンパク質の結合活性。一時的にト
ランスフェクションされたCOS 細胞中で部位特異的変異
体Ig融合タンパク質を生産させ、定量し、そしてCD80ま
たはCD86に結合するそれらの能力について試験した。安
定にトランスフェクションされたCHO 細胞上に発現され
たCD80またはCD86に結合する各CTLA4Ig 変異体融合タン
パク質の能力は、それらの細胞を様々なCTLA4Ig 変異体
融合タンパク質と共にインキュベートし、該変異タンパ
ク質を抗ヒトFITCで標識し、そしてそれらを上述したよ
うなFACSCAN によってアッセイすることにより、決定し
た。
【0109】CD80またはCD86のいずれかを発現するCHO
細胞の滴定染色は、CTLA4Ig MYPPPYモチーフ中の最初の
チロシン残基の変異誘発がCD80とCD86の両方への結合に
意味深い効果を有することを示す。図7は、この位置で
の各アミノ酸置換がユニークな結合プロフィールを生じ
ることを示す。加えて、この図は、この位置でのフェニ
ルアラニンやトリプトファンによる置換が、野性型分子
と同様にCD80を結合することができるがCD86を結合する
ことができない変異体をもたらすことを示す。
【0110】図8は更に、MYPPPYモチーフ中の最初のチ
ロシンがフェニルアラニンかトリプトファンのいずれか
で置き換えられている2つの変異体分子のユニークな特
徴を表す。様々な濃度範囲に渡るFACS分析は、それらの
2つの変異体が野性型分子と同様にしてCD80と結合する
がCD86には完全に結合できないことを示す。
【0111】これらの観察結果は、生来CD80とCD86抗原
を発現する細胞系を使った研究と一致する。図9は、フ
ェニルアラニン変異体が細胞系LCL 816 の表面上に発現
される内因性CD80に結合することを示す。CD80分子に対
するこの変異体の特異性は、CD80に特異的であるモノク
ローナル抗体によりそれの結合が阻害されるという競合
実験において証明される。更に、CD86に特異的な抗体
は、この細胞系に結合するこの分子の能力に何ら影響を
及ぼさない。
【0112】このデータは、CTLA4Ig のMYPPPYモチーフ
中の最初のチロシンが、CD80とCD86の両方を結合するこ
の分子の能力に極めて重要な役割を果たしていることを
証明する。加えて、これらの結果は、この位置の残基を
フェニルアラニンかトリプトファンのいずれかに変更す
る置換が、CD80を結合する能力を保持しているがCD86を
結合する能力を欠いている変異体をもたらすことを示
す。
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:234 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Ala Cys Leu Gly Phe Gln Arg His Lys Ala Gln Leu Asn Leu Ala 1 5 10 15 Ala Arg Thr Trp Pro Cys Thr Leu Leu Phe Phe Leu Leu Phe Ile Pro 20 25 30 Val Phe Cys Lys Ala Met His Val Ala Gln Pro Ala Val Val Leu Ala 35 40 45 Ser Ser Arg Gly Ile Ala Ser Phe Val Cys Glu Tyr Ala Ser Pro Gly 50 55 60 Lys Ala Thr Glu Val Arg Val Thr Val Leu Arg Gln Ala Asp Ser Gln 65 70 75 80 Val Thr Glu Val Cys Ala Ala Thr Tyr Met Thr Gly Asn Glu Leu Thr 85 90 95 Phe Leu Asp Asp Ser Xaa Xaa Ile Cys Thr Gly Thr Ser Ser Gly Asn 100 105 110 Gln Val Asn Leu Thr Ile Gln Gly Leu Arg Ala Met Asp Thr Gly Leu 115 120 125 Tyr Ile Cys Lys Val Glu Leu Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Tyr Leu Xaa 130 135 140 Gly Ile Gly Asn Gly Thr Gln Ile Tyr Val Ile Asp Pro Glu Pro Cys 145 150 155 160 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Pro Asp Ser Asp Phe Leu Leu Trp Ile Leu Ala 165 170 175 Ala Val Ser Ser Gly Leu Phe Phe Tyr Ser Phe Leu Leu Thr Xaa Ala 180 185 190 Val Ser Leu Ser Lys Met Leu Lys Lys Arg Ser Pro Leu Thr Thr Gly 195 200 205 Val Tyr Val Lys Met Pro Pro Thr Glu Pro Glu Cys Glu Xaa Xaa Lys 210 215 220 Gln Phe Gln Pro Tyr Phe Ile Pro Ile Asn 225 230
【0116】配列番号:2 配列の長さ:234 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Ala Cys Leu Gly Leu Arg Arg Tyr Lys Ala Gln Leu Gln Leu Pro 1 5 10 15 Ser Arg Thr Trp Pro Phe Val Ala Leu Leu Thr Leu Leu Phe Ile Pro 20 25 30 Val Phe Ser Glu Ala Ile Gln Val Thr Gln Pro Ser Val Tyr Leu Ala 35 40 45 Ser Ser His Gly Tyr Ala Ser Phe Pro Cys Glu Tyr Ser Pro Ser His 50 55 60 Asn Thr Asp Glu Tyr Arg Val Thr Val Leu Arg Gln Thr Asn Asp Gln 65 70 75 80 Met Thr Glu Val Cys Ala Thr Thr Phe Thr Glu Lys Asn Thr Val Gly 85 90 95 Phe Leu Asp Tyr Pro Xaa Xaa Phe Cys Ser Gly Thr Phe Asn Glu Ser 100 105 110 Arg Val Asn Leu Thr Ile Gln Gly Leu Arg Ala Val Asp Thr Gly Leu 115 120 125 Tyr Leu Cys Lys Val Glu Leu Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Phe Val Xaa 130 135 140 Gly Met Gly Asn Gly Thr Gln Ile Tyr Tyr Ile Asp Pro Glu Pro Cys 145 150 155 160 Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Pro Asp Ser Asp Phe Leu Leu Trp Ile Leu Tyr 165 170 175 Ala Val Ser Leu Gly Leu Phe Phe Tyr Ser Phe Leu Val Ser Xaa Ala 180 185 190 Val Ser Leu Ser Lys Met Leu Lys Lys Arg Ser Pro Leu Thr Thr Gly 195 200 205 Val Tyr Val Lys Met Pro Pro Thr Glu Pro Glu Cys Glu Xaa Xaa Lys 210 215 220 Gln Phe Gln Pro Tyr Phe Ile Pro Ile Asn 225 230
【0117】配列番号:3 配列の長さ:225 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列
【0118】 Met Thr Leu Arg Leu Leu Phe Leu Ala Leu Asn Phe Phe Xaa Ser Val 1 5 10 15 Gln Val Thr Glu Asn Lys Ile Leu Val Lys Gln Ser Pro Leu Leu Tyr 20 25 30 Val Asp Ser Asn Glu Val Xaa Ser Leu Ser Cys Arg Tyr Ser Tyr Asn 35 40 45 Leu Leu Ala Lys Glu Phe Arg Ala Ser Leu Tyr Lys Gly Val Asn Ser 50 55 60 Asp Val Xaa Glu Val Cys Val Gly Asn Gly Asn Phe Thr Tyr Gln Pro 65 70 75 80 Gln Phe Arg Ser Asn Ala Glu Phe Asn Cys Asp Gly Asp Phe Asp Asn 85 90 95 Glu Thr Val Thr Phe Arg Leu Trp Asn Leu His Val Asn His Thr Asp 100 105 110 Ile Tyr Phe Cys Lys Ile Glu Phe Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp 115 120 125 Asn Glu Arg Ser Asn Gly Thr Ile Ile His Ile Lys Glu Lys His Leu 130 135 140 Cys His Thr Xaa Xaa Xaa Gln Ser Ser Pro Lys Leu Phe Trp Ala Leu 145 150 155 160 Tyr Val Val Ala Gly Val Leu Phe Cys Tyr Gly Leu Leu Val Thr Val 165 170 175 Ala Leu Cys Val Ile Trp Thr Asn Ser Arg Arg Asn Arg Leu Leu Gln 180 185 190 Val Thr Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Leu Thr Arg Xaa 195 200 205 Lys Pro Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Ala Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg 210 215 220 Pro 225
【0119】配列番号:4 配列の長さ:225 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Thr Leu Arg Leu Leu Phe Leu Ala Leu Ser Phe Phe Xaa Ser Val 1 5 10 15 Gln Val Thr Glu Asn Lys Ile Leu Val Lys Gln Ser Pro Leu Leu Val 20 25 30 Tyr Asp Asn Asn Glu Val Xaa Ser Leu Ser Cys Arg Tyr Ser Tyr Asn 35 40 45 Leu Leu Ala Lys Glu Phe Arg Ala Ser Leu Tyr Lys Gly Val Asn Ser 50 55 60 Asp Val Xaa Glu Val Cys Val Gly Asn Gly Asn Phe Thr Tyr Gln Pro 65 70 75 80 Gln Phe Arg Pro Asn Val Gly Phe Asn Cys Asp Gly Asn Phe Asp Asn 85 90 95 Glu Thr Val Thr Phe Arg Leu Trp Asn Leu Asp Val Asn His Thr Asp 100 105 110 Ile Tyr Phe Cys Lys Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp 115 120 125 Asn Glu Lys Ser Asn Gly Thr Ile Ile His Ile Lys Glu Lys His Leu 130 135 140 Cys His Ala Xaa Xaa Xaa Gln Thr Ser Pro Lys Leu Phe Trp Pro Leu 145 150 155 160 Val Val Val Ala Gly Val Leu Leu Cys Tyr Gly Leu Leu Tyr Thr Val 165 170 175 Thr Leu Cys Ile Ile Trp Thr Asn Ser Arg Arg Asn Arg Leu Leu Gln 180 185 190 Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg Arg Leu Gly Pro Thr Arg Xaa 195 200 205 Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Ala Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg 210 215 220 Pro 225
【0120】配列番号:5 配列の長さ:223 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Leu Arg Leu Leu Leu Ala Leu Asn Leu Phe Pro Ser Ile Gln Val 1 5 10 15 Thr Gly Asn Lys Ile Leu Val Lys Gln Ser Pro Met Leu Val Ala Tyr 20 25 30 Asp Asn Ala Tyr Xaa Asn Leu Ser Cys Lys Tyr Ser Tyr Asn Leu Phe 35 40 45 Ser Arg Glu Phe Arg Ala Ser Leu His Lys Gly Leu Asp Ser Ala Val 50 55 60 Xaa Glu Val Cys Val Val Tyr Gly Asn Tyr Ser Gln Gln Leu Gln Val 65 70 75 80 Tyr Ser Lys Thr Gly Phe Asn Cys Asp Gly Lys Leu Gly Asn Glu Ser 85 90 95 Val Thr Phe Tyr Leu Gln Asn Leu Tyr Val Asn Gln Thr Asp Ile Tyr 100 105 110 Phe Cys Lys Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu 115 120 125 Lys Ser Asn Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro 130 135 140 Ser Pro Leu Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val 145 150 155 160 Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Tyr Thr Val Ala Phe 165 170 175 Ile Ile Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp 180 185 190 Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Xaa Lys His 195 200 205 Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser 210 215 220
【0121】配列番号:6 配列の長さ:226 アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数: トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列
【0122】 Met Leu Gly Ile Leu Val Val Leu Cys Leu Ile Pro Ala Ala Asp Val 1 5 10 15 Thr Glu Asn Lys Ile Leu Val Ala Gln Arg Pro Leu Leu Ile Val Ala 20 25 30 Asn Arg Thr Ala Xaa Thr Leu Val Cys Asn Tyr Thr Tyr Asn Gly Thr 35 40 45 Gly Lys Glu Phe Arg Ala Ser Leu His Lys Gly Thr Asp Ser Ala Val 50 55 60 Xaa Glu Val Cys Phe Ile Ser Trp Asn Met Thr Xaa Lys Ile Asn Ser 65 70 75 80 Asn Ser Asn Lys Glu Phe Asn Cys Arg Gly Ile His Asp Lys Asp Lys 85 90 95 Val Ile Phe Asn Leu Trp Asn Met Ser Ala Ser Gln Thr Asp Ile Tyr 100 105 110 Phe Cys Lys Ile Glu Ala Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Val Tyr Asn Glu 115 120 125 Lys Ser Asn Gly Thr Val Ile His Tyr Arg Glu Thr Pro Ile Xaa Xaa 130 135 140 Gln Thr Gln Glu Pro Glu Ser Ala Thr Ser Tyr Trp Val Met Tyr Ala 145 150 155 160 Val Thr Gly Leu Leu Gly Phe Tyr Ser Met Leu Ile Thr Ala Val Phe 165 170 175 Ile Ile Tyr Arg Gln Lys Ser Lys Arg Asn Arg Tyr Arg Gln Ser Asp 180 185 190 Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg His Pro Pro His Gln Lys Asn Lys Gly 195 200 205 Tyr Pro Ser Tyr Ala Pro Thr Arg Asp Tyr Thr Ala Tyr Arg Ser Trp 210 215 220 Gln Pro 225
【0123】配列番号:7 配列の長さ:6アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Tyr Pro Pro Ala Tyr 1 5
【0124】配列番号:8 配列の長さ:6アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Tyr Pro Pro Pro Ala 1 5
【0125】配列番号:9 配列の長さ:18塩基対 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配 列 AATACGACTC ACTATAGG 18
【0126】配列番号:10 配列の長さ:18塩基対 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配 列 CACCACACTG TATTAACC 18
【0127】配列番号:11 配列の長さ:6アミノ酸 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配 列 Met Tyr Pro Pro Pro Tyr 1 5
【0128】配列番号:12 配列の長さ:33塩基対 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配 列 TGCAAGGTGG AGCTCATGTT CCCACCGCCA TAC 33
【0129】配列番号:13 配列の長さ:27塩基対 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配 列 GCGCTCGACT CTAGAAGCAT CCTCGTG 27
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、CD28およびCTLA4 ファミリーメンバー
の配列整列を示すグラフである。ヒト(H)、マウス
(M)、ラット(R)およびニワトリ(Ch)CD28がヒト
およびマウスCTLA4 と整列される。シグナルペプチドを
有する成熟タンパク質のN末端から残基に番号が付けら
れ、膜貫通領域には下線が引かれ、そしてCDR 様領域が
指摘されている。暗い陰影が付けられた部分は残基の完
全な保存を強調し、一方で明るい陰影が付けられた部分
は全ファミリーメンバー(配列番号1〜6)において保
存的なアミノ酸置換を強調する。
【図2】図2は、CTLA4Ig およびCD28Ig変異体がB7-1に
結合することを示す折れ線グラフである。
【図3】図3は、 CTLA4/CD28Igハイブリッド融合タン
パク質の概略図である。白い部分はCD28配列を表し;黒
く塗った部分はCTLA4 配列を表し;あや目陰影を付けた
部分はIgG Fcの始まりを表す(表1も参照)。
【図4】図4は、 CTLA4/CD28Igハイブリッド融合タン
パク質が高い結合活性でB7-1 CHO細胞に結合することを
示す折れ線グラフである。
【図5】図5は、 CTLA4/CD28Igハイブリッド融合タン
パク質が高い結合活性でB7-1 CHO細胞に結合することを
示す折れ線グラフである。
【図6】図6は、単量体CTLA4Ig v 様細胞外領域の分子
モデルである。
【図7】図7は、CD80かCD86のいずれかを発現している
CHO 細胞に結合するCTLA4Ig 野性型(w.t.)と変異型分
子の能力の棒グラフ比較である。野性型分子は、天然に
存在するモチーフの配列であるMYPPPYで表される。個々
の変異体も同様な形で表される。このヘキサペプチド中
の2番目の位置のところで置換されたアミノ酸の記号は
特異的変異を表す。
【図8】様々な濃度のCTLA4 融合タンパク質を使った野
性型(w.t.)と変異型分子の結合力の比較である。図7
に示される通り、変異体はそれらの各モチーフ配列によ
って表される。
【図9】図9は、LCL 816 細胞系を使った抗体競合研究
である。この図は、様々な濃度の抗CD80または抗CD86抗
体の存在下でCD80またはCD86に結合する野性型と変異型
タンパク質を比較する。図7に示される通り、変異体は
それらの各モチーフ配列によって表される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/09 ZNA C12N 5/00 B C12P 21/02 E // C07K 16/18 9282−4B 15/00 ZNAA (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 ジェフリー エー.レッドベター アメリカ合衆国,ワシントン 98117,シ アトル,ノース ウエスト ワンハンドレ ッドサーティーンス プレイス 306 (72)発明者 ロバート ピーチ アメリカ合衆国,ワシントン 98026,エ ドモンズ,シックスティフィフス プレイ ス 14021

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CD80抗原と反応性であるCTLA4 変異体分
    子であって、CTLA4の細胞外領域においてアミノ酸モチ
    ーフMYPPPY中の最初のチロシンがチロシン以外のアミノ
    酸により置換されているCTLA4 変異体分子。
  2. 【請求項2】 前記最初のチロシンを置換するアミノ酸
    が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギ
    ン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシ
    ン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メ
    チオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレ
    オニン、トリプトファンまたはバリンである、請求項1
    に記載のCTLA4 変異体分子。
  3. 【請求項3】 前記最初のチロシンを置換するアミノ酸
    がフェニルアラニンである、請求項1に記載のCTLA4 変
    異体分子。
  4. 【請求項4】 前記最初のチロシンを置換するアミノ酸
    がトリプトファンである、請求項1に記載のCTLA4 変異
    体分子。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の機能的な可溶
    性CTLA4 変異体分子。
  6. 【請求項6】 CD80抗原を結合するがCD86抗原を結合し
    ない、請求項6に記載のCTLA4 変異体分子。
  7. 【請求項7】 非CTLA4 分子に結合された請求項6に記
    載のCTLA4 変異体分子。
  8. 【請求項8】 前記非CTLA4 分子が免疫グロブリン分子
    の少なくとも一部分である、請求項7に記載のCTLA4 変
    異体分子。
  9. 【請求項9】 前記分子がCTLA4 変異体分子の細胞外領
    域に相当するアミノ酸残基を含む第一のアミノ酸配列と
    免疫グロブリンCγ1のヒンジ、CH2およびCH3領
    域に相当するアミノ酸残基を含む第二のアミノ酸配列と
    を有するCTLA4Ig 変異体融合分子である、請求項1に記
    載のCTLA4 変異体分子。
  10. 【請求項10】 請求項1または9に記載の精製された
    タンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項10のタンパク質をコードする
    核酸分子。
  12. 【請求項12】 請求項11のDNA分子。
  13. 【請求項13】 請求項12のcDNA分子。
  14. 【請求項14】 請求項13のcDNA分子をコードす
    るプラスミド。
  15. 【請求項15】 適合性の真核宿主細胞中にトランスフ
    ェクションされた請求項14のプラスミドを含んで成る
    宿主−ベクター系。
  16. 【請求項16】 前記適合性の真核宿主細胞がチャイニ
    ーズハムスター卵巣細胞である、請求項15に記載の宿
    主−ベクター系。
  17. 【請求項17】 CTLA4 変異体分子の生産方法であっ
    て、宿主中でCTLA4 変異体分子を生産するように請求項
    15の宿主−ベクター系を増殖させ、そうして生産され
    たCTLA4 変異体分子を回収することを含んで成る方法。
  18. 【請求項18】 リンパ球とCD80の相互作用を阻止する
    ことにより免疫応答を調節する方法であって、CD80陽性
    細胞を請求項1のCTLA4 変異体分子と接触させて内因性
    CD80抗原とCTLA4 との反応を阻害することを含んで成る
    方法。
  19. 【請求項19】 前記リンパ球がCD80陽性リンパ球であ
    る、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記免疫応答が、抗体産生の阻害を引
    き起こすB細胞応答であり、細胞性免疫の阻害を引き起
    こすT細胞応答がリンパ球増殖の阻害である、請求項1
    9に記載の方法。
  21. 【請求項21】 CD80陽性細胞とT細胞の相互作用によ
    って媒介される免疫系疾患の治療方法であって、前記CD
    80陽性細胞とT細胞の相互作用を抑制するために患者に
    請求項1のCTLA4 変異体分子を投与することを含んで成
    る方法。
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