JP2989674B2 - 制癌性物質サイトブラスチンおよびその製造法 - Google Patents

制癌性物質サイトブラスチンおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な制癌性物質サイト
ブラスチンおよびその塩に関し、またサイトブラスチン
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】インドラクタム骨格を有する抗生物質と
してテレオシジンB(Teleocidin B)が
「Bull. Agr. Chem.Soc.Jap
an」24,647頁及び同誌24,652頁(196
2)に開示されている。
【0003】本発明によるサイトブラスチンは、これら
テレオシジン群の抗生物質とは、インドラクタム骨格の
7位に対してインドール環と1,2−プロパンジオール
基とを含む置換基が結合する点で化学構造上で異なり、
また生物活性も異なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来既知の制癌性又は
抗腫瘍性物質は一般に毒性が強く、臨床での使用に大き
な制約となっている。そこで、毒性の弱い新しい制癌性
化合物が求められている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは新し
く、毒性の低い制癌剤化合物を見いだすべく、鋭意研究
を行なっている。そして、本発明者らは、ストレプトバ
ーチシリウム属に属する一菌株の培養液中に抗腫瘍活性
をもつ物質が産生され蓄積されていることを認め、その
物質を単離してそれの化学構造が後記の式(I)で表わ
し得ること、この物質が抗腫瘍活性を有すること及び新
規な化合物であることを知見した。これらの研究の結果
に基づいて、本発明を完成した。
【0006】すなわち、第1の本発明は式(I): で表わされる制癌性物質サイトブラスチンもしくはその
塩に関する。また、第2の本発明はストレプトバーチシ
リウム属に属するサイトブラスチン生産菌を培養し、そ
の培養物から上記の式(I)のサイトブラスチンもしく
はその塩を採取することを特徴とする、サイトブラスチ
ンもしくはその塩の製造法に関するものである。
【0007】本発明によるサイトブラスチンは塩基性の
物質であってその塩には、酸付加塩がある。サイトブラ
スチンの酸付加塩の例には、製薬学的に許容できる無機
酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸など、あるいは製薬
学的に許容できる有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、
マレイン酸、メタンスルホン酸などとの付加塩がある。
【0008】本発明によるサイトブラスチンは下記の理
化学的性状を有するものである。
【0009】サイトブラスチンの化学構造は次のとおり
解析された。すなわち、サイトブラスチンの紫外部吸収
スぺクトルに225と300nmの吸収があり、これは
テレオシジン群化合物のそれに類似している。また、こ
の吸収以外に283と290nmに吸収が認められるこ
とから、サイトブラスチンの分子内には、更にインドー
ル環の存在が示唆された。サイトブラスチンの分子式と
その核磁気共鳴スペクトルの解析は、インドラクタムV
〔Indolactam V, 「Tetrahed
oron 」42,5905−5942頁,(198
6)参照〕の骨格に、もう一つのインドール環とプロパ
ンジオール部分が結合していることを示した。特に
核と13C核間の遠隔スピン結合を測定する異種核相関
(HMBC)スペクトルをサイトブラスチンのトリアセ
チル化物について測定して、そのスペクトルの詳細な解
析をした。その結果、前記(I)式に表わされるよう
に、サイトブラスチンはインドラクタムV骨格の7位に
2,3−ジヒドロキシ−1−(3−インドリル)プロピ
ル基[2,3−dihydroxy−1−(3−ind
olyl)propyl基]が結合している構造をもつ
ことを明らかにした。
【0010】サイトブラスチンは後記の生物学的性質を
有する。サイトブラスチンはグラム陽性および陰性細
菌、並びにかびに対して100μg/mlの濃度で抗菌
活性を示さなかった。
【0011】各種の動物癌細胞及び人癌細胞に対するサ
イトブラスチン増殖阻害活性(IC50値)は、表1に示
すように、ヒト肺癌細胞LX−1を除いてサイトブラス
チンのIC50値で>100μg/mlであり、このよう
にサイトブラスチンの細胞毒性は非常に低い。
【0012】
【0013】サイトブラスチンのリンパ球の増殖に対す
る影響は以下の方法によって調べた。すなわち、ナイロ
ンウール通過Fischerラット脾臓細胞にコンカナ
バリンAを5μg/mlの量で加え、37℃、4時間培
養する。20mg/mlのメチルマンノシドを加え2回
培地で洗浄する。この細胞を2×10cells/w
ellとなるようにマイクロプレートに加え、更に試料
としてサイトブラスチンを10μlの量で加え37℃、
72時間培養した。H−チミジンを加え18時間培養
した後、培養細胞中へのH−チミジンの取り込みをシ
ンチレーションカウンターで測定した。対照群のリンパ
球に取り込まれたH−チミジンのカウントを100と
したときのサイトブラスチン添加群に取り込まれた3H
−チミジンのカウントの割合(T/C,%)を表2に示
した。
【0014】
【0015】サイトブラスチンのエールリッヒ固形癌担
癌マウスに対する治療実験は以下の方法によって行っ
た。すなわち、ICRマウス(雌性、6週令)にエール
リッヒ腹水癌細胞を2×106 個/マウスとなるように
鼠蹊部皮下に移植し、移植後7日目から14日目までサ
イトブラスチンを7.8,31.25,125または5
00μg/マウスの各投与量で連日腹腔内に投与した。
癌細胞移植後15日目に固形癌を取り出し、生理食塩水
を投与した対照群のマウスの固形癌の重量を100とし
たときのサイトブラスチン投与群の固形癌の重量の減少
の割合を阻害率として表3に示した。
【0016】
【0017】本発明によるサイトブラスチンは、ストレ
プトバーチシリウム属に属するサイトブラスチン生産菌
を培養してその培養物中にサイトブラスチン及び(又
は)その塩を蓄積させ、その後にそれを採取することに
よって製造できる。本発明の方法で使用できるストレプ
トバーチシリウム属に属するサイトブラスチン(もしく
はその塩)の生産菌の一例には、神奈川県横浜市で採取
された放線菌の菌株であってMI43−37F11株の
菌株番号を付された菌株がある。本菌株の菌学的特徴は
次に記載されるとおりである。 MI43−37F11株の菌学的性状
【0018】1.形態 MI43−37F11株は、顕微鏡下で分枝した気中菌
糸より輪生枝を有する気菌糸を伸長する。気菌糸の先端
には10個以上の胞子の連鎖をみとめ、らせん形成はみ
とめられない。胞子の大きさは、0.7〜0.8×1.
1〜1.2ミクロン位を示し、胞子の表面は平滑であ
る。
【0019】2.各種培地における生育状態 (1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 発育は無色であり、気菌糸は白でうっすらと着生し、溶
解性色素は認められない。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培
養) 無色〜うす黄〜うす黄茶の発育上に、黄味白の気菌糸を
うっすらと着生する。また、部分的に白の綿状の着生も
みられ、溶解性色素は認められない。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培
地5、27℃培養) 発育は無色〜うす黄茶、気菌糸は白である。溶解性色素
はわずかに茶色味を呈する。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、2
7℃培養) 無色〜うす黄茶の発育上に黄味白〜明るいオリーブ灰の
気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (5)チロシン寒天培地(ISP−培地7、27℃培
養) 発育はうす黄茶〜明るい灰茶、気菌糸は白〜茶白、溶解
性色素は認められない。 (6)栄養寒天培地(27℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生
し、黒っぽい溶解性色素をわずかに認める。 (7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27
℃培養) 無色〜うす黄茶のしわのある発育上に、白〜茶白の気菌
糸を着生し溶解性色素は認められない。 (8)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃
培養) 無色〜うす黄の発育上に、白〜黄味白の気菌糸をうっす
らと着生し、溶解性色素は認められない。 (9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 発育は無色〜うす黄、気菌糸は白〜黄味白でうっすらと
着生し、溶解性色素は認められない。 (10)スターチ寒天培地(27℃培養) 無色〜うす黄〜うす黄茶の発育上に、白〜黄味白の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 発育は無色で生育はきわめて悪く、白の気菌糸をわずか
に着生し、溶解性色素も認められない。 (12)セルロース・濾紙片添加合成液(27℃培養) 無色の発育上に気菌糸を着生せず、溶解性色素も認めら
れない。 (13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、発育は無
色、気菌糸は着生せず、うす黄茶の溶解性色素が認めら
れる。又、グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(27
℃培養)では、発育は無色、気菌糸は着生せず溶解性色
素はわずかに茶色味を呈する。 (14)脱脂牛乳(37℃培養) 無色〜うす茶の発育上に、気菌糸は着生せず溶解性色素
はわずかにうす黄〜茶色味をおびる。
【0020】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、BAKU
TO−INORGANIC−SALTS STARCH
−AGAR)を用い20℃、24℃、27℃、30℃、
37℃、50℃の各温度で試験の結果、50℃を除いて
そのいずれの温度でも発育したが最適生育温度は27℃
付近と思われる。 (2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン培地、20
℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培地、27℃
培養) 単純ゼラチン培地、グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地のいずれでも3日目頃より液化が始まりその作用は中
程度〜強い方である。 (3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地
及びスターチ・寒天培地、いずれも27℃培養) スターチ・無機塩寒天培地、スターチ寒天培地ともに培
養後3日目頃より水解性が認められ、その作用は強い方
である。 (4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂牛乳、37℃
培養) 培養後2日目には凝固が始まり、3日目には完了し直ち
にペプトン化が始まる。ペプトン化の進行はきわめて遅
く、培養後3週間を経ても完了しない。 (5)メラミン用色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス,ISP−培地7、いずれも27℃培養) ペプトン・イースト・鉄寒天培地では陽性、チロシン寒
天培地では陰性、トリプトン・イースト・ブロスでは陽
性であると思われる。 (6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培
地,ISP−培地9、27℃培養) グルコース、フラクトース、イノシトールを利用して発
育し、L−アラビノース、D−キシロース、シュクロー
ス、ラムノース、ラフィノース、D−マンニトール、ラ
クトースは利用しない。 (7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天培地、2
7℃培養) 陰性である。 (8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペ
プトン水,ISP−培地8、27℃培養) やや弱いが陽性である。 (9)セルロースの分解(濾紙片添加合成培地、27℃
培養) 陰性である。
【0021】以上の性状を要約すると、MI43−37
F11株の気菌糸は輪生枝を有し、らせん形成は認めら
れず、胞子の表面は平滑である。種々の培地で無色〜う
す黄茶の発育上に白〜茶白、あるいは黄味白、時に明る
いオリーブ灰の気菌糸を着生する。溶解性色素は認めら
れないか茶色味を帯びる程度である。メラミン様色素の
生成はチロシン寒天培地では陰性、トリプトン・イース
ト・ブロス及びペプトン・イースト鉄寒天培地で、陽性
である。蛋白分解力は中程度〜強い方であり、スターチ
の水解性も強い方である。なお、細胞壁に含まれる2,
6−ジアミノピメリン酸はLL−型であった。
【0022】これらの性状より、MI43−37F11
株はストレプトバーチシリウム(Streptover
ticillium)属に属するものと考えられた。更
に近縁の既知菌種を検索すると、ストレプトバーチシリ
ウム・ユーロシディクム(Streptovertic
illium eurocidicum)及びストレプ
トバーチシリウム・アルビレティキュリ(Strept
overticillium albireticul
)が挙げられた。そこで、MI43−37F11株と
これら菌種について実地に比較検討し結果をまとめると
表4に示したようになる。
【0023】
【0025】表4から明らかなように、MI43−37
F11株とストレプトバーチシリウム・ユーロシディク
ム及びストレプトバーチシリウム・アルビレティキュリ
とは3者ともが極めて類似した性質を有する。
【0026】MI43−37F11株により近縁の種を
選ぶとすると、気菌糸が明るいオリーブ灰を呈するこ
と、ISP−培地7におけるメラミン様色素の生成がお
そらく陰性である点、フラクトースをおそらく利用する
こと等からストレプトバーチシリウム・ユーロシディク
ムが挙げられる。
【0027】従ってMI43−37F11株をストレプ
トバーチシリウム・ユーロシディクム(Strepto
verticillium eurocidicu
)MI43−37F11株と同定した。なお、MI4
3−37F11株を工業技術院微生物工業技術研究所に
寄託申請し、平成元年1月27日、微工研菌寄第105
13号として受託され、さらにブダペスト条約の規約の
下に平成2年2月28日に移管されて微工研条寄第27
83号として寄託してある。
【0028】次に、サイトブラスチンおよびその塩の製
造について説明する。ストレプトバーチシリウム属に属
するサイトブラスチン(およびその塩)生産菌株を栄養
源含有培地に接種して好気的に発育させることによって
サイトブラスチン(およびその塩)を含む培養物が得ら
れる。栄養源としては放線菌の栄養源として使用しうる
ものが使用される。栄養源として、例えば市販されてい
るペプトン、肉エキス、コーン・ステイープ・リカー、
綿実粉、落花生粉、大豆粉、酵母エキス、NZ−アミ
ン、カゼインの水解物、硝酸ソーダ、硝酸アンモニウ
ム、硫酸アンモニウムなどの窒素源、及び市販されてい
るグリセリン、しょ糖、でん粉、グルコース、ガラクト
ース、マンノース、糖蜜などの炭水化物あるいは脂肪な
どの炭素源が使用できる。更に、食塩、リン酸塩、炭酸
カルシウム、硫酸マグネシウムなどの無機塩を添加して
使用できる。その他必要に応じて微量の金属塩を添加す
ることができる。これらのものはサイトブラスチン生産
菌が利用し、サイトブラスチン(およびその塩)の生産
に役立つ物であればよく、公知の放線菌の培養材料はす
べて用いることができる。
【0029】サイトブラスチン(およびその塩)の大量
生産には液体培養が好ましく、培養温度は生産菌が発育
しサイトブラスチン(およびその塩)を生産する範囲で
使用でき、通常27〜32℃である。培養は以上に述べ
た条件を使用するサイトブラスチン(およびその塩)生
産菌の性質に応じて適宜選択して行う事ができる。サイ
トブラスチン(およびその塩)は培養液に存在する。培
養物を濾過し、得られた培養濾液より酢酸エチル等の水
不混和性有機溶剤で抽出することができる。上述の抽出
法に加え、脂溶性物質の採取に用いられる公知の方法、
例えば吸着クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラ
フィー、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わ
せる事により純粋に採取することができる。
【0030】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれに限定されものではない。
【0031】実施例1 寒天斜面培地で培養したストレプトバーチシリウム・ユ
ーロシディクムMI43−37F11株(微工研菌寄第
10513号)よりガラクトース2.0%、デキストリ
ン2.0%、ソイペプトン(ディフコ社製バクトソイト
ン)1.0%、コーンスティープ・リカー(日本食品化
工(株)製)0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭
酸カルシウム0.2%、消泡用シリコンオイル(信越化
学工業(株)製シリコンオイルKM70)0.003
%、からなる液体培地(pH7.4)を110mlずつ
分注したワッフル付き三角フラスコ2本に一白金耳ずつ
接種し、30℃で2日間振とう培養した。それを種培養
液として、グリセリン2.0%、エスサンミート(味の
素(株)製)1.5%、リン酸1カリ0.1%、塩化コ
バルト6水和物0.0005%、消泡用シリコン0.0
03%、を含み、リン酸2カリでpH6.2に調整した
液体培地を125mlずつ分注した坂口フラスコ80本
に2.5mlずつ接種し、28℃で4日間振とう培養し
た。
【0032】培養液をろ過により濾液を菌体から分離
し、得られた培養濾液を等量の酢酸エチルで抽出した。
それを減圧濃縮し、2.0gの褐色油状物質を得た。こ
れを10gのシリカゲルにまぶしクロロホルムで充填し
た60mlのシリカゲルカラムに重層し、クロマトグラ
フィーを行った。まずカラムをクロロホルム−メタノー
ル(10:1)300mlで洗浄し次いでクロロホルム
−メタノール(8:2)300mlで溶出した。活性画
分を集め減圧濃縮し、0.5gの褐色油状物質を得た。
これを10mlのメタノールに溶かし、メタノールで充
填した10mlのカーボンカラムに流し、メタノールで
洗浄した。通過液を集め、減圧濃縮し、0.3gの褐色
油状物質を得た。
【0033】これを少量のメタノールに溶かし高速液体
クロマトグラフィーを行った。カラムはセンシュー科学
(株)製センシューパックODS330IN、20φ×
300mmを用い、50%から100%メタノールの直
線濃度勾配で、5ml/分の流速で溶出し、5mlずつ
分画した。活性画分を集め減圧濃縮し、10mgの黄色
飴状物質を得た。これを小量のメタノールに溶かし、2
×70cmのメタノールで充填したLH−20のカラム
クロマトグラフィーを行った。メタノールで溶出し3g
ずつ分画した。活性画分を集め減圧濃縮して乾固し、3
mgの白色粉状物質としてサイトブラスチンを得た。
【0034】この白色物質はシリカゲル薄層クロマトグ
ラフィー(メルク社製Art.5715、展開溶媒:ク
ロロホルム−メタノール8:2)を行うと、単一のUV
吸収スポットを与え、またFeCl−HClOで発
色させると赤色の単一スポットを与えたので、純粋なサ
イトブラスチンであると認められた。
【0035】実施例2 単一に精製されたサイトブラスチンは以下の方法によっ
て塩酸塩(または硫酸塩)とした。すなわち、実施例1
で得たサイトブラスチン20mgを20mlの酢酸エチ
ルに溶かし、そこに0.1N塩酸(または硫酸)20m
lを加え、よく振とうした後、水層を凍結乾燥すること
によりサイトブラスチンの塩酸塩(または硫酸塩)を得
た。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したとうり、本発明によ
り新規な制癌性抗生物質サイトブラスチンと、その塩が
提供され、またサイトブラスチンの製造法が提供され
た。本発明による制癌性抗生物質サイトブラスチンは毒
性が極めて弱く、固形癌に有効な点で顕著な特徴を有す
る抗腫瘍活性を示す。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】 はサイトブラスチン(メタノール中)の紫
外部吸収スペクトルを示す。
【図2】 はサイトブラスチン(KBr錠中)の赤外
部吸収スペクトルを示す。
【図3】 はサイトブラスチンのH−NMRスペク
トル(重メタノール中、400MHz)を示す。
【図4】 はサイトブラスチンの13C−NMRスペ
クトル(重メタノール中、100MHz)を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジ デンス405号 (72)発明者 前田 謙二 東京都目黒区五本木2丁目46番11号 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニューフジマンション701 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 487/06 C12P 17/18 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の式(I): で表わされる化合物である制癌性物質サイトブラスチ
    ン、およびその塩。
  2. 【請求項2】 ストレプトバーチシリウム属に属するサ
    イトブラスチン生産菌を培養し、その培養物から請求項
    1のサイトブラスチンもしくはその塩を採取することを
    特徴とする、サイトブラスチンもしくはその塩の製造
    法。
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