JP3502655B2 - 制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシン及びその製造法 - Google Patents

制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシン及びその製造法

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JP3502655B2
JP3502655B2 JP5659694A JP5659694A JP3502655B2 JP 3502655 B2 JP3502655 B2 JP 3502655B2 JP 5659694 A JP5659694 A JP 5659694A JP 5659694 A JP5659694 A JP 5659694A JP 3502655 B2 JP3502655 B2 JP 3502655B2
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methanol
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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトの癌細胞に対する
制癌活性を有し、特に子宮頸癌細胞、大腸癌及び胃癌細
胞に対する制癌作用を有し、殊にヒト子宮頸癌由来細胞
株のHeLa細胞及びC33A細胞の増殖を強く阻害する制癌活
性を有する新規な抗生物質であるチアジノトリエノマイ
シンA、B、C、D及びEに関する。また、本発明は、
その新規な制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシン
A、B、C、DまたはEの製造法にも関する。
【0002】
【従来の技術】微生物が生産する抗生物質であって制癌
活性を有するものは数多く知られている。また、本発明
のチアジノトリエノマイシン群に近似する化学構造を有
して且つ微生物の生産する既知の抗生物質には、これま
でにトリエノマイシン[I. UMEZAWA, ザ・ジャーナル・
オブ・アンチビオティクス,第38巻、699-705 頁(198
5)]とマイコトリエニン[M. SUGITA ,ザ・ジャーナ
ル・オブ・アンチビオティクス,第35巻、1460-1479 頁
(1982)]が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】癌は、複数の癌遺伝子
及び(又は)癌抑制遺伝子の変異が組み合わせて生じた
ことに原因して起ると考えられることから、一つの制癌
性物質で全ての種類の癌に有効な制癌剤はあり得ないと
考えられる。そこで新規な制癌剤物質は常に要望されて
いる。
【0004】本発明者らは、ある種の癌細胞に対して選
択的に細胞毒性を示し且つ制癌活性を有すると認められ
る新規な抗生物質を得る目的で、微生物の生産する新規
な抗生物質について研究を行っている。その結果、土壌
より分離された放線菌でMJ 672-m3 の菌株番号を付した
菌株を培養し、得られた培養液中に制癌活性の物質複数
が産生されていることを見出し、それら物質を単離して
それらの化学構造を決定することに成功した。今回単離
された物質は5種であり、それぞれ新規な化合物である
と認め、チアジノトリエノマイシンA、B、C、Dまた
はEと命名した。これら物質はチアジノトリエノマイシ
ンと総称でき、後記の一般式〔I〕で表記できる。更
に、この一群のチアジノトリエノマイシン類は、ヒトの
ある種の癌由来細胞株に選択的に細胞毒性を示す物質で
あり、たとえば、ヒト子宮頸部癌C33A及びHeLa細胞、な
らびにヒト大腸癌及びヒト胃癌細胞に細胞毒性を有する
と認められた。
【0005】
【課題を解決するための手段】従って、第1の本発明に
よれば、新規な制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシ
ンA、B、C、DまたはE、あるいはそれらの酸付加塩
が提供される。これらチアジノトリエノマイシン群は下
記の一般式〔I〕で表される。 〔式中、Rはシクロヘキシル基、シクロヘキセニル基あ
るいはイソブチル基を示し、さらにXは水素原子を示し
且つYとZは一緒になって式 の基をなし、あるいはXとYは一緒になって式 の基をなし且つZは水素原子を示す〕。
【0006】本発明のチアジノトリエノマイシンは、そ
の分子中に存在するチアジノ環の位置の差によって下記
の2群(A)および(B)に区分けできる。 (A)次の一般式(Ia): 〔式中、Rはシクロヘキシル基またはシクロヘキセニル
基である〕で表されるチアジノトリエノマイシンAまた
はB。
【0007】(B)次の一般式(Ib): 〔式中、Rはシクロヘキシル基、シクロヘキセニル基あ
るいはイソブチル基である〕で表されるチアジノトリエ
ノマイシンC、DまたはE。
【0008】本発明のチアジノトリエノマイシンA〜E
の何れも弱酸性の物質であり、薬学的に許容できる無機
酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸等、あるいは薬学的に許
容できる有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、クエン
酸、酒石酸、メタンスルホン酸と反応させると、酸付加
塩にすることができる。
【0009】本明細書において、以下、単にチアジノト
リエノマイシンと記載するときは、但し書きがない限
り、チアジノトリエノマイシンA、B、C、DまたはE
の何れか一つ、あるいは、それらの2種またはそれ以上
の混合物を指す。
【0010】次に、本発明のチアジノトリエノマイシン
A、B、C、DまたはEの化学構造と物理化学的性質を
記載する。
【0011】1.チアジノトリエノマイシンA (1)構造式:
【0012】(2)性状:白色粉末 (3)分子式:C38493 8 S (4)分子量:707 (5)比旋光度:[α]D 22 +61 °(c 0.1, MeOH) (6)質量分析,FAB-MS(m/z):708(M+H)+ , 706(M-H)
- (7)溶解性:クロロホルム、メタノール、アセトン、
ピリジン、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶 (8)酸性、中性、塩基性の区別:弱酸性物質
【0013】(9)TLC のRf値: (i)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;クロロホルム−メタノール,10:1で展
開):0.71 (ii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;トルエン−アセトン,3:2で展開):0.46 (iii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;ベンゼン−クロロホルム−メタノール,3:
7:3で展開):0.82 (10)HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)保持
時間:6.5 分 カラム:μ-Bondasphare 5μC18-100オングストロー
ム,3.9mm ×15cm 流液:65%メタノール 流速:1ml/分 検出波長:260 nm カラム温度:40℃
【0014】 (11)紫外部吸収スペクトルのピーク(波長,nm),(ε): (i)メタノール中: 205 (25000 ) 215(sh)(24000 ) 250 (22000 ) 258 (21000 ) 270 (15000 ) 282 (12000 ) 315 ( 3200 ) (ii)メタノール-0.01N NaOH 中: 250 (21000 ) 255 (21000 ) 270 (14000 ) 282 (12000 ) 315 ( 4200 ) (iii)メタノール-0.01N HCl中: 210 (23000 ) 250 (22000 ) 258 (21000 ) 270 (15000 ) 282 (12000 ) 315 ( 3200 )
【0015】(12)赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添
付図面の図1に示す。 ピーク波数(cm-1):3400, 2930, 2850, 1730, 1660,
1530, 1460,1390, 1305, 1240, 1220, 1160, 1100, 100
0 (13)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン
中):添付図面の図6に示す。 (14)13C核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン中):添
付図面の図11に示す。
【0016】2.チアジノトリエノマイシンB (1)構造式:
【0017】(2)性状:微黄色粉末 (3)分子式:C38513 8 S (4)分子量:709 (5)比旋光度:[α]D 22 +121°(c 0.1, MeOH) (6)質量分析,FAB-MS(m/z):710(M+H)+ , 708(M-H)
- (7)溶解性:クロロホルム、メタノール、アセトン、
ピリジン、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶 (8)酸性、中性、塩基性の区別:弱酸性物質
【0018】(9)TLC のRf値: (i)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;クロロホルム−メタノール,10:1で展
開):0.62 (ii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;トルエン−アセトン,3:2で展開):0.48 (iii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;ベンゼン−クロロホルム−メタノール,3:
7:3で展開):0.80 (10)HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)保持
時間:7.5 分 カラム:μ-Bondasphare 5μC18-100オングストロー
ム,3.9mm ×15cm 流液:65%メタノール 流速:1ml/分 検出波長:260 nm カラム温度:40℃
【0019】 (11)紫外部吸収スペクトルのピーク(波長,nm),(ε): (i)メタノール中: 205 (29000 ) 215(sh)(24000 ) 250 (30000 ) 258 (30000 ) 270 (24000 ) 282 (19000 ) 315 ( 3200 ) (ii)メタノール−0.01N NaOH中: 250 (23000 ) 255 (29000 ) 270 (25000 ) 282 (19000 ) 315 ( 4200 ) (iii)メタノール−0.01N HCl 中: 210 (23000 ) 250 (29000 ) 258 (29000 ) 270 (23000 ) 282 (18000 ) 315 ( 3200 )
【0020】(12)赤外部吸収スペクトル(KBr 錠):
添付図面の図2に示す。 ピーク波数(cm-1):3400, 2940, 2850, 1740, 1735,
1670, 1540,1480, 1470, 1380, 1300, 1220, 1160, 110
0,1000, 970 (13)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン
中):添付図面の図7に示す。 (14)13C核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン中):添
付図面の図12に示す。
【0021】3.チアジノトリエノマイシンC (1)構造式:
【0022】(2)性状:微黄色粉末 (3)分子式:C36493 8 S (4)分子量:683 (5)比旋光度:[α]D 22 +101°(c 0.1, MeOH) (6)質量分析,FAB-MS(m/z):682(M-H)- (7)溶解性:クロロホルム、メタノール、アセトン、
ピリジン、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶 (8)酸性、中性、塩基性の区別:弱酸性物質
【0023】(9)TLC のRf値: (i)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;クロロホルム−メタノール,10:1で展
開):0.39 (ii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;トルエン−アセトン,3:2で展開):0.25 (iii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;ベンゼン−クロロホルム−メタノール,3:
7:3で展開):0.76 (10)HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)保持
時間:6.6 分 カラム:μ-Bondasphare 5μC18-100オングストロー
ム,3.9mm ×15cm 流液:65%メタノール 流速:1ml/分 検出波長:260 nm カラム温度:40℃
【0024】 (11)紫外部吸収スペクトルのピーク(波長,nm),(ε): (i)メタノール中: 225 (13000 ) 250(sh)(17000 ) 260 (27000 ) 270 (23000 ) 282 (16000 ) 315 ( 2700 ) (ii)メタノール−0.01N NaOH中: 225 (13000 ) 260 (26000 ) 270 (27000 ) 282 (17000 ) 340 ( 5000 ) (iii)メタノール−0.01N HCl 中: 210 (12000 ) 225 (13000 ) 250(sh)(17000 ) 260 (27000 ) 270 (23000 ) 282 (16000 ) 320 ( 2700 )
【0025】(12)赤外部吸収スペクトル(KBr 錠):
添付図面の図3に示す。 ピーク波数(cm-1):3400, 2950, 2920, 1740, 1660,
1600, 1540,1460, 1380, 1200, 1150, 1140, 1100, 100
0,860 (13)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン
中):添付図面の図8に示す。 (14)13C核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン中):添
付図面の図13に示す。
【0026】4.チアジノトリエノマイシンD (1)構造式:
【0027】(2)性状:微黄色粉末 (3)分子式:C38493 8 S (4)分子量:707 (5)比旋光度:[α]D 22 +122°(c 0.1, MeOH) (6)質量分析,FAB-MS(m/z):708(M+H)+ , 706(M-H)
- (7)溶解性:クロロホルム、メタノール、アセトン、
ピリジン、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶 (8)酸性、中性、塩基性の区別:弱酸性物質
【0028】(9)TLC のRf値: (i)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;クロロホルム−メタノール,10:1で展
開):0.39 (ii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;トルエン−アセトン,3:2で展開):0.29 (iii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;ベンゼン−クロロホルム−メタノール,3:
7:3で展開):0.77 (10)HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)保持
時間:8.0 分 カラム:μ-Bondasphare 5μC18-100オングストロー
ム,3.9mm ×15cm 流液:65%メタノール 流速:1ml/分 検出波長:260 nm カラム温度:40℃
【0029】 (11)紫外部吸収スペクトルのピーク(波長,nm),(ε): (i)メタノール中: 225(sh)(20000 ) 250(sh)(29000 ) 260 (33000 ) 270 (28000 ) 282 (20000 ) 320 ( 2700 ) (ii)メタノール−0.01N NaOH中: 225 (20000 ) 260 (28000 ) 270 (29000 ) 282 (21000 ) 340 ( 5000 ) (iii)メタノール−0.01N HCl 中: 210 (19000 ) 225(sh)(18000 ) 250(sh)(29000 ) 260 (33000 ) 270 (28000 ) 282 (21000 ) 320 ( 2700 )
【0030】(12)赤外部吸収スペクトル(KBr 錠):
添付図面の図4に示す。 ピーク波数(cm-1):3450, 2950, 1740, 1670, 1540,
1470, 1400,1230, 1180, 1100, 1010 (13)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン
中):添付図面の図9に示す。 (14)13C核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン中):添
付図面の図14に示す。
【0031】5.チアジノトリエノマイシンE (1)構造式:
【0032】(2)性状:白色粉末 (3)分子式:C38513 8 S (4)分子量:709 (5)比旋光度:[α]D 22 +189°(c 0.1, MeOH) (6)質量分析,FAB-MS(m/z):710(M+H)+ , 708(M-H)
- (7)溶解性:クロロホルム、メタノール、アセトン、
ピリジン、ジメチルスルホキシドに可溶、水に難溶 (8)酸性、中性、塩基性の区別:弱酸性物質
【0033】(9)TLC のRf値: (i)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;クロロホルム−メタノール,10:1で展
開):0.43 (ii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;トルエン−アセトン,3:2で展開):0.27 (iii)シリカゲル薄層クロマトグラフィー(メルク社 A
rt 5715 ;ベンゼン−クロロホルム−メタノール,3:
7:3で展開):0.78 (10)HPLC(高速液体カラムクロマトグラフィー)保持
時間:9.4 分 カラム:μ-Bondasphare 5μC18-100オングストロー
ム,3.9mm ×15cm 流液:65%メタノール 流速:1ml/分 検出波長:260 nm カラム温度:40℃
【0034】 (11)紫外部吸収スペクトルのピーク(波長,nm),(ε): (i)メタノール中: 225(sh)(20000 ) 250(sh)(33000 ) 260 (43000 ) 270 (37000 ) 282 (20000 ) 320 ( 4300 ) (ii)メタノール−0.01N NaOH中: 225 (19000 ) 260(sh)(42000 ) 270 (43000 ) 282 (28000 ) 340 ( 6500 ) (iii)メタノール−0.01N HCl 中: 225 (20000 ) 250(sh)(33000 ) 260 (43000 ) 270 (37000 ) 282 (27000 ) 320 ( 4300 )
【0035】(12)赤外部吸収スペクトル(KBr 錠):
添付図面の図5に示す。 ピーク波数(cm-1):3350, 2950, 2860, 2120, 1740,
1670, 1600,1540, 1480, 1470, 1390, 1220, 1100, 100
0,760 (13)プロトン核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン
中):添付図面の図10に示す。 (14)13C核磁気共鳴スペクトル(重ピリジン中):添
付図面の図15に示す。
【0036】第1の本発明による一般式(I)のチアジ
ノトリエノマイシンはヒト癌に対して制癌活性を示すも
のであり、この制癌活性を評定するために、ヒト子宮頸
癌細胞株であるHeLa細胞とC33A細胞に対する細胞毒性を
下記の試験法で測定した。
【0037】試験法 24穴のプレート(ファルコン社製3047)中に供試癌細胞
を、2%の子牛胎児の血清(FBS, Lot. 1728ネスコバイ
オ社製)を含むpH 7.2の MEM培地(ギブコ社製)1ml当
たりに1万個撒く。翌日、メタノール溶液とした供試化
合物を加え、さらに2日間、37℃,5%炭酸ガスインキ
ュベータの中で癌細胞を培養する。培地を捨て、20%メ
タノールに溶かした 0.1%(w/v)クリスタルバイオレト
(和光純薬社製)0.5 mlを入れて癌細胞を10分間染色
後、染色液を捨てる。水道水で癌細胞がプレート壁から
剥がれない程度リンスし、その後に60℃の乾燥器を用い
て、このプレートを乾燥する。次に、染色された癌細胞
に1mM塩酸を含む30%エタノール水溶液1mlを加えて抽
出することにより癌細胞から色素を溶出させる。溶出さ
れた色素を含む抽出液について、吸光光度計(U-1100ス
ペクトロフォトメータ、日立社製)を用いて 570nmにお
ける吸光度を測定する。測定された吸光度の値は、培養
された癌細胞の個数に比例するから、比色定量値から癌
細胞数を推測できる。
【0038】下記の計算式により、癌細胞の増殖阻害率
(%)を算定する。 計算式:〔(C-D1 )-(D3 -D1 )]÷(C-D1 ) ×100 =増殖
阻害率(%) (但しCは供試化合物の非存在下に3日培養後の吸光度
値;D1 は供試化合物の非存在下に1日培養後の吸光度
値;D3 は供試化合物の存在下に3日培養後の吸光度値
を示す)。
【0039】上記のように算定した癌細胞増殖率(%)
は供試化合物の癌細胞に対する細胞毒性を表わし得る。
上記の試験法で測定すると、純粋なチアジノトリエノマ
イシンA、B、C、DおよびEのHeLa細胞に対する50%
増殖阻害率 (IC50)は、それぞれ5.0ng/ml, 1.5ng/ml,
200ng/ml, 25ng/ml および13ng/ml であった。
【0040】またC33A細胞に対するIC50値は、それぞれ
2.2ng/ml, 0.6ng/ml, 100ng/ml, 20ng/ml および23ng/m
l であった。ヒト胃癌細胞株MKN28 に対するIC50値は、
それぞれ300ng/ml, 200ng/ml, 1800ng/ml, 700ng/ml お
よび 460ng/ml であった。
【0041】また、チアジノトリエノマイシンA〜Eの
ヒト大腸癌細胞株Colo201 に対するIC50値は、それぞれ
40ng/ml, 30ng/ml, 1200ng/ml, 250ng/ml および200ng/
mlであった。なお、供試化合物は全てメタノールに溶解
させた溶液として用い、希釈も全てメタノールで行っ
た。なお、供試癌細胞に対するメタノールの細胞毒性は
1%(v/v)まで認められなかった。
【0042】本発明によるチアジノトリエノマイシンは
ヒトのある種の癌由来細胞株に選択的に毒性を示す物質
である。たとえば、チアジノトリエノマイシンBのIC50
値は、ヒト子宮頸部癌細胞C33Aには0.6ng/mlであり、He
La細胞には1.5ng/mlであり、ヒト大腸癌細胞株Colo201
には30ng/ml であり、またヒト胃癌細胞株MKN28 には20
0ng/mlであった。この様にチアジノトリエノマイシンB
のIC50はC33A株とMKN28 の間に約 100倍の差が認められ
たから、チアジノトリエノマイシンはヒト癌細胞の種類
に応じて選択性のある細胞毒性を示しうるものと認めら
れる。
【0043】また、チアジノトリエノマイシンはヒト癌
細胞に対して上記の如くin vitroでのIC50値が相当に高
いにかかわらず哺乳類にはin vivo で低い急性毒性の物
質である。例えばマウスに対する急性毒性を試験する
と、チアジノトリエノマイシンEは腹腔内投与135mg/kg
でもマウスに死亡例がなかった。
【0044】更に、既知のアンサマイシン系トリエン
は、ピリキラリア・オリザエ、カンジダ・アルビカン
ス、サッカロミセス・セレビシエ、スタフィロコカス・
アウレウス等の真菌、細菌に強い抗菌活性を有するが、
本発明のチアジノトリエノマイシンの上記の菌に対する
最小有効阻止濃度は寒天希釈法で測定すると、いずれの
菌に対しても100 μg/ml では、抗菌活性が認められな
かった。従って、本発明のチアジノトリエノマイシンは
抗菌活性が極めて弱いか又は全くないという特色があ
る。
【0045】更に、第2の本発明によると、ストレプト
ミセス属に属するチアジノトリエノマイシンA、B、
C、D又はEの生産菌を培養し、その培養物から制癌性
抗生物質チアジノトリエノマイシンA、B、C、D又は
Eを採取することを特徴とする、前出の一般式〔I〕で
表される制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシンA、
B、C、D又はEの製造法が提供される。
【0046】第2の本発明の方法で用いうるチアジノト
リエノマイシンA、B、C、D又はEの生産菌の一例に
は、平成3年10月、微生物化学研究所において、太田区
中馬込の土壌より分離された放線菌で、MJ672-m3の菌株
番号が付された菌がある。
【0047】次に、MJ672-m3株の菌学的性状を記載す
る。 1.形態 MJ672-m3株は、分枝した基生菌糸よりらせん状の気菌糸
を伸長する。輪生枝及び胞子のうは認められない。成熟
した胞子鎖には10〜50個の円筒形の胞子の連鎖を認め、
胞子の大きさは約 0.5〜0.7 ×0.8 〜1.1 ミクロンであ
った。なお、胞子の表面はとげ状である。
【0048】2.各種培地における生育状態 色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のColor harmony manual)を用いた。
【0049】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27
℃培養) 発育は黄色〔1ga, Lt Lemon Yellow〜lic, Chartreuse
Yellow〕で、気菌糸は着生せず、溶解性色素は黄色味を
帯びる。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) 黄色〔1 la, Lemon Yellow〕〜うす黄茶〔2ic, Honey G
old 〜2pe, Mustard Gold 〕の発育上に、白の気菌糸を
わずかにうっすらと着生し、溶解性色素は茶色味を帯び
る。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄茶〔2ic, Honey Gold 〕〜明るい茶灰〔2ie, Lt
Mustard Tan 〕の発育上に、白の気菌糸を着生する。溶
解性色素は茶色味を帯びる。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄茶〔1 1/2ic, Lt Antique Gold〜1 1/2 ne, Anti
que Gold〕の発育上に、白〜黄味灰〔1ea, Canary Yell
ow〕の気菌糸を着生する。溶解性色素は茶色味を帯び
る。
【0050】(5)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27
℃培養) 明るい茶灰〔2ie, Lt Mustard Tan 〜2ig, Slate Tan〕
の発育上に、白〜黄色〔1ga, Lt Lemon Yellow〕の気菌
糸を着生する。溶解性色素は暗い茶を呈する。 (6)栄養寒天培地(27℃培養) 発育は明るい茶灰〔2gc, Bamboo 〜3gc, Lt Tan 〕で、
気菌糸は着生せず、溶解性色素は茶色味を帯びる。 (7)イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地2、27℃培
養) うす黄茶〔2lg, Mustard Tan〕の発育上に、白の気菌糸
をうっすらと着生し、溶解性色素は茶色を呈する。 (8)オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) 黄色〔1 1/2la, Brite Yellow 〕〜うす黄茶〔2ec, Bis
cuit〜1 1/2ne, Antique Gold 〕の発育上に、白の気菌
糸を着生する。溶解性色素は黄色味を帯びる。 (9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 発育は黄色〔1 la, Lemon Yellow〕〜うす黄茶〔1 1/2n
e, Antique Gold 〜2ng, Dull Gold〕で、気菌糸は着生
せず、溶解性色素は茶色味を帯びる。
【0051】(10)スターチ寒天培地(27℃培養) 黄色〔1ga, Lt Lemon Yellow〜1ic, Chartreuse Yello
w〕の発育上に、白の気菌糸をごくわずかに着生し、溶
解性色素は黄色味を帯びる。 (11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 発育は黄色〔1 la, Lemon Yellow〕〜うす黄茶〔1 1/2i
a, Sunlight Yellow〜1 1/2 lc, Gold〕で、気菌糸は着
生せず、溶解性色素は黄色味を帯びる。 (12)セルロース(ろ紙片添加合成後、27℃培養) 35日間の培養では生育しなかった。
【0052】(13)ゼラチンの穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、うす黄の発育
上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は茶色味を帯び
る。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(27℃培養)
の場合、茶灰の発育上に、白の気菌糸をわずかにうっす
らと着生し、溶解性色素は暗い茶を呈する。 (14)脱脂牛乳(37℃培養) うす黄〜うす黄茶の発育上に、白の気菌糸をわずかにう
っすらと着生し、溶解性色素は暗い茶を呈する。
【0053】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 イースト・スターチ寒天培地(溶性デンプン 1.0%、イ
ースト・エキス 0.2%、ひも寒天 3.0%、pH 7.0)を用
い、10℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の各温
度で試験した結果、10℃および50℃を除き、そのいずれ
の温度でも生育する。生育至適温度は27℃〜30℃付近と
思われる。
【0054】(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン
培地、20℃培養:グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地、27℃培養) 単純ゼラチン培地においては21日間の培養で液化が認め
られなかった。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地に
おいては培養後17日目頃より液化が認められ、5週間を
経過しても完了しなかった。その作用は弱い方である。
【0055】(3)スターチの加水分解(スターチ・無
機塩寒天培地、ISP-培地4及びスターチ寒天培地、いず
れも27℃培養) いずれの培地においても培養後6日目頃より水解性が認
められ、その作用は中等度〜強い方である。 (4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂牛乳、37℃培
養) 培養後7日目頃より凝固なしに、ペプトン化が始まり、
培養3週間で完了した。その作用は中等度〜強い方であ
る。 (5)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP-培地1:ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP-培地6:チロシン寒天培地、ISP-培地7:いず
れも27℃培養) いずれの培地においても陽性である。
【0056】(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴト
リーブ寒天培地、ISP-培地9、27℃培養) D−グルコース、L−アラビノース、ラクトース、D−
フラクトース、シュクロース、イノシトール、ラフィノ
ース及びD−マンニトールを利用して発育し、ラムノー
スは利用しない。D−キシロースの利用の存否は判然と
しない。 (7)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプト
ン水、ISP-培地8、27℃培養) 陰性である。 (8)セルロースの分解(ろ紙片添加合成後、27℃培
養) 35日間の観察で分解は認められない。
【0057】以上の性状を要約すると、MJ672-m3株は、
その形態上、基生菌糸よりらせん状の気菌糸を伸長し、
輪生枝及び胞子のうは認められない。成熟した胞子鎖は
10〜50個の円筒形の胞子を連鎖し、その表面はとげ状で
ある。種々の培地で、発育は黄色〜うす黄茶、気菌糸は
白を呈し、溶解性色素は黄色味〜茶色味を帯びる。生育
至適温度は27〜30℃付近である。メラニン様色素の生成
は陽性、蛋白分解力は中等度、スターチの水解性は中等
度〜強い方である。なお、細胞壁に含まれる2,6-ジアミ
ノピメリン酸はLL−型であった。
【0058】これらの性状より、MJ672-m3株は、ストレ
プトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられる。
近縁の既知菌種を検索するとストレプトミセス・ハワイ
エンシス(Streptomyces hawaiiensis)[文献1, Shirli
ng, E. B. およびD. Gottlieb, International Journal
of Systematic Bacteriology 、18巻, 316 頁、1968
年、文献2, Skerman, V. B. D., V. Mcgowan, およびP.
H. A. Sneath, International Journal of Systematic
Bacteriology 、30巻、387 頁、1980年〕、ストレプト
ミセス・ロンギスポルス(Streptomyces longisporus)
[文献1, Shirling, E. B. およびD. Gottlieb, Intern
ational Journal of Systematic Bacteriology 、18巻,
342 頁、1968年、文献3, Skerman, V. B. D., V. Mcg
owan, およびP. H. A. Sneath, International Journa
l of Systematic Bacteriology 、30巻、391 頁、1980
年〕があげられる。
【0059】MJ672-m3株がこれらの2種のストレプトミ
セスと異なるところは、両者が共にラムノースを利用す
る点である。その他では気菌糸の色調等に些少の相違点
を認めるが、実地にこれら2菌種との比較実験にまたね
ばならない。そこで現時点では、MJ672-m3株をストレプ
トミセス・エスピー(Streptomyces sp.)MJ672-m3とす
る。なお、MJ672-m3株は工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託申請し、平成6年1月10日、FERM P-14047と
して受託された。
【0060】チアジノトリエノマイシンA、B、C、D
又はEの生産菌は、以下では単にチアジノトリエノマイ
シン生産菌という。
【0061】上記の抗生物質チアジノトリエノマイシン
はチアジノトリエノマイシン生産菌を本抗生物質の生産
に適した培地に接種し培養することにより生産される。
培地としては、通常の放線菌の培養に用いられる栄養源
含有培地でよい。その栄養源としては、例えば市販され
ているペプトン、肉エキス、コーン・スティープ・リカ
ー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、MZ−アミ
ン、カゼイン水解物、硝酸ソーダ、硝酸アンモニウム、
硫酸アンモニウムなどの窒素源、及び市販されているグ
リセリン、しょ糖、でん粉、グルコース、ガラクトー
ス、マンノース、糖蜜などの炭水化物、あるいは脂肪な
どの炭素源、及び食塩、リン酸塩、炭酸カルシウム、硫
酸マグネシウムなどの無機塩を使用できる。その他必要
に応じて微量の金属塩、消泡剤としての動・植・鉱物油
などを添加することもできる。これらのものは生産菌が
利用し抗生物質チアジノトリエノマイシンの生産に役立
つものであればよく、放線菌の公知の培養材料はすべて
用いることができる。
【0062】チアジノトリエノマイシンの大量生産には
液体培養が好ましく、培養温度はチアジノトリエノマイ
シンを生産できる範囲に適用できる。培養は以上述べた
条件を適用しチアジノトリエノマイシン生産菌の性質に
応じて適宜選択して行うことができる。
【0063】好ましい培養方法として、チアジノトリエ
ノマイシン生産菌を栄養源含有培地に接種して好気的に
発育させるが、このことにより、チアジノトリエノマイ
シンを含む培養物が得られる。下記の組成をもつ培地が
好適である。すなわち、ポリペプトン(日本製薬)0.4
%、トーストソーヤ(日清製油)1.0 %、イーストエキ
ス(日本製薬)0.1 %、肉エキス(極東製薬)0.4 %、
グルコース(和光純薬)5.0 %、塩化ナトリウム(和光
純薬)0.25%、炭酸カルシウム(小宗化学薬品)0.5 %
を含み且つpHを1N塩酸で 7.0に調整した培地が好適に使
用できる。本抗生物質の生産はワッフル付き 500mlのエ
ルレンマイヤーフラスコ90本に上記培地を1本当たり 1
10mlずつ加え、種母を加え、さらに5日間、27℃でロー
タリーシェーカーで振盪培養して行うのが好ましい。な
お、通常は、培養4日目と5日目での培養物中のチアジ
ノトリエノマイシンの力価は同じであった。
【0064】チアジノトリエノマイシンは、培養濾液及
び菌体の両方に存在する。培養濾液からはpH 4.0以下で
酢酸エチル、n-ブタノール等、水不混和性の有機溶剤で
抽出することができる。菌体よりメタノール、含水アセ
トン等の有機溶剤で抽出後、抽出液を減圧濃縮し、培養
濾液と同様の方法で更に溶剤抽出することができる。
【0065】上述の抽出法に加え、脂溶性物質の採取に
用いられる公知の方法、例えば吸着クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィー、高速液体クロマトグ
ラフィー等を適宜組み合わせ、あるいは繰り返すことに
より純粋な形でチアジノトリエノマイシンを採取するこ
とができる。
【0066】培養工程並びに精製工程中でチアジノトリ
エノマイシンの追跡は前記の試験法により、ヒト子宮頚
癌細胞株としてのHeLa細胞またはC33A細胞に対する細胞
毒性を測定することで行った。
【0067】第3の本発明によると、前記の一般式
〔I〕で表わされるチアジノトリエノマイシンA、B、
C、D又はE又はその塩を有効成分として含有すること
を特徴とする制癌剤が提供される。
【0068】本発明のチアジノトリエノマイシンを医薬
として用いる場合には、一般に経口的にまたは非経口的
に投与できる。チアジノトリエノマイシンまたはその製
薬学的に許容できる塩は、賦形剤あるいは担体と混合し
て注射剤、経口剤または坐剤などの製剤の形で投与され
る。賦形剤および担体としては製薬学上許容されるもの
が選ばれ、その種類および組成は投与経路や投与方法に
よって決まる。例えば、液状担体として水、アルコール
もしくは大豆油、ゴマ油、ミネラル油などの動植物油、
または合成油などが用いられる。固体担体としてマルト
ース、シュクロースなどの糖類、リジンなどのアミノ酸
類、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘
導体、シクロデキストリンなどの多糖類、ステアリン酸
マグネシウムなどの有機酸塩などが使用される。
【0069】注射剤として製剤する場合には、液状担体
は一般に生理食塩水、各種緩衝液、グルコース、イノシ
トール、マンニトールなどの糖類溶液、エチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、などのグリコール類で
あることができる。また、イノシトール、マンニトー
ル、グルコース、マンノース、マルトース、シュクロー
スなどの糖類、フェニルアラニンなどのアミノ酸類など
の賦形剤と共に凍結乾燥製剤とし、それを投与時に注射
用の適当な溶剤、例えば滅菌水、生理食塩水、ブドウ糖
液、電解質溶液、アミノ酸などの静脈投与用液体に溶解
して使用できる。
【0070】製剤された組成物中におけるチアジノトリ
エノマイシンの含量は製剤型により種々異なるが、通常
は 0.1〜99重量%、好ましくは1〜90重量%である。例
えば注射液の場合には、通常、0.1 〜5重量%の含量で
チアジノトリエノマイシンを含むようにすることがよ
い。経口投与の場合には、前記固体担体もしくは液状担
体と共に錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、ドライシロ
ップ剤、液剤、シロップ剤などの形態で用いられる。カ
プセル、錠剤、顆粒、粉剤の場合、一般にチアジノトリ
エノマイシンの含量は3〜100 重量%、好ましくは5〜
90重量%であり、残部は担体である。
【0071】本発明によるチアジノトリエノマイシンま
たはその塩の投与量は、患者の年令、体重、症状、治療
目的などにより決定される。しかし、その投与量は動物
試験の結果など種々の状況を勘案して総投与量が一定量
を越えない範囲で、連続的または間けつ的に投与でき
る。一定の条件下における投与の適量と投与回数は、専
門医の決定による。
【0072】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、チアジノト
リエノマイシンの性状が本発明によって明らかにされた
ので、それらの性状にもとずきチアジノトリエノマイシ
ンの製造法を種々考案することができる。従って本発明
は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中で
%は重量%である。また、力価(u)とは、HeLa細胞の
増殖を50%阻害する被検定物質の量を1uと定義する。
【0073】実施例1 寒天斜面培地で培養したストレプトミセスMJ672-m3株
(微工研菌寄第FERM P-14047号)をグルコース 5.0%、
ポリペプトン 0.4%、イーストエキス 0.4%、肉エキス
0.4%、塩化ナトリウム0.25%、トーストソーヤ 1.1
%、炭酸カルシウム0.5%の組成からなる液体培地(pH
7.0)をワッフル付きの 500mlエルレンマイヤーフラス
コに 110ml入れた三角フラスコ3本に1白金耳ずつ接種
し、27℃で2日間振盪培養した。
【0074】それを種培養として上記と同じ培地を110m
l ずつ分注した上記三角フラスコ90本に2mlずつ接種
し、27℃で5日間振盪培養した。5日間培養後培地のpH
は 8.4であり、フラスコ90本の全力価は2500万 uであっ
た。培地を濾過し、菌体約900g(湿重量)を得た。菌体
900gの力価は1800万 uであった。
【0075】以下菌体からの目的のチアジノトリエノマ
イシンの採取と精製法を詳細に説明する。菌体 900gを
メタノール3Lで抽出後、さらに66%アセトン3Lで2
回抽出後、抽出液を合わせ減圧濃縮乾固した。次に酢酸
エチル2Lと等量の水を加え、pH 3.0で攪拌し、酢酸エ
チル層に転溶させた(1500万 u) 。さらに、減圧濃縮
し、混合溶媒ヘキサン−メタノール−水(10:9:1)
の3Lで2回攪拌抽出し、抽出液の下層を減圧濃縮乾固
した。1.7 gの黄色油状物質(1400 万 u) が得られた。
【0076】シリカゲル(Merck Art. 7734)85gを5cm
×20cmのカラムにクロロホルム 170mlに懸濁して詰めて
おき、上記の 1.7gの黄色油状物質を20mlのクロロホル
ムに懸濁したものを、チャージした。その後このカラム
を 500mlのクロロホルムで洗った。次にクロロホルム−
メタノール(50:1)の混液 500mlを流し、その回収液
を減圧濃縮、乾固すると、飴状物質(I) 130mg (200万
u) を得た。更に、クロロホルム−メタノール(10:1)
の混液を 500ml流し減圧濃縮乾固すると、飴状物質(II)
400mg(750万 u) を得た。前者の飴状物質(I) (200万
u) を約5mlのメタノールに溶解し、セファデックスLH2
0(ファルマシア社製)をメタノールに懸濁して詰めた
カラム(3cm×50cm)350 mlにかけ、メタノールで溶出さ
せ3mlずつ分画した。
【0077】活性分画No.125〜196 を集めて減圧乾固
し、51.2mg (180 万 u) の白色粉末物質を得た。さら
に、C18 低圧分取カラム(クロマトレックス、センシュ
ー科学社製、3.5cm ×30cm)にかけ、65%メタノールで
溶出させ、10mlずつ分画した。活性分画No.60 〜80を集
めて減圧乾固すると、15.9mg(180 万 u) の微黄色粉末
物質を得た。
【0078】さらにこの粉末を高速液体クロマトグラフ
ィー(マイクロボンダスフェアウォーターズ社製サイズ
19mm×150mm)にかけ、65%メタノールを9.9ml/min の流
速で流し、活性ピークを分取した。カラムの温度は、40
℃で、1回のチャージ量は2mgとした。同じ操作を8回
繰り返し、保持時間25分と30分のピークを分取し、減圧
乾固したところ、白色粉末としてチアジノトリエノマイ
シンAの4.3mg(40万 u) と微黄色粉末としてチアジノト
リエノマイシンBの8.3mg(80万 u) がそれぞれ得られ
た。
【0079】また、前記のクロロホルム−メタノール
(10:1)の溶出画分から得られた飴状物質(II) 400mg(7
50万 u) を、約5mlのメタノールに可溶化させた。得ら
れた溶液をセファデックスLH20カラム(3cm×50cm)350m
l にかけメタノールで溶出させ3mlずつ分画した。活性
分画No.90 〜119(I)と No.120 〜170 (II)をそれぞ
れ集めて減圧乾固すると粉末(I)160mg (100万 u) ,
粉末(II)300mg (500万u) をそれぞれ得られた。
【0080】粉末(I)を上記と同様に、 C18低圧分取
クロマトグラフィーにかけ活性分画No. 60〜75を回収
し、減圧乾固すると、白色粉末のチアジノトリエノマイ
シンEが14.3mg (70万 u) 得られた。活性分画No. 45〜
55を回収し減圧乾固したところ、6.0mg の微黄色粉末が
得られた。この微黄色粉末を上記と同様に高速液体クロ
マトグラフィーにかけ、これにより保持時間26分のピー
クを分取し減圧乾固した。微黄色粉末としてチアジノト
リエノマイシンCが3.5mg (3.5万 u) 得られた。
【0081】上記の粉末(II)を上記と同様に、C18 低
圧分取クロマトグラフィーにかけ、活性分画No. 71〜10
0 を回収し、減圧乾固した。白色粉末のチアジノトリエ
ノマイシンEが5.3mg(26万 u) 得られた。また活性分画
No.43 〜70を回収し減圧乾固したところ粉末80mgが得ら
れた。この粉末を上記と同様に、高速液体クロマトグラ
フィーにかけ、これにより同じ操作を40回繰り返し分取
した。保持時間35分と40分のピークを分取し、減圧乾固
したところ、微黄色粉末としてチアジノトリエノマイシ
ンDが9.2mg(50万 u) 得られ、また白色粉末としてチア
ジノトリエノマイシンEが29.5mg(150 万 u) 得られ
た。
【0082】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明により
新規制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシン群が提供
された。チアジノトリエノマイシンは、ヒトの胃癌株MK
N28 よりも子宮頚癌株C33A HeLa に約 100倍強い活性を
有することから、ヒトの癌組織に選択的に作用する物質
と考えられる。さらに、チアジノトリエノマイシンに対
する急性毒性値が低く且つ抗菌活性を示さない。このこ
とからチアジノトリエノマイシンは抗菌活性のある抗生
物質に通常有りがちな抗生物質投与による菌交代症の問
題をクリアーできる新規制癌性抗生物質と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】KBr 錠法で測定したチアジノトリエノマイシン
Aの赤外部吸収スペクトルを表す。
【図2】KBr 錠法で測定したチアジノトリエノマイシン
Bの赤外部吸収スペクトルを表す。
【図3】KBr 錠法で測定したチアジノトリエノマイシン
Cの赤外部吸収スペクトルを表す。
【図4】KBr 錠法で測定したチアジノトリエノマイシン
Dの赤外部吸収スペクトルを表す。
【図5】KBr 錠法で測定したチアジノトリエノマイシン
Eの赤外部吸収スペクトルを表す。
【図6】重ピリジン中で500MHzで測定したチアジノトリ
エノマイシンAの1 H-NMR スペクトルを表す(内部標準
はテトラメチルシラン)。
【図7】重ピリジン中で500MHzで測定したチアジノトリ
エノマイシンBの1 H-NMR スペクトルを表す(内部標準
はテトラメチルシラン)。
【図8】重ピリジン中で500MHzで測定したチアジノトリ
エノマイシンCの1 H-NMR スペクトルを表す(内部標準
はテトラメチルシラン)。
【図9】重ピリジン中で500MHzで測定したチアジノトリ
エノマイシンDの1 H-NMR スペクトルを表す(内部標準
はテトラメチルシラン)。
【図10】重ピリジン中で500MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンEの1 H-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
【図11】重ピリジン中で125MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンAの13C-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
【図12】重ピリジン中で125MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンBの13C-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
【図13】重ピリジン中で125MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンCの13C-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
【図14】重ピリジン中で125MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンDの13C-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
【図15】重ピリジン中で125MHzで測定したチアジノト
リエノマイシンEの13C-NMR スペクトルを表す(内部標
準はテトラメチルシラン)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:465) C12R 1:465 (72)発明者 飯沼 寛信 神奈川県横浜市緑区白山4丁目61番17号 (72)発明者 細川 信夫 東京都調布市小島町2丁目15番19号 (56)参考文献 J.Antibiot.,Vol. 38,No.6(1985),p.699−705 J.Antibiot.,Vol. 35,No.11(1982),p.1460−1466 J.Antibiot.,Vol. 35,No.11(1982),p.1467−1473 J.Antibiot.,Vol. 35,No.11(1982),p.1474−1479 J.Antibiot.,Vol. 48,No.6(1995),p.471−478 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 17/00 - 17/18 C07D 513/08 JSTPlus(JOIS) CA/REGISTRY(STN) BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式 〔式中、Rはシクロヘキシル基、シクロヘキセニル基あ
    るいはイソブチル基を示し、さらにXは水素原子を示し
    且つYとZは一緒になって式 の基をなし、あるいはXとYは一緒になって式 の基をなし且つZは水素原子を示す〕で表される化合物
    である制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシンA、
    B、C、DまたはEあるいはその酸付加塩。
  2. 【請求項2】 次の一般式 〔式中、Rはシクロヘキシル基またはシクロヘキセニル
    基である〕で表される化合物である請求項1に記載の制
    癌性抗生物質チアジノトリエノマイシンAまたはBある
    いはその酸付加塩。
  3. 【請求項3】 次の一般式 〔式中、Rはシクロヘキシル基、シクロヘキセニル基あ
    るいはイソブチル基である〕で表される化合物である請
    求項1に記載の制癌性抗生物質チアジノトリエノマイシ
    ンC、DまたはEあるいはその酸付加塩。
  4. 【請求項4】 ストレプトミセス属に属するチアジノト
    リエノマイシンA、B、C、D又はEの生産菌を培養
    し、その培養物から制癌性抗生物質チアジノトリエノマ
    イシンA、B、C、D又はEを採取することを特徴とす
    る、請求項1に記載の一般式〔I〕の制癌性抗生物質チ
    アジノトリエノマイシンA、B、C、DまたはEの製造
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1に示された一般式〔I〕で表わ
    されるチアジノトリエノマイシンA、B、C、D又はE
    又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする
    制癌剤。
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