JP3569567B2 - ローラ型ワンウェイクラッチ - Google Patents

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利夫 淡路
博文 緒方
泰士 中尾
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Nskワーナー株式会社
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車や産業機械などの駆動装置内でトルク伝達、バックストップ等の部品として使用されるローラ型ワンウェイクラッチに関するものであり、より詳細には内輪の組付けを容易にしたローラ型ワンウェイクラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ローラ型ワンウェイクラッチは図6に示すように、外輪10と、外輪10と同心に配置される内輪20と、内輪20の外周面と外輪10の内周カム面90との間に配された複数のローラ50と、外輪10と内輪20の芯出しをすると共にローラ50を案内するU字型の断面を有するパッド軸受100と、ローラ50の空転側に接するスプリング70と、スプリング70の取付板80とから成っている。ローラ50は、側板60によって、軸方向に脱落することを防止されている。
【0003】
このような構成において、ワンウェイクラッチはローラ50とカム面90とで構成されるカム機構により、外輪10に対して内輪20を一方向のみに回転するようにしている。すなわち内輪20は外輪10に対して図6の矢印Z方向で空転し、その逆方向でのみカム機構を介して外輪10に回転トルクを与える。
【0004】
ここで、パッド軸受100はローラ50を案内すると共に外輪10に対して内輪20の芯出しをするものであり、パッド軸受100とローラ50それぞれの軸方向端面は面一、すなわち同一面上にある。
【0005】
ここで、パッド軸受100のワンウェイクラッチに対する、特に内輪20に対する組付けは次のように行われている。
【0006】
図7は内輪20の組付け前の状態を示しているが、ローラ50はスプリング70により、噛み合い側に押し付けられており、パッド軸受100の内輪20に対する内接円の径Aより、ローラ50の内輪20に対する内接円の径Bの方が小さい。
【0007】
この状態で内輪20を軸方向に挿入するとローラ50と接触し、更に奥に挿入するにはローラ50を押しのけて内輪20若しくは外輪10を空転側(図7で矢印X方向)に回転させながら押し込まなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内輪20はパッド軸受100でセンタリングされる前に1つまたは複数のローラ50と接触するため、内輪20とローラ50の内接円の芯がズレやすくなり、円周方向に多数介在したローラ50が均一に空転方向に移動しないことから組み付けにくくなり、特別な組付け治具を使う必要が生じる。このような場合、ワンウェイクラッチの組付け工数が増えると共に組付けの作業性も悪化するという問題点があった。
【0009】
本発明は、内輪がローラに接触する前にパッド軸受で内輪をセンタリングすることにより、特別な組付け治具を使う必要がなくなり、またワンウェイクラッチの組付け工数を増加させず組付けの作業性も改善できるローラ型ワンウェイクラッチを提供することを目的とする。
【0010】
【問題点を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明のローラ型ワンウェイクラッチは、
【0011】
半径方向に離間され、相対回転自在に同心状に配置されると共に軸方向に延在する環状の内周カム面を有する外輪及び該外輪内に配置され環状の外周軌道面を有する内輪と、該外輪及び該内輪間に配置されて該外周軌道面と該内周カム面との間でトルクを伝達する複数のローラ部材と、該内輪を該外輪に対してセンタリングするパッド軸受と、から成るローラ型ワンウェイクラッチにおいて、
【0012】
前記パッド軸受の軸方向の端部は前記複数のローラ部材の軸方向端面が形成する面より軸方向外方に突出する突出部を有することを特徴としている。
【0013】
【作用】
本発明によると、内輪はローラに接触した時点でパッド軸受の突出部により、あらかじめセンタリングされているため、ローラが均一に空転方向に移動して組み付けが容易となる。
【0014】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。尚、以下説明する実施例は本発明を例示として説明するものであって、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。また、各図面中同一部分は同一符号で表わしてある。
【0015】
図1は、本発明の実施例のローラ型ワンウェイクラッチ30を示す一部破断した半径方向断面図である。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために「ローラ型ワンウェイクラッチ」を単に「ワンウェイクラッチ」と表す。
【0016】
ワンウェイクラッチ30は、外輪1と、外輪1と同心に配置される内輪2と、内輪2の外周軌道面3と外輪1の内周カム面9との間に配された複数のローラ部材、すなわちローラ15と、外輪1と内輪2の芯出しをすると共にローラ15を案内するパッド軸受10と、ローラ15の空転側に接するスプリング7と、スプリング7の取付板8とから成っている。ローラ15は、側板6によって、軸方向に脱落することを防止されている。
【0017】
このような構成において、ワンウェイクラッチ30はローラ15と内周カム面9とで構成されるカム機構により、外輪1に対して内輪2を一方向のみに回転するようにしている。すなわち内輪2は外輪1に対して図1の矢印Z方向で空転し、その逆方向でのみカム機構を介して外輪1に回転トルクを与える。
【0018】
ここで、パッド軸受10はローラ15を案内すると共に外輪1に対して内輪2の芯出しをするものであるが、パッド軸受10のワンウェイクラッチ30に対する、特に内輪2に対する組付けは次のように行われる。
【0019】
図2は内輪2の組付け前の状態を示しているが、ローラ15はスプリング70により、噛み合い側に押し付けられており、パッド軸受10の内輪2に対する内接円の径Aより、ローラ15の内輪2に対する内接円の径Bの方が小さい。
【0020】
この状態で内輪2を軸方向に挿入するとローラ15と接触し、更に奥に挿入するにはローラ15を押しのけて内輪2若しくは外輪1を空転側(図1で矢印Z方向)に回転させながら押し込まなければならない。
【0021】
ところが、本実施例では図3に示すように、パッド軸受10の軸方向の一端部は複数のローラ部材15の軸方向端面が形成する面Cより軸方向外方に突出する突出部10aを備えている。この突出部10aは、内輪2の挿入方向に長さDだけ軸方向外方に延在している。このため、この長さDが内輪2がワンウェイクラッチ30に組み付けられるときの挿入しろとなり、内輪2が複数のローラ15に接触する前にパッド軸受10の突出部10aに接触する。従って、円周方向に多数介在したローラ15が均一に空転方向に移動しないことから生じる組み付け難さに煩わされることなく、またそのために、特別な組付け治具を使う必要も生じない。
【0022】
ここで、パッド軸受10の詳細を説明する。図4においてパッド軸受10は、ブロック状の中実な本体部10cと、本体部10cの半径方向外側の縁部に一体に形成され、円周方向の両側に延在する鍔部10bと、本体部10cと一体に形成され、軸方向に長さDだけ本体部10cから突出する突出部10aとからなる。突出部10aは、本体部10cの半径方向で内側の縁部に設けられている。
【0023】
図3では、突出部10aの軸方向外方かつ半径方向内方の縁部10dは、挿入されてくる内輪2に最初に接触する部分であるが、その形状はほぼ直角である。しかしながら、内輪2の挿入をより円滑にするため、図5Aおよび図5Bに示すような形状とすることもできる。
【0024】
図5Aに示す例では、パッド軸受10の突出部10aの軸方向外方かつ半径方向内方の縁部10dは、直線で面取りされている。従って、内輪2を組み付ける際に内輪2の軸方向縁部が面取りされた突出部10aの縁部10dの斜面に沿って滑るので、内輪2をより滑らかに案内挿入できる。面取り部の角度や大きさなどは必要に応じて任意に設定できる。
【0025】
図5Bに示す例では、パッド軸受10の突出部10aの軸方向外方かつ半径方向内方の縁部10dは、曲線で面取りされている、すなわち丸くなっている。従って、内輪2を組み付ける際に内輪2の軸方向縁部が面取りされた突出部10dの曲面に沿って滑るので、内輪2をより滑らかに案内挿入できる。面取り部の曲率半径などは必要に応じて任意に設定できる。このように、突出部10aの縁部10dを丸く加工することで、図5Aの例よりも内輪2がより挿入しやすくなる。
【0026】
尚、上述の実施例では、パッド軸受を忠実な部材としたが、従来のようにU字型の断面形状を有するパッド軸受でもよい。この場合でも、前記実施例と同じ位置に突出部を設ければ、以下に述べる効果と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明した本発明のローラ型ワンウェイクラッチによれば、次のような効果が得られる。
【0028】
内輪がローラに接触する前にパッド軸受で内輪をセンタリングすることにより、ローラを均一に空転方向に移動させることができ、特別な組付け治具を使う必要がなくなり、またローラ型ワンウェイクラッチの組付け工数を増加させず組付けの作業性も改善できる。
【0029】
尚、実施例のように、内輪と最初に接触するパッド軸受の突出部の縁部を面取りしておけば、内輪の挿入がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すローラ型ワンウェイクラッチの一部破断した半径方向断面図である。
【図2】内輪の組み付け前の状態を示す図1のローラ型ワンウェイクラッチの半径方向断面図である。
【図3】図1及び図2の実施例における内輪の組み付け時の、ローラとパッド軸受との間の寸法関係を示す図である。
【図4】パッド軸受の斜視図である。
【図5A】突出部の面取りの一例を示すパッド軸受の側面図である。
【図5B】突出部の面取りの他の例を示すパッド軸受の側面図である。
【図6】従来のローラ型ワンウェイクラッチの一部破断した半径方向断面図である。
【図7】内輪の組み付け前の状態を示す図6のローラ型ワンウェイクラッチの半径方向断面図である。
【符号の説明】
1 外輪
2 内輪
7 スプリング
8 取り付け板
9 内周カム面
10 パッド軸受
10a 突出部
15 ローラ
30 ローラ型ワンウェイクラッチ

Claims (2)

  1. 半径方向に離間され、相対回転自在に同心状に配置されると共に軸方向に延在する環状の内周カム面を有する外輪及び該外輪内に配置され環状の外周軌道面を有する内輪と、該外輪及び該内輪間に配置されて該外周軌道面と該内周カム面との間でトルクを伝達する複数のローラ部材と、該内輪を該外輪に対してセンタリングするパッド軸受と、から成るローラ型ワンウェイクラッチにおいて、
    前記パッド軸受の軸方向の端部は前記複数のローラ部材の軸方向端面が形成する面より軸方向外方に突出する突出部を有することを特徴とするローラ型ワンウェイクラッチ。
  2. 前記パッド軸受の突出部は、前記内輪側の縁部が面取りされていることを特徴とする請求項1に記載のローラ型ワンウェイクラッチ。
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