JP3385806B2 - 高吸湿性毛布 - Google Patents

高吸湿性毛布

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JP3385806B2 JP18199295A JP18199295A JP3385806B2 JP 3385806 B2 JP3385806 B2 JP 3385806B2 JP 18199295 A JP18199295 A JP 18199295A JP 18199295 A JP18199295 A JP 18199295A JP 3385806 B2 JP3385806 B2 JP 3385806B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高吸湿性毛布に関
し、特に保温性、難燃性、抗菌性、消臭性、制電性、吸
水性、および乾燥のし易さに優れた寝床用高吸湿性毛布
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、20℃、65%RHFにおい
て10重量%以上の吸湿性を有する毛布の素材には、ウ
ール、獣毛などの天然繊維、およびレーヨン、キュプ
ラ、ポリノジックなどの化学繊維が用いられてきた。ま
た、吸湿性は10重量%未満であるが、吸水性および感
触に優れたコットンなども吸湿性毛布の素材として用い
られ、従来より改良が重ねられている。しかし、これら
の素材を用いた毛布は、家庭洗濯での耐久性、形態安定
性および染色堅牢度に劣るという問題がある。
【0003】一方、吸湿性に乏しいが、嵩高性に優れた
合成繊維のアクリル繊維を素材とする毛布が、防寒毛布
市場において主力となっている。このアクリル繊維を素
材とする毛布は、保温性、感触、発色性、イージーケア
性および耐久性に優れるが、反対に吸湿性および吸水性
に劣るという問題がある。
【0004】現在の消費者は、軽薄短小化された商品を
望み、さらに毛布の需要においても気密化、暖冷房化な
どの住生活環境の変化および生活文化の高度化により、
難燃性、抗菌性、消臭性、制電性、吸水性、および乾燥
のし易さのような多くの性質に優れた高吸湿性毛布が求
められている。このような性質を有する毛布は、例え
ば、コットンを素材とする吸湿性毛布に抗菌、防炎、消
臭などの後加工処理を施したものが知られているが、未
だ消費者が充分満足するには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題の
解決を課題とするものであり、詳細には、保温性、難燃
性、抗菌性、消臭性、制電性、吸水性、および乾燥のし
易さに優れた高吸湿性毛布を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の高吸湿性毛布
は、高吸湿性繊維および収縮性合成繊維を含有するパイ
ル糸で構成される高吸湿性毛布であって、該パイル糸に
前記高吸湿性繊維が30重量%以上70重量%以下の割
合で含有されており、該高吸湿性繊維が、吸湿性を有す
る架橋アクリル系繊維であり、20℃、65%RHFに
おける飽和吸湿率が14重量%以上であり、かつ該収縮
性合成繊維の98℃の熱水下の収縮率が15%以上であ
り、かつ該高吸湿性毛布の20℃、65%RHFにおけ
る飽和吸湿率が10重量%以上である。そのことにより
上記課題が解決される。
【0007】
【0008】好ましい実施態様では、本発明の高吸湿性
毛布は、難燃性、抗菌性、消臭性、および制電性をさら
に有する。
【0009】好ましい実施態様では、上記収縮性合成繊
維はアクリル繊維である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の高吸湿性毛布を構成する
パイル糸は、高吸湿性繊維および収縮性合成繊維を含有
する。
【0011】本発明に用いられる高吸湿性繊維は、特に
吸湿性、難燃性、抗菌性、消臭性、および制電性を向上
させる点から、吸湿性を有する架橋アクリル系繊維が好
ましい。このような吸湿性を有する架橋アクリル系繊維
は、好ましくは、アクリロニトリル(以下、ANとい
う)を出発アクリル繊維として、アクリロニトリルモノ
マーが40重量%以上、好ましくは50重量%以上を含
有するAN系重合体により形成された繊維である。上記
AN系重合体にヒドラジン架橋がなされており、該架橋
による窒素含有量の増加が1.0重量%〜8.0重量%
であり、残存するニトリル基が1.0ミリモル/g〜
4.5ミリモル/gの割合でカルボキシル基に変換され
ている。
【0012】この架橋アクリル系繊維は、短繊維、ト
ウ、糸、編織物、不織布などのいずれの形態でもあり得
る。AN系重合体は、AN単独重合体、またはANと他
のモノマーとの共重合体のいずれかであり得る。他のモ
ノマーの例には、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビ
ニリデン;(メタ)アクリル酸エステル;メタリルスル
ホン酸、p−スチレンスルホン酸などのスルホン酸含有
モノマー、およびその塩;(メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸などのカルボン酸含有モノマー、およびその塩;ア
クリルアミド、スチレン、酢酸ビニルなどのその他のモ
ノマーが挙げられる。
【0013】上記アクリロニトリルが形成されるAN重
合体に、ヒドラジン架橋を導入する方法としては、窒素
含有量の増加が1.0重量%〜8.0重量%に調製し得
る手段であれば採用され得、6%〜80%の濃度で、5
0℃〜130℃の温度下で1時間〜5時間処理する手段
を用いることが工業的に好ましい。ここで、用語「窒素
含有量の増加」とは、原料のアクリル繊維の窒素含有量
とヒドラジン架橋アクリル系繊維の窒素含有量との差を
いう。
【0014】なお、窒素含有量の増加が1.0重量%未
満であれば、最終的に実用上満足し得る物性を有する繊
維が得られず、さらに難燃性および抗菌性も得られな
い。窒素含有量の増加が、8.0重量%を越えると、最
終的に高吸湿性が得られない。上記吸湿性架橋アクリル
系繊維に用いられるヒドラジンの例には、水加ヒドラジ
ン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジ
ン、臭素酸ヒドラジンなどが挙げられる。
【0015】さらに、加水分解反応により、ヒドラジン
架橋されずに残存するニトリル基を実質的に消失させ、
1.0ミリモル/g〜4.5ミリモル/gの塩型カルボ
キシル基を導入する方法としては、アルカリ金属水酸化
物、または硝酸、硫酸、塩酸などの鉱酸の水溶液を含
浸、または該水溶液中に原料繊維を浸漬した状態で加熱
処理する手段が挙げられる。これは、上記架橋結合の導
入と同時に加水分解反応も行い得る。酸で加水分解した
場合には、カルボキシル基を塩型に変換する必要があ
る。
【0016】カルボキシル基を塩型にする方法は、上記
加水分解処理した繊維を、以下の各種の塩型の水酸化物
または塩の水溶液に浸漬し、その後、水洗し、乾燥させ
る方法を用いることが好ましい。このようなカルボキシ
ル基の塩型は、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、B
e、Mg、Ca、Baなどのアルカリ土類金属、ならび
にCu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Niな
どの他の金属の塩が挙げられ、これらは、単独または2
種以上を混合して用いられ得る。
【0017】このような吸湿性を有する架橋アクリル系
繊維は、特開平5−132858号公報に詳細に開示さ
れている。
【0018】上記高吸湿性繊維は、通常、1.5デニー
ル〜7デニール、好ましくは2デニール〜5デニールそ
して通常、38mm以上76mm以下、好ましくは、3
8mm以上64mm以下の短繊維である。高吸湿性繊維
の太さが1.5デニール未満では、原綿生産上および紡
績工程上問題があり、そして7デニールを越えると、毛
布としての感触が悪くなるという問題がある。さらに、
高吸湿性繊維の長さが38mm以下では、毛抜けが生じ
るという耐久性上の問題があり、そして76mmを越え
ると、紡績工程において繊維損傷を受けやすいという問
題がある。
【0019】本発明に用いられる高吸湿性繊維は、20
℃、65%RHFにおける飽和吸湿率が14重量%以上
40重量%以下、好ましくは、25重量%以上40重量
%以下を有する。ここで、用語「飽和吸湿率」とは、絶
乾した繊維が20℃、65%RHF下で水分吸収が平衡
状態に達したときの水分率である。高吸収性繊維の飽和
吸湿率が15重量%未満では、高吸湿性毛布とするため
に70%以上の混綿をしなければならないという問題が
ある。飽和吸湿率が40重量%を越えると、紡績および
編織工程において繊維自身の強力が低下するという問題
がある。
【0020】本発明に用いられる高吸湿性繊維の量は、
30重量%以上70重量%以下、好ましくは30重量%
以上50重量%以下である。高吸湿性繊維の含有量が2
0重量%未満では、充分な吸湿性が得られない。含有量
が70重量%を越えると、毛布の嵩高性が劣り、紡績お
よび編織工程で損傷を受けやすいために、糸切れなどが
生じ、生産性が悪くなるという問題がある。
【0021】本発明において、収縮性合成繊維は毛布の
嵩高性を増加させ、その保温性を向上させるために用い
られる。収縮性合成繊維の例には、公知のアクリル繊
維、モダアクリル繊維、ポリエステル繊維、およびポリ
塩化ビニル繊維が挙げられる。特に、発色性、感触、な
らびに起毛、毛割りポリッシャー、シャーリングなどの
毛布仕上げ性を向上させる点から、アクリル繊維が好ま
しい。
【0022】本発明に用いられる収縮性合成繊維は、通
常0.8デニール〜7デニール、好ましくは1デニール
〜5デニールであり、そして紡績上、高吸湿性繊維と同
一の繊維長さにする必要があり、38mm以上76mm
以下、好ましくは、38mm以上64mm以下の短繊維
である。収縮性合成繊維の太さが0.8デニール未満で
は、繊維強力が不足するという紡績生産上の問題があ
り、そして7デニールを越えると毛布としての感触が悪
くなるという問題がある。
【0023】これらの収縮性合成繊維は、例えば、パッ
ド染色、プリント、スプレー染色、および反染のような
染色工程において、常圧下、98℃〜100℃の熱水ま
たは蒸気中で該収縮性合成繊維の固着ならびに性質およ
び量の変化を生じることなく染色され得ることが必要と
される。さらに、充分な嵩高性が付与され、かつ安定し
た収縮率、起毛および毛割りにおける仕上げ性、ならび
に性質および量の安定性を向上させることも所望され
る。従って、本発明に用いられる収縮性合成繊維は、収
縮率が15%以上30重量%以下、好ましくは20重量
%以上25重量%以下を有する。収縮率が15%未満で
は、充分な嵩高性が得られない。収縮率が30%を越え
ると、収縮性合成繊維の性質および量の変化が大きく、
起毛および毛割りにおける仕上げ性が低下し、かつ毛布
の嵩高性も逆に低下し、毛布の風合が低下する。
【0024】本発明の高吸湿性毛布に含有される収縮性
合成繊維の量は、30重量%以上50重量%以下、好ま
しくは30重量%以上40重量%以下である。収縮性合
成繊維の含有量が30重量%未満では、安定した収縮率
が得られない。含有量が50重量%を越えると、起毛お
よび毛割りの仕上げ性が低下すると共に、毛布の嵩高性
も逆に低下し、毛布の風合が低下する。
【0025】本発明の高吸湿性毛布は、必要に応じて、
さらに一般繊維を含有する。この一般繊維の例には、コ
ットン、ウールなどの天然繊維およびアクリル繊維など
の化学繊維が挙げられる。特に、同一染色性および仕上
げ性の容易さから、収縮性を有さないアクリル繊維を用
いることが好ましい。このようなアクリル繊維はアクリ
ロニトリルモノマーを80重量%以上用いて通常の方法
により製造される。
【0026】本発明に用いられる一般繊維は、通常0.
8デニール〜7デニールであり、そして紡績上、上記高
吸湿性繊維および収縮性合成繊維と同一の繊維長さにす
る必要性から38mm以上76mm以下を有する。この
一般繊維の含有量は最大50重量%であり、パイル糸全
体から上記高吸収性繊維および収縮性合成繊維の含有量
の合計を差し引いた残りである。一般繊維の含有量が5
0重量%を越えると、高吸湿性繊維の混率が20重量%
以下となり、充分な高吸湿性が得られないという問題が
ある。
【0027】本発明においては、上記高吸湿性繊維、収
縮性合成繊維、および必要に応じて一般繊維を含有する
原料を、上記含有量の範囲内で混打綿機内に投入し、通
常のカーディング処理が施され得る。次いで、この原料
は常法に従って練糸および粗紡を行い、精紡機により2
Sメートル番手以上52Sメートル番手以下であり、か
つ、撚数が400T/m以上600T/m以下の単糸に
作製される。次いで、この単糸を合糸した後、ダブルツ
イスター撚糸機による通常の双糸加工を行うことによ
り、パイル糸が得られる。
【0028】パイル糸から、通常の編機を用いることに
より、布帛が作製される。得られた布帛は、通常の染色
工程、柔軟処理工程、毛割りが施される。次いで、この
布帛は、表面および裏面のパイル糸に通常の仕上げ加工
が施され、そして裁断されて最終的に公知の方法を用い
て四方が縫製される。得られた毛布は、季節または住環
境などの寝床外気環境、および掛け布団との併用のため
に、種々の重量を有するが、一般的には着用性を向上さ
せる点から1枚当り1.0kg以上の重量を有すること
が好ましい。さらに、睡眠中に吸湿された水分は、寝床
内の温度により一部が蒸発するので、この高吸湿性毛布
は、20℃、65%RHFにおける飽和吸湿率が、10
重量%以上20重量%以下で充分である。
【0029】このようにして本発明の高吸湿性毛布が得
られる。
【0030】
【実施例】以下の実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0031】なお、実施例中の百分率は特に断りのない
限り重量基準で表す。
【0032】各実施例および比較例における吸湿率、抗
菌性、吸水性、乾燥時間、消臭性、および難燃性につい
ての評価は、以下の方法により求めた。
【0033】(1)吸湿率 試料繊維約5.0gを、熱風乾燥機を用いて105℃
で、16時間乾燥して重量W1(g)を測定した。次い
で、該試料を20℃、65%RHFに調整された恒温恒
湿機に24時間入れ、吸湿後の試料の重量W2(g)を
測定した。これらの値から、試料繊維の吸湿性を以下の
ようにして計算した。
【0034】
【数1】
【0035】(2)抗菌性 繊維製品衛生加工協議会(SEK)に定める方法(加工
効果評価試験マニュアルII.1;菌数測定法)により、
121℃の湿熱オートクレーブ内で、15分間滅菌処理
した本発明の高吸湿性毛布および標準無加工布(標準綿
布)のサンプル(0.2g)のそれぞれに、予め菌数を
測定した既知数(菌数A)の黄色ブドウ状球菌(Stapylo
coccus aureus IFO 12732)のブイヨン懸濁液0.2ml
を注加した。次いで、各サンプルを密閉容器に入れ、3
7℃にて18時間培養した。培養後の標準無加工布内に
存在する菌数B’と、本発明の毛布内に存在する菌数B
との増減値差を以下の式を用いて求めた。
【0036】
【数2】
【0037】(3)制電性 JIS L 1094の織物および編物の帯電性試験方
法(A法およびB法)に従って、毛布の制電性を測定し
た。
【0038】(4)吸水性 JIS L 1018のメリヤス生地試験方法の吸水法
(滴下法)に従って、毛布の吸水速度(秒)を求めた。
【0039】(5)乾燥時間 10cm×10cmにカットした毛布サンプルを純水中
に1時間浸漬した後、遠心脱水機(KUBOTA(株)
製)を用いて300Gで2分間脱水処理を行った。次い
でこの毛布サンプルを、20℃、65%RHF下に設置
したテンシロン/UTM-II-20型(東洋ボルドウィン
(株)製)に取付け、そして連続的に測定した。また、
30分ごとに触って毛布サンプルが完全に乾燥するまで
の時間を測定した。
【0040】(6)アンモニア消臭性 10cm×10cmにカットした毛布サンプル(5.7
g)を、テドラーバッグに入れて密封し、空気を3リッ
トル注入した。次いで、このテドラーバッグ内にアンモ
ニアを注入し、その濃度を400ppmとした。このテ
ドラーバックを室温で120分間放置した後、バッグ内
のアンモニア濃度(C1)を、北川式ガス検知管(光明
理化学工業(株)製)を用いて測定した。これとは別
に、毛布サンプルを入れていない別のテドラーバッグ
に、同様に空気および400ppmのアンモニアを注入
し、上記と同様に120分後のアンモニア濃度(C2)
を測定した。そして、次式に従ってアンモニア消臭率を
算出した。
【0041】
【数3】
【0042】(7)難燃性 (財)日本防炎協会防炎製品認定委員会より認定され
た、防炎製品寝具類(毛布類)の防炎性能試験基準に従
って、毛布の難燃性を評価した。
【0043】(8)パイル糸の熱水収縮率 JIS L 1095の一般紡績糸試験方法のA法(定
巻回数法)に従って、パイル糸の熱収縮率を測定した。
【0044】(9)毛布の嵩高性 繊維加工専門技術者5人のハンドリングにより、毛布の
嵩高性についての官能評価を行った。評価結果を、以下
の5段階で示す。 A・・・非常に優れている。 B・・・優れている。 C・・・優れているとも、劣っているとも言えない。 D・・・劣っている。 E・・・非常に劣っている。
【0045】(10)毛布の感触 繊維加工専門技術者5人のハンドリングにより、毛布の
感触についての官能評価を行った。評価結果を、以下の
5段階で示す。 A・・・非常にソフトであった。 B・・・ソフトであった。 C・・・ソフトであるとも、硬いとも言えない。 D・・・硬かった。 E・・・非常に硬かった。
【0046】(11)洗濯形態安定性 JIS L 0217(103法)の取り扱いに関する
表示記号、およびその表示方法に従って、家庭洗濯を5
回繰り返し、洗濯後の皺およびパイルの乱れを繊維加工
専門技術者5人の目視により評価した。評価結果を、以
下の4段階で示す。 A・・・全くない。 B・・・ほとんどない。 C・・・存在する。 D・・・多く存在する。
【0047】(実施例1)高吸湿繊維維として、20
℃、65%RHFで26%の飽和吸湿率を有する架橋ア
クリル系繊維(タイプ「G800」)(東洋紡(株)
製、2デニールおよび51mmの短繊維)40重量%、
収縮性合成繊維として、98℃の熱水下の収縮率が20
%の収縮性アクリル繊維である「エクスラン(登録商
標);タイプ「K80」」(東洋紡(株)製;1.5デ
ニール、51mmの長繊維)40重量%、および一般繊
維として、アクリル繊維である「エクスラン(登録商
標);タイプ「K815」」(東洋紡(株)製、0.8
デニール、51mmの短繊維)20重量%を、混打綿機
に投入した後、カーディングを行った。この原料を、常
法に従って練糸および粗紡を行い、精紡機を用いて1/
36メートル番手、撚数500T/mの単糸を作製し
た。次いで、この単糸を合糸した後、ダブルツイスター
撚糸機を用いて撚数240T/mの双糸加工を行い、2
/36Sメートル番手の1kg巻きのコーンパイル糸を
得た。
【0048】次いで、このコーンパイル糸と、75デニ
ールのポリエステルマルチフィラメント(東洋紡(株)
製;単糸デニール2.5デニール)とを、18ゲージダ
ブルラッセル編機(西独カールマイヤー社製;以下、マ
イヤー編機と呼ぶ)により、編針本数1/2(9ウェー
ル数/インチ)、コース数26コース/インチ、釜間距
離10mm、そして編機回転数500rpmにて編成を
行った。編成後パイル糸の中央部をカットし、巾150
cm、目付600g/m2、そしてパイル長5mmの2
枚の片面マイヤー布帛を作製した。
【0049】この片面マイヤー布帛を、プリント、パッ
ド染色などの染色付与および固着を行うことなく、10
0℃で10分間の蒸熱処理し、次いで、吸水タイプ柔軟
剤(ポリマックスSS、丸菱油化工業(株)製)を15
g/リットルの濃度で用いて、パット/ニップ方式によ
る柔軟処理を行った。その後、連続熱風乾燥機により、
100℃で10分間乾燥させ、巾145cm、目付60
0g/m2、そしてパイル長4mmの生成バルキー加工
マイヤー布帛を作製した。
【0050】この生成バルキー加工マイヤー布帛を、仕
上げ前処理として毛割り機を用いて布帛の表面パイル糸
の毛割りを行い、そして裏面を英式了連起毛機内に3回
通すことにより表面パイル糸を裏面に迂回させ、両面毛
立ちのマイヤー布帛にした。その時の表面パイル糸と裏
面パイル糸の繊維重量比率は60/40になるよう調整
した。次いで、この布帛の表面パイル糸および裏面パイ
ル糸に、毛割りポリッシングおよびシャーリングの仕上
げ加工をこの順に行った。仕上げ後のこの布帛の巾は1
40cm、目付は571g/m2、そしてパイル長は5
mmであった。最終的に、この布帛を長さ2mに裁断
し、四方をナイロン製トリコット起毛バイヤス布(日本
アクリル工業(株)製)で縫製し、両面毛立ちのマイヤ
ー毛布を作製した。この毛布の目付はサイズ140cm
×200cmであり、1枚当り1.6kgであった。得
られた毛布についての評価結果を表1に示す。
【0051】(比較例1)上記架橋アクリル系繊維20
重量%、収縮性アクリル繊維40重量%、およびアクリ
ル繊維(一般繊維)40重量%を用いたこと以外は、実
施例1と同様の方法を用いて毛布を作製した。得られた
毛布についての評価結果を表1に示す。
【0052】(実施例2)上記アクリル繊維(一般繊
維)を用いることなく、上記架橋アクリル系繊維60重
量%および収縮性アクリル繊維40重量%を用いたこと
以外は、実施例1と同様の方法を用いて毛布を作製し
た。得られた毛布についての評価結果を表1に示す。
【0053】(実施例3)高吸湿性繊維として、20
℃、65%RHFで35%の飽和吸湿率を有するアクリ
ル系繊維(東洋紡(株)製、2デニールおよび51mm
の短繊維)30重量%、上記収縮性アクリル繊維40重
量%、および上記アクリル繊維(一般繊維)30重量%
を用いたこと以外は実施例1と同様の方法を用いて毛布
を作製した。得られた毛布についての評価結果を表1に
示す。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示されるように、本発明の高吸湿性
毛布は、比較例1の毛布に比べて高吸湿性繊維の含有率
が高いために、得られる毛布の飽和吸湿率が高く、さら
に制電性にも優れている。
【0056】(比較例2)高吸湿繊維維として、上記架
橋アクリル系繊維40重量%、収縮性アクリル繊維とし
て、98℃の熱水下の収縮率が10%の「エクスラン
(登録商標);タイプ「K82」」(東洋紡(株)製;
1.5デニール、51mmの短繊維)40重量%、およ
び一般繊維として、上記アクリル繊維20重量%を用い
たこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて毛布を作
製した。得られた毛布についての評価結果を表2に示
す。
【0057】(実施例4)上記架橋アクリル系繊維40
重量%、収縮性アクリル繊維として、98℃の熱水下の
収縮率が20%の「エクスラン(登録商標);タイプ
「K80」」(東洋紡(株)製;1.5デニール、51
mmの短繊維)40重量%、および上記アクリル繊維2
0重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を
用いて毛布を作製した。得られた毛布についての評価結
果を表2に示す。
【0058】(実施例5)上記架橋アクリル系繊維33
重量%、収縮性アクリル繊維33重量%、およびアクリ
ル繊維(一般繊維)33重量%を用いたこと以外は、実
施例4と同様の方法を用いて毛布を作製した。得られた
毛布についての評価結果を表2に示す。
【0059】(実施例6)上記架橋アクリル系繊維35
重量%、収縮性アクリル繊維45重量%、およびアクリ
ル繊維(一般繊維)20重量%を用いたこと以外は、実
施例4と同様の方法を用いて毛布を作製した。得られた
毛布についての評価結果を表2に示す。
【0060】(実施例7)上記架橋アクリル系繊維40
重量%、収縮性アクリル繊維として、98℃の熱水下の
収縮率が25%の「エクスラン(登録商標);タイプ
「K85」」(東洋紡(株)製;1.5デニール、51
mmの短繊維)40重量%、および上記アクリル繊維2
0重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を
用いて毛布を作製した。得られた毛布についての評価結
果を表2に示す。
【0061】(実施例8)上記架橋アクリル系繊維40
重量%、収縮性アクリル繊維として、98℃の熱水下の
収縮率が28%の「エクスラン(登録商標);タイプ
「K86」」(東洋紡(株)製;1.5デニール、51
mmの短繊維)30重量%、および上記アクリル繊維
(一般繊維)30重量%を用いたこと以外は、実施例1
と同様の方法を用いて毛布を作製した。得られた毛布に
ついての評価結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2に示されるように、本発明の高吸湿性
毛布は、比較例2の毛布に比べて収縮合成繊維の98℃
の熱水下での収縮率が高いために、得られる毛布の嵩高
性および洗濯形態安定性に特に優れている。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、保温性、難燃性、抗菌
性、消臭性、制電性、吸水性、および乾燥のし易さに優
れた高吸湿性毛布が提供される。このことにより、快適
温度における睡眠時の人体から蒸泄される湿気および汗
はすみやかに吸出および放出され、そして、むれ感、早
朝の冷え感などの不快感が改善された快適毛布が提供さ
れる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高吸湿性繊維および収縮性合成繊維を含
    有するパイル糸で構成される高吸湿性毛布であって、該パイル糸に前記高吸湿性繊維が30重量%以上70重
    量%以下の割合で含有されており、 該高吸湿性繊維が、吸湿性を有する架橋アクリル系繊維
    であり、 20℃、65%RHFにおける飽和吸湿率が1
    4重量%以上であり、かつ該収縮性合成繊維の98℃の
    熱水下の収縮率が15%以上であり、かつ該高吸湿性毛
    布の20℃、65%RHFにおける飽和吸湿率が10重
    量%以上である高吸湿性毛布。
  2. 【請求項2】 難燃性、抗菌性、消臭性、および制電性
    をさらに有する請求項1に記載の高吸湿性毛布。
  3. 【請求項3】 前記収縮性合成繊維がアクリル繊維であ
    る請求項1に記載の高吸湿性毛布。
  4. 【請求項4】 前記高吸湿性繊維の20℃、65%RH
    Fにおける飽和吸湿率が40重量%以下である請求項1
    に記載の高吸湿性毛布。
  5. 【請求項5】 前記収縮性合成繊維の98℃の熱水下の
    収縮率が30%以下である請求項1に記載の高吸湿性毛
    布。
  6. 【請求項6】 前記パイル糸に前記収縮性合成繊維が3
    0重量%以上50重量%以下の割合で含有された請求項
    1に記載の高吸湿性毛布。
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