JP6035233B2 - 複合紡績糸及びそれを使用した保温性織編物 - Google Patents
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(1)芯成分としてセルロース繊維のみを使用し、芯成分のセルロース繊維の50重量%以上が中空セルロース繊維であり、鞘成分として疎水性繊維を使用した芯鞘構造を持つ紡績糸であって、紡績糸が英式番手20/1〜100/1であること、紡績糸の撚係数(K)が3.0〜4.5であること、及び紡績糸全体における中空セルロース繊維の混率が10〜70重量%であることを特徴とする複合紡績糸。
(2)中空セルロース繊維が中空構造内に分割壁を有し、長手方向にセグメントを有することを特徴とする(1)に記載の複合紡績糸。
(3)疎水性繊維の単繊維繊度が0.3〜1.1dtexであることを特徴とする(1)または(2)に記載の複合紡績糸。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の複合紡績糸を50重量%以上含む織編物であって、厚みが0.2〜1.5mmであり、目付が50〜180g/m2であることを特徴とする織編物。
(5)保温性が16〜30%であり、0.25ml吸水時の保温性が−50〜10%であることを特徴とする(4)に記載の織編物。
JIS−L−1019−7.4.1の綿繊維試験方法のマイクロネアによる方法に準拠して測定した。
JIS−L−1095−9.4.1の一般紡績糸試験法の正量テックス・番手測定の綿番手測定方法に準拠して測定した。
JIS−L−1096−8.6.1,及び8.6.2に準拠して測定した。区間は25.4mmとした。
JIS−L−1096−8.4の厚さA法に準拠して測定した。一定圧力は0.7kPaとした。
JIS−L−1096−8.8.2の標準状態における単位面積当りの質量に準拠して測定した。
JIS−L−1096−8.10の水分率および含水率の方法に準拠して生地の水分率を測定し吸湿率とした。
カトーテック社製のサーモラボIIを用いドライコンタクト法にて測定した。20℃、65%RHの環境下で、BT−BOXのBT板(熱板)を人の皮膚温度を想定して35℃に設定し、その上に試料を置き、熱移動量が平衡になったときの消費電力量Wを測定する。また、試料を置かない条件での消費電力量W0を計測する。以下の式で保温性を計算する。
保温性(%)={(W0−W)/W0}×100
BT板は10cm×10cmのサイズであるが、試料は20cm×20cmのサイズとする。通常は試料を熱板に接触させて測定するが、本発明の保温性は、熱板の上に断熱性のある発砲スチロール等のスペーサーを設置して試料との空隙を5mm設けて計測を行なう。
上記ドライコンタクト法に準拠するが、20cm×20cmの試料片に0.05mlの水をサイコロの5の目のように滴下して合計0.25ml付与した後に熱板の上方にセットして測定する。
JIS−L−1907−7.3の表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量)に準拠して吸水性を測定した。吸水指数は、アパレル製品等品質性能対策協議会の示した方法に準拠して吸水指数=2545V+1411W+79で算出した。
ここでVは最大吸水速度(ml/sec),Wは最大吸水度時点の吸水量(ml)である。
また、吸水開始後300秒時点での吸水量を飽和吸水量mlとして保水性を評価した。
長袖Tシャツを作成し、これを10℃50%RHの環境で被験者に着用してもらい、15分間安静にしてから、着用したときの暖かさを評価した。その後、30分間自転車を漕いで発汗時のベタツキやムレ感を評価した。その後、15分間安静にしてから身体が冷えたときのTシャツの冷たさを評価した。各評価は、被験者によって◎○△×の4段階(◎極めて良好、○良好、△劣る、×極めて劣る)で表示した。
中空セルロース繊維としてDANUFIL VISCOSE (ケルハイムファイバーズ製TYPE2,1、繊維長40mm)を芯成分に、0.9dtex丸断面のアクリル短繊維(日本エクスラン工業製タイプK815、繊維長38mm)をそれぞれ別々に、混打綿、カーディングしてカードスライバーとした。その後に練条を二回行うが、二回目の練条で中空セルロース繊維を30重量%、アクリル繊維を70重量%になるようにスライバーを混合して250ゲレン/6ydの練条上りスライバーとした。その際に用いた機械はOHARA製混綿機、石川製作所製カード機および原織機製練条機を使った。更に、このスライバーを豊田自動織機製粗紡機に通して60ゲレン/15ydの芯鞘構造を有する粗糸を作成した。そして、豊田自動織機製リング精紡機を用いてドラフト30倍、トラベラ回転数9000rpmで紡出して英式番手30′sの芯鞘紡績糸を得た。そして、26”−28Gのシングル編機(永田精機製)により編成した。編成時の条件は、編成糸長で前記短繊維紡績糸を300mm/100ウエールとした。
日阪製作所製液流染色機を用いて、編地を開反せず後述の処理条件及び精練処方で精練した。湯洗3回・水洗1回を行った後、染色機から編地を取り出して遠心脱水した後、ヒラノテクシード製シュリンクサーファードライヤーを用いて乾燥(120℃×3分)を行なった。
処理条件:浴比1:15、95℃×30分
精練処方:精練剤(第一工業製薬(株)製ノイゲンHC)1g/l、金属イオン封鎖剤(日華化学(株)製ネオクリスタルGC1000)g/l、ソーダ灰0.5g/l
乾燥時に経方向に編地が伸びないようにテンションに注意した。
<反応染色>
染色条件:浴比1:10、染色温度60℃×60分
染色反応染料(住化ケムテックス(株)製Sumifix Supra BLUE BRF)2%owf
浴中柔軟剤(パーソフタルMAX)2g/L
無水芒硝(東ソー(株)製)30g/L
アルカリ剤(明成化学工業(株)製MS171)5g/L
<カチオン染色>
染色条件:浴比1:15 95℃×45分
染色処方:pH調整剤(酢酸0.2g/l pH=4)、
均染剤(明成化学工業(株)製ディスパーTL)1g/l、
分散型カチオン染料(日本化薬Kayacril light Blue 4GSL−ED)1.0%owf
柔軟処理:クラリアント社製サンドパームMEJ―50リキッド 1.0%owf
実施例1と同じ中空セルロース繊維とアクリル短繊維の各カードスライバーを別々に練条を二回行って、夫々に250ゲレン/6ydのスライバーとした。このスライバーを粗紡機に通して60ゲレン/15ydの粗糸を作成した。そして、中空セルロース繊維の粗糸を豊田自動織機製リング精紡機を用いてドラフト40倍、トラベラ回転数9000rpmで紡出して英式番手80′sの紡績糸を得た。更に、アクリル短繊維の粗糸を同じリング紡績機を用いて精紡するが、そのとき先に得た中空セルロース繊維の精紡糸を複合糸のガイド5,8を経て、位置決め装置13により複合糸の芯糸になるようして、フロントローラから出てきたアクリル粗糸と合流させた。精紡条件をドラフト40倍、トラベラ回転数9000rpmで芯糸と逆撚の英式番手40番の芯鞘紡績糸を得た。複合糸の見かけの撚係数(K)は3.8(撚数34T/inch)であった。この芯鞘紡績糸を実施例と同様にして編・染色加工を行って、目付け100g/m2の編地を得た。密度の粗い面を表としたときの表面の編地密度が31ウエール(W)/inch、36コース(C)/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例1の各カードスライバーを用いて練条を二回行い、250ゲレン/6ydのスライバーとした。このスライバーを粗紡機に通して60ゲレン/15ydの粗糸を作成した。そして、豊田自動織機製リング精紡機を用いてドラフト40倍、トラベラ回転数9000rpmで紡出して英式番手80′sの紡績糸を得た。そのときの撚係数(K)は3.8(撚数34T/inch)であった。この紡績糸と柿木社製のカバーリング機を用いて東洋紡績製ポリウレタン繊維エスパ(登録商標)タイプT71で17dtexをドラフト2.2倍と低ドラフトし、東洋紡績製ポリアミド繊維シルファイン(登録商標)セミダル丸断面の28dtex−30f)を550T/Mの撚数、スピンドル回転数8000r/mにてカバーリングして得られたナイロンFTY17T/28Tを交編して18”−18Gのフライス編機(永田精機製)により片袋を編成した(図2参照)。編成時の条件は、編成糸長で前記短繊維紡績糸を430mm/100ウエール、前記FTYを230mm/100Wとした。その後、カチオン染色時に、酸性染料を同時に用いて下記染色処方とした以外は実施例1と同様に行った。
染色条件:浴比1:15 95℃×45分
染色処方:pH調整剤(酢酸0.2g/l pH=4)、
均染剤(明成化学工業(株)製ディスパーTL)1g/l、
分散型カチオン染料(日本化薬Kayacril light Blue 4GSL−ED)1.0%owf
酸性染料(日本化薬製Kayanol Blue NR)1.0%owf
乾燥後に開反して、テンターにて巾出しセットを行って性量調整し、最終的に目付け100g/m2の編地を得た。密度の粗い面を表としたときの表面の編地密度が36ウエール(W)/inch、45コース(C)/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
アクリル繊維の代わりに、セミダル丸断面のポリエスエルステープル(1.0dtex、繊維長38mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして英式番手30′sの紡績糸を得た。この糸を実施例1と同様の方法で編成した後、染色加工し、編地密度28ウエール/inch、35コース/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例1と同タイプの極細タイプのレーヨン短繊維20重量%、極細タイプのアクリル短繊維50重量%、および先にグラフト加工した改質レーヨン30重量%を混紡して英式番手80′sの紡績糸を得た。そのときの撚係数(K)は3.8(撚数34T/inch)で、この糸を経緯に用いて、エアーシャットル織機を用いて、平織(ポプリン)を製織した。その後、常法にて染色加工し、経密度110本/inch、緯密度75本/inchの織物を得た。紡績糸及び織物の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例1の紡績糸の芯成分として、DANUFIL VISCOSE (ケルハイムファイバーズ製TYPE2,1、繊維長40mm)を70重量%、スーピマ綿30%の割合で混綿した原綿を芯成分に用いた以外は、実施例1と同様にして英式番手30′sの紡績糸を得た。この糸を実施例1と同様の方法で編成した後、染色加工し、編地密度29ウエール/inch、35コース/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例1の紡績糸の芯成分として、単糸繊度が3.3TのDANUFIL VISCOSE (ケルハイムファイバーズ製TYPE3.3,繊維長40mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして英式番手30′sの紡績糸を得た。この糸を実施例1と同様の方法で編成した後、染色加工し、編地密度29ウエール/inch、35コース/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
芯鞘紡績糸全体に対して、DANUFIL VISCOSE (ケルハイムファイバーズ製TYPE2,1、繊維長40mm)を芯成分として60重量%、鞘成分として0.9dtex丸断面のアクリル短繊維(日本エクスラン工業製タイプK815、繊維長38mm)を30重量%になるように紡績糸混率を調整した以外は、実施例1と同様にして英式番手30′sの紡績糸を得た。この糸を実施例1と同様の方法で編成した後、染色加工し、編地密度28ウエール/inch、35コース/inchの編地を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
中空セルロース繊維の代わりに、ダイワボウレーヨン製のレーヨン繊維(RBタイプ、1.4dtex、繊維長38mm)30重量%とレギュラータイプのアクリル短繊維(日本エクスラン工業製K8−1.3Tタイプ、1.3dtex、繊維長38mm)を70重量%を混綿して、実施例と同様にカード、練条、粗紡、精紡を行い、英式番手30‘sの混紡糸を得た。そのときの撚係数(K)は、3.8(撚数34T/inch)であった。これを実施例1と同様の方法にて編成、染色加工を実施し、編地密度28ウエール/inch、35コース/inchの編物を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
ダイワボウレーヨン製のレーヨン繊維(RBタイプ、1.4dtex、繊維長38mm)を100%使用して、実施例と同様に混打綿、カード、練条、粗紡、精紡を行い、英式番手30‘sの混紡糸を得た。そのときの撚係数(K)は、3.8(撚数34T/inch)であった。これを実施例1と同様の方法にて編成、染色加工を実施し、編地密度28ウエール/inch、35コース/inchの編物を得た。紡績糸及び編地の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたDANUFIL VISCOSE (ケルハイムファイバーズ製TYPE2,1、繊維長40mm)を100%使用して、実施例と同様に混打綿、カード、練条、粗紡、精紡を行い、英式番手30‘sの混紡糸を得た。そのときの撚係数(K)は3.8(撚数34T/inch)であった。これを実施例1と同様の方法にて編成、染色加工を実施し編地密度28ウエール/inch、35コース/inch、目付123g/m2の編物を得た。
Claims (5)
- 芯成分としてセルロース繊維のみを使用し、芯成分のセルロース繊維の50重量%以上が中空セルロース繊維であり、鞘成分として疎水性繊維を使用した芯鞘構造を持つ紡績糸であって、紡績糸が英式番手20/1〜100/1であること、紡績糸の撚係数(K)が3.0〜4.5であること、及び紡績糸全体における中空セルロース繊維の混率が10〜70重量%であることを特徴とする複合紡績糸。
- 中空セルロース繊維が中空構造内に分割壁を有し、長手方向にセグメントを有することを特徴とする請求項1に記載の複合紡績糸。
- 疎水性繊維の単繊維繊度が0.3〜1.1dtexであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合紡績糸。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の複合紡績糸を50重量%以上含む織編物であって、厚みが0.2〜1.5mmであり、目付が50〜180g/m2であることを特徴とする織編物。
- 保温性が16〜30%であり、0.25ml吸水時の保温性が−50〜10%であることを特徴とする請求項4に記載の織編物。
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