JPH09157289A - 新規生理活性物質ピペラスタチンbおよびその製造法 - Google Patents

新規生理活性物質ピペラスタチンbおよびその製造法

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JPH09157289A
JPH09157289A JP7322672A JP32267295A JPH09157289A JP H09157289 A JPH09157289 A JP H09157289A JP 7322672 A JP7322672 A JP 7322672A JP 32267295 A JP32267295 A JP 32267295A JP H09157289 A JPH09157289 A JP H09157289A
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piperastatin
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Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Takaaki Aoyanagi
高明 青柳
Masa Hamada
雅 濱田
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Yoshikazu Takahashi
良和 高橋
Shoichi Murakami
省一 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放線菌の培養法によりセリンカルボキシペプ
チダーゼに対して高い特異性で阻害活性を有する新規生
理活性物質を提供する。 【解決手段】 ストレプトミセス・ラベンドフォリエ
(Streptomyces lavendofoliae)MJ908-WF13株を培養
し、下記の式で表わされるピペラスタチンBを単離し
た。ピペラスタチンBはセリンカルボキシペプチダーゼ
の阻害活性を有し新しい生理作用を有する薬剤として、
また抗高血圧剤あるいは利尿剤などの医薬としての用途
が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素阻害活性を有
する新規な生理活性物質であるピペラスタチンB(Pipe
rastatin B)ならびにその製造法に関する。また、本発
明はピペラスタチンBまたはその塩を有効成分とする種
々の薬剤にも関する。本発明のピペラスタチンBは医
薬、動物薬、試薬等の分野への応用が期待される。
【0002】
【従来の技術】セリンカルボキシペプチダーゼは、活性
中心にセリン残基が存在するカルボキシペプチダーゼで
ある。セリンカルボキシペプチダーゼとしてはカルボキ
シペプチダーゼYおよび血小板デアミダーゼなどが知ら
れている。
【0003】前記の血小板デアミダーゼはサブスタンス
Pをはじめとするタキキニンやブラジキニンなどを分解
する〔The Journal of Biological Chemistry、265巻、
11265〜11272頁、1990年〕。血小板デアミダーゼによっ
て分解されるサブスタンスPは、血栓溶解活性化作用を
有することが報告されている〔Experimentia、49巻、24
2〜244頁、1993年〕。したがって、セリンカルボキシペ
プチダーゼ阻害剤は、抗血栓剤ならびにこれらの生理活
性ペプチドの活性調節剤への応用が期待される。
【0004】ラット尿中にはブラジキニンを分解するカ
ルボキシペプチダーゼY様酵素が存在し、当酵素は尿中
のブラジキニンを分解することで高血圧症の発症に関与
していることが報告されている〔European Journal of
Pharmacology、232巻、181〜190頁、1993年〕。したが
ってセリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、尿中のブ
ラジキニンの生理作用を増強し、抗高血圧剤および利尿
剤などへの応用が期待される。
【0005】セリンカルボキシペプチダーゼ阻害物質と
しては、ジイソプロピルフルオロリン酸〔蛋白質核酸酵
素、28巻、1421〜1431頁、1983年〕、キモスタチン〔Th
eJournal of Biological Chemistry、265巻、11265〜11
272頁、1990年〕およびポストスタチン〔European Jour
nal of Pharmacology、232巻、181〜190頁、1993年〕な
らびにエベラクトンB〔Japanese Journal of Pharmaco
logy、65巻、79〜82頁、1994年〕などが報告されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ジソイプロピルフルオ
ロリン酸、キモスタチン、ポストスタチン、エベラクト
ンBなどは、セリンカルボキシペプチダーゼに対する阻
害活性の特異性が低い。したがってセリンカルボキシペ
プチダーゼに対する特異性の高い阻害活性を有する新規
化合物が望まれている。本発明の目的は、そのような特
異性の高いセリンカルボキシペプチダーゼ阻害活性を有
する新しい生理活性物質、その製造法およびその用途を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の期
待にこたえるべく酵素阻害活性を有する新規物質の探索
を続けていたところ、先にピペラスタチンAを見出した
(特開平7-215994号公報)。今回、さらにピペラスタチ
ンA生産菌の一例であるストレプトミセス・ラベンドフ
ォリエ(Streptomyces lavendofoliae)MJ908-WF13株の
培養物中に酵素阻害活性を有する別異の物質が生産され
ていることを見出し、その有効物質を単離し、この新規
物質をピペラスタチンBと命名し、その化学構造を決定
した。これらの知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0008】第1の本発明の要旨とするところは、次式
(I): で表されるピペラスタチンBおよびその薬学的に許容し
得る塩を提供するものである。
【0009】ピペラスタチンBは水に難溶性の酸性物質
である。ピペラスタチンBはその製薬学的に許容し得る
塩の形態に常法で転化できる。このような塩としては、
たとえばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカ
リ金属およびカルシウムなどのアルカリ土類金属などと
の塩があげられる。
【0010】ピペラスタチンBの物理化学的性状は下記
のとおりである。 (1)色および形状:白色粉末 (2)融点:216〜218℃ (3)分子式:C3765910 (4)マススペクトル:FAB-MS (pos.) m/z 796(M+H)+ (5)比旋光度:[α]D 23−36.6°(c 0.4、メタノー
ル) (6)紫外部吸収スペクトル(メタノール)末端吸収の
みを示す。 (7)赤外部吸収スペクトル:添付図面の第1図に示
す。 (8)1H-NMRスペクトル:添付図面の第2図に示
す。 (9)13C-NMRスペクトル:添付図面の第3図に示
す。 (10)溶解性:メタノール、エタノール、プロパノール
に可溶で、水に難溶である。 (11)薄層クロマトグラフにおけるRf値:0.36 シリカゲル薄層クロマトグラフ(メルク社製、Art.571
5)を用い、展開溶媒としてクロロホルム−メタノール
−水(65:25:2)を使用した。
【0011】試験例1 カルボキシペプチダーゼYに対するピペラスタチンBの
酵素阻害活性の評価はカルボキシペプチダーゼA〔Jour
nal of Antibiotics、37巻、682〜684頁、1984年〕の酵
素阻害活性の測定法の変法で行った。すなわち、10mMの
ヒプリル−L−フェニルアラニン(ペプチド研究所製)
0.01ml、50mMのナトリウムリン酸緩衝液(pH6.5)0.05m
l、検体としてのピペラスタチンBを含む水溶液0.034ml
を加えた混合液に、カルボキシペプチダーゼY(オリエ
ンタル酵母工業社製)0.05mg/mlと牛アルブミン1mg/ml
を含む水溶液を0.006ml加えて、37℃、45分間反応させ
た。1N苛性ソーダの0.006mlを加えて反応を停止し、1
0分後に0.36Mナトリウムリン酸緩衝液(pH7.2)の0.05m
lを加え、次いで2%塩化シアヌルのメチルセロソルブ
溶液0.15mlを加えて発色させ、室温に10分放置後に、そ
の発色した溶液の405nmにおける吸光度(a)を測定し
た。同時に、検体を含まないで同様に測定した時の吸光
度(b)を測定した。なお、この時それぞれに対する盲検
の吸光度(a')、(b′)を測定し、阻害率(%)を計算
式〔1−(a−a′)/(b−b′)〕×100により計
算した。50%阻害率を示す検体の濃度をIC50の値とし
た。
【0012】この定量法でピペラスタチンBは、0.07μ
g/mlの濃度でカルボキシペプチダーゼYを50%阻害し
た。
【0013】試験例2 ラット尿管尿におけるブラジキニンの分解に対するピペ
ラスタチンBの阻害活性の評価は、European Journal o
f Pharmacology、232巻、181〜190頁(1993年)に記載の
方法の改良法で行った。12〜14週令の雄のSDラットの
尿管から採取した尿管尿0.01mlに検体としてのピペラス
タチンBと1μmole/mlのブラジキニン(ペプチド研究
所製)を含む0.85%の塩化ナトリウム溶液0.03mlとを加
え、37℃で45分間反応させた。その後に、0.1%のトリ
フルオロ酢酸と10%のアセトニトリルを含む水溶液0.5m
lを加え反応を止めた。反応液をポアーサイズ0.45μm
のメンブレン(日本ミリポア社製)に通したあと、その
うち0.1mlを高速液体クロマトグラフィーに供しブラジ
キニンの分解を測定した。
【0014】すなわち、1.5ml/minの流速でA液(0.1%
のトリフルオロ酢酸を含む10%のアセトニトリル水溶
液)を用いて平衡化したShodex RS pack DS-613カラム
(昭和電工社製)に前記反応液の0.1mlを吸着させた。
さらにカラムを3分間A液で洗浄したのち、A液からB
液(0.1%のトリフルオロ酢酸を含む40%のアセトニト
リル水溶液)への25分間の直線濃度勾配条件で溶出し、
さらにB液からC液(0.1%のトリフルオロ酢酸を含む70
%のアセトニトリル水溶液)への5分間の直線濃度勾配
で溶出して高速液体クロマトグラフィーを行い、その溶
出液の210nmにおける吸光度を測定した。反応液中のブ
ラジキニンと、C末端のアルギニン残基が切断されたde
s-Arg9-ブラジキニンとの濃度は、上記のクロマトグラ
フィーのピークの面積を測定し、基準物質(ともにペプ
チド研究所製)を用いた外部標準法によって定量した。
【0015】前記の条件で検体(ピペラスタチンB)の
不存在下にラットの尿管尿中で、ブラジキニンを37℃、
45分間反応にかけた場合の反応液を前記の高速液体クロ
マトグラフィーにかけて得られた溶出液について測定し
た吸光度と滞留時間(分)との関係を表わすクロマトグ
ラフを添付図面の図4(a)に示す。反応前にブラジキ
ニンは、当初濃度が0.75μmole/mlで存在したが、上記
の反応中に分解されて、0.26μmole/mlの濃度に減少
し、しかも0.18μmole/mlのdes-Arg9-ブラジキニンが生
成したことが認められた。別に、検体としてのピペラス
タチンBを100μg/ mlの濃度で添加して存在させながら
上記と同様の条件で反応にかけた場合の反応液を前記と
同様に高速液体クロマトグラフィにかけ、そしてその溶
出液について測定した吸光度と滞留時間(分)との関係
を表わすクロマトグラフを添付図面の表4(b)に示
す。この場合には、des-Arg9-ブラジキニンの生成は0.0
1μmole/ml以下に阻害され、ブラジキニンの残存量は0.
66μmole/mlとなり、ブラジキニンの分解が抑制された
ことが認められる。
【0016】さらに、第2の本発明の要旨は、ストレプ
トミセス属に属する前記の式(I)で表わされるピペラ
スタチンBの生産菌を培養し、その培養物からピペラス
タチンBを採取することを特徴とするピペラスタチンB
の製造法にある。
【0017】本発明の方法に使用されるピペラスタチン
Bの生産菌の一例としては、本発明者らにより分離され
た前記のストレプトミセス・ラベンドフォリエ(Streptom
yceslavendofoliae)MJ908-WF13がある。なお、MJ908-W
F13株を工業技術院 生命工学工業技術研究所に寄託申
請し、平成5年11月1日、FERM P-13940として受託され
ている(特開平7−215994号、参照)。
【0018】MJ908-WF13株の菌学的性状は下記の通りで
ある。 1.形 態 MJ908-WF13株は、分枝した基生菌糸よりらせん状の気菌
糸を伸長する。輪生枝及び胞子のうは認められない。成
熟した胞子鎖には50個以上の円筒形の胞子の連鎖を認
め、胞子の大きさは約0.5〜0.9×0.7〜1.0ミクロンであ
った。なお、胞子の表面は平滑である。
【0019】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual)を用いた。 (1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、うすピンク[5gc, Peach Tan〜4ec, B
isque]の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認
められない。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) うす黄[1ca, Cream]の発育上に、うすピンク[5ca, P
ale Peach〜4gc, NudeTan]の気菌糸をうっすらと着生
し、溶解性色素は認められない。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄[3ca, Pearl Pink]の発育上に、うすピンク[5
gc, Peach Tan]〜うす赤茶[5ie, Copper Tan]の気菌
糸を着生する。溶解性色素は茶色味を帯びる。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄[3ca, Pearl Pink]の発育上に、うすピンク[5
gc, Peach Tan〜4ec,Bisque]の気菌糸を着生し、溶解
性色素は茶色味を帯びる。
【0020】(5)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27
℃培養) うす茶[3lg, Lt Brown〜3ig, Beige Brown]の発育上
に、うすピンク[5ec,Dusty Peach〜5gc, Peach Tan]
の気菌糸を着生する。溶解性色素は暗い茶を呈する。 (6)栄養寒天培地(27℃培養) 明るい黄味だいだい[2gc, Bamboo〜3gc, Lt Tan]の発
育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は
認められない。 (7)イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地2、27℃培
養) うす黄茶[2ic, Honey Gold]の発育上にうすピンク[5
ec, Dusty Peach]〜ピンク灰[5ge, Rosewood]の気菌
糸を着生し、溶解性色素は茶色味を帯びる。 (8)オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) うす黄茶[2ic, Honey Gold]の発育上に、うすピンク
[5ec, Dusty Peach〜5gc, Peach Tan]の気菌糸を着生
し、溶解性色素は茶色味を帯びる。 (9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃培養) うす黄[3ca, Pearl Pink]の発育上に、白の気菌糸を
うっすらと着生し、溶解性色素は認められない。
【0021】(10)スターチ寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、うすピンク[5gc, Peach Tan〜4ec, B
isque]の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認
められない。 (11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生
し、溶解性色素は認められない。 (12)セルロース(ろ紙片添加合成液、27℃培養) 53日間の培養では生育しなかった。 (13)ゼラチンの穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、うす黄〜黄茶
の発育上に、うすピンクの気菌糸を着生し、溶解性色素
は茶色味を帯びる。グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地(24℃培養)の場合、無色〜うす黄の発育上に、うす
ピンクの気菌糸を着生し、溶解性色素は茶色を呈する。 (14)脱脂牛乳(37℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認めら
れない。
【0022】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 イースト・スターチ寒天培地(溶性デンプン 1.0%、イ
ースト・エキス 0.2%、ひも寒天3.0%、pH7.0)を用
い、10℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の各温
度で試験した結果、50℃を除き、そのいずれの温度でも
生育する。生育至適温度は27℃〜30℃付近と思われる。 (2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン培地、20℃培
養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培地、24℃培養) 単純ゼラチン培地においては49日間の培養で液化が認め
られなかった。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地に
おいては培養後16日目頃より液化が認められ、3週間を
経過しても完了しなかった。その作用は弱い方である。 (3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培
地、ISP-培地4及びスターチ寒天培地、いずれも27℃培
養) いずれの培地においても培養後3日目頃より水解性が認
められ、その作用は強い方である。
【0023】(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂
牛乳、37℃培養) 2回試験を行い、1回目は培養後18日目頃より凝固状を
呈し、2〜3日で完了後、ペプトン化が始まった。更に
ペプトン化は3週間の培養で完了せず、その作用は中等
度〜弱い方である。2回目は培養後16日目頃より凝固な
しにペプトン化が始まり、培養3週間で完了した。その
作用は中等度である。 (5)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP-培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP-培地6;チロシン寒天培地、ISP-培地7;いず
れも27℃培養) いずれの培地においても陽性である。
【0024】(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴト
リーブ寒天培地、ISP-培地9、27℃培養) D−グルコース、D−キシロース、L−アラビノースを
利用して発育し、ラクトース、D−フラクトース、シュ
クロース、イノシトール、ラフィノース及びD−マンニ
トールは利用しない。ラムノースはおそらく利用しな
い。 (7)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP-培地8、27℃培養)陽性である。(8)セ
ルロースの分解(ろ紙片添加合成液、27℃培養) 53日間の観察で分解は認められない。
【0025】以上の性状を要約すると、MJ908-WF13株
は、その形態上、基生菌糸よりらせん状の気菌糸を伸長
し、輪生枝及び胞子のうは認められない。成熟した胞子
鎖には50個以上の円筒形の胞子を連鎖し、その表面は平
滑である。種々の培地で、発育はうす黄〜うす黄茶、気
菌糸はうすピンク〜ピンク灰を呈し、溶解性色素は茶色
味を帯びる。生育至適温度は27〜30℃付近である。メラ
ニン様色素の生成は陽性、蛋白分解力は中等度〜弱い
方、スターチの水解性は強い方である。なお、細胞壁に
含まれる2,6−ジアミノピメリン酸は、LL−型であっ
た。
【0026】これらの性状より、MJ908-WF13株は、スト
レプトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられ
る。本物質と類似の構造のデプシドマイシン(depsidom
ycin、文献、The Journal of Antibiotics、43巻、1195
頁、1990年)の生産菌でストレプトミセス・ラベンドフ
ォリエ(Streptomyces lavendofoliae; 文献1、Intern
ational Journal of Systematic Bacteriology、18巻、
333頁、1968年;文献2、International Journal of Sys
tematic Bacteriology、30巻、390頁、1980年;文献3、
Berqey's Manual of Systematic Bacteriology、4巻、
2490頁、1989年)と同定されたMI951-62F2株が近縁の種
としてあげられた。
【0027】そこで当研究所保存のMI951-62F2株、スト
レプトミセス・ラベンドフォリエISP 5217株およびMJ90
8-WF13株とを実地に比較検討した。その成績の大要を次
表に表示する。
【0028】
【0029】表1から明らかなように、MJ908-WF13株と
ストレプトミセス・ラベンドフォリエISP 5217株とは、
硝酸塩の還元反応及びイノシトールの利用性を除き、よ
く一致した性状を示した。また、本菌株とストレプトミ
セス・ラベンドフォリエ MI951-62F2株とは、ゼラチン
の液化を除き、いずれの性状においてもよく一致してい
た。しかし、前回のMI951-62F2株の同定試験の際にはグ
ルコース・ペプトン・ゼラチン培地においてゼラチンの
液化が弱いことが認められた。これらのことから、MJ90
8-WF13株はストレプトミセス・ラベンドフォリエ IMC
S-0784(MI951-62F2)に最も近縁であると考えられる。
そこで、MJ908-WF13株をストレプトミセス・ラベンドフ
ォリエ(Streptomyces lavendofoliae)MJ908-WF13と同
定した。MJ908-WF13株は他の放線菌に見られるようにそ
の性状が変化し易い。例えば、MJ908-WF13株の、または
この株に由来する突然変異株(自然発生または誘発性)、
形質接合体または遺伝子組換え体であっても、ピペラス
タチンBを生産する菌は全て本発明に使用できる。
【0030】ピペラスタチンB生産菌の培養について以
下に説明する。本発明の方法では、前記のピペラスタチ
ンB生産菌を通常の微生物が利用しうる栄養物を含有す
る培地で培養する。炭素源としては、グルコース、シュ
クロース、水飴、デキストリン、澱粉、グリセロール、
糖蜜、動・植物油等を使用しうる。また、窒素源として
は、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コーン・スティープ・リ
カー、綿実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸
アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等を使用しうる。
その他必要に応じナトリウム、カリウム、カルシウム、
マグネシウム、コバルト、塩素、燐酸、硫酸およびその
他のイオンを生成することができる無機塩類を添加する
ことは有効である。また、菌の発育を助け、ピペラスタ
チンBの生産を促進するような有機および無機物を適当
に添加することができる。
【0031】ピペラスタチンB生産菌の培養法として
は、好気的条件での培養法、特に深部培養法が最も適し
ている。培養に適当な温度は15〜37℃であるが、多くの
場合26〜30℃付近で培養する。ピペラスタチンBの生産
は培地や培養条件により異なるが、振盪培養、タンク培
養のいずれにおいても通常1〜10日間でその蓄積が最高
に達する。培養中のピペラスタチンBの蓄積量が最高に
なったときに培養を停止し、培養液からこの目的物質を
単離精製する。
【0032】ピペラスタチンBの採取と精製は次のよう
に行われる。すなわち、本発明によって得られるピペラ
スタチンB生産菌の培養物からピペラスタチンBの採取
に当たっては、その性状を利用した通常の分離手段、例
えば、溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着または分配
カラムクロマトグラフィー法、ゲルろ過法、透析法、沈
澱法等を単独でまたは適宜組み合わせて抽出精製するこ
とができる。例えば、ピペラスタチンBは、培養菌体中
からはメタノール等の有機溶剤で抽出される。また、培
養液中に蓄積されたピペラスタチンBは、クロマトグラ
フ用活性炭(和光純薬工業株式会社製)などの吸着剤に
吸着させ、有機溶剤と水の混合液で溶出される。たとえ
ば、70%プロパノールなどでピペラスタチンBは溶出さ
れる。ピペラスタチンBを更に精製するには、シリカゲ
ル(シリカゲル60、メルク社製、等)あるいはYMC-GEL
ODS-A60-200/60(株式会社山村化学研究所製)等を用い
るクロマトグラフィーまた高速液体クロマトグラフィー
または向流分配法などを行うとよい。以上のような方法
により、あるいはこれらを適宜組み合わせることによ
り、高純度のピペラスタチンBが得られる。
【0033】ピペラスタチンBの急性毒性を評価するた
めに、ピペラスタチンBをマウスに腹腔内投与して2週
間観察した結果、100mg/kgの投与でも毒性を示さなかっ
た。第1の本発明によるピペラスタチンBまたはその塩
は、セリンカルボキシペプチダーゼ阻害活性を有するこ
とより、セリンカルボキシペプチダーゼの生体内での働
きを研究するのに有用な試薬である。
【0034】従って、第3の本発明によると、ピペラス
タチンBまたはその薬学的に許容し得る塩を有効成分と
して含有するセリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤が提
供される。
【0035】更に、ピペラスタチンBはセリンカルボキ
シペプチダーゼに対して高い特異性で酵素阻害活性を有
することに由り抗高血圧剤または利尿剤として利用でき
る。それ故、第4の本発明によると、ピペラスタチンB
またはその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有
する抗高血圧剤が提供される。また、第5の本発明によ
ると、ピペラスタチンBまたはその薬学的に許容できる
塩を有効成分として含有する利尿剤が提供される。
【0036】第1の本発明によるピペラスタチンBまた
はその塩は、抗高血圧剤またはその他の医薬として使用
する場合、薬学的に許容できる通常の固体または液体状
の担体と混和することにより医薬組成物として製剤でき
る。
【0037】従って、本発明の抗高血圧剤と利尿剤は、
ピペラスタチンBまたはそれの薬学的に許容される塩を
有効成分として含有し且つこれと混和された薬学的に許
容できる固体または液体状の担体を含有する医薬組成物
の形であることができる。
【0038】本発明によるピペラスタチンBまたはその
塩は、医薬として用いる場合は、一般に経口的にまたは
非経口的に投与できる。ピペラスタチンBはマウスに腹
腔内投与した場合に100mg/kg以上のLD50値を示し、毒性
が低い。
【0039】ピペラスタチンBまたはその製薬学的に許
容できる塩は、賦形剤あるいは担体と混合して注射剤、
経口剤または坐剤などの製剤の形で投与される。賦形剤
および担体としては製薬学上許容されるものが選ばれ、
その種類および組成は投与経路や投与方法によって決ま
る。例えば、液状担体として水、アルコールもしくは大
豆油、ゴマ油、ミネラル油などの動植物油などが用いら
れる。固体担体としてマルトース、シュクロースなどの
糖類、リジンなどのアミノ酸類、ヒドロキシプロピルセ
ルロースなどのセルロース誘導体、シクロデキストリン
などの多糖類、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸
塩などが使用される。
【0040】注射剤として製剤する場合には、液状担体
は一般に生理食塩水、各種緩衝液、グルコース、イノシ
トール、マンニトールなどの糖類水溶液、エチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、などのグリコール類
であることができる。また、イノシトール、マンニトー
ル、グルコース、マンノース、マルトース、シュクロー
スなどの糖類、フェニルアラニンなどのアミノ酸類など
の賦形剤と共に凍結乾燥製剤とし、それを投与時に注射
用の適当な溶剤例えば滅菌水、生理食塩水、ブドウ糖
液、電解質溶液、アミノ酸などの静脈投与用液体に溶解
して使用できる。
【0041】製剤された組成物中におけるピペラスタチ
ンBの含量は製剤型により種々異なるが、通常は0.1〜9
8重量%、好ましくは1〜90重量%である。例えば注射
液の場合には、通常、0.1〜5重量%の含量でピペラス
タチンBを含むようにすることがよい。経口投与の場合
には、前記固体担体もしくは液状担体と共に錠剤、カプ
セル剤、粉剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロ
ップ剤などの形態で用いられる。カプセル、錠剤、顆
粒、粉剤の場合、一般にピペラスタチンBの含量は3〜
98重量%、好ましくは5〜90重量%であり、残部は担体
である。
【0042】本発明によるピペラスタチンBまたはその
塩の投与量は、患者の年令、体重、症状、治療目的など
により決定される。しかし、その投与量は動物試験の結
果など種々の状況を勘案して総投与量が一定量を越えな
い範囲で、連続的または間けつ的に投与できる。一定の
条件下における投与の適量と投与回数は、専門医の決定
による。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を示すが、
ピペラスタチンBの性状が本発明によって明らかにされ
たので、それらの性状にもとずきピペラスタチンBの製
造法を種々考案することができる。従って本発明は実施
例に限定されるものではなく、実施例の修飾手段は勿
論、本発明によって明らかにされたピペラスタチンBの
性状にもとずいて公知の手段を施してピペラスタチンB
を生産、濃縮、抽出、精製する方法をすべて包括する。
【0044】実施例1 種培地として、グルコース 2.0%、グリセリン 2.0%、
ファーマメディア 1.0%、トーストソーヤ 1.2%、塩化
ナトリウム 0.5%、炭酸カルシウム 0.32%、塩化マン
ガン4水和物0.005%の組成からなる培地を用いた。な
お、この培地の殺菌前のpHは7.4に調整した。
【0045】前記の種培地(110ml)を分注した500ml容
三角フラスコを120℃で20分間殺菌し、これにストレプ
トミセス・ラベンドフォリエMJ908-WF13株(FERM P-139
40)の斜面寒天培養の1白金耳を接種し、毎分180回転
の回転式振盪器を用いて26℃で48時間振盪培養して種培
養とした。次いで前記の培地(110ml)を分注した500ml
容三角フラスコを120℃で20分間殺菌し、これに種培養
2mlを接種し、30℃で7日間振盪培養した。培養終了
後、濾過助剤として珪藻土を加えて濾過し、培養濾液を
得た。
【0046】上記のようにして得られた培養濾液15Lを
クロマトグラフ用活性炭(和光純薬工業株式会社製)1
Lのカラムに吸着させ、2Lの精製水で洗浄したのち4
Lの70%プロパノール水で溶離し、活性画分を含む溶離
液を減圧濃縮して褐色の粗物質15.0gを得た。
【0047】この粗物質を精製水に溶解したのち、250m
lのYMC-GEL ODS-A60-200/60(株式会社山村化学研究所
製)に吸着させ、4Lの0〜100%メタノール水の濃度勾
配法によって溶離し、活性画分を含む溶離液を凍結乾燥
し活性粗粉末1.18gを得た。さらにこの粉末をクロロホ
ルム−メタノール(8:1)に溶解したのち、同溶媒で
充填した150mlのシリカゲル60に吸着させ、2.4Lのクロ
ロホルム−メタノール(5:1)と3Lのクロロホルム
−メタノール(2:1)で順次溶離し、活性画分を含む
溶離液を減圧濃縮してピペラスタチンAとピペラスタチ
ンBを含む粗物質440mgを得た。
【0048】この粗物質をL.L.N.モデルNMF(三鬼エン
ジニアリング社製)による遠心液液分配クロマトグラフ
を用いて精製を行った。すなわちクロロホルム−メタノ
ール−水(5:6:4)の溶媒系の上層を固定相液とし
下層を移動相液として20℃、遠心部の回転数を毎分700
回転、移動相液の流速を毎分10mlの条件で正溶出(500m
l)した後、反転溶出した。得られた活性画分のうちピペ
ラスタチンBの混在する画分を凍結乾燥し白色粉末36.7
mgを得た。
【0049】この白色粉末をCapcellpak C18カラム(資
生堂社製)による高速液体クロマトグラフを用いて精製
を行った。すなわち粉末を15%アセトニトリル水溶液に
溶解したのち、毎分6.0mlの流速で同溶液を用いて平衡
化したCapcellpak C18カラム(φ20×250mm)に吸着さ
せ、さらに5分間同溶液で洗浄したのち、15%から40%
アセトニトリル水溶液による95分間の直線濃度勾配条件
で溶出した結果、ピペラスタチンAを含む画分とピペラ
スタチンBを含む画分とに分離することができ、ピペラ
スタチンBを含む活性画分を凍結乾燥して白色粉末10.4
mgを得た。
【0050】つぎにこの白色粉末をメタノールに溶解し
たのち、メタノールを展開溶媒としたセファデックスLH
20のカラムを用いて精製を行い、ピペラスタチンBを含
む活性画分を凍結乾燥して白色粉末9.1mgを得た。
【0051】この白色粉末をさらに、Capcellpak C18カ
ラム(資生堂社製)による高速液体クロマトグラフを用
いて精製を行った。すなわち粉末を20%アセトニトリル
水溶液に溶解したのち、毎分6.0mlの流速で同溶液を用
いて平衡化したCapcellpakC18カラム(φ20×250mm)に
吸着させ、さらに5分間同溶液で洗浄したのち、20%か
ら40%アセトニトリル水溶液による95分間の直線濃度勾
配条件で溶出し、ピペラスタチンBを含む活性画分を凍
結乾燥して白色粉末4.9mgを得た。
【0052】つぎにこの白色粉末をL.L.N.モデルNMF
(三鬼エンジニアリング社製)による遠心液液分配クロ
マトグラフを用いて精製を行った。すわちちクロロホル
ム−メタノール−水−酢酸(5:6:4:0.15)の溶媒系
の上層を固定相液とし下層を移動相液として20℃、遠心
部の回転数を毎分700回転、移動相液の流速を毎分10ml
の条件で正溶出した後(500ml)、反転溶出した。得られ
た活性画分を凍結乾燥した結果、4.8mgのピペラスタチ
ンBの純粋な白色粉末を得た。融点216〜218℃。
【0053】ピペラスタチンBの培養工程中の追跡は、
カルボキシペプチダーゼYに対する酵素阻害活性でまた
精製工程中での追跡は、酵素阻害活性に加えて展開溶媒
としてブタノール−メタノール−水(4:1:2)、クロ
ロホルム−メタノール−水(65:25:2)あるいはクロロ
ホルム−メタノール−水−酢酸(100:20:1:1)による
シリカゲル薄層クロマトグラフ(メルク社製、Art.5715)
を用いて行った。
【0054】
【発明の効果】本発明のピペラスタチンB物質はセリン
カルボキシペプチダーゼに対して高い特異性で阻害活性
を有しており、新しい薬理作用を有する薬剤としての有
用性が期待される。また、試験例2に示したように、尿
中におけるブラジキニンの分解を抑制することで利尿剤
あるいは抗高血圧剤などとしての有用性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピペラスタチンBの臭化カリウム錠内での赤外
線吸収スペクトル。
【図2】ピペラスタチンBの重DMSO溶液中での400
MHzで測定した1H-NMRスペクトル。
【図3】ピペラスタチンBの重DMSO溶液中での125
MHzで測定した13C-NMRスペクトル。
【図4】(a)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を
用いてラットの尿管尿におけるにブラジキニンの分解を
37℃で45分間行った後の反応液中のブラジキニンの残
存量と生成したdes-Arg9-ブラジキニンの生成量とを210
nmの吸光度の測定により分析したクロマトグラフィー
図。 (b)ピペラスタチンBの100μg/mlを添加した条件で
上記の反応を行った場合における反応液中のブラジキニ
ンの残存量とdes-Arg9-ブラジキニンの生成量とを分析
したクロマトグラフィー図。
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の期
待にこたえるべく酵素阻害活性を有する新規物質の探索
を続けていたところ、先にピペラスタチンAを見出した
(特開平7-215994号公報)。今回、さらにピペラスタチ
ンA生産菌の一例であるストレプトミセス・ラベンドフ
ォリエ(Streptomyces lavendofoliae)MJ908-WF13株の
培養物中に酵素阻害活性を有する別異の物質が生産され
ていることを見出し、その有効物質を単離し、この新規
物質をピペラスタチンBと命名し、その化学構造を決定
した。これらの知見に基づいて、本発明を完成させた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明の方法に使用されるピペラスタチン
Bの生産菌の一例としては、本発明者らにより分離され
た前記のストレプトミセス・ラベンドフォリエ(Streptom
yces lavendofoliae)MJ908-WF13がある。なお、MJ908-W
F13株を工業技術院 生命工学工業技術研究所に寄託申
請し、平成5年11月1日、FERM P-13940として受託され
ている(特開平7−215994号、参照)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual)を用いた。 (1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に、うすピンク[5gc, Peach Tan〜4ec, B
isque]の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認
められない。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) うす黄[1・1/2 ca, Cream]の発育上に、うすピンク[5
ca, Pale Peach〜4gc,Nude Tan]の気菌糸をうっすらと
着生し、溶解性色素は認められない。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄[3ca, Pearl Pink]の発育上に、うすピンク[5
gc, Peach Tan]〜うす赤茶[5ie, Copper Tan]の気菌
糸を着生する。溶解性色素は茶色味を帯びる。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄[3ca, Pearl Pink]の発育上に、うすピンク[5
gc, Peach Tan〜4ec,Bisque]の気菌糸を着生し、溶解
性色素は茶色味を帯びる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】これらの性状より、MJ908-WF13株は、スト
レプトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられ
る。本物質と類似の構造のデプシドマイシン(depsidom
ycin、文献、The Journal of Antibiotics、43巻、1195
頁、1990年)の生産菌でストレプトミセス・ラベンドフ
ォリエ(Streptomyces lavendofoliae; 文献1、Intern
ational Journal of Systematic Bacteriology、18巻、
333頁、1968年;文献2、International Journal of Sys
tematic Bacteriology、30巻、390頁、1980年;文献3、
Berqey's Manual of Systematic Bacteriology、4巻、
2490頁、1989年)と同定されたMI951-62F2株が近縁の種
としてあげられた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】表1から明らかなように、MJ908-WF13株と
ストレプトミセス・ラベンドフォリエISP 5217株とは、
硝酸塩の還元反応及びイノシトールの利用性を除き、よ
く一致した性状を示した。また、本菌株とストレプトミ
セス・ラベンドフォリエ MI951-62F2株とは、ゼラチン
の液化を除き、いずれの性状においてもよく一致してい
た。しかし、前回のMI951-62F2株の同定試験の際にはグ
ルコース・ペプトン・ゼラチン培地においてゼラチンの
液化が弱認められた。これらのことから、MJ908-WF13
株はストレプトミセス・ラベンドフォリエ IMC S-0784
(MI951-62F2)に最も近縁であると考えられる。そこ
で、MJ908-WF13株をストレプトミセス・ラベンドフォリ
エ(Streptomyces lavendofoliae)MJ908-WF13と同定し
た。MJ908-WF13株は他の放線菌に見られるようにその性
状が変化し易い。例えば、MJ908-WF13株の、またはこの
株に由来する突然変異株(自然発生または誘発性)、形質
接合体または遺伝子組換え体であっても、ピペラスタチ
ンBを生産する菌は全て本発明に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 21/02 C12R 1:465) (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号 (72)発明者 高橋 良和 東京都多摩市桜ケ丘3丁目2番地の3 (72)発明者 村上 省一 神奈川県川崎市川崎区日進町23番地8 メ イカハイム川崎705号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): で表わされる生理活性物質ピペラスタチンBまたはその
    薬学的に許容し得る塩。
  2. 【請求項2】 ピペラスタチンB生産菌を培養し、その
    培養物から請求項1で式(I)で表わされるピペラスタ
    チンBを採取することを特徴とする、生理活性物質ピペ
    ラスタチンBの製造法。
  3. 【請求項3】 ピペラスタチンBあるいはその薬学的に
    許容し得る塩を有効成分として含有するセリンカルボキ
    シペプチダーゼ阻害剤。
  4. 【請求項4】 ピペラスタチンBあるいはその薬学的に
    許容し得る塩を有効成分として含有する抗高血圧剤。
  5. 【請求項5】 ピペラスタチンBあるいはその薬学的に
    許容し得る塩を有効成分として含有する利尿剤。
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