JPH0914302A

JPH0914302A - スプラグ型ワンウェイクラッチ

Info

Publication number: JPH0914302A
Application number: JP7165613A
Authority: JP
Inventors: Kozaburo Igari; 康三郎猪狩
Original assignee: NSK Warner KK
Current assignee: NSK Warner KK
Priority date: 1995-06-30
Filing date: 1995-06-30
Publication date: 1997-01-14
Also published as: US5758755A; DE19626027B4; TW344782B; DE19626027A1

Abstract

(57)【要約】【目的】部品点数を従来に比べて減少させることがで
きると共に、保持器との間でスプラグを挟持するスプリ
ングの案内性を向上させることができ、内輪の外周面お
よび外輪の内周面とスプラグとの間の噛み合いが確実と
なると共に、スプリングの耐久性が損なわれることのな
いスプラグ型ワンウェイクラッチを提供する。【構成】スプラグ型ワンウェイクラッチは、半径方向
に離間され、相対回転自在に同心状に配置されると共に
内周軌道面を有する外輪及び外輪内に配置され環状の外
周軌道面を有する内輪と、外輪及び内輪間に配置されて
外周軌道面と内周軌道面との間でトルクを伝達する複数
のスプラグと、スプラグを保持する環状の保持器と、保
持器と共に該スプラグを挟持し、かつ噛み合い方向に付
勢するスプリング部材とから成り、保持器は、半径方向
に貫通した窓部を有する円筒部を備え、窓部にスプラグ
が揺動自在に嵌合しており、円筒部の外周面でスプリン
グ部材をほぼ真円状に案内することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車、二輪車
や産業機械などの駆動装置内でトルク伝達、バックスト
ップ等の部品として使用されるワンウェイクラッチに関
するものであり、より詳細には部品点数を減少させたス
プラグ型ワンウェイクラッチに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、カムとして機能するスプラグを
備えたスプラグ型ワンウェイクラッチは図５及び６に示
すように、環状のワイヤケージ６０と、ワイヤケージに
保持された複数のスプラグ２０と、スプラグ２０に設け
た溝に係合し、ワイヤケージ６０との間でスプラグ２０
を挟持する環状のスプリング３０と、軸方向の両端でス
プラグ２０を挟持保持する２つの側板４０及び５０とか
ら成っている。

【０００３】尚、内輪はワイヤゲージ６０の内側に嵌合
し、内輪の外周面はスプラグ２０の内側面に接触してい
る。また外輪はスプラグ２０の外側面に接するように外
側に嵌合している。この結果、スプラグ２０を介して内
外輪間でトルクの伝達が行われる。尚、図５及び図６で
は内輪、外輪は省略してある。

【０００４】

【発明が解決すべき問題点】しかしながら、このような
従来のスプラグ型ワンウェイクラッチでは部品点数が多
くなり、製作面、コスト面での最近の厳しい要求に必ず
しも応えきれなかった。

【０００５】このような要求に応えるため、例えば、ス
プラグの数を減少させると、スプラグの溝がスプリング
のガイドとなっているため、スプリングの案内性が悪く
なり、スプリング全体を真円状態に保つことが困難とな
って、その結果スプラグに作用する噛み合い方向への充
分な付勢力が得られなくなる恐れがある。この場合、内
輪の外周面および外輪の内周面とスプラグとの間の噛み
合いが悪くなると共に、スプリングの耐久性が損なわれ
るという問題点が生じる。

【０００６】従って、本発明の目的は、部品点数を従来
に比べて減少させることができると共に、保持器との間
でスプラグを挟持するスプリングの案内性を向上させる
ことができ、内輪の外周面および外輪の内周面とスプラ
グとの間の噛み合いが確実となると共に、スプリングの
耐久性が損なわれることのないスプラグ型ワンウェイク
ラッチを提供することである。

【０００７】

【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明のスプラグ型ワンウェイクラッチは、

【０００８】半径方向に離間され、相対回転自在に同心
状に配置されると共に内周軌道面を有する外輪及び該外
輪内に配置され環状の外周軌道面を有する内輪と、該外
輪及び該内輪間に配置されて該外周軌道面と該内周軌道
面との間でトルクを伝達する複数のスプラグと、該スプ
ラグを保持する環状の保持器と、該保持器と共に該スプ
ラグを挟持し、かつ噛み合い方向に付勢するスプリング
部材とから成るスプラグ型ワンウェイクラッチにおい
て、

【０００９】前記保持器は、半径方向に貫通した窓部を
有する円筒部を備え、該窓部に前記スプラグが嵌合して
おり、該円筒部の外周面で該スプリング部材をほぼ真円
状に案内することを特徴としている。

【００１０】

【作用】本発明によると、保持器が側板やワイヤケージ
の機能を同時に果たすので、部品点数を減少させること
ができ、また、スプリングを保持器の円筒部で案内する
ことができるので、スプリングの真円度が向上し、付勢
力の低下を招かないのでスプラグの噛み合いも確実とな
り、またスプリングの耐久性も向上する。

【００１１】

【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。尚、以下説明する実施例は本発明を例示として説明
するものであって、本発明を限定するものではないこと
は言うまでもない。尚、各図面中同一部分は同一符号で
表わしてある。

【００１２】図１は、本発明の実施例のスプラグ型ワン
ウェイクラッチ１０を示す軸方向から見た正面図であ
る。

【００１３】スプラグ型ワンウェイクラッチ１０は、想
像線でその位置を示した外輪４と、外輪４と同心に配置
される内輪５とを備え、内輪５の外周軌道面と外輪４の
内周軌道面との間に配された複数のスプラグ２と、スプ
ラグ２を円周等分に保持する環状の保持器１と、保持器
１との間でスプラグ２を挟持するためのスプリング３と
から成っている。

【００１４】図２から明らかなように、保持器１は、円
筒部１ｃと、円筒部１ｃの軸方向一端から一体に半径方
向外方に延在する環状のフランジ部１ａとを備えてい
る。円筒部１ｃには円周方向等分の所定位置に半径方向
に貫通する窓部１ｄが設けられており、スプラグ２はこ
の窓部１ｄに嵌合している。

【００１５】保持器１のフランジ部１ａには、その半径
方向の縁部から円筒部１ｃまで一部切り込まれた２本の
切り欠き１ｂが設けられている。切り欠き１ｂはフラン
ジ部１ａの外周から外側にオフセットされているので、
フランジ部１ａの切り欠き１ｂに挟まれた部分１ｂ′が
外輪４に接して、外輪４に対する保持器１の連れ回りを
防止している。

【００１６】図２に示すように、スプラグ２にはカム面
２ｂ（図３及び図４参照）側に周方向に貫通刻設された
溝２ａが設けられており、この溝２ａにはスプリング３
が案内装着されている。スプリング３は、連続した環状
の密着コイル型であり、スプラグ２の溝２ａ以外の位置
では、保持器１の円筒部１ｃの外周面に案内保持されな
がら、スプラグ２を保持器１との間で挟持している。こ
のように、スプラグ２を保持するスプリング３が保持器
１の円筒部１ｃの外周面によっても案内されているの
で、スプリング３の真円度を向上させることができ、ス
プリング３の案内性が向上する。

【００１７】すなわち、保持器１の円筒部１ｃとスプラ
グ２の溝２ａとでスプリング３を案内しているので、必
要なトルク容量を任意に設定するためスプラグ２の数を
加減した場合でも、常にスプリング３は真円状態にあ
り、ワンウェイクラッチ１０は確実な噛み合い性能を確
保できる。尚、スプリング３にコイルスプリング以外の
スプリングを用いることも可能である。

【００１８】ここで、スプラグ型ワンウェイクラッチ１
０におけるトルク伝達部材であるスプラグ２について説
明する。スプラグ２は、図１ー４及び図７に示すよう
に、軸方向に一定の厚さを有する一部が切り取られた円
柱の形状をしている。図３及び図４に示すように、スプ
ラグ２は正面から見るとその円周の一部を破断した不規
則な曲線から構成されるカム部分２ｂを備えており、カ
ム部分２ｂは外輪４の内周面に対向接触する構成となっ
ている。スプラグ２のカム部分２ｂに対向する部分はほ
ぼ円形の円形部２ｃであり、内輪５の外周軌道面に対向
接触している構成となっている。

【００１９】スプラグ２の円形部２ｃは、図３及び図４
に示すように保持器１の窓部１ｄに周方向に揺動自在に
嵌合している。スプラグ２が保持器１の窓部１ｄ内で揺
動する時に、スプラグ２の円形部２ｃは窓部１ｄの対向
する両周方向縁部１ｅに摺擦する。図３に示す第１例か
ら分かるように、スプラグ２の円形部２ｃは窓部１ｄの
周方向縁部１ｅのほぼ肉厚に相当する長さで周方向縁部
１ｅと摺擦している。円形部２ｃの曲率と周方向縁部１
ｅの曲率とはほぼ同じとなるように構成されている。

【００２０】また、図４に示す第２例の保持器１の窓部
１ｄの対向する両周方向縁部１ｅの端部を半径方向内側
へ折り曲げ、折り曲げ部１ｆを形成することで、図３に
示す周方向縁部１ｅよりも長い周方向縁部１ｇが形成で
きる。円形部２ｃの曲率と周方向縁部１ｇの曲率とはほ
ぼ同じとなるように構成されている。

【００２１】以上の説明から明らかなように、スプラグ
２は、保持器１の窓部１ｄに収容されているが、周方向
では揺動できるが、軸方向ではほとんど揺動しない構成
となっている。

【００２２】以上説明した、周方向縁部１ｅ及び１ｇ
は、従来のワンウェイクラッチを示す図５におけるスプ
ラグ２０とワイヤケージ６０との関係と比べて次のよう
な効果がある。図５においては、スプラグ２０の円形部
はワイヤーケージ６０と一線にしか当接していない。こ
れに対して、本発明の実施例を示す図３及び図４では、
スプラグ２と保持器１の窓部１ｄの周方向縁部１ｅ及び
１ｇが一線ではなく面で接触するので、スプラグ２が保
持器１の窓部１ｄに対して滑らかにかつ確実に揺動でき
る。特に図４のように構成すると、スプラグ２の円形部
２ｃと保持器１の周方向縁部１ｅ及び１ｇとの摺擦面が
より長くとれるので、スプラグ１が保持器１の窓部１ｄ
に対してより滑らかにかつ確実に揺動できる。

【００２３】尚、図３及び図４に示す実施例では、スプ
ラグ２の円形部２ｃと保持器の窓部の周方向縁部１ｅ及
び１ｇは互いに相補的な形状となっている。もちろん、
スプラグ２の円形部２ｃは円形ではなく、滑らかな曲線
を持つものであれば、他の形状でも良い。

【００２４】又、本実施例においては図７に示す第３例
のように、保持器１の窓部１ｄを半径方向にプレスで打
ち抜いたままの形状でも本発明の目的が達成されること
は言うまでもない。

【００２５】

【発明の効果】以上説明した本発明のスプラグ型ワンウ
ェイクラッチによれば、次のような効果が得られる。

【００２６】保持器の窓部が、従来の側板とワイヤゲー
ジの機能を同時に果たすので、従来に比べて、部品点数
が減少する。

【００２７】保持器が、半径方向に貫通した窓部を有す
る円筒部を備え、窓部にスプラグが嵌合しており、円筒
部の外周面でスプリングを案内しているので、スプリン
グの真円度を向上させることができ、スプリングがスプ
ラグや保持器の円筒部に良好に案内されて付勢力の一定
化を計ることができる。また、スプリングが変形するこ
とがないので、スプリングの耐久性が向上すると共に、
ワンウェイクラッチの噛み合わせ動作を含めた作動も安
定する。

【００２８】また、実施例によれば、保持器の窓部の周
方向縁部を所定の構成としたので、スプラグの揺動が円
滑かつ正確に行われる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すスプラグ型ワンウェイク
ラッチの軸方向正面図である。

【図２】外輪、内輪を省略して示す図１の半径方向断面
図である。

【図３】図１の実施例に適用可能な、保持器の窓部の形
状の第１例を示す断面図である。

【図４】図１の実施例に適用可能な、保持器の窓部の形
状の第２例を示す断面図である。

【図５】従来のスプラグ型ワンウェイクラッチの一例を
示す軸方向正面図である。

【図６】図５の半径方向断面図である。

【図７】図１の実施例に適用可能な、保持器の窓部の形
状の第３例を示す断面図である。

【符号の説明】

１保持器２スプラグ３スプリング４外輪５内輪１０ワンウェイクラッチ１ａフランジ部１ｂ切り欠き１ｃ円筒部１ｄ窓部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】半径方向に離間され、相対回転自在に同
心状に配置されると共に内周軌道面を有する外輪及び該
外輪内に配置され環状の外周軌道面を有する内輪と、該
外輪及び該内輪間に配置されて該外周軌道面と該内周軌
道面との間でトルクを伝達する複数のスプラグと、該ス
プラグを保持する環状の保持器と、該保持器と共に該ス
プラグを挟持し、かつ噛み合い方向に付勢するスプリン
グ部材とから成るスプラグ型ワンウェイクラッチにおい
て、前記保持器は、半径方向に貫通した窓部を有する円筒部
を備え、該窓部に前記スプラグが揺動自在に嵌合してお
り、該円筒部の外周面で該スプリング部材をほぼ真円状
に案内することを特徴とするスプラグ型ワンウェイクラ
ッチ。
【請求項２】前記保持器は、円筒部の一端から半径方
向外方に延在する環状のフランジ部を備え、該フランジ
部には切り欠きが設けられていることを特徴とする請求
項１に記載のスプラグ型ワンウェイクラッチ。
【請求項３】前記保持器の前記窓部の周方向で対向す
る両縁部は前記スプラグの外形と相補的な形状を有する
ことを特徴とする請求項１に記載のスプラグ型ワンウェ
イクラッチ。