JPH09173883A - 横型超微粉砕ミル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミル内の粉砕ボールにより粒子を粉砕する横
型超微粉砕ミルに関し、内筒端部の摩耗を低減する。 【解決手段】 原料１、液体２（乾式では未投入）を外
筒５の投入口１８より投入し、内筒３をモータ１７によ
り回転し、粉砕ボール７との摩擦により原料１を粉砕
し、下流方向へ微粉となって移動し、目板８の目開き
９，１３より排出口１０を介して製品排出１１となる。
内筒３の端部には出口側ライナ１２、入口側ライナ１４
が内筒端に取付けられ、各々目開き１３、外筒フランジ
ライナ１５との隙間を形成し、ライナ１２，１４のコー
ナ部曲率を粉砕ボール７の半径と同じくする。ボール７
によりコーナ部が受ける圧力をライナ１２，１４の曲面
で受け、分散させ、内筒３端部及び目板の摩擦力を低減
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、粉砕ボールをミル
内に入れ、内筒を回転することにより粒子を乾式粉砕、
湿式粉砕する横型超微粉砕ミルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来の横型超微粉砕ミルの断面図
である。図において、１は原料、２は液体、３は回転可
能な内筒、４は内筒３に固定された内筒翼、５は外筒、
６は外筒５の内周面に固定の外筒翼、７は内筒３と外筒
５との間に入れた多数の粉砕ボール、８は目板、９は目
板８の目開き、１０は排出口、１１は製品の排出、１７
は内筒３を回転するモータ、１８は外筒５に設けられた
投入口、１９は外筒５の側面フランジ、２０はグランド
パッキンである。

【０００３】このような構成の横型超微粉砕ミルにおい
て、原料１、液体２（乾式粉砕時は投入しない）は投入
口１８からミル内部に投入される。粉砕ボール７はモー
タ１７の駆動によって回転する内筒３の周方向に取り付
けられた内筒翼４によって攪拌される。ミル内部に投入
された原料１は攪拌される粉砕ボール７で摩砕され、ミ
ル下流に移動して微粉となり、目板８の目開き９及び目
板８と内筒３端部の間隙を通り、排出口１０を介して製
品排出１１となる。

【０００４】なお、外筒５の内面の周方向に取り付けて
ある外筒翼６は粉砕ボール７とミル内に投入された原料
１との共廻り防止用として取り付けられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来の横型超微
粉砕ミルにおいて、粉砕ボール７には次のような運動形
態が発生していると推察出来る。

【０００６】（１）粉砕ボール７の自転運動。

【０００７】（２）周方向で内筒翼４と筒外翼６が同一
線にきた場合、粉砕ボール７は非常に窮屈な状態とな
り、分散しようとする。

【０００８】（３）粉砕ボール７が内筒３の表面を転勤
しようとする。

【０００９】以上、（１）〜（３）で述べたような運動
形態がミル内部で起こっており、材料への摩耗を考慮す
ると大部分は少々摩耗は発生するが致命的なレベルまで
は達しない。しかし内筒３の両端部と目板８の下端及び
外筒フランジ１９の下端部の各コーナ部は、図３の拡大
図に示すように、粉砕ボール７からの圧力がかかり、粉
砕ボール７の接点部から摩耗が始まり最終的には、粉砕
ボール７が内筒３と目板８の下部へ入り込み、運転不可
能に陥いる。

【００１０】又、粉砕ボール７が内筒３と目板８の下部
に挟まれ、破壊され、粉々となって製品粉体に混入しト
ラブルの発生要因となる。更に、摩耗が発生した場合に
は摩耗個所を短かいスパンで補修する必要があるのでメ
ンテナンス費用が莫大となる。

【００１１】図３は図２におけるＡ部の拡大詳細図であ
り、このような摩耗発生の状況を示しており、この状態
を更に詳しく説明する。図において、コーナ部の粉砕ボ
ール７の１ヶのボールの接触点は内筒３と目板８の下部
の２点の接触である。粉砕ボール７の重量Ｗ及び他の粉
砕ボール７からの圧力Ｐを受け、それらの合成力Ｐ_Wが
発生する。

【００１２】粉砕ボール７はＰ_W の方向に移動しようと
する為に上記２点の接触点は更に出口側に進行し、目板
８に摩耗部分１６Ａを生じ、又内筒３は常に回転してい
るので内筒３の全周に摩耗部分１６Ｂが発生し、最終的
には粉砕ボール７の大きさまで進行する。

【００１３】本発明はこのような課題を解決するため
に、横型超微粉砕ミルの最も摩耗が発生しやすい箇所で
ある内筒両端部にライナーを施工するようにして粉砕ボ
ールから受ける圧力を分散し、摩耗速度を低減すること
を目的としたものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】そのため、本発明は、
（１）上流側に原料の供給口、下流側に粉体を取出す目
板を有し、内周面に攪拌翼を装着した外筒と；周囲に内
筒翼を有し、前記外筒内で回転する内筒と；同内筒と前
記外筒との間に入れた多数の粉砕ボールとを有してな
り、前記内筒を回転させ、前記原料を前記粉砕ボールで
攪拌しつつ粉砕して粉体とし、前記目板より排出する横
型超微粉砕ミルにおいて、前記内筒の両端部にそれぞれ
着脱可能に取付けられ、前記外筒の入口側フランジ面と
出口側の目板面とはそれぞれ連続した面を形成するライ
ナを設けたことを特徴とする横型超微粉砕ミルを提供す
る。

【００１５】（２）更に、上記（１）において、前記ラ
イナの内面コーナ部は前記粉砕ボールの径とほぼ同じ曲
率の曲面を有することを特徴とする横型超微粉砕ミルも
提供する。

【００１６】本発明はこのような手段により、その
（１）においては、供給口より投入された原料は内筒が
回転することにより、内筒と外筒の間の粉砕ボールで攪
拌され、摩砕されながら下流の出口側へ移動し、微粉と
なって目板より排出されるが、この過程において、ミル
内の内筒端部に発生する摩擦力を両端のライナにより低
減させることができる。

【００１７】即ち、内筒と外筒のコーナ部の粉砕ボール
が内筒表面と目板の下部で接触し、粉砕ボールの重量と
他の粉砕ボールからの圧力を受け、合成力が発生し、こ
の合成力により、内筒は常に回転しているので内筒と目
板の下部全周に摩耗が発生し、最終的には粉砕ボールの
大きさまで進行する。

【００１８】摩耗を防止する為には粉砕ボールの運動形
態は変える事が出来ないので、粉砕ボールから内筒と目
板に受ける圧力をこの部分にライナを設けることによ
り、発生する合成力を分散させ、摩擦速度を大幅に低減
させることができる。

【００１９】（２）においては、ライナのコーナ部曲面
の曲率を粉砕ボールとほぼ一致させるので粉砕ボールに
より発生する合成力を有効に分散させることができ、
（１）の効果と確実なものとすることができる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて具体的に説明する。図１は本発明の実
施の一形態に係る横型超微粉砕ミルの断面図である。図
において、符号１２乃至１５は本発明の特徴部分であ
り、これら以外は図２に示す従来例と同じであるので、
これら同一部分については説明は省略し、そのまま引用
し、本発明の特徴部分を中心に説明する。

【００２１】図において、内筒３の両端部には出口側ラ
イナ１２、入口側ライナ１４が設けられている。１３は
出口側ライナ１２の端部と目板８との目開き、１５は外
筒フランジライナであり、上流側ライナ１４の端部と目
開き１３と同様にクリアランスを設ける。

【００２２】出口側ライナ１２、入口側ライナ１４の材
質は基本的には内筒３と同等品を使用する。この材質は
セラミック等の高強度材とすれば、なお良いがコスト高
につながるので、粉砕対象物等によってミルの内筒に合
せ、経済性を考慮して決定すれば良い。

【００２３】ライナの内筒３への取付方法は内筒３にう
め込み、ボルトによって取り付ける。なお、交換が容易
な様に周方向に２分割（半割型）とすることもできる。

【００２４】ライナのコーナ部の曲率は粉砕ボール７の
半径とほぼ同等とする（通常、粉砕ボールは１０mm径の
ものを使用しているので、この場合は５mmとする）。

【００２５】出口側ライナ１２と目板８の目開き１３の
クリアランスは目開き９と同一とする（粉砕ボール７は
１０mmを使用している為目開き９は５mm〜７mmであり、
これと同じにする）。又、上流側ライナ１４と外筒フラ
ンジライナ１５とのクリアランスも目開き１３と同様と
する。

【００２６】なお、本実施の形態では従来の内筒３と目
板８の間からの粉体の流出はなくなるが、ライナ１２，
１４の目板方向の高さを低くすることで従来の粉砕物流
出挙動と同等の挙動を達成できる。

【００２７】このような構成において、従来と同様に原
料１、液体２（乾式粉砕時には投入しない）を投入口１
８から投入し、モータ１７により内筒３を回転し、原料
１を内部の粉砕ボール７と共に攪拌し、原料１は粉砕ボ
ール７で摩砕され、ミル下流へ移動して微粉となり、目
板８の目開き９及び目板８と内筒３とで形成される目開
き１３を通り、排出口１０を介して製品排出１１となっ
て取出される。

【００２８】上記の運転過程において、粉砕ボール７か
ら内筒３と目板８及び外筒５の入口側面に受ける圧力を
ライナ曲面の曲率を粉砕ボール７と一致させる事で分散
させ、摩擦力を大幅に低減させる。

【００２９】

【発明の効果】以上、具体的に説明したように、本発明
は、原料供給口と目板とを有する外筒、外筒内で回転す
る内筒、内筒と外筒の間に入れた粉砕ボールとを有する
横型超微粉砕ミルにおいて、内筒の両端にそれぞれライ
ナを設ける構成とし、更に、ライナのコーナ部を粉砕ボ
ールの径とほぼ同じ曲率の曲面とする構成も提供するの
で次のような効果を奏する。

【００３０】（１）粉砕ボールの摺動部への噛み込みが
無くなるためミルトリップ事故が発生しない。

【００３１】（２）粉砕ボール７割れ、変形等が生じな
くなるのでランニングコストの低減、動力、製品性状が
安定する為に長期間の連続運転が可能となり生産性向上
につながる。

【００３２】（３）点検、保守の間隔が長くとれるため
にメンテナンス費用低減となり交換材料も低減出来る。

【００３３】（４）ライナが破損、変形した場合は、内
筒に着脱可能としているため、ライナのみ容易に取替る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係る横型超微粉砕ミル
の断面図である。

【図２】従来の横型超微粉砕ミルの断面図である。

【図３】図２におけるＡ部の詳細な拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 原料 ２ 液体 ３ 内筒 ５ 外筒 ７ 粉砕ボール ８ 目板 ９，１３ 目開き １０ 排出口 １２ 出口側ライナ １４ 入口側ライナ １５ 外筒フランジライナ １７ モータ １８ 投入口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上流側に原料の供給口、下流側に粉体を
   取出す目板を有し、内周面に攪拌翼を装着した外筒と；
   周囲に内筒翼を有し、前記外筒内で回転する内筒と；同
   内筒と前記外筒との間に入れた多数の粉砕ボールとを有
   してなり、前記内筒を回転させ、前記原料を前記粉砕ボ
   ールで攪拌しつつ粉砕して粉体とし、前記目板より排出
   する横型超微粉砕ミルにおいて、前記内筒の両端部にそ
   れぞれ着脱可能に取付けられ、前記外筒の入口側フラン
   ジ面と出口側の目板面とはそれぞれ連続した面を形成す
   るライナを設けたことを特徴とする横型超微粉砕ミル。
2. 【請求項２】 前記ライナの内面コーナ部は前記粉砕ボ
   ールの径とほぼ同じ曲率の曲面を有することを特徴とす
   る請求項１記載の横型超微粉砕ミル。