JPH06279479A - 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法 - Google Patents

新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法

Info

Publication number
JPH06279479A
JPH06279479A JP4213183A JP21318392A JPH06279479A JP H06279479 A JPH06279479 A JP H06279479A JP 4213183 A JP4213183 A JP 4213183A JP 21318392 A JP21318392 A JP 21318392A JP H06279479 A JPH06279479 A JP H06279479A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
methanol
culture
new antibiotic
antibiotic substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4213183A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Ishizuka
雅章 石塚
Mitsuhiro Ueno
充博 上野
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 濱田
Kenji Maeda
謙二 前田
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Microbial Chemistry Research Foundation filed Critical Microbial Chemistry Research Foundation
Priority to JP4213183A priority Critical patent/JPH06279479A/ja
Publication of JPH06279479A publication Critical patent/JPH06279479A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下記の理化学的性質を有する新規抗生物質、
MJ202−72F3−D物質およびその塩。 (1)分子式:C396613 (2)分子量:854 (3)溶解性:メタノール、酢酸エチル、クロロホル
ム、エーテルに可溶であるが水、n−ヘキサンに難溶で
ある。 (4)物質の色および性状:白色の固体である。 ストレプトミセス属に属する新規抗生物質MJ202−
72F3−D物質生産菌を培養し、その培養液から新規
抗生物質MJ202−72F3−D物質を採取すること
を特徴とする、新規抗生物質MJ202−72F3−D
物質の製造法。 【効果】 この物質は免疫抑制活性とグラム陽性細菌に
対する抗菌活性および抗腫瘍活性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌活性と抗腫瘍活性
および免疫抑制活性を有する新規抗生物質MJ202−
72F3−D物質およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物の生産する抗生物質は、これまで
多く報告されており、癌および感染症の治療に広く用い
られている。このうち、ストレプトミセス属に属する微
生物の生産する抗腫瘍性抗生物質としては、アクチノマ
イシンD,マイトマイシンC,ブレオマイシン、ダウノ
マイシン、アドリアマイシン、アクラシノマイシンなど
が知られている。
【0003】また、微生物が生産する免疫抑制物質とし
ては、サイクロスポリンA,FK506,ラパマイシン
およびスパーガリン等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は臓器移植や免
疫不全疾患および局所の炎症に有用な新規免疫抑制剤、
および細菌感染症の治療に有用な新規抗生物質、および
ある種の癌治療に有用な新規抗腫瘍活性物質を得ること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは微生物生産
物中に有用な新規生理活性物質を見出す目的で、天然の
土壌より数多くの微生物を単離し、その生産物について
種々の研究を行った。
【0006】先に、本発明者らは、免疫抑制活性並びに
抗菌活性及び抗腫瘍活性を有する新規抗生物質、MJ2
02−72F3−A、B、CおよびA′、B′、C′物
質と、その製造法を発明した(特願平4−
号;出願日;1992年6月23日)。本発明者らは更
に研究を進め、その結果、本発明者らが先に土壌から分
離したストレプトミセス属に属する微生物であるMJ2
02−72F3株の培養液中に優れた抗菌活性と抗腫瘍
活性および免疫抑制活性を有するMJ202−72F3
−D物質が生産され蓄積されることを認め、その物質を
単離し、生物学的および物理化学的性状を調べ、この物
質が免疫抑制活性とグラム陽性細菌に対する抗菌活性お
よび抗腫瘍活性を有すること、および新規化合物である
ことを見出した。
【0007】すなわち、本発明は抗菌活性と抗腫瘍活性
および免疫抑制活性を有する新規抗生物質、MJ202
−72F3−D物質およびその製造法を提供するもので
ある。
【0008】詳しく言えば、第1の本発明によると、下
記の物理化学的性状を有する新規な抗生物質、MJ20
2−72F3−D物質およびその塩が提供される。
【0009】 〔1〕MJ202−72F3−D物質の物理化学的性質 第一の本発明によるMJ202−72F3−D物質の物
理化学的性状は下記のとおりである。
【0010】(1)分子式:C3966138 高分解能FAB−MS〔Neg.〕により決定した。
【0011】C3966138 〔M−H〕- として 実測値 853.4671 計算値 853.4671 なお基準物質はPEG600を用いた。
【0012】(2)分子量:854 FAB−MS:m/z 855〔M+H〕+ ,877
〔M+Na〕+ ,853〔M−H〕- が観測された。
【0013】(3)融点:167〜170℃
【0014】(5)紫外線吸収スペクトル:添付図面の
図1に示すとおり、末端吸収のみである。
【0015】(6)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):添付図面の図2に示すとおりである。
【0016】
【0017】(7) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):添付図面の図3に示すとおりである。重メタノ
ール中メタノール(3.30ppm)を基準物質として
測定した。
【0018】(8)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):添付図面の図4に示すとおりである。重メタノ
ール中メタノール(49.00ppm)を基準物質とし
て測定した。
【0019】(9)溶解性:メタノール、酢酸エチル、
クロロホルム、エーテルに可溶、水、n−ヘキサンに難
溶である。
【0020】(10)薄層クロマトグラフィー(メルク
社製シリカゲル60F254 Art.5554使用):R
f値を次表に示す。
【0021】
【0022】(11)呈色反応:バニリン硫酸およびラ
イドンスミスに対して陽性、ニンヒドリンに対して陰性
である。
【0023】(12)物質の色および性状:白色の固体
である。
【0024】 〔2〕MJ202−72F3−D物質の生物学的活性 第1の本発明によるMJ202−72F3−D物質は、
グラム陽性菌に対して強い抗菌作用を示した。
【0025】また混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphoc
yte Culture Reaction) において、組織適合抗原依存性
のT細胞増殖反応に対して強い阻害活性を示した。更
に、in vivoにおいて、羊赤血球を抗原としたマウスの遅
延型過敏症に対し強い抑制活性を示した。一方、抗体産
生試験においては全く阻害しなかった。
【0026】また種々の培養癌細胞の増殖に対し強い阻
害活性を示した。更に、in vivo において、エールリッ
ヒ癌細胞を皮下に移植したマウスの実験系において抑制
効果を示した。
【0027】これらの結果から、T細胞を選択的に阻害
するMJ202−72F3−D物質は、臓器移植や細胞
性免疫反応を介する過敏免疫状態である自己免疫疾患治
療に有用な薬剤としての用途がある。
【0028】また、ある種の癌細胞に対し増殖阻害活性
を示し、in vivo におけるマウス固型癌の実験系におい
ても抑制効果を示したことより、抗癌剤としての用途が
ある。上要約すると、MJ202−72F3−D物質は
グラム陽性菌感染症の治療に有用であるとともに、臓器
移植や自己免疫疾患に有用な免疫抑制剤としての用途が
ある。更に、ある種の癌細胞に対して有用な抗癌剤とし
ての用途がある。
【0029】第1の本発明によるMJ202−72F3
−D物質の生理活性を後記の試験例で評価した。
【0030】試験例1 混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphocyte Culture Reac
tion) に対する阻害活性 混合リンパ球培養反応の刺激細胞としてWKYラットの
脾細胞をマイトマイシンC 50μg/mlで37℃、
20分間処理したものを用い、反応細胞としてフィッシ
ャーF344ラットの脾細胞のナイロンウール非付着細
胞を用いた。これらの細胞をPRMI1640培地(5
%、牛胎児血清を含む)中にて、種々の濃度で添加され
る供試化合物の存在下または非存在下で混合培養し37
℃、5%炭酸ガス濃度の条件下で、120時間反応させ
た。反応終了の16〜18時間前に 3H−チミジンを添
加し、その反応細胞への取り込みを液体シンチレーショ
ンカウンターにて測定した。混合リンパ球培養反応に対
する供試化合物の阻害活性は、次式で算出される阻害率
(%)で評価した。 阻害率(%)=100−(T/C×100) ただし、Tは供試化合物を添加した時の 3H−チミジン
の取り込み量を表し、Cは供試化合物無添加時の 3H−
チミジンの取り込み量を表す。その結果を表1に示す。
【0031】
【0032】試験例2 マウス遅延型過敏症に対する抑制効果 CDF1 マウスに羊赤血球(105 個/マウス)を静注
後、4日目に羊赤血球(108 個/マウス)を足蹠に皮
下注射し遅延型過敏症状を惹起した。供試化合物は免疫
後0〜4日目まで腹腔内投与し、免疫後5日目にマウス
足蹠の厚さを測定することにより抑制効果を判定した。
この抑制効果は次式で算出される阻害率(%)で評価し
た。 阻害率(%)=100−(T/C×100) ただし、Tは供試化合物を投与したときの足蹠の厚さを
表し、Cは供試化合物無投与の時の足蹠の厚さを表す。
結果を表2に示す。
【0033】
【0034】試験例3 癌細胞に対する増殖阻害活性 各種動物癌細胞を培養し、これら培養癌細胞に対する本
発明の抗生物質の増殖阻害活性(IC50)値を測定し、
その結果を表3に示す。
【0035】
【0036】試験例4 マウスのエールリッヒ癌に対する制癌効果 ICRマウスにエールリッヒ癌細胞(2×106 個/マ
ウス)を皮下に移植し、供試化合物は移植後1〜9日目
まで腹腔内投与し、移植後15日目に腫瘍の重量を測定
した。生理食塩水を投与した対照群のマウスの腫瘍重量
を100とした次式で算出される抑制率(%)で評価し
た。 抑制率(%)=100−(T/C×100) ただし、Tは供試化合物を投与したときの腫瘍重量を表
し、Cは供試化合物無投与の時の腫瘍重量を表す。その
結果を表4に示す。
【0037】
【0038】試験例5 抗菌活性 さらに本発明によるMJ202−72F3−D物質はあ
る種の細菌に対して抗菌活性を有する。寒天平板希釈法
によって測定した各種細菌および糸状菌に対するMJ2
02−72F3−D物質の最小生育阻止濃度(μg/m
l)の測定結果を表5aおよび表5bに示す。
【0039】
【0040】
【0041】さらに、第2の本発明によると、ストレプ
トミセス属に属するMJ202−72F3−D物質生産
菌を培養し、その培養物からMJ202−72F3−D
物質を採取することを特徴とする免疫抑制活性および抗
腫瘍活性を有する新規抗生物質、MJ202−72F3
−D物質の製造法が提供される。
【0042】本発明の方法に用いるMJ202−72F
3−D物質生産菌はストレプトミセス属の菌株でMJ2
02−72F3−D物質生産能を有するものであれば良
く、特に限定されない。使用できるMJ202−72F
3−D物質生産菌の一例には平成2年1月、山梨県大月
市の土壌より分離された放線菌でMJ202−72F3
の菌株番号が付された菌株がある。
【0043】以下、MJ202−72F3株の菌学的性
状について述べる。 MJ202−72F3菌の菌学的性状 1.形態 MJ202−72F3株は、分枝した基生菌糸より比較
的長い気菌糸を伸長し、その先端は5〜6回転のらせん
を形成する。輪生枝および胞子のうは認められない。気
菌糸の先端には50個以上の胞子の連鎖を認め、胞子の
大きさは約0.5〜0.7×0.8〜1.2ミクロンで
あった。なお、胞子の表面はとげ状あるいはいぼ状を呈
する。
【0044】2.各種培地における生育状態 色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
の color harmony manual)を用いた。
【0045】 (1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(30℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、部分的に明るい灰〔2fe,
Covert Gray 〕の気菌糸を着生し、溶解性色素は認めら
れない。
【0046】(2)グルコース・アスパラギン寒天培地
(30℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認めら
れない。
【0047】(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP−培地5、30℃培養) うす黄〔2gc,Bamboo〕の発育上に、白の気菌糸をう
っすらと着生し、溶解性色素は認められない。
【0048】(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP
−培地4、30℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、明るい灰〔3fe,Silver G
ray 〕の気菌糸をわずかに着生する。溶解性色素は認め
られない。
【0049】(5)チロシン寒天培地(ISP−培地
7、30℃培養) うす黄〔2gc,Bamboo〕の発育上に、白の気菌糸をう
っすらと着生し、溶解性色素は認められない。
【0050】(6)栄養寒天培地(30℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認めら
れない。
【0051】(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−
培地2、30℃培養) うす黄〔11/2 ic,Lt Antique Gold 〕の発育上に、
部分的に明るい灰〔f,〜2fe,Covert Gray 〕の気
菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0052】(8)オートミール寒天培地(ISP−培
地3、30℃培養) うす黄の発育上に、白の気菌糸をわずかに着生し、溶解
性色素は認められない。
【0053】 (9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(30℃培養) 発育は無色〜うす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は
認められない。
【0054】(10)スターチ寒天培地(30℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められ
ない。
【0055】 (11)リンゴ酸石灰寒天培地(30℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められ
ない。
【0056】 (12)セルロース(濾紙片添加合成液、30℃培養) 40日間培養後も生育は認められない。
【0057】(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、発育はう
す黄、茶白の気菌糸をわずかに着生し、溶解性色素は認
められない。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(2
7℃培養)の場合、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、
溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。
【0058】 (14)脱脂牛乳(30℃および37℃培養) 30℃培養で、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解
性色素も認められない。37℃培養の場合、発育は極め
て悪く、うす黄の発育がわずかに観察されるが、気菌糸
および溶解性色素は認められない。
【0059】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース1.0
%、L−アスパラギン0.05%、リン酸二カリウム
0.05%、紐寒天3.0%、pH7.0)を用い、2
0℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の各温
度で試験した結果、50℃を除き、そのいずれの温度で
も発育したが、37℃での生育は極めて悪い。なお、生
育至適温度は27℃〜30℃付近と思われる。
【0060】(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチ
ン培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン
培地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地およびグルコース・ペプトン・
ゼラチン培地のいずれの場合も21日間の観察で液化性
は認められない。
【0061】(3)スターチの加水分解(スターチ・無
機塩寒天培地およびスターチ寒天培地、いずれも30℃
培養) いずれの培地においても水解性は認められない。
【0062】(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂
牛乳、30℃および37℃培養) 30℃培養では、培養後21日目頃より凝固することな
くペプトン化が始まるが、その作用は極めて弱い。37
℃培養の場合、生育は極めて悪く、それらの作用は観察
されない。
【0063】(5)メラニン様色素の生成(トリプトン
・イースト・ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イー
スト・鉄寒天培地、ISP−培地6;チロシン寒天培
地、ISP−培地7;いずれも30℃培養) いずれの培地でも陰性である。
【0064】(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴド
リーブ寒天培地、ISP−培地9;30℃培養) D−グルコース、イノシトールを利用して生育し、シュ
クロース、 D−マンニトール、ラクトースは利用しな
い。 D−キシロース、 D−フルクトースの利用の存否は
判然とせず、 L−アラビノース、ラムノース、ラフィノ
ースは、おそらく利用しないと思われる。
【0065】(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰
寒天培地、30℃培養) 培養後7日目頃より、リンゴ酸石灰の溶解が認められ、
その作用は中等度である。
【0066】(8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カ
リウム含有ペプトン水、ISP−培地8、30℃培養) 陰性である。
【0067】(9)セルロースの分解(濾紙片添加合成
液、30℃培養) 40日間培養の観察では生育せず、分解は認められな
い。
【0068】以上の性状を要約すると、MJ202−7
2F3株の形態は、分枝した基生菌より5〜6回転のら
せん形成を有する気菌糸を伸長し、輪生枝および胞子の
うは認められない。気菌糸の先端には50個以上の胞子
を連鎖し、胞子の表面はとげ状あるいはいぼ状である。
種々の培地で、発育は無色〜うす黄、気菌糸の着生は悪
いが、2〜3の培地では、明るい灰の気菌糸を部分的に
着生する。溶解性色素は認められない。生育至的温度は
27℃〜30℃付近である。メラニン様色素の生成は陰
性、スターチの水解性は認められず、蛋白分解力は弱
い。
【0069】また、細胞壁に含まれる2,6−ジアミノ
ピメリン酸はLL−型であった。
【0070】これらの性状より、MJ202−72F3
株は、ストレプトミセス(Streptom yces)属に属すると
考えられる。ストレプトミセス属の既知菌種を検索する
と近縁の種として、ストレプトミセス・アルブルス(St
reptomyces albulus ,文献,International Journal
of Systematic Bacteriology,22巻,271頁,19
72年;同誌,30巻,371頁,1980年)および
ストレプトミセス・ナタレンシス(Streptomyces nata
lensis,文献,International Journal of Systematic
Bacteriology,22巻,323頁,1972年)があげ
られた。現在、MJ202−72F3株と上記2種の本
研究所保存菌株とを実地に比較検討中である。そこで現
時点では、MJ202−72F3株をストレプトミセス
・エスピー(Streptomyces sp.) MJ202−72F3
とする。
【0071】なお、MJ202−72F3株を工業技術
院微生物工業技術研究所に寄託申請し、平成3年12月
24日、微工研菌寄第12674号として受託された。
【0072】次に、第2の本発明の方法による抗生物質
MJ202−72F3−D物質の製造について説明す
る。
【0073】免疫抑制活性を有する新規抗生物質MJ2
02−72F3−D物質は、ストレプトミセス属に属す
るMJ202−72F3−D生産菌を適当な培地で培養
することにより、好ましくは好気的条件下に培養するこ
とにより、培地中に目的物質を産生、蓄積させ、次いで
培養物から目的物質を採取することにより製造すること
ができる。
【0074】培地はMJ202−72F3−D生産菌が
利用しうる任意の栄養源を含有するものでありうる。具
体的には、例えば、炭素源としてグルコース、イノシト
ール、マルトースおよび油脂類などが使用でき、窒素源
として大豆粉、綿実粕、乾燥酵母エキス、ポリペプトン
およびコーンスティープリカーなどの有機物並びにアン
モニウム塩または硝酸塩、例えば硫酸アンモニウム、硝
酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの無機物が使
用できる。また必要に応じて食塩、塩化カリウム、炭酸
カルシウム、リン酸塩、重金属塩などの無機塩類を添加
することができる。発酵中の発泡を抑制するために常法
に従って適当な消泡剤、例えばシリコーン系消泡剤を添
加することもできる。
【0075】培養方法としては、一般に行なわれている
生理活性抗生物質等の生産のための培養方法であればよ
く、特に好気的液体深部培養法が適している。培養温度
は20〜37℃が適当であるが、27〜30℃が好まし
い。この方法でMJ202−72F3−D物質の生産量
は、振盪培養、通気攪拌培養共に培養5〜7日間で最高
に達する。このようにしてMJ202−72F3−D物
質の蓄積された培養物が得られる。
【0076】培養物中では、MJ202−72F3−D
物質は菌体中および培養濾液中に存在するが、菌体中に
より多く存在する。このような培養物からMJ202−
72F3−D物質を採取するには、合目的な任意の方法
が利用可能である。そのひとつの方法は、抽出の原理に
基づくものであって、具体的には、例えば、培養濾液中
でのMJ202−72F3−D物質については水不混和
性の溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、n−ブタノ
ールなどで抽出する方法、あるいは菌体内のMJ202
−72F3−D物質については濾過または遠心分離など
で得た菌体集体をメタノール、エタノール、アセトンな
どで処理して回収する方法がある。菌体を分離せずに培
養物そのままを上記の抽出操作に付すこともできる。適
当な溶媒を用いた向流分配法も抽出の範ちゅうに入れる
ことができる。例えばCPC(Centrifugal Partition
Chromatograph 、三鬼エンヂニアリング社製)も使用で
きる。
【0077】培養物からMJ202−72F3−D物質
を採取する他の方法のひとつは、吸着の原理に基づくも
のである。例えば、培養濾液あるいは上記のようにして
抽出操作を行なうことによって得られる抽出液を対象と
して、適当な吸着剤、ゲル濾過剤、例えば、シリカゲ
ル、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、
トヨパールHW−40(東ソー社製)、ダイヤイオンH
P−20(三菱化成工業社製)などを用いたカラムクロ
マトグラフィー、ヌクレオシル5C18(西独ナーゲル社
製)などを用いた高速液体クロマトグラフィーその他に
よってMJ202−72F3−D物質を吸着させ、その
後溶離させることによりMJ202−72F3−D物質
を得ることができる。このようにして得られたMJ20
2−72F3−D物質含有溶液を減圧濃縮乾固すれば、
MJ202−72F3−D物質の粗標品が得られる。
【0078】このようにして得られるMJ202−72
F3−D物質の粗標品を更に精製するためには、上記の
抽出法および吸着法を必要に応じて組み合わせ必要回数
行なえばよい。例えば、ダイヤイオンHP−20、セフ
ァデックスLH−20などの吸着剤またはゲル濾過剤を
用いたカラムクロマトグラフィー、CPCを用いた遠心
液々分配クロマトグラフィー、シリカゲルを用いた順相
クロマトグラフィーおよびヌクレオシル5C18などを用
いた高速液体クロマトグラフィーを適宜組合わせて実施
することができる。
【0079】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0080】以下において「%」は「w/v %」を示
す。
【0081】実施例1 (1)種母の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1lの水に溶解し
たものである。
【0082】pHは無調整とした。
【0083】 グルコース 1.5 % 酵母エキス(大五栄養社製) 0.25% カザミノ酸(ディフコ社製) 0.25% 炭酸カルシウム 0.4 %
【0084】上記培地110mlを500mlの三角フ
ラスコに分注し殺菌後、ストレプトミセス・エスピーM
J202−72F3株(微工研寄菌第12674号)を
スラントより1白金耳摂取し、30℃、180rpmの
ロータリーシェーカーにて72時間回転培養したものを
種母とした。
【0085】(2)培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1lの水に溶解し
たものである。pHは無調整とした。この培地を110
mlずつ500mlの三角フラスコへ分注殺菌したもの
へ、上記種母2.2mlを添加し、ロータリーシェーカ
ーを用いて27℃、180rpmにて回転培養を行なっ
た。
【0086】 グルコース 3.0 % 酵母エキス(大五栄養社製) 0.5 % カザミノ酸(ディフコ社製) 0.5 % NaNO3 0.2 % KCl 0.2 % CaCO3 0.4 %
【0087】 (3)MJ202−72F3−D物質の採取 上記(2)の条件で6日間の培養の後、培養液約10l
を遠心分離し(3000rpm、15分間)、菌体をメ
タノール処理後、メタノールを溜去した後、残った水槽
をn−ブタノールにて抽出し、n−ブタノール層を減圧
下にて濃縮乾固する。得られた粗抽出物約3gを遠心液
々分配クロマトグラフ(CPC)(三鬼エンヂニアリン
グ社製)に付す。クロロホルム/メタノール/水=2/
2/1の下層を固定相とし、上層を移動相として20
℃、400rpm、1ml/minの条件下、上昇法に
て分離精製を行なう。反転溶出画分(上昇法にて一定量
の移動相を流し分離精製を行った後、固定相に保持され
た物質が、下層を移動相として下降法にて溶出された画
分)にMJ202−72F3−D物質は溶出され、これ
を減圧下濃縮乾固する。
【0088】得られた粗精製物744mgを条件を変え
て再度CPCに付す。すなわち、ヘキサン/酢酸エチル
/アセトニトリル=7/2/3の下層を固定相とし、上
層を移動相として、20℃、900rpm,3ml/m
inの条件下、上昇法にて分離精製を行う。反転溶出画
分にMJ202−72F3−D物質は溶出され、これを
減圧下濃縮乾固する。得られた粗精製物質161mgを
メタノールに溶解し、その一定量をカプセルパック5C
18(資生堂社製)のカラム(20mmφ×250mm)
を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、メタノー
ル/水=80/20にて溶出し、MJ202−72F3
−Dフラクションを得る。これらを減圧下濃縮乾固後、
小量のメタノールに溶解後、セファデックスLH−20
を用いたゲルクロマトグラフィーに付し、MJ202−
72F3−Dを含むフラクションを減圧下濃縮乾固する
とMJ202−72F3−Dの白色粉末51mgが得ら
れた。
【0089】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明により
免疫抑制活性とグラム陽性菌に対する抗菌活性および抗
癌活性を有する新規物質としてMJ202−72F3−
D物質が得られ、またその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】MJ202−72F3−D物質のメタノール中
における紫外部吸収スペクトル図である。
【図2】MJ202−72F3−D物質のKBrディス
ク法による赤外部吸収スペクトル図である。
【図3】MJ202−72F3−D物質の重メタノール
中における400MHzでの1H−NMRスペクトル図
である。
【図4】MJ202−72F3−D物質の重メタノール
中における100MHzでの13C−NMRスペクトル図
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12P 1/06 C12R 1:465) (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号 (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 前田 謙二 東京都目黒区五本木2丁目46番11号 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ユーフジマンシヨン701

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する新規抗生物
    質、MJ202−72F3−D物質およびその塩。 (1)分子式:C3966138 高分解能FAB−MS〔Neg.〕により決定した。な
    お基準物質はPEG600を用いた。 (2)分子量:854 FAB−MS:m/z 855〔M+H〕+ 877〔M+Na〕+ ,853〔M−H〕- が観測され
    た。 (3)融点:167〜170℃ (4)紫外線吸収スペクトル:添付図面の図1に示すと
    おりである。 (5)赤外線吸収スペクトル:添付図面の図2に示すと
    おりである。 (6) 1H−NMRスペクトル(400MHz):添付
    図面の図3に示すとおりである。重メタノール中メタノ
    ール(3.30ppm)を基準物質として測定した。 (7)13C−NMRスペクトル(100MHz):添付
    面の図4に示すとおりである。重メタノール中メタノー
    ル(49.00ppm)を基準物質として測定した。 (8)溶解性:メタノール、酢酸エチル、クロロホル
    ム、エーテルに可溶であるが水、n−ヘキサンに難溶で
    ある。 (9)物質の色および性状:白色の固体である。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属する請求項1記
    載の新規抗生物質MJ202−72F3−D物質生産菌
    を培養し、その培養液から新規抗生物質MJ202−7
    2F3−D物質を採取することを特徴とする、新規抗生
    物質MJ202−72F3−D物質の製造法。
  3. 【請求項3】 MJ202−72F3−D物質生産菌が
    ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)MJ2
    02−72F3株である請求項1記載の製造法。
JP4213183A 1992-07-20 1992-07-20 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法 Pending JPH06279479A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4213183A JPH06279479A (ja) 1992-07-20 1992-07-20 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4213183A JPH06279479A (ja) 1992-07-20 1992-07-20 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06279479A true JPH06279479A (ja) 1994-10-04

Family

ID=16634922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4213183A Pending JPH06279479A (ja) 1992-07-20 1992-07-20 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06279479A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017072542A1 (en) * 2015-10-26 2017-05-04 Rotachrom Technológiai Kft. Method for the purification of cyclosporine a

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017072542A1 (en) * 2015-10-26 2017-05-04 Rotachrom Technológiai Kft. Method for the purification of cyclosporine a

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3140228B2 (ja) 新規な大環状ラクトンおよびその生産菌
KR900004066B1 (ko) 생물학적으로 활성인 ws 6049의 제조방법
JP2802097B2 (ja) 新規な制癌抗生物質mi43―37f11及びその製造法
JP4521145B2 (ja) 抗生物質カプラザマイシン類およびその製造法
LU85953A1 (fr) Compose antibiotique antitumoral
US5527820A (en) Antibiotics having immunosuppressive activity, delaminomycins and processes for the production of the same
KR920001366B1 (ko) 새로운 항암 항생복합체 bbm-1675의 제조방법
JP5144167B2 (ja) 新規kb−3346−5物質およびその製造方法
JPH06279479A (ja) 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法
EP0213320B1 (en) Physiologically active formamides
JP2001512733A (ja) 抗腫瘍活性を有するマクロライド剤
JP3124373B2 (ja) 免疫抑制物質
JP2837870B2 (ja) 新規な制癌抗生物質コナゲニン及びその製造法
JPH05163289A (ja) 新規な免疫抑制物質、mi710−51f6物質およびその製造法
JP2989674B2 (ja) 制癌性物質サイトブラスチンおよびその製造法
JPH0673002A (ja) 免疫抑制活性を有する新規抗生物質、デラミノマイシン類およびそれらの製造法
KR810001056B1 (ko) 항생물질 c-15003의 제조법
JP3674955B2 (ja) 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法
JP3386842B2 (ja) Mj202−72f3物質の新規エステル
FI72534B (fi) Foerfarande foer framstaellning av antibiotika aklacinomycin a och b eller deras blandningar.
JPH0367077B2 (ja)
WO1995027731A1 (fr) Compose ge3
BE865590A (fr) Compositions antibiotiques et leur utilisation
KR810000510B1 (ko) 메이탄시노올 유도체의 제조방법
KR820001433B1 (ko) 항생물질 c-15003 p-4의 제조법