JPH09183763A - ジチオカルバミン酸金属塩水溶液およびその製法 - Google Patents

ジチオカルバミン酸金属塩水溶液およびその製法

Info

Publication number
JPH09183763A
JPH09183763A JP7353743A JP35374395A JPH09183763A JP H09183763 A JPH09183763 A JP H09183763A JP 7353743 A JP7353743 A JP 7353743A JP 35374395 A JP35374395 A JP 35374395A JP H09183763 A JPH09183763 A JP H09183763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
amino group
metal salt
diethylenetriamine
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7353743A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3912812B2 (ja
Inventor
Hideaki Gondaira
英昭 権平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Soda Co Ltd filed Critical Nippon Soda Co Ltd
Priority to JP35374395A priority Critical patent/JP3912812B2/ja
Publication of JPH09183763A publication Critical patent/JPH09183763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3912812B2 publication Critical patent/JP3912812B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存時の二硫化炭素の発生が抑制された水溶
液を得ること。 【解決手段】 少なくとも1つの一級アミノ基を有する
化合物と二硫化炭素と金属水酸化物とを反応させるにあ
たり、その反応中のpHを10から14の範囲に調整し
ながら反応させること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工場排水や都市ゴ
ミ、産業廃棄物を焼却処分した時に排出される焼却灰、
排ガスとともに排出される灰分などの中に含まれる有害
な重金属を無害化処理するときに使用されるキレート剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】工場排水や産業廃棄物から排出される灰
には人体に有害な重金属類が多量に含まれている。最近
では焼却プラントから排ガスとともに排出される灰分、
例えば電気集塵機で捕集されるEP灰やバグフィルター
で捕集された灰分など(本明細書では「飛灰」と略称す
る)に含まれている鉛、カドミウム、水銀などの重金属
が処理地において雨水などにより溶出されることが問題
とされている。
【0003】これらの重金属含有ダストまたは焼却灰に
重金属固定剤を添加する方法が広く採用されている。こ
の種の重金属固定剤としてジチオカルボキシ基を官能基
として有するアミン誘導体の液体キレート剤が重金属固
定化効率に優れることが知られている。
【0004】ジチオカルボキシ基を官能基として有する
アミン誘導体は通常、水溶液として使用される液体キレ
ート剤である。この中で、少なくとも1つの一級アミノ
基を有する化合物であって、その一級アミノ基を水溶液
中で二硫化炭素および金属水酸化物によりジチオカルバ
ミン酸塩に変換した化合物が特公昭56−39358
号、特開平3−231921号、特開平6−79254
号に記載されている。
【0005】特に、N1 ,N2 −ビス(ジチオカルボキ
シ)ジエチレントリアミンのナトリウム塩の製法が特開
平3−231921号、特開平6−79254号に詳細
に記載されている。特開平3−231921号の製法
は、ジエチレントリアミンと水に二硫化炭素を滴下、反
応を行い、その後、過剰の水酸化ナトリウム水溶液を添
加して該キレート剤水溶液を製造している。この方法で
は反応の進行にともなってpHが低下し10以下にな
る。また水酸化ナトリウムを添加終了後、pHは14以
上となる。この結果得られたN1 ,N2 ,N3 −トリス
(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミンナトリウム
塩を主成分とする水溶液には不純物が存在し、C13−N
MRのスペクトルにおいて、260〜280ppmの領
域に主成分以外に由来するピークを示すばかりでなく、
ビス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩
および/またはモノ(ジチオカルボキシ)ジエチレント
リアミン金属塩やそれらの誘導体などの副生成物を含有
している。特開平6−79254号の製法は、ジエチレ
ントリアミンと水および水酸化ナトリウムに二硫化炭素
を滴下、反応を行い該キレート剤水溶液を製造してい
る。この方法では反応の初期においてはpHは14以上
になり、反応の進行にともなってpHが低下し10以下
になる。この結果得られたN1 ,N2 ,N3 −トリス
(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミンナトリウム
塩を主成分とする水溶液は上述した製法と同様不純物等
を含む。
【0006】上記のようにN1 ,N2 ,N3 −トリス
(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミンナトリウム
塩など少なくとも1つの一級アミノ基を有する化合物を
二硫化炭素と金属水酸化物とにより反応することにより
得られる該一級アミンのジチオカルバミン酸金属塩を主
成分として含有する水溶液であって不純物を含有しない
ものは得られていない。また、これらの製法により得ら
れた水溶液は使用形態または保存状況によりに二硫化炭
素を発生するなどの問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジチオカル
バミン酸金属塩を主成分として含有する水溶液であって
保存時に二硫化炭素を発生しない水溶液を得ることを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも1
つの一級アミノ基を有する化合物を二硫化炭素と金属水
酸化物とにより反応することにより得られる該一級アミ
ンのジチオカルバミン酸金属塩を主成分として含有する
保存時の二硫化炭素の発生が抑制された水溶液である。
【0009】少なくとも1つの一級アミノ基を有する化
合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロ
ピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、n
−アミルアミン、iso−アミルアミン、2−アミノペ
ンタン、3−アミノペンタン、ネオペンチルアミン、
1,2−ジメチルプロピルアミン、n−ヘキシルアミ
ン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、シクロプロ
ピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミ
ン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、α−フェ
ニルエチルアミン、フェネチルアミン、フェネチルアミ
ン、アリルアミン、ポリアミン、エチレンジアミン、
1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、
1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミ
ン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ジアミノ−2
−メチルプロパン、2,2−ジメチル−1,3−プロパ
ンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−
1,5−ペンタンジアミン、N′−メチル−2,2′−
ジアミノジメチルアミン、N,N′−ビス(3−アミノ
プロピル)−メチルアミン、1,4−シクロヘキサンジ
アミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,2−シ
クロヘキサンジアミンなどを挙げることができる。特に
一級アミノ基と二級アミノ基の両方を有する下記化合物
が好適であり、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレ
ンヘキサミン、ポリエチレンイミン、N−(2−アミノ
エチル)−1,3−プロパンジアミン、イミノビスプロ
ピルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチル
エチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N
−イソプロピルエチレンジアミン、N−ブチルエチレン
ジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N
−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロ
ピル−1,3−プロパンジアミン、N−(2−アミノエ
チル)ピペラジン、4−(2−アミノエチル)ピペリジ
ン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールなどを
挙げることができる。また、これらの化合物の二種以上
を混合して使用してもよい。
【0010】一級アミノ基または二級アミノ基をジチオ
カルバミン酸金属塩に変換するには一般に二硫化炭素お
よび金属水酸化物とを用い、水溶液中で反応する。この
場合、アミノ基と二硫化炭素の反応性は二級アミノ基に
比べて一級アミノ基は極めて遅い。この為、一級アミノ
基をジチオカルバミン酸金属塩に変換する場合、さまざ
まな副生成物が生じ、純度の高いジチオカルバミン酸金
属塩水溶液を得ることができなかった。これらの反応に
よって得られたジチオカルバミン酸金属塩を主成分とす
る水溶液を重金属固定用のキレート剤として使用する場
合、その保存または使用状況によっては二硫化炭素を発
生し、作業上好ましくない。
【0011】我々は、鋭意検討した結果、その水溶液が
トリチオ炭酸塩を含まない、および/またはC13−NM
Rのスペクトルにおいて、260〜280ppmの領域
に主成分以外に由来するピークを示さない場合、その水
溶液は非常に安定化されており、保存時に二硫化炭素を
発生しないことを見出した。しかし、一旦、水溶液にト
リチオ炭酸塩が含まれた場合、またC13−NMRのスペ
クトルにおける260〜280ppmの領域のピークが
生じた場合、それらを取り除くことは非常に難しく、そ
れらを実質的に含まない純度の高いジチオカルバミン酸
金属塩を得る製法は知られていなかった。
【0012】本発明の製法は、トリチオ炭酸塩を含まな
い、および/またはC13−NMRのスペクトルにおい
て、260〜280ppmの領域に主成分以外に由来す
るピークを示さない安定化された純度の高いジチオカル
バミン酸金属塩を得る、保存時に二硫化炭素の発生が抑
制された水溶液を得るものである。
【0013】また、少なくとも1つの一級アミノ基を有
する化合物と二硫化炭素と金属水酸化物とを水溶媒中反
応させるにあたり、その反応中の水溶液のpHを10か
ら14の範囲に調整しながら反応させることを特徴とす
る製法である。
【0014】上記反応をpHが14以上のアルカリ性で
行った場合、二硫化炭素はアミンと反応するばかりか、
金属水酸化物との反応が進行し、副生成物として金属の
トリチオ炭酸塩が生成し、またC13−NMRのスペクト
ルにおいて、260〜280ppmの領域に主成分以外
に由来するピークがある。トリチオ炭酸塩は金属水酸化
物が苛性ソーダならNa2 CS3 、消石灰ならCaCS
3 である。これらの化合物は溶液のpHが酸性側にずれ
たり、加熱された場合は分解を起こし、二硫化炭素や硫
化水素などの有害ガス発生となる不安定な化合物である
と考えられる。水溶液での反応をpHが14より小さい
条件で行った場合、上記トリチオ炭酸塩やC13−NMR
のスペクトルにおいて、260〜280ppmの領域に
主成分以外に由来するピークを示すことはなく保存時に
二硫化炭素の発生が抑制された水溶液が得られる。
【0015】また反応がpH10以下で行われた場合、
目的物質であるジチオカルバミン酸塩の生成が難しくな
り、収率が著しく低下する。また、アミノ基含有化合物
として一級アミノ基と二級アミノ基の両方を有する化合
物を使用した場合、反応がpH10以下で行われると、
その中に少なくとも1つの一級アミノ基が未変換であ
り、二級アミノ基がジチオカルバミン酸塩となった副生
成物が生成しやすくなる。この副生成物は不安定な化合
物であり、保存中に分子内環化反応、或いは分子間結合
を起こし、硫化水素を脱離してチオ尿素誘導体を生成し
てしまう。
【0016】その代表的な化合物として、ジエチレント
リアミンやトリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
特にジエチレントリアミンのトリス・ジチオカルバミン
酸金属塩は重金属固定用キレート剤として重要である。
この場合上述したように副生成物としてビス(ジチオカ
ルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩および/または
モノ(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩
が生成する場合がある。これら化合物が含まれている
と、保存時に下記のような分子内環化物ができ、その過
程で有害物質の硫化水素ガスが発生する。よって本発明
の水溶液には実質的に一級アミノ基が未変換であり二級
アミノ基がジチオカルバミン酸塩となった副生成物を含
まないものである。とくにジエチレントリアミンの場合
ビス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩
および/またはモノ(ジチオカルボキシ)ジエチレント
リアミン金属塩を含まないものであり、またpHを調整
することによるそれらを含まない製法である。
【0017】
【化1】
【0018】上記の製法によって製造された水溶液、即
ち保存時の二硫化炭素の発生が抑制された水溶液はさら
にその抑制効果を増加するために反応終了後、金属水酸
化物を添加することが望ましい。即ち、反応原料である
二硫化炭素の90%以上消滅後、水溶液に金属水酸化物
を生成ジチオカルバミン酸金属塩化合物の0.01から
200モル%添加することである。これによりpHを1
3以上にして保存するのが好ましい。こうしておけば、
空気中の炭酸ガスなどが混入してpHを低下させたり、
あるいは高温にさらされたとしてもジチオカルバミン酸
塩の分解を抑えることが出来るので安定な長期保存が可
能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】水溶液のpHを10から14の範
囲に調整しながら反応を行う方法としては、反応中のp
Hを測定しながらアルカリ量を調節しながら行えばよ
く、種々採用することができる。例えば、次の様な方法
がある。反応するアミノ基含有化合物(以後、単にアミ
ンと略す)またはアミンと金属水酸化物を水に溶解させ
てpHを10から14の範囲に調整した水溶液を予め調
製し、この水溶液の中に二硫化炭素を滴下していく。反
応が進行しジチオカルバミン酸塩が生成してくるとpH
が徐々に低下してくるのでpHが10から14の範囲を
逸脱しようとしたならば金属水酸化物の水溶液を滴下
し、10から14の範囲に調整する。また、pHが10
から14の範囲に調整さえしていればアミンまたはアミ
ンと金属水酸化物の予め調製した水溶液に二硫化炭素と
金属水酸化物の水溶液を交互に一定量滴下する多段階分
割仕込みの方法を用いることもできる。
【0020】pHを調整する為に使用する金属水酸化物
は水溶液だけでなく粉末や粒状、塊状等どのような形態
のものでも使用できる。金属水酸化物としては水酸化ナ
トリム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどを挙げ
ることができる。
【0021】調整するpHの範囲は10から14である
が、好ましくは11から14であり、特に好ましくは1
1.5から13である。
【0022】反応は50℃以下、好ましくは40℃以
下、特に好ましくは30℃以下で行う。この温度で反応
するのは、高温では一級アミンはジチオカルバミン酸塩
と分子間で反応し、硫化水素を脱離しチオ尿素誘導体を
生成するからである。また、ジエチレントリアミンやト
リエチレンテトラミンのような一級アミノ基と二級アミ
ノ基の両方を持つ多価アミンでは分子内でアミン塩を生
成し、分子内環化反応が起こり、硫化水素を脱離しエチ
レンチオ尿素誘導体を生成してしまう。
【0023】反応の終点は、水溶液中で分散している二
硫化炭素の粒が消失した時点を目安としてNMRで確認
して終点を決定する。
【0024】反応終了後、水溶液の保存安定性をさらに
増加させる目的でアルカリをさらに添加することが好ま
しい。使用するアルカリは反応で使用したものと同じも
のを添加するのが好ましい。添加量は生成したジチオカ
ルバミン酸塩に対して0.01から200モル%、好ま
しくは10から100である。添加時期は、二硫化炭素
が消失した時点が最も好ましいが、反応がほぼ終了した
反応率90%以上の時点で添加すればよい。また反応終
了後、保存時の何時添加してもよい。
【0025】反応終了後は、過剰に仕込んだ二硫化炭素
および溶存する酸素を追い出すため窒素ガスによるバブ
リングを行い、遮光性のある褐色の容器に密閉保存する
ことが望ましい。
【0026】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
る。但し、本発明は下記実施例によって何ら制限を受け
るものではない。
【0027】実施例1 300mlの4つ口フラスコの中に攪拌子を入れ、ジエ
チレントリアミン(DETA)を21.7g(0.20
mol)、水 27.7gを入れた。この時のpHは1
3.3であった。pHメータ、ジムロート冷却管、二硫
化炭素を56.4g(0.72mol)入れた滴下ロー
ト、31.6wt%NaOH水溶液 51.8g(0.
60mol)を入れた滴下ロートを取り付けて、スター
ラー攪拌をしながら30℃の水浴中で反応を行った。二
硫化炭素の滴下を開始してから約15分後に溶液のpH
が10になったのでNaOH水溶液の滴下を開始し、p
Hが10から14の範囲に調整されるようにした。反応
を開始してから約6時間後に二硫化炭素の分散による濁
りが消失した。この溶液からサンプリングし、C13−N
MRで測定した。トリス(ジチオカルボキシ)ジエチレ
ントリアミンを示す4本のシグナルがそれぞれ48pp
m、55ppm、212ppm、213ppmに観測さ
れた。280ppm付近にはシグナルは観測されず、ト
リチオ炭酸ソーダは観測されなかった。この時点で反応
を終了し、窒素バブリングをして過剰の二硫化炭素、溶
存酸素を追い出して黄橙色の溶液を得た。この溶液のp
Hは12.1であった。第1図にC13−NMRスペクト
ルを示した。
【0028】比較例1 300mlの4つ口フラスコの中に攪拌子を入れ、ジエ
チレントリアミン(DETA) 21.7g(0.20
mol)、水 27.7g、31.6wt%NaOH水
溶液 51.8g(0.60mol)を入れた。この時
のpHは14以上であった。pHメータ、ジムロート冷
却管、二硫化炭素を56.4g(0.72mol)入れ
た滴下ロートを取り付けて、スターラー攪拌をしながら
30℃の水浴中で反応を行った。反応を開始してから約
6時間後に二硫化炭素の分散による濁りが消失した。こ
の溶液からサンプリングし、C13−NMRで測定した。
トリス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミンを示
す4本のシグナルがそれぞれ48ppm、55ppm、
212ppm、213ppmに観測された。その他にト
リチオ炭酸ソーダと思われる270ppm付近のシグナ
ル、炭酸ソーダを示す170ppmのシグナル、副生成
物のエチレンチオ尿素誘導体を示すシグナルが45pp
m、47〜48ppm、52ppm、182ppm、2
12ppmに観測された。この時点で反応を終了し、窒
素バブリングをして過剰の二硫化炭素、溶存酸素を追い
出して朱色の溶液を得た。この溶液のpHは14以上で
あった。第2図にC13−NMRスペクトルを示した。
【0029】実施例2 実施例1で得られたトリス(ジチオカルボキシ)ジエチ
レントリアミンのNa塩の水溶液を225mlのマヨネ
ーズ瓶に10g採取し、更に25wt%の苛性ソーダの
水溶液を1g添加した。マヨネーズ瓶の上部をサランラ
ップで覆い輪ゴムで止めて密閉系にした。この試料を1
00℃のオーブンに入れて1時間加熱した。オーブンか
ら取り出した後直ちに北川式CS2 検知管(光明理化学
工業製No.141SB型)をサランラップの上からマ
ヨネーズ瓶に差し込んでCS2 の濃度を測定した。その
結果CS2 は検知されなかった。
【0030】比較例2 25wt%の苛性ソーダの水溶液を1g添加しなかった
以外は実施例2と同様な方法でCS2 の濃度を測定し
た。その結果、CS2 の濃度は50ppm以上であっ
た。
【0031】
【発明の効果】少なくとも1つの一級アミノ基を有する
化合物を二硫化炭素と金属水酸化物とにより反応するこ
とにより得られる該一級アミンのジチオカルバミン酸金
属塩を主成分として含有する保存時の二硫化炭素の発生
が抑制された水溶液を得ることができる。また同時に保
存時の硫化水素の発生も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】不純物を含まないトリス(ジチオカルボキシ)
ジエチレントリアミン水溶液のC13−NMRスペクトル
【図2】従来法で製造したトリス(ジチオカルボキシ)
ジエチレントリアミン水溶液のC13−NMRスペクトル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの一級アミノ基を有する
    化合物を二硫化炭素と金属水酸化物とにより反応するこ
    とにより得られる該一級アミンのジチオカルバミン酸金
    属塩を主成分として含有する保存時の二硫化炭素の発生
    が抑制された水溶液。
  2. 【請求項2】 C13−NMRのスペクトルにおいて、2
    60〜280ppmの領域に主成分以外に由来するピー
    クを示さない請求項1記載の水溶液。
  3. 【請求項3】 トリチオ炭酸塩を実質的に含まない請求
    項1記載の水溶液。
  4. 【請求項4】 少なくとも1つの一級アミノ基を有する
    化合物と二硫化炭素と金属水酸化物とを反応させるにあ
    たり、その反応中のpHを10から14の範囲に調整し
    ながら反応させることを特徴とする請求項1から3記載
    の水溶液の製法。
  5. 【請求項5】 請求項4に係わる製法において反応原料
    である二硫化炭素の90%以上消滅後、水溶液に金属水
    酸化物を生成ジチオカルバミン酸金属塩化合物の0.0
    1から200モル%添加することを特徴とする請求項1
    記載の水溶液の製法。
  6. 【請求項6】 分子内に一級アミノ基および二級アミノ
    基を有する化合物を二硫化炭素と金属水酸化物との反応
    ににより、その両方をジチオカルバミン酸塩に変換した
    化合物を含有する水溶液であって、その中に少なくとも
    1つの一級アミノ基が未変換であり、二級アミノ基がジ
    チオカルバミン酸塩となった副生成物を実質的に含まな
    い請求項1〜3記載のジチオカルバミン酸塩水溶液。
  7. 【請求項7】 分子内に一級アミノ基および二級アミノ
    基を有する化合物を二硫化炭素と金属水酸化物との反応
    ににより、その両方をジチオカルバミン酸塩に変換した
    化合物を含有する水溶液であって、その中に少なくとも
    一級アミノ基が未変換であり、二級アミノ基がジチオカ
    ルバミン酸塩となった副生成物を実質的に含まない請求
    項4〜5記載のジチオカルバミン酸塩水溶液の製法。
  8. 【請求項8】 少なくとも1つの一級アミノ基を有する
    化合物がジエチレントリアミンであり、生成するジチオ
    カルバミン酸金属塩がN1 ,N2 ,N3 −トリス(ジチ
    オカルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩である場
    合、ビス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン金
    属塩および/またはモノ(ジチオカルボキシ)ジエチレ
    ントリアミン金属塩を実質的に含有しない請求項1〜3
    記載の水溶液。
  9. 【請求項9】 少なくとも1つの一級アミノ基を有する
    化合物がジエチレントリアミンであり、生成するジチオ
    カルバミン酸金属塩がN1 ,N2 ,N3 −トリス(ジチ
    オカルボキシ)ジエチレントリアミン金属塩である場
    合、ビス(ジチオカルボキシ)ジエチレントリアミン金
    属塩および/またはモノ(ジチオカルボキシ)ジエチレ
    ントリアミン金属塩を実質的に含有しない請求項4〜5
    記載の水溶液の製法。
JP35374395A 1995-12-28 1995-12-28 ジチオカルバミン酸金属塩水溶液からなるキレート剤およびその製法。 Expired - Lifetime JP3912812B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35374395A JP3912812B2 (ja) 1995-12-28 1995-12-28 ジチオカルバミン酸金属塩水溶液からなるキレート剤およびその製法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35374395A JP3912812B2 (ja) 1995-12-28 1995-12-28 ジチオカルバミン酸金属塩水溶液からなるキレート剤およびその製法。

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09183763A true JPH09183763A (ja) 1997-07-15
JP3912812B2 JP3912812B2 (ja) 2007-05-09

Family

ID=18432926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35374395A Expired - Lifetime JP3912812B2 (ja) 1995-12-28 1995-12-28 ジチオカルバミン酸金属塩水溶液からなるキレート剤およびその製法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3912812B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001247848A (ja) * 2000-03-08 2001-09-14 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 金属捕集剤
JP2003221389A (ja) * 2001-11-21 2003-08-05 Nippon Soda Co Ltd ピペラジンビスカルボジチオ酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP2003261530A (ja) * 2002-03-06 2003-09-19 Nippon Soda Co Ltd ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP2005325442A (ja) * 2004-03-26 2005-11-24 Natl Starch & Chem Investment Holding Corp 硫黄ベースの腐食防止剤
JP2005334799A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 廃棄物処理方法および重金属固定化処理剤組成物
JP2005336128A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Tosoh Corp ジチオカルバミン酸塩水溶液及びその製造方法並びに重金属固定化処理剤及び重金属の固定化処理方法
JP2006124401A (ja) * 2001-11-21 2006-05-18 Nippon Soda Co Ltd ピペラジンビスカルボジチオ酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP2008074856A (ja) * 2007-10-11 2008-04-03 Nippon Soda Co Ltd ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液
US8366916B2 (en) 2008-08-27 2013-02-05 Seoul National University Research & Development Business Foundation (“SNU R&DB Foundation”) Magnetic nanoparticle complex
JP2019026792A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 オリエンタル技研工業株式会社 重金属固定剤及びその製造方法、並びにそれを用いた重金属の固定化方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4999978A (ja) * 1973-01-30 1974-09-20
JPS51115419A (en) * 1975-04-01 1976-10-12 Tokyo Organ Chem Ind Ltd A process for preparing stabilized n-methyldithiocarbamate ammonium or amine salt
CS237725B1 (en) * 1983-06-13 1985-10-16 Jan Teren Preparation method of salt solutions of alkylenbisditiocarbamide acids and equipment to perform this method
JPS6127958A (ja) * 1984-07-16 1986-02-07 Katayama Chem Works Co Ltd 安定化されたジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液
CS245072B1 (cs) * 1984-10-05 1986-08-14 Jan Teren Sposob přípravy 11- až 66 %-ných vodných roztokov solí 1,2-etán- -bis-ditiokarbamovej kyseliny
JPH03231921A (ja) * 1989-12-20 1991-10-15 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 金属捕集剤及び金属捕集方法
JPH0679254A (ja) * 1992-07-14 1994-03-22 Nippon Soda Co Ltd 飛灰の無害化処理方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4999978A (ja) * 1973-01-30 1974-09-20
JPS51115419A (en) * 1975-04-01 1976-10-12 Tokyo Organ Chem Ind Ltd A process for preparing stabilized n-methyldithiocarbamate ammonium or amine salt
CS237725B1 (en) * 1983-06-13 1985-10-16 Jan Teren Preparation method of salt solutions of alkylenbisditiocarbamide acids and equipment to perform this method
JPS6127958A (ja) * 1984-07-16 1986-02-07 Katayama Chem Works Co Ltd 安定化されたジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液
CS245072B1 (cs) * 1984-10-05 1986-08-14 Jan Teren Sposob přípravy 11- až 66 %-ných vodných roztokov solí 1,2-etán- -bis-ditiokarbamovej kyseliny
JPH03231921A (ja) * 1989-12-20 1991-10-15 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 金属捕集剤及び金属捕集方法
JPH0679254A (ja) * 1992-07-14 1994-03-22 Nippon Soda Co Ltd 飛灰の無害化処理方法

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001247848A (ja) * 2000-03-08 2001-09-14 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 金属捕集剤
JP2006124401A (ja) * 2001-11-21 2006-05-18 Nippon Soda Co Ltd ピペラジンビスカルボジチオ酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP2003221389A (ja) * 2001-11-21 2003-08-05 Nippon Soda Co Ltd ピペラジンビスカルボジチオ酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP4712554B2 (ja) * 2001-11-21 2011-06-29 日本曹達株式会社 ピペラジンビスカルボジチオ酸塩を含有する水溶液
JP2003261530A (ja) * 2002-03-06 2003-09-19 Nippon Soda Co Ltd ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP2005325442A (ja) * 2004-03-26 2005-11-24 Natl Starch & Chem Investment Holding Corp 硫黄ベースの腐食防止剤
JP2005336128A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Tosoh Corp ジチオカルバミン酸塩水溶液及びその製造方法並びに重金属固定化処理剤及び重金属の固定化処理方法
JP4632346B2 (ja) * 2004-05-28 2011-02-16 ミヨシ油脂株式会社 廃棄物処理方法および重金属固定化処理剤組成物
JP4696475B2 (ja) * 2004-05-28 2011-06-08 東ソー株式会社 ジチオカルバミン酸塩水溶液及びその製造方法並びに重金属固定化処理剤及び重金属の固定化処理方法
JP2005334799A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Miyoshi Oil & Fat Co Ltd 廃棄物処理方法および重金属固定化処理剤組成物
JP2008074856A (ja) * 2007-10-11 2008-04-03 Nippon Soda Co Ltd ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液
JP4738396B2 (ja) * 2007-10-11 2011-08-03 日本曹達株式会社 ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液
US8366916B2 (en) 2008-08-27 2013-02-05 Seoul National University Research & Development Business Foundation (“SNU R&DB Foundation”) Magnetic nanoparticle complex
JP2019026792A (ja) * 2017-08-02 2019-02-21 オリエンタル技研工業株式会社 重金属固定剤及びその製造方法、並びにそれを用いた重金属の固定化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3912812B2 (ja) 2007-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3912812B2 (ja) ジチオカルバミン酸金属塩水溶液からなるキレート剤およびその製法。
JP4798913B2 (ja) 重金属固定剤、その製造方法及び焼却灰等の処理方法
AU751606B2 (en) Process for preparing carboxylic acids
JP2004115639A (ja) 重金属固定剤及び重金属固定剤の低温安定化方法
JPS62126157A (ja) 両性界面活性剤の製造方法
AU4695000A (en) Process for the preparation of carboxylic acid salts from primary alcohols
FI930345A (fi) Foerfarande foer framstaellning av renat akrylamidosulfonsyramonomerderivat
JPH07242414A (ja) ヨウ化アルカリ金属塩類の製造方法
JP4738396B2 (ja) ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液
JP4696475B2 (ja) ジチオカルバミン酸塩水溶液及びその製造方法並びに重金属固定化処理剤及び重金属の固定化処理方法
JP4039607B2 (ja) ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法
JP3895018B2 (ja) 固体状重金属固定剤
JPH10140132A (ja) 重金属固定剤
JPS60224661A (ja) α−アミノ酸の製造方法
JP3963722B2 (ja) ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法
US6433181B1 (en) Process for the preparation of highly pure 5,5′-bi-1H-tetrazolediammonium salts
JPS62288102A (ja) ジシアナミド金属塩の製造方法
US3770764A (en) 2-substituted-4,5-dicyanoimidazoles
KR100456092B1 (ko) 글라이옥살과 암모늄염을 사용하는2,2'-바이-1h-이미다졸의 제조방법
JP3852530B2 (ja) ホモシスチンの精製方法
JPS59501B2 (ja) グアニジノカゴウブツノシンセイゾウホウホウ
JPS62267253A (ja) α−アミノ酸の製造方法
SU1134221A1 (ru) Способ получени композиции дл поглощени сероводорода
JPS5950661B2 (ja) γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸の製造法
JP3436314B2 (ja) 2−メルカプト−5−メトキシベンズイミダゾールの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060731

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100209

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110209

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120209

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130209

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140209

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term