JPH09144324A - 仮設テントにおけるシートの開閉機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建設現場等で使用する仮設屋根において、重
量物を屋外クレーンによって直接搬入又は搬出するため
に、屋根シートを部分的に開閉できるようにする。 【解決手段】 外側にガイド溝を形成した長尺状の屋根
材を用い、かつ前記ガイド溝内に屋根シートの両耳部に
挿通して該シートを張設するようにした仮設テントにお
いて、屋根面を挟んだテントの両外側壁のうちの一方の
側壁側に、屋根シートの端縁部を巻取り、または繰り出
させるためのウインチ機構を取付けると共に、他方の側
壁側には前記シートにを常時引張り傾向を付与するカウ
ンタウエイト装置を付設した仮設テントにおけるシート
の開閉機構。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、土木、建築構築物
の建設現場等で、風雨や直射日光を避けるために用いる
仮設テントまたは展示会などの催物に用いる仮設小屋や
臨時の倉庫などに使用する仮設テント若しくは仮設屋根
に関し、さらに詳しくは前記テントまたは屋根に張設し
たシートを部分的に開閉させ、それによってクレーン等
で吊り上げた重量物を、屋根面からテント内に直接搬入
または搬出できるようにしたテントにおける屋根シート
の開閉機構に係る。

【０００２】

【従来の技術】土木建築における構築物の建設現場等に
あっては、作業環境を良好に保持する目的で組立て式の
軽量な仮設テントや、エヤー膨張型の仮設屋根（以下、
単に仮設テントと総称する）で現場を覆い、それによっ
て風雨や直射日光を避けるようにしている。仮設テント
で覆われた建設現場にあっても、そこには重量物である
各種の機材を、クレーン等を介してテント内に搬入し、
或いは搬出する必要がある。かかる要請を満たすため前
記屋根シートを長手方向に移動させて屋根面を覆ってい
るシートの一部を除去、開放して当該屋根面からクレー
ン等を介して前記した荷物の搬入、搬出を行わせ、所定
の作業が済んだ後に再び屋根シートを逆方向に移動させ
て屋根面をシートで覆うようにしている（特開平6-3306
39号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来型には次のような問題点があった。すなわち、屋根シ
ートの開閉を当該シートの両端縁部に対して各別に設け
た２台のウインチ機構を介して行っていたので設備費が
嵩み、その上ではシート両端のウインチを同時に作動さ
せる必要があるので、電気的にも同期運転が可能なよう
な配線を施す手間がかかり、さらには取付けスペースの
面でも格別の配慮を必要としていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】ここにおいて本発明は、
前記従来型に付随していた問題点を解決し得る新規な屋
根シートの開閉方式を提供せんとしたものである。すな
わち、比較的軒高の高い仮設テントに適用して有効な簡
易型のシート開閉装置であって、当該テントを構成する
両側壁部における一方の外壁側にのみウインチ機構を装
備させ、他方の該側壁にはカウンタウエイト機構を組込
み、それによって前記ウインチ機構を操作するのみで屋
根シートの開閉が行えるようにしたものである。

【０００５】さらに具体的に述べると、本発明の仮設テ
ントにあっては、屋根の勾配面を規定する長尺状の屋根
材に対して直接または間接に該部材の長手方向に沿って
ガイド溝を形成させた上で前記ガイド溝を介して屋根面
を覆うシートを展張もしくは開放させるようにした仮設
テントにおいて、屋根面を挟んだテントの両外側壁のう
ちの一方の側壁側に、屋根シートの端縁部を巻取り、ま
たは繰り出させるためのウインチ機構を取付けると共
に、他方の側壁側には屋根シートの端縁を常時、引張り
下ろすためのカウンタウエイト機構を付設して、前記ウ
インチを弛めたときにはカウンタウエイトが作用して当
該ウエイト側にシートを引張り、ウインチを巻き込むよ
うに作動させたときには前記ウエイトの引張り力に抗し
てシートがウインチ側に移動するように構成させたもの
である。

【０００６】また、実施に際しては中空な断面形状を有
する角型材を用い、かつ当該角型材の少なくとも２以上
の隅部に外側へ向いて開口するガイド溝を角型材と一体
に形成させた屋根材を使用するのが望ましく、しかもそ
の屋根材に取付けた屋根シートの端縁部に結合させたワ
イヤロープをウインチの一部を構成する巻取りドラムに
よって引張りあげ、ないしは当該ウインチを緩めること
によって屋根シートを繰り出させて屋根の開閉を行わせ
るようにするのがよい。かくして本発明によれば、仮設
テントにおける屋根領域の開閉度合いを可変に保持し得
るもので、重量物を搬入または搬出しようとする場所の
真上に位置する屋根シートを前記のウインチ機構とカウ
ンタウエイト装置によって所望の開度を保って開放さ
せ、それによって屋外クレーンを介しての直接の荷卸し
又は荷上げを可能ならしめたものである。荷役作業が済
んだ後は逆方向に屋根シートを移動させて当該屋根面を
覆うように屋根シートを復元して風雨、炎暑等から作業
現場を保護することができるようにしたものである。

【０００７】

【発明を実施するための形態】以下、添付図面に基づき
本発明の実施形態を説明する。図１は、本発明の開閉機
構を組込んだ仮設テント全体の斜視図であって、一例と
して随所に竪設した支柱１１と、その上に跨がる山形勾
配の妻面フレーム１２を等間隔に５フレーム立設し、そ
れによって形成された４つのスパンにそれぞれ屋根シー
ト１３を張設して連続した仮設テントを形成させる。な
お、図には山形勾配のフレームを示したが片勾配であっ
てもよく、また場合によっては勾配をつけない屋根に利
用してもよい。また、図においては一つおきの各スパン
ごとに屋根シートを全面張設し、それに隣りあう２スパ
ンはそれぞれ一部の屋根シートを開放した状態を示し
た。

【０００８】以下、屋根シートを開閉させる機構の具体
例について述べる。本発明にあっては前記妻面フレーム
１２における屋根材１２ａを、一例として図３に示すよ
うなアルミ合金製の角型材で構成させる。この角型材は
図示のように内部を中空とした角管から成り、四隅部に
は外側に向って開口するガイド溝１４が形成されてい
る。一方、このガイド溝には図４の拡大図からも明らか
なように断面円形の抜止め材１５を挿通させるもので、
その場合、前記抜止め材１５に屋根シート１３の耳部を
巻き付けた上で、両者を一体としたものを該溝１４に遊
挿する。ちなみに、屋根材は、必ずしも前記のような角
型材でなくとも差し支えなく、図６に示すような断面円
形の屋根材１２ｂを用いてもよい。この場合にあっても
屋根材の両翼または片側のみにガイド溝１４を一体に形
成させることが必要である。

【０００９】次に、図３および図４Ａに基づいて屋根材
１２ａと屋根シート１３の嵌め合い関係を説明する。前
述のように屋根シート１３の長手方向に沿った両耳部に
はロープ状の抜止め材１５を縫合継手によって取付け
る。一方、長方形で中空な断面のアルミニウム合金製角
型材１２ａの上側隅には、外側へ向いてガイド溝１４が
開口しているので、この溝内に抜止め材１５をシートの
両耳部ごと挿通させる。そして、該抜止め材とガイド溝
１４との嵌め合いによって屋根シート１３の撓みが抑止
され、緩やかな屋根勾配でも雨水が溜まることはない。
屋根シート１３は、一例としてポリエステル混紡の帆布
の表面をポリ塩化ビニールで被覆し、しかも防水処理な
らびに防炎処理の施された厚さ０．５〜０．７ｍｍ程度
のものを用いる。なお、図示のように抜止め材１５は円
形断面で可撓性を有するロープ状のものであれば、特に
材質は限定されない。また、前記抜止め材１５にシート
１３の耳部を巻き込んで固定した部分は、図４Ａからも
明らかなようにガイド溝１４内を自由に動くことができ
るように遊嵌状態を保って係合している。なお、図４Ｂ
は前記抜止め材の変形例を示すもので、屋根シート１３
の両耳部を可撓性を有する合成樹脂製抜止め材１５ａの
縁片１５ｂに挟み込んで接着させた場合である。

【００１０】次に、図６に基づいて屋根シート１３の移
動を案内するガイド溝１４の変形例を説明する。この事
例にあっては、屋根材としての剛性はこれを符号１２ｂ
で示すＩ型鋼で負担させ、その上に断面メガネ型の案内
部材１２ｃをボルト１８で固着させる。しかる後、該部
材１２ｃに形成させた溝１４ｂを介して抜止め材１５を
シートごと挿通して該シートが溝内を摺動するのを許容
するようにした事例である。

【００１１】進んで図１〜２に示すウインチ機構の詳細
について述べる。図示のように、屋根シート１３を張設
するため、該シートの一方の端縁部にワイヤロープ２０
を結びつけた上で、そのロープをウインチ１９の巻取ド
ラム２２に巻回し、必要に応じ該ウインチを作動させて
前記ロープを介し屋根シートを引張り込むようにする
と、シートは屋根材１２ａに設けられたガイド溝１４に
案内されて屋根面と平行に移動し、屋根面を覆うように
なるから、それによって雨養生が可能になる。すなわち
屋根シート１３の一方の端縁に２個のフック１７を取付
け、それぞれにワイヤロープ２０をロック２１で結合す
る。そして、前記ロープ２０を巻取りドラム２２に巻き
付けると共に、該ドラム２２をクラッチ付きモータ２３
によって駆動するようになす。クラッチは電磁クラッチ
とするのがよく、巻取り時はモータ２３の回転を前記の
巻取りドラム２２へ伝達し、巻戻し時はモータ２３の出
力軸と巻取りドラム２２の回転軸とを切り離すように電
気的に制御する。以上の構成は、屋根シートを引張りあ
げるときのワイヤロープの巻取り機構ならびにその動作
を説明したものであるが、つぎに巻戻し側の構成ならび
に作用を説明する。

【００１２】屋根シート１３を巻戻すとき（屋根面から
シートを除去するとき）には、図１の手前側ならびに図
７〜８に示すように、前記ウインチ機構の駆動をクラッ
チ装置などを介して解除する。しかるときは前記ウイン
チ側に対し、反対側に位置するシート端縁のカウンタウ
エイト装置３０が作用して当該シートをその方向に引張
るから、それによって屋根シートが屋根面から外れて開
放状態となる。この点を図７〜８に示す実施形態に基づ
いて、さらに詳しく説明する。同図において符号４０
は、仮設用の枠組足場で、このものを図示のように適当
な高さにまで積み上げた後にその上に支柱１１を堅設
し、該支柱の上に前記と同様な山形の妻面フレーム１２
を跨がせて屋根面を構成させ、しかる後にフレームの構
成部材である屋根材に形成されたガイド溝を介して屋根
シート１３を張設するようにした事例である。すなわち
仮設テントにおける一方の枠組足場４０ａの上部に、符
号１９で示すウインチ機構を取付けると共に、他方の足
場４０ｂの外側面にカウンタウエイト装置３０を組込む
ものである。

【００１３】すなわち、屋根シート１３の端縁に前記と
同様にしてワイヤーロープ２０ａを結びつけ、さらに該
ロープの端末にカウンタウエイト４１を吊り下げる。４
２は前記カウンタウエイトの案内レール、４２ａはスト
ッパである。なお、前記のウエイトは案内レールに沿い
ストッパの取付け位置を限界として昇降動作を行う。な
お、符号４３はワイヤーロープ２０を誘導する滑車、同
じく４４は屋根面と壁面との境近くに取付けた屋根シー
ト案内用のロールバーである。該バーの取付け面下部に
は図３〜４に示したのと同様な構成のウインチ機構を装
着する。

【００１４】本発明による屋根シート１３の開閉動作を
説明する。既に述べたように屋根シート１３を張設する
ときは、モータ２３を駆動して巻取りドラム２２に対し
てワイヤロープ２０を巻き取らせるように操作する。し
かるときは、屋根シート１３が前記ロープにより引張ら
れるので、それに伴って前記シートの両耳部に固着され
ている抜止め材１５も該シートの引張力によって屋根材
１２ａまたは１２ｂに形成されたガイド溝１４の内側を
摺動して屋根面をシートで覆う。換言すれば、前記モー
タを電気的に作動させてウインチ１９を操作すれば、屋
根シート１３が屋根面を覆うように屋根材のガイド溝に
沿って移動してくるから、該シートが屋根面の所望の位
置にまで到達したらば、そこで前記モータの駆動を停止
させればよい。かくして必要とする屋根面を覆うことが
可能となる。なお、クラッチつきモータを使用したとき
には、該モータ２３の電磁クラッチを係合または離脱す
るように電気的に制御し、それによって巻取りドラム２
２をしてワイヤロープ２０を巻取らせ、また必要に応じ
該ドラム２２を自由回転させて屋根シート１３の巻戻し
を行えばよい。

【００１５】一旦、張設した屋根シートを開放するとき
は、ワイヤロープ２０を巻取っていたドラム２２を自由
回転させるだけでよい。その場合には、開放しようとす
る側の屋根シートに取付けられたワイヤロープ２０ａが
反対側の外側壁面に設けられたカウンタウエイト機構４
１、４２が動作し、該ウエイトの重みにより利シートが
自由降下してくるから、シートの端縁が所望の位置に来
た時点で、今度はウインチ機構に内蔵させた制動装置
（図示せず）を働かせてシートの移動を停止させればよ
い。

【００１６】なお、本発明にあっては、カウンタウエイ
トの昇降動作は仮設テントの側壁面の高さにより制約を
受けるので、軒高の低い仮設テントには不向きである。
そのため好ましくは図７に示すように、仮設テントの軒
高Ｌが屋根スパンＳの半分の値（もしくは屋根勾配長さ
ｌ：小文字のエル）以上である場合に使用して効果があ
る。

【００１７】

【発明の効果】本発明にしたがえば、仮設屋根を構成す
る屋根シートの任意の部分を容易に開放できるので、屋
外クレーンによって直接重量物を搬入または搬出するこ
とが可能となり、作業後は容易に屋根シートを閉じて屋
根を復元することができる。また、従来型のように仮設
テントの両側壁部にそれぞれ別個の屋根シート駆動機構
を設置する必要なく、何れか一方のみにウインチ機構を
配設し、他方には無動力のカウンタウエイト装置を組込
むだけで足りるから設備費用は廉価で済み、その上では
巻取り抵抗も低いので常時一定の軽い力で巻取り、ある
いは巻戻すことができるので、大スパンの仮設テントに
も適用可能であるといった利点を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による屋根シートの開閉機構を組込ん
だ仮設屋根の全体を示す斜視図。

【図２】 同上、開閉機構の一部であるウインチ機構の
一例を示す断面図。

【図３】 屋根材と屋根シートの取付関係を示す一部の
拡大斜視図。

【図４】 図４Ａは屋根材と屋根シートの嵌め合いを示
す断面図、同Ｂは屋根シートの他の実施形態を示すもの
で、特に耳部を拡大して示した断面図。

【図５】 屋根材の他の実施形態を示す断面図で、ガイ
ド溝の中には屋根シートの端縁部が係合している状態を
示した。

【図６】 屋根シートの移動案内部材と屋根材とをそれ
ぞれ別の部材で構成させた事例を示す斜視図。

【図７】 仮設テントの側壁を枠組足場で構成させた場
合の正面図。

【図８】 同上一部の側面図。

【符号の説明】

１２ 妻面フレーム １２ａ，１２ｂ 屋根材 １３ 屋根シート １４ ガイド溝 １５ 抜止め材 １７ フック １９ ウインチ機構 ２０，２０ａ ワイヤロープ ２１ ロック ２２ 巻取ドラム ２３ モータ ３０ カウンタウエイト装置 ４０，４０ａ，４０ｂ 枠組足場 ４１ 重錘（ウエイト） ４２ 案内レール ４２ａ ストッパ ４３ 誘導滑車

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺状屋根材の長手方向に沿って該屋根
   材と一体に形成させた案内部材もしくは別体として取付
   けた案内部材の少なくとも側面にガイド溝を形成させ、
   かつ前記ガイド溝内に屋根シートの両耳部に取付けたロ
   ープ状抜止め材を挿通することによって屋根シートを張
   設するようにした仮設テントにおいて当該屋根シートの
   長手方向における一方の端縁部に、ワイヤロープを介し
   てウインチ機構を結合させると共に、他方の端縁部には
   カウンタウエイト装置における引張りロープを結びつけ
   たことを特徴とする仮設テントにおけるシートの開閉機
   構。
2. 【請求項２】 中空な断面形状を有する角型材を用い、
   かつ当該角型材の少なくとも２以上の隅部に外側へ向い
   て開口するガイド溝を形成させた屋根材を使用した請求
   項１記載の仮設テントにおけるシートの開閉機構。
3. 【請求項３】 ウインチ機構を構成する巻取りドラムに
   クラッチ付モータと制動装置を取付けてなる請求項１ま
   たは２記載の仮設テントにおけるシートの開閉機構。