JP2810752B2 - 新規生理活性物質サイクロオクタチン、その製造法およびその用途 - Google Patents

新規生理活性物質サイクロオクタチン、その製造法およびその用途

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JP2810752B2 JP3601390A JP3601390A JP2810752B2 JP 2810752 B2 JP2810752 B2 JP 2810752B2 JP 3601390 A JP3601390 A JP 3601390A JP 3601390 A JP3601390 A JP 3601390A JP 2810752 B2 JP2810752 B2 JP 2810752B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は抗リゾホスホリパーゼ作用を有する新規な生
理活性物質サイクロオクタチン(Cyclooctatin)、その
製造法およびその用途に関する。
[従来の技術] 細胞膜酵素に対する阻害物質は、免疫調節作用を持つ
ことが報告されている(M.E.Bushell、Bioactive Metab
olites fromMicroorganisms、第403〜418頁、ElsevierS
cience Publishers B.V.,Amsterdam、1989年)。したが
って、リゾホスホリパーゼに対する阻害物質において
も、免疫調節作用が期待される。
リゾホスホリパーゼは、気管支喘息患者のかっ啖中に
チャーコット・ライデン・クリスタル(Charcot Leyden
Crystal)と名付けられた結晶としても見出されてお
り、好酸球等の炎症細胞中に高濃度に存在し、炎症・ア
レルギー反応に深く関わることが報告されている[The
Journal of Immunology、第128巻、1346〜1349頁(198
2)]。
リゾホスホリパーゼ阻害物質としては、ジイソプロピ
ルフルオロリン酸、各種界面活性剤及びアシルカルニチ
ン等が報告されている[蛋白質・核酸・酵素、第32巻、
1091〜1096頁(1987)]。
[発明が解決しようとする課題] ジイソプロピルフルオロリン酸、各種界面活性剤及び
アシルカルニチン等のリゾホスホリパーゼ阻害物質は、
リゾホスホリパーゼに対する特異性が低い。したがっ
て、リゾホスホリパーゼに対する特異性の高い阻害物質
が望まれている。本発明の目的は、そのような特異性の
高いリゾホスホリパーゼ阻害活性を有する生理活性物
質、その製造法及びその用途を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明を概説すれば、本発明の第一の発明は新規生理
活性物質サイクロオクタチンに関する発明であって、下
記の式(I): で表される化合物であることを特徴とする生理活性物質
サイクロオクタチンを提供するものである。
サイクロオクタチンの理化学的性質は下記の通りであ
る。
サイクロオクタチンの理化学的性状 (1)色及び形状:無色粉末 (2)分子式:C20H34O3 (3)分子量:322 FD-MS m/z (4)融点:183〜185℃ (5)比旋光度:▲[α]27 D▼+90.6°(C 0.5、メタ
ノール) (6)元素分析値:C;74.09%、 H;10.63% (7)紫外線吸収スペクトル:1mg/mlエタノール溶液中
で210〜350nm間に特異的な吸収を示さない。
(8)赤外線吸収スペクトル:添付図面の第1図に示
す。
(9)水素核核磁気共鳴スペクトル:添付図面の第2図
に示す。
(10)炭素核核磁気共鳴スペクトル:添付図面の第3図
に示す。
(11)溶解性:ジメチルスルホキシド、メタノール、ア
セトン、酢酸エチルに可溶であり、水に不溶である。
(12)薄層クロマトグラフィーのRf値: 0.47 シリカゲル(メルク社製Art.5715)薄層を用い、展開
溶媒としてクロロホルム−メタノール(9:1)を用い
た。
本発明の第2の発明は、新規生理活性物質サイクロオ
クタチンの製造法に関する発明であって、ストレプトミ
セス属に属して前記の式(I)のサイクロオクタチンを
生産する菌を栄養培地中で培養し、その培養物から式
(I)のサイクロオクタチンを採取することを特徴とす
る生理活性物質サイクロオクタチンの製造法が提供され
る。
本発明に使用されるサイクロオクタチン生産菌の1例
としては、本発明者らにより香川県善通寺の土壌より分
離された放線菌であって、MI614-43F2の菌株番号が付さ
れた菌株がある。MI614-43F2株の菌学的性状は次の通り
である。
1.形態 MI614-43F2株は顕微鏡下で分枝した基中菌糸より気菌
糸を伸長し、らせんを形成する。輪生枝及び胞子のうは
認められない。この菌株は、電子顕微鏡観察で個々の胞
子の判別が難しいが、気菌糸の先端には10個以上の胞子
の連鎖があり、各胞子の大きさは0.8〜1.0×1.0〜1.2ミ
クロン位である。なお、胞子の表面はいぼ状である。
2.各種培地における生育状態 色の記載について以下の[ ]内に示す標準は、コン
ティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー
ハーモニー・マニュアル(Container Corporation of A
mericaのColor harmony manual)を用いた。
(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に灰味白〜明るい灰[3fe,Silver Gray
〜5fe,Ashes]の気菌糸を着生し、培養後21日目頃にな
ると湿潤化してくる。溶解性色素は認められない。
(2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) 発育は無色、気菌糸は明るい灰[2dc,Natural]〜灰
[3ih,Beige Gray〜5ih,Lead Gray]、溶解性色素は認
められない。
(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄[2ga,Colonial Yellow]〜黄[2lc,Gold]の
発育上に、黄味白〜明るい灰[3fe,Silver Gray]の気
菌糸を着生し、培養後10日目頃になると気菌糸の上に水
滴がつく、溶解性色素は認められない。
(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) 無色〜うす黄茶[2le,Mustard]の発育上に明るい灰
[3fe,Silver Gray]〜灰色[3ih,Beige Gray]の気菌
糸を着生し培養後21日目頃から湿潤して来る。溶解性色
素は、認められない。
(5)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27℃培養) うす茶[3ie,Camel]〜黄茶[3ni,Clove Brown]の発
育上に、黄味灰(3ec,Bisque]〜明るい灰[3fe,Silver
Gray]の気菌糸を着生し、溶解性色素はわずかに赤味
茶をおびる。
(6)栄養寒天培地(27℃培養) 発育は無色、気菌糸は白〜灰白[2cb,Ivory Tint]で
うっすらと着生し、溶解性色素は認められない。
(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、27℃培
養) 無色〜うす黄茶[2gc,Bamboo〜2le,Mustard]の発育
上に、黄味灰〜明るい灰[2fe,Covert Gray〜3fe,Silve
r Gray]の気菌糸を着生する。溶解性色素は認められな
い。
(8)オートミール寒天培地(ISP−培地3、27℃培
養) 発育は無色、気菌糸は明るい灰[2fe,Covert Gray〜3
fe,Silver Gray]〜灰[3ih,Beige Gray]で培養後14日
目頃から湿潤し、暗い灰[3ml,Beaver Gray]となる。
溶解性色素は、認められない。
(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃培養) 発育はうす黄[2ea,Lt Wheat]〜黄[2ie,Squash Yel
low]、気菌糸は黄味灰[2ca,Lt Ivory]〜灰白で培養
後7日目頃から気菌糸の上に水滴がつくようになる。溶
解性色素はわずかに黄色味を呈する。
(10)スターチ寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に明るい灰[3fe,Silver Gray〜5fe,Ash
es]〜灰色[5ih,Iead Gray]の気菌糸を着生するが、
培養後14日目頃から湿潤し、次第に黒っぽくなる。溶解
性色素は認められない。
(11)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 発育は無色、気菌糸は白〜灰白色でうっすらと着生す
るが、次第に明るい灰[3fe,Silver Gray〜5fe,Ashes]
となり培養後21日目頃には湿潤して来る。溶解性色素は
認められない。
(12)セルロース(濾紙片添加合成液、27℃培養) 発育は無色、気菌糸は灰白色〜明るい灰〜灰色で、溶
解性色素は認められない。
(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では培養後7日目
頃から生育し、無色の発育上にうっすらと白色の気菌糸
を着生する。溶解性色素はわずかに茶色味をおびる。
グルコース・ペプトン・ゼラチン培地、(27℃培養)
では、無色の発育上に気菌糸を着生せず、溶解性色素も
認められない。
(14)脱脂牛乳(37℃培養) 無色〜うす茶の発育上に、気菌糸は着生せず、溶解性
色素も認められない。
3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天(グルコース1%、ア
スパラギン0.05%、K2HPO4 0.05%、ひも寒天3.0%、pH
7.0)を用い、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50℃の
各温度で試験の結果、50℃を除いてそのいずれの温度で
も発育したが最適生育温度は27℃〜37℃付近と思われ
る。
(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン培地、20℃培
養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培地、27℃培養) 単純ゼラチン培地では、培養後14日目頃になってわず
かに液化が認められる。その作用は弱い方である。グル
コース・ペプトン・ゼラチン培地では、培養後5日目頃
より液化が始まり、2週間経過後も培養中試験管の2/3
程度の液化であった。その作用は中等度〜強い方であ
る。
(3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地
及びスターチ寒天培地、いずれも27℃培養) スターチ・無機塩寒天培地、スターチ寒天培地共に培
養後5日目頃より水解性が認められ、その作用は中等度
である。
(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂牛乳、37℃培
養) 培養後7日目頃より凝固を認め、10日目頃にはほぼ完
了し、ペプトン化が始まる。ペプトン化は培養後約3週
間で完了した。その作用は中等度〜強い方である。
(5)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP−培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP−培地6;チロシン寒天培地、ISP−培地7;いずれ
も27℃培養) 上記の3種の培地でメラニン様色素の生成は陰性であ
った。
(6)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培
地、ISP−培地9;27℃培養) D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロー
ス、D−フラクトース、シュクロース、イノシトール、
ラムノース、ラフィノース、D−マンニトール、ラクト
ースを利用して生育する。
(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天培地、27
℃培養) 培養後5日目頃よりリンゴ酸石灰の溶解が認められ、
その作用は強い方である。
(8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP−培地8、27℃培養)陽性である。
(9)セルロースの分解(濾紙片添加合成液、27℃培
養) 陰性である。
以上の性状を要約するとMI614-43F2株の気菌糸はらせ
んを形成し、輪生枝及び胞子のうは認められない。胞子
の表面はいぼ状である。種々の培地で無色あるいはうす
黄茶〜黄茶の発育上に明るい灰色の豊富な気菌糸を着生
する。培養後21日目頃から気菌糸の湿潤化が認められ、
暗い灰を呈する。溶解性色素はほとんどの培地で認めら
れない。メラニン様色素の生成は陰性である。スターチ
の水解性及び蛋白分解力は共に中等度〜強い方である。
なお、細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸はLL
−型であった。
これらの性状よりMI614-43F2株はストレプトミセス
Streptomyces)属に属すると考えられる。近縁の既知
菌種を検索すると、ストレプトミセス・メラノスポロフ
ァシエンス(Streptomyces melanosporofaciens:Inter
national Journal of Systemetic Bacteriology,19巻,4
52頁,1969;Bergey′s Manual of Determinative Bacter
iology,8th editon,772頁,1974)、及びストレプトミセ
ス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygrospicus:
International Journal of Systematic Bacteriology,2
2巻,307頁,1972;S.A.Wakeman著The Actinomycetes,2巻,
230頁,1961;Bergey′s Manual of Determinative Bacte
riology 7th editon,796頁,1957)があげられた。
そこで、MI614-43F2株と前記2菌株を実地に比較検討
しその結果を第1表に示した。
第1表から明らかなように、MI614-43F2株はストレプ
トミセス・メラノスポロファシエンス及びストレプトミ
セス・ハイグロスコピカスに極めて近い性状を示した。
しかしながら、MI614-43F2株が示す牛乳の凝固、イノ
シトール及びラフィノースの利用、ISP−培地7で生産
する赤味茶の溶解性色素、黄味灰〜明るい灰色の気菌
糸、これらの性状は明らかにストレプトミセス・ハイグ
ロスコピカスと相違する。
MI614-43F2株がシュクロースを利用するのは、両者と
反する点であるが、ストレプトミセス・メラノスポロフ
ァシエンスとは、極めて近い関係にあると考えられた。
従って、MI614-43F2株をストレプトミセス・メラノスポ
ロファシエンス(Streptomyces melansporofaciens)M
I614-43F2と同定した。
なお、MI614-43F2株を工業技術院微生物工業技術研究
所に寄託申請し、昭和63年12月2日に微工研菌寄第1043
1号として受託された。
MI614-43F2株は他の放線菌の場合に見られるように、
その性状が変化しやすい。たとえば、MI614-43F2株に由
来する突然変異株(自然発生または誘発性)、形質融合
体または遺伝子組み換え体であっても、サイクロオクタ
チンの生産能を有するストレプトミセス属の菌はすべて
本発明の方法に使用することができる。
本発明の方法では、前記の菌を通常の微生物が利用し
うる栄養物を含有する培地で培養する。炭素源として
は、グルコース、水飴、デキストリン、シュクロース、
でんぷん、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また、窒
素源としては、大豆粉、小麦、小麦胚芽、コーンスティ
ープ・リカー、綿実かす、肉エキス、ペプトン、酵母エ
キス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、尿素等を利用で
きる。その他、必要に応じ、ナトリウム、コバルト、塩
素、硫酸、燐酸、及びその他のイオンを生成することの
できる無機塩類を添加することは有効である。また、菌
の生育を助け、生理活性物質サイクロオクタチンの生産
を促進するような有機及び無機物を適当に添加すること
ができる。
培養法としては、好気的条件での培養法、特に深部培
養法が適している。培養に適当な温度は15〜37℃である
が、多くの場合、26〜30℃付近で培養する。生理活性物
質サイクロオクタチンの生産は培地や培養条件により異
なるが、振盪培養、タンク培養とも通常1〜10日の間で
その蓄積が最高に達する。培養物中の生理活性物質サイ
クロオクタチンの蓄積量が最高になった時に、培養を停
止し、培養液から目的物質を単離精製する。
本発明によって得られるサイクロオクタチンの培養液
からの採取にあたっては、その性状を利用した通常の分
離手段を適宜組み合わせて抽出して精製することができ
る。サイクロオクタチンは培養液及び菌体の両方に存
在する。培養濾液よりは、酢酸ブチル等の水不混和性の
有機溶媒で抽出できるほか、ダイヤイオンHP-2MG等の有
機吸着剤に吸着後、含水メタノール、含水アセトン等で
溶出できる。菌体よりは、メタノール、アセトン等の有
機溶剤で抽出後、抽出液を減圧濃縮し、培養液と同様
の方法で更に溶媒抽出することができる。
上述の方法に加え、脂溶性物質の採取に用いられる公
知の方法、例えば吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーよりのかき
取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み合わ
せ、あるいは繰り返すことによってサイクロオクタチン
を純粋に単離することができる。
本発明の第3の発明は、サイクロオクタチンを有効成
分とするリゾホスホリパーゼ阻害剤および免疫抑制剤で
ある。
サイクロオクタチンは以下の試験例に示すように細胞
膜酵素であるリゾホスホリパーゼを強く阻害するが毒性
を示さない。従ってサイクロオクタチンはリゾホスホリ
パーゼ阻害剤及び免疫抑制剤として極めて有用である。
サイクロオクタチンは、通常、経口投与あるいは静脈、
皮内、筋肉内投与などの非経口投与によって投与するこ
とができる。投与量は投与する対象、投与ルートなどに
よって変動するが通常0.5〜100mg/Kg/日、好ましくは1
〜50mg/Kg/日である。
投与する際の製剤としては慣用的に用いられている剤
形が挙げられる。経口投与の場合には、デンプンなどの
通常の賦形剤などとともに成型された錠剤、顆粒剤、カ
プセル剤などが用いられる。非経口投与の場合には生理
食塩水、溶解剤などを用いて成型された通常の注射剤な
どが用いられる。
[発明の効果] 以上に詳細に説明したように、本発明では新規な生理
活性物質サイクロオクタチンが提供され、この化合物は
リゾホスホリパーゼを強く阻害し、従って、リゾホスホ
リパーゼ阻害剤及び免疫抑制剤として極めて有用であ
る。
[実施例] 次に実施例によって本発明のサイクロオクタチンの製
造例及び製剤例を示す。
実施例1 種培地及び生産培地として、ガラクトース2.0%、デ
キストリン2.0%、グリセリン1.0%、バクトーソイトン
(ディフコ社製)1.0%、コーンスティープ・リカー
(イワキ社製)0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カ
ルシウム0.2%、消泡剤としてシリコンKM-70(信越化学
社製):大豆油(局法)(1:1)の混液0.05%を含む培
地を用いた。なお、殺菌前の培地はpH7.4に調整して使
用した。
500ml容三角フラスコに110mlを分注した前記培地を12
0℃で20分間滅菌し、これにストレプトミセス・メラノ
スポロファシエンスMI614-43F2株(FERM P-10431)の斜
面培養の1〜2白金耳を接種し、27℃、180回転/分の
回転式振盪機にて3日間培養した。この種培養液2mlを
前記培地110mlを分注滅菌した500mlの三角フラスコへ移
植し、前記同条件下で4日間振盪培養した。培養終了
後、培養液を濾過し培養濾液と菌体に分別した。
培養濾液39lに酢酸ブチル39lを加え、よく攪拌して有
効成分を抽出し、これを濃縮して褐色の粗物質3.28gを
得た。この粗物質をメタノール20mlに溶解し、シリカゲ
ル60(メルク社製、Art.7734)20gを加えて減圧下に濃
縮乾固した。次に、これをクロロホルムで懸濁後、あら
かじめクロロホルムで充填したシリカゲル60 400mlのカ
ラムにかけ、クロロホルムで洗浄した。続いて、有効成
分をクロロホルム:メタノール(95:5)で溶出し、濃縮
乾固して褐色の粗物質2.09gを得た。この粗物質をメタ
ノール15mlに溶解し、シリカゲル60 15gを加えて濃縮乾
固した。次に、これをクロロホルム:酢酸エチル:酢酸
(60:35:5)で懸濁後、あらかじめ同混合溶媒で充填し
たシリカゲル60 285mlのカラムにかけ、有効成分を同混
合溶媒で溶出し、濃縮乾固して褐色の粉末1.13gを得
た。次に、この粉末をあらかじめ45%アセトニトリルで
平衡化した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用カラ
ム(資生堂社製、カプセルパックC18、20Φ×250mm、流
速8ml/min)へ通し、前記平衡液で溶出し、得られた活
性画分を濃縮乾固して、薄い褐色の粉末23.3mgを得た。
さらに、この粉末をメタノールに溶解後、あらかじめメ
タノールで充填したセファデックスLH-20(ファルマシ
アファインケミカル社製)200mlのカラムにかけ、メタ
ノールを溶媒としたゲル濾過クロマトグラフィーを行
い、得られた活性画分を濃縮乾固することにより、純粋
なサイクロオクタチンの無色粉末を13.6mg得た。純粋な
サイクロオクタチンを用いて、赤外線吸収スペクトル、
水素核核磁気共鳴スペクトル及び炭素核核磁気共鳴スペ
クトルを測定した。
サイクロオクタチンの培養工程ならびに精製工程中で
の追跡は、抗リゾホスホリパーゼ活性の測定に基づいて
行った。その測定は、Biochimica et Biophysica Acta,
第369巻、50〜63頁(1974)に記載の方法の改良法で行
った。
即ち、試験管に4mM 1−パルミトイル−グリセロ−3
−ホスホリルコリン50μl、1−[1-14C]パルミトイ
ル−グリセロ−3−ホスホリルコリン2×104dpm、40mM
カリウム燐酸緩衝液(pH7.5)250μl、検体を含む水溶
液180μlを加えた混合溶液を37℃、3分間加温した
後、牛肝臓のホモジェネートよりブタノール抽出、DEAE
−セファデックスA-50カラムにより部分精製したリゾホ
スホリパーゼ溶液20μlを加え、37℃、1時間反応させ
た。反応後、イソプロピルアルコール:ヘプタン:0.5規
定硫酸(80:20:2v/v)混液1mlを加えて攪拌し、反応を
停止する。その後、遠心(3000rpm、5min)により上層
と下層に分離し、この上層より酸素によって遊離した
[1-14C]パルミチン酸の放射活性(a)を測定した。
同時に検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の放射活
性(b)を測定し、リゾホスホリパーゼ阻害率を[(b
−a)/b]×100により計算した。50%阻害率を示す検
体の濃度をIC50の値とした。この定量法で純粋なサイク
ロオクタチンは1.57μg/mlの濃度でリゾホスホリパーゼ
を50%阻害した。
実施例2 サイクロオクタチン30重量部、結晶乳糖120部、結晶
セルロース147部及びステアリン酸マグネシウム3部を
V型混合機で打錠し、1錠300mgの錠剤を得た。
[試験例] 次に試験例によって、サイクロオクタチンが免疫抑制
作用を持ち、毒性を示さないことを示す。
試験例1 本例はリンパ球幼若化反応に対するサイクロオクタチ
ンの抑制効果を例証するものである。試験法は次の通り
である。
培養には20%牛胎児血清、25mM Hepes buffer、100μ
g/mlのストレプトマイシン及び100単位/mlのペニシリン
Gを添加したRPMI 1640培地を用いた。培養は96穴の平
底マイクロプレート(COSTAR)で行った。マイトジェン
は、リポポリサッカライド(LPS)とコンカナバリンA
(Con A)をそれぞれ最終濃度100、5μg/mlで用いた。
脾臓細胞は、BALB/cマウス(雌性、25週齢)から脾臓
を取り出し単細胞浮遊液を作り、hyper shockで赤血球
を除去し調整した。各ウエルに2×105個の脾細胞と、
それぞれの希釈濃度の被検化合物を加え総量0.2mlと
し、これを72時間培養した。培養終了の8時間前にウエ
ル当たり37K Bqの[3H]−チミジンを添加し、その細胞
内への取り込み量を測定した。効果の判定は、それぞれ
の被検化合物添加群の対照に対する[3H]−チミジンの
取り込み量の比率によった(日本免疫学会編、免疫実験
操作法、第2267〜2276頁)。
サイクロオクタチンは、LPS添加群、Con A添加群とも
濃度に依存してリンパ球幼若化反応を抑制した。[3H]
−チミジンの取り込みの50%阻害濃度(IC50)は、LPS
で35μg/ml、Con Aで51μg/mlであった。
試験例2 サイクロオクタサンをマウスに腹腔内投与してその毒
性を調べた所、100mg/Kg投与でも毒性を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図はサイクロオクタチンの臭化カリウム錠内での赤
外線吸収スペクトルを示す。第2図はサイクロオクタチ
ンの重メタノール中で測定した400MHz水素核核磁気共鳴
スペクトルを示す。第3図はサイクロオクタチンの重メ
タノール中で測定した100MHz炭素核核磁気共鳴スペクト
ルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 33/05 C12P 7/02 A61K 31/045 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の式(I): で表される化合物である生理活性物質サイクロオクタチ
    ン。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属して請求項1記載
    のサイクロオクタチンを生産する菌を栄養培地中で培養
    し、その培養物からサイクロオクタチンを採取すること
    を特徴とする、生理活性物質サイクロオクタチンの製造
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のサイクロオクタチンを有効
    成分とするリゾホスホリパーゼ阻害剤および免疫抑制
    剤。
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