JPH09143528A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

溶銑の予備処理方法

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JPH09143528A
JPH09143528A JP29849495A JP29849495A JPH09143528A JP H09143528 A JPH09143528 A JP H09143528A JP 29849495 A JP29849495 A JP 29849495A JP 29849495 A JP29849495 A JP 29849495A JP H09143528 A JPH09143528 A JP H09143528A
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方史 花尾
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】溶銑の予備処理方法を提供する。 【解決手段】酸化Mnを主要成分とする鉱物を溶銑に添加
し、溶銑中Siとの酸化還元反応によりSiO2を発生させ、
このSiO2とMnO を主成分とする液相スラグを形成させた
後、造滓剤としてCaO 及びCaF2を添加しスラグ塩基度(C
aO/SiO2)及び融点を調整することにより、脱硫と同時に
脱珪及び溶銑中Mnの上昇を実施する方法。 【効果】短時間で脱珪、脱硫及びMnの上昇を同時に達成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の脱硫、脱珪
および〔Mn〕上昇を同時に実施することが可能な予備処
理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Siを0.2 %以上含有する溶銑から、高マ
ンガン低硫鋼(〔%Mn〕=0.4〜2.0 、〔%S〕=0.005〜
0.015 )を溶製する場合、次の処理方法が一般に用いら
れている。
【0003】すなわち、高炉から出銑された溶銑を出銑
時の樋またはトーピードカー等で脱珪処理をした後、ト
ーピードカーまたは取鍋内等で脱りん、脱硫等の予備処
理を施す。もしくは、トーピードカーまたは取鍋内で脱
硫処理をした後、転炉内等で脱珪および脱りん等の予備
処理を行う。その後、転炉内で脱炭処理し、転炉からの
出鋼時に金属マンガン、フェロマンガン等の高価なマン
ガン合金鉄を添加して溶鋼中のマンガン濃度を調整す
る。
【0004】上記方法によると、溶銑中のSi濃度が高
く、脱珪処理を脱りん処理前に実施しない場合には、脱
りん処理時のSiO2生成量が増大するため、脱りん能確保
(塩基度維持)のために添加する石灰系造滓剤がより多
く必要となり、製鋼コストが上昇していた。また、造滓
剤添加量が増加(スラグボリュームが増大)すると、ス
ラグ中へ損失するマンガン分が増大(マンガン歩留が低
下)し、その分だけ転炉出鋼時のマンガン合金鉄添加量
が増大するため、これも製鋼コストを上昇させる要因と
なっていた。
【0005】製鋼コスト低減のためには、脱りん処理前
の溶銑中の〔Si〕濃度を低位に維持することが望まれ
る。しかし、この制御は高炉操業上困難なことである。
【0006】また、脱りん処理の前に脱珪処理を実施す
る場合でも、通常の方法では焼結鉱またはスケール等を
脱珪剤として添加しているため、脱珪と同時に溶銑中の
マンガン(〔Mn〕)もスラグ中へ酸化ロスされていた。
【0007】脱りん処理前の溶銑中の〔Si〕濃度を適正
レベルに調整する方法として、特開平6-271920号公報に
示されるものがある。これは、溶銑脱硫処理時におい
て、溶銑を撹拌した状態でCaO 、CaF2およびマンガン鉱
物等からなるフラックス(第一精錬剤)を添加すること
により脱硫、脱珪および溶銑中〔Mn〕の上昇を施し、次
いで、CaO 、Na2CO3およびC等を主成分とするフラック
ス(第二精錬剤)を添加することにより、更なる脱硫を
実施する方法である。このマンガン鉱物とは、マンガン
鉱石、鉄マンガン鉱石およびマンガン酸化物等を意味し
ている。
【0008】この方法により、脱硫処理時において、処
理工程を増やすことなく同時に適正レベルまでの脱珪処
理が可能となるため、脱りん処理時において造滓剤添加
量(スラグボリューム)が低減され、マンガン歩留が向
上した。
【0009】しかも、この方法では脱珪剤として安価な
マンガン鉱物を利用するため、脱珪処理時に発生するSi
酸化の発熱量をマンガン鉱物の溶融還元に有効利用する
ことができ、溶銑中の〔Mn〕濃度を安価に上昇させるこ
とが可能となった。従って、脱炭処理後に添加する高価
なマンガン合金鉄の節減が達成された。
【0010】特公昭60-27721号公報には、鉄マンガン鉱
石を用い、スラグの塩基度を 1.0〜2.0 とする溶銑の脱
珪および〔Mn〕上昇方法が示されている。しかし、この
方法は塩基度が低く、CaF2を添加しないこともあって、
スラグの滓化性および脱硫性に劣る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開平6-271920号公報
の方法において第一精錬剤を添加するに際して、添加順
序により処理時間内に十分な精錬効果が得られないこと
があった。即ち、CaO 、CaF2および酸化マンガンの配合
量が同じであっても、これらを一括して同時に添加した
場合、CaO を他に先行して添加した場合等の条件におい
て、CaO および酸化マンガンが高融点酸化物を形成し、
スラグの流動性が小さくなることによりスラグ中MnO の
還元(SiO2 の生成)が停滞し、〔Mn〕上昇および脱珪が
効果的に進行しなくなるのである。
【0012】特開平6-271920号公報の方法における脱硫
効果については、第一精錬剤を添加しただけでも脱硫反
応は進行するものの、低硫鋼溶製のために〔%S〕=0.0
10以下となるまで溶銑脱硫するためには、スラグ塩基度
を高めることを目的とした第二精錬剤の添加が必要であ
った。第二精錬剤を添加するため、通常の溶銑脱硫処理
と比較して処理時間が長くなり、溶銑温度降下等におい
て若干不利となることがあり、第一精錬剤のみの添加に
よる脱硫反応促進が望まれた。
【0013】第一精錬剤のみの添加で十分な脱硫処理を
実施するためには、スラグの塩基度をできるだけ高くす
る必要があるが、スラグ中CaO 濃度の増加とともにスラ
グの融点が上昇し、流動性が小さくなる。流動性の低下
とともにスラグ中MnO の還元反応進行が停滞し、脱珪お
よび〔Mn〕上昇の効果が十分に得られなくなる。またス
ラグ中にMnO が多く残存した状態では、脱硫反応も効果
的に進行しなくなる。
【0014】従って、第一精錬剤のみの添加により、脱
珪および溶銑中〔Mn〕の上昇を効率良く達成するととも
に脱硫反応を十分に進行させることが望まれ、そのため
に初期からスラグの流動性を良好な状態に維持しつつ、
スラグ塩基度を十分に高めることが更なる課題として残
っていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明方法は、溶銑に対
して酸化マンガン主要成分とする鉱物および造滓剤とし
てCaO およびCaF2を添加するに際して、それらの添加順
序を考慮することにより、スラグの流動性を良好に保持
した状態で塩基度を高くすることを可能にするものであ
る。
【0016】本発明の要旨は、次の〜の工程で処理
することを特徴とする溶銑の予備処理方法にある。
【0017】酸化マンガンを主要成分とする鉱物を溶
銑に添加する。
【0018】この酸化マンガンと溶銑中珪素(〔S
i〕)との酸化還元反応によりSiO2を発生させる。
【0019】このSiO2とMnO とを主成分とする液相ス
ラグを形成させる。
【0020】造滓剤としてCaO およびCaF2を添加し、
スラグの塩基度(CaO/SiO2)および融点を調整する。
【0021】脱硫と同時に脱珪および溶銑中マンガン
(〔Mn〕)の上昇を実施する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明方法の実施の形態およびス
ラグの組成変化を通じて作用を説明する。
【0023】まず最初に、酸化マンガンを主要成分とす
る鉱物を溶銑に添加する。この鉱物としては、マンガン
鉱石および鉄マンガン鉱石などを用いることができる。
【0024】酸化マンガンを溶銑に添加すると、溶銑中
の〔Si〕と酸化マンガンが次式(1)および(2) に示す酸
化還元反応を起こす。
【0025】 MnO +(1/2)〔Si〕 = Mn +(1/2)SiO2 ・・・(1) MnO2+ 〔Si〕 =〔Mn〕+ SiO2 ・・・(2) その結果SiO2が生成し、MnO と融合してSiO2とMnO とを
主成分とするMnO-SiO2系の液相スラグ(融点が1200〜13
00℃程度となる組成)を形成する。添加した酸化マンガ
ンは、この液相スラグへ順次溶解し、MnO として液相ス
ラグ中に存在するようになり、スラグ中のMnO はスラグ
−溶銑間の界面を通じて溶銑中の〔Si〕と反応して行
く。このようなSiO2の生成およびMnO の溶解が連続的に
進行することにより、液相スラグが増大して行く。
【0026】次いで、造滓剤としてCaO およびCaF2を添
加し、スラグの塩基度(CaO/SiO2)および融点を調整す
る。
【0027】CaO を添加すると前記の液相スラグにCaO
が溶解して行き、液相スラグはCaO-MnO-SiO2系へと組成
が変化する。スラグ中のCaO の増加とともにスラグの塩
基度(CaO/SiO2)が上昇して行く。このときの望ましい塩
基度の範囲は 2.0〜5.0 である。
【0028】スラグ塩基度の上昇によりスラグ中のMnO
の活量が減少し、その還元反応が促進される。また、ス
ラグ中のCa2+の活量が増大するため、下記(3) 式で示す
脱硫反応も促進される。
【0029】 Ca2+ + S2- = CaS ・・・・・・・・・・(3) CaF2をCaO と同時に添加することにより、CaO あるいは
酸化マンガンがSiO2とMnO とを主成分とするMnO-SiO2
の液相スラグへ溶解するのを促進させることが可能であ
る。これは、比較的融点の低いCaF2(融点は1417℃)が
スラグ中に存在することによってスラグ全体の融点が降
下し、一定温度下における組成的液相領域が拡大される
ためである。このときのCaF2の望ましい添加量の範囲は
スラグ1ton あたり1〜15kgである。
【0030】上記作用によりスラグの流動性が大きくな
り、スラグ中の物質移動が速くなるため、MnO の還元お
よび脱硫の反応速度が大きくなるのである。最終的にス
ラグ中MnO は2〜3%程度またはそれ以下になるまで減
少し、スラグ組成はCaO-SiO2-CaF2 系となる。
【0031】以上により、溶銑中〔Mn〕の上昇、脱珪お
よび脱硫が同時に効果的に進行するのである。
【0032】ここで、SiO2とMnO とを主成分とするMnO-
SiO2系の液相スラグへのCaO 供給時期が、上記作用の進
行速度に大きく影響を及ぼす。即ち、このMnO-SiO2系の
液相スラグの生成時期に対してCaO の供給が同時もしく
は間もない場合、僅かに生成したこの液相スラグがCaO
で飽和して高融点化し、流動性が小さくなるためにMnO
の溶解および還元反応が停滞する。そして未反応の酸化
マンガンおよびCaO が多量に残存するようになる。
【0033】MnO の還元反応、更には脱硫反応を順調に
進行させるためには、液相スラグの存在状態を常に維持
することが重要である。そのために、この液相スラグの
生成源である酸化マンガンを先行して溶銑に添加し、上
記の液相スラグ形成を待ってCaO およびCaF2を添加する
ことが必要となるのである。
【0034】図1により上記をさらに説明する。図1
は、本発明方法と従来方法とを対比して、処理中のスラ
グ組成の推移を説明するCaO-SiO2-MnO三元系状態図であ
る。図において白矢印は、溶銑に酸化マンガン、CaO お
よびCaF2を同時に添加する場合のスラグ組成の変化の典
型例を示すものである。一方、黒矢印は、酸化マンガン
を先行して添加し、次いでCaO およびCaF2を添加する場
合のスラグ組成の変化の典型例を示すものである。
【0035】図示するように、白矢印の場合のスラグ組
成は、初期組成から反応が進行している間を通じてCaO-
MnO 系の高融点領域(融点は1700℃以上)を推移する。
しかし、黒矢印の場合のスラグ組成は、初期組成のMnO
点からMnO-SiO2辺上をSiO2点に向かって推移し、融点が
1200〜1300℃の低融点領域に到達する。その後、CaOの
溶解とともにCaO-SiO2辺に向かって推移するが、その間
も低融点領域を推移する。
【0036】酸化マンガンの添加時期は、十分な攪拌が
得られている状態であれば、処理中のできるだけ早い時
期が良く、処理時間の半分が経過するまでの期間に添加
を終了するのがよい。この際の添加方法としては、一
括、分割及び連続を問わない。
【0037】酸化マンガンの添加は一括して実施しても
よいが、分割または連続添加することにより、溶銑上に
未反応のまま存在する酸化マンガンを低減し、液相スラ
グの形成およびスラグ中のMnO の還元反応をより効率良
く起こすことが可能である。
【0038】CaO およびCaF2の添加時期は、酸化マンガ
ンを処理中の或る期間において分割または連続添加する
場合、酸化マンガン添加期間の後でもよいし、添加期間
中でも構わない。重要なのは、CaO 添加の前にSiO2とMn
O とを主成分とするMnO-SiO2系の液相スラグを形成する
ことであり、この液相スラグ形成のための期間を確保す
ることが必要なことである。この際の添加方法として
も、一括、分割および連続を問わない。
【0039】CaO 添加の場合も酸化マンガン添加の場合
と同様に一括添加でもよいが、分割または連続添加する
ことがより好ましい。これは、溶銑上に未溶解のまま存
在するCaO の低減により、MnO-SiO2系の液相スラグのCa
O 飽和による高融点化を回避するためである。CaO を添
加して最終的にスラグの塩基度を2.0 以上の高い範囲に
上昇させる場合には特に、連続添加とするのが望まし
い。
【0040】CaF2はスラグ滓化促進剤としての役割を果
たすので、一括添加でよいが、分割または連続添加して
も構わない。重要なのはCaO 添加時のスラグ高融点化を
回避することであり、この点を考慮するとCaO 添加と同
時期にまたはCaO 添加に先行して添加するのが望まし
い。処理前の溶銑温度が低い場合には最初に添加する酸
化マンガンと同時期に添加し、液相スラグ生成を促進さ
せるのがよい。
【0041】また、CaO およびCaF2の添加は処理時間の
2/3 を経過するまでに終了し、処理終了時点まで反応時
間を確保するのがよい。
【0042】処理時間は、主に各精錬反応の進行程度
と、溶銑温度降下あるいは工程上の都合等との間の兼ね
合いから設定するのがよい。処理時間として10〜15分間
あれば各精錬反応は概ね進行し、30分間でほぼ完了す
る。他方で、処理時間が長くなると処理時間に比例して
溶銑温度が降下して行くので、以降の工程への時間的お
よび熱的負担が大きくなる他、各精錬反応の進行も停滞
しはじめる。従って、望ましい処理時間は10〜30分間、
更に望ましいのは15〜20分間である。
【0043】処理中は溶銑およびスラグの攪拌を行うの
が望ましい。
【0044】添加するマンガン鉱物および造滓剤の望ま
しい粒度は、精錬効果への影響および添加作業性を考慮
して選択されるべきである。粒度が細かい程、スラグへ
の溶解が迅速に進行し精錬効果が大きくなるが、一方過
度に細かいと添加時の粉塵発生等の支障が生じるので避
けた方がよい。逆に、粒度が過度に粗くなると、スラグ
への溶解が遅くなることが懸念される。また、造滓剤の
種類(融点)によっても異なり、融点が高い程、望まし
い粒度も細かくなる。特にCaO は融点が2570℃と高く、
できるだけ細かい粒度が望まれる。従って、具体的に望
ましい粒度範囲は、酸化マンガンおよびCaF2で1mm以上
50mm以下、CaO で1mm以上10mm以下である。
【0045】マンガン鉱物中の酸化マンガン、および造
滓剤中のCaO またはCaF2の濃度は高い程好ましい。マン
ガン鉱物および造滓剤に不可避的に含有される不純物と
しては、Al2O3 、MgO 、SiO2、PおよびS等があり、こ
れらの濃度の総和が5%以下であることが望ましい。同
様に含有されるものに酸化鉄があるが、これは酸化マン
ガンと同様に溶銑中〔Si〕と酸化還元反応を起こし、脱
珪剤としてはたらくため、マンガン鉱物および造滓剤中
に通常含まれている程度であれば、特に害はない。
【0046】造滓剤は、CaO またはCaF2を単独で主要成
分として含有するものであってもよいし、これらを同時
に主要成分として含有しているものでもよい。
【0047】マンガン鉱物および造滓剤の添加量は、必
要な脱珪量および脱硫レベルにより設定される。
【0048】まず、必要な脱珪量に対してマンガン鉱物
の添加量が設定される。脱珪剤としてはたらくものは、
鉱物中の酸化マンガンおよび酸化鉄である。酸化マンガ
ンの還元反応はほぼ前記(1) 式により進行し、酸化鉄は
Fe2O3 として溶銑中の〔Si〕と酸化還元反応すると考え
てよい。従って、必要脱珪量、マンガン鉱物中のマンガ
ンおよび鉄分濃度ならびに酸化還元反応式の化学量論的
バランスにより、必要添加量を算出するのがよい。通常
想定される添加量の範囲は5〜30 kg/t(kg/t:溶銑1to
n 当たりの添加量。以下同じ。)である。
【0049】CaO の添加量は、造滓剤中のCaO 濃度およ
び必要な脱硫レベルを達成するためのスラグ塩基度から
設定するのがよい。通常想定される添加量の範囲は5〜
30kg/tである。
【0050】CaF2の添加量は、スラグに必要な滓化性の
程度により設定し、CaO の添加量および溶銑温度から決
定するのがよい。通常想定される溶銑温度である1350℃
前後において、CaO に対する添加量比で1/5 〜1/2 の範
囲とするのが望ましい。添加量の範囲としては1〜15kg
/tである。溶銑温度が1350℃よりも低く、スラグの滓化
不良が懸念される場合には、CaF2の添加量を増加するの
がよい。
【0051】溶銑中の〔Si〕濃度が高く熱的に余裕のあ
る場合には、マンガン鉱物および造滓剤ともに上記の添
加量に限られず、より多い量を添加しても構わない。
【0052】酸化マンガンおよび造滓剤の添加方法は、
ホッパーからの添加およびインジェクションなどのいず
れでもよく、設備または操業上の都合により選択するこ
とができる。
【0053】本発明方法を用いて処理する途中で生成す
る液相スラグの望ましい組成範囲は、(CaO)=0〜30%、
(MnO)=20〜70%、かつ(SiO2)= 30〜50%である。この範
囲の組成において、CaO-MnO-SiO2系スラグの融点は1200
〜1300℃程度であり、CaF2の存在により、その融点は前
述の望ましい範囲に更に降下する。
【0054】この範囲の組成を推移した後、(CaO) の増
加により(MnO) が更に減少して行き、スラグ中のMnO は
最終的には2〜3%、更にはそれ以下まで到達するのが
望ましい。このときスラグ中のCaF2は5〜30%程度とな
るのがよい。
【0055】最終的なスラグ塩基度は特に脱硫効果を考
慮して設定されるのが望ましい。望ましい範囲は 2.0〜
5.0 である。スラグ塩基度が増加するとともに、その分
脱硫反応に対する促進効果は増大する。一方、スラグ塩
基度を増加させるにつれて造滓剤コストおよび処理中温
度降下等が増大するので、双方間の兼ね合いから必要と
される脱硫レベルによりスラグ塩基度を設定するのがよ
い。
【0056】以上から明らかなように本発明方法では、
スラグ塩基度を2.0 以上まで高めるためには、それだけ
CaO 添加が多量となるため、酸化マンガンの先行添加に
よりSiO2とMnO とを主成分とする液相スラグを生成さ
せ、かつスラグ中MnO の還元反応を確実に進行させてス
ラグ中MnO を確実に低減させた上で、CaO 添加を継続し
てスラグ塩基度を上昇させることが必須の添加条件とな
る。
【0057】
【実施例】
(本発明例1)表1に示す組成を有する1350℃の溶銑18
0tonを取鍋に装入し、インペラーにより回転速度100rpm
で攪拌した。
【0058】この状態でインペラー回転開始後1分〜2
分にかけて、表1に示すマンガン鉱石全量を先行させて
ホッパーから連続添加した。次いで、インペラー回転開
始後3分〜4分にかけて、表1に示すCaO およびCaF2
全量を同時に連続添加した。
【0059】その後、インペラー回転による攪拌を続
け、回転開始後15分で処理を終了した。
【0060】表1に15分経過した時点での溶銑およびス
ラグの組成を示す。
【0061】
【表1】
【0062】(比較例1)表2に示す組成を有する1350
℃の溶銑180tonを取鍋に装入し、インペラーにより回転
速度100rpmで攪拌した。
【0063】この状態でインペラー回転開始後1〜2分
にかけて、表2に示すマンガン鉱石、CaO およびCaF2
全量を同時にホッパーから添加した。表2に15分経過し
た時点での溶銑およびスラグの組成を示す。
【0064】
【表2】
【0065】本発明例1と比較例1の対比から明らかな
ように、同じ添加量でマンガン鉱石および造滓剤を添加
しても、添加順序の相違により脱珪、脱硫および溶銑中
〔Mn〕の上昇の効果は異なり、マンガン鉱石を先行添加
することにより精錬効果が大きくなることがわかる。
【0066】(本発明例2)表3に示す組成を有する13
50℃の溶銑180tonを取鍋に装入し、インペラーにより回
転速度100rpmで攪拌した。
【0067】
【表3】
【0068】この状態でインペラ−回転開始後1分〜3
分にかけて、表3に示すマンガン鉱石全量を先行させて
ホッパーから連続添加した。次いで、インペラー回転開
始後3分〜6分にかけて、表3に示すCaO およびCaF2
全量を同時に連続添加した。
【0069】その後、インペラー回転による攪拌を続
け、回転開始後15分で処理を終了した。
【0070】表3に15分経過した時点での溶銑およびス
ラグの組成を示す。
【0071】スラグを良好な滓化状態に維持しながら処
理することができ、表3に示すように最終的にスラグ塩
基度を2.3 まで上昇させることができた。そのために十
分な精錬効果が得られ、特に脱硫については〔%S〕が
0.003 まで到達した。
【0072】(本発明例3)表4に示す組成を有する13
50℃の溶銑180tonを取鍋に装入し、インペラーにより回
転速度100rpmで攪拌した。
【0073】
【表4】
【0074】この状態でインペラー回転開始後1分〜3
分にかけて、表4に示すマンガン鉱石全量を先行させて
ホッパーから連続添加した。次いで、インペラー回転開
始後3分〜6分にかけて、表4に示すCaO およびCaF2
全量を同時に連続添加した。
【0075】その後、インペラー回転による攪拌を続
け、回転開始後15分で処理を終了した。
【0076】表4に15分経過した時点での溶銑およびス
ラグの組成を示す。
【0077】スラグを良好な滓化状態に維持しながら処
理することができ、表4に示すように最終的にスラグ塩
基度を4.0 まで上昇させることができた。そのために十
分な精錬効果が得られ、特に脱硫については〔%S〕が
0.002 まで到達した。
【0078】以上の本発明例の効果は、酸化マンガンを
先行して添加してSiO2とMnO とを主成分とするMnO-SiO2
系の液相スラグの生成を促進し、次いでCaO およびCaF2
を添加することによりスラグの溶融状態を維持しなが
ら、スラグを高塩基度化して精錬反応を進行させること
が可能となったために得られたものである。
【0079】
【発明の効果】本発明方法によれば、酸化マンガンの添
加後にCaO およびCaF2を添加することにより、常に液相
スラグおよび溶融状態のスラグを形成させることができ
る。これにより、短い処理時間で脱珪、脱硫および〔M
n〕の上昇を同時に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理中のスラグ組成の推移を説明するCaO-SiO2
-MnO三元系状態図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化マンガンを主要成分とする鉱物を溶銑
    に添加し、溶銑中珪素(〔Si〕)との酸化還元反応によ
    りSiO2を発生させ、このSiO2とMnO とを主成分とする液
    相スラグを形成させた後、造滓剤としてCaO およびCaF2
    を添加しスラグの塩基度(CaO/SiO2)および融点を調整す
    ることにより、脱硫と同時に脱珪および溶銑中マンガン
    (〔Mn〕)の上昇を実施することを特徴とする溶銑の予
    備処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101252644B1 (ko) * 2010-11-26 2013-04-09 주식회사 포스코 플럭스 및 이를 이용한 전로 정련 방법
KR101280945B1 (ko) * 2010-12-22 2013-07-02 주식회사 포스코 플럭스 및 이를 이용한 고산소용 용강의 정련 방법
KR101412548B1 (ko) * 2012-07-31 2014-06-26 현대제철 주식회사 용선예비처리방법

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