JP4169449B2 - 竪型粉砕機の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントクリンカ、スラグ、セメント原料、化学品等の原料を粉砕する竪型粉砕機に係り、特に粒度の異なった粉砕品を効率よく製造するに適した竪型粉砕機の運転方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、石灰石セメントクリンカ、スラグ(高炉スラグ、転炉スラグ、水滓スラグ)、セメント原料、化学品等の原料を粉砕する粉砕機として、回転テーブルと複数の粉砕ローラを備えた竪型粉砕機が広く用いられている。
竪型粉砕機は、電動機により駆動されて回転する回転テーブル(テーブルと称することもある)と、回転テーブル上面の外周部に周設されたダムリングと、回転テーブル上面の外周部に配設された複数個の粉砕ローラとを備えており、回転テーブルの上面に粉砕ローラを押圧(粉砕圧力と称することもある)することにより、回転テーブル上に供給(投入と称することもある)されてダムリングにより回転テーブル上に滞留している原料を、該粉砕ローラの周面と回転テーブルの上面との間に噛み込ませて粉砕する粉砕機である。
【0003】
竪型粉砕機の中には、竪型粉砕機内部の回転テーブルの上方に分級装置(セパレータと称することもある)を配した型式のものがあり、該型式の竪型粉砕機(エアスエプト型竪型粉砕機と称することもある)は、粉砕された原料の大部分を竪型粉砕機内下方より吹き込んだガスとともに吹き上げて回転テーブル上方のセパレータに達しさせ、所望の粒径(粒度と称することもある)となってセパレータを通過した原料のみを粉砕品として粉砕機の外部へ取出し、所望した所定の粒径とならずセパレータを通過できない原料は回転テーブル上面に落下させて再度粉砕することにより、所定の粒径になるまで原料を繰り返し粉砕する粉砕機である。また、該型式の竪型粉砕機は、ガスによって吹き上げることのできない一部の原料を、竪型粉砕機の外部に取出した後、竪型粉砕機に再度投入して粉砕したり、排石としたり等している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、前記したような竪型粉砕機おいて求められる粉砕品の粒度は様々に異なっており、特に近年においては粒度の異なった粉砕品を少量ずつ生産することが多くなってきている。そして、従来の竪型粉砕機において粒度が粗い粉砕品を生産する場合は、セパレータ回転数を低めに設定して大きな粒径の原料でもセパレータを通過できるようにするとともに、前記ダムリングの高さを低めに設定することにより回転テーブル上の原料の厚さ(粉砕層厚と称することもある)を薄くし、回転テーブル上に原料が滞留する時間を短くして粉砕の機会を減らし、さらに低く設定した粉砕圧力によって弱く粉砕するといった方法を用いていた。
【0005】
また、粒度が細かいものを生産する場合は、セパレータ回転数を高めに設定して小さな粒径の原料しかセパレータを通過できないようにするとともに、前記ダムリングの高さを高くして粉砕層厚を厚くし、回転テーブル上に原料が滞留する時間を長くして粉砕の機会を増やし、さらに高く設定した粉砕圧力によって強く粉砕するといった方法を用いていた。
【0006】
つまり、従来の竪型粉砕機において粒度の異なった粉砕品を生産する場合においては、前記ダムリングの高さを変更することにより粉砕層厚を変化させ、回転テーブル上に原料が滞留する時間や粉砕の頻度を調整していた。
仮に、微粉砕を行なっていた竪型粉砕機において、セパレータの回転数が高くなるように設定変更するとともに粉砕圧力が高くなるように設定変更し、ダムリング高さを変更しないまま粗粉砕を行なおうとした場合は、回転テーブル上に原料が滞留する時間が長くなり原料の粉砕頻度が増えることによって、回転テーブルを駆動する電動機が過負荷になったり、運転中に振動(ミル振動と称することもある)が発生したりするなどして運転の支障となる。従って、従来の竪型粉砕機において粒度の異なった粉砕品を生産する場合においては、前記ダムリングの高さを変更することが必要であった。
【0007】
しかしながら、ダムリングの高さを変更するためには竪型粉砕機を一部分解、組み立てする等作業が必要であって該作業には時間や費用を要するといった問題があり、ダムリングの高さを変更するためには竪型粉砕機の運転を一時停止する必要があってその間は運転を行なえないという問題があった。
また、前記分解、組み立て作業には熟練した作業者を要し、また作業には時間とコスト有した。
このような理由から従来の竪型粉砕機においては、粒度の異なった粉砕品を少量ずつ効率よく生産することが困難であった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、石灰石、セメントクリンカ、スラグ、セメント原料、化学品等の原料を粉砕する竪型粉砕機に係り、特に運転中に粉砕品の粒度を効率よく変更して、粒度の異なった粉砕品を生産することに適した竪型粉砕機の運転方法に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、
(1) 本発明による竪型粉砕機の運転方法は、回転テーブル上のダムリングの高さを変更することなく一定とした状態で、回転テーブル上面と粉砕ローラとの間で原料を粉砕し、該粉砕した原料の大部分を該回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて該回転テーブル上方に配した回転式分級装置によって分級することにより、所定の粒度となった原料を上方より粉砕品として取出す竪型粉砕機の運転方法において、粉砕品の粒度を粗くする場合に、該回転テーブルのテーブル回転速度が高くなるように設定を変更するとともに、変更後の該回転テーブルのテーブル回転速度に対応した粉砕圧力と回転式分級装置の回転数を、予め設定した定数により自動的に算出してそれぞれ自動的に低くし、粉砕品の粒度を細かくする場合に、該回転テーブルのテーブル回転速度が低くなるように設定を変更するとともに、変更後の該回転テーブルのテーブル回転速度に対応した粉砕圧力と回転式分級装置の回転数を、予め設定した定数により自動的に算出してそれぞれ自動的に高くする。
【0010】
(2)に記載の竪型粉砕機の運転方法において、前記ダムリングは、微粉砕時の運転に適応できる限界の高さまでその高さを低く設定する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の詳細について説明する。図1〜図5は本発明に係る発明の実施の形態を示し、図1は竪型粉砕機の縦断面図である。図2は粉砕条件制御の概念的なフローシートであり、図3は予め求められた製品粒度に関係する粉砕条件の定数の設定表である。図4は本発明による竪型粉砕機を用いた粉砕装置の全体フローシートである。図5は本発明に用いる竪型粉砕機の粉砕ローラの個数に対する回転テーブルの直径Tと粉砕ローラ中心直径Dと粉砕ローラ幅Wの関係を説明する図である。
【0014】
図1を用いて本実施の形態に用いられる竪型粉砕機1の構成について以下に説明する。本実施の形態に用いられる竪型粉砕機1は、粉砕機の下部に設置された減速機2Bを介して電動機2Mにより駆動されて回転する回転テーブル2と、回転テーブルの上面である回転テーブル上面2Aの外周部を円周方向に等分する位置に配設された複数個(本実施形態においては3個)の粉砕ローラ3とを備えている。
【0015】
また、本実施の形態においては、回転テーブル駆動用の電動機の電源を制御(本実施の形態においてはインバータ式制御)することにより、回転テーブル駆動用の電動機2Mの回転数を可変とできるように構成しており、竪型粉砕機1の運転中においても回転テーブルの回転数を自在に変更することができる。
なお、本実施の形態においては、前記電源制御により、回転テーブルの回転数を自在に変更することができるよう構成したが、運転中に減速比を可変できる減速機2Bを用いる等することによって、回転テーブルの回転数を自在に変更できる構成としても良い。
【0016】
前記粉砕ローラ3は下部ケーシング1Aに軸7により回動自在に軸着された上部アーム6と該上部アーム6と一体に形成された下部アーム6Aとを介して油圧シリンダ8のピストンロッド9に連結されており、該油圧シリンダ8の作動により回転テーブル上面2Aの方向に押圧され回転テーブル上面2Aに従働して回転することにより、回転テーブル上面2Aに供給された原料を該粉砕ローラ3と回転テーブル上面2Aとの間に噛み込み粉砕する構造となっている。
【0017】
そして、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、その大部分が該回転テーブル上面2Aの外縁部に周設されたダムリング15を乗り越え、回転テーブル上面2Aの外周部と下部ケーシング1Aとの隙間である環状空間部30へと向かい、環状空間部30から導入されるガスにより吹き上げられて上部ケーシング1B内を上昇する構造となっている。
【0018】
また、本実施の形態においては、回転テーブル2の上方に上部ケーシング1Bに回転自在に取付けられて、図示されない駆動源により回転する回転式分級機であるセパレータ14が配され、該セパレータ14は上方に向かって拡径し略円錐状に配された複数枚の羽根14A等によって形成されており、上部ケーシング1B内を上昇した原料は回転するセパレータ14の羽根14Aによって分級され所定粒度の原料のみが、粉砕品としてガスとともに上部取出口16より取出される構造となっている。なお、セパレータ14を通過できなかった原料は回転テーブル上面2Aに落下し、再度、粉砕される。
【0019】
ここで、本実施形態においては、セパレータ14を駆動する図示しない電動機の電源を制御(本実施の形態においてはインバータ式制御)することにより、セパレータ14用の電動機の回転数を可変とできるように構成しており、竪型粉砕機1の運転中においてもセパレータ14の回転数を自在に変更することができる。なお、本実施の形態においては、前記電源制御により、セパレータ14の回転数を自在に変更することができるよう構成したが、セパレータ14用の電動機により運転中に減速比を可変できる減速機を介してセパレータ14を駆動する等することによって、セパレータ14の回転数を自在に変更できる構成としても良い。
【0020】
また、前記環状空間部30へと向かって放り出され、環状空間部30から導入されるガスにより吹き上げられなかった原料は、環状空間部30より竪型粉砕機1の下部に落下して竪型粉砕機1の下部取出口17より外部に取出される構造となっている。
【0021】
以下、本実施の形態における竪型粉砕機1の制御装置の特徴について説明する。本実施の形態における竪型粉砕機1は図2にその概念図を示すような粉砕条件制御装置Sを備えていることを特徴とする。
粉砕条件制御装置Sはその内部に演算器S2を備え、該演算器S2は予め粉砕条件の定数を記憶した記憶部とデータの授受をおこなって演算処理を行ない、該演算処理の結果を出力信号としてテーブル回転数制御装置と、粉砕圧力制御装置と、セパレータ回転数制御装置とに送信することができる。
【0022】
ここで、記憶部に予め記憶した前記定数は、図3にその一例を示すようなものであり、テーブル回転数に対応する最適な粉砕圧力とセパレータ回転数との関係がそれぞれに定義されている。なお、該テーブル回転数に応じて製造される製品粒度が異なっている。
【0023】
次に、粉砕条件制御装置の設定表にある定数について以下に説明する。
前述したように従来の竪型粉砕機おいては粒度を変化させる場合において、セパレータ回転数を変化させるとともにダムリング15の高さを変化させていた。しかしながら、本実施の形態においては、粉砕テスト、あるいは過去の経験値から等により、製品粒度に最適なテーブル回転数と粉砕圧力とセパレータ回転数の関係を図3にあるような設定表の定数として求めた。
該設定表の定数を用いることの特徴は回転テーブル2の回転数を変化させることにあって、該回転テーブル2の回転数を変化させることによってダムリング15の高さを変更することなく、回転テーブル2上の粉砕層厚を変化させることができる。
【0024】
詳細は後述するが投入された原料は、回転テーブル上面2Aで回転させられ、回転による遠心力により回転テーブル上面2A上を移動しダムリング15を乗り越える。本願発明者らはこの原理を応用して、回転テーブル2の回転数(テーブル回転数と称することもある)を変化させることにより、回転テーブル上面2A上にある原料にかかる遠心力を制御して、竪型粉砕機1の回転テーブル上面2Aの粉砕層厚を変化させると同時に粉砕ローラのすべり速度を変化させる。
【0025】
なお、この際においてダムリング15の高さは従来粗粉砕時において使用していた程度の低い高さの方が好ましく、微粉砕時の運転に適応できる限界の高さまでその高さを低く設定することが好ましい。というのはテーブル回転数を変化させた場合においては、ダムリング15の高さを低く設定していた方が電力等の消費が少なく経済的な運転を行なうことが可能である。
従って、本来高いダムリング15を使用していた微粉砕時においても、極力ダムリング15の高さを低くして粉砕を行なうことが好ましく、微粉砕が可能な限界の高さまで極力ダムリング15の高さを低く設定する。
【0026】
実際の竪型粉砕機1の運転においては、まず最初に実際の原料にて竪型粉砕機1で運転を行なって所定の粒度の粉砕品を製造する。この際において竪型粉砕機1の粉砕条件は製品の粒度や効率を見ながらその原料に合わせた最適なテーブル回転数と粉砕圧力とセパレータ回転数を選ぶ。
【0027】
粉砕品の粒度を変える場合おいては、該テーブル回転数を設定表にあるような定数に合わせてその他の粉砕条件を変更するため、設定器S1に変更後のテーブル回転数を入力する。なお、この際において変更後のテーブル回転数は粉砕品の粒度に応じた任意の値である。そして、設定器S1に入力した変更後のテーブル回転数を、演算器S2に入力して記憶部に記憶した定数を用いて演算処理することにより、変更後のテーブル回転数に対応する粉砕圧力の設定値とセパレータ回転数の設定値とが自動的に算出されて、設定される。
【0028】
そして、該設定値どおりに粉砕条件を制御するための出力信号が、それぞれテーブル回転数制御装置、粉砕圧力制御装置、及びセパレータ回転数制御装置へと送られる。本実施の形態においては、テーブル回転数制御装置に送られた出力信号により電動機2Mの回転数を変更後のテーブル回転数に制御し、粉砕圧力制御装置に送られた出力信号により油圧シリンダ8の圧力制御弁を制御して変更後のテーブル回転数に対応するよう粉砕ローラ3の粉砕圧力を制御し、セパレータ回転数制御装置に送られた出力信号によりセパレータ駆動用電動機の回転数を変更後のテーブル回転数に対応するように制御する。
【0029】
なお、前記竪型粉砕機1の設定表にあるテーブル回転数、粉砕圧力、セパレータ回転数の定数は、予め設定器を通して粉砕条件制御装置に定数として入力し、演算器Sを介して記憶部に記憶した。
【0030】
以上の原理により、本発明においては竪型粉砕機1のダムリングの高さ等ハード的構成を一切変更することなく、粉砕条件制御装置の設定器によって粉砕品の粒度を簡単に制御することができ、異なる粒度の粉砕品をスムースに、かつ経済的に製造することができる。そして、本発明によればダムリングの高さ等ハード的構成を変更する際に必要な装置の分解・組み立てなどの工程がないため、竪型粉砕機1の運転を停止する必要がなく効率的な運転をおこなうことができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては竪型粉砕機1、また回転式分級装置装置であるセパレータ14の特性から図3に示すような定数を使用し、該定数は比較的どのような装置に使用しても大きく変るものではないが、これに限るものでなく、竪型粉砕機1、及び回転式分級装置装置の特性の違いによって最適な定数を選ぶことが望ましいことは勿論である。
【0032】
次に、図4に示した本実施の形態に用いられる石灰石粉砕装置のフローシートについて説明する。
本実施の形態に用いた粉砕装置は、原料ホッパ60から竪型粉砕機1に原料を供給することができるように、原料ホッパ60と竪型粉砕機1の原料投入シュート13が配管等により接続されている。また、竪型粉砕機1の上部取出口16がバグフィルタ45を介してエキゾーストファン47に接続されており、エキゾーストファン47により竪型粉砕機1内のガスを吸引してガスとともに粉砕品を取出すとともに、該ガスとともに取出した粉砕品をバグフィルタ45で捕集して製品とすることができる構成となっている。なお、竪型粉砕機1の下部取出口17より取出した原料は、バケットエレベータ41により搬送されて原料ホッパ60に再度投入することができる構成となっている。
【0033】
図1を用いて本実施の形態による竪型粉砕機1の運転方法を以下に説明する。原料ホッパ60より竪型粉砕機1に供給した原料を、竪型粉砕機1の回転テーブル上面2Aの中央上部に設けられた原料投入シュート13を通して、回転テーブル上面2Aの上方より回転テーブル上面2Aの中央部に投入する。
投入された原料は、回転テーブル上面2Aで回転させられ、回転による遠心力により回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動し、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
【0034】
回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕された原料は、その大分部が、回転テーブル上面2Aの外周縁部に固定して設けられたダムリング15を乗り越える。なお、ダムリング15にせき止められて回転テーブル上面2Aに滞留した一部の原料は、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に再び噛み込まれて再度粉砕される。
【0035】
ダムリング15を乗り越えた原料は、回転テーブル2Aの外周面とケーシング内周面との間の環状空間部30に放り出される。
本実施の形態においては、エキゾーストファン47により竪型粉砕機1内のガスを吸引して、上部取出口16よりガスとともに粉砕品を取出す構成となっているため、図示されないガス導入口より導入されたガス(本実施の形態では空気)が、環状空間部30からミル内を上方に向かって流れている。
【0036】
そのため、環状空間部30に放り出された原料の中の、比較的小さな粒径の原料は、該ガスの気流によりミル内の上方へ運ばれ、回転テーブル2の上方にあるセパレータ14に達し、そこで、分級されて所望の粒度になった微粉だけがセパレータ14を通過して、粉砕品として竪型粉砕機1の上部取出口16よりガスとともに取出される。なお、セパレータ14を通過できなかった原料は回転テーブル上面2Aに落下し、再度粉砕される。
【0037】
セパレータ14を通過して、上部取出口16よりガスとともに取出された粉砕品は、ガスとともに集塵機であるバグフィルタ45に送給されて、そこで製品として取出される。
【0038】
また、環状空間部30に放り出された原料であって該ガスの気流によって持上げられない大きな粒径の原料は、回転テーブル上面2Aの外周面とケーシング内周面との間の環状空間部30よりミル下方外部へ落下して下部取出口17よりミル外部へ取出され、バケットエレベータ41等の搬送手段を介して再び、竪型粉砕機1に投入されて再度粉砕される。竪型粉砕機1に投入された原料は、前述した工程により所望の粒度になり粉砕品として上部取出口16から取り出されるまで竪型粉砕機1の中で繰り返し粉砕される。
【0039】
以上のような工程において原料を粉砕するにあたり、粉砕品の粒度を変更したい場合について以下に説明する。
例えば、石灰石の原料を粉砕して150μm(マイクロメータ)パス95%の粒度を持つ粉砕品を製造していた場合、テーブル回転数が40RPMであり、粉砕圧力が7kgf/cm2であり、セパレータ回転数が60RPMであったとする。前記粉砕条件で粉砕していた粉砕品の粒度を75μm(マイクロメータ)パス98%に変更したい場合は、設定器に回転テーブルの回転数を36RPMと入力する。該設定器S1に入力された回転テーブルの回転数を36RPMは、演算部S2に送られる。
【0040】
ここで、入力された変更後のテーブル回転数を基に、演算器S2により記憶部にある定数とそれそれの粉砕条件が演算されて、テーブル回転数が36RPMに対応する他の粉砕条件の最適な設定値とし、粉砕圧力が8.5kgf/cm2、セパレータ回転数が80RPMと算出されて設定される。
そして前記入力した変更後のテーブル回転数、及び前記演算の結果を基に選択した粉砕圧力、及びセパレータ回転数となるように、回転テーブル回転数制御装置、粉砕圧力制御装置、及びセパレータ回転数制御装置へそれぞれの出力信号が送られる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、粉砕品の粒度を変更したい場合において回転テーブルの回転数の設定値を入力したが、入力するのは回転テーブルの回転数の設定値に限らず、設定器S1に入力した条件値からテーブル回転数が割り出すことができる条件値なら良く、入力した条件値より回転テーブルの回転数の設定値が一義的に割り出されて設定されるよう予めプログラムしておけば良い。
【0042】
例えば、上記テーブル回転数と粉砕粒度の関係まで予め記憶部に記憶しておけば、前記設定器S1に入力する値は、粉砕品の粒度であっても良く、設定器S1に入力した粉砕品の粒度を回転テーブルの回転数に換算し、テーブル回転数として粉砕条件制御装置に設定する。また、同様な理由から上記テーブル回転数と原料供給量の関係まで予め記憶部に記憶しておけば、前記設定器S1に入力する値は、原料供給量であってもよい。
【0043】
例えば、石灰石の原料を粉砕して150μm(マイクロメータ)パス95%の粒度を持つ粉砕品を製造していた場合においてテーブル回転数が40RPMであって、粉砕圧力が7kgf/cm2であり、セパレータ回転数が60RPMであったとする。前記粉砕条件で粉砕していた粉砕品の粒度を75μm(マイクロメータ)パス98%に変更したい場合は、設定器S1に粉砕品の粒度を変更後が75μmと入力する。
【0044】
該設定器S1に入力した粉砕品の粒度は演算部S2に送られ演算器S2により記憶部にある該粉砕品の粒度に対応する変更前のテーブル回転数は36RPMと割り出されて設定される。該割り出されたテーブル回転数は演算器S2により記憶部にある定数と演算され、該設定されたテーブル回転数に対応する粉砕圧力が8.5kgf/cm2、またセパレータ回転数が80RPMと算出されて自動的に設定され、テーブル回転数制御装置、粉砕圧力制御装置、及びセパレータ回転数制御装置へ、それぞれの設定値にあった出力信号として送られる。
【0045】
ここで、本発明に用いられる竪型粉砕機1は、回転テーブル直径T(m)とすると、粉砕ローラ3の幅W、粉砕ローラの中心直径Dは、通常、図5に示すような範囲で選ばれて用いられており、この範囲であれば、本実施の形態と同様な傾向の結果が得られる。
ここで、粉砕圧力L(kgf/cm2)は、粉砕ローラ3を回転テーブル2に押付ける力である粉砕荷重をF(kgf)とし、粉砕ローラ3の幅W(m)とし、粉砕ローラ3の中心直径D(m)とした場合において、L=F/(W×D)と定義した。
【0046】
また、本実施の形態に用いた回転テーブルの直径Tは2mであり、粉砕ローラ3の中心直径Dは1.52mであり、粉砕ローラ3の幅Wは0.34mであり、粉砕圧力Lは7kgf/cm2である。
なお、図5に示す回転テーブル直径T、粉砕ローラの中心径D、および、粉砕ローラ幅Wの単位はmである。
【0047】
また、本実施の形態においては、コニカル形状の粉砕ローラを有する竪型粉砕機1を使用したが、その他の粉砕ローラ形状(例えば、スフェリカル形状等)の竪型粉砕機を用いても、上記範囲内において運転すれば所望の微粉粒度の粉砕品を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による竪型粉砕機の運転方法は、テーブル回転数を制御することにより、回転テーブル上の原料にかかる遠心力、及び粉砕ローラのすべり速度を制御して、竪型粉砕機の回転テーブル上の粉砕層厚をダムリングの高さを変更することなく変化させる。従って、竪型粉砕機のテーブル回転数を設定するだけで容易に粉砕品の粒度を制御して変更することができ、竪型粉砕機のダムリングの高さ等ハード的構成を一切変更することなく、粉砕条件制御装置の設定器によって粉砕品の粒度を簡単に制御することができる。本発明によればダムリングの高さ等ハード的構成を変更する際に必要な装置の分解・組み立てなどの工程がないので、粉砕品の粒度を変える際において、竪型粉砕機の運転を停止する必要がなく効率的な運転を常に安定しておこなうことができる。
【0049】
また、本実施の形態に用いた竪型粉砕機は該テーブル回転数に対応する最適な粉砕圧力とセパレータの回転数とを予め求めた定数により自動的に設定することができる竪型粉砕機である。従って、予めコンピュータ等の制御装置に入力さえすれば上記したような竪型粉砕機の運転方法を自動的に行ない、誰でも容易に異なる粒度をもった幅広い製品粒度の製品を製造することができる。
【0050】
上記のような理由から、本願発明によれば竪型粉砕機を一度も停止することなく粗粉砕から微粉砕までスムースに運転を行なえ、今後あらゆる分野で考えられる多品種少量生産がノンストップで可能となり、分解・組み立ての専門家が必要なく予めコンピュータ等の制御装置に入力さえすれば容易に幅広い製品粒度の製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る竪型粉砕機の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る粉砕条件制御の概念的なフローシートである。
【図3】本発明に用いる竪型粉砕機の予め求められた製品粒度に関係する粉砕条件の定数である。
【図4】本発明の実施の形態に係る竪型粉砕機を用いた粉砕装置の全体フローシートである。
【図5】本発明に用いる竪型粉砕機の粉砕ローラの個数に対する回転テーブルの直径Tと粉砕ローラ中心直径Dと粉砕ローラ幅Wの関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 竪型粉砕機
2 回転テーブル
2A 回転テーブル上面
2B 減速機
2M 電動機
3 粉砕ローラ
6 上部アーム
6A 下部アーム
14 セパレータ(回転式分級装置)
Claims (2)
- 回転テーブル上のダムリングの高さを変更することなく一定とした状態で、回転テーブル上面と粉砕ローラとの間で原料を粉砕し、該粉砕した原料の大部分を該回転テーブルの下方から供給したガスにより吹き上げて該回転テーブル上方に配した回転式分級装置によって分級することにより、所定の粒度となった原料を上方より粉砕品として取出す竪型粉砕機の運転方法において、
粉砕品の粒度を粗くする場合に、該回転テーブルのテーブル回転速度が高くなるように設定を変更するとともに、変更後の該回転テーブルのテーブル回転速度に対応した粉砕圧力と回転式分級装置の回転数を、予め設定した定数により自動的に算出してそれぞれ自動的に低くし、
粉砕品の粒度を細かくする場合に、該回転テーブルのテーブル回転速度が低くなるように設定を変更するとともに、変更後の該回転テーブルのテーブル回転速度に対応した粉砕圧力と回転式分級装置の回転数を、予め設定した定数により自動的に算出してそれぞれ自動的に高くする竪型粉砕機の運転方法。 - 前記ダムリングは、微粉砕時の運転に適応できる限界の高さまでその高さを低く設定することを特徴とした請求項1に記載の竪型粉砕機の運転方法。
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