JP4663939B2 - 遠隔通信のルート設定 - Google Patents

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  • Exchange Systems With Centralized Control (AREA)

Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、遠隔通信信号のルート設定に関する。とくに、本発明は固定形および移動形の遠隔通信媒体へこのような信号をルート設定して、ユーザが何れかの媒体上で同じやり方で同様のサービスを使用でき、かつスイッチングおよび他のネットワーク応用機能のより大きな共通性(commonality)によってシステムオペレータがコストを低減できる方法に関する。本発明は、いわゆる“インターネットプロトコル(Internet Protocol, IP)”を使用する“インターネット(Internet)”において使用されるパケットベースの通信のルート設定に関する。
【0002】
従来の技術
この移動媒体(モバイルメディウム)システムは、移動ユーザおよび関係するシステムはインターフェイスにおいてネットワーク(一般的に無線基地局)と協働して、移動ノードが1つの基地局との通信から別の基地局との通信へ変更すること、およびネットワークが新しい位置のインテリジェンスポイントを更新できるように構成されている。セルラネットワークでは、これらのインテリジェンスポイントは、ホームロケーションレジスタ(Home Location Register, HLR)およびビジタロケーションレジスタ(Visitor Location Register, VLR)であり、一方で“モバイルIP(Mobile IP)”ではこれらのロケーションレジスタはホームエージェント(Home Agent)および外部エージェント(Foreign Agent)として知られている。両方の場合において、“ビジタ”ロケーションレジスタ、または“外部”エージェントは、現在基地局とその管理下で協働しているユーザの記録のみを維持し、“ホーム”ローケーションレジスタは関係するユーザのパーマネントレコードを、VLRまたは外部エージェントの現在協働しているものの記録を含めて維持する。到来メッセージのアドレスは、関連するHLR/ホームエージェントを識別し、これを参照して、より特定的なルート設定の詳細について適切なVLR/外部エージェントを識別する。したがって距離が若干離れていることもあるHLR/ホームエージェントには知らせずに、VLR/外部エージェント内で、ユーザの現在の位置に対して局所的に(ローカルに)、位置のマイナーチェンジを行うことができ、このためにシグナリングオーバーヘッドは著しく低減する。
【0003】
このホームエージェント/外部エージェントのインターフェイスを用意することによって、移動コストが追加され、とくにパケットシステムではトンネリング(一方のアドレスから他方のアドレスへメッセージを送ること)、アドレスの枯渇(adress exhaustion)(発信元のアドレスを再び使用できなくなること)、および三角ルート設定のコストが追加される。
【0004】
固定媒体システムでは、IPのルート設定は、IPアドレスのブロックまたはプレフィクスを、関係する距離およびルート設定コストと共に、潜在的な宛先から潜在的な送信者へ分配することに基いており、したがって潜在的な送信者および中間のルータはその宛先への最善の次の移行であるホップ(隣り合うルータ)を判断することができる。これらのルートは、ネットワーク内の全ての宛先について予めコンピュータ処理されていて、したがって送信者は、情報が生成されると直ぐにそれを送ることができる。ルートの事前のコンピュータ処理、すなわち配備されたルート設定交換技術は、ソースおよび宛先の位置が固定されているとき、および通信のバンド幅が徹底的なルート交換(exhaustive exchange of routes)のために十分にあるときは可能である。しかしながらローミングの割合が増すとき、このようなモデルの細分(break down)およびより動的なルート設定のアプローチが必要とされる。
【0005】
文献“HAWAII”(インターネットドラフト(Internet-draft)名を“IP Micro-Mobility Support Using HAWAII”, R.Ramjee, T.LaPor, S.Thuel, K.Varadhとして1999年2月19日に発行されており、Internet Engineering Taskforce Internetサイトでは;
HTTP://www.ietf.org/internet-drafts/draft-rimjee-micro-mobility-hawaii-OO.txt.に書込まれている)を参照されたい。HAWAIIでは特定の経路セットアップ方式を使用して、ルート設定ドメインにおいてドメイン内の小さな移動性(intra-domain micro-mobility)を支援するときに、特定のルータ内にホスト基地局の先送りのエントリをインストールし、ドメイン間の小さな移動性(inter-domain micro-mobility)に対して“モバイルIP”を使用してデフォルトにする。HAWAIIでは、移動ホストは、ドメイン内で移動する一方で、ネットワークアドレスを保持する。HAWAIIアーキテクチャは、ドメインルートルータと呼ばれる、ドメインへのゲートウエイルータに依存し、ドメイン内のデフォルトのルートはここへ方向付けられる。各移動性ホストは、パーマネントIPアドレスに基くホームドメインに割り当てられる。経路セットアップ方式ではドメイン内の単一のルート設定経路を更新し、ワイヤレスリンク層におけるハンドオフの前後に、移動ホストへ接続することができる。ドメインルートルータと、移動ホストに現在サービスしている基地局との間の単一のルート設定経路に沿って位置するルータのみが、移動ホストのIPアドレスに対してルート設定テーブルのエントリをもつ。ドメインルート内のルータの残りは、デフォルトルートに沿って上方向へ移動ホストへアドレス指定されるパケットを、ドメインルートルータに根付いているルート設定ドメインのツリー形の性質に依存してルート設定し、ルータが移動ホストのIPアドレスに対して個々のホストエントリをもつ単一のルート設定経路に沿って、移動ホストへ向かう下方向へルート設定と交差する。
【0006】
HAWAIIでは、ドメイン間の移動性は、“モバイルIP”機構(メカニズム)によって支援されている。ホームドメインルートルータはホームエージェントとして示され、カプセル化されたIPパケットは外部ドメインルートルータを介して送られる。
【0007】
HAWAIIの提案についての欠点には、ネットワークコア、すなわちドメインルートルータ内のいくつかのノードにモバイルIPトンネルの集中を含むことであり、これらのノードが故障したときに、全てのモバイルIPの状態および故障したノードによって処理される関係するセッションについて大きな障害を導くことになる。さらに、ホームドメインの外からホームドメイン内へ、およびこの逆方向の全てのルート設定は、ホームドメインルートルータを介して発生するので、ホームドメインルートルータの故障も大きい故障を導くこともある。
【0008】
発明が解決しようとする課題
本発明の1つの態様にしたがって、パケット伝送リンクによって相互接続されているパケットスイッチングノードのインフラストラクチャと、複数のアクセスノードとを含むコネクションレスのルート設定プロトコルネットワークにおいてパケットのルート設定を制御する方法であって;複数のアクセスノードへは、ルート設定経路が前記ルート設定経路に沿って位置付けられているパケットスイッチングノード内に保持されているデータによって規定されていて、ルート設定経路は前記インフラストラクチャ内で所与のネットワークアドレスについて方向付けられており:
通信リンクを介して前記第1のネットワークアドレスを使用して移動ノードにサービスしている第1のアクセスノードへ方向付けられている第1のルート設定経路に沿って、第1のネットワークアドレスについてパケットをルート設定することと;
第1のアクセスノードから移動ノードへの通信リンクではなく、前記第1のルート設定経路に沿って到達するパケットを先方送りするインターフェイスを指定することと;
前記第1のネットワークアドレスについて前記インフラストラクチャ内のルート設定を変更して、前記第1のネットワークアドレスについて、前記第2のアクセスノードへ向かう第2のルート設定経路を生成することと;
前記第1のネットワークアドレスについて前記インフラストラクチャ内のルート設定を変更して、前記第2のルート設定経路が生成されるとき、およびその後で、前記第1のルート設定経路を取除くことと;
移動ノードの通信リンクにハンドオーバして、第2のアクセスノードが前記移動ノードにサービスすることと;
前記第2のルート設定経路を介して前記第2のアクセスノードへパケットをルート設定することとを含む方法を提供する。
【0009】
第1のアクセスノードにおいて、通信リンクではなく、先方送りインターフェイスを指定し、第2のルート設定経路が生成されたとき、およびその後で、ルート設定を変更して、第1のルート設定経路を取除くことによって、通信リンクの損失とインフラストラクチャ内のルート設定の変更との間には未知の時間合せの差が存在している場合でも、インフラストラクチャ内でのパケットの損失を避けることができる。
【0010】
本発明の別の態様および長所は、例示的に、添付の図面を参照して以下で記載する実施形態から明らかになるであろう。
【0011】
発明の実施の形態
ここで図1を参照すると、本発明の実施形態にしたがう固定/移動トポロジの例が示されている。トポロジは、例示的に、自立システム(Autonomous System, AS)を形成している3つのパケットスイッチングネットワーク2、4、6を含んでおり、この範囲は図1内の陰影部によって模式的に示されている。自立システムという用語に与えられた1つの定義は、“1組のルータおよびネットワークの組は同じ管理下にある”ことである(文献(“Routing in the Internet”, Christian Huitema, Prentice-Hall, 1995, P.158)参照)。ここでは自立システムという用語は、この技術におけるルート設定ドメインとも呼ばれており、同じルート設定プロトコルを実行するルータをもつネットワーク、または1組のネットワークを意味することも意図されている。自立システムは、(後述で例示的に使用される)インターネットのようなグローバルインターネットワークを形成している他の自立システムに接続することができる。ルート設定プロトコルはインテリア ゲートウエイ プロトコル(interior gateway protocol,IGP)であり、他の自立システムとの通信は、境界ゲートウエイプロトコル(Border Gateway Protocol, BGP)のようなエクステリア ゲートウエイ プロトコル(exterior gateway protocol, EGP)を介して実現される。既知のIGPの例は、ルーティング インフォメーション プロトコル(Routing Information Protocol, RIP)およびオープン ショーテスト パス ファースト(Open Shortest Path First, OSPF)である。
【0012】
自立システムの固定インフラストラクチャを形成しているネットワーク2、4、6は、複数のコアルータ(Core Router, CR)、複数のエッジルータ(Edge Router, ER)、およびAS内の異なるネットワーク2、4、6を相互接続しているブリッジルータ(Bridge Router, BR)を含む。これらのパケットスイッチングノードの全ては、単一のIPルート設定プロトコルを実行し、これについては1つの実施形態において別途記載する。
【0013】
エクステリア ゲートウエイ ルータ(Exterior Gateway Router, EGR)は、自立システムを、グローバルインターネットの別の自立システムへ接続する。
【0014】
図1に示した自立システムは、移動ホストと固定ホストの両者に対してルート設定を行い、移動ホストは、その移動の結果AS内のルート設定を変更し、固定ホストは、いわゆる静止したホストであり、このようなルート設定の変更は行われない。
【0015】
例示的に、移動ノードはワイヤレスリンクを介してエッジルータへ接続され、セルラ無線リンク(別の可能なタイプのワイヤレスリンクは赤外線リンクである)は、移動ネットワークオペレータによって用意されている基地局(Base Station, BS)ルータを使用している。セルラ無線リンクは、GSMのような時分割多重アクセス(Time Division Multiplier Access, TDMA)システムリンクであるか、または“CDMA 2000”のようなコード分割多重システム(Code Division Multiple Access, CDMA)システムリンクであってもよい。移動ノードは、個別の移動ホスト14か、またはそれに接続された複数のホストをもつ移動ルータ16、あるいはこの両者の形態をとり、それぞれ所定の時間において(CDMA“ソフトハンドオーバ”の場合に)BSルータと無線通信する。BSルータは、多数のトランシーバ基地局(Base Transceiver Stations, BTS)を制御し、BTSは、セルラシステムの個別の“セル”が周囲に形成されている無線アンテナと一緒に置かれている。
【0016】
移動ノード14、16は、セルラ無線通信ネットワークのセル間を移動する。BSルータが多数のセルにサービスするとき、セル間でハンドオーバされる移動ノードは同じBSルータを介してパケットルータを受け取り続けることができる。しかしながら、移動ノードが、サービスを受けるのに通るBSルータの範囲外へ移動するとき、新しいセルへのハンドオーバによりAS内のルート設定の変更が必要となる。当該の該または1つの移動ノードとの間で送受信されるデータパケットは、ノードのIPアドレスの識別子を使用して、ハンドオーバの前に所与のBSルータを介してルート設定され、ハンドオーバの後で異なるBSルータを介して、同じIPアドレスへのルート設定を要求する。移動ノードは、1つのBSルータから別のBSルータへのハンドオーバ中にASを介して異なるホストとの通信セッションに加わることができる。(例えば、TCP/IP接続内の)トランスポート層における接続が移動ノードのIPアドレスによって部分的に規定されるので、ルート設定がこのように変化するとき、移動ノードが異なるBSルータからサービスを受け取るとき、同じIPアドレスを使用してこのような接続を継続できることが望まれる。
【0017】
固定ホストは、イーサネットプロトコルのようなローカルエリアネットワークプロトコルを実行しているローカルエリアネットワーク(Local Area Network, LAN)10を介してエッジルータへ接続することができる。固定ホストは、インターネットアクセスプロバイダによって用意されるネットワークアクセスサーバ(Network Access Server, NAS)20を使用して公衆サービス電話ネットワーク(Public Services Telephone Network, PSTN)12を介してエッジルータへ接続することもできる。NAS20は、PPPまたはSLIPのようなプロトコルを使用してNAS20へ接続している固定ホストへのダイヤルアップ毎に固定されたIPアドレスを動的に割り当て、関係するエッジルータを介して各固定ホストとの間で送受信されるIPパケットをルート設定する。NAS20がIPアドレスを動的に割り当てる一方で、割り振られたIPアドレスについてパケットをルート設定するのに通るエッジルータは、アクセスセッション中か、またはより長い期間において変更しない。したがって、自立システム内のルート設定は、リンク故障、またはトラヒック管理のようなAS内の要因によって以外に、各固定ホストへの変更を必要としない。
【0018】
IGP、すなわち本発明のこの実施形態においてAS内で使用されている単一のIPルート設定プロトコルは、時間的に順序付けられたルート設定アルゴリズム(Temporally-Ordered Routing Algorithm, TORA)ルート設定プロトコルの変形であり、とくに文献(“A Highly Adaptive Distributed Routing Algorithm for Mobile Wireless Networks”, Vincent D Park and M Scott Corson, Proceedings of INFOCOM '97, April 7-11, Kobe, Japan;and “A Performance Comparison of the Temporally-Ordered Routing Algorithm and Ideal Link-State Routing”, Vincent D Park and M Scott Corson, Prpceedings of ISCC '98, 30 June - 2 July, 1999, Athens, Greece)に記載されている。
【0019】
TORAルート設定プロトコルアルゴリズムは、分散して実行され、ループのないルートを用意し、(輻輳を緩和するために)多数のルート設定を行い、ルートを迅速に設定し(したがって、トポロジが変わる前にルートを使用することができ)、(使用可能なバンド幅を確保し、スケーラビリティを増加することが)可能であるときは、トポロジの変化に対するアルゴリズムの反応を局所化することによって通信のオーバーヘッドを最小化する。
【0020】
アルゴリズムが分散されるとすると、隣り合うノードに関する情報(すなわち、1つのホップの知識)のみを維持する必要がある。したがって、全てのルートはループがないことが保証され、通常はルートを要求するソース/宛先の対に対するマルチパスルート設定を用意する。通常は多数のルートが設定されているので、トポロジの変化が多くても、単一のルートで十分であるためにAS内のルート設定の更新は必要ない。反応を必要とするトポロジの変化の後でプロトコルによって有効なルートが再び設定される。
【0021】
TORAプロトコルは、グラフG=(N,L)(なお、Nは有限の組のノードであり、Lは1組の最初の無向リンクの組である)としてネットワークをモデル化している。各ノードi∈Nは独特の(ユニークな)ノード識別子(identifier, ID)をもち、各リンク(i,j)∈Lは双方向の通信を可能にしている(すなわち、リンクによって接続されているノードは、何れかの方向で互いに通信することができる)。次に、各最初の無向(アンディレクテッド)リンク(i,j)∈Lは、3つの状態;すなわち(1)無向状態、(2)ノードiからノードjへの有向状態、または(3)ノードjからノードiへの有向状態の1つに割り当てることができる。リンク(i,j)∈Lがノードiからノードjへ方向付けられるとき、ノードiはノードjから“上流”にあると言われ、一方でノードjはノードiから“下流”にあると言われる。各ノードiにおいて、iの“隣り合うノード、すなわちNi∈N”はノードjの組であるように規定され、したがって(i,j)∈Lである。各ノードiは、組Ni内の隣り合うノードを常に認識している。
【0022】
論理的に別個の形式のプロトコルは、ルート設定が必要とされている(例えば、ホストIPアドレスによって識別される)各宛先ごとに実行される。
【0023】
TORAプロトコルは、3つの別個の機能:すなわちルートを生成すること;ルートを維持すること;およびルートを消去することに分割することができる。所与のノードから宛先へのルートを生成するには、ノードから宛先へ導かれている有向(ディレクテッド)リンクのシーケンスの設定が必要である。ルートを生成することは、無向ネットワークまたはネットワークの一部分においてリンクへの方向を割り当てることに本質的に対応している。これを達成するのに使用される方法は、照会/応答プロセスであり、これは宛先(すなわち、下流リンクをもたない唯一のノード)に根のついた閉路なし有向グラフ(directed acyclic graph, DAG)を構築している。このようなDAGは、“宛先指向”のDAGと呼ばれている。ルートの維持は、宛先へのルートを有限の時間内で再設定するやり方で、ネットワーク内のトポロジの変化に反応することを含む。ネットワークの区分を検出するとき、(宛先から区分されるネットワークの一部分の中の)全てのリンクは、無向であるとマークを付され、無効のルートを消去する。
【0024】
プロトコルは、3つの別個の制御パケット:すなわち照会(query, QRY)、更新(update, UPD)、およびクリア(clear, CLR)の使用によって、これらの3つの機能を達成する。QRYパケットはルートを生成するために使用され、UDPパケットはルートを生成し、かつ維持するために使用され、CLRはルートを消去するために使用される。
【0025】
所与の時間において、順序付けられた5つ組(ordered quintuple)は、“高さ(height)”と呼ばれ、Hi=(τi, oidi, ri, δi, i)は各ノードi∈Nと関係している。概念上、各ノードと関係している5つ組は、2つのパラメータ:すなわち参照レベル、および参照レベルと関係するデルタによって規定されるノードの高さを表わしている。参照レベルは、5つ組の中の最初の3つの値によって表わされ、一方でデルタは最後の2つの値によって表わされている。ノードがリンク故障によって最後の下流リンクを失うたびごとに、新しい参照レベルが規定される。参照レベルτiを表わしている1番目の値は、リンク故障の“時間”に設定された時間のタグである。2番目の値、oidiは発信者−ID(すなわち、新しい参照レベルを規定したノードの独特のID)である。これは、参照レベルを全体的に辞書式に順序付けることができることを保証している。3番目の値、riは、独特の参照レベルの各々を2つの独特のサブレベルへ分割するのに使用される単一のビットである。このビットを使用して、元の参照レベルと、それに対応する、より高い反映した参照レベルとを識別する。デルタδiを表わしている1番目の値は、共通の参照レベルに関連してノードを順序付けるのに使用される整数である。この値は、参照レベルを伝搬するのに貢献する。最後に、デルタiを表わしている2番目の値は、ノードの独特のID自体である。これは、共通の参照レベルおよびδiに等しい値をもつノード(および実際には、全てのノード)は、全体的に常に辞書式に順序付けることができることを保証している。
【0026】
(宛先以外の)各ノードiはその高さ、Hiを維持する。最初に、(宛先以外の)ネットワーク内の各ノードの高さはNULLに設定され、Hi=(-, -, -, -, i)になる。続いて、各ノードiの高さは、プロトコルの規則にしたがって変更される。それ自身の高さに加えて、各ノードiは、ルート設定プロトコルデータテーブル内に、ネットワーク内の既存のDAGをもつホストIPアドレスに対するエントリを維持し、このエントリには、各隣り合うノードj∈NiについてのエントリHNijをもつ高さの配列を含む。
【0027】
(宛先以外の)各ノードiは、ルート設定プロトコルデータテーブルにおいて、各リンク(i,j)∈LごとにエントリLSijとのリンク状態の配列を維持している。リンクの状態は、高さHiおよびHNijによって判断され、より高いノードからより低いノードへ方向付けられる。隣り合うノードjがノードiよりも高いときは、リンクは上流であるとマークを付される。隣り合うノードjがノードiよりも低いときは、リンクは下流であるとマークを付される。
【0028】
TORAプロトコルは、最初は、ルータが移動性であって、ワイヤレスリンクを介して連結される移動アドホックネットワーク(Mobile Ad-Hoc Network, MANET)において使用するために設計された。しかしながら、本発明の実施形態では、変更されたTORAプロトコルは、図1に示したような固定リンクによって相互接続されている固定ルータをもつ固定インフラストラクチャを含む自立システム内で使用され、移動ホストがインフラストラクチャへの接続点を変更するときに、固定インフラストラクチャにおいてルート設定変更を行う。
【0029】
図26は、この実施形態にしたがってルータ内で保持することができるルート設定プロトコルデータテーブルの1例を模式的に示している。
【0030】
各ホストIPアドレス(または、別途記載するように、集合化されたDAGの場合はアドレスのプレフィックス)に対して、ネットワーク内にDAGをもつIP1、IP2、などには、記憶ノードHi(IP1)、Hi(IP)、などの高さが記憶されている。さらに加えて、各隣接する隣り合うものの識別、例えばw、x、y、z、隣り合うものの高さHNiw(IP1,IP2,など)、HNiy(IP1,IP2,など)、およびHNiz(IP1,IP2,など)も記憶されている。最後に、各IPアドレス(またはプリフィクス)に対するリンク状態のアレイは、各隣り合うものに対応する各リンク識別子(L1,L2,L3,L4)に対して上流リンク(U)、下流リンク(D)、または無向リンク(−)を示すマーキングの形態で記憶することができる。
【0031】
ルート設定プロトコルデータテーブル内に保持されているリンク−状態の配列は、データを保持しているルータ内に次のホップへの先方への送り(forward、先送り、先方送りと訳出)の判断を局所的に行うことを可能にする。十分に相互接続されたネットワークにおいて、各ルータは少なくとも1つの下流リンクをもつ。下流リンクが1つのみ存在するとき、このリンクは次のホップへの先送りリンクとして選択される。下流リンクが2以上存在するとき、例えば2つのリンク上の現在のトラヒックロードに基いて、最適の下流リンクを選択することができる。何れかの場合において、選択されたリンクはIPアドレスに対する次のホップへの先送りデータテーブルへ入れられる。図27に示したような次のホップへの先送りテーブルは、ルータに到達するルート設定を要求するIPパケットとして迅速にアクセスするためにキャッシュメモリ内に保持されている。このテーブルには、各IPアドレス(またはプリフィクス)IP1、IP2、などに対して、選択された次のホップへの先送りリンク(L2,L1,など)を記憶する。
【0032】
ルータの固定インフラストラクチャの使用、および別途記載する本発明の別の態様により、AS内でのルート設定の集合化、とくに移動ホストのIPアドレスが可能である。次に、IPのアドレス指定、とくにどのようにして可変長のプレフィクスを使用して、IPルート設定ネットワークにおけるルート設定の集合化を行うかについて簡単に記載する。
【0033】
IPアドレスは現在、所定数(32)のビットから構成されている。IPアドレスは、以前は非構造(アンストラクチャードベーシス)で割り振られた(これは、“フラット”アドレス指定計画と呼ばれている)。クラスフルアドレス指定(classful addressing)は、ネットワークのプレフィクスおよびホストフィールドへのアドレスを分割することによって2段のルート設定階層の概念を導入した。ユーザにクラスA、クラスB、またはクラスCの何れかのIPアドレスを割り振って、ルート設定および管理を簡単にした。
【0034】
クラスAでは、ビット0はクラスAを識別し、ビット1−7はネットワーク(126ネットワーク)を識別し、ビット8−31はホスト(1,600万ホスト)を識別する。
【0035】
クラスBでは、ビット0−1はクラスBを識別し、ビット2−15はネットワーク(16,382ネットワーク)を識別し、ビット16−31はホスト(64,000ホスト)を識別する。
【0036】
クラスCでは、ビット0−2はクラスCを識別し、ビット3−23はネットワーク(2,097,152ネットワーク)を識別し、ビット24−31はホスト(256ホスト)を識別する。
【0037】
2段の階層は、ネットワーク内のホスト間にフラットなルート設定階層を依然として残している。例えば、クラスAのアドレスブロックは、1,600万のホストをもち、これが1,600万のルート設定テーブルのエントリを含むネットワーク内の全てのルータを生成する。サブネット化を行って、ホストアドレスブロックを可変長のサブネットフィールドおよびホストフィールドへ分割することを可能にした。したがってAS内のルータは、サブネットのみについてルート設定テーブルのエントリを保持する(各サブネット上の全てのホストに対するルート設定の集合化を行う)ことができる。サブネットのマスクを使用して、ルータがアドレスのサブネット部を識別できるようにする。
【0038】
本発明のこの実施形態にしたがって、ホストIPアドレスブロック(すなわち、プレフィクスを共有する連続したIPアドレス)を、BSルータのようなアクセスノードへ割り当て、アクセスセッション中にブロック内から移動ホストへIPアドレスを動的に割り振ることによって、ルート設定の集合化を行う。移動ホストが電源投入時にセルラネットワークに登録するとき、サービスしているBSルータは、IPアドレスを割り振り、移動ホストのワイヤレスリンク識別子と割り振られたIPアドレスとの間の結合をキャッシュする。集合化されたルート設定計画、すなわちこの実施形態では集合化されたDAGは、移動ホストが、セッション中に使用するIPアドレスを割り振られる前に、AS内で予めコンピュータ処理される。移動ホストの電源切断後に、IPアドレスが所有しているBSルータへ戻されると、IPアドレスを別の移動ホストへ割り振ることができる。BSルータによって割り振られた移動ホストのIPアドレスは、集合化されたDAGをもち、移動ホストの少なくとも1つが遠ざかると、この場合は集合化されたDAGは適所に残るが、ホスト専用の例外は、移動専用のルート設定更新手続きによって影響を与えられるルータ上で生成される(更新において、遠ざかった1つの移動ホストのみのためにルート設定を変更する)。
【0039】
BSルータによって所有されているアドレスのプリフィクスについてのAS内のルータの事前のコンピュータ処理は、所有しているBSルータが、AS全体で溢れている各プリフィクスごとに、ここでは“最適化(optimization, OPT)”パケットと呼ばれている更新メッセージを注入することによって達成され、集合化(アグレゲート)されたDAGを構築と一緒にプレフィクスの通知として効果的に働く。OPTパケットは、IPアドレスのプリフィクスを所有し、集合化されたDAGを制御しているBSルータによって送られる。OPTパケットは、((設定されていても)現在の高さに関係なく)ネットワーク内の全ての他のノードへ伝搬し、これらの高さを“オール ゼロ”の参照レベルへ(再)設定し、したがってTORAの最初の3つの値(Ti,oidi,ri)を全てゼロに設定される。4番目の高さの値δiは、BSルータから伝送されてから、OPTパケットが取るホップ数に設定される(これは、既知のTORAソース−開始されたDAG生成機構におけるUPDパケットの伝搬に類似している)。1のインクリメントが加えられて、BSルータから移動ノードへのホップを表わすことができる。5番目の高さの値、iはノードIDに設定される。
【0040】
集合化されたDAGがこのAS内に存在すると、AS内の各パケットスイッチングノードは、問題のIPアドレスのプレフィクスについて次のホップへの先送りテーブルをもつ。パケットが、ルート設定を要求しているノードに到達するとき、ノードは最も長く整合するアドレスのエントリについて次のホップへの先送りテーブルをサーチし、これに基いて、次のルート設定の判断は、IPアドレスを使用している移動ノードが所有しているBSルータから遠ざからなかったと仮定すると、IPアドレスのプリフィクスになる。AS内に集合化されたDAGを用意することによって、各パケットスイッチングノードにおいてルート設定テーブルの大きさおよびルート設定処理を最小化する。
【0041】
しかしながら移動ノードが、ネットワーク内で最初にサービスを受け取ったBSルータから離れているワイヤレスリンク層においてハンドオーバされるとき、個別のホストアドレスのエントリは、移動ノードの移動性によって生じるルート設定の更新によって影響される(制限された数の)パケットスイッチングノード内の、ルート設定プロトコルデータテーブルと次のホップへの先送りテーブルとの両者において生成される。これらのノードは、対応する集合化されたアドレスエントリを記憶し続けるが、ホストアドレスエントリを使用して、最も長い整合をサーチすることによって移動ノードのIPアドレスへパケットをルート設定する。
【0042】
TORAの高さの維持アルゴリズムは、同じ一般クラスのアルゴリズムに分類されるが、この同じ一般クラスのアルゴリズムは、もともと文献(“Distributed Algorithms for Generating Loop-Free Routes in Networks with Frequency Changing Topology”, E Gafni and D Bertsekas, IEEE Trans. Commun., January 1991)において定義されている。このクラスの中では、ノードは高さを“増加”するだけであって;高さを低減することはない。しかしながら本発明のこの実施形態ではアルゴリズムを変更して、BSルータ間でハンドオーバした後で、隣り合うノードへルート設定するインターフェイスが複数存在するとき、ノードが、移動性に関係するルート設定の更新を最近送出した隣り合うノードへルート設定するインターフェイス上でパケットを先送りするように、ノードが先送りの振舞いをすることを確実にする。移動ノードのIPアドレスおよび問題の隣り合うノードに対するエントリとしてルータのルート設定プロトコルデータテーブル内に記憶されている高さの5つ組(τi, oidi, ri, δi, i)内のτの時間の値は、“負”、すなわち少なくともゼロ未満になり、移動性に関係する更新が行われたことを示し、負のτの時間値の大きさは所与のIPアドレスに対する移動性に関係するルート設定更新が行われる度ごとに増加することが許可されている。したがって、最近の移動性に関係する更新は、より大きい負のτの時間値によって示される。移動性に関係するルート設定の更新は、負のτの時間値によって区別され、他の指標、例えば1ビットのフラグを使用して、負のフラグに置換してもよいことに注意すべきである。
【0043】
移動ノードは、BSルータの結合を変更すると、τの時間値を、例えば整数によって低減することによって高さの値を低減し、新しい値は、移動ノードのIPアドレスと関係するDAGの移動を開始した更新の一部としてAS内の制限された数のノードに伝搬され、これについては別途記載する。ノードが、下流に多数の隣り合うノードをもつときは、最近活性化された下流リンクへルート設定される。高さは依然として完全に順序付けられている(したがって、ルート設定のループの自由が保たれる)。
【0044】
本発明のこの実施形態の別の態様では、ワイヤレスリンク層における移動ノードのハンドオーバ中に、一時的な、短期間の、トンネリング機構が用意され、データパケットは、移動ノードをハンドオーバするBSルータに到達し、移動ノードがハンドオーバされるBSルータへ先送りされる。IPパケットスイッチングネットワークにおけるトンネリングは、(新しいBSルータのIPアドレスへアドレス指定される)新しいIPヘッダと共にデータパケットをカプセル化することによって達成でき、これは“IP−イン−IPのトンネリング(IP-in-IP tunneling)”と呼ばれている。新しいBSルータにおいて、パケットはデカプシュレートされ、ワイヤレスリンクを介して移動ノードへ先送りされる。トンネルのセットアップ、シグナリング、および認証機構は“モバイルIP”において使用され、とくに、文献(“IP Mobility Support”, C Perkins, ed., 1ETF RFC 2002, October 1996)に記載されている。“モバイルIP”でイネーブルされる全てのBSルータでは、“モバイルIP”を使用して、異なるASへ移動する移動ノードへパケットを先送りすることもできる。他の可能なトンネリングプロトコルには、(UDPヘッダを到来するパケットへ加える)UDPトンネリング、GREトンネリング(CISCO(商標)プロトコル)、層2トンネリングプロトコル(L2TP)、およびネゴシエートまたは構成されたIPSECトンネルモードを含む。
【0045】
移動ノードがBSルータからハンドオーバされるとき、このBSルータは、移動ノードがハンドオーバされる新しいBSルータと対話し、次に示す段階に着手する:
(a)新しいBSルータへの一方向のトンネルを準備して、古いBSルータと移動ノードとの間のワイヤレスリンクが失われた後で、パケットを移動ノードへ先送りすることができる段階。トンネルは、予め存在しているBS間のルータトンネル、またはホスト専用へのトンネルへのマッピングによって準備され、モバイルIP機構を介して動的にネゴシエートされる;
(b)ワイヤレスリンク層において移動ノードへハンドオーバする段階;
(c)新しいBSルータから移動ノードのIPアドレス(または、移動ルータの場合は、アドレス)に対してルート設定の更新を注入する段階;
(d)移動ノードのIPアドレスへ向かうデータを先送りし、古いBSルータにおいてトンネルリンクを介して新しいBSルータへ到達する段階;
(e)古いBSルータへの無効のルート設定を更新する段階;
(f)ホスト専用であるときには、トンネルを解体(tear down)するか、またはルート設定が集束した後で、予め存在するトンネルにおけるホスト専用の状態を取除く段階。
【0046】
ハンドオーバの前に、全てのパケットは、古いBSルータを通るインフラストラクチャ内で、ルートを介して移動ノードへ直接にルート設定される。ルート設定の集束の後で、全てのパケットは、新しいBSルータを通るインフラストラクチャ内で、ルートを介して移動ノードへ直接にルート設定される。
【0047】
ハンドオーバが、(トンネル設定の一部として古いBSルータからか、または移動ノードから移動を補助するハンドオーバを介して)新しいBSルータへ知らされるとき、新しいBSルータは方向付けられたルート設定更新メッセージを生成し、このメッセージは、既存のDAGを使用して、(古いBSルータへ方向付けられたままである)移動ノードのIPアドレスについて古いBSルータへユニキャストされる。この更新は、逆方向の最低の隣り合う経路(接近する最短経路)に沿って古いBSルータへ移動のDAGを選択的に変更する。この更新の最後に、移動ノードが無線リンク層においてハンドオーバされた後で、古いBSルータは移動ノードのIPアドレスについて新しい下流リンクをDAG内にもつ。交差ルータは、更新プロセス中に、既存のデータ流が移動ノードの新しいBSルータへ再び方向付けられる地点においてユニキャストの方向付けられた更新を受け取る。
【0048】
この更新手続きは、トポロジに依存しておらず、新しいBSルータと古いBSルータとの間のトポロジ上の距離に関係なく採用される(BSルータの関係する位置に実質的に依存して変更できる)。
【0049】
古いBSルータへのワイヤレスリンクが失われる時間だけ新しいBSルータへのルート設定が設定されない場合、および古いBSルータでは相当な量のキャッシングは実行されないときは、短期間のトンネルはパケットの損失を回避する。
【0050】
それにも関わらず短期間のトンネルは常に必要ではなく、次に示す2つのイベントの関連する順序付けに依存する:
(i)古いBSルータにおけるBSルータ−対−移動ノードのワイヤレスリンクの損失;および、
(ii)古いBSルータにおける方向付けられたルート設定更新の到来。
【0051】
古いワイヤレスリンクが失われる前に、ルート設定更新が到達するときは、別のデータパケットが再ルート設定が原因となって古いBSルータに到達しないので、トンネルは必要とされない(再ルート設定は、制御およびデータパケットが等しい待ち行列の優先度および処理をもつようにされるし;これらをもたないとしても、既に待ち行列に入れられているデータパケットは依然としてルート設定の更新後に到達するからである)。そして全ての過去のデータパケットは古いワイヤレスリンク上で移動ノードへ送られる(先送りされる)ことになる。トンネルが必要とされないとするとワイヤレスリンクが失われるときに全ての下流リンクが損われることによって、古いBSルータにおけるTORAの更新の早すぎるトリガは、ルート設定が集束するまで、古いBSルータにおいて仮想下流リンクにマークを付すことによって防ぐことができる。したがって、古いBSルータにおけるルート設定の抑制は、単に信号送信によって達成される。
【0052】
信号送信(シグナリング)のみによるルート設定の抑制は、古いBSルータが、キャッシュ、例えば透過性(トランスペアレントな)のキャッシュとして働くときも使用でき、古いBSルータがルート設定が集束するまで、比較的に大量のデータを記憶し、ルート設定が集束すると、データを再び送ることができるようにする。
【0053】
上述のように、移動ノードがアクセスセッションを終了するとき、移動ノードのIPアドレスに対するルート設定は、発信元のBSルータ、すなわちIPアドレスのホームBSルータへ戻される。AS内に制限された数のノードのみを加えることを要件として、DAGの宛先をホームBSルータへ効果的に復元する機構が用意される。
【0054】
移動ノードがアクセスセッションを終了するとき、現在のBSルータはIPアドレスのホームBSルータに接触し、DAGの宛先をホームBSルータへ転送し始める。ここでも、トンネルリンクを抑制機構として使用して、現在のBSルータにおけるルート設定の更新を開始するか、または、より単純に、データが先送りされないときは、仮想リンク(現在のBSルータにおける機能していない下流リンクのマーキング)を使用することができる。現在のBSルータは、ホームBSルータへ方向付けられたトンネルリンクまたは仮想下流リンクを設定する。応答して、ホームBSルータは、(現在のBSルータへ依然として方向付けられている)移動ノードのIPアドレスについて既存のDAGを使用して現在のBSルータへ送られる方向付けられた“復元(restore)”更新を生成する。この更新は、ホスト専用のルート設定プロトコルデータテーブルのエントリおよび移動ノードの先の移動によって生成された次のホップへの先送りテーブルのエントリを削除して、移動ノードのIPアドレスについて活動状態のルート設定計画として予めコンピュータ処理された集束されたDAGを復元する。更新は、移動ノードの過去の移動によって行われたルート設定の更新によって既に生成された経路上で伝わる。したがって、行われた移動専用の更新が消去される負の高さの値の組と、(ネットワーク内で新しい高さの生成および反転を生じる障害がなかったと仮定する)“オール ゼロ”の参照レベルで集束されたDAGが再び活動状態にされる。現在のBSルータにおいて復元更新が受取られるまで、トンネルリンクまたはバーチャルリンクを維持され、このときにトンネルが解体されるか、または仮想リンクが取除かれる。
【0055】
定期的に、またはトリガ実行イベントの検出の際に、移動ノード、または移動ノードの代わりに活動しているBSルータは、TORA更新機構を使用して、“オール ゼロ”の参照レベルでIPアドレスについてDAGを再び起動し、DAGについての移動性に関係するルート設定テーブルのエントリを取除く。このやり方で伝搬される“オール ゼロ”参照レベルは、(正および負の)他の全ての高さの値に優先され、AS全体に伝搬する(AS‐全体のDAGの再最適化)。したがって、移動性に関係する更新機構に置き換わるソフト状態のルートのメンテナンスについての機構を与えられる。
【0056】
ここで、ワイヤレスリンク層におけるBS間のハンドオーバおよびASの固定インフラストラクチャ内のルート設定更新について、図2ないし11を参照して記載することにする。図12ないし16を参照して別の例を記載する。最終的に、移動ホストアクセスセッションの終了後の、ホームBSへのルート設定の復元の詳細な例を図17ないし25に関係して記載する。図2ないし25に記載したTORAの高さの5つ組の各々において、ノードIDは、簡単にするために、参照記号iを使用して記載する。しかしながら、この値は各ノードについて異なり、ASノードを独特に識別することが分かる。簡単にするために、ASの一部のみを記載することにも注意すべきである。
【0057】
次の例の全てにおいて、ASは複数の固定コアルータ(CR1,CR2...)、複数の固定中間ルータ(IR1,IR2...)、および複数の固定縁端部(エッジ)ルータ(ER1,ER2...)を含み、固定インフラストラクチャのトポロジの“縁端部”の比較的近くにしたがって分類される。コアルータは中間ルータよりも高いトラヒック量を処理するために構成され、代わって中間ルータは縁端部ルータよりも高いトラヒック量を処理するようにされている。例えば、コアルータは国内のトラヒック、中間ルータ領域のトラヒック、および縁端部ルータの細分化領域のトラヒックを処理することができる。
【0058】
パケットスイッチングルータは、ワイヤレス基地局と一緒に配置され、機能的に結合され、結合されたエンティティは、ここではアクセスノード(BS1,BS2...)と呼ばれるが、“アクセスノード”という用語は、ワイヤレスのBS機能を含むルート設定ノードに制限されることを意図していないことが分かるであろう。例えば、“アクセスノード”は、トポロジにおいてBSから離れているノードに用意することができる。
【0059】
以下に記載する例の全ての場合において、インターフェイスにおけるホップ毎のルート設定の方向性は、(ワイヤレスリンクを含む)リンクに沿ってネットワークのノード間で、およびアクセスノードと移動ノードの間でマークを付された矢印によって示される。分散形ルート設定計画は、単一の受信側移動ホスト、MH2において方向付けられたTORA DAGの形態をとっている。移動ホストMH2がアクセスセッションを始め、動的にIPアドレスを割り振られる前に、事前にコンピュータ処理され、集合化されたDAGは、IPアドレスを割り振られるアクセスノード、すなわちノードB2からAS全体の更新として注入されているAS内のIPアドレスに存在している。図2ないし25を参照すると、ルート設定更新またはパケットの先送りに関係するノードは、TORAの高さの5つ組(τi, oidi, ri, δi, i)でマークを付される。既に記載したように、このTORAの高さは、高さが加わるノードから広告されている、各隣り合うノードのルート設定プロトコルデータテーブル内に記憶される。
【0060】
移動ノードMH2がホームアドレスノードBS2に登録するとき、ホームアクセスノードは、割り振られているIPアドレスに対して移動ノードの識別をワイヤレスリンク層にキャッシュし、ノードBS2内に保持されているルート設定テーブル内の移動専用のエントリを形成する。
【0061】
図2は、移動ノードMH2と別のホスト、この場合は移動ホストMH1との間で行われる通信セッション(例えば、TCP/IP接続)を例示している。次の例では、対応する移動ホストMH1は移動しないが、ノードMH2の移動性に関係して別途記載する同じ機能を使用して、移動させることができる。類似の通信セッションも、対応する固定ホストで行なうことができる。とくに、別個のDAGはノードMH1へ向かって方向付けられたAS内に存在し、ノードMH2から発信するデータパケットはノードMH1へルート設定される。ノードMH1へ方向付けられたこのDAGは変わらないので、ノードMH2が加わる各アクセスノードからノードMH1のルート設定が存在するが、ノードMH1へのルート設定については、これ以上記載しない。
【0062】
ノードMH1からノードMH2へ向かうデータパケットは最初に、図2に示したように、集合化されたDAG、例えば固定ノードBS1、ER1、IR1、およびER2を介してホームアクセスノードBS2へルート設定される。
【0063】
ここで図3を参照すると、ワイヤレスリンク層のBS間のハンドオーバの判断はノードMH2自体、またはノードBS2の何れかによって行うことができる。移動ノードの最初のハンドオーバの場合、ノードBS2およびBS3から受け取られた信号間のワイヤレスリンクの品質の比較に基いて判断することができる。移動ノードMH2が移動するとき、BS3から受け取った信号は向上するが、一方でアクセスノードBS2から受け取った信号が悪化し、閾値判断の際に、移動ホストはノードBS2とBS3との間でハンドオーバを開始することによって応答する。ノードBS2においてハンドオーバを判断する場合に、トラヒックロードのような、他の検討事項に依存して判断することができる。このような場合に、アクセスノードBS2はハンドオーバの命令をノードMH2へ送る。
【0064】
BS間のハンドオーバが移動ノードMH2またはホームアクセスノードBS2によって開始されても、開始されなくても、移動ノードMH2は新しいアクセスノードBS3を選択し、トンネル開始(tunnnel initiation, TIN)パケットをホームアクセスノードBS2へ送る。TINパケットは、新しいアクセスノードBS3のIPアドレスを含み、移動ノードはアクセスノードBS3によって同報通信されるビーコンチャンネルからそれを読み取る。移動ノードMH2はさらに、
高さのτの時間値を負の値、すなわち−1へ低減することによって(これは、最初の移動性に関係するルート設定更新が、ホームアクセスノードBS2から遠ざかることを示している)、新しい高さをコンピュータ処理し、TINパケット内にこれを含む。
【0065】
ここで図4を参照すると、ホームアクセスノードBS2は移動ノードMH2からTINパケットを受け取るとき、ホームアクセスノードBS2は、新しいアクセスノードBS3への短期間のIP−イン−IPのトンネルリンクを設定する。ホームアクセスノードBS2はルート設定テーブル内でトンネルインターフェイスをBS3へ入力し、新しいアクセスノードBS3のTORAの高さは(−1,0,0,1,i)に等しく設定され、残りのハンドオーバの手続き中にデータパケットを先送りするために下流データリンクとしてマークを付されることを保証する。
【0066】
短期間のトンネルリンクは、ホームアクセスノードBS2から新しいアクセスノードBS3へ設定されたとき、ホームアクセスノードBS2は、移動ノードMH2から受け取ったTINパケットをトンネルインターフェイスを介して新しいアクセスノードBS3へ先送りする。
【0067】
この例では、使用されるワイヤレスリンクシステムには、(ソフトなハンドオーバを可能にするCDMAセルラ無線システムにおけるように)、移動ノードMH2がハンドオーバ中に2つのワイヤレスリンクを介して各アクセスノードBS2およびBS3へ通信できるといった性質がある。したがって、移動ノードMH2は新しいアクセスノードBS3との第2のワイヤレスアクセスリンクを設定し、移動ノードMH2への下流リンクであるノードBS3においてルート設定テーブルが入力される。
【0068】
新しいアクセスノードBS3は、ユニキャストの方向付けられた更新(unicast-directed update, UUPD)パケットを生成し、固定インフラストラクチャ内の隣り合うノード、すなわちノードER3へパケットを送る。UUPDパケットは、新しいアクセスノードBS3とホームアクセスノードBS2との間で、ノードユニキャストの経路に沿って、更新経路に沿う全てのノード、およびその経路に沿うノードに直接に隣り合う全ての、ルート設定プロトコルデータテーブルと、したがって次のホップへの先送りテーブルの少なくともいくつかとの中で、更新エントリを移動する(ノードは経路に沿って新しい高さの広告を、各直接に隣り合うノードへ送り、広告の伝搬は1つのホップに制限される)。
【0069】
ここで図6を参照すると、移動ホストMH2が新しいアクセスノードBS3との新しいワイヤレスリンクを設定した後で、ホームアクセスノードBS2への古いワイヤレスリンクはプルダウンされる。ホームアクセスノードBS2に到達する移動ノードMH2へ方向付けられたデータパケットは、短期間のトンネルを介して新しいアクセスノードBS3へ先送りされ、新しいワイヤレスリンクを介して移動ノードMH2へ送られる。
【0070】
ここでは古いワイヤレスリンクが失われているけれども、残りのダウン流リンクが、ホームアクセスノードBS2と新しいアクセスノードBS3との間に設定されたトンネルに沿って存在するので、ルート設定の更新はホームアクセスノードBS2ではまだトリガされていない(TORAプロトコルにしたがって他でも生ずるところである)。したがって、新しいアクセスノードBS3から開始されるルート設定更新がホームアクセスノードBS2に到達するまで、ホームアクセスノードBS2へ向かうルート設定は所定の位置に残る。図6に示したように、第1のノードER3は、UUPDパケットを受け取り、さらに移動更新に関係する負のτの時間値(−1)でその高さを更新して、このUUPDパケットをノードIR2へ先送りする。代わって、ノードIR2は、移動性に関係する更新と関係するτの時間値にその高さを更新する。
【0071】
ルート設定更新ユニキャストルートに沿う各ノードは、さらに、ルート設定更新UUPDパケットの各ホップごとに、TORAの高さの5つ組内のδの値を1だけインクリメントし、したがってδの値は、先のルート設定テーブルのエントリではホームアクセスノードBS2を経由する移動ノードへのホップ数を示していたことに代わって、新しいアクセスノードBS3を経由する移動ノードへのホップ数を表わしている。代わってユニキャストの方向付けられた更新ルートに沿う各リンクは、新しいアクセスノードBS3へ向かって方向付けられる。
【0072】
ここで図7を参照すると、UUPDパケットは次に、ユニキャスト更新ルートに沿う次のノード、すなわちノードER2へ先送りされる。ノードER2はルータであり、送信ノードMH1からホームアクセスノードBS2へのルート設定経路と、ノードMH1から新しいアクセスノードBS3へ送られるパケットがとるルート設定経路との間の交差点にマークを付す(ルータ設定経路に設定される)。図8に示したように、ノードER2内のルート設定プロトコルデータテーブルのエントリはUUPDパケットを受け取ったときに更新されると、交差ノードER2は2つの下流リンク;すなわちホームアクセスノードBS2へ方向付けられる下流リンクと新しいアクセスノードBS3へ方向付けられた下流リンクとをもつ。しかしながら、新しいアクセスノードBS3へ方向付けられた下流リンクが、(最近の)移動性に関係する更新を示すものとして、負のτの時間値を含むので、新しいアクセスノードBS3へ方向付けられた下流リンクは、次のホップへ先送りするリンクとして、優先的に選択される。移動ホストMH2へ方向付けられたノードER2に到達するデータパケットは、新しいアクセスノードBS3へのルート設定経路に沿って、ノードIR2へ先送りされる。交差ルータER2においてルート設定経路を分割した後は、別のデータパケットはBS2へ送られず、別のデータパケットはノードBS2とノードBS3との間のトンネルインターフェイスを通って先送りされない。しかしながら、トンネルインターフェイスはホームアクセスノードBS2においてしばらくの間、所定の位置に留まり、UUPDパケットはホームアクセスノードBS2に到達するまで、(全ての下流リンクを失ったために)ルート設定の更新はホームアクセスノードBS2から生成されないことを保証する。ホームアクセスノードBS2においてUUPDパケットが到達すると、BS2のルート設定テーブル内のトンネル状態のエントリは取除かれて、それによってMH2に対するトンネルインターフェイスを取り壊す。
【0073】
ここで図9を参照すると、ホームアクセスノードBS2はユニキャスト更新経路の端部を形成しているので、ホームアクセスノードBS2の高さは、UUPDパケットを受け取ったときに再び規定されないことに注意すべきである(しかしながら、ノードBS2とER2との間のリンク方向は、ノードER2の高さにおいて負のτの時間値が規定されているために逆にされ、サービスを受け取る他の移動ホストがBS2を介してMH2へパケットを送ることができるようにしている)。
【0074】
最後に、UUPDメッセージを受け取ったときに、ホームアクセスノードBS2は新しいアクセスノードBS3へ更新完了のアクノリッジメント(UUPD−Ack)を送ることができる。UUPD−Ackパケットは、新しいアクセスノードBS3へ向かってDAG内での設定されたユニキャストの更新されたルート設定経路をとる。UUPD−Ackパケットを送信したとき、古いアクセスノードBS3は、それが最初に移動ノードMH2へ割り振ったIPアドレスについてDAGに対する仮の制御を放棄する。UUPD−Ackパケットを受け取ったとき、新しいアクセスノードBS3は、移動ノードのIPアドレスについてDAGの仮の制御をとる。
【0075】
ここでユニキャスト更新経路に沿って、制限された数のみのノード(図9に示した例では、5のみのノード)の高さを再定義することを含む、無線リンク層における移動局のBS間のハンドオーバに関係するルート設定の更新が完了する。さらに、ルート設定プロトコルデータテーブルエントリの更新も制限され、このような更新は、UUPDメッセージを受け取るノード、および(新しい高さの広告を受け取り、ルート設定テーブル内に新しい高さを記憶する)各直接に隣り合うノードのみにおいて要求される。図9に示した例では、ルート設定プロトコルデータテーブルの更新も、ノードIR1、CR1、CR2、およびCR3の各々において実行される。
【0076】
図10および11は、次の移動性に関係する更新の前後に、AS内のDAGの状態を示す。この場合に、移動ノードMH2は、アクセスノードBS2からアクセスノードBS3へ既にハンドオーバされ、さらに別のアクセスノードBS4へハンドオーバされる。採用される手続きは、アクセスノードBS2からアクセスノードBS3への移動ノードの最初のハンドオーバによって行われた移動性に関係する更新に関係して記載した手続きと同じであるが、新しいアクセスノードBS4から送られたユニキャスト更新によって生成された新しい高さは、(−2の大きさまで増加する)負のτの時間値における別のインクリメントを含む点が違い、(−1のτの時間値をもつ)移動性の第1の発生の更新された高さから、移動性の第2の発生によって行われた移動性に関係して更新される高さを区別し、(0のτの時間値をもつ)予めコンピュータ処理されたDAG内で割り当てられた高さからの移動性に関係して更新された高さからも区別するようにしている。図1に示したように、新しい更新に関係するノードは、最初に0のτの時間値を含む高さをもち、これは予めコンピュータ処理されたDAG内に規定されている高さであることを示す。
【0077】
ここで、移動性に関係するルート設定の更新の別の例として、移動ノードが(GSMセルラ無線システムにおけるように)特定の時間に単一のワイヤレスリンクのみを介して通信できるものを、図12ないし16を参照して記載することにする。この場合に、先の例の図2ないし4に関係して記載した段階は同じである。図12に示したように、新しいアクセスノードBS3から送られたUUPDパケットは、トンネルインターフェイスに沿ってTINパケットの受取りに応答して生成される。
【0078】
ここで図13を参照すると、移動ノードMH2は最初にホームアクセスノードBS2とのワイヤレスリンクを失い、短い時間期間が経過して(ワイヤレスリンク層、ETCにおいて新しいアクセスノードBS3と再び同期化でき)、新しいアクセスノードBS3との新しいワイヤレスリンクが設定される。移動ノードMH2がワイヤレスリンクを持たない期間において、ホームアクセスノードBS2に到達するパケットは、ホームアクセスノードBS2からトンネルインターフェイスによって先送りされ、新しいワイヤレスリンクが設定されるまで、新しいアクセスノードBS3において待ち行列へ入れられる。次に、新しいワイヤレスリンクが設定されるか、またはUUPDパケットがホームアクセスノードBS2に到達する。新しいワイヤレスリンクが最初に設定されると、新しいアクセスノードBS3は直ちに、移動ノードのIPアドレスに対してDAGの仮の制御を仮定する。さもなければ、新しいアクセスノードBS3は、ホームアクセスノードBS2からUUPD−Ack(アクノリッジメント)メッセージを受け取るまで待機する。先の例に関係して記載した残りの段階(トンネルの解体、次の移動、など)もこの例に関係して応用する。
【0079】
図17ないし25は、移動ノードがアクセスセッションを終了し、移動ノードのIPアドレスが移動ノードに最初に割り当てられる前に、DAGの状態に対するそのIPアドレスについてDAGを復元するルート設定更新を行う手続きを示している。ルート設定更新手続きは、ルート設定更新をAS内の制限された数のみのノードへ(ユニキャストの移動性に関係する更新が既に行なわれた経路に沿って)送ることを含み、制限された数のみのノード(すなわち、復元された方向付けられたルート設定更新メッセージが通るノードおよび直接に隣り合う各ノード)のルート設定プロトコルデータテーブルにおいて更新が要求されている。
【0080】
図17を参照すると、移動ノードMH2がアクセスセッションを終了するとき、現在のアクセスノードBS4はIPアドレスに対してホームアクセスノードBS2へ復元要求(restore request, RR)を送る。これは、現在のアクセスノードにおけるIPアドレスに対する“ホーム”アクセスノードの識別子の知識によって達成することができる。この知識は、OPTパケット更新機構を使用して集合化されたDAGを生成し、アクセスノード内に保持されている他のルート設定プロトコルデータに加えて、ルート設定プロトコルデータとして、この識別を記憶することによって与えることができる。その代わりに、この知識は、移動ノードが、IPアドレスが最初に割り振られるときにホームBSの識別を記憶し、各アクセスノードにこの識別を送り、該アクセスノード内に一時的に記憶し、ここからアクセスセッション中に移動ノードがサービスを受け取ることによって得ることもできる。したがって、移動ノードMH2がこのアクセスセッションを終了するとき、現在のアクセスノードBS4はRRパケットを送り、該RRパケットは、最初に移動ノードのIPアドレスでアドレス指定され、ホームアクセスノードBS2へのIP−イン−IPのトンネルリンクに沿って、ホームアクセスノードBS2のIPアドレスでカプセル化される。
【0081】
IPアドレスに対するホームBSの識別の知識を要求する代わりとして、RRパケットは宛先アドレスとして移動ノードのIPアドレスで送られるが、ヘッダ内の識別子は、各送り先のノードにアクセスセッション中にホームBSに方向付けられたままである集合化されたDAGのルート設定経路に沿ってパケットがルート設定されることを示す。
【0082】
RRパケットの受取りに応答して、ホームアクセスノードBS2はルート設定テーブル内で移動ホストMH2への下流リンクにマークを付す。移動ホストは、現在アクセスノードとワイヤレス通信をしておらず、実際には異なるアクセスノード(すなわち、アクセスノードBS4)のサービス領域内に位置しているので、この下流リンクは仮想リンクである。アクセスセッションの終了後にBS4において移動ノードMH2に到達するパケットは、ホームアクセスノードBS2へのトンネルに沿って先送りされ、移動ノードMH2が新しいアクセスセッションを開始するとき、移動ノードMH2へ将来先送りするために記憶される。
【0083】
RRパケットを受け取ったとき、ホームアクセスノードBS2は、さらに(現在、仮想の)移動ノードMH2の高さを“オール ゼロ”参照レベルへリセットし、図18に示したように、ASの固定インフラストラクチャを介して、現在のアクセスノードBS4へユニキャストの方向付けられた復元更新(unicast-directed restore update, UDRU)パケットを送る。UDRUパケットはユニキャストルートに沿って先送りされ、これは、移動性に関係する更新の結果として予め再規定された高さをもつノードのみを含む。図18に示した例では、これらのノードはER2、IR2、ER3、IR3、CR4、IR4、ER4、およびBS4である。
【0084】
UDRUパケットはユニキャスト経路に沿ってノードの各々において受け取られるので、各ノードのTORAの高さは“オール ゼロ”の参照レベルへ再設定され、高さのδの値は、現在のアクセスノードを介して移動ノードのホップ数を示した先行するエントリの値の代わって、ホームアクセスノードを介して(現在は仮想の)移動ノードへのホップ数を表わすように再規定される。このプロセスは図18ないし22の各々に示されている。
【0085】
ユニキャスト更新ルートに沿う高さの更新に加えて、更新された高さは、直接に隣り合う各ノードへ広告される。(図20に示したように)アクセスノードBS3の場合のように、自身の高さにおいて負のτの時間値をもつノードは、負のτの時間値を0に再設定することを示す広告を受け取り、それ自身の高さを“オール ゼロ”参照レベルへ再設定し、ホームアクセスノードを経由する(現在は仮想の)移動局へのホップ数を示すδの値を規定し、自身の新しい高さの広告を生成し、それ自身に隣り合うノードの全てにそれを送る。広告された新しい高さを受け取り、自身の高さを再設定しない隣り合うノードは、その広告を伝搬しない。
【0086】
図23に示したように、UDRUパケットが現在のアクセスノードBS4において受け取られると、現在のアクセスノードはルート設定テーブル内の移動ノードMH2と関係する状態を削除し、ユニキャスト更新によって生成されたばかりのルート設定経路に沿ってUDRU−AckメッセージをホームアクセスノードBS2へ送って、移動ノードMH2によって既に使用されたIPアドレスについてDAGの仮の制御を放棄する。
【0087】
図24に示したように、UDRU−Ackパケットは最終的に、ホームアクセスノードBS2へ伝搬する。ホームアクセスノードBS2は、これを受け取ると、移動ノードMH2と関係する全ての状態を取除き、IPアドレスに対するDAGの制御を仮定する。IPアドレスは、さらに再び、図25に示したように、アクセスノードBS2のサービス領域内で、アクセスセッションを開始している異なる移動ノードMH3へ動的に割り振られる。
【0088】
要約して、本発明によって与えられたルート設定プロトコルに対して、単独で、または組合せて使用できる変更には次に示すものを含む:
1.移動の結果として生成された別個のルート設定プロトコルデータ(TORAプロトコルの場合に“負”の高さの参照レベル)を記憶し、最近割り当てられた下流の隣り合うノードへパケットを先送りすることと;
2.ユニキャストの方向付けられた移動更新を取入れて、ASの制限された数のノードのみの中に記憶されたルート設定プロトコルデータを変更することによってハンドオーバにおけるルート設定を調節することと;
3.ユニキャストの方向付けられた復元更新を取入れて、ハンドオーバに基く移動の影響(TORAの場合では“負”の高さの参照レベル)をなくすこと。
【0089】
上述の実施形態は、制限することを意図しておらず、当業者は変更および変形を生成できることが分かるであろう。
【0090】
上述の実施形態は、TORAルート設定プロトコルに基づく変更されたルート設定プロトコルを記載している。しかしながら、本発明の態様を使用して、OSPF、RIP、などのような他の既知のルート設定プロトコルを変更することができる。
【0091】
さらに、上述の実施形態では、自立システムのインフラストラクチャが固定されているが、インフラストラクチャ内のルータは、衛星通信の分野で使用されるような移動ルータ、およびインフラストラクチャ内のルータが長い期間の移動を示す他のシステムであることが分かるであろう。さらに、移動ノードは、プラグイン式のケーブル接続のような移動性のワイヤレスでない通信リンクを介してアクセスノードへ接続することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にしたがう固定/移動トポロジの例を模式的に示す図。
【図2】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図3】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図4】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図5】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図6】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図7】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図8】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図9】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図10】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図11】 本発明の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを模式的に示す図。
【図12】 本発明の別の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを示す図。
【図13】 本発明の別の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを示す図。
【図14】 本発明の別の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを示す図。
【図15】 本発明の別の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新とを示す図。
【図16】 本発明の別の実施形態にしたがう、基地局間のハンドオーバと、それに付随するルート設定更新を示す図。
【図17】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図18】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図19】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図20】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図21】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図22】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図23】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図24】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図25】 本発明の実施形態にしたがう、ホーム基地局へのルート設定の復元を示す図。
【図26】 本発明の実施形態にしたがう、ルート設定ノード内に保持されているルート設定プロトコルデータテーブルを模式的に示す図。
【図27】 本発明の実施形態にしたがう、ルート設定ノード内に保持されている次のホップへの先送りテーブルを示す図。

Claims (16)

  1. パケット伝送リンクによって相互接続されているパケットスイッチングノードのインフラストラクチャと、複数のアクセスノードとを含むコネクションレスのルート設定プロトコルネットワークにおいてパケットのルート設定を制御する方法であって、
    該複数のアクセスノードへルート設定経路が、前記ルート設定経路に沿って配置されているパケットスイッチングノード内に保持されているデータによって規定されていて、
    前記インフラストラクチャ内で所与のネットワークアドレスに前記ルート設定経路を方向付けることができ
    第1のルート設定経路は、通信リンクを介して第1のネットワークアドレスを使用している移動ノードにサービスしている第1のアクセスノードへ方向付けられていて、前記第1のルート設定経路に沿って、前記第1のネットワークアドレスパケットをルート設定するステップと、
    第1のアクセスノードから移動ノードへの通信リンク以外に、前記第1のルート設定経路に沿って到達するパケットを第2のアクセスノードへ先方送りするインターフェイスを指定するステップと、
    前記インターフェイスの指定に続いて、第2のアクセスノードが前記移動ノードにサービスするように、前記移動ノードの通信リンクをハンドオーバするステップと、
    前記通信リンクのハンドオーバに応答して、前記第1のネットワークアドレスへの前記インフラストラクチャ内のルート設定を変更して、前記第2のアクセスノードを経由する、前記第1のネットワークアドレスへの第2のルート設定経路を生成するステップと、
    前記第2のルート設定経路の生成に応答して、前記第1のネットワークアドレスへの前記インフラストラクチャ内のルート設定を変更して、前記第1のルート設定経路を取除くステップと、
    前記第2のルート設定経路を介して前記第2のアクセスノードへパケットをルート設定するステップと、を含む方法。
  2. 前記指定するステップが、前記第1のネットワークアドレスについて、前記第1のアクセスノードから前記第2のアクセスノードへの先方送り経路を指定するステップを含み、
    前記先方送り経路は前記第1のネットワークアドレスへの前記インフラストラクチャ内ルート設定を変更することを要さない請求項1記載の方法。
  3. 前記到達するパケットが、カプセル化され、前記先方送り経路を形成しているパケットトンネルを介して送られる請求項2記載の方法。
  4. 前記ルート設定の変更が、前記第2のアクセスノードがルート設定更新を前記インフラストラクチャへ送ることを含む請求項1ないし請求項3の何れか1項記載の方法。
  5. 前記先方送り経路が、前記第1のアクセスノード内に保持されている状態データであって、前記移動ノードに関係している状態データによって指定される請求項2ないし請求項4の何れか1項記載の方法。
  6. 前記ルート設定更新を前記第1のアクセスノードに伝達した後で、前記状態データが前記第1のアクセスノードから取除かれる請求項5記載の方法。
  7. 前記第1のアクセスノードにおいて前記ルート設定更新を受け取ることに応答して、前記状態データが記第1のアクセスノードから取除かれる請求項6記載の方法。
  8. 前記ルート設定更新を受け取ることに応答して、前記第1のアクセスノードが、前記第2のアクセスノードへルート設定更新のアクノリッジメントを送る請求項6または請求項7記載の方法。
  9. タイムアウトと前記状態データとが関係付けられていて、前記タイムアウトの後で、前記状態データが前記第1のアクセスノードから取除かれる請求項5ないし請求項8の何れか1項記載の方法。
  10. 前記インターフェイスが前記第1のアクセスノードにローカルなキャッシュへ導かれる請求項1記載の方法。
  11. 前記ルート設定更新が、前記インフラストラクチャを介して前記第1のアクセスノードへ伝達するように構成されている請求項4記載の方法。
  12. 前記ルート設定更新が、ユニキャスト更新として前記第1のアクセスノードへ送られる請求項11記載の方法。
  13. 前記指定するステップが、前記第1のアクセスノードにおける前記移動ノードから移動要求の受け取りに応答して実行される請求項1ないし請求項12の何れか1項記載の方法。
  14. 前記通信リンクがワイヤレスリンクである請求項1ないし請求項13の何れか1項記載の方法。
  15. 前記ワイヤレスリンクによって、前記移動ノードが前記ハンドオーバ中に前記第1のアクセスノード前記第2のアクセスノードとのうちの一方のみからデータを受け取ることができる請求項14記載の方法。
  16. 前記ワイヤレスリンクによって、前記移動ノードが前記ハンドオーバ中に前記第1のアクセスノードと前記第2のアクセスノードの両者からデータを受け取ることができる請求項14記載の方法。
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