JPH09148342A - Ii−vi族化合物半導体の成長方法 - Google Patents

Ii−vi族化合物半導体の成長方法

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JPH09148342A
JPH09148342A JP32644095A JP32644095A JPH09148342A JP H09148342 A JPH09148342 A JP H09148342A JP 32644095 A JP32644095 A JP 32644095A JP 32644095 A JP32644095 A JP 32644095A JP H09148342 A JPH09148342 A JP H09148342A
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JP
Japan
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compound semiconductor
group
substrate
iii
growing
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JP32644095A
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English (en)
Inventor
Hiroyasu Noguchi
裕泰 野口
Hiroyuki Okuyama
浩之 奥山
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低結晶欠陥密度で良質のII−VI族化合物
半導体を低コストで成長させる。 【解決手段】 分子線エピタキシー法によりII−VI
族化合物半導体をIII−V族化合物半導体基板11上
に成長させる際に、基板温度300〜550℃において
III−V族化合物半導体基板11の表面に原子状また
は活性水素を照射することにより、または、大気圧ない
し1.33Paの圧力の水素ガス雰囲気中において基板
温度を580℃以下に保つことにより表面の酸化膜12
を除去した後、速やかにその表面にII−VI族化合物
半導体層13を成長させる。基板としてII−VI族化
合物半導体基板を用いる場合には、基板温度450℃以
下においてII−VI族化合物半導体基板の表面に原子
状または活性水素を照射することにより酸化膜12を除
去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、II−VI族化
合物半導体の成長方法に関し、例えばII−VI族化合
物半導体を用いた半導体発光素子の製造に適用して好適
なものである。
【0002】
【従来の技術】II−VI族化合物半導体は、高密度の
光ディスクまたは光磁気ディスクに対する記録/再生に
応用される青色ないし緑色で発光可能な半導体レーザー
や、大画面のカラーディスプレイや信号灯などに応用さ
れる発光ダイオードなどの製造に不可欠であり、その成
長技術の向上が求められている。
【0003】Zn、Cd、Mg、HgなどのII族元素
とSe、S、TeなどのVI族元素とからなるII−V
I族化合物半導体の結晶成長においては、基板として、
ZnSSeやZnMgSSeなどにおいてSやMgの組
成比を変えることにより格子整合させることができ、か
つ安価なGaAs基板が用いられることが多い。
【0004】このようなII−VI族化合物半導体をそ
の有力な成長方法である分子線エピタキシー(MBE)
法によりGaAs基板上に成長させる場合、III−V
族化合物半導体基板であるGaAs基板とその上に成長
されるII−VI族化合物半導体層との界面の結晶欠陥
の低減を図るために、II−VI族化合物半導体用の成
長室とこれとは別のIII−V族化合物半導体用の成長
室とを備えたMBE装置を用い、まずIII−V族化合
物半導体用の成長室内においてGaAs基板上にGaA
sバッファ層を成長させた後、これを真空搬送路を通し
てII−VI族化合物半導体用の成長室に搬送し、この
成長室内においてGaAsバッファ層上にII−VI族
化合物半導体を成長させる方法が提案されている(例え
ば、Jpn.J. Appl. Phys., vol.33, p.L938(1994))。こ
の方法によれば、GaAsバッファ層を成長させた後に
は極めて平坦でかつAsによって終端されたGaAs表
面が得られ、しかもこのGaAsバッファ層が成長され
たGaAs基板は真空搬送路を通して速やかにII−V
I族化合物半導体用の成長室に搬送され、その中でGa
Asバッファ層上にII−VI族化合物半導体が成長さ
れることから、積層欠陥密度の指標となるエッチピット
密度(Etch Pit Density,EPD)が104cm-2以下
の極めて良質のII−VI族化合物半導体層が得られて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、II−
VI族化合物半導体用の成長室とIII−V族化合物半
導体用の成長室との二つの成長室を備えたMBE装置を
必要とする上述の従来のII−VI族化合物半導体の成
長方法は、コスト的に高価であるという問題がある。し
たがって、GaAsバッファ層の成長後に得られるもの
と同等の良好な表面をII−VI族化合物半導体用の成
長室のみを用いて得ることができるようにすることが望
ましい。
【0006】ところで、通常、GaAs基板の表面は酸
化膜(自然酸化膜)で覆われているため、その上にII
−VI族化合物半導体を成長させる前に基板温度を約6
00℃に上げてサーマルクリーニングを行うことにより
この酸化膜を除去する必要がある。しかしながら、この
サーマルクリーニングにおいては、この酸化膜の不均一
性により、全ての酸化膜が除去される前に部分的に酸化
膜が除去され、それにより露出したGaAs基板の表面
からGaやAsが再蒸発するため、このサーマルクリー
ニング後のGaAs基板の表面には数十原子層程度の深
さのクレーター状の穴が数多く生じる。これらの穴はこ
のGaAs基板上に行われるII−VI族化合物半導体
のヘテロエピタキシーにおいては積層欠陥の発生の要因
となるため、このGaAs基板上にGaAsバッファ層
を成長させないでII−VI族化合物半導体を成長させ
ても、高々105 cm-2程度のEPDしか得られず、結
晶欠陥が十分に少ないII−VI族化合物半導体層を得
ることができないという問題がある。このため、Asや
Gaが再蒸発しない基板温度で酸化膜を除去する技術が
必要とされる。
【0007】さらに、今後、低結晶欠陥密度のZnSe
基板が実用化され、その上にII−VI族化合物半導体
を成長させたり、また、そのII−VI族化合物半導体
にエッチングなどにより加工を施した後にその上にII
−VI族化合物半導体を再成長させたりすることが考え
られるが、II−VI族化合物半導体の表面の酸化膜を
除去する技術は未だ確立していない。
【0008】したがって、この発明の目的は、単一の成
長室を備えた気相成長装置を用いてIII−V族化合物
半導体基板またはII−VI族化合物半導体基板の表面
の酸化膜をこれらの基板の構成元素の再蒸発を抑えつつ
除去することができることにより、低結晶欠陥密度で良
質のII−VI族化合物半導体を低コストで成長させる
ことができるII−VI族化合物半導体の成長方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の第1の発明は、Zn、Mg、Cd、Hg
およびBeからなる群より選ばれた少なくとも一種類以
上のII族元素とSe、SおよびTeからなる群より選
ばれた少なくとも一種類以上のVI族元素とからなるI
I−VI族化合物半導体を真空を用いた気相成長法によ
りIII−V族化合物半導体基板上に成長させるように
したII−VI族化合物半導体の成長方法において、成
長直前に基板温度300℃ないし550℃においてII
I−V族化合物半導体基板の表面に原子状または活性水
素を照射することによりIII−V族化合物半導体基板
の表面の酸化膜を除去した後、III−V族化合物半導
体基板上にII−VI族化合物半導体を成長させるよう
にしたことを特徴とするものである。
【0010】この発明の第1の発明において、原子状ま
たは活性水素は、例えば、水素ガスを熱クラッキングま
たはプラズマによって励起することにより発生される。
【0011】この発明の第1の発明において、基板温度
は、好適には350℃ないし550℃に選ばれる。
【0012】この発明の第1の発明においては、好適に
は、水素ガス導入前における成長室内の圧力は1.33
×10-5Pa(1×10-7Torr)以下である。
【0013】この発明の第1の発明においては、好適に
は、酸化膜を除去した後、基板温度300℃ないし55
0℃(より好適には350℃ないし550℃)において
III−V族化合物半導体基板の表面にZnCl2 を照
射することによりIII−V族化合物半導体基板の表面
にV族元素安定化面を形成し、このV族元素安定化面上
にII−VI族化合物半導体を成長させる。
【0014】この発明の第1の発明においては、好適に
は、III−V族化合物半導体基板上には、Ga、Al
およびInからなる群より選ばれた少なくとも一種類以
上のIII族元素とP、AsおよびSbからなる群より
選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とからなるバ
ッファ層があらかじめ成長される。
【0015】この発明の第1の発明においては、例え
ば、II−VI族化合物半導体に成膜または加工処理を
施し、この成膜または加工処理が施されたII−VI族
化合物半導体の表面に基板温度450℃以下、好適には
100℃ないし450℃、より好適には200℃ないし
450℃、さらに好適には200℃ないし300℃にお
いて原子状または活性水素を照射することによりII−
VI族化合物半導体の表面の酸化膜を除去し、このII
−VI族化合物半導体上にII−VI族化合物半導体を
再成長させる。
【0016】この発明の第1の発明においては、好適に
は、II−VI族化合物半導体の成長中にIII−V族
化合物半導体基板の表面に原子状または活性水素を照射
し続ける。
【0017】この発明の第1の発明において、III−
V族化合物半導体基板の具体例をいくつか挙げると、G
aAs基板やInP基板である。GaAs基板の場合、
上述のV族元素安定化面はAs安定化面である。また、
InP基板の場合、上述のV族元素安定化面はP安定化
面である。
【0018】この発明の第2の発明は、Zn、Mg、C
d、HgおよびBeからなる群より選ばれた少なくとも
一種類以上のII族元素とSe、SおよびTeからなる
群より選ばれた少なくとも一種類以上のVI族元素とか
らなるII−VI族化合物半導体を真空を用いた気相成
長法によりIII−V族化合物半導体基板上に成長させ
るようにしたII−VI族化合物半導体の成長方法にお
いて、成長直前に大気圧ないし1.33Pa(1×10
-2Torr)の圧力の水素ガス雰囲気中において基板温
度を580℃以下に保つことによりIII−V族化合物
半導体基板の表面の酸化膜を除去した後、III−V族
化合物半導体基板上にII−VI族化合物半導体を成長
させるようにしたことを特徴とするものである。
【0019】この発明の第2の発明において、基板温度
は、好適には450℃以下に選ばれる。
【0020】この発明の第2の発明においては、好適に
は、水素ガス導入前における成長室内の圧力は1.33
×10-5Pa(1×10-7Torr)以下である。
【0021】この発明の第2の発明においては、好適に
は、酸化膜を除去した後、基板温度300℃ないし55
0℃(より好適には350℃ないし550℃)において
III−V族化合物半導体基板の表面にZnCl2 を照
射することによりIII−V族化合物半導体基板の表面
にV族元素安定化面を形成し、このV族元素安定化面上
にII−VI族化合物半導体を成長させる。
【0022】この発明の第2の発明においては、好適に
は、III−V族化合物半導体基板上には、Ga、Al
およびInからなる群より選ばれた少なくとも一種類以
上のIII族元素とP、AsおよびSbからなる群より
選ばれた少なくとも一種類以上のV族元素とからなるバ
ッファ層があらかじめ成長される。
【0023】この発明の第2の発明においては、例え
ば、II−VI族化合物半導体に成膜または加工処理を
施し、この成膜または加工処理が施されたII−VI族
化合物半導体の表面に基板温度450℃以下、好適には
100℃ないし450℃、より好適には200℃ないし
450℃、さらに好適には200℃ないし300℃にお
いて原子状または活性水素を照射することによりII−
VI族化合物半導体の表面の酸化膜を除去し、このII
−VI族化合物半導体上にII−VI族化合物半導体を
再成長させる。
【0024】この発明の第2の発明においては、好適に
は、II−VI族化合物半導体の成長中にIII−V族
化合物半導体基板の表面に原子状または活性水素を照射
し続ける。
【0025】この発明の第2の発明において、III−
V族化合物半導体基板の具体例をいくつか挙げると、G
aAs基板やInP基板である。GaAs基板の場合、
上述のV族元素安定化面はAs安定化面である。また、
InP基板の場合、上述のV族元素安定化面はP安定化
面である。
【0026】この発明の第3の発明は、Zn、Mg、C
d、HgおよびBeからなる群より選ばれた少なくとも
一種類以上のII族元素とSe、SおよびTeからなる
群より選ばれた少なくとも一種類以上のVI族元素とか
らなるII−VI族化合物半導体を真空を用いた気相成
長法によりII−VI族化合物半導体基板上に成長させ
るようにしたII−VI族化合物半導体の成長方法にお
いて、成長直前に基板温度450℃以下においてII−
VI族化合物半導体基板の表面に原子状または活性水素
を照射することによりII−VI族化合物半導体基板の
表面の酸化膜を除去した後、II−VI族化合物半導体
基板上にII−VI族化合物半導体を成長させるように
したことを特徴とするものである。
【0027】この発明の第3の発明において、基板温度
は、好適には100℃ないし450℃、より好適には2
00℃ないし450℃、さらに好適には200℃ないし
300℃に選ばれる。
【0028】この発明の第3の発明においては、好適に
は、水素ガス導入前における成長室内の圧力は1.33
×10-5Pa(1×10-7Torr)以下である。
【0029】この発明の第3の発明においては、例え
ば、II−VI族化合物半導体に成膜または加工処理を
施し、この成膜または加工処理が施されたII−VI族
化合物半導体の表面に基板温度450℃以下、好適には
100℃ないし450℃、より好適には200℃ないし
450℃、さらに好適には200℃ないし300℃にお
いて原子状または活性水素を照射することによりII−
VI族化合物半導体の表面の酸化膜を除去し、このII
−VI族化合物半導体上にII−VI族化合物半導体を
再成長させる。
【0030】この発明の第3の発明においては、好適に
は、II−VI族化合物半導体の成長中にII−VI族
化合物半導体基板の表面に原子状または活性水素を照射
し続ける。
【0031】この発明の第3の発明の典型的な一実施形
態においては、II−VI族化合物半導体基板はZnS
e基板である。
【0032】この発明において、II−VI族化合物半
導体の成長には、具体的には例えば分子線エピタキシー
(MBE)法が用いられる。
【0033】この発明において、II−VI族化合物半
導体の具体例をいくつか挙げると、ZnSe、ZnT
e、ZnSSe、ZnCdSe、ZnSeTe、ZnM
gSSeなどである。
【0034】上述のように構成されたこの発明の第1の
発明によれば、III−V族化合物半導体基板の表面に
原子状または活性水素を照射しているので、このIII
−V族化合物半導体基板を構成する元素、例えばGaや
Asが再蒸発しにくい300℃ないし550℃の低温で
もその表面の酸化膜を除去することができ、原子レベル
で平坦な表面を得ることができる。そして、このように
して得られた平坦な表面にII−VI族化合物半導体を
速やかに成長させることにより、低結晶欠陥密度で良質
のII−VI族化合物半導体を成長させることができ
る。また、これらの処理および成長は単一のII−VI
族化合物半導体用の成長室のみで行うことができるた
め、成長コストが安価である。
【0035】また、水素ガス導入前における成長室内の
圧力を1.33×10-5Pa以下とすることにより、酸
化膜を除去してからII−VI族化合物半導体の成長を
開始するまでに要する時間内にIII−V族化合物半導
体基板の表面に付着する不純物および酸化膜の生成を十
分に少なく抑えることができる。
【0036】さらに、酸化膜を除去した後、III−V
族化合物半導体基板の表面にZnCl2 を照射すること
により、その表面に残った余剰のIII族原子、例えば
Ga原子を除去することができ、これによってV族元素
安定化面、例えばAs安定化面を形成することができ
る。このため、結晶欠陥発生の要因となるIII族元素
の化合物、例えばGa2 Se3 の形成を防止することが
でき、さらに良質のII−VI族化合物半導体を得るこ
とができる。
【0037】また、II−VI族化合物半導体の成長に
用いられる気相成長装置とは別の気相成長装置、例えば
特に量産性の高い有機金属気相成長装置を用いて、II
I−V族化合物半導体基板上に、Ga、AlおよびIn
からなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のIII
族元素とP、AsおよびSbからなる群より選ばれた少
なくとも一種類以上のV族元素とからなるバッファ層、
すなわちGaAsその他のIII−V族化合物半導体か
らなるバッファ層をあらかじめ成長させておくことによ
り、より平坦な表面を得ることができる。そして、この
バッファ層の表面の酸化膜を上述の方法により除去した
後、このバッファ層上にII−VI族化合物半導体を成
長させることにより、さらに低結晶欠陥密度で良質のI
I−VI族化合物半導体を得ることができる。
【0038】また、成膜または加工処理が施されたII
−VI族化合物半導体の表面に基板温度450℃以下に
おいて原子状または活性水素を照射することによりII
−VI族化合物半導体の表面の酸化膜を除去しているの
で、平坦かつ清浄な表面を得ることができる。このた
め、この平坦かつ清浄な表面にII−VI族化合物半導
体を再成長させることにより、低結晶欠陥密度で良質の
II−VI族化合物半導体を得ることができる。
【0039】さらに、II−VI族化合物半導体の成長
中にIII−V族化合物半導体基板の表面に原子状また
は活性水素を照射し続けることにより、二次元成長を促
進することができる。これによって、積層欠陥を減少さ
せることができるので、より低結晶欠陥密度の良質のI
I−VI族化合物半導体を得ることができる。
【0040】上述のように構成されたこの発明の第2の
発明によれば、III−V族化合物半導体基板を大気圧
ないし1.33Paの圧力の水素ガス雰囲気中に置いて
いることにより、基板温度580℃以下において、II
I−V族化合物半導体基板を構成する元素、例えばGa
やAsの脱離を阻止しながらその表面の酸化膜を除去す
ることができ、原子レベルで平坦な表面を得ることがで
きる。そして、このようにして得られた平坦な表面にI
I−VI族化合物半導体を速やかに成長させることによ
り、低結晶欠陥密度で良質のII−VI族化合物半導体
を成長させることができる。
【0041】上述のように構成されたこの発明の第3の
発明によれば、II−VI族化合物半導体基板の表面に
原子状または活性水素を照射していることにより、この
II−VI族化合物半導体基板を構成する元素、例えば
ZnやSeが再蒸発しにくい450℃以下の低温でもそ
の表面の酸化膜を除去することができ、原子レベルで平
坦な表面を得ることができる。そして、このようにして
得られた平坦な表面にII−VI族化合物半導体を速や
かに成長させることにより、低結晶欠陥密度で良質のI
I−VI族化合物半導体を成長させることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図
において、同一または対応する部分には同一の符号を付
す。
【0043】まず、この発明の一実施形態において用い
るII−VI族化合物半導体用のMBE装置について説
明する。図1はこのMBE装置の構成を示す。
【0044】図1に示すように、このMBE装置におい
ては、真空排気装置(図示せず)により真空排気された
成長室1の中央部に、ヒーター(図示せず)により加熱
可能な基板ホルダー2が設けられている。この基板ホル
ダー2上に、成長を行うべき基板3が取り付けられる。
成長室1には、この基板3に対向して、II族元素、V
I族元素およびドーパント用の分子線源(Kセル)4が
必要個数取り付けられている。この分子線源4として
は、具体的には、例えば、II族元素用としてZn、M
g、Cdなどの分子線源、VI族元素用としてSe、Z
nS、Teなどの分子線源、n型ドーパントとしてZn
Cl2 などの分子線源が用意される。
【0045】さらに、成長室1には、熱クラッキングセ
ルまたはプラズマセルからなる水素用セル5が取り付け
られている。この水素用セル5には、外部から配管6を
通して純化された水素(H2 )ガスが導入されるように
なっている。この水素用セル5が熱クラッキングセルで
ある場合には、この水素用セル5内に配置されたタング
ステンフィラメント(図示せず)を例えば1500〜2
000℃程度の高温に加熱し、ここにH2 ガスを通すこ
とにより熱エネルギーによってH2 を励起し、原子状水
素を発生させる。また、水素用セル5がプラズマセルで
ある場合には、この水素用セル5内に導入されたH2
スを高周波または電子サイクロトロン共鳴(ECR)に
よりプラズマ状態にして励起し、水素イオンなどととも
に原子状または活性水素を発生させる。
【0046】成長室1にはさらに、基板3の表面の状態
をその場観察するために、高速電子銃7およびスクリー
ン8が取り付けられ、高速電子銃7から出射された高速
電子線9が基板3の表面で回折されることにより得られ
る像、すなわち高速電子線回折像(RHEED像)をス
クリーン8上で観察することができるようになってい
る。
【0047】この場合、成長室1内に不純物として酸素
が残留していると、後述の原子状または活性水素の照射
による酸化膜12の除去後にGaAs基板11の表面が
再び酸化される懸念があるため、この再酸化を防止する
ために、成長室1内は、水素ガス導入前の圧力で1.3
3×10-5Pa(1×10-7Torr)以下の圧力にし
ておくことが望ましい。この成長室1内の圧力の一例を
挙げると、1.33×10-8Pa(1×10-10 Tor
r)程度である。
【0048】次に、この発明の第1の実施形態によるI
I−VI族化合物半導体の成長方法について説明する。
【0049】まず、図1に示すMBE装置において、基
板ホルダー2上に、II−VI族化合物半導体の成長を
行うべきGaAs基板11を取り付ける。図2Aに示す
ように、この状態のGaAs基板11の表面には、Ga
2 3 などの酸化物からなる酸化膜12が形成されてい
る。
【0050】次に、基板ホルダー2を加熱することによ
りGaAs基板11を350℃ないし550℃の基板温
度に設定した後、図2Bに示すように、このGaAs基
板11の表面に、水素用セル5から発生される原子状ま
たは活性水素を照射する。これによって、この水素によ
る還元反応によりGaAs基板11の最表面のGa2
3 などの酸化物が分解され、再蒸発しやすい例えばGa
2 OやAsH3 などの形で表面から脱離する。このよう
にして、図2Cに示すように、酸化膜12のみが有効に
除去される。
【0051】このとき、スクリーン8上でRHEED像
を観察していると、原子状または活性水素の照射前に
は、酸化膜12による全方位回折を表すハローパターン
が見られるが、原子状または活性水素の照射後、すなわ
ち酸化膜12の除去後には、GaAs基板11の表面の
GaまたはAsによる周期的な回折を示す明瞭なストリ
ークパターンに変化する。この原子状または活性水素の
照射後のGaAs基板11の表面状態は、この原子状ま
たは活性水素の照射前のGaAs基板11の表面状態と
同等であり、原子レベルで十分な平坦性を有する。
【0052】図3は、この原子状または活性水素照射後
のGaAs基板11の表面の原子間力顕微鏡(AFM)
像を示す。ただし、原子状または活性水素照射時の基板
温度は410℃である。図3からわかるように、表面の
凹凸の高さの平均値は約2原子層の厚さ(約0.5n
m)、ステップ長の平均値は6nmであり、これらの値
は原子状または活性水素照射前のGaAs基板11の表
面とほぼ同等である。比較のために、原子状または活性
水素を照射することなく基板温度580℃においてサー
マルクリーニングを行ったGaAs基板の表面のAFM
像を図4に示す。図4と図3とを比較すると明らかなよ
うに、原子状または活性水素の照射により酸化膜12を
除去したGaAs基板11の表面の凹凸の高さは、原子
状または活性水素を照射することなく580℃において
サーマルクリーニングを行ったGaAs基板の表面の凹
凸の高さに比べてはるかに小さい。
【0053】次に、上述のようにして酸化膜12を除去
した後、原子状または活性水素の照射を停止する。次
に、GaAs基板11の表面に残った余剰のGa原子を
除去するために、図2Dに示すように、基板温度350
℃ないし550℃においてZnCl2 をGaAs基板1
1の表面に照射する。これによって、脱離しやすいGa
ClX が生成され、このGaClX がGaAs基板11
の表面から脱離することにより余剰のGa原子が除去さ
れてGaAs基板11の表面にAs安定化面が形成され
る。これは、スクリーン8上で観察されるRHEEDパ
ターンが、(2×4)表面再配列構造を示すパターンに
なることにより確認することができる。したがって、後
述のII−VI族化合物半導体の成長時に仮にSeの漏
れビームがあった場合においても、結晶欠陥発生の要因
となるGa2 Se3 の生成を抑えることができる。
【0054】次に、図2Eに示すように、成長温度を例
えば250℃ないし350℃に設定した後、GaAs基
板11上にMBE法によりII−VI族化合物半導体層
13を成長させる。ここで、このII−VI族化合物半
導体層13の成長中には、二次元成長を促進し、積層欠
陥の発生を抑えるために、好適には、原子状または活性
水素をGaAs基板11の表面に照射し続ける。すなわ
ち、II−VI族化合物半導体の成長に関しては、基板
温度が250℃ないし350℃程度の低温成長であるた
め、原子が基板表面で結晶に取り込まれるまでの移動距
離(マイグレーション長)が短く、二次元成長しにくい
という問題があり、これが積層欠陥を生じさせる原因の
一つであるとされているので、II−VI族化合物半導
体層13の成長中に上述のようにGaAs基板11の表
面に原子状または活性水素を照射し続けることによっ
て、GaAs基板11の表面のII族元素およびVI族
元素が励起され、マイグレーション長が長くなることに
より、二次元成長しやすくなる。これによって、積層欠
陥を低減することができる。
【0055】以上のように、この第1の実施形態によれ
ば、GaAs基板11の表面に原子状または活性水素を
照射しているので、GaやAsが再蒸発しにくい350
℃ないし550℃の低温においても、GaAs基板11
の表面の酸化膜12だけを均一に除去することができ、
もともとのGaAs基板11に準じた、原子レベルで平
坦な表面を得ることができる。また、この処理が行われ
る成長室1内は、水素ガス導入前の圧力で1.33×1
-5Pa(1×10-7Torr)以下の圧力であるの
で、酸化膜12が除去されてからII−VI族化合物半
導体の成長が行われるまでの時間内にこのGaAs基板
11の表面に付着する不純物および酸化物の生成を十分
に少なく抑えることができる。さらにまた、酸化膜12
を除去した後にGaAs基板11の表面に基板温度35
0℃ないし550℃においてZnCl2 を照射している
ことにより、結晶欠陥発生の要因となるGa2 Se3
GaAs基板11の表面に生成されるのを抑えることが
できる。そして、これらの処理後にGaAs基板11の
表面に速やかにII−VI族化合物半導体を成長させて
いることにより、低結晶欠陥密度で良質のII−VI族
化合物半導体層13を得ることができる。さらにまた、
II−VI族化合物半導体層13の成長中に原子状また
は活性水素をGaAs基板11の表面に照射し続けるこ
とにより、より一層低結晶欠陥密度で良質のII−VI
族化合物半導体層13を得ることができる。
【0056】また、以上の一連の処理および成長は、単
一の成長室1を有するII−VI族化合物半導体用のM
BE装置だけで全て行うことができるので、低コストで
上述のような良質のII−VI族化合物半導体層13を
成長させることができる。
【0057】次に、この発明の第2の実施形態によるI
I−VI族化合物半導体の成長方法について説明する。
【0058】まず、第1の実施形態におけると同様に、
図1に示すMBE装置において、基板ホルダー2上にG
aAs基板11を取り付ける。図5Aに示すように、こ
の状態のGaAs基板11の表面には、Ga2 3 など
の酸化物からなる酸化膜12が形成されている。
【0059】次に、基板ホルダー2を加熱することによ
り、GaAs基板11を580℃以下、好適には450
℃以下の基板温度に設定した後、水素用セル5を通して
水素ガスを成長室1内に導入する。このとき、GaAs
基板11の表面付近の水素ガスの圧力を、大気圧ないし
1.33Paに保持する。これによって、図5Bに示す
ように、GaAs基板11が水素分子からなる水素ガス
雰囲気中に置かれる。この結果、水素による還元反応に
よりGaAs基板11の最表面のGa2 3 などの酸化
物が分解され、再蒸発しやすい例えばGa2 OやAsH
3 などの形で表面から脱離する。また、このとき、Ga
As基板11の表面からのGaやAsの脱離は阻止され
る。このようにして、図5Cに示すように、酸化膜12
のみが有効に除去され、原子レベルで平坦な表面が得ら
れる。
【0060】この後、第1の実施形態におけると同様
に、GaAs基板11の表面へのZnCl2 の照射によ
るAs安定化面の形成(図5D)を経て、図5Eに示す
ように、このGaAs基板11上にMBE法によりII
−VI族化合物半導体層13を成長させる。このII−
VI族化合物半導体層13の成長中には、好適には、原
子状または活性水素をGaAs基板11の表面に照射し
続ける。
【0061】以上のように、この第2の実施形態によれ
ば、水素ガス雰囲気中において基板温度580℃以下に
GaAs基板11を保持しているので、GaやAsの脱
離を阻止しながらこのGaAs基板11の表面の酸化膜
12だけを均一に除去することができ、もともとのGa
As基板11に準じた原子レベルで平坦な表面を得るこ
とができる。また、この処理が行われる成長室1内が水
素ガス導入前の圧力で1.33×10-5Pa(1×10
-7Torr)以下の圧力であること、および、酸化膜1
2を除去した後にGaAs基板11の表面に基板温度3
50℃ないし550℃においてZnCl2 を照射してい
ることによる利点も、第1の実施形態におけると同様で
ある。そして、これらの処理後にGaAs基板11の表
面に速やかにII−VI族化合物半導体を成長させてい
ることにより、低結晶欠陥密度で良質のII−VI族化
合物半導体層13を得ることができる。さらに、II−
VI族化合物半導体層13の成長中に原子状または活性
水素をGaAs基板11の表面に照射し続けることによ
り、より一層低結晶欠陥密度で良質のII−VI族化合
物半導体層13を得ることができる。
【0062】また、第1の実施形態におけると同様に、
以上の一連の処理および成長を、単一の成長室1を有す
るII−VI族化合物半導体用のMBE装置だけで全て
行うことができることにより、低コストで上述のように
良質のII−VI族化合物半導体層13を成長させるこ
とができる。
【0063】次に、この発明の第3の実施形態によるI
I−VI族化合物半導体の成長方法について説明する。
【0064】まず、図1に示すII−VI族化合物半導
体用のMBE装置とは別のIII−V族化合物半導体用
の気相成長装置(図示せず)の成長室内において、図6
Aに示すように、GaAs基板11上にGaAsバッフ
ァ層14を成長させる。このGaAsバッファ層14の
成長には、好適には、生産性が高い有機金属気相成長
(MOVPE)法が用いられる。このGaAsバッファ
層14の成長により表面が平坦化され、より平坦な表面
が得られる。
【0065】次に、第1の実施形態におけると同様に、
図1に示すMBE装置において、基板ホルダー2上に、
上述のようにしてGaAsバッファ層14が成長された
GaAs基板11を取り付ける。図6Aに示すように、
この状態のGaAsバッファ層14の表面には、Ga2
3 などの酸化物からなる酸化膜12が形成されてい
る。
【0066】この後、第1の実施形態におけると同様
に、GaAs基板11の表面への原子状または活性水素
の照射による酸化膜12の除去(図6Bおよび図6C)
およびGaAs基板11の表面へのZnCl2 の照射に
よるAs安定化面の形成(図6D)を経て、図6Eに示
すように、このGaAs基板11上にMBE法によりI
I−VI族化合物半導体層13を成長させる。このII
−VI族化合物半導体層13の成長中には、好適には、
原子状または活性水素をGaAs基板11の表面に照射
し続ける。
【0067】以上のように、この第3の実施形態によれ
ば、II−VI族化合物半導体用のMBE装置とは別の
気相成長装置内でGaAs基板11上にあらかじめGa
Asバッファ層14を成長させて表面を平坦化した後
に、第1の実施形態におけると同様にして酸化膜12の
除去、As安定化面の形成およびII−VI族化合物半
導体層13の成長を行っていることにより、すでに述べ
た真空搬送路で接続された二つの成長室を有するMBE
装置を用いた従来のII−VI族化合物半導体の成長方
法と同等の低結晶欠陥密度で良質のII−VI族化合物
半導体層13を得ることができる。
【0068】また、GaAsバッファ層14の成長を除
く一連の処理および成長は、単一の成長室1を有するI
I−VI族化合物半導体用のMBE装置だけで全て行う
ことができるので、低コストで上述のように良質のII
−VI族化合物半導体層13を成長させることができ
る。
【0069】次に、この発明の第4の実施形態によるI
I−VI族化合物半導体の成長方法について説明する。
【0070】まず、図1に示すMBE装置において、基
板ホルダー2上に、II−VI族化合物半導体の成長を
行うべきZnSe基板15を取り付ける。図7Aに示す
ように、この状態のZnSe基板15の表面には酸化膜
12が形成されている。
【0071】次に、基板ホルダー2を加熱することによ
りZnSe基板15を450℃以下の基板温度、具体的
には例えば200℃程度の基板温度に設定した後、図7
Bに示すように、このZnSe基板15の表面に、水素
用セル5から発生される原子状または活性水素を照射す
る。これによって、この水素による還元反応によりZn
Se基板15の最表面のZnやSeの酸化物が分解さ
れ、再蒸発しやすい化合物の形で表面から脱離する。ま
た、このとき、基板温度が450℃以下で十分に低いこ
とにより、蒸気圧が高いZnやSeがZnSe基板15
の表面から脱離するのが阻止される。このようにして、
図7Cに示すように、酸化膜12のみが有効に除去され
る。
【0072】次に、成長温度を例えば250℃ないし3
50℃に設定した後、図7Dに示すように、ZnSe基
板15上にMBE法によりII−VI族化合物半導体層
13を成長させる。このII−VI族化合物半導体層1
3の成長中には、好適には、原子状または活性水素をZ
nSe基板15の表面に照射し続ける。
【0073】以上のように、この第4の実施形態によれ
ば、ZnSe基板15の表面に原子状または活性水素を
照射しているので、ZnやSeが再蒸発しにくい450
℃以下の低温においても、ZnSe基板15の表面の酸
化膜12だけを均一に除去することができ、もともとの
ZnSe基板15に準じた原子レベルで平坦な表面を得
ることができる。また、この処理が行われる成長室1内
は、水素ガス導入前の圧力で1.33×10-5Pa(1
×10-7Torr)以下の圧力であるので、酸化膜12
が除去されてからII−VI族化合物半導体の成長が行
われるまでの時間内にこのZnSe基板15の表面に付
着する不純物および酸化物の生成を十分に少なく抑える
ことができる。そして、これらの処理後にZnSe基板
15の表面に速やかにII−VI族化合物半導体を成長
させていることにより、格子不整合による転位がなく、
界面の不純物に起因する結晶欠陥も極めて少ない低結晶
欠陥密度で良質のII−VI族化合物半導体層13を得
ることができる。さらに、II−VI族化合物半導体層
13の成長中に原子状または活性水素をZnSe基板1
5の表面に照射し続けることにより、より一層低結晶欠
陥密度で良質のII−VI族化合物半導体層13を得る
ことができる。
【0074】また、以上の一連の処理および成長は、単
一の成長室1を有するII−VI族化合物半導体用のM
BE装置だけで全て行うことができるので、低コストで
上述のように良質のII−VI族化合物半導体層13を
成長させることができる。
【0075】以上、この発明の実施形態について具体的
に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定され
るものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の
変形が可能である。
【0076】例えば、上述の第1の実施形態、第2の実
施形態および第3の実施形態において、ZnCl2 の照
射中にも、GaAs基板11の表面に原子状または活性
水素を照射するようにしてもよい。
【0077】また、上述の第3の実施形態においては、
GaAs基板11上にGaAsバッファ層14を成長さ
せているが、例えば、p型GaAs基板を用い、その上
にII−VI族化合物半導体を成長させて半導体発光素
子を製造する場合にバッファ層として用いられるp型I
nAlP層やp型InGaP層などをバッファ層として
成長させても、同様な効果を得ることができる。この場
合、これらのp型InAlP層やp型InGaP層の成
長時にp型ドーパントとして用いられるPやBeなど
は、MBE装置内においては取り扱いが難しいので、こ
れらのp型InAlP層やp型InGaP層の成長は、
赤色発光のAlGaInP系半導体レーザーの製造など
で実績のあるMOVPE法により成長させるのが好まし
い。
【0078】また、今後、II−VI族化合物半導体を
用いた半導体素子、例えば青色ないし緑色で発光可能な
半導体発光素子の長寿命化や高性能化を図るために、基
板上にII−VI族化合物半導体を成長させた後、この
II−VI族化合物半導体にエッチングや絶縁層の成膜
などの処理を施して光導波路などを形成し、その上にさ
らにII−VI族化合物半導体を再成長させる可能性が
ある。したがって、これらのエッチングや成膜の際にI
I−VI族化合物半導体の表面に形成された酸化膜を、
II−VI族化合物半導体の再成長前に原子状または活
性水素を照射して除去することにより、界面準位の形成
や結晶欠陥の増大を防止し、より低結晶欠陥密度で良質
のII−VI族化合物半導体再成長層を得ることができ
る。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、成長直前に基板温度300℃ないし550℃におい
てIII−V族化合物半導体基板の表面に原子状または
活性水素を照射することによりIII−V族化合物半導
体基板の表面の酸化膜を除去した後、III−V族化合
物半導体基板上にII−VI族化合物半導体を成長させ
るようにしているので、低結晶欠陥密度で良質のII−
VI族化合物半導体を低コストで成長させることができ
る。
【0080】また、成長直前に大気圧ないし1.33P
aの圧力の水素ガス雰囲気中において基板温度を580
℃以下に保つことによりIII−V族化合物半導体基板
の表面の酸化膜を除去した後、III−V族化合物半導
体基板上にII−VI族化合物半導体を成長させるよう
にしているので、同様に、低結晶欠陥密度で良質のII
−VI族化合物半導体を低コストで成長させることがで
きる。
【0081】また、成長直前に基板温度450℃以下に
おいてII−VI族化合物半導体基板の表面に原子状ま
たは活性水素を照射することによりII−VI族化合物
半導体基板の表面の酸化膜を除去した後、II−VI族
化合物半導体基板上にII−VI族化合物半導体を成長
させるようにしているので、同様に、低結晶欠陥密度で
良質のII−VI族化合物半導体を低コストで成長させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】II−VI族化合物半導体用のMBE装置の一
例を示す略線図である。
【図2】この発明の第1の実施形態によるII−VI族
化合物半導体の成長方法を説明するための断面図であ
る。
【図3】この発明の第1の実施形態によるII−VI族
化合物半導体の成長方法において原子状または活性水素
の照射により酸化膜を除去した後のGaAs基板の表面
の原子間力顕微鏡像を示す図である。
【図4】従来のサーマルクリーニング法により酸化膜を
除去した後のGaAs基板の表面の原子間力顕微鏡像を
示す図である。
【図5】この発明の第2の実施形態によるII−VI族
化合物半導体の成長方法を説明するための断面図であ
る。
【図6】この発明の第3の実施形態によるII−VI族
化合物半導体の成長方法を説明するための断面図であ
る。
【図7】この発明の第4の実施形態によるII−VI族
化合物半導体の成長方法を説明するための断面図であ
る。
【符号の説明】 1 成長室 2 基板ホルダー 3 基板 4 分子線源 5 水素用セル 11 GaAs基板 12 酸化膜 13 II−VI族化合物半導体層 14 GaAsバッファ層 15 ZnSe基板

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn、Mg、Cd、HgおよびBeから
    なる群より選ばれた少なくとも一種類以上のII族元素
    とSe、SおよびTeからなる群より選ばれた少なくと
    も一種類以上のVI族元素とからなるII−VI族化合
    物半導体を真空を用いた気相成長法によりIII−V族
    化合物半導体基板上に成長させるようにしたII−VI
    族化合物半導体の成長方法において、 成長直前に基板温度300℃ないし550℃において上
    記III−V族化合物半導体基板の表面に原子状または
    活性水素を照射することにより上記III−V族化合物
    半導体基板の表面の酸化膜を除去した後、上記III−
    V族化合物半導体基板上に上記II−VI族化合物半導
    体を成長させるようにしたことを特徴とするII−VI
    族化合物半導体の成長方法。
  2. 【請求項2】 水素ガス導入前における成長室内の圧力
    が1.33×10-5Pa以下であることを特徴とする請
    求項1記載のII−VI族化合物半導体の成長方法。
  3. 【請求項3】 上記酸化膜を除去した後、基板温度30
    0℃ないし550℃において上記III−V族化合物半
    導体基板の表面にZnCl2 を照射することにより上記
    III−V族化合物半導体基板の表面にV族元素安定化
    面を形成し、このV族元素安定化面上に上記II−VI
    族化合物半導体を成長させるようにしたことを特徴とす
    る請求項1記載のII−VI族化合物半導体の成長方
    法。
  4. 【請求項4】 上記III−V族化合物半導体基板上に
    は、Ga、AlおよびInからなる群より選ばれた少な
    くとも一種類以上のIII族元素とP、AsおよびSb
    からなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のV族元
    素とからなるバッファ層があらかじめ成長されているこ
    とを特徴とする請求項1記載のII−VI族化合物半導
    体の成長方法。
  5. 【請求項5】 上記II−VI族化合物半導体に成膜ま
    たは加工処理を施した後、この成膜または加工処理が施
    された上記II−VI族化合物半導体の表面に基板温度
    450℃以下において原子状または活性水素を照射する
    ことにより上記II−VI族化合物半導体の表面の酸化
    膜を除去し、上記II−VI族化合物半導体上に上記I
    I−VI族化合物半導体を再成長させるようにしたこと
    を特徴とする請求項1記載のII−VI族化合物半導体
    の成長方法。
  6. 【請求項6】 上記II−VI族化合物半導体の成長中
    に上記III−V族化合物半導体基板の表面に上記原子
    状または活性水素を照射し続けるようにしたことを特徴
    とする請求項1記載のII−VI族化合物半導体の成長
    方法。
  7. 【請求項7】 上記III−V族化合物半導体基板はG
    aAs基板であることを特徴とする請求項1記載のII
    −VI族化合物半導体の成長方法。
  8. 【請求項8】 上記III−V族化合物半導体基板はI
    nP基板であることを特徴とする請求項1記載のII−
    VI族化合物半導体の成長方法。
  9. 【請求項9】 上記気相成長法は分子線エピタキシー法
    であることを特徴とする請求項1記載のII−VI族化
    合物半導体の成長方法。
  10. 【請求項10】 Zn、Mg、Cd、HgおよびBeか
    らなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のII族元
    素とSe、SおよびTeからなる群より選ばれた少なく
    とも一種類以上のVI族元素とからなるII−VI族化
    合物半導体を真空を用いた気相成長法によりIII−V
    族化合物半導体基板上に成長させるようにしたII−V
    I族化合物半導体の成長方法において、 成長直前に大気圧ないし1.33Paの圧力の水素ガス
    雰囲気中において基板温度を580℃以下に保つことに
    より上記III−V族化合物半導体基板の表面の酸化膜
    を除去した後、上記III−V族化合物半導体基板上に
    上記II−VI族化合物半導体を成長させるようにした
    ことを特徴とするII−VI族化合物半導体の成長方
    法。
  11. 【請求項11】 Zn、Mg、Cd、HgおよびBeか
    らなる群より選ばれた少なくとも一種類以上のII族元
    素とSe、SおよびTeからなる群より選ばれた少なく
    とも一種類以上のVI族元素とからなるII−VI族化
    合物半導体を真空を用いた気相成長法によりII−VI
    族化合物半導体基板上に成長させるようにしたII−V
    I族化合物半導体の成長方法において、 成長直前に基板温度450℃以下において上記II−V
    I族化合物半導体基板の表面に原子状または活性水素を
    照射することにより上記II−VI族化合物半導体基板
    の表面の酸化膜を除去した後、上記II−VI族化合物
    半導体基板上に上記II−VI族化合物半導体を成長さ
    せるようにしたことを特徴とするII−VI族化合物半
    導体の成長方法。
  12. 【請求項12】 上記II−VI族化合物半導体基板は
    ZnSe基板であることを特徴とする請求項11記載の
    II−VI族化合物半導体の成長方法。
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