JPH09191980A

JPH09191980A - 水洗い可能な布団類

Info

Publication number: JPH09191980A
Application number: JP922596A
Authority: JP
Inventors: Masumi Fujimoto; 倍已藤本; Kazunori Aiyama; 和則相山; Shigenobu Nishimura; 成伸西村
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1996-01-23
Filing date: 1996-01-23
Publication date: 1997-07-29

Abstract

(57)【要約】【課題】そのまままるごと水洗い可能でしかも速乾性が
あり、水洗いによる外観変化や風合い変化のない、そし
て抗菌性を有する布団類が提供される。この布団類は溶
融や解重合などにより、原材料としてリサイクル使用可
能である。【解決する手段】詰め綿、側地および縫い糸のいずれも
がポリエステル系繊維を含んでいる布団類であって、布
団全体に対するポリエステル系繊維の割合いが６０重量
％以上で、かつ側地と詰め綿がキルティングされまたは
綴じられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、掛け布団、敷き布
団、肌掛け布団、こたつ布団、座布団、ベッドパット等
の布団類に関するものであり、さらに詳しくは家庭洗濯
機などでそのまままるごと水洗い可能な布団類に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ポリエステル系合成繊維詰め綿は
優れた嵩高性を発揮し、軽量で保温性に優れているた
め、多くの詰め綿用途の商品に使用されている。かかる
ポリエステル系合成繊維詰め綿としては、複合紡糸や非
対称冷却などによって３次元捲縮を発現させて嵩高性に
優れたものにしたり、例えば、特公平６−５１０７６号
公報で提案されているように、順方向型立体巻縮繊維と
反転型立体巻縮繊維の混用組み合わせによって無荷重下
や荷重下の嵩高性に優れたものにしたり、繊維断面を中
空などのように異形化したり、繊維の繊度、繊維長ある
いは油剤を適正化して、嵩高性や風合いを改良したもの
もみられる。さらに、例えば、特公昭５２−２８４２６
号公報、実公昭５３−５３５３号公報および特公平４−
３４４３５号公報などでは、シリコン樹脂を付与して柔
軟な風合いを得る発明が提案されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これら詰め綿
を使用した布団類は実用上はほとんどが洗濯しないか、
または洗濯するとしてもドライクリーニングするのが現
状であり、少なくとも家庭用の洗濯機でそのまままるご
と水洗いできる布団類としてのレベルには達していなか
った。

【０００４】本発明の目的は、水洗いが可能で速乾性が
あり、しかも水洗いによる外観変化や風合い変化のない
布団類を提供することにある。本発明の他の目的は、水
洗い可能でかつ抗菌性を有する布団類を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、溶融、解重合などに
より、原材料としてリサイクル使用可能な布団類を提供
することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために、次の構成を有する。即ち、本発明は、
詰め綿、側地および縫い糸がいずれもポリエステル系繊
維を含んでいる布団類であって、該布団類全体に対する
ポリエステル系繊維の割合いが６０重量％以上で、かつ
その側地と詰め綿がキルティングされもしくは綴じられ
ていることを特徴とするそのまままるごとで水洗い可能
な布団類である。

【０００６】なお、本発明においては次の実施態様が含
まれる。

【０００７】（１）前記側地と該詰め綿の綴じ間隔が３
〜４０ｃｍであること。

【０００８】（２）水洗い後の布団類の水洗い収縮率が
５％以下、速乾性が６０％以上であること。

【０００９】（３）前記詰め綿の繊度が０．５〜３０デ
ニール、繊維長が１０〜１００ｍｍであること。

【００１０】（４）前記詰め綿が３次元捲縮を有する短
繊維であって、少なくとも３山／２５ｍｍの捲縮数と少
なくとも５％の捲縮度とを有すること。

【００１１】（５）前記側地がポリエステル繊維と吸湿
性繊維で構成されていること。

【００１２】（６）前記詰め綿が抗菌繊維を含むこと。
前記抗菌繊維の該詰め綿に対する重量比が４０％以上で
あること。

【００１３】（７）前記抗菌繊維が抗菌成分を有するこ
と。前記抗菌成分がアミジン基またはグアニジン基を有
する化合物であること。前記抗菌成分が第４級アンモニ
ウム塩であること。第４級アンモニウム塩は、好ましく
は後述の式〔１〕、〔２〕または〔３〕で表される化合
物であること。

【００１４】（８）メラミン樹脂加工された繊維を使用
すること。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、実施態様の例を挙げ本発明
について詳細に説明する。

【００１６】一般に、掛け布団、敷き布団、肌掛け布
団、こたつ布団、座布団、ベッドパット等の布団類は、
主として詰め綿や側地が木綿で構成されているため、こ
れをそのまま水洗いすると、縮んで寸法が小さくなった
り、風合いが粗硬になったり、側地に皺が入ったり、さ
らには染料が脱落して色褪する等、外観を損なう問題が
あった。これらの問題を解決するために本発明では、か
かる布団類を詰め綿、側地および縫い糸の好ましくはそ
れぞれを、少なくとも家庭の洗濯機で家庭用洗剤を用い
てそのまま水洗いしても、水洗い時の水、洗剤、水流に
よる揉み作用あるいは水で濡れた布団類の乾燥等によっ
て寸法の変化、嵩の変化、風合いの変化、外観の変化が
極めて少なく、乾燥速度の速いポリエステル系繊維を含
んだ材料で構成せしめたものである。

【００１７】本発明において、布団類を構成する詰め
綿、側地および縫い糸は、本発明の前述の目的達成のた
めに、できればポリエステル系繊維１００％で構成する
のが好ましいが、前記布団類の品質を損なわない範囲で
木綿などの天然繊維などポリエステル系繊維以外の繊維
が混用されていても差し支えないし、また、吸湿性繊維
として吸湿性ポリエステル繊維などを使用してよい。特
に、側地では布団使用時の吸湿による快適性や肌触りの
良さの面から、かかる吸湿性を有する繊維を少量混用す
ることが好ましい。吸湿性を有する繊維等を混用する場
合、ポリエステル系繊維の使用割合は寸法、嵩、風合
い、外観の変化を少なくして乾燥速度を速くする面か
ら、布団全体重量に対して６０重量％以上とする必要が
あり、７０重量％以上がより好ましい。

【００１８】また、上記品質を得るために、側地におけ
るポリエステル系繊維の使用割合は、２５重量％以上、
できれば３０重量％以上とすることが好ましく、一方、
詰め綿におけるポリエステル系繊維の使用割合は、６０
重量％以上、できれば７０重量％以上とすることが好ま
しい。さらに縫い糸についてポリエステル系繊維の使用
割合は２５重量％以上、できれば３０重量％以上とする
ことが好ましい。

【００１９】さらに本発明の布団類においては、前記寸
法、嵩、風合い、外観の変化を少なくする面から、水洗
い後の布団類の水洗い収縮率を５％以下とすることが好
ましい。収縮率が５％を越えると布団類の表面に皺が発
生したり、風合いが粗硬になることがある。なお、収縮
率は後述する方法で測定して、長さ方向および幅方向の
高い方の値を５％以下とすることが望ましい。

【００２０】加えて、本発明では水洗い後の脱水での水
切れ性や乾燥性を高めるために、後述する速乾性が６０
％以上であることが好ましく、６５％以上であればより
好ましい。速乾性が６０％未満では乾燥速度が遅く、洗
濯後使用できる状態となるまでに時間がかかりすぎ不都
合であると同時に、水を多く含んだ状態が長いと布団類
の寸法変化を生じやすい。

【００２１】本発明の布団類としては、側地と詰め綿を
合わせてキルティングミシンでキルティングしたり、和
綴ミシンなどで綴じたりする必要がある。キルティング
や綴じの間隔は少なくとも約３ｃｍ〜約４０ｃｍが好ま
しく、約３ｃｍ〜約３０ｃｍがより好ましい。３ｃｍ未
満では綴じ間隔が狭すぎるため布団類の風合を損ねた
り、水洗いで縫い糸の吊れを生じることがあり、一方、
４０ｃｍを越えると布団類使用時の揉み作用や水洗い時
の揉み作用によって詰め綿の移動や絡まりを生じること
がある。ここで綴じ間隔とは、第１図（キルティングし
た掛け布団）および第２図（和綴の座布団）に示すよう
に、布団類の端からキルティング１や和綴２までの間、
およびキルティング１相互や和綴２相互の間の距離
Ａ₁、Ａ₂、Ａ₃〜Ａｉ、およびＢ₁、Ｂ₂、Ｂ₃〜Ｂ
ｉのなかで、最短および最長の距離であらわしたもので
ある。綴じの縫い目のピッチは、用途やその用途の目的
によって適宜選択すれば良い。

【００２２】本発明の布団類の詰め綿においては、繊度
が０．５〜３０デニール、繊維長が１０〜１００ｍｍの
短繊維が好ましく用いられる。繊度が０．５デニールよ
り細いと詰め綿として必要な集合体としての嵩が低くな
ったり、圧縮に対する反発性や嵩の回復性も低下する恐
れがある。また、３０デニールより太くなると、触感が
粗硬になりがちである。また、繊維長が１０ｍｍより短
いと繊維間の絡合性が悪くなり綿切れが生じやすいし、
１００ｍｍより長いと開繊性や製綿性が悪くなる恐れが
ある。

【００２３】捲縮は、使用する用途によって適宜選択す
ればよいが、嵩高性、ソフト感、圧縮に対する反発性や
回復性あるいは製綿性を良くし、使用時、洗濯時の詰め
綿の移動や絡まりを防ぐために機械捲縮を与えることが
好ましく、詰め綿繊維製糸時に非対称冷却処理し、繊維
１本１本に構造差を与えて３次元巻縮化したものがより
好ましい。捲縮数は３山／２５ｍｍ以上、捲縮度は５％
以上であることが好ましい。

【００２４】本発明布団類の詰め綿繊維の断面形状は円
形や円形中空のみでなく、多角形などの異形断面やそれ
らを中空化したものも使用することができる。

【００２５】本発明で用いられるのポリエステル系繊維
としては、特に限定されないが、例えばテレフタル酸、
２，６−ナフタレンジカルボン酸あるいはそれらのエス
テルを主たるジカルボン酸成分とし、エチレングリコー
ルもしくはテトラメチレングリコールを主たるグリコー
ル成分とするポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートあるいはポリエチレン２，６−ナフタ
レートなどの線状ポリエステルなどが挙げられる。本発
明では、特にポリエチレンテレフタレートもしくはその
共重合体が好ましい。

【００２６】また、ポリエステル系繊維においては、必
要に応じて酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほ
か従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止
材等を添加配合したものも使用することができる。

【００２７】本発明の実施において詰め綿に含まれる抗
菌繊維を得るには、詰め綿繊維原料であるポリマに抗菌
成分を練り込む方法でもよいし、抗菌成分を後加工で付
与する方法でもよい。抗菌繊維は、例えば抗菌成分を繊
維に対し０．０５〜３．０％ｏｗｆ配合もしくは付与さ
せるのが好ましい。さらに好ましくは０．１〜２．０％
ｏｗｆである。抗菌成分が０．０５％ｏｗｆ未満では、
抗菌性能が不十分となることがある。また、３．０％ｏ
ｗｆを越えると繊維が剛くなり、圧縮に対する回復性を
低下させると共に、コスト面で問題となることがあり実
用上好ましくない。

【００２８】本発明では抗菌成分として、各種の化合物
を使用することができる。例えば、アミジン基、グアジ
ニン基などの各塩基性基もしくはこれらのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの塩を有する化合
物、および第４級アンモニウム塩などが挙げられる。ア
ミジン基を含有する化合物としては、４，４´−スチル
ベン−ジカルボオキサミジン−ジイセチオネート（即
ち、スチルバミン・イセチオン酸塩）、Ｎ´−（４−ク
ロロ−２−メチル−フエニル）−Ｎ、Ｎ−ジメチル−メ
タニミド（即ち、クロルジメフォルム）などを、また、
グアジニン基を含有する化合物としては、１，１７−ジ
グアニジノ−９−アザ−ヘプタデカン（即ち、グアザチ
ン）、ｐ−（クロロフェニルジグアニド）−ヘキサン
（即ち、クロルヘキシジン）、ｐ−ベンゾキノン−アミ
ジノ−ハイドラゾン−チオセミカネバゾン（即ち、アン
バゾン）などを、さらに第４級アンモニウム塩として
は、ベンザルコニウム・クロライド、ベンゼトニウム・
クロライドなどを、それぞれ挙げることができる。勿
論、これらの化合物は一例であり、上記以外の化合物を
用い得ることは言うまでもない。上記化合物の中でも高
い安全性を有し、かつタンパク質などが存在しても抗菌
性が低下しないという点で、ｐ−（クロロフェニルジグ
アニド）−ヘキサンまたはその塩が好適である。

【００２９】かかる塩基性官能基を有する抗菌成分は、
これと反応する酸性基含有重合体（単独重合体でも共重
合体でも良い）と反応させて用いることが好ましい。酸
性基含有重合体を構成する酸性基含有単量体としては、
スルホン基、カルボキシル基、ホスホン基、フェノール
性水酸基などの各酸性基、もしくはこれらのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩などの塩を有する単量
体を挙げらることができる。

【００３０】スルホン基を有する単量体としては、スチ
レンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン
酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタ
クリレート、３−クロロ−４−ビニルベンゼンスルホン
酸、２−アクリルアミド−２−メチルプロパンスルホン
酸、２−アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、２−
アクリロイルオキシナフタレン−２−スルホン酸、２−
メタクリロイルオキシナフタレン−２−スルホン酸、２
−ヒドロキシ−３−メタクリロイルオキシフロピルスル
ホン酸などがあり、カルボキシル基を有する単量体とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、３−ブテン−１，
２，３−トリカルボン酸、４−ペンテノイック酸など、
またホスホン基を有する単量体としては、アリルホスホ
ン酸、アシドホスフオキシエチルメタクリレート、３−
クロロ−２−アシッドホスフオキシプロピルメタクリレ
ート、１−メチルビニルホスホン酸、１−フェニルビニ
ルホスホン酸、２−フェニルビニルホスホン酸、２−メ
チル−２−フェニルビニルホスホン酸、２−（３−クロ
ロフェニル）ビニルホスホン酸、２−ジフェニルビニル
ホスホン酸など、さらにフェノール性水酸基を有する単
量体としては、ｏ−オキシスチレン、ｏ−ビニルアニソ
ールなどを使用することができる。

【００３１】かかる単量体は、単独で用いても２種以上
を併用しても良い。またこれらの酸性基を有する単量体
と共重合可能な他の単量体を併用しても良い。かかる単
量体としては、例えば、アクリロニトリル、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレ
ン、プロピレン、スチレンおよびその誘導体、ブタジエ
ン、アクリルアミドおよびその誘導体、ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなど
を使用することができる。

【００３２】重合方法としては、エマルジョン重合法、
溶液重合法、塊状重合法など通常の重合法がいずれも採
用できるが、なかでもエマルジョン重合法は得られる重
合体の粒子表面に酸性基が多く分布する傾向があるので
好ましく用いられる。

【００３３】かかる単量体を重合してなる酸性基含有重
合体を、塩基性基含有抗菌成分と反応させることによ
り、抗菌性反応生成物を得ることができる。

【００３４】また、第４級アンモニウム塩の中で、安全
性の高い抗菌・防臭効果を発揮するものとして、前記式
〔１〕で表される化合物が特に好ましく用いられる。

【００３５】

【化２】式〔１〕において、Ｒ₁の炭素数は１２〜１６のアルキ
ル基であって、炭素数が１１以下または１７以上では抗
菌性が十分に得られないことがある。また、式〔１〕に
おいて、Ｒ₂、Ｒ₃、Ｒ₄は炭素数１〜２のアルキル基
であって、炭素数を３以上では粘度が上がり水に対する
溶解性が低くなることがある。

【００３６】また第４級アンモニウム塩の中和に用いら
れる陰イオンとしては、防錆性の点からアルキルリン酸
イオンが使用される。さらにアルキル基としては、炭素
数が４、即ち、ブチル基が選択できる。ブチル基として
は、ｎ−ブチル基、ｉｓｏ−ブチル基、ｔｅｒｔ−ブチ
ル基がいずれも好ましく用いられる。アルキル基の炭素
数が３以下では、安全性の面で好ましくなく、アルキル
基の炭素数が５以上では粘度が高くなり合成が困難にな
ると共に、アルキル基の数が１と２であるアルキルリン
酸イオンの混合物となり、安全性の面で好ましくないこ
とがある。

【００３７】本発明の実施において用いる抗菌性樹脂
は、後記式〔２〕または式〔３〕で示される第４級アン
モニウム塩化された１価または２価のリン酸エステル基
を有するビニル系重合体または共重合体からなるものが
好ましい。

【００３８】特に、後記式〔２〕または式〔３〕で示さ
れる第４級アンモニウム塩化されたリン酸エステル基を
有するビニル系重合体または共重合体は、優れた抗菌性
を有し、しかも両性を有する高分子物質であるため、合
成繊維や天然繊維に強固に付着させることができる。こ
のため、持続性、洗濯耐久性に優れた抗菌性を得ること
ができる。また、水溶液や水−アルコール混合溶液とし
て得られるため、繊維材料への適用が容易であり、かつ
装置を腐蝕させることがないという利点をもっている。

【００３９】

【化３】

【化４】（式〔２〕、式〔３〕中、Ｒは高分子主鎖または有機残
基、Ｒ₁は炭素数８〜１８のアルキル基、Ｒ₂は炭素数
１〜１８のアルキル基、フェニル基または置換アリール
基を示す。）また、本発明ではメラミン系化合物を併用することによ
り、さらに持続性に優れた抗菌性を有し、安全かつ容易
に繊維材料に抗菌性を付与することができる。しかも加
工装置を腐蝕させることがない抗菌性樹脂の使用はさら
に好ましい。

【００４０】メラミン系化合物は架橋網状構造を繊維表
面に形成するため、洗濯耐久性、特に工業洗濯耐久性向
上に有効である。メラミン系化合物は繊維に対し０．０
５〜２．０％ｏｗｆ、好ましくは０．１〜１．２％ｏｗ
ｆ付着させるのが好ましい。０．０５％ｏｗｆ未満では
工業洗濯耐久性が不十分となることがある。また、２．
０％ｏｗｆを越えると繊維が剛くなり、圧縮に対する回
復性を低下させると共に、コスト面で問題となることが
あり、実用上好ましくない。

【００４１】本発明で使用するメラミン系化合物の例と
しては、次の一般式〔４〕で示されるものが使用でき
る。

【００４２】

【化５】式中、Ｒ₀〜Ｒ₂は−Ｈ、−ＯＨ、−Ｃ₆Ｈ₅、Ｃ_nＨ
_2n+1（_n：１〜１０）、−ＣＯＯＣｎＨ_2n+1（_n：１〜
２０）、−ＣＯＮＲ₃Ｒ₄、−ＮＲ₃Ｒ₄（Ｒ₃、、、
Ｒ₄：−Ｈ、−ＯＨ）、−ＯＣｎＨ_2n+1、−ＣＨ₂ＯＣ
_nＨ_2n+1、−ＣＨ₂ＣＯＯｎＨ_2n+1（ｎ：１〜２０）、
−ＣＨ₂ＯＨ、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ、−ＣＯＮＨ₂、−
ＣＯＮＨＣＨ₂ＯＨ、−Ｏ（Ｘ−Ｏ）_nＲ₅（Ｘ：−Ｃ
₂Ｈ₄−、−Ｃ₃Ｈ₆−、−Ｃ₄Ｈ₈−、_n：１〜１５
００、Ｒ₅：−Ｈ、−ＣＨ₃、−Ｃ₂Ｈ₅、−Ｃ
₃Ｈ₇）をそれぞれ示す。

【００４３】上記一般式の中でも好ましい化合物は、Ｒ
₀、Ｒ₁が−ＮＲ₃Ｒ₄である化合物であり、その中で
もＲ₂が−ＣＯＮＲ₃Ｒ₄、−ＮＲ₃Ｒ₄であるものが
より好ましい。さらに、Ｒ₃、Ｒ₄が−ＣＨ₂ＯＨ、−
ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ、−ＣＯＮＨ₂、−ＣＯＮＨＣＨ₂Ｏ
Ｈである化合物が特に好適である。

【００４４】かかるこれらの化合物は一例であり、上記
以外の化合物や誘導体も用いることができる。メラミン
系化合物は、重合性官能基を少なくとも２個有するもの
が繊維表面で形成される樹脂被膜の耐久性が向上し好適
である。

【００４５】かくして本発明においては、抗菌成分とし
て、前記抗菌単独成分あるいは抗菌成分が酸性基含有重
合体または／及び共重合体と反応した抗菌性反応生成物
と被膜形成主要成分としてのメラミン系化合物とからな
る抗菌性被膜が、繊維の表面に形成されるものである
が、かかる膜の耐久性に対する作用機構としては、上記
被膜形成主要成分であるメラミン系化合物が、繊維基質
ポリマ内で重合あるいは架橋し２次元または３次元構造
化すると同時に、その一部が繊維基質ポリマの官能基と
も化学結合し、網状不溶化して繊維に強固に固着するた
めの該膜の耐久性を著しく向上させて、優れた耐温水洗
濯性およびドライクリーニング性を発揮させることがで
きるのである。

【００４６】上記抗菌成分と被膜形成主要成分を繊維に
付与する方法の代表例としては、上記成分を含有する水
溶液に重合開始剤あるいは架橋触媒を添加した同一処理
浴で繊維をパディングまたはスプレー処理した後、湿潤
下で反応処理する方法がある。反応は室温以上の温度で
行なうことができるが、通常は蒸熱処理する。また、上
記２成分を別浴で処理することもできる。すなわち、ま
ず抗菌成分を含有する処理浴で繊維をパディングまたは
スプレー処理した後、乾熱または蒸熱処理し、次に被膜
形成主要成分含む水溶液に重合開始剤または架橋触媒を
添加した別処理浴で繊維をパディングまたはスプレー処
理し、蒸熱処理することもできる。

【００４７】重合開始剤は、アルキレングリコール単位
を有するアクリル系化合物を重合反応させるときに使用
される。具体例としては、過硫酸アンモン、過硫酸カ
リ、アゾビスイソブチロニトリル等、一般的なビニル重
合開始剤でよく、またかかる重合開始剤の種類を選択す
ることにより、適宜所望条件処理で被膜処理することが
できる。

【００４８】一方、触媒はメラミン系化合物を架橋反応
させるときに使用され、具体例としてはギ酸、酢酸をは
じめとする各種の有機カルボン酸およびそれらのアンモ
ニウム、ナトリウム、カリウム等の有機塩及び硫酸、過
硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等のアンモニウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄
等の無機塩及びこれらの複塩などが使用できる。もちろ
ん、上記した化合物には限定されない。

【００４９】前記蒸熱処理は８０〜１４０℃、好ましく
は１００〜１３０℃で０．５〜３０分間の条件で行なう
ことができる。乾熱処理は８０〜１５０℃、好ましくは
１００〜１３０℃で乾燥した後、１００〜２２０℃、好
ましくは１４０〜１９０℃で０．５〜５分間の条件で行
なうことができる。

【００５０】本発明において、パディングまたはスプレ
ー処理するのに用いる処理液中には、柔軟剤、帯電防止
剤、硬仕上げ剤等、他の薬剤を添加してもよい。また、
抗菌性を得るために、詰め綿を構成する繊維に、抗菌繊
維を使用すればよいが、布団類の側地および縫い糸に抗
菌を付与することも好ましい。

【００５１】

【実施例】次に、実施例と参考例により本発明をさらに
具体的に説明する。なお、本発明に記述した諸特性の測
定法は次のとおりである。

【００５２】（１）収縮率布団を平らな台の上に置き、定規で布団の幅と長さ（ｌ
₀）を測定する。次に、市販の全自動洗濯機で、中性洗
剤“ザブ”（花王（株）製）０．２％水溶液４９リット
ル中に布団を入れて１２分間普通水流で洗濯した後、す
すぎ２分×２回、６分間脱水し、平らな金網上に脱水布
団を置いて２４時間日陰乾燥する。前記の洗濯と乾燥を
１０回繰り返した後、布団を平らな台の上に置いて、定
規で布団の幅と長さ（ｌ₁）を測定し、次式で収縮率を
求める。

【００５３】（ｌ₀、ｌ₁は、布団の幅と長さ方向それ
ぞれについての３個所の平均値とし、布団の幅と長さ方
向について別々に収縮率を求めた。）収縮率（％）＝〔（ｌ₀−ｌ₁）／ｌ₀〕×１００（２）速乾性布団を２０℃、６５％ＲＨの部屋に２４時間放置した後
の布団重量（Ｗ₀）を測定する。次に、市販の全自動洗
濯機で、中性洗剤“ザブ”（花王）０．２％水溶液４９
リットル中に布団を入れて１２分間普通水流で洗濯した
後、すすぎ２分×２回、６分間脱水する。さらに、平ら
な金網上に脱水布団を２時間放置した後の布団重量（Ｗ
₁）を測定して、次式で速乾性を求める。

【００５４】速乾性（％）＝〔１−｛（Ｗ₀−Ｗ）₁／
Ｗ₁｝〕×１００（３）繊度ＪＩＳＬ１０１５−７−５１Ａの方法に準じて測定す
る。

【００５５】（４）平均繊維長（カット長）ＪＩＳＬ１０１５Ａ法（ステープルダイヤグラム法）
に準じて測定する。

【００５６】（５）巻縮数および巻縮度巻縮数および巻縮度はＪＩＳＬ１０１５−７−１２−
１およびＪＩＳＬ１０１５−７−１２−２の方法に準
じて測定する。

【００５７】（６）布団の外観（洗濯堅牢度、皺）、風
合い市販の全自動洗濯機で、中性洗剤“ザブ”（花王（株）
製）０．２％水溶液４９リットル中に布団を入れて１２
分間普通水流で洗濯した後、６分間脱水する工程を１０
回繰り返す。洗濯前と洗濯後の布団の外観（洗濯堅牢
度、皺）、風合いを、視感および触感判定し、差なし
（５級）、程んど差なし（４級）、やや差あり（３
級）、差あり（２級）、極めて差あり（１級）の５段階
評価した。

【００５８】（７）抗菌性黄色ブドウ状球菌（ＳｔａｐｈｙｌｏｃｏｃｃｓｕＡ
ｕｒｅｕｓＡＴＴＣ６５３８ｐ）のブイヨン懸濁液と
し、布団の詰め物を開繊ウエッブ状としたものに注加し
て、密閉容器中で３７℃、１８時間培養後の生菌数を計
測し、殖菌数に対する菌数を測定して、菌数増減値差Ｋ
＝ｌｏｇ（Ｂ／Ｃ）で求めた。ただし、菌培養条件はｌ
ｏｇ（Ｂ／Ａ）＞２であること。ここでＡは、抗菌加工
していない通常のポリエステルの綿のウエッブ状とした
ものに前記菌を注加して注加直後分散回収した菌数。Ｂ
は、抗菌加工していない通常のポリエステルの綿のウエ
ッブ状としたものに前記菌を注加して１８時間培養後分
散回収した菌数。Ｃは、布団の詰め物の開繊綿をウエッ
ブ状としたものに前記菌を注加して、１８時間培養後分
散回収した菌数。なお、洗濯後の抗菌性は、前記水洗い
とは別に布団の詰め物のみをドラム染色機を用いて、中
性洗剤“ザブ”（花王）２ｇ／ｌ、過酸化水素３ｃｃ／
ｌ、過酸化ソーダ１．５ｇ／ｌ、温度８５±２℃、浴比
１：２０で１５分間洗濯し、その後排液、脱水後、水洗
を１０分間実施する。水洗後タンブラー・ドライヤーを
用いて２０分間で乾燥させる。これを洗濯１回として５
０回実施した。

【００５９】抗菌性は、前記菌数増減値差Ｋが１．６以
上を合格レベルとした。また、ＭＲＳＡに対する抗菌性
は、（財）日本食品分析センターに評価を依頼した。

【００６０】（８）使用繊維混用率（布団の繊維構成）混用率はＪＩＳＬ１０３０繊維混用率試験方法に準じ
て測定する。

【００６１】（実施例１〜３および参考例１〜２）通常
のポリエチレンテレフタレートを用いて、紡糸温度２８
０℃、引取り速度１３５０ｍ／分、紡糸口金直下で通常
の非対称冷却処理を行ない、詰め綿繊維用の未延伸糸を
紡糸した。

【００６２】次いで、その未延伸糸を延伸倍率３．０
倍、延伸浴温度８０℃で延伸し、クリンパで機械巻縮を
付与・仕上げ油剤付与後カットして、１４５℃の熱セッ
ターでセット・乾燥して、繊度約６デニール、カット長
６４ｍｍ、捲縮数４．９山／２５ｍｍ、捲縮度２６．１
％の中空率３０％、中空円形断面の詰め綿を得た。

【００６３】さらに、第４アンモニウム塩化した１価の
リン酸エステル基を有するビニル系重合体からなる抗菌
性樹脂を３２％含む抗菌剤の２．５％水溶液を調整し
た。また、メラミン系化合物であるＳｕｍｉｔｅｘＭ
−３（住友化学工業（株）製）１．０％水溶液、架橋剤
であるＳｕｍｉｔｅｘＡｃｘ（住友化学工業（株）
製）０．３％水溶液、軟化剤０．７％水溶液を調整し
た。これらの水溶液を混合、撹拌後、前記ポリエステル
中空繊維ステープルを浸漬し、絞って１３０℃で１分間
キュアリングさせて抗菌繊維を得た。得られた抗菌繊維
への抗菌成分付着量は０．５２％ｏｗｆ、メラミン系化
合物付着量は０．６５％ｏｗｆ、黄色ブドウ状球菌の抗
菌性Ｋは洗濯前４．４、洗濯５０回後４．３、ＭＲＳＡ
に対する抗菌性は洗濯前４．４、洗濯５０回後３．３と
良好であった。

【００６４】得られた詰め綿のみをローラーカードにか
けてカーディングし、成型機でカードウエッブを積層し
て製綿した。

【００６５】一方、肌掛け布団側地として、実施例１
は、タテ糸にポリエチレンテレフタレート７５デニー
ル、３６フィラメントのマルチフィラメント糸を用い、
またヨコ糸に抗ピルタイプのポリエステルステープル
（２デニール、５１ｍｍ）を８０重量％、木綿２０重量
％混用した紡績糸を用いて平織組織に製織した後、ブル
ーに染色仕上げカレンダー加工した目付約１００ｇ／ｍ
²の織物を使用し、縫糸に高強力タイプのポリエステル
フィラメント糸の３子撚り糸を使用して、布団側地を縫
製した。品種や取扱表示ラベルはポリエステル不織布を
使用し、前記製綿詰め綿０．６Ｋｇを前記側地に詰め
て、前記縫糸でキルティングのステッチ６．５コ／ｉ
ｎ、キルティングの間隔を幅や長さ方向にいずれも約１
５ｃｍ間隔として肌掛け布団とした。この実施例１の詰
め物体（肌掛け布団）における繊維構成は、ポリエステ
ル繊維９１重量％，木綿９重量％であった。

【００６６】また、前記実施例１の側地用のヨコ糸紡績
糸において、ポリエステル繊維と木綿の混用割合のみを
変えて、詰め物体（肌掛け布団）における繊維構成をそ
れぞれ第１表のように構成した肌掛け布団を作成した
（実施例２、３）。さらに参考のために、実施例１の側
地において、タテ糸がポリエステルステープルと木綿の
混紡糸、ヨコ糸が木綿１００％の紡績糸の側地を用いた
他は実施例１と同様に作成した肌掛け布団（参考例
１）、側地のタテ糸およびヨコ糸が木綿１００％の紡績
糸の側地を用いた他は実施例１と同様に作成した肌掛け
布団（参考例２）をそれぞれ作成した。これらの肌掛け
布団の特性を第１表に示す。

【００６７】実施例１〜３の布団は、特に側地のポリエ
ステル繊維の割合が大きいため、本発明の狙いである水
洗いによる布団の収縮率は２．１〜４．８％、また速乾
性は７７．８〜６２．３％と良好で、また外観や風合い
も良好で、側地内での詰め綿の移動もない良好なもので
あった。また、詰め物体の詰め綿の抗菌性も良好であっ
た。

【００６８】これに対し、側地のタテ糸がポリエステル
ステープルと木綿の混紡糸で、ヨコ糸が木綿１００％の
紡績糸からなる、ポリエステル繊維の割合が少ない参考
例１の場合は、布団の詰め綿の抗菌性は良好なものの、
水洗いによる収縮率や速乾性および外観や風合い変化の
面では劣るものであった。また、側地のタテ糸、ヨコ糸
が共に木綿１００％の紡績糸である参考例２は、布団の
詰め綿の抗菌性は良好なものの、水洗いによる収縮率や
速乾性および外観や風合い変化の面では劣るものであっ
た。

【００６９】

【表１】（実施例４）実施例１で布団の詰め綿として、抗菌加工
前のポリエステル詰め綿４０重量％、抗菌加工ポリエス
テル詰め綿６０重量％を混綿する他は実施例１と同様に
して肌掛け布団とした。

【００７０】得られた肌掛け布団は、第１表に示すよう
に水洗いによる詰め物体の収縮率、速乾性、外観や風合
いおよび詰め綿の抗菌性も良好なものであった。

【００７１】

【発明の効果】本発明によれば、詰め綿、側地および縫
い糸からなる布団類において、ポリエステル系繊維の割
合を大きくすると共に、詰め綿と側地を綴じることによ
って、水洗いによる外観変化や風合い変化が少なく、乾
燥速度が速くて詰め綿の移動がなく、そのままでまるご
と通常の水洗い可能な布団類が得られる。また、同一素
材としてのポリエステル系繊維を多く含むため、布団類
を回収して溶融・解重合等を行ない、ポリエステルのリ
サイクル使用をも可能とする。さらに、水洗いにも耐え
る耐久的な抗菌性を発揮する布団類を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１図は本発明の掛け布団の一例を示す概略図
である。

【図２】第２図は本発明の座布団の一例を示す概略図で
ある。

【符号の説明】

１：キルティングの縫い糸２：和綴じ糸Ａ₁〜Ａｉ：綴じ間隔Ｂ₁〜Ｂｉ：綴じ間隔

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】詰め綿、側地および縫い糸がいずれもポ
リエステル系繊維を含んでいる布団類であって、該布団
類全体に対するポリエステル系繊維の割合が６０重量％
以上で、かつ該側地と該詰め綿がキルティングされもし
くは綴じられていることを特徴とする水洗い可能な布団
類。
【請求項２】前記側地と該詰め綿の綴じ間隔が３〜４
０ｃｍであることを特徴とする請求項１記載の水洗い可
能な布団類。
【請求項３】水洗い後の布団類の水洗い収縮率が５％
以下、速乾性が６０％以上であることを特徴とする請求
項１〜２のいずれか１項に記載の水洗い可能な布団類。
【請求項４】前記詰め綿の繊度が０．５〜３０デニー
ル、繊維長が１０〜１００ｍｍであることを特徴とする
請求項１〜３のいずれか１項に記載の水洗い可能な布団
類。
【請求項５】前記詰め綿が３次元捲縮を有する短繊維
であって、少なくとも３山／２５ｍｍの捲縮数と少なく
とも５％の捲縮度とを有することを特徴とする請求項１
〜４のいずれか１項に記載の水洗い可能な布団類。
【請求項６】前記側地がポリエステル繊維と吸湿性繊
維で構成されていることを特徴とする請求項１〜５のい
ずれか１項に記載の水洗い可能な布団類。
【請求項７】前記詰め綿が抗菌繊維を含むことを特徴
とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の水洗い可能
な布団類。
【請求項８】前記抗菌繊維の該詰め綿に対する重量比
が４０％以上であることを特徴とする請求項７記載の水
洗い可能な布団類。
【請求項９】前記抗菌繊維が抗菌成分を有することを
特徴とする請求項７〜８のいずれか１項に記載の水洗い
可能な布団類。
【請求項１０】前記抗菌成分がアミジン基またはグア
ニジン基を有する化合物であることを特徴とする請求項
９記載の水洗い可能な布団類。
【請求項１１】前記抗菌成分が第４級アンモニウム塩
であることを特徴とする請求項９記載の水洗い可能な布
団類。
【請求項１２】前記抗菌成分が次式〔１〕で表される
第４級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項９
〜１０のいずれか１項に記載の水洗い可能な布団類。【化１】（ただし、Ｒ₁は炭素数１２〜１６のアルキル基、
Ｒ₂、Ｒ₃、Ｒ₄はそれぞれ炭素数１〜２のアルキル
基、Ｂｕはブチル基を示す。）
【請求項１３】前記抗菌成分が第４級アンモニウム塩
化した１価または２価のリン酸エステル基を有するビニ
ル系重合体またはビニル系共重合体からなる抗菌性樹脂
であることを特徴とする請求項９〜１２のいずれか１項
に記載の水洗い可能な布団類。