JPH0673002A - 免疫抑制活性を有する新規抗生物質、デラミノマイシン類およびそれらの製造法 - Google Patents

免疫抑制活性を有する新規抗生物質、デラミノマイシン類およびそれらの製造法

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JPH0673002A
JPH0673002A JP15213593A JP15213593A JPH0673002A JP H0673002 A JPH0673002 A JP H0673002A JP 15213593 A JP15213593 A JP 15213593A JP 15213593 A JP15213593 A JP 15213593A JP H0673002 A JPH0673002 A JP H0673002A
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JP
Japan
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delaminomycin
general formula
compound
culture
methanol
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JP15213593A
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English (en)
Inventor
Masaaki Ishizuka
雅章 石塚
Mitsuhiro Ueno
充博 上野
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 濱田
Kenji Maeda
謙二 前田
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 〔式中、Xはヒドロキシル基、メトキシ基または水素原
子を表し、Xはデラミノマイシン Aではヒドロキシル
基であり、デラミノマイシン Bではメトキシ基であ
り、デラミノマイシン Cでは水素原子である〕のデラ
ミノマイシン A、BおよびCがストレプトミセス属に
属する上記物質の生産菌の培養により製造された。 デラミノマイシン A、BおよびCを脱水閉環してデラ
ミノマイシンA2、B2およびC2を製造する。 【効果】 免疫抑制活性を有する。グラム陽性菌に抗菌
活性とある種の癌細胞に抗癌活性も有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫抑制活性を有し且つ
抗菌活性および抗腫瘍活性も有する新規抗生物質デラミ
ノマイシン類(Delaminomycins)に関し、またそれらの製
造法に関する。
【0002】詳しくは、本発明は免疫抑制活性、グラム
陽性細菌に対する抗菌活性および抗腫瘍活性を有する新
規な抗生物質としてデラミノマイシン A、デラミノマ
イシン B、デラミノマイシン C、デラミノマイシン
A2、デラミノマイシンB2およびデラミノマイシン
C2、ならびにこれらの製薬学的に許容できる塩に関
し、またこれらの新規な抗生物質の製造法にも関する。
また、本発明はこれらの新規な抗生物質を有効成分とし
て含む医薬組成物、特に免疫抑制剤組成物に関する。
【0003】上記のデラミノマイシン A、デラミノマ
イシン B、デラミノマイシン C、デラミノマイシン
A2、デラミノマイシン B2およびデラミノマイシ
ンC2はこれら新規な抗生物質を本発明者が収得するの
に成功した当初では、それぞれに抗生物質MJ202−
72F3−A、MJ202−72F3−B、MJ202
−72F3−C、MJ202−72F3−A′、MJ2
02−72F3−B′およびMJ202−72F3−
C′と命名された抗生物質であり、それらの研究所名称
で日本特許出願平4−187403号明細書(1992
年6月23日出願)に記載されてあるけれども、最近は
MJ202−72F3の名称の代りにデラミノマイシン
(Delaminomycin) の新名称を用いることにした。
【0004】
【従来の技術】従来、微生物が生産する免疫抑制物質と
してサイクロスポリンA、FK506およびスパガリン
等が知られているが、これらは免疫抑制剤として完全に
満足できるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】臓器移植や免疫不全疾
患および局所の炎症の医療に有用であるより優れている
新規な免疫抑制物質を得ること、また優れた抗腫瘍活性
物質を得ることは長年、要望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは微生物生産
物中に有用な免疫抑制活性物質を見出す目的で、天然の
土壌より数多くの微生物を単離し、それら微生物の生産
物について種々の研究を行なった。その結果、本発明者
らが新たに土壌から分離したストレプトミセス属に属す
る微生物の培養液中に優れた免疫抑制活性を有してMJ
202−72F3−A、BおよびC物質と当初に命名さ
れた3種の抗生物質が生産され蓄積されることを認め
た。それらの物質を単離し、生物学的および物理化学的
性状を調べ、これらの物質が免疫抑制活性とグラム陽性
細菌に対する抗菌活性および抗腫瘍活性を有すること、
および化学構造式の決定により新規化合物であること、
また互変異性体があることを見出した。
【0007】なお、MJ202−72F3−A、−Bお
よび−C物質が夫々にデラミノマイシン A、デラミノ
マイシン Bおよびデラミノマイシン Cと最近に改名
したのは、前述のとおりである。
【0008】さらに、本発明者らは上記のデラミノマイ
シン A、BおよびCをそれぞれに原料として用い、そ
れらを、脱水を伴う閉環反応からなる化学的方法によ
り、デラミノマイシン Aからデラミノマイシン A2
を、デラミノマイシン Bからデラミノマイシン B2
を、またデラミノマイシン CからデラミノマイシンC
2を製造することに成功した。これらデラミノマイシン
A2、B2およびC2についても生物学的および物理
化学的性状を調べ、これらの物質が免疫抑制活性とグラ
ム陽性細菌に対する抗菌活性および抗腫瘍活性を有する
こと、および化学構造式の決定により新規化合物である
ことを見出した。
【0009】すなわち、本発明は免疫抑制活性、抗菌活
性および抗腫瘍活性を有する新規抗生物質デラミノマイ
シン A、BおよびCならびにA2、B2およびC2の
各物質を提供し、またそれらの製造法を提供するもので
ある。
【0010】詳しく言えば、第1の本発明によると、次
の一般式〔I〕
【0011】または次の一般式〔I′〕
【0012】〔式中、Xはヒドロキシル基、メトキシ基
または水素原子を表し、Xはデラミノマイシン Aでは
ヒドロキシル基であり、デラミノマイシンBではメトキ
シ基であり、デラミノマイシン Cでは水素原子であ
る〕で表される免疫抑制活性を有する新規な抗生物質、
デラミノマイシン A、デラミノマイシン Bおよびデ
ラミノマイシン C、およびそれらの塩が提供される。
【0013】一般式〔I〕で表される化合物と一般式
〔I′〕で表される化合物は互変異性の関係にある。ま
た、一般式〔I〕または一般式〔I′〕のデラミノマイ
シンA、BまたはCの塩には、製薬学的に許容できる金
属、例えばナトリウム、カリウムの如きアルカリ金属と
の塩、カルシウムの如きアルカリ土類金属との塩、ある
いはアンモニウム塩がある。
【0014】また、第2の本発明によると、次の一般式
〔II〕
【0015】〔式中、Yはヒドロキシル基、メトキシ基
または水素原子を表し、Yはデラミノマイシン A2で
はヒドロキシル基であり、デラミノマイシン B2では
メトキシ基であり、デラミノマイシン C2では水素原
子である〕で表される免疫抑制活性を有する新規な抗生
物質、デラミノマイシン A2、デラミノマイシン B
2およびデラミノマイシン C2が提供される。
【0016】〔1〕デラミノマイシン A、BおよびC
の物理化学的性質 (a)第1の本発明によるデラミノマイシン A(一般
式〔I〕または〔I′〕でXがヒドロキシル基である化
合物)の物理化学的性状は下記のとおりである。
【0017】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C29436 N (3)元素分析:C29436 N・H2 Oとして C H O N 実測値 67.37% 8.79% 21.22% 2.61% 計算値 67.03% 8.73% 21.55% 2.70% (4)分子量:501 (5)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 500〔M−H〕- が観測された。
【0018】(6)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0019】(7)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):添付図面の図1に示す。
【0020】(8) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0021】重メタノール中メタノール(3.30pp
m)を基準物質として測定した。
【0022】(9)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0023】重メタノール中メタノール(49.00p
pm)を基準物質として測定した。
【0024】(10)溶解性:メタノールに可溶、水、ア
セトン、エーテル、n−ヘキサンに難溶または不溶であ
る。 (11)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0025】
【0026】(12)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0027】(b)第1の本発明によるデラミノマイシ
ン B(一般式〔I〕または〔I′〕でXがメトキシ基
である化合物)の物理化学的性状は下記のとおりであ
る。
【0028】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C30456 N (3)分子量:515 (4)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 514〔M−H〕- が観測された。
【0029】(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0030】(6)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):添付図面の図2に示す。
【0031】(7) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0032】重メタノール中メタノール(3.30pp
m)を基準物質として測定した。
【0033】(8)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0034】重メタノール中メタノール(49.00p
pm)を基準物質として測定した。
【0035】(9)溶解性:メタノールに可溶、水、ア
セトン、エーテル、n−ヘキサンに難溶または不溶であ
る。 (10)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0036】
【0037】(11)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0038】(c)第1の本発明によるデラミノマイシ
ン C(一般式〔I〕または〔I′〕でXが水素である
化合物)のとおりである。
【0039】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C29435 N (3)分子量:485 (4)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 484〔M−H〕- が観測された。
【0040】(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0041】(6)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):添付図面の図3に示す。
【0042】(7) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0043】重メタノール中メタノール(3.30pp
m)を基準物質として測定した。
【0044】(8)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0045】重メタノール中メタノール(49.00p
pm)を基準物質として測定した。
【0046】(9)溶解性:メタノールに可溶、水、ア
セトン、エーテル、n−ヘキサンに難溶または不溶であ
る。 (10)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0047】
【0048】(11)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0049】(d)第2の本発明によるデラミノマイシ
ン A2(一般式〔II〕でYがヒドロキシル基である化
合物)の物理化学的性状は下記の通りである。
【0050】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C29415 N (3)元素分析:C29415 N として C H O N 実測値 71.22% 8.46% 16.91% 3.28% 計算値 72.02% 8.54% 16.54% 2.90% (4)分子量:483 (5)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 482〔M−H〕- 、636〔M+NB
A〕+ が観測された。
【0051】(6)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0052】(7)赤外線吸収スペクトル(KBr
法):添付図面の図4に示す。
【0053】(8) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0054】重クロロホルムでテトラメチルシラン(T
MS)(0ppm)を基準物質として測定した。
【0055】(9)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0056】重クロロホルム中重クロロホルム(77.
00ppm)を基準物質として測定した。
【0057】(10)溶解性:メタノール、酢酸エチル、
クロロホルム、エーテルに可溶、n−ヘキサン、水に難
溶または不溶である。 (11)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0058】
【0059】(12)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0060】(e)第2の本発明によるデラミノマイシ
ン B2(一般式〔II〕でYがメトキシ基である化合
物)の物理化学的性状は下記の通りである。
【0061】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C30435 N (3)分子量:497 (4)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 498〔M+H〕+ 、496〔M−H〕-
が観測された。
【0062】(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0063】(6)赤外線吸収スペクトル(Kbr
法):添付図面の図5に示す。
【0064】(7) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0065】重クロロホルム中TMS(0ppm)を基
準物質として測定した。
【0066】(8)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0067】重クロロホルム中重クロロホルム(77.
00ppm)を基準物質として測定した。
【0068】(9)溶解性:メタノール、酢酸エチル、
クロロホルム、エーテルに可溶、n−ヘキサン、水に難
溶または不溶である。 (10)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0069】
【0070】(11)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0071】(f)第2の本発明によるデラミノマイシ
ン C2(一般式〔II〕でYが水素である化合物)の物
理化学的性状は下記のとおりである。
【0072】(1)物質の色および性状:無色〜白色、
固体 (2)分子式:C29414 N (3)分子量:467 (4)FAB(Fast Atom Bombardment) マススペクト
ル:m/z 468〔M+H〕+ 、466〔M−H〕-
が観測された。
【0073】(5)紫外線吸収スペクトル:メタノール
溶液中で測定した吸収ピークを次に示す。
【0074】(6)赤外線吸収スペクトル(KBr法)
:添付図面の図6に示す。
【0075】(7) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):
【0076】重クロロホルム中TMS(0ppm)を基
準物質として測定した。
【0077】(8)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):
【0078】重クロロホルム中重クロロホルム(77.
00ppm)を基準物質として測定した。
【0079】(9)溶解性:メタノール、酢酸エチル、
クロロホルムに可溶、水、n−ヘキサンに難溶または不
溶である。 (10)薄層クロマトグラフィー(メルク社製シリカゲル
60F254 Art.5554使用):Rf値を次表に示
す。
【0080】
【0081】(11)呈色反応:バニリン硫酸およびアニ
スアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0082】〔2〕デラミノマイシン A、B、C、A
2、B2およびC2の生物学的活性 本発明によるデラミノマイシン A、BおよびCならび
にデラミノマイシンA2、B2およびC2の各々は、グ
ラム陽性細菌に対して強い抗菌作用を有することが認め
られた。
【0083】脾細胞には、細胞性免疫に関与するT細胞
(Tリンパ球とも言う)と抗体産生に基づく免疫に関す
るB細胞(Bリンパ球とも言う)とが含有される。脾細
胞に含有されているT細胞は、T細胞に選択的に作用す
るマイトジェンであるコンカナバリンAで処理される
と、活性化され芽球化即ち幼若化して増殖する反応を起
すことが知られる。しかし、B細胞はコンカナバリンA
処理を受けても活性化されず増殖しないことが知られ
る。コンカナバリンA処理により活性化されたT細胞を
含有する脾細胞が増殖する反応の程度は、T細胞による
3H−チミジンの取り込み(incorporation) の量を測定
することにより評価できる。
【0084】或る化合物がT細胞による細胞性免疫を抑
制する活性を有するか否かは、コンカナバリンA処理さ
れた脾細胞をその化合物の存在下で培養し、その際の脾
細胞の増殖反応がその化合物により阻害される程度を測
定することで判定できる〔参考文献1; Larson,E.L.
ら:Mechanism of T cell activation. I.A screeningo
f“step one”ligands.「Eur. J. Immunol.」10巻,93
〜99(1980)、および参考文献2: Ueno,M.ら:Dethymic
in, a novel immunosuppressant isolated froman Amyc
olatopsis. Fermentation, isolation, physico-chemic
al propertiesand biological activities.「J. Antibi
ot.」45巻,1819〜1826(1992)参照〕。
【0085】本発明によるデラミノマイシン A、B、
C、A2、B2またはC2はコンカナバリンA処理で活
性されたマウス脾細胞が増殖する反応を阻害する活性を
有することがin vitro の試験により認められた。
【0086】更に、或るマウス個体から取った脾細胞
(リンパ球)を、別のマウス個体から取られて予じめマ
イトマイシンC処理を受けて刺激細胞(stimulator)とし
て作用する脾細胞(リンパ球)と混合し、このように混
合された細胞を培養すると、前者の脾細胞 (反応細胞、
responder)に含有されるT細胞が刺激されて芽球化即ち
幼若化して増殖する反応を起すことが知られる。
【0087】この反応は混合リンパ球培養反応 (Mixed
LymphocyteCulture Reaction) と言われるが、混合リン
パ球培養反応において、混合されたリンパ球を培養する
培地中に、T細胞に選択的に阻害活性を示す化合物を添
加して置くと、混合リンパ球培養反応での組織適合抗原
依存性のT細胞の増殖反応に対し阻害することが知られ
る〔参考文献1; Ishizuka,M.ら:Induction of antit
umor resistance tomouse leukemia L1210 by spergu
alins.「J. Antibiot.」39巻,1736〜1743(1986)および
参考文献2;Ueno,M. ら:Dethymicin, a novel immunos
uppressantisolated from an Amycolatopsis. Fermenta
tion, isolation,physico-chemicalpropertiesand biol
ogical activities.「J. Antibiot.」45巻,1819〜1826
(1992)参照〕。
【0088】本発明によるデラミノマイシン A、B、
C、A2、B2およびC2は混合リンパ球培養反応のin
vitro試験で反応細胞として働くT細胞の増殖反応を阻
害する活性を有することが認められた。
【0089】更にまた、羊赤血球を抗原として注射され
て免疫を受けたマウスに、羊赤血球を再度注射すること
により遅延型過敏症(DTH)が起る現象を利用するこ
とにより、或る化合物が細胞性免疫を抑制する活性を有
するか否かを評価する試験が知られている〔参考文献
1;「J. Antibiot.」33巻, 642〜652(1990) および参
考文献2;「J. Antibiot.」45巻,1819〜1826(1992)参
照〕。
【0090】羊赤血球を抗原として注射されたマウスの
遅延型過敏症のin vivo試験において、本発明のデラミ
ノマイシン類(delaminomycins)は抑制活性を示した。一
方、B細胞が関与する抗体産生試験においてはまったく
阻害活性を示さなかった。従って、本発明による一般式
〔I〕または〔I′〕および一般式〔II〕のデラミノマ
イシン類は免疫抑制活性をもち、また抗菌活性も有す
る。
【0091】これらの結果から、本発明のデラミノマイ
シン類はT細胞を選択的に阻害する活性を有すると認め
られ、臓器移植で必要とされる免疫抑制剤(immunosuppr
essant) として、また細胞性免疫反応を原因とする過敏
免疫状態である自己免疫疾患の治療に有用な薬剤として
の用途がある。また、ある種の癌細胞に対し癌細胞の増
殖阻害活性を示す事も認められることより本発明のデラ
ミノマイシン類は抗癌剤としての用途がある。要約する
と、本発明によるデラミノマイシン A、B、C、A
2、B2およびC2の各々はグラム陽性菌感染症の治療
に有用であるとともに臓器移植や自己免疫疾患に有用な
免疫抑制剤または免疫調節剤としての用途がある。さら
に、ある種の癌に対して有用な抗癌剤としての用途があ
る。
【0092】第1および第2の本発明によるデラミノマ
イシン A、B、C、A2、B2およびC2の生理活性
を後記の試験例で評価した。
【0093】試験例1 マイトジェンにより起された脾細胞の増殖反応に対すデ
ラミノマイシンの阻害活性 RPMI1640培地(10%、牛胎児血清を含む)中
に懸濁されたCDFマウス脾細胞に供試化合物(デラミ
ノマイシン)を種々の濃度で添加し、更にマイトジェン
としてコンカナバリンAを0.5μg/mlとなるよう
に添加した後に37℃、5%炭酸ガス濃度の条件下に
て、72時間脾細胞を培養した。培養終了時の16〜1
8時間前に 3H−チミジンを添加し、その後、細胞増殖
3H−チミジンの細胞内取り込みを基準として判定し
た。また、細胞増殖を50%阻害する供試化合物濃度、
すなわちIC50値も測定した。その脾細胞増殖に対する
供試化合物の阻害活性を次式の阻害率で評価した。
【0094】阻害率(%)=100−(T/C×10
0) 但し、Tは供試化合物で処理した時の 3H−チミジンの
取り込み量を表わし、Cは処理しない時の取り込み量を
表わす。得られた試験結果を表1に示す。
【0095】
【0096】試験例2 混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphocyte Culture Reac
tion) に対するデラミノマイシンの阻害活性 混合リンパ球培養反応を行うため、刺激細胞として、W
KYラットから採取した脾細胞をマイトマイシンC 5
0μg/mlで37℃、20分間処理したものを用い、
反応細胞として、フィッシャーF344ラットから採取
した脾細胞のナイロンウール非付着細胞を用いた。これ
ら細胞を混合し、混合された細胞をRPMI1640培
地(5%、牛胎児血清を含む)中にて、種々の濃度で添
加される供試化合物(デラミノマイシン)の存在下又は
非存在下で培養することにより37℃、5%炭酸ガス濃
度の条件下で120時間反応させた。
【0097】反応終了の16〜18時間前に 3H−チミ
ジンを添加し、反応細胞への 3H−チミジンの取り込み
を液体シンチレーションカウンターにて測定した。混合
リンパ球培養反応に対する供試化合物の阻害活性は、阻
害率〔100−(T/C×100),%〕で評価した。
また、この反応を50%阻害する供試化合物濃度、すな
わちIC50値も測定した。その試験結果を表2に示す。
【0098】
【0099】試験例3 マウス遅延型過敏症(DTH)に対するデラミノマイシ
ンの抑制効果 CDF1 マウスに羊赤血球(105 個/マウス)を静注
して免疫後、4日目に羊赤血球(108 個/マウス)を
足蹠に皮下注射して感作させ、遅延型過敏症(DTH)
を惹起した。供試化合物は免疫後0〜4日目まで毎日1
回、腹腔内投与した。感作5日目に、マウス足蹠の厚さ
を測定する事によりDTHに対する抑制効果を判定し
た。この抑制効果は次式で算出される阻害率(%)で評
価した。
【0100】 阻害率(%)=100−(T/C×100) 但し、Tは供試化合物を投与した時の足蹠の厚さを表
し、Cは供試化合物無投与の時の足蹠の厚さを表す。得
られた試験結果を表3に示す。
【0101】
【0102】試験例4 癌細胞に対するデラミノマイシンの増殖阻害活性 各種動物癌細胞および人癌細胞を培養し、これらの培養
癌細胞の増殖を50%阻害する本発明のデラミノマイシ
ン A、B、C、A2、B2およびC2の濃度、すなわ
ちIC50値を測定して癌細胞に対する増殖阻害活性を評
価した。得られた結果を表4に示す。
【0103】
【0104】試験例5 抗菌活性 さらに本発明によるデラミノマイシン A、B、C、A
2、B2およびC2は各種の細菌に対して抗菌活性を有
する。寒天平板希釈法によって測定した各種細菌および
糸状菌に対する本発明の新規抗生物質の最小生育阻止濃
度(MIC.)(μg/ml)の測定結果をそれぞれ表
5a、表5b、表5cおよび表5dに示す。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】さらに、第3の本発明によると、ストレプ
トミセス属に属するデラミノマイシン A、BおよびC
の生産菌を培養し、その培養物からデラミノマイシン
Aおよび/またはデラミノマイシン Bおよび/または
デラミノマイシン Cを採取することを特徴とする、免
疫抑制活性を有する新規な抗生物質、デラミノマイシン
A、および/またはデラミノマイシン Bおよび/ま
たはデラミノマイシンCの製造法が提供される。
【0110】本発明の方法に用いるデラミノマイシン
A、BおよびCの生産菌はストレプトミセス属の菌株で
デラミノマイシン A、BおよびCの少なくとも1つの
生産能を有するものであれば良く、特に一つの菌株に限
定されない。使用できるデラミノマイシン A、Bおよ
びCの生産菌の一例には平成2年1月、山梨県大月市の
土壌より分離された放線菌でMJ202−72F3の菌
株番号が付された菌株がある。
【0111】以下、MJ202−72F3株の菌学的性
状について述べる。
【0112】1.形 態 MJ202−72F3株は、分枝した基生菌糸より比較
的長い気菌糸を伸長し、その先端は5〜6回転のらせん
を形成する。輪生枝および胞子のうは認められない。気
菌糸の先端には50個以上の胞子の連鎖を認め、胞子の
大きさは約0.5〜0.7×0.8〜1.2ミクロンで
あった。なお、胞子の表面はとげ状あるいはいぼ状を呈
する。
【0113】2.各種培地における生育状態 色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporation ofAmerica
のcolor harmony manual) を用いた。
【0114】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(3
0℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、部分的に明るい灰〔2fe,
Covert Gray〕の気菌糸を着生し、溶解性色素は認めら
れない。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(30℃培
養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認めら
れない。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培
地5、30℃培養) うす黄〔2gc,Bamboo〕の発育上に、白の気菌糸をう
っすらと着生し、溶解性色素は認められない。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、3
0℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、明るい灰〔3fe,Silver G
ray 〕の気菌糸をわずかに着生する。溶解性色素は認め
られない。
【0115】(5)チロシン寒天培地(ISP−培地
7、30℃培養) うす黄〔2gc,Bamboo〕の発育上に、白の気菌糸をう
っすらと着生し、溶解性色素は認められない。 (6)栄養寒天培地(30℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認めら
れない。 (7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、30
℃培養) うす黄〔1 1/2ic, Lt Antique Gold〕の発育上に、
部分的に明るい灰〔f,〜2fe, Covert Gray〕の気
菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (8)オートミール寒天培地(ISP−培地3、30℃
培養) うす黄の発育上に、白の気菌糸をわずかに着生し、溶解
性色素は認められない。
【0116】(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(30
℃培養) 発育は無色〜うす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は
認められない。 (10)スターチ寒天培地(30℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められ
ない。 (11)リンゴ酸石灰寒天培地(30℃培養) 発育は無色、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められ
ない。 (12)セルロース(濾紙片添加合成液、30℃培養) 40日間培養後も生育は認められない。
【0117】(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、発育はう
す黄、茶白の気菌糸をわずかに着生し、溶解性色素は認
められない。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(2
7℃培養)の場合、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、
溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。
【0118】(14)脱脂牛乳(30℃および37℃培
養) 30℃培養で、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解
性色素も認められない。37℃培養の場合、発育は極め
て悪く、うす黄の発育がわずかに観察されるが、気菌糸
および溶解性色素は認められない。
【0119】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地 (グルコース1.0
%、L−アスパラギン0.05%、リン酸二カリウム
0.05%、紐寒天 3.0%、pH7.0)を用い、
20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の各
温度で試験した結果、50℃を除き、そのいずれの温度
でも発育したが、37℃の生育は極めて悪い。なお、生
育至適温度は27℃〜30℃付近と思われる。
【0120】(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチ
ン培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン
培地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地およびグルコース・ペプトン・
ゼラチン培地のいずれの場合も21日間の観察で液化性
は認められない。 (3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地
およびスターチ寒天培地、いずれも30℃培養) いずれの培地においても水解性は認められない。
【0121】(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂
牛乳、30℃および37℃培養) 30℃培養では、培養後21日目頃より凝固することな
くペプトン化が始まるが、その作用は極めて弱い。37
℃培養の場合、生育は極めて悪く、それらの作用は観察
されない。
【0122】(5)メラニン様色素の生成(トリプトン
・イースト・ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イー
スト・鉄寒天培地、ISP−培地6;チロシン寒天培
地、ISP−培地7;いずれも30℃培養) いずれの培地でも陰性である。
【0123】(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴド
リーブ寒天培地、ISP−培地9;30℃培養) D−グルコース、イノシトールを利用して生育し、シュ
クロース、D−マンニトール、ラクトースは利用しな
い。D−キシロース、D−フルクトースの利用の存否は
判然とせず、L−アラビノース、ラムノース、ラフィノ
ースは、おそらく利用しないと思われる。
【0124】(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰
寒天培地、30℃培養) 培養後7日目頃より、リンゴ酸石灰の溶解が認められ、
その作用は中等度である。 (8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペ
プトン水、ISP−培地8、30℃培養) 陰性である。 (9)セルロースの分解(濾紙片添加合成液、30℃培
養) 40日間培養の観察では生育せず、分解は認められな
い。
【0125】以上の性状を要約すると、MJ202−7
2F3株の形態は、分枝した基生菌糸より5〜6回転の
らせん形成を有する気菌糸を伸長し、輪生枝および胞子
のうは認められない。気菌糸の先端には50個以上の胞
子を連鎖し、胞子の表面はとげ状あるいはいぼ状であ
る。種々の培地で、発育は無色〜うす黄、気菌糸の着生
は悪いが、2〜3の培地では、明るい灰の気菌糸を部分
的に着生する。溶解性色素は認められない。生育至適温
度は27℃〜30℃付近である。メラニン様色素の生成
は陰性、スターチの水解性は認められず、蛋白分解力は
弱い。また、細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリ
ン酸はLL−型であった。
【0126】これらの性状より、MJ202−72F3
株は、ストレプトミセス(Streptom yces)属に属すると
考えられる。ストレプトミセス属の既知菌種を検索する
と近縁の種として、ストレプトミセス・アルブルス(St
reptomyces albulus ,文献,International Journal
of Systematic Bacteriology,22巻, 271頁,1972年;
同誌,30巻, 371頁,1980年)およびストレプトミセス
・ナタレンシス(Stre ptomyces natalensis,文献,In
ternational Journal of Systematic Bacteriology,22
巻, 323頁,1972年)があげられた。当面は、MJ20
2−72F3株をストレプトミセス・エスピー(Strept
omyces sp.)MJ202−72F3と命名する。
【0127】なお、MJ202−72F3株を工業技術
院微生物工業技術研究所(日本、茨城県つくば市にあ
る)に寄託申請し、平成3年12月24日、微工研菌寄
第12674号として受託された。
【0128】更に、MJ202−72F3株と、前述の
2菌株<ストレプトミセス・アルブルスIMCS−08
02(ISP 5492)、ストレプトミセス・ナタレ
ンシス IMS S−0687(ISP 5357)>
とを実地に比較検討した。その結果、MJ202−72
F3株と上記の両菌株は、ゼラチンの液化、ミルクの凝
固、ペプトン化、及びスターチの水解性にやや相違が認
められた。しかし、それらの性質は変化し易く、大きな
相違とは考えられない。さらに、気菌糸の色調、炭素源
の利用性等より、MJ202−72F3株はストレプト
ミセス・アルブルスに、より類似していた。そこで、M
J202−72F3株をストレプトミセス・アルブルス
Streptomyces albulus )MJ202−72F3株と
同定した。
【0129】現在、MJ202−72F3株はブタペス
ト条約の規約下に寄託を移行されて上記の微生物工業技
術研究所(現在は生命工学工業技術研究所と改称)に寄
託番号「FERM BP−4079」として寄託されて
ある。
【0130】次に、第3の本発明の方法による抗生物
質、デラミノマイシンA、BおよびCの製造について説
明する。
【0131】本発明による新規抗生物質デラミノマイシ
ン A、BおよびCは、ストレプトミセス属に属するデ
ラミノマイシンA、BおよびCの生産菌を適当な培地で
培養することにより、好ましくは好気的条件下に培養す
ることにより、培地中に目的の抗生物質を産生、蓄積さ
せ、次いで培養物から目的の抗生物質を採取することに
より製造することができる。
【0132】培地はデラミノマイシン A、BおよびC
の生産菌が利用しうる任意の栄養源を含有するものであ
りうる。具体的には、例えば、炭素源としてグルコー
ス、イノシトール、マルトースおよび油脂類などが使用
でき、窒素源として大豆粉、綿実粕、乾燥酵母エキス、
ポリペプトンおよびコーンスティープリカーなどの有機
物並びにアンモニウム塩または硝酸塩、例えば硫酸アン
モニウム、硝酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなど
の無機物が利用できる。また必要に応じて食塩、塩化カ
リウム、炭酸カルシウム、リン酸塩、重金属塩などの無
機塩類を培地に添加することができる。発酵中の発泡を
抑制するために常法に従って適当な消泡剤、例えばシリ
コーン系消泡剤を添加することもできる。
【0133】培養方法としては、一般に行なわれている
生理活性抗生物質等の生産のための微生物の培養方法で
あればよく、特に好気的液体深部培養法が適している。
培養温度は20〜37℃が適当であるが、27〜30℃
が好ましい。この方法でデラミノマイシン A、Bおよ
びCの生産量は、振盪培養、通気攪拌培養共に培養5〜
7日間で最高に達する。このようにしてデラミノマイシ
ン A、BおよびCが培地中に生産、蓄積されて培養物
が得られる。
【0134】得られた培養物中では、デラミノマイシン
A、BおよびCは菌体中および培養濾液中に存在する
が、菌体中により主に存在する。このような培養物から
デラミノマイシン A、BおよびCを採取するには、合
目的な任意の方法が利用可能である。それらの方法に
は、抽出の原理に基づく方法であって、具体的には、例
えば、培養濾液中からデラミノマイシンA、BおよびC
を水不混和性の有機溶媒、例えば酢酸ブチル、n−ブタ
ノールなどで抽出する方法がある。また菌体内のデラミ
ノマイシンA、BおよびCを回収する場合は濾過または
遠心分離などで得た菌体集体をメタノール、エタノー
ル、アセトンなどで処理して抽出することにより回収す
る方法がある。菌体を分離せずに培養物をそのままを上
記の抽出操作に付すこともできる。適当な溶媒を用いた
向流分配法も抽出方法の範ちゅうに入れることができ
る。例えば遠心分配クロマトグラフィー(Centrifugal
Partition Chromatograph ;三鬼エンジニアリング社製
CPC) (注;CPCは商標名)も使用できる。
【0135】培養物からデラミノマイシン A、Bおよ
びCを採取する他の方法のひとつは、吸着の原理に基づ
くものである。例えば、培養濾液あるいは上記のように
して抽出操作を行なうことによって得られる抽出液を用
い、適当な吸着剤、ゲル濾過剤、例えば、シリカゲル、
セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、トヨ
パールHW−40(東ソー社製)、ダイヤイオンHP−
20(三菱化成工業社製)などを用いたカラムクロマト
グラフィー、ヌクレオシル5C18(西独ナーゲル社製)
などを用いた高速液体クロマトグラフィー又はその他の
手段によって目的の抗生物質を吸着剤に吸着させ、その
後溶離させることによりデラミノマイシン A、Bおよ
びCを単独に又は混合物として得ることができる。この
ようにして得られたデラミノマイシン Aおよび/また
はデラミノマイシン Bおよび/またはデラミノマイシ
ン Cの含有溶液を減圧濃縮乾固すれば、デラミノマイ
シンAおよび/またはデラミノマイシン Bおよび/ま
たはデラミノマイシン Cの粗標品が得られる。
【0136】このようにして得られるデラミノマイシン
Aおよび/またはデラミノマイシンBおよび/またはデ
ラミノマイシン Cの粗標品を更に精製するためには、
上記の抽出法および吸着法を必要に応じて組み合わせ必
要回数行なえばよい。例えば、ダイヤイオンHP−2
0、セファデックスLH−20(商品名)などの吸着剤
またはゲル濾過剤を用いたカラムクロマトグラフィー、
CPCを用いた遠心液々分配クロマトグラフィー、シリ
カゲルを用いた順相クロマトグラフィーおよびヌクレオ
シル5C18などを用いた高速液体クロマトグラフィーを
適宜組合わせて実施することができる。
【0137】更に、本発明者らは研究を進めて、その結
果、上記の一般式〔I〕または〔I′〕で表される抗生
物質デラミノマイシン A、BまたはCを無水の有機溶
媒中に溶解し、その溶液を無機酸とともに撹拌すると、
脱水を伴う閉環反応が起きて前記の一般式〔II〕で表さ
れる抗生物質デラミノマイシン A2またはB2または
C2を生成することが認められた。
【0138】従って、第4の本発明によると、デラミノ
マイシン Aまたはデラミノマイシン Bまたはデラミ
ノマイシン Cを、脱水閉環反応にかけることを特徴と
する、新規な抗生物質デラミノマイシン A2またはデ
ラミノマイシン B2またはデラミノマイシン C2の
製造法が提供される。
【0139】この第4の本発明の方法を実施するには、
原料としてデラミノマイシン AまたはBまたはCを無
水の有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、n−ブ
タノールまたはアセトンにとかし、その溶液へ無機酸、
例えば塩酸または硫酸を加えて室温または加温下に反応
することができる。反応液から目的のデラミノマイシン
A2またはB2またはC2を採取するのには、溶剤を
留去後に、得られた残渣を各種のクロマトグラフィー法
にかけることにより行い得る。
【0140】第1の本発明による一般式〔I〕または
〔I′〕のデラミノマイシン AまたはBまたはCまた
はそれらの塩、あるいは第2の本発明による一般式〔I
I〕のデラミノマイシン A2またはB2またはC2
は、免疫抑制剤またはその他の医薬として使用する場
合、製薬学的に許容できる通常の固体または液体状の担
体と混和することにより医薬組成物として製剤できる。
【0141】従って、第4の本発明によると、デラミノ
マイシン A、デラミノマイシンB、デラミノマイシン
C、デラミノマイシン A2、デラミノマイシン B
2およびデラミノマイシン C2からなる群より選ばれ
る少くとも1つの抗生物質またはそれの製薬学的に許容
される塩を有効成分として含有し且つこれと混和された
製薬学的に許容できる固体または液体状の担体を含有す
る医薬組成物が提供される。
【0142】本発明による一般式〔I〕または〔I′〕
あるいは一般式〔II〕のデラミノマイシン類の1種又は
それ以上を免疫抑制剤または免疫調節剤あるいはその他
の医薬として用いる場合は、一般に経口的にまたは非経
口的に投与できる。
【0143】デラミノマイシン AはICRマウスに腹
腔内投与した場合に500mg/kg以上のLD50値を
示し、毒性が極めて低い。
【0144】本発明の組成物における有効成分化合物、
すなわち、デラミノマイシン A、B、C、またはそれ
らの塩、あるいはデラミノマイシン A2、B2または
C2は単独に、または賦形剤あるいは担体と混合して注
射剤、経口剤または坐剤などの製剤の形で投与される。
賦形剤および担体としては製薬学上許容されるものが選
ばれ、その種類および組成は投与経路や投与方法によっ
て決まる。例えば、液状担体として水、アルコールもし
くは大豆油、ゴマ油、ミネラル油などの動植物油、また
は合成油などが用いられる。固体担体としてマルトー
ス、シュクロースなどの糖類、リジンなどのアミノ酸
類、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘
導体、シクロデキストリンなどの多糖類、ステアリン酸
マグネシウムなどの有機酸塩などが使用される。
【0145】注射剤として製剤する場合には、一般に生
理食塩水、各種緩衝液、グルコース、イノシトール、マ
ンニトールなどの糖類溶液、エチレングリコール、ポリ
エチレングリコールなどのグリコール類が望ましい。ま
た、イノシトール、マンニトール、グルコース、マンノ
ース、マルトース、シュクロースなどの糖類、フェニル
アラニンなどのアミノ酸類などの賦形剤と共に凍結乾燥
製剤とし、それを投与時に注射用の適当な溶剤、例えば
滅菌水、生理食塩水、ブドウ糖液、電解質溶液、アミノ
酸などの静脈投与用液体に溶解して用いることもでき
る。
【0146】製剤された組成物中におけるデラミノマイ
シン化合物の含量は製剤型により種々異なるが、通常は
0.1−100重量%、好ましくは1−90重量%で
ある。例えば注射液の場合には、通常0.1−5重量%
のデラミノマイシン化合物を含むようにすることがよ
い。経口投与の場合には、前記固体担体もしくは液状担
体と共に錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、ドライシロ
ップ剤、液剤、シロップ剤などの形態で用いられる。カ
プセル、錠剤、顆粒、粉剤の場合、一般にデラミノマイ
シン化合物の含量は3−100重量%、好ましくは5−
90重量%であり、残部は担体である。
【0147】本発明によるデラミノマイシンまたはその
塩の投与量は、患者の年令、体重、症状、治療目的など
により決定されるが、投与量は一般的な指針として非経
口投与で1−100mg/kg/日、また経口投与で5
−500mg/kg/日である。しかし、その投与量は
動物試験の結果など種々の状況を勘案して総投与量が一
定量を越えない範囲で、連続的または間けつ的に投与で
きる。
【0148】非経口投与の場合におけるその総投与量は
投与方法、患者の状況、例えば年令、体重、性別、食
事、併用薬剤などに応じて適宜変更して投与することは
もちろんである。一定の条件下における適量と投与回数
は、上記の指針を基にして専門医の決定によらなければ
ならない。これらの投与条件は経口投与においても同様
である。
【0149】以下、本発明を実施例により更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以
下において「%」は「w/v,%」を示す。
【0150】実施例1 本例はMJ202−72F3株の培養による抗生物質デ
ラミノマイシン A、BおよびCの製造例を示す。
【0151】(1)種母の調製 種母の調製に使用した培地は、下記の成分を1lの水に
溶解した組成のものである。pHは無調整とした。 グルコース 1.5 % 酵母エキス(大五栄養社製) 0.25% カザミノ酸(ディフコ社製) 0.25% 炭酸カルシウム 0.4%
【0152】上記培地110mlを500mlの三角フ
ラスコに分注し殺菌後、ストレプトミセス・エスピーM
J202−72F3株(微工研菌寄第12674号また
はFERM BP−4079)をスラントより1白金耳
摂取し、30℃、180rpmのロータリーシェーカー
にて72時間回転培養したものを種母として得た。
【0153】(2)培 養 生産培地として使用した培地は、下記の成分を1lの水
に溶解した組成のものである。pHは無調整とした。こ
の培地を110mlずつ500mlの三角フラス コへ
分注殺菌したものへ、上記種母2.2mlを添加し、ロ
ータリーシェーカーを用いて27℃、180rpmにて
攪拌下に培養を行なった。
【0154】 グルコース 3.0% 酵母エキス(大五栄養社製) 0.5% カザミノ酸(ディフコ社製) 0.5% NaNO3 0.2% KCl 0.2% CaCO3 0.4%
【0155】(3)抗生物質デラミノマイシン A、デ
ラミノマイシンBおよび/またはデラミノマイシン C
の採取 上記(2)の条件で6日間のMJ202−72F3株を
培養の後、培養液約20lを遠心分離し(3000rp
m、15分間)、菌体をメタノールで抽出処理後、メタ
ノールを溜去した後、残った水層をn−ブタノールにて
抽出し、n−ブタノール層を減圧下にて濃縮乾固した。
得られた粗抽出物約3gを遠心液々分配クロマトグラフ
(CPC,三鬼エンジニアリング)に付す。クロロホル
ム−メタノール−水(2:2:1)の下層を固定相と
し、上層を移動相として20℃、400rpm、1ml
/minの条件下、上昇法にて分離精製を行なった。正
溶出画分にデラミノマイシン A、BおよびCは溶出さ
れ、これを減圧下濃縮乾固した。
【0156】得られた粗精製物830mgをセファデッ
クスLH−20(ファルマシア社製)を用いたゲルクロ
マトグラフィーに付した。メタノールにて溶出を行ない
デラミノマイシン A、BおよびC画分を集め減圧下に
て濃縮乾固した。得られたデラミノマイシン A、Bお
よびC粗精製物813mgをメタノールに溶解し、その
一定量をカプセルパック5C18(資生堂社製)のカラム
(20mmφ×250mm)を用いた高速液体クロマト
グラフィーにかけ、メタノール−25mM酢酸アンモニ
ウム−アセトニトリル(60:10:30)にて溶出
し、デラミノマイシン AおよびBおよびCの各フラク
ションを得た。
【0157】これらフラクションを各々に減圧下で濃縮
乾固後、少量のメタノールに溶解後、セファデックスL
H−20を用いたゲルクロマトグラフィーに付し、デラ
ミノマイシン AまたはBまたはCを含むフラクション
を減圧下濃縮乾固するとデラミノマイシン Aの無色〜
白色の固体320mg、デラミノマイシン Bの無色〜
白色の固体30mg、デラミノマイシン Cの無色〜白
色の固体13mgが得られた。
【0158】実施例2 本例はデラミノマイシン Aの脱水閉環による抗生物質
デラミノマイシン A2の製造を示す。
【0159】デラミノマイシン A220mgをメタノ
ール3mlに溶解後、1N塩酸1mlを添加し室温にて
一晩攪拌した。TLCにて原料のデラミノマイシン A
が残っていないことを確認の後、反応液を減圧下濃縮乾
固した。得られた残渣277mgを少量のメタノールに
溶解後、シリカゲルカラム(20mmφ×250mm)
を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、n−ヘキ
サン−クロロホルム−アセトニトリル(60:27:1
3)にて溶出し、デラミノマイシン A2のフラクショ
ンを得た。
【0160】このフラクションを減圧下濃縮乾固後、少
量のメタノールに溶解後、カプセルパック5C18(資生
堂社製)のカラム(20mmφ×250mm)を用いた
高速液体クロマトグラフィーにかけ、メタノール−水
(80:20)にて溶出し、デラミノマイシン A2の
フラクションを得た。これを減圧下濃縮乾固すると64
mgの粉末が得られた。さらにこれを少量のメタノール
に溶解後、セファデックスLH−20を用いたゲルクロ
マトグラフィーに付し、デラミノマイシン A2を含む
フラクションを減圧下濃縮乾固するとデラミノマイシン
A2の無色〜白色の固体56.5mgが得られた。
【0161】実施例3 本例はデラミノマイシン Bの脱水閉環による抗生物質
デラミノマイシン B2の製造を示す。
【0162】デラミノマイシン B約200mgをメタ
ノール3mlに溶解後、1N塩酸1mlを添加し室温に
て一晩攪拌した。TLCにて原料のデラミノマイシン
Bが残っていないことを確認の後、反応液を減圧下濃縮
乾固した。得られた残渣を少量のメタノールに溶解後、
シリカゲルカラム(20mmφ×250mm)を用いた
高速クロマトグラフィーにかけ、n−ヘキサン−クロロ
ホルム−アセトニトリル(60:27:13)にて溶出
し、デラミノマイシン B2のフラクションを減圧下濃
縮乾固した。
【0163】得られたデラミノマイシン B2の粗精製
物65mgを少量のメタノールに溶解後、カプセルパッ
ク5C18(資生堂社製)のカラム(20mmφ×250
mm)を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、メ
タノール−水(80:20)にて溶出し、デラミノマイ
シン B2のフラクションを得た。これを減圧下濃縮乾
固すると43mgの粉末が得られた。これを少量のメタ
ノールに溶解後、セファデックスLH−20を用いたゲ
ルクロマトグラフィーに付し、デラミノマイシン B2
を含むフラクションを減圧下濃縮乾固するとデラミノマ
イシン B2の無色〜白色の固体34.6mgが得られ
た。
【0164】実施例4 本例はデラミノマイシン Cの脱水閉環による抗生物質
デラミノマイシン C2の製造を示す。
【0165】デラミノマイシン C約30mgをメタノ
ール3mlに溶解後、1N塩酸1mlを添加し室温にて
一晩攪拌した。TLCにて原料のデラミノマイシン C
が残っていないことを確認の後、反応液を減圧下濃縮乾
固した。得られた残渣を少量のメタノールに溶解後、カ
プセルパック5C18(資生堂社製)のカラム(20mm
φ×250mm)を用いた高速液体クロマトグラフィー
にかけ、メタノール−水(80:20)からメタノール
のグラジエント溶出法にて溶出し、デラミノマイシン
C2のフラクションを得た。
【0166】このフラクションを減圧下濃縮乾固する
と、11mgの粉末が得られた。さらにこれを少量のメ
タノールに溶解後、セファデックスLH−20を用いた
ゲルクロマトグラフィーに付し、デラミノマイシン C
2を含むフラクションを減圧下濃縮乾固するとデラミノ
マイシン C2の無色〜白色の固体9.8mgが得られ
た。
【0167】
【発明の効果】以上のように、本発明において、免疫抑
制活性とグラム陽性菌に対する抗菌活性と抗癌活性を有
する新規抗生物質として、デラミノマイシン A、B、
C、A2、B2およびC2が収得された。これらのデラ
ミノマイシン類は、臓器移植に必要とされる免疫抑制剤
として、あるいは免疫不全疾患および局所の炎症の治療
に有用である治療薬として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】デラミノマイシン AのKBrディスク法によ
る赤外部吸収スペクトル図である。
【図2】デラミノマイシン BのKBrディスク法によ
る赤外部吸収スペクトル図である。
【図3】デラミノマイシン CのKBrディスク法によ
る赤外部吸収スペクトル図である。
【図4】デラミノマイシン A2のKBrディスク法に
よる赤外部吸収スペクトル図である。
【図5】デラミノマイシン B2のKBrディスク法に
よる赤外部吸収スペクトル図である。
【図6】デラミノマイシン C2のKBrディスク法に
よる赤外部吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 17/10 8931−4B //(C12P 17/10 C12R 1:465) (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号 (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 前田 謙二 東京都目黒区五本木2丁目46番11号 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ユーフジマンシヨン701

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式〔I〕 または次の一般式〔I′〕 〔式中、Xはヒドロキシル基、メトキシ基または水素原
    子を表し、Xはデラミノマイシン Aではヒドロキシル
    基であり、デラミノマイシン Bではメトキシ基であ
    り、デラミノマイシン Cでは水素原子である〕で表さ
    れる免疫抑制活性を有する抗生物質、デラミノマイシン
    A、デラミノマイシン Bおよびデラミノマイシン
    C、およびそれらの塩。
  2. 【請求項2】 次の一般式〔II〕 〔式中、Yはヒドロキシル基、メトキシ基または水素原
    子を表し、Yはデラミノマイシン A2ではヒドロキシ
    ル基であり、デラミノマイシン B2ではメトキシ基で
    あり、デラミノマイシン C2では水素原子である〕で
    表される免疫抑制活性を有する抗生物質、デラミノマイ
    シン A2、デラミノマイシン B2およびデラミノマ
    イシン C2。
  3. 【請求項3】 一般式〔I〕または〔I′〕において、
    Xがヒドロキシル基を表す化合物である請求項1に記載
    のデラミノマイシン A。
  4. 【請求項4】 一般式〔I〕または〔I′〕において、
    Xがメトキシ基を表す化合物である請求項1に記載のデ
    ラミノマイシン B。
  5. 【請求項5】 一般式〔I〕または〔I′〕において、
    Xが水素原子を表す化合物である請求項1に記載のデラ
    ミノマイシン C。
  6. 【請求項6】 一般式〔II〕において、Yがヒドロキシ
    ル基を表す化合物である請求項2に記載のデラミノマイ
    シンA2。
  7. 【請求項7】 一般式〔II〕において、Yがメトキシ基
    を表す化合物である請求項2に記載のデラミノマイシン
    B2。
  8. 【請求項8】 一般式〔II〕において、Yが水素原子を
    表す化合物である請求項2に記載のデラミノマイシン
    C2。
  9. 【請求項9】 ストレプトミセス属に属するデラミノマ
    イシン A、デラミノマイシン Bおよびデラミノマイ
    シン Cの生産菌を培養し、その培養物からデラミノマ
    イシン Aおよび/またはデラミノマイシン Bおよび
    /またはデラミノマイシン Cを採取することを特徴と
    する免疫抑制活性を有する新規な抗生物質、デラミノマ
    イシン Aおよび/またはデラミノマイシン Bおよび
    /またはデラミノマイシン Cの製造法。
  10. 【請求項10】 デラミノマイシン A、デラミノマイ
    シン Bおよびデラミノマイシン Cの生産菌がストレ
    プトミセス・アルブルス(Streptomyces alublus )MJ
    202−72F3株である請求項9記載の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の一般式〔I〕または
    〔I′〕のデラミノマイシン A、デラミノマイシン
    Bまたはデラミノマイシン Cを脱水を伴う閉環反応に
    かけることを特徴とする、請求項2に記載の一般式〔I
    I〕で表される抗生物質、デラミノマイシン A2、デ
    ラミノマイシン B2またはデラミノマイシン C2の
    製造法。
  12. 【請求項12】 デラミノマイシン A、デラミノマイ
    シン B、デラミノマイシン C、デラミノマイシン
    A2、デラミノマイシン B2およびデラミノマイシン
    C2からなる群より選ばれる少なくとも1つの抗生物
    質またはその製薬学的に許容される塩を有効成分として
    含有し且つこれと混和された製薬学的に許容できる固体
    または液体状の担体を含有する医薬組成物。
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