JP3674955B2 - 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 - Google Patents
新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3674955B2 JP3674955B2 JP13923193A JP13923193A JP3674955B2 JP 3674955 B2 JP3674955 B2 JP 3674955B2 JP 13923193 A JP13923193 A JP 13923193A JP 13923193 A JP13923193 A JP 13923193A JP 3674955 B2 JP3674955 B2 JP 3674955B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substance
- culture
- medium
- observed
- strain
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Compounds Of Unknown Constitution (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は抗腫瘍活性を有する新規な制癌性抗生物質、MJ654−NF4物質及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物の生産する物質はこれまで多く報告されており、癌及び感染症の治療に広く用いられている。このうちストレプトミセス属に属する微生物の生産する抗腫瘍性抗生物質としてはアクチノマイシンD、マイトマイシンC、ブレオマイシン、アドリアマイシン等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は抗腫瘍活性を有する有用な新規抗生物質を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、微生物の生産物中に有用な新規な生理活性物質を見いだす目的で、天然の土壌より数多くの微生物を単離し、その生産物について種々の研究を行った。
【0005】
その研究の結果、本発明者らは、土壌より分離したストレプトミセス属に属する微生物であるMJ654−NF4株の培養液中に抗腫瘍活性を有する抗生物質、MJ654−NF4物質が生産され蓄積されていることを認め、その物質を単離して物理化学的性状と生物学的活性を調べ、この物質が抗腫瘍活性を有する新規化合物であることを見いだして本発明を完成した。
【0006】
本発明を概説すれば、本発明は抗腫瘍活性を有する新規な制癌性抗生物質、MJ654−NF4物質及びその製造法を提供するものである。
【0007】
詳しく言えば、第1の本発明によると、下記の物理化学的性状を有する新規な制癌性抗生物質、MJ654−NF4物質及びその塩が提供される。
【0008】
〔1〕MJ654−NF4物質の物理化学的性質
(1)物質の色および性状:黄褐色飴状である。
(2)分子式:C21H33O7 P
高分解FAB−MS〔Neg.〕により決定した。
C21H33O7 P〔M−H〕- として
実測値 427.1898
計算値 427.1886
なお、基準物質はPEG400を用いた。
(3)分子量:428
【0009】
(4)紫外線吸収スペクトル:
【0010】
5)赤外線吸収スペクトル(KBr法):添付図面の図1に示す通りである。
(6) 1H−核磁気共鳴スペクトル (400MHz):添付図面の図2に示す通りである。重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用して測定した。
(7)13C−核磁気共鳴スペクトル (100MHz):添付図面の図3に示す通りである。重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用して測定した。
(8)溶解性:メタノール、クロロホルム、ジメチルスルホキシドに可溶。ヘキサン及び水に難溶である。
【0011】
(9) 薄層クロマトグラフィー:
Rf値は0.29である。
吸着剤:シリカゲル(メルク社製、Art 5554)
展開溶媒:n−ブタノール:酢酸:水(4:1:1)
(10) 呈色反応:アニスアルデヒド−硫酸、リンモリブデン酸、塩化第二鉄の反応に対して陽性、ニンヒドリン反応に対して陰性である。
【0012】
〔2〕MJ654−NF4物質の生物学的活性
第1の本発明によるMJ654−NF4物質は、種々の癌細胞の増殖に対し阻害活性を示した。更に、in vivo においてマウス白血病L−1210癌細胞を腹腔内に移植したマウスの実験系において延命効果を示した。また、in vivo においてマウス黒色腫B16癌細胞を静脈内に移植したマウスの実験肺転移系においてB16癌細胞の肺転移に対し抑制効果を示した。
【0013】
以上要約すると、本発明によるMJ654−NF4物質はある種の癌細胞に対して抗癌活性を有して有用な抗癌剤としての用途がある。
【0014】
第1の本発明によるMJ654−NF4物質の生理活性を後記の試験例で評価した。
【0015】
試験例1
各種の癌細胞に対する増殖阻害活性
各種の動物癌細胞を培養し、これら培養癌細胞に対する本発明の制癌性抗生物質の増殖阻害活性 (IC50) 値を測定し、その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
試験例2
マウスの白血病L−1210癌細胞に対する制癌効果
CDF1 マウスにL−1210癌細胞(1×105 個/マウス)を腹腔内に移植し、供試化合物としてMJ654−NF4物質は移植後1〜9日目まで腹腔内に注射した。生理食塩水を投与した対照群のマウスの生存日を100とした場合の次式で算出される延命率(%)で評価した。
延命率(%)=T/C×100
ただし、Tは供試化合物を投与した時の生存日を表し、Cは供試化合物無投与の時の生存日を表す。結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】
マウスのメラノーマB16細胞の高転移株癌細胞に対する肺転移阻害効果
BDF1 マウスにメラノーマB16細胞(5×105 個/マウス)を静脈内に移植し、供試化合物としてMJ654−NF4物質は移植後1〜9日目又は1〜19日目まで腹腔内に注射した。移植後20日目に肺を摘出し、メタノール固定を行い顕微鏡下にて細胞集団を数えた。この抑制効果は次式で算出される阻害率(%)で評価した。
【0020】
阻害率(%)=100−(T/C×100)
ただし、Tは供試化合物を投与した時の肺転移したメラノーマB16細胞数を表し、Cは供試化合物無投与の時の肺転移したメラノーマB16細胞数を表す。その結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
更に、第2の発明によると、ストレプトミセス属に属するMJ654−NF4株( FERM P − 13600 )を培養し、その培養物から前記のMJ654−NF4物質を採取することを特徴とする、抗生物質、MJ654−NF4物質の製造法が提供される。
【0023】
本発明の方法に用いるストレプトミセス・エスピーMJ654−NF4株は、茨城県つくば学園都市で採取された土壌より分離された放線菌でMJ654−NF4株の菌株番号が付された菌株である。
【0024】
以下、MJ654−NF4株の菌学的性状について述べる。
1.形態
MJ654−NF4株は、分枝した基生菌糸より気菌糸を伸長し、その先端は2〜5回転のらせんを形成する。輪生枝及び胞子のうは認められない。成熟した胞子鎖には30個以上の円筒形の胞子の連鎖を認め、胞子の大きさは約0.7 〜0.8 ×1.1 〜1.3 ミクロンであった。なお、胞子の表面は平滑である。
【0025】
2.各種培地における生育状態
色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモニー・マニュアル(Container Corporation of America の color harmony manual)を用いた。
【0026】
(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養)
無色の発育上に明るい茶灰〔3dc, Natural〕の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認められない。
(2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養)
うす黄〔1ga, Lt Lemon Yellow〕〜うす黄茶〔3gc, Lt Tan 〕の発育上に、明るい灰〔3fe, Silver Gray〕の気菌糸を部分的に着生し、溶解性色素は認められない。
(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、27℃培養)
うす黄〔3gc, Lt Tan 〜3le, Cinnamon 〕の発育上に、明るい茶灰〔3dc, Natural〕〜明るい灰〔3fe, Silver Gray〕の気菌糸を着生する。培養後21日目頃より、気菌糸の湿潤化が観察される。溶解性色素は認められない。
(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、27℃培養)
うす黄〔2gc, Bamboo 〕の発育上に、白〜明るい灰〔3fe, Silver Gray〕の気菌糸を部分的に着生するが、培養後10日目頃より湿潤化し、黒色を呈する。溶解性色素は認められない。
【0027】
(5)チロシン寒天培地(ISP−培地7、27℃培養)
うす茶〔4gc, Nude Tan 〜4ie, Cork Tan 〕の発育上に、明るい茶灰〔3dc,
Natural〕〜明るい灰〔3fe, Silver Gray〕の気菌糸を着生する。培養後21日目頃より湿潤化し、黒色を呈する。溶解性色素はわずかに茶色味を帯びる。
(6)栄養寒天培地(27℃培養)
発育はうす黄〔2gc, Bamboo 〕、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認められない。
(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃培養)
うす黄茶〔3ie, Camel〜3le, Cinnamon 〕の発育上に、明るい灰〔3fe,SilverGray〕の気菌糸を着生するが、培養後14日目頃より湿潤化し、黒色を呈する。溶解性色素は認められない。
(8)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培養)
うす黄〔2ca, Lt Ivory 〜2gc, Bamboo 〕の発育上に、明るい灰〔3fe, Silver Gray 〕の気菌糸を着生するが、培養後10日目頃より湿潤化し、黒色を呈する。溶解性色素は認められない。
(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃培養)
無色〜うす黄の発育上に白の気菌糸をわずかに着生し、溶解性色素は認められい。
(10)スターチ寒天培地(27℃培養)
発育はうす黄色〔1ca, Pale Yellow〜1ea, Canary Yellow〕、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められない。
【0028】
(11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養)
無色の発育上に、白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素は認められない。
(12)セルロース(濾紙片添加合成液。27℃培養)
36日間の培養では生育しなかった。
(13)ゼラチン穿刺培養
15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められない。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(27℃培養)の場合、発育はうす黄〜うすだいだい、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認められない。
(14)脱脂牛乳(37℃培養)
発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素も認められない。
【0029】
3.生理的性質
(1)生育温度範囲
グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0 %、L−アスパラギン 0.05 %、リン酸水素二カリウム 0.05%、ひも寒天 3.0 %、pH6.8 〜7.0 )を用い、10℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の各温度で試験した結果、10℃、50℃を除き、そのいずれの温度でも成育する。生育至適温度は27℃〜30℃付近と思われる。
【0030】
(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培地、27℃培養)
15%単純ゼラチン培地の場合、培養後10日目頃より液化を認めるが、その作用は極めて弱く、25日目後も液化の進行はほとんど認められない。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地では培養後21日目頃より液化が始まり、極めてゆっくりと進行し、その作用は弱い。
【0031】
(3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、ISP−培地4及びスターチ寒天培地、いずれも27℃培養)
いずれの培地においても培養後3日目頃より水解性は認められ、その作用は強い。
(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂牛乳、37℃培養)
培養後、12日目頃より凝固状を呈し、2〜3日で完了後、ペプトン化が始まるが、その作用は弱い。
(5)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培地、ISP−培地6;チロシン寒天培地、ISP−培地7;いずれも27℃培養)
いずれの培地でも陰性である。
【0032】
(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培地、ISP−培地9、27℃培養)
D−グルコース、L−アラビノース、D−フラクトースを利用して発育し、イノシトール、ラムノース、ラフィノース、D−マンニトール、ラクトースは利用しない。シュクロースはおそらく利用しないと思われ、D−キシロースの利用は判然としない。
【0033】
(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天培地27℃培養)
陰性である。
(8)硝酸塩の還元反応(0.1 %硝酸カリウム含有ペプトン水、ISP−培地8、27℃培養)
おそらく陽性である。
(9)セルロースの分解(濾紙片添加合成液、27℃培養)
36日間培養の観察で分解は認められない。
【0034】
以上の性状を要約すると、MJ654−NF4株は、その形態上、気菌糸がらせんを形成し、輪生枝及び胞子のうは認められない。成熟した胞子鎖には30個以上の円筒形の胞子を連鎖し、その表面は平滑である。種々の培地で、発育はうす黄〜うす黄茶、気菌糸は明るい灰を呈し、湿潤化が観察される。溶解性色素は認められない。生育至適温度は27℃〜30℃付近である。メラニン様色素の生成は陰性、スターチの水解性は強いほう、蛋白の分解力は弱い。なお、細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型であった。
【0035】
これらの性状より、MJ654−NF4株は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられる。近縁の既知菌種を検索するとストレプトミセス・シラツス(Streptomyces cirratus, The Journal of Antibiotics A,16巻、59頁、1963年) 、ストレプトミセス・フミズス(Streptomyces humidus, InternationalJournal of Systematic Bacteriology, 18巻、 334頁、1968年) 、ストレプトミセス・エンズス(Streptomyces endus, International Journal of Systematic Bacteriology, 18巻、 316頁、1968年) 及びストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscospicus, International Journal of Systematic Bacteriology, 22巻、 307頁、1972年) があげられた。現在、上記4種の当研究所保存菌株とMJ654−NF4株とを実地に比較検討中である。そこで現時点では、MJ654−NF4株をストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)MJ654−NF4とする。なお、MJ654−NF4株をつくば市所在の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託申請し、平成5年4月12日、FERM P−13600として受託された。
【0036】
次に、第2の本発明の方法による新規制癌性抗生物質、MJ654−NF4物質の製造法について説明する。
【0037】
本発明による抗生物質、MJ654−NF4物質はストレプトミセス属に属するMJ654−NF4物質生産菌である MJ654 − NF4 株( FERM P − 13600 )を適当な培地で培養することにより、好ましくは好気的条件下に培養することにより、培地中に目的物質を産生、蓄積させ次いで培養物から目的の MJ654 − NF4 物質を採取することにより製造することができる。
【0038】
培地はMJ654−NF4物質生産菌が利用しうる任意の栄養源を含有するものでありうる。例えば、炭素源としてグルコース、マルトース、スターチ、ダイズ油、グリセロールなどが使用でき、窒素源としては、大豆粉、酵母エキス、小麦胚芽油、フィッシュミール、グルテンミール、トーストソーヤ、プロリッチなどが使用できる。又必要に応じて食塩、炭酸カルシウム、リン酸塩、重金属塩などの無機塩類を添加することができる。その他、必要に応じて適当な消泡剤、例えばシリコーン系消泡剤を添加することもできる。
【0039】
培養方法としては、一般に行われている生理活性物質の生産のための醗酵的方法であればよく、MJ654−NF4物質の製造には好気的液体深部培養法が適している。培養温度はMJ654−NF4物質生産菌が発育しMJ654−NF4物質を生産する範囲で使用でき通常27〜32℃である。
培養は以上述べた条件を使用しMJ654−NF4物質生産菌の性質に応じて適宜選択して行うことができる。このようにしてMJ654−NF4物質の蓄積された培養物が得られる。
培養物中ではMJ654−NF4物質は菌体中および培養液中に存在するが、特に培養濾液中により多く存在する。
【0040】
MJ654−NF4物質の採取に当っては、培養濾液より酢酸エチル、n−ブタノール等の有機溶媒でMJ654−NF4物質を抽出することができる。この抽出液を減圧下濃縮し、遠心液液分配クロマトグラフィー、適当な吸着剤を用いたクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることによってMJ654−NF4物質を単離、精製して純粋に採取することができる。
【0041】
本発明の別の要旨においては、第1の本発明の MJ654 − NF4 物質を産生する特性を持つストレプトミセス・エスピー( Streptomyces sp. ) MJ654 − NF4 株( FERM P − 13600 )が提供される。
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1
(1)種母の調製
種母の調製に使用した培地は下記の成分を1lの水に溶解した組成をもつものである。
【0043】
上記培地110mlを500mlのワッフル付三角フラスコに分注し、MJ654−NF4株(FERM P−13600)をスラントより1白金耳摂取し、上記培地に接種して30℃で3日間培養した。
【0044】
(2)培養
MJ654−NF4物質の醗酵的製造に使用した培地は、下記の成分を1lの水に溶解した組成をもつものである。
【0045】
上記培地を110mlずつ500mlの三角フラスコへ分注したものへ、上記種母2.2mlを添加し、ロータリーシェーカーを用いて27℃、180rpmにて3日間振盪培養した。
【0046】
(3)MJ654−NF4物質の採取
上記(2)の条件で3日間培養の後、得られた培養液約10lをとり、遠心分離により菌体を除去し、培養濾液を酢酸エチルで2回抽出し抽出液を減圧下濃縮し0.8 gの粗物質を得た。この粗物質を遠心液液分配クロマトグラフィー(三鬼エンヂニアリング社製、分配液、クロロホルム:メタノール:水=2:2:1)移動相として上層、回転数400rpm、流量1ml/分の条件で溶出分画し活性分画を集め、減圧下濃縮した。
【0047】
このようにして得られた粗精製物質127mgをメタノールに溶解し、その一定量をカプセルパック5C18(資生堂社製)のカラム(20mmφ×250mm)を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、展開溶媒としてメタノール−水(60:40)にて溶出しMJ654−NF4物質含有フラクションを得た。これらを減圧下濃縮後、少量のメタノールに溶解しセファデックスLH−20を担体としたゲル濾過クロマトグラフィーに付し、MJ654−NF4物質を含むフラクションを集め、減圧下濃縮乾燥するとMJ654−NF4物質が黄褐色飴状物質18.9mgとして得られた。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明により抗腫瘍活性を有する新規抗生物質としてMJ654−NF4物質が得られ、またその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMJ654−NF4物質のKBr ディスク法による赤外部吸収スペクトル図である。
【図2】MJ654−NF4物質の重メタノール中における400MHz での 1H−NMRスペクトル図である。
【図3】MJ654−NF4物質の重メタノール中における100MHz での13C−NMRスペクトル図である。
Claims (3)
- 下記の理化学的性状を有する抗生物質、MJ654−NF4物質およびその塩。
(1) 物質の性状:黄褐色飴状である。
(2) 分子式:C21H33O7P
(3) 分子量:428(FAB−MS法により測定)
(4) 紫外線吸収スペクトル:
λmax MeOH nm(E1cm 1%):204(259)、260(sh、634)、267(778)、277(592)
(5) 赤外線吸収スペクトル:添付図面の図1に示す通りである。
(6) 1H−核磁気共鳴スペクトル(400 MHz):添付図面の図2に示す通りである。重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用して測定した。
(7) 13C−核磁気共鳴スペクトル(100 MHz):添付図面の図3に示す通りである。重メタノール中、内部基準にテトラメチルシランを使用して測定した。
(8) 溶解性:メタノール、クロロホルム、ジメチルスルホキシドに可溶であるがヘキサン及び水に難溶である。 - ストレプトミセス属に属するMJ654−NF4株(FERM P−13600)を培養し、その培養物から請求項1に記載の抗生物質、MJ654−NF4物質を採取することを特徴とする、抗生物質、MJ654−NF4物質の製造法。
- 請求項1に記載のMJ654−NF4物質を生産する特性を持つストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)MJ654−NF4株( FERM P − 13600 )。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13923193A JP3674955B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13923193A JP3674955B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06321978A JPH06321978A (ja) | 1994-11-22 |
JP3674955B2 true JP3674955B2 (ja) | 2005-07-27 |
Family
ID=15240538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13923193A Expired - Lifetime JP3674955B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3674955B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-19 JP JP13923193A patent/JP3674955B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06321978A (ja) | 1994-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2802097B2 (ja) | 新規な制癌抗生物質mi43―37f11及びその製造法 | |
JP4521145B2 (ja) | 抗生物質カプラザマイシン類およびその製造法 | |
JP3674955B2 (ja) | 新規制癌性抗生物質mj654−nf4物質及びその製造法 | |
JP4351395B2 (ja) | Wk−5344a物質及びwk−5344b物質並びにそれらの製造法 | |
JPH0462318B2 (ja) | ||
JPH03157372A (ja) | Yl―01869p物質及びその製造法 | |
JP2592468B2 (ja) | 新規抗生物質ベナノマイシンaおよびbならびにその製造法 | |
CA2017276C (en) | Carcinostatic or antitumor antibiotic, conagenin, and production and uses thereof | |
JP2557070B2 (ja) | 新規生理活性物質プロベスチン、プロスタチン及びその製造法 | |
JP2989674B2 (ja) | 制癌性物質サイトブラスチンおよびその製造法 | |
JPH09157266A (ja) | 新規抗生物質エポキシキノマイシンaおよびbとその製造法 | |
JP3386842B2 (ja) | Mj202−72f3物質の新規エステル | |
JPS59151896A (ja) | 新規抗生物質ss8201b及びその製造法 | |
JPH05310766A (ja) | 新規抗生物質mi481−42f4−a及びその製造方法 | |
FR2524886A1 (ja) | ||
WO2001046451A1 (fr) | Migrastatine, procede de production et compositions medicales correspondants | |
JPS6015318B2 (ja) | 新抗生物質sf−1942物質,その製造法およびそれを含有する抗ガン剤 | |
JPS62186787A (ja) | 新規な微生物 | |
JPH0216995A (ja) | Bmy―40800抗腫瘍抗生物質 | |
JPH05178838A (ja) | 新規抗生物質ピエリシジンb1 n−オキシドおよびその製造法 | |
JP2001055386A (ja) | 抗生物質ツベラクトマイシンb、dおよびeとその製造法 | |
JPS62228074A (ja) | Ss50408物質及びその製造法 | |
JPH06279479A (ja) | 新規抗生物質mj202−72f3−d物質およびその製造法 | |
JPH0948781A (ja) | 新規抗生物質ラクトナマイシンおよびその製造法 | |
JPS61285992A (ja) | 抗腫瘍性抗生物質mf730−n6及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040323 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040422 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20040511 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050217 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050329 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050425 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080513 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100513 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130513 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |