JPH09186704A - データ伝送システム及び該システムでハンドオーバーを実施する方法並びに該システムの基地局 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルの形のデータを伝送する無線データ伝送
システムにおいて、新基地局（５０）と旧基地局（４
０）との間でのセルの伝送を同期化することにより、ハ
ンドオーバー時にセルが失われたり順序が狂ったりする
危険が大幅に少なくされることを目的とする。 【解決手段】 旧基地局（４０）は、この旧基地局を通
して首尾よくかつ正しい順序で伝送された最後のセルに
関する情報を新基地局（５０）及び／又は交換機（５
１）に送り、新基地局は、最初に伝送に失敗したセルか
ら開始して伝送を継続する。与えられたグループの中の
１番目又は最後のセル、又は所定のカウンタセルに番号
を付け、必要ならばその番号の付いているセルからのへ
だたりを数えることにより残りのセルを特定することの
できるグループ番号付けを行うならば、各セルを１つ１
つ別々に特定する必要はなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、幾つかの基地局か
ら成る無線通信システムにおけるデータ伝送の信頼性を
維持するための処理手順に関し、特に、相互の順序関係
が重要であるデータセルとしてデータを転送するシステ
ムにおいてハンドオーバー時にデータセルに担われてい
るデータの構成を維持することに関する。

【０００２】

【従来の技術】ＡＴＭ（Asynchronous Transfer Mode
（非同期転送モード））は、例えばＢ−ＩＳＤＮ通信網
（Broadband Integrated Services Digital Network
（広帯域サービス統合デジタル通信網））や一般にデー
タ伝送装置間の通信における未来の高速転送プロトコル
として非常に有望視されている。この通信網は、ノード
と端末装置、及びそれらの間のリンクから成る。ＡＴＭ
通信網では、データはデジタル形のセルとして転送さ
れ、その各セルは４８バイトの所謂ペイロードと５バイ
トのヘッダとから成る。ヘッダ情報の量をなるべく少な
く保つために、各ヘッダは送信側装置及び受信側装置の
間のルーティング(routing）に関する完全な情報を含ん
ではいなくて、それぞれのデータ転送接続を担う仮想通
路及びチャネルに関する情報だけを含んでいる。該通信
網の各ノードは所要のルーティング用の情報を含んでお
り、それに基づいて仮想通路及びチャネルのそれぞれの
識別子が次のそれぞれのノードを指す参照符と解され
る。順序の狂ったセルを並べ直すのに使うことのできる
特別のメカニズムはＡＴＭ通信網には無いので、セル同
士の順序関係は伝送の始めから終わりまで常に同じでな
ければならない。

【０００３】従来、ＡＴＭリンクは有線回路又は光ケー
ブル接続と考えられていて、セル同士の順序関係に関す
る上記の要件は大きな問題にはならなかった。けれど
も、将来のデータ転送技術による端末装置はセルラー通
信網の移動電話が既に持っているのと同じ種類の永久接
続のモビリティ及びインピーダンスを持たざるを得ない
と予想されている。セルラー無線通信網は、効率が良く
て、また柔軟に改造し得るようになっているために、将
来広く普及しそうなアーキテクチャである。典型的なセ
ルラー通信網は、場合によっては基地局コントローラ
（ＢＳＣ）を通じて、移動交換センター（ＭＳＣ）と密
接に関連する数個の基地局（ＢＳ）を含む。大きなセル
ラー通信網には、多数の移動交換センターと、移動交換
センターのもとで動作する基地局及び基地局コントロー
ラとがある。各基地局の送信範囲、即ち端末装置がその
基地局と無線通信できる地理的範囲はセルと呼ばれてい
る。けれども、混同を避けるために、この特許出願で
は、所定のデータ伝送システムが定義する転送されるデ
ータ単位を特定するためにだけ、このセルという用語を
使用する。実例として取り上げたＡＴＭシステムでは、
このデータ単位の長さは上記の５３バイトである。

【０００４】セルラーシステムでは基地局の交換即ちハ
ンドオーバーが行われるのが普通であり、その際には所
定の移動端末装置は第１の基地局の送信範囲から第２の
基地局の送信範囲へ移動し、その端末装置と通信網との
間の実質的に全てのデータの伝送が新しい基地局を経由
するようにルート替えされる。ハンドオーバー時に動作
の同期が完全には取れないことがしばしばあり、その結
果としてパケットが失われたり、重複や順序の狂いが生
じたりすることがある。この様な現象は、全てのセルが
順序正しく首尾良く伝送されることが有効なデータ伝送
のために必要な条件となっているＡＴＭシステムでは特
に深刻である。

【０００５】ハンドオーバーは通報無しで行われること
もあり、また通報を伴って行われることもある。前者
は、基地局と端末装置との間の接続が速やかに切れる場
合を指し、後者は、接続が徐々に悪くなってゆくときに
人がハンドオーバーに必要な処理手順を行う用意をする
ことができることを意味する。Ｓ．Ｋ．ビスワズ（S.
K. Biswas）の博士論文「移動通信網における実時間ト
ラフィックの処理（"Handling Realtime Traffic in Mo
bile Networks"」（１９９４年９月、ケンブリッジ大
学）は、通報無しと通報有りとの両方でハンドオーバー
を実施するための処理手順を開示している。発明の背景
を説明するために、次に図１及び２を参照して基地局の
ハンドオーバーについて簡単に説明をする。

【０００６】図１は、移動ユニットＭＵと、２つの基地
局ＢＳｐ、ＢＳｑと、前記基地局とこのデータ通信網の
残りの部分との間のトラフィックのルーティングを行う
移動代表局ＭＲとを示している。更に、前記装置間のデ
ータ転送セグメントは参照符ｉ、ｊ、ｋ、及びｌで指示
されている。移動代表局ＭＲから通信網の残りの部分へ
向けられるデータ転送セグメントはｓで指示されてい
る。移動ユニットＭＵから通信網へ向けられるデータは
アップリンクデータと呼ばれ、その逆の方向に伝わるデ
ータはダウンリンクデータと呼ばれる。

【０００７】図２は、前記装置間での通報有りのハンド
オーバーに関連する信号を番号付きの矢印で示してお
り、この場合ＢＳｐが旧基地局でＢＳｑが新基地局であ
る。移動ユニットＭＵはセグメントｉに沿ってアップリ
ンクセルを送信するのをやめて、開始メッセージ２１を
新基地局ＢＳｑへ送る。ＢＳｑは、ルート替えの必要性
に関する順送りメッセージ２２を移動代表局ＭＲに送
る。これに応答して、移動代表局ＭＲは、セグメントｓ
を介して到達したダウンリンクデータをセグメントｋ経
由で旧基地局ＢＳｐへ送るのをやめて、それをセグメン
トｌ経由で新基地局ＢＳｑに向ける。送られるべき実際
のデータを送る前に、移動代表局ＭＲは応答メッセージ
２３を送り、この応答メッセージ２３は基地局ＢＳｑに
よりａｃｋメッセージ（確認メッセージ）２４として移
動ユニットに送られる。同時に、新基地局は、移動代表
局ＭＲから到来するダウンリンクデータを記憶するため
の一時的ＦＩＦＯバッファー（先入れ先出しバッファ
ー）２５を作る。接続をセグメントｌに切り換える前に
移動代表局ＭＲからセグメントｋを介して旧基地局ＢＳ
ｐに向けられたダウンリンクデータの全てを移動ユニッ
トＭＵが受け取ったと判断するまでは移動ユニットＭＵ
は済みメッセージ２６を新基地局ＢＳｑに送らず、アッ
プリンクデータの送信を開始しない。済みメッセージ２
６に応答して、新基地局ＢＳｑは（始めはバッファー２
５から送り出すことにより）ダウンリンクデータを送り
始め、新基地局としては移動代表局ＭＲに完了メッセー
ジ２７を送ることによりハンドオーバーを完了する。

【０００８】セグメントｋのデータ転送接続が切断され
た直後に（矢印２８）、又はレディー・メッセージが到
着した後に（矢印２９）、移動代表局ＭＲから旧基地局
ＢＳｐへの接続をレディー・メッセージを使って終わら
せることができる。内容を明瞭にするために、図２は、
アップリンクデータの中断時間（陰影付きの棒で表され
ている）、移動代表局ＭＲにおけるダウンリンクデータ
の中断時間（黒い棒で表されている）、及び新基地局Ｂ
Ｓｑにおけるダウンリンクデータの中断時間（白い棒で
表されている）を示している。

【０００９】上記したビスワズによると、通報無しのハ
ンドオーバーは類似する幾つかの処理手順から成るけれ
ども、旧基地局を経由する接続の切断を検出するまでに
費やされる時間に遅延が生じさせられるのでデータ伝送
の中断が長くなる可能性がある。通報有りの構成及び通
報無しの構成の双方において、パケットが失われたりパ
ケットの順序が狂ったりすることがあり得る。アップリ
ンクデータの場合には、全てのアップリンクセルがセグ
メントｉ及びｋを介して送信される前に移動代表局ＭＲ
がセグメントｋから通信網へのデータ送信を終わらせる
ことがあり得る。その接続が終わらされた後、問題のセ
ルは失われたと見なされるが、もしそれらがなお通信網
に向けて送られるならば、アップリンクでそれらの順序
が狂うことがあり得る。ハンドオーバーの前にセグメン
トｋ及びｉに向けられていたダウンリンクセルは無線リ
ンクが弱いために完全に失われてしまうことがあり、或
いは移動ユニットＭＵに遅れて到着してダウンリンクに
順序の狂いを生じさせることがある。

【００１０】パケットが失われたり順序が狂ったりする
と、普通はより高いプロトコルレベルで誤った検査合計
又はその他の標識が検出され、数個のセルから成る或る
プロトコルデータユニット（ＰＤＡ）が拒絶され、再送
が要求される結果となる。この様なことは通信網の資源
の利用という観点からは不経済である。

【００１１】ブリティッシュ・テレコミュニケーション
ズへの特許の公報ＥＰ４２６２６９号は、基地局を各々
数個の基地局から成る幾つものグループに分ける方法を
開示している。ハンドオーバーを容易にし且つ高速化す
るために、或る基地局の送信範囲内にある移動ユニット
に向けられた全てのセルがデータ伝送網により同じグル
ープに属する全ての基地局に送られる。この公報は、旧
基地局が該基地局に届いた全てのセルを送り、その後に
新基地局がそれを通して届けられたセルを送り始めると
いう着想を開示している。この公報は、基地局コントロ
ーラ又は基地局を制御する移動代表局に組み込まれる予
測器も開示している。この予測器の任務は、１送信範囲
から他の送信範囲への移動ユニットの移動を監視し、そ
の移動ユニットが次にどこへ移動するかを推定すること
である。グループの中の最も遠くの基地局に無駄に送ら
れるセルの量を少なくするために、この様なことが行わ
れる。しかし、新旧の基地局はハンドオーバーの直前や
直後にはどのセルが正しく送受信されたのかを正確には
知ることができないので、この様な手法ではパケットの
順序を維持したりパケットの喪失を防止したりすること
はできない。

【００１２】ＡＴ＆Ｔへの特許の公報ＥＰ３６６３４２
号は、データをセルとしてセルラー無線通信網で伝送す
る方法を開示しており、その各セルのヘッダ部分は、ル
ーティングの変更に関わらず修正されない不変の部分
と、ハンドオーバー又はその他のルート替えプロセスの
際に内容が変化する部分とから成る。この公報は、この
様な方法を利用してハンドオーバーを容易にすることが
できると述べているけれども、ルーティングの定義にの
み役立つにすぎない。特にＡＴＭ通信網に関連する同様
の方法がロウク・メイナー・リサーチ社（Roke Manor R
esearch Ltd.）への特許の公報ＥＰ５７７９５９号に開
示されている。この場合、セルのヘッダの変化しない部
分はいわゆるＶＣＩフィールド（Virtual Channel Iden
tifier (仮想チャネル識別子））であり、変化する部分
はいわゆるＶＰＩフィールド（Virtual Path Identifie
r （仮想通路識別子））である。上記のどの公報も、ハ
ンドオーバーの際にパケットの順序を確実に同じに保ち
且つ／又はパケットの喪失を確実に防止できるような方
法を開示してはいない。

【００１３】ロウク・メイナー・リサーチ社への特許の
公報ＥＰ５７７９６０号は、セルラー通信網の基地局の
うちの少なくとも１つをＡＴＭ通信網を通して少なくと
も２つの移動代表局に接続する方法を開示しており、そ
の移動代表局は、開示されている構成では、ＡＴＭ通信
網と固定電話通信網との間で中継器としても機能する。
その着想は、ある移動ユニットが他の移動代表局（又は
移動サービス交換センター）の送信範囲に入り込んで
も、元の移動代表局を介してリンクさせることによりル
ーティングを実施するように該ルーティングを制御する
ＡＴＭ通信網の各ＶＰＩ及び各ＶＣＩを設定することで
ある。この様な手法は、通信網における交換の量を減ら
す上で効果があるけれども、基地局と移動ユニットとの
間でのハンドオーバー時のパケットの喪失及び／又はセ
ルの遅延に対しては無効である。

【００１４】Ｋ．Ｙ．エン他が著した「バハマ：広帯域
特殊無線ＡＴＭローカルエリアネットワーク」という題
名の論文（The article "BAHAMA: A Broadband Ad-Hoc
Wireless ATM Local-Area Network", Proc. ICC '95, 1
8-22 June 1995, Seattle, written by K. Y. Eng et a
l.）は、ＡＴＭセルのヘッダ部分のＧＦＣフィールドを
セル向け通し番号付けを実施するために使用する方法を
開示している。その目的は、２つの平行経路に沿って与
えられた連結点に到着するセルの列の同期及び組み合わ
せに寄与することである。セルに番号を付ける目的は、
特に、セルの列が組み合わされるときにセルが重複した
り失われたりせず且つその順序が同じに保たれることと
なるように、セルを一義的に特定することである。この
場合、最大で４ビットを有するＧＦＣフィールドには０
から１５までの数だけしか表示できないので、番号付け
のサイクルが短か過ぎて、後のサイクルに属する同じ番
号の付いたセルの順序が狂うことがあるので、問題が起
きかねない。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無線
インターフェースにおいてハンドオーバー時にパケット
の喪失や順序の狂いが生じる可能性を少なくする方法を
提供することである。本発明の他の目的は、ハンドオー
バー時のパケットの喪失や順序の狂いを防止し又は少な
くする手段を有するデータ伝送システムを提示すること
である。本発明の他の目的は、特殊化したＡＴＭシステ
ム及びＢ−ＩＳＤＮシステムに大きな変更を加えること
を必要としない方法及びシステムを開示することであ
る。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、ハンド
オーバー時にどのセルが首尾よく送られ且つ／又は受信
されたかに関する情報を基地局同士が交換し得ることと
なるように少なくとも或る与えられたセル数の精度で該
システムの各セルを特定するのに使うことのできる方法
により達成される。

【００１７】セルラーデータ伝送方式を利用するように
なっていて、交換機と、第１及び第２の基地局と移動ユ
ニットとから成るシステムにおいてハンドオーバープロ
セスを行うための本発明の方法は、第１の基地局と移動
ユニットとの間でどのセルが首尾よく送信されたかに関
する情報を該第１の基地局が該交換機及び／又は該第２
の基地局に供給し、該第１の基地局と該移動ユニットと
の間で首尾よく送信されなかった第１のセルから、該第
２の基地局と該移動ユニットとの間でセルの送信が続け
られることを特徴とする。

【００１８】本発明は、また無線データ伝送システムの
基地局にも関連する。本発明の基地局は、該基地局と該
移動ユニットとの間でどのセルが首尾よく正しい順序で
伝送されたかに関する情報を他の基地局に発送する手段
と、他の基地局から対応する情報を受け取るための手段
とを有することを特徴とする。

【００１９】本発明は更にデータ伝送システムにも関す
る。本発明のデータ伝送システムは、基地局間で転送さ
れるセルラーデータの各セルでメッセージを伝送する手
段を有することを特徴とする。

【００２０】本発明の基礎をなしている識見によると、
データ伝送システムの仕様が別々のセル自体への特定を
サポートしないとしても、基地局同士はセルの送信及び
／又は受信の成功に関するデータを交換することができ
る。この場合、同期メカニズムを後述するように設ける
ことができ、それによりハンドオーバーに関係する新旧
の基地局はどのセルが首尾よく移動ユニットに送信され
且つ／又は移動ユニットから受信されたかに関する情報
を共有する。セルの成功した送信に基づいて、セルの列
の中の、送信の継続を開始するべき箇所を新基地局に示
すことができる。また、旧基地局を介して送信且つ／又
は受信されなかったセルを新基地局を通して送信且つ／
又は受信されるように指定することができる。

【００２１】次に、ＡＴＭシステムを本発明の模範的適
用対象として取り上げる。このシステムは、データ転送
速度が高いこと、セルのサイズが割合に小さいこと、そ
して仕様が厳格であるために利用可能なセルのヘッダフ
ィールドの数が少ないことを特徴とする。しかし、その
仕様が別々のセル自体を特定することをサポートしてお
らず且つ／又は如何なるセルも失わないこと及びその相
対的順序を維持することが重要であるような他のデータ
伝送方法及びシステムにも本発明を適用し得ることを当
業者は理解するであろう。

【００２２】既に確立している実務慣行により、通信網
から基地局を経由して移動ユニットに至るデータ伝送の
方向はダウンリンクと呼ばれ、その逆の方向はアップリ
ンクと呼ばれる。旧基地局と新基地局とがハンドオーバ
ーに関係する。ダウンリンクデータはハンドオーバーの
時点までは旧基地局を経由して伝送され、その後、旧基
地局は、該基地局がダウンリンクデータ伝送を終えたこ
とを新基地局に知らせるとともに、おそらく送信されて
いなかった緩衝記憶されているセルを新基地局に送るか
又はどのセルが関わっているかを新基地局に知らせる。
後者の事態は、両基地局がハンドオーバーのための予備
的処理手順として通信網から同じセルを受け取っている
場合に該当する。同じく、アップリンクデータはハンド
オーバーの時点までは旧基地局を通して伝送され、そし
てハンドオーバー後、旧基地局はアップリンクデータ伝
送終了のメッセージを送る。両基地局はハンドオーバー
のための予備的処理手順として移動ユニットの方向から
同じセルを受け取ることができる。この場合、旧基地局
はどのアップリンクセルを送ったかを新基地局に知らせ
るので、新基地局は同じセルを再度は送らない。本発明
の方法では、アップリンクデータ伝送のハンドオーバー
とダウンリンクデータ伝送のハンドオーバーとは必ずし
も同時には行われない。

【００２３】模範的ＡＴＭシステムのセルは４個のヘッ
ダフィールドビットを有し、その使用方法は自由に定義
されるので、それらをセル特定システムを実現するため
に利用することができる。ＡＴＭシステムのセルの短さ
と高速性とを考慮すると、連続する全てのセルに４ビッ
トの通し番号を付けると番号は必ず１６個目のセル毎に
ゼロに戻ることになるので、その様な番号付けは実用的
でない。カウンタサイクルが高速で繰り返されると、連
続するサイクルのうちのどれが問題のサイクルであるの
かということに関して混乱が生じかねない。その様な方
法の代わりとして、与えられた長さのセルのグループの
中の１つのセルでのみ値がゼロからずれるようにカウン
タを構成することができ、そのカウンタの与えられた値
を用いてそのセルのグループ全体を特定することがで
き、別のシグナリングを使ってそのグループの中の１つ
のセルを特定することさえできる。

【００２４】次に、実例として好ましい実施例を取り上
げ、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。

【００２５】

【発明の実施の形態】従来技術の説明との関係で、上の
記述では図１及び図２を参照した。従って、本発明とそ
の有利な実施例に関する以下の記述では主として図３−
図９を参照する。図面において一致する部分には同じ参
照符が付されている。

【００２６】始めに、本発明の有利な実施例によるセル
特定プロセスについて図３及び図４を参照して説明す
る。ＡＴＭセルのヘッダは、当業者に知られているよう
に、４個のいわゆるＧＦＣビット（Generic Flow Contr
ol (包括的流れ制御））から成り、それらのビットは本
発明のセル特定カウンタを実現するのに使用し得るよう
に定義される。セルの流れ３０はグループに分けられ、
そのうちのグループ３１、３２、３３、及び３４が図３
及び図４に示されていて、各々４個のセルから成ってい
る。本発明は実際には各グループが同数のセルを含んで
いることや順番に並んでいることを必要とはせず、グル
ープのサイズはまちまちであってもよいし、それらがセ
ルの流れの中で種々に重なり合っていてもよい。けれど
も、本発明を理解するには図３及び図４に示されている
形が最も理解しやすい。

【００２７】グループ３１−３４の中の第１のセル（図
において右側のセル）はいわゆるカウンタセルであり、
そのＧＦＣビット（図においては別々には示されていな
い）は１以上で１５以下の、十進法の数として図示され
ている通し番号を含む。各グループの中の他のセルのＧ
ＦＣビットは０又はそのグループの中の第１のセルのＧ
ＦＣビットと同じである。図の各セルの中の数はそのセ
ルのＧＦＣビットの値を表している。グループの中の該
第１のセル以外の全ての他のセルのＧＦＣビットを０に
セットすることにより、グループの中の該第１のセルの
検出を容易にすることができる。カウンタビットの与え
られた値は、そのセルのグループ全体を特定するものと
解される。グループの始めから数えて幾つ目のセルであ
るかを特定することにより、グループの中の与えられた
セルを個別に特定することができる。グループの中のど
のセルが関係しているのかということについてセル自体
は何の情報も持っていないので、従って、グループの中
のＮ番目のセルの特定は、そのグループの始めからＮ−
１番目までのセルのいずれもが失われてはおらず、且つ
そのグループの中で特定されるセルの位置が変更されて
いない場合に限って、成功する。この２つの必要条件
は、共にＡＴＭシステムで既に要求されている特性であ
る。従って、これらは不当な追加の要件をシステムの信
頼性に課すものではない。

【００２８】図３はハッチング付きのセルを示してお
り、このセルは [カウンタ＝２、第３のセル] という定
義により特定される。図４においては、セルのグループ
全体が[カウンタ＝２] という定義により特定される。
グループの中には数個のセルがあるので、カウンタの始
めの値へのリセットは（グループ３１及び３４を参
照）、各セルに個別に０−１５の通し番号を付ける場合
より遥かに長い間隔をおいて行われる。この様にグルー
プ向けの番号付けを採用した場合には、これを採用しな
い場合にカウンタのリセットのサイクルが比較的短いと
いうこと並びに与えられたバッファーの中に同時に数百
個ものセルが存在することがあるという事実に起因して
生じる可能性のある混同の危険が小さくなる。

【００２９】カウンタを実現するために特にＧＦＣビッ
トを使う必要はない。或る条件が満たされるならば、Ｖ
ＰＩ及び／又はＶＣＩフィールドの幾つかのビットをこ
の目的のために使うことが可能である。更に、ペイロー
ドを使ってカウンタの値を表示する特別のカウンタセル
をセルの流れの中に置くことも可能である。

【００３０】次に、図５及び図６を参照して、基地局
と、該基地局と接続している移動ユニットとの間での本
発明の好ましい実施例によるトラフィックについて説明
する。幾つもの部分に分けられているデータの各セグメ
ントを確実に受信側の装置に首尾よく送ろうとする幾つ
かの確認（acknowledgment）の方法が従来技術において
知られている。それらの方法は、しばしばいわゆる選択
的方法であったり、或いは往復Ｎ型（go-back-N-type）
の方法である。前者の方法では、例えば送信側の装置が
パケットを１０個送って、受信側の装置がその中の７番
目のパケットを除いて他の全てのパケットを首尾良く受
信したとすると、受信側の装置は確認（acknowledgmen
t)の形で送信側の装置に７番目のパケットだけをもう一
度送るように要求する。往復Ｎ型の方法では、受信側の
装置は７番目以降のパケットの全てを送り直すように送
信側の装置に要求する。図５に示されている例では、基
地局４０と移動ユニット４１との間で通常のトラフィッ
ク時に如何なる確認方法をも適用し得る。ハンドオーバ
ーが行われそうになっているときには、該確認方法に加
えて又はその代わりに、セル列の中の最後に首尾よく受
信されたセルを記述する特別の確認メッセージが起動さ
れる。

【００３１】ＦＩＦＯバッファー４２が基地局４０のＡ
ＴＭプロトコルレベル４０ａとＭＡＣ（Media Access C
ontrol (媒体アクセス制御））プロトコルレベル４０ｂ
との間に設けられている。ダウンリンクＡＴＭセル列を
このＦＩＦＯバッファーに記憶させることができる。そ
れらは１つずつ移動ユニット４１へ送られ、移動ユニッ
ト４１は首尾よく受け取った各セルを確認する。確認メ
ッセージは、広く普及している実務慣行に従ってＡＣＫ
（Acknowledge)と略記されており、確認メッセージの欠
如又は不首尾の受信を指摘するメッセージはＮＡＣＫ
（No-Acknowkedge）と略記される。受信に関連したセル
を表す数又はその他の識別子が確認メッセージ（ＡＣ
Ｋ）又は非確認メッセージ（ＮＡＣＫ）の各々に付加さ
れる。この様な数の付加は基地局と移動ユニットとの間
の通信プロトコルで定義され、それは基地局４０と移動
ユニット４１との間の接続を越えるＡＴＭセルの特定と
必ずしも関係はない。この様な数の付加は、基地局４０
と移動ユニット４１との間のトラフィックが１ＡＴＭセ
ルだけ大きいか又は小さいフレームで行われるならば、
与えられたＡＴＭセルを明示的に特定する必要さえな
い。しかし、基地局４０が確認メッセージＡＣＫ、非確
認メッセージＮＡＣＫで何らかの方法によりどのセルが
移動ユニット４１に首尾良く受信されたかを明確に判断
できることは本発明の見地からは重要なことである。

【００３２】移動ユニット４１は、ＡＴＭプロトコルレ
ベルとＭＡＣプロトコルレベルとの間のダウンリンクＡ
ＴＭセルのＦＩＦＯバッファー４３を有する。各セル
は、受信の順に確認された後に初めてバッファー４３か
らＡＴＭレベルへ送られる。ダウンリンクＡＴＭセルは
通信網から基地局のＦＩＦＯバッファー４２へ到来し、
ＭＡＣレベル４０ｂ、４１ｂ間で移動ユニットのＦＩＦ
Ｏバッファー４３へ送られる。図５は、移動ユニット４
１が各セル１及び２を首尾良く受信して、それらを受け
取ったことを確認し、それらのセルが両方のＦＩＦＯバ
ッファーから異なる意味でクリアされることを示してい
る。即ち、移動ユニットのバッファー４３からのクリア
はセルがＡＴＭレベル４１ａに移されることを意味する
けれども、基地局のバッファー４２からのクリアはその
セルが削除されることを意味する。セル３の受信は失敗
したので、セル３は移動ユニットのバッファー４３の中
にはなく、基地局のバッファー４２からクリアされ得な
い。４番目のセルの受信は成功するけれども、３番目の
セルがクリアされていないので４番目のセルは基地局の
バッファー４２からクリアされ得ない。それらの間で３
番目のセルがとばされた（スキップされた）ので、４番
目のセルは移動ユニット４１のＡＴＭレイヤ４１ａには
送られない。ハンドオーバーがこの後に行われ、その際
に移動ユニットは、最後に首尾良く受信され且つ回送さ
れたセルを記述するＬＡＳＴ（２）メッセージを基地局
に送る。

【００３３】このＬＡＳＴメッセージと、新しい基地局
を表すハンドオーバーに関するシグナリングデータとに
応答して、旧基地局４０は、図６に示されているよう
に、ＦＩＦＯバッファーの中にあったセルを新基地局５
０に送る。図６は、前記基地局４０及び５０と通信する
ＡＴＭ交換機５１も示している。ハンドオーバー後、Ａ
ＴＭ交換機５１は移動ユニット４１に送られるＡＴＭセ
ルを新基地局５０に向ける。しかし、それらが移動ユニ
ットに送られる前に、新基地局は旧基地局４０から旧基
地局のＦＩＦＯバッファー内にあった３つのセルを受け
取って、それらを送信する。どのセルが首尾よく正しい
順序で移動ユニットに受信されたか、そしてどのセル
が”旧セル”即ちどこかから未送信セルとして転送され
たセルであるか、そしてどのセルが”新”セル即ちＡＴ
Ｍ交換機５１から直接受信されたセルであるのかを基地
局が上記のようにして識別し続ける限りは、基地局４０
及び５０及びＡＴＭ交換機５１間でのトラフィックで各
ＡＴＭセルを個別に識別する必要はない。全てのセルは
ＡＴＭ交換機から順番に旧基地局又は新基地局に向けら
れ、移動ユニットが旧基地局を通して首尾よく正しい順
序で受信できなかったセルは全て正しい順序で旧基地局
から新基地局に回送されて、初めから新基地局に向けら
れているセルより前に送信される。この様にして、ハン
ドオーバーの際のパケットの紛失や順序の乱れを防止す
ることができる。

【００３４】図６を参照するにあたって、図示されてい
るＡＴＭ交換機５１は基地局４０及び５０に直接有線接
続されていなくても良く、通信網の中でもっと遠くに置
かれてもよいことに注意しなければならない。この場
合、ＡＴＭ交換機と各基地局との間に通信網の他の交換
機やノードが存在していてもよい。更に、基地局４０及
び５０間でのデータ伝送は必ずしも直接行われなくても
よい。

【００３５】本質的に、図５及び図６の実施例における
アップリンクセルの処理はダウンリンクセルの処理の鏡
像の様に行われる。移動ユニット４１は送信バッファー
（独立して図示されてはいない）を有し、ここから送信
済みのＡＴＭセルは旧基地局がそれらを正しく受信した
と順に確認をした後に初めてクリアされる。基地局４
０、５０とＡＴＭ交換機５１との間の有線接続は無線接
続より遥かに信頼性が高いので、各セルが基地局からＡ
ＴＭ交換機へほどよい確実性で伝送されるのはかなり確
かなことである。ハンドオーバーの際には、移動ユニッ
トは、新基地局を通して、送信バッファーから未だクリ
アされていない全てのセルを送信する。旧基地局及び新
基地局から受信されるセルの同期をとるために、ＡＴＭ
交換機５１は、本出願と同時に出願されたフィンランド
特許出願「無線ＡＴＭデータ伝送におけるＡＴＭセルの
ヘッダフィールドの使用方法」（出願人：ノキア・モー
ビル・フォーン及びノキア・テレコミュニケーション
ズ、発明者：クリスチャン・ラウハラ）に開示されてい
る方法を使用することができる。

【００３６】次に、図７及び図８を参照して本発明の他
の好ましい実施例について説明をする。旧基地局４０
は、初めに、通常の態様で受信したアップリンクセルを
ＡＴＭ交換機５１に送る。移動ユニット４１への無線リ
ンクが無くなると、旧基地局４０は、図７で文字Ｕによ
り指示されている特別のアップレディー（UpReady)メッ
セージでＡＴＭ交換機５１にそのことを知らせる。この
メッセージの目的は、セルは最早旧基地局４０を通して
は伝送されないということをＡＴＭ交換機に知らせるこ
とである。このメッセージＵは特別の種類のＡＴＭメッ
セージセルであって良く、それをデータセルのヘッダに
組み込むこともできるし、或いはそれを他の何らかの種
類のシグナリングとして基地局４０及びＡＴＭ交換機５
１の間で伝送することができる。同じメッセージを新基
地局５０に送ることもでき、或いは基地局５０は、他の
種類のシグナリングにより許可を受けて、移動ユニット
４１から受信したセルをＡＴＭ交換機５１へ送ることが
できる。最後に首尾よく送信されたアップリンクセルの
後に初めて旧基地局４０からＵメッセージを送ることが
できるようになるが、Ｕメッセージは、新基地局５０か
ら送信されるセルが、送信の順序において、旧基地局４
０から送られるセルより先に送信される危険が無い様な
方法でセルの流れに入れられなければならない。

【００３７】図８は、ダウンリンクシグナリング用の同
等の処理手順を示す。ダウンリンクセルをどの点から旧
基地局４０の代わりに新基地局５０に向け始めるかをＡ
ＴＭ交換機５１が決定するというのがアイデアである。
旧基地局４０に送られる最後のセルは、図８においてＤ
という符号で指示されているいわゆるダウンレディー
（DownReady)メッセージにより示される。各セルの順序
を維持するために、メッセージＤがダウンリンクセルの
流れの中のセルに結びつけられることが重要である。こ
のメッセージは、例えば、与えられたＡＴＭメッセージ
セル（例えばＲＭ（Resource Management （資源管理）
セルなど）であってもよく、また、このメッセージを最
後のデータセルのヘッダの中のフィールドに包含させて
も良い。同一の又は対応するメッセージＤが、新基地局
５０に送られるセルの中の第１のセルを指す。旧基地局
４０は、メッセージＤの前に受け取った全てのセルを移
動ユニット４１へ送ろうとする。首尾良く送信されたセ
ルを特定するために、図５を参照して上記したのと同様
の処理手順を利用しても良く、図３及び図４を参照して
上記したのと同様の方法を用いてもよい。旧基地局４０
は、もし全てのセルを順に送ることができなければ、送
信バッファーに残っているセルを新基地局５０へ送る。
最後に、旧基地局は、ダウンリンク送信バッファーが空
であることを表示するメッセージを送る。このメッセー
ジはメッセージＤと同じであってよい。新基地局５０は
始めに旧基地局から受け取ったセルを送り、その後にＡ
ＴＭ交換機５１から直接到来したセルを送る。旧基地局
及び新基地局の双方に向けられるセルの流れの中にメッ
セージＤが同期して置かれることにより、ダウンリンク
セルが失われることもその順序が変化することも確実に
防止される。

【００３８】次に、本発明の他の好ましい実施例につい
て図９を参照して説明する。上記の実施例とは異なっ
て、この実施例は、移動ユニットがダウンリンクデータ
伝送におけるハンドオーバーの時点を決定する原理を提
示するものである。移動ユニット４１は旧基地局４０の
送信範囲から新基地局５０の送信範囲へ移動しつつある
と仮定する（これはセルラーシステムでそれ自体として
は公知の態様で行われていることである）。ＡＴＭ交換
機５１は、ダウンリンクセルを２つ（２重に）作って、
それらをセルの流れとして双方の基地局に送る。双方の
基地局が、リセットすることのできるＦＩＦＯ送信バッ
ファー４２及び４３に、各該基地局が受け取ったセルを
記憶させるというのが重要な点である。一方の基地局
（即ち、始めは旧基地局４０）のみが移動ユニット４１
へセルを送り、移動ユニットはセルを首尾よく正しい順
序で受け取ったことを確認する。もし旧基地局を経由す
る良好な通信が長時間続いて、セルがどんどん到来する
ならば、不当に大きなバッファーが新基地局に必要とな
る。これを避けるために、ＡＴＭ交換機５１は、図９に
おいて文字Ｃ及び通し番号で示されているカウンタメッ
セージをセルの流れの中に加える。そのカウンタメッセ
ージは、ダウンリンクセルの流れの中のセルに関して、
与えられた位置に固定されなければならない。該メッセ
ージは、例えば、与えられたＡＴＭメッセージセル（例
えばＲＭ（Resource Management （資源管理）セルな
ど）であってもよく、また、このメッセージをデータセ
ルのヘッダに包含させても良い。各カウンタメッセージ
Ｃ１、Ｃ２、等を一義的に特定することができる。

【００３９】旧基地局４０は、与えられたカウンタメッ
セージＣ１より先行するセルを全て首尾よく正しい順序
で送信した後、そのことを知らせるメッセージをシグナ
リング又はその他のそれ自体としては公知の方法で新基
地局５０へ送る。このメッセージに対する応答として、
新基地局は自分のＦＩＦＯバッファー４３をリセットす
る、即ち、カウンタメッセージＣ１より前にＡＴＭ交換
機から受け取った全てのセルを該バッファーから削除す
る。移動ユニット４１が旧基地局を通して与えられたセ
ルを受け取ったことを順に確認しなくなるまで、この手
順が反復される。そのとき、旧基地局４０は、例えば
「カウンタメッセージＣ２から数えて１３番目のセルが
送られていない」等のメッセージにより、旧基地局がど
こで伝送をやめたかを新基地局に知らせる。新基地局５
０は、カウンタメッセージＣ２とその次の１２個のセル
とを送信バッファー４３から削除して１３番目のセルか
ら送信し始める。

【００４０】カウンタメッセージＣ１、Ｃ２等を一義的
に特定するのに使われる方法は本発明にとって本質的な
ものではない。名称から分かるように、カウンタメッセ
ージは、混同を避けるために繰り返しサイクルのかなり
長い通し番号から成ることができる。カウンタメッセー
ジを通常の形のＡＴＭセルに包含させることにより、該
メッセージをデータセルのメッセージと同じ手段により
緩衝記憶させることができるという利点が得られる。ま
た、ＡＴＭシステムの一般規格は、セルの流れの中での
カウンタメッセージの位置が変化しないことを保証して
いる。

【００４１】図９に示されている実施例におけるアップ
リンク通信はダウンリンク通信の鏡像として実施される
ことができ、その場合、両方の基地局４０及び５０が移
動ユニット４１の送ったセルを受け取るけれども、該基
地局の一方のみがそのセルをＡＴＭ交換機５１に回送す
る。当然、カウンタメッセージは移動ユニット４１で形
成される。「送信を担当する」基地局が、与えられたカ
ウンタメッセージの前に受け取った全てのセルを送信す
ると、その基地局は他方の基地局にそのことを知らせ、
該基地局はこの情報に応答してそのアップリンクバッフ
ァーを空にする。旧基地局と移動ユニットとの接続が終
わると、旧基地局は最後のカウンタメッセージの後に回
送されたセルの個数を新基地局に知らせ、新基地局は、
対応する点からデータ伝送を続ける。

【００４２】２つの基地局を参照して本発明の実施例に
ついて説明をした。現在のセルラーシステムは、移動ユ
ニットの次の基地局となりそうな基地局を予測すること
のできる方法を使用しているので、そのことを、動作に
関与している基地局にシグナリングにより知らせること
ができる。しかし、上記した方法は、新基地局となり得
る数個の基地局を有するシステムや、新基地局を予測す
ることのできないシステムにも適用され得るものである
ことを当業者は理解するであろう。それらの場合には、
旧基地局の送信範囲に接していたり交わったりしてい
る、新基地局となる可能性のある全ての基地局を、その
可能性のある新基地局として扱う必要があろう。

【００４３】幾つかの実施例を説明したけれども、それ
らは全てダウンリンク通信及びアップリンク通信の動作
をする。ダウンリンク通信のプロトコルとアップリンク
通信のプロトコルとを上記の対として組み合わせる必要
はなく、例えば同じシステムにおいて図９の実施例をダ
ウンリンク通信に適用し、図７の実施例をアップリンク
通信に適用することができる。更に、本発明のいろいろ
な実施例の方法を、伝送されるべき接続の質や通信網の
負荷状況に応じて、同じシステムにおいて同じトラフィ
ックの方向に択一的に適用することもできる。

【００４４】本発明の無線データ伝送システムの基地局
は、図によると、セルを一時的に記憶するメモリ又はバ
ッファー４２、４３を持っている。このメモリは、この
メモリに記憶されているセルが個別に取扱われ、例えば
回送され又は該バッファーメモリからクリアされること
ができるように、且つ、与えられた数のセルを一度に該
メモリからクリアすることができるように、制御可能で
なければならない。セル同士の相対的順序は記憶期間中
同じに保たれなければならず、通常の速度で送信される
セルが基地局に溜まってゆくことの無いように該メモリ
は高速で動作しなければならない。この様なメモリの具
体的構造は当業者に知られている。更に、本発明の基地
局はセル向けのデータを他の基地局に送信し、その基地
局からハンドオーバー時にデータを受信するための手段
を有する。上記したように、このセル向けデータは、図
６、図７及び図８の実施例の場合のようにセルの実際の
送信を、或いは基地局と移動ユニットとの間の無線リン
クを終わらせるときに処理されつつあった、与えられた
カウンタメッセージから数えたときのセルに関するデー
タの送信を必要とする。セル向けデータの作成、送信、
及び受信を、基地局の動作を制御するブロックにより実
行されるプログラマブルなプロセスとして実施すること
ができ、それを実施するために公知の素子及びプログラ
ミング方法が利用される。

【００４５】本発明の無線データ伝送システムは、上記
したように、少なくとも１つの交換機５１と、本発明に
よる少なくとも２つの基地局４０及び５０とを有する。
移動ユニット４１が無ければユーザは該データ伝送シス
テムの特性を利用することができないのであるから、移
動ユニット４１も該データ伝送システムの一部分である
と見なすことができる。本発明のデータ伝送システムで
は、ハンドオーバー時にセル向けデータを送信するため
のデータリンクが基地局同士の間に設けられる。このデ
ータ伝送を有線接続で実施するのが好ましく、それを基
地局同士の間で直接実行することができ、また交換機５
１を通して送信することもできる。

【００４６】上記の実施例では、主として個々の移動ユ
ニットが移動する場合を参照してハンドオーバーについ
て説明をした。しかし、より一般的な言い方をすれば、
少なくとも１つの無線リンクセグメントを有するデータ
伝送システムにおいて本発明を実施することができる。
このことは、実際に、前述の移動ユニットが、一方では
基地局への無線接続を処理すると共に、他方では通信網
において従属関係に置かれている部分への有線接続を処
理する通信網の代表であり得ることを意味する。更に、
移動ユニットの移動以外の理由でハンドオーバーが必要
になることもあろう。例えば通信網のいろいろな部分で
の負荷を平均させるためにハンドオーバーを利用した
り、或いは、旧基地局の能力を弱める一時的な混乱が原
因になってハンドオーバーが必要になることもあろう。

【００４７】勿論、移動ユニットは単に独立の携帯用移
動ユニットであることができる。この場合、その移動ユ
ニットは、大方、例えばデジタルセルラー通信網の移動
電話（ＧＳＭ電話など）やデジタル無線電話（ＤＥＣＴ
電話など）などの移動局部分と、この移動局部分と局地
的に接続している例えばラップトップコンピュータ（la
ptop computer)などのコンピュータ部分とから構成され
る。前記の局地的接続は有線接続や赤外線接続などであ
る。

【００４８】要するに本発明では、セルの形のデータを
伝送する無線データ伝送システムにおいて、新基地局
（５０）と旧基地局（４０）との間でのセルの伝送を同
期化することにより、ハンドオーバー時にセルが失われ
たり順序が狂ったりする危険が大幅に少なくされる。旧
基地局（４０）は、この旧基地局を通して首尾よくかつ
正しい順序で伝送された最後のセルに関する情報を新基
地局（５０）及び／又は交換機（５１）に送り、新基地
局は、最初に伝送に失敗したセルから開始して伝送を継
続する。与えられたグループ（３１，３２，３３，３
４）の中の１番目又は最後のセル、又は所定のカウンタ
セルに番号を付け、必要ならばその番号の付いているセ
ルからのへだたりを数えることにより残りのセルを特定
することのできるグループ番号付けを行うならば、各セ
ルを１つ１つ別々に特定する必要はなくなる。

【００４９】本発明は、新基地局と旧基地局との間でハ
ンドオーバー以前に無線インターフェースを通してどの
セルが首尾よく送信及び／又は受信されたかに関する情
報を伝送することにより、ハンドオーバー時にパケット
の喪失及び／又は順序の狂いが生じる危険を大幅に少な
くする方法及び装置を開示する。本発明は、少なくとも
１つが無線接続から成るいろいろな接続部分を有する効
率の良いＡＴＭ通信網を作るために適用し得るものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】２つの基地局を伴う公知のデータ伝送システム
を示す図である。

【図２】図１のデータ伝送システムにおける公知のデー
タ伝送プロトコルを示す図である。

【図３】本発明の好適な実施例による所定のセルを特定
するプロセスを示す図である。

【図４】図３のプロセスにおけるセルのグループの特定
を示す図である。

【図５】本発明の好適な実施例の方法における基地局と
移動ユニットとの接続関係を示す図である。

【図６】図５の実施例の方法における新旧の基地局とＡ
ＴＭ交換機との接続関係を示す図である。

【図７】本発明の他の好適な実施例による、ＡＴＭ交換
機、２つの基地局、及び移動ユニットの間の接続関係を
示す図である。

【図８】図７の実施例におけるダウンリンク通信を示す
図である。

【図９】本発明の他の実施例におけるダウンリンク通信
を示す図である。

【符号の説明】

３０…セルの流れ ３１，３２，３３，３４…セルグループ ４０，５０… 基地局 ４１…移動ユニット ４２，４３…ＦＩＦＯバッファー ５１…ＡＴＭ交換機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ホーカン ミッツ フィンランド国，エフイーエン−00300 ヘルシンキ，キテスオンポルク ３ デー 38 (72)発明者 ユッカ イモンエン フィンランド国，エフイーエン−02600 エスポー，バリカリオンクヤ ４ デー 38 (72)発明者 ハリー ハンセン フィンランド国，エフイーエン−02230 エスポー，アーピリンカツ 10 ベー 10

Claims (18)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 交換機（５１）と、該交換機と接続され
   る第１の基地局（４０）及び第２の基地局（５０）と、
   各該基地局と無線で接続される移動ユニット（４１）と
   から成るデータ伝送システムでハンドオーバーを実施す
   る方法において、該データ伝送システムは、与えられた
   サイズのセルとしてデータを伝送し、該ハンドオーバー
   は、データを始めに該移動ユニット（４１）と該第１の
   基地局（４０）との間で伝送し、その後に該移動ユニッ
   ト（４１）と該第２の基地局（５０）との間で伝送する
   ことから成り、該第１の基地局（４０）は、該第１の基
   地局と該移動ユニットとの間で首尾よく伝送されたセル
   に関する情報を該交換機（５１）及び／又は該第２の基
   地局（５０）に供給することを特徴とする方法。
2. 【請求項２】 各該セルの伝送は、該第１の基地局と該
   移動ユニットとの間で首尾よく伝送されなかった最初の
   セルから始まって該第２の基地局と該移動ユニットとの
   間で続けられるようにした、請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】 該第１の基地局（４０）及び該第２の基
   地局（５０）において、ダウンリンクセルは、該移動ユ
   ニット（４１）に送られる前にバッファー（４２、４
   ３）に記憶される、請求項１又は２に記載の方法。
4. 【請求項４】 ダウンリンクセルが該第１の基地局（４
   ０）から該移動ユニットへ送られるとき、該移動ユニッ
   ト（４１）は首尾良く受信されたセルを確認し、首尾よ
   くかつ正しい順序で受信されたことが確認されたダウン
   リンクセルは該第１の基地局のバッファー（４２）から
   クリアされる、請求項３に記載の方法。
5. 【請求項５】 ハンドオーバー時に、該第１の基地局の
   バッファー（４２）からクリアされていないダウンリン
   クセルが該移動ユニット（４１）に送られるべく該第２
   の基地局（５０）に伝送される、請求項４に記載の方
   法。
6. 【請求項６】 該交換機（５１）は、転送されるべきダ
   ウンリンクデータセルから成る伝送の流れに第１のメッ
   セージ（Ｄ）を加え、該メッセージ（Ｄ）は前記第１の
   基地局（４０）を通して伝送されるセルの中の最後のセ
   ルと、該第２の基地局（５０）を通して伝送されるセル
   の中の最初のセルとを特定し、該第１のメッセージ
   （Ｄ）の位置は前記の伝送の流れの中のダウンリンクセ
   ルに関して固定されている、請求項１乃至５のうちのい
   ずれか１項に記載の方法。
7. 【請求項７】 該交換機（５１）は、転送されるべきダ
   ウンリンクデータセルから成る伝送の流れにカウンタメ
   ッセージ（Ｃ１、Ｃ２）を加え、該カウンタメッセージ
   の位置はその伝送の流れの中の前記ダウンリンクセルに
   関して固定されている、請求項１乃至６のいずれか１項
   に記載の方法。
8. 【請求項８】 前記カウンタメッセージ（Ｃ１、Ｃ２）
   は、与えられた番号付けセルに付加されていて、その直
   前の通し番号からずれている通し番号から成り、前記番
   号付けセル同士の間には前記通し番号により特定される
   セルのグループ（３１，３２，３３，３４）に属する所
   定数のセルがそれぞれ存在する、請求項７に記載の方
   法。
9. 【請求項９】 該交換機（５１）は同じセルを該第１の
   基地局（４０）及び該第２の基地局（５０）の双方に送
   り、その両方の基地局が前記セルを該バッファー（４
   ２、４３）に記憶させ、該第１の基地局（４０）が与え
   られたカウンタメッセージ（Ｃ１）に先行した全てのセ
   ルを該移動ユニット（４１）へ首尾よく送った後、該第
   １の基地局はそのことを知らせるもう一つのメッセージ
   を該第２の基地局（５０）へ送り、前記の第２のメッセ
   ージに対する応答として該第２の基地局は対応するセル
   を自分のバッファー（４３）からクリアする、請求項７
   又は８に記載の方法。
10. 【請求項１０】 該移動ユニット（４１）においてアッ
    プリンクセルは送信の前にバッファーに記憶される、請
    求項１乃至９のいずれか１項に記載の方法。
11. 【請求項１１】 アップリンクセルが該移動ユニット
    （４１）から該第１の基地局（４０）に送られるとき、
    該基地局は、首尾良く受信されたセルを確認し、首尾よ
    くかつ正しい順序で受信されたことが確認されたアップ
    リンクセルは該移動ユニットの前記バッファーからクリ
    アされる、請求項１０に記載の方法。
12. 【請求項１２】 該第１の基地局（４０）は、ハンドオ
    ーバー時に、第３のメッセージ（Ｕ）を該交換機（５
    １）に送り、このメッセージは、該第１の基地局（４
    ０）を通って首尾よく伝送されたセルの中の最後のセル
    を特定するようにした、請求項１０又は１１に記載の方
    法。
13. 【請求項１３】 該移動ユニット（４１）は、転送され
    るべきアップリンクデータセルから成る伝送の流れにカ
    ウンタメッセージを加え、該カウンタメッセージの位置
    は前記の伝送の流れの中のアップリンクセルに関して固
    定されている、請求項１乃至１２のいずれか１項に記載
    の方法。
14. 【請求項１４】 前記カウンタメッセージは、与えられ
    た番号付けセルに付加されていて、その直前の通し番号
    からずれている通し番号から成り、前記番号付けセル同
    士の間には前記通し番号により特定されるセルのグルー
    プに属する所定数のセルがそれぞれ存在する、請求項１
    ３に記載の方法。
15. 【請求項１５】 該移動ユニット（４１）は同じアップ
    リンクセルを該第１の基地局（４０）及び該第２の基地
    局（５０）の双方に送り、その両方の基地局が前記アッ
    プリンクセルをバッファーに記憶させ、該第１の基地局
    （４０）が与えられたカウンタメッセージに先行した全
    てのセルを該移動ユニット（４１）から首尾よく受け取
    った後、該第１の基地局はそのことを知らせる第４のメ
    ッセージを該第２の基地局（５０）へ送り、前記第４の
    メッセージに対する応答として該第２の基地局（５０）
    は対応するセルを自分のバッファーからクリアする、請
    求項１３又は１４に記載の方法。
16. 【請求項１６】 有線接続により基地局に接続された交
    換機（５１）と該基地局と無線リンクする移動ユニット
    （４１）との間でデータをセルの形で伝送するためのデ
    ータ伝送システムの基地局（４０，５０）であって、該
    基地局と該移動ユニットとの間で首尾よくかつ正しい順
    序で伝送されたセルに関するデータを他の基地局に送る
    ための手段と、対応するデータを他の基地局から受信す
    るための手段とを有することを特徴とする基地局。
17. 【請求項１７】 データをセルの形で一時的に記憶する
    バッファー（４２、４３）と、前記バッファーからセル
    を選択的にクリアするための手段とを有する、請求項１
    ６に記載の基地局。
18. 【請求項１８】 セルの形のデータを制御するための交
    換機（５１）と、この交換機と接続されてセルの形のデ
    ータを該交換機（５１）と移動ユニット（４１）との間
    で伝送する少なくとも２つの基地局（４０、５０）とか
    ら成っていて、該移動ユニットが各該基地局と無線で通
    信するようになっているデータ伝送システムにおいて、
    各該基地局の間でセルの形で転送されたデータのセルに
    関するメッセージを伝送するための手段を有することを
    特徴とするデータ伝送システム。