JPH09142820A - 異方性黒鉛薄膜基板、並びにそれを用いた応用装置及び応用素子 - Google Patents

異方性黒鉛薄膜基板、並びにそれを用いた応用装置及び応用素子

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JPH09142820A
JPH09142820A JP7302574A JP30257495A JPH09142820A JP H09142820 A JPH09142820 A JP H09142820A JP 7302574 A JP7302574 A JP 7302574A JP 30257495 A JP30257495 A JP 30257495A JP H09142820 A JPH09142820 A JP H09142820A
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JP
Japan
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thin film
film substrate
anisotropic graphite
graphite thin
anisotropic
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JP7302574A
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English (en)
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Jun Kuwata
純 桑田
Toshiharu Hoshi
敏春 星
Soji Tsuchiya
宗次 土屋
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝導性に優れたカーボンフィルムを提供
し、これを用いた真空装置、成膜装置、光学装置、均熱
容器等を提供する事を目的とする。 【解決手段】 高分子フィルムを出発原料として不活性
ガス雰囲気中で焼成し、C面が屈曲3することによりC
面間に形成される空孔部4により柔軟性を有する異方性
黒鉛薄膜基板と、それを用いた応用装置と応用素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱伝導性に優れた
カーボンフィルムと、それを用いた応用装置や素子に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高真空装置の真空度を10-11
orr以下にする場合は、真空室内壁に吸着した水分や
有機物や気体を脱離するために外側から加熱して脱離す
る方法を用いていた。
【0003】この場合、真空室の内壁全体を加熱するこ
とができないために、加熱を通常1日から1週間かけて
行い、目的の真空度に到達するのを待つ必要がある。
【0004】また、液晶表示装置用の薄膜トランジスタ
を製造する際に用いるような大型成膜装置の場合には、
被付着体の温度を均一化と成膜材料発生源の温度が均一
である必要がある。
【0005】特に、磁場を用いたプラズマ発生を伴う場
合には、温度の均一性が重要でスパッタリング法ではタ
ーゲットの裏面の均熱化が重要である。
【0006】例えば、近年使用されるようになった大き
さが幅数十センチメートルで長さが1メートル以上のタ
ーゲットの場合、ターゲット材料をバッキングプレート
に接着するときに、融点の低い金属接着剤を用いるとス
パッタリング中に剥がれてくるトラブルが生じる。
【0007】また、化学気相成長を行う際、基板の温度
分布が不均一だと成膜した膜の性質が不均一になる。
【0008】このような不具合を取り除くためにスパッ
タリング用のバッキングプレートは冷却水を流す配管が
一体となる必要があり、大型化するとともに重量も20
0キログラム以上にもなることがある。そして、化学気
相成長法の成膜装置も膜質を均一にするために大規模に
なっている。
【0009】また、超電導体や半導体や高誘電体薄膜を
形成する際には、基板温度を摂氏数百度以上にする必要
があるために被付着基板を加熱して成膜することが多い
が、この場合、温度分布が膜質の不均一性の一因となっ
ている。
【0010】また、近年、レーザー光源を用いた光情報
通信は、光ファイバーの高性能化により急速に発展して
きているが、送られてきたレーザー光をさらに変化させ
て情報量を多くする試みが盛んに行われてくるようにな
った。使用される光学素子としては、高分子を用いた光
学素子が開発されているが、レーザー光の集光状態が良
化し、短いパルス波で送られてくるために、エネルギー
密度が非常に高くなり、高分子の経時変化が深刻な課題
となる。
【0011】一方、黒鉛材料は、特願平2−12728
9号、特願昭61−148265号、特願昭60−11
5418号等に開示されているように、高分子材料を高
温焼成することにより得られるが、その材料の特徴であ
る熱伝導率の異方性に着目した応用例は少なく、また応
用する場合の加工性の最適化する方法と金属材料との組
み合わせに関する検討は、未だなされてはいない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の高真空装置につ
いて課題整理をすると、次の2点があげられる。
【0013】まず、高真空にするための諸条件を揃える
ための排気系・加熱系・冷却系の制御が複雑になること
である。
【0014】次に、装置の内壁の温度分布の制御の困難
さである。特に、真空度を向上するためには、装置内壁
全体を充分加熱する必要が発生するために、加熱処理時
間をできる限り長くしなければならない。通常、真空室
は、大気中に含まれる水分や酸素や窒素に対して化学的
に変化しにくいステンレスでできているから、熱伝導度
が15〜50W/(K・m)程度で比較的低く、長時間
を要する原因となっていた。
【0015】一方、成膜装置の場合では、例えば、スパ
ッタ装置では、ターゲットのバッキングプレートは、金
属の中では400W/(K・m)という熱伝導度のよい
銅でできている。しかし、被付着体が50cm×50c
m以上もある場合は、ターゲットはさらに大きくなるた
めにスパッタ中にプラズマで加熱され、接合部が外れな
いようにするために冷却系を大がかりになり冷却水の流
量も増加する。よって、ターゲットの重量は、数百キロ
グラムにも達し、交換作業は大変困難となり、原動費用
も高くなる。また、プラズマを用いた化学気相成長によ
る成膜装置では、膜質の均一性が被付着体が大きくなる
と大きな課題となっている。
【0016】さらに、レーザー光を利用した光学装置の
場合は、レーザー光が照射された部分の異常加熱による
光学素子の劣化が大きな課題となっている。
【0017】つまり、以上のいずれの場合でも、加熱源
がプラズマであれ、レーザーであれ、電気ヒーターであ
れ、局所的に加熱された部分が短時間に均一に熱拡散さ
れ一定の温度にならないことが課題となっている。
【0018】また、均一な温度にしたい物体と熱的に充
分接触していることも重要であるが、従来の炭素材料で
は、熱伝導度の異方性が不十分なために面内の熱均一性
能が不十分であった。例えば、従来の面内の熱伝導率が
100W/(K・m)で厚み方向が4W/(K・m)で
あるのに対して、一方、高分子をグラファイト化したシ
ート(薄膜基板)は、面内の熱伝導率が600〜 10
00W/(K・m)で厚み方向が5W/(K・m)であ
る。ところが異方性が非常に大きいため、現状では応用
展開に関する充分な検討はなされていない。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子フィル
ムを出発原料として不活性ガス雰囲気中で焼成し、C面
が屈曲することによりC面間に形成される空孔部により
柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板であり、電気的、熱
的異方性が強く、機械的に良好な柔軟性を呈する。
【0020】そして、この異方性黒鉛薄膜基板は、真空
装置、成膜膜装置、成膜源、光学装置や均熱容器に好適
に適用される。
【0021】
【発明の実施の形態】請求項1記載の本発明は、高分子
フィルムを出発原料として不活性ガス雰囲気中で焼成
し、C面が屈曲することによりC面間に形成される空孔
部により柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板である。
【0022】更に、請求項2記載の温度範囲摂氏400
度以上1200度以下において出発原料が熱分解すると
きに放出される炭素以外の気体を、強制的に脱離された
請求項1記載の異方性黒鉛薄膜基板である。
【0023】そして、請求項3記載のように、高分子フ
ィルムとして、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチア
ゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサ
ゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリイミド、ポ
リアミド、ポリフェニレンベンゾイミダゾール、ポリフ
ェニレンベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾール及び
ポリパラフェニレンビニレンの内の少なくとも一つの高
分子フィルムを原料として用い得る。
【0024】ここで、請求項4記載のように、膜厚が
0.1mm以上1mm以下の範囲内にあることが好適であ
る。
【0025】また、請求項5記載のように、密度が0.
8g/ccから1.5g/ccの範囲内にあることが好
適である。
【0026】以上の構成の黒鉛薄膜基板は、電気的、熱
的異方性が強く、機械的に良好な柔軟性を呈し、種々の
装置等に応用し得る。
【0027】具体的には、請求項6記載のように、異方
性黒鉛薄膜基板を真空室の内壁の少なくとも一部に用い
た真空装置である。
【0028】この構成により、真空室の内壁に吸着した
水分や周囲環境に存在する不純物等を外壁から加熱した
ときの熱エネルギを効率良く内壁に伝達し、真空室の真
空度を短時間で向上する。
【0029】ついで、請求項7記載のように、異方性黒
鉛薄膜基板を被付着体の裏面に設けた成膜装置である。
【0030】この構成により、被付着体の表面の温度均
一性を向上し、成膜された膜の面内の性質を均一にす
る。
【0031】ついで、請求項8記載のように、異方性黒
鉛薄膜基板を成膜源の周囲や裏面に設けた成膜源であ
る。
【0032】このような構成により、成膜源の一部がプ
ラズマ加熱された際の、ターゲット材料とそれを接着し
ている裏板との剥離や、電子ビームの局所加熱により原
料の突噴といった不具合がない。
【0033】ついで、請求項9記載のように、異方性黒
鉛薄膜基板上に光学装置を設けた光学素子である。
【0034】この構成により、光源がピコ秒以下の短時
間パルスのスポット径の小さいレーザー光を用いた場合
に発生する光学装置の熱劣化現象を防ぐ。
【0035】ついで、請求項10に記載のように、異方
性黒鉛薄膜基板を容器の内部の少なくとも一部に用いた
均熱容器である。
【0036】この構成により、少ない熱エネルギーで均
一に効率良く加熱できる。以下、本発明の各実施の形態
について、図面を参照しながら説明をする。
【0037】(実施の形態1)図1は、に本発明の柔軟
性を有する異方性黒鉛薄膜基板を示す構造の概念図を示
す。
【0038】図1(a)において、通常の黒鉛構造にお
けるsp2混成軌道によって組まれた六方原子環1の連
続結合により(0001)面(C面)を形成している。
なお、C面のことを炭素六方網平面と呼ぶこともある。
【0039】通常、図1(a)に示したようなこのC面
の垂線方向であるc軸方向の結合が非常に弱いためにC
面は容易に劈開するために取り扱いが困難である。
【0040】一方、本実施形態の異方性黒鉛薄膜基板で
は、図1(b)に示すように、C面においては、所々
に、結晶子−結晶子の間で、屈曲部3がサブμmから数
十μm単位で存在しており、さらに、C面はつながって
いるが適度な欠陥穴(空孔部分4)が存在し、それが柔
軟性を生んでいる。
【0041】この状態でも、熱伝導度には、強い異方性
により銅の値に対してC面内で約2倍であり、c軸方向
では、逆に約1/80の低い値を示す。
【0042】一方で、従来の黒鉛材料は、図2に示した
ようにC面に屈曲部がなく柔軟性がないか、また、内部
が非晶質(アモルファス)状態になってしまい柔軟性が
ないものであった。
【0043】更に、柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板
の柔軟性を向上するために、高分子材料が熱分解してガ
スを放出する摂氏400度〜 1200度において強制
的に排気系を用いて炭素以外のガスを脱離し、その後摂
氏2000度以上で焼成するすると顕著な効果が得られ
た。
【0044】また、黒鉛薄膜基板は、層間化合物のため
に薄く剥がれ易く、柔軟性に欠けるために曲面に密着さ
せることができなかったが、本実施形態の異方性黒鉛薄
膜基板では、そのような欠点もない。
【0045】(実施の形態2)図3は、実施形態1で得
られた柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板5を真空室に
装着する時の概念断面図を示しており、真空室の内壁を
短時間で加熱、冷却できるもので、冷却系8、加熱系
9、排気口10、ガス導入口12等から構成されてい
る。
【0046】この構成の特徴は、内壁側が、柔軟性を有
する異方性黒鉛薄膜基板5のC面に薄い銅やステンレス
等の金属薄板6が設置されている点である。
【0047】これは、黒鉛薄膜基板5の表面が、活性な
ために余計にガスを吸着するのを防ぐためである。
【0048】一般に金属材料の熱伝導度は、柔軟性を有
する異方性黒鉛薄膜基板より低いので、所定の時間内に
均熱効果を十分発揮させるためには、厚みの設定が重要
になる。
【0049】即ち、金属材料の厚み、熱伝導度、密度、
比熱と、異方性黒鉛薄膜基板の厚み、熱伝導度、密度、
比熱とを比較すると、単位時間当たりの温度上昇率は、
熱伝導度に比例して密度と比熱に反比例するので、いく
つかの材料で概算する。
【0050】例えば、銅の温度上昇率を120とすると
アルミニウムは100程度、ステンレスは4程度となる
が、本発明にかかる柔軟性を有する異方性炭素薄膜基板
はC面内で1300程度で厚み方向が6程度である。
【0051】つまり、単位時間当たりの熱伝達能力、い
わゆる温度伝導度は銅やアルミニウムの約10倍である
のに対して、厚み方向は1/20ないし1/15になっ
ている。
【0052】従って、外部と内部の温度を同じにする場
合には、柔軟性を有する異方性炭素薄膜基板5の厚みを
0.5mm以下にすれば、銅やアルミニウムの10mm
以下と同等になり実用範囲となる。
【0053】一方、銅やアルミニウムを1平方メートル
均一な温度にするのに要する時間で、この柔軟性を有す
る異方性炭素薄膜基板のC面では、10平方メートルの
面積が均一化できることになる。
【0054】このことからこの柔軟性を有する異方性炭
素薄膜基板を金属材料に密着させれば、大面積の温度を
短時間で均一化できることになる。
【0055】ここで重要なことは、熱の均一化を行ない
たい面をC面とすることである。従来のカーボン材料で
は、c軸方向とC面での熱伝導度の比が、4対100程
度なので、均熱効果は不十分であり、このような顕著な
効果は現われない。
【0056】またさらに、発熱源(加熱系9)あるい
は、冷熱源(冷却系8)も均一に配置することなく、所
望の温度均一性能を得ることができる。
【0057】また、金属薄板がステンレスであれば、C
面内では熱伝導度は約40倍となり、厚み方向は約1/
3となる。
【0058】よって、ステンレスのように熱伝達性能が
悪い金属材料と組み合わせる場合は、さらに、大きな効
果を発揮する。
【0059】ここで留意すべき点は、ステンレスの厚み
である。先に述べたように、ステンレスの温度伝達率
は、柔軟性を有する異方性炭素薄膜基板の厚み方向の値
と同程度であるので、異方性炭素薄膜基板の厚みと同程
度の厚み以下にしたときが最適であるが、熱伝達速度の
向上は、ステンレスの厚みが柔軟性を有する異方性黒鉛
薄膜基板の厚みの10倍程度でもあっても確認された。
これは、異方性炭素薄膜基板のC面方向の熱伝達能力が
優秀であることによる。
【0060】以上述べたように、金属材料の特性、熱源
の単位時間当たりの発熱量や均一化したい物体の特性を
考慮して、異方性黒鉛薄膜基板の温度伝達特性を活用
し、均熱性、断熱性に優れた真空室を実現できた。
【0061】なお、従来は、図4に示したように、均熱
板24を真空室22の内部にわざわざ設けていたが、本
実施形態では不要となった。
【0062】また、従来は、真空室の外側に、更に、不
図示のヒーターを取付けて、周囲からも加熱して、吸着
物の脱離を行なっていたが、真空室の内壁にこの柔軟性
を有する異方性黒鉛薄膜基板を装着することにより、外
側のヒーターは不要となった。
【0063】(実施の形態3)図5は、実施形態1の異
方性黒鉛薄膜基板を適用した成膜装置の概略構成図を示
している。
【0064】図5において、13は柔軟性を有する異方
性黒鉛薄膜基板、14は基板加熱系、15は防着板、1
6は被付着体、17は反応室加熱系、18は成膜源(化
学気相成長法の場合は反応性ガスを導入するシャワープ
レート、スパッタ法ではターゲット、加熱蒸着法では、
加熱系と成膜材料の挿入されたるつぼとなる。)19は
冷却系、20は排気口、21は排気系、22と23は、
化学気相成長法の場合のシャワープレートと反応性ガス
導入口(スパッタ法でも使用する。)である。
【0065】ここで、防着板15は、成膜粒子53(原
子、分子レベルの蒸発粒子あるいはスパッタ粒子あるい
はイオン化した反応性粒子)がヒータの表面に付着しな
いように設けられている。
【0066】なお、電極を内部に設けてプラズマ状態に
して用いてもよい。また、スパッタターゲットの代わり
に電子ビーム蒸発源を用いた場合は、成膜源18が後述
するような蒸発源に代わり、加熱電源が必要となる。
【0067】また、実施形態1の異方性黒鉛薄膜基板3
3は、一番発熱するスパッタターゲットの裏板32の一
部に装着している。なお、るつぼを用いる場合には、る
つぼの裏板に一部にも装着するとよい。ここで、異方性
黒鉛基板33は、c軸方向が図示矢印の方向になるよう
に設置した。
【0068】スパッタターゲットを用いた場合には、図
6に示すように、通常、ターゲット材料30を摂氏15
0度ないし250度程度の低融点合金により、銅系統の
比較的熱伝導の良い金属材料を用いた裏板29と接着し
て用いるために、プラズマ状態になったスパッタ粒子に
よりターゲット材料30の表面が加熱され、この接続部
の温度が上昇して接合部が剥がれて成膜できなくなる
が、図7のように異方性黒鉛薄膜基板33を用いること
により、このような不都合は発生しなくなった。
【0069】また、従来、図6に示したように裏板に複
雑な冷却機構28を設けていたが、図6のように裏板2
9と冷却機構34、35とを分離することにより、ター
ゲット部29、30が簡素化され、真空領域、大気領域
及び水冷領域を完全に分離できた。
【0070】また、この異方性黒鉛薄膜基板33は、電
気伝導性もあるために、この用途には最適であった。
【0071】さらに、ターゲット交換時に黒鉛薄膜基板
を装着、脱着する場合を想定すると、破損を防ぐ必要が
あるが、本実施形態においては、柔軟性の高い基板を使
用しているため、寿命は10倍以上に延びた。特に、高
分子フィルム、例えばポリイミドを出発原料とし、摂氏
400度〜 1200度の範囲で発生する熱分解ガスを
強制的に排気した後に、摂氏2000度以上で焼成する
と得られた。
【0072】なお、電子ビーム蒸着源を用いた場合に
は、図8に示したるつぼ42の裏面周囲に、実施形態1
で得られる異方性黒鉛薄膜基板37を、るつぼ形状に合
わせて図示矢印方向をc軸方向として、曲げて装着した
ところ、成膜速度を変えることなく電子ビーム39の投
入電力を少なくすることができた。
【0073】これは、異方性炭素薄膜基板37の厚み方
向と面方向の温度伝達率の違いを効果的に応用できたた
めによる。
【0074】本実施形態では、蒸発原料の局部加熱を防
ぎ成膜源全体の温度を均一化して異常蒸発、異常放電が
なく安定に効率よく蒸着できた。
【0075】(実施の形態4)図9は、有機物光学素子
の基板に、実施の形態1の異方性炭素薄膜基板を応用し
た光学素子の概略構成を示している。
【0076】このような光学素子を、一般的にガラス基
板上に設置し、レーザー光源で動作した場合、レーザー
によりこの有機物光学素子が加熱され、有機物が熱分解
してしまうため、光学素子として機能が全く損なわれる
か、又は著しく低下してしまった。
【0077】一方、この有機物光学素子を、実施の形態
1の異方性黒鉛薄膜基板47上に設置すると、レーザー
光49、51による発熱は、柔軟性を有する異方性黒鉛
薄膜基板の表面上で、短時間に熱拡散し、有機物光学素
子の性能は変化せず安定性を増した。
【0078】更に、異方性黒鉛薄膜基板47が柔軟性に
富んでいるため、光学装置48、52の装着が良好に行
なえ、光学装置全体の安定性を向上できた。
【0079】(実施の形態5)図10は、実施の形態1
の異方性黒鉛薄膜基板を用いた均熱容器の概略構成図で
ある。
【0080】本実施形態においては、異方性黒鉛薄膜基
板43と金属材料44との積層構造を均熱容器に用いる
ことで、短時間で容器の内部の温度を均一化でき、この
均熱容器は加熱装置や調理装置用の容器として用いるこ
とができた。
【0081】図10は、調理装置に用いた例であり、被
加工物(魚、肉、野菜等)の加熱調理、冷却調理の両方
に適している。
【0082】本実施形態の異方性黒鉛薄膜基板43と金
属材料44との組み合わせについて説明をすると、均熱
化したい部分の材料が、熱伝導度の比較的高い銅、銀、
金である場合には、これらの材料の厚みに対して、十分
の一程度の厚みの異方性黒鉛薄膜基板でも十分効果があ
る。
【0083】一方、熱伝導度の低いステンレス、ニクロ
ム、モネルメタルの場合は、これらの材料の厚みを数ミ
リメートル以下にし、異方性黒鉛薄膜基板の厚みも1ミ
リメートル以下にした場合に、効果が顕著であった。
【0084】なお、以上の実施形態において、異方性黒
鉛薄膜基板は柔軟性に富んでいるため、曲面部の加工性
に優れており、より性能が安定し、量産性適応性も高い
といえる。
【0085】本実施形態においては、容器内の温度を一
定に保ち、しかも加熱速度が高いので加熱加工時間が短
縮化できた。
【0086】また、以上の実施形態における異方性黒鉛
薄膜基板を作成するときの出発原料としては、ポリオキ
サジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビス
チアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビス
オキサゾール、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレ
ンベンゾイミダゾール、ポリフェニレンベンゾビスイミ
ダゾール、ポリチアゾール、及びポリパラフェニレンビ
ニレンのうちの少なくともひとつからなる高分子フィル
ムを用いることが好適であり、いずれも所望の熱伝導特
性を持った柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板を得るこ
とができた。
【0087】また、以上の実施形態における異方性黒鉛
薄膜基板の膜厚は、0.1mmから1mmの範囲が柔軟
性に優れ、熱伝導特性も良好となり、この異方性黒鉛薄
膜基板の密度は0.8から1.5g/ccの範囲であっ
た。
【0088】
【発明の効果】以上の構成により、本発明は、電気的、
熱的異方性が強く、機械的に良好な柔軟性を呈し、種々
の装置等に応用し得る異方性黒鉛薄膜基板を確実に実現
することができた。
【0089】そして、真空装置に応用した場合には、真
空度を良くするために短時間でできる。
【0090】また、成膜装置の場合では、大きな基板上
に均一な性質の膜が形成できるようになり、プラズマ放
電による劣化も少なくなり、レーザー光によるダメージ
も少なくすることができる。特に、異方性黒鉛薄膜基板
を用いることにより熱伝導度が面方向と厚み方向で10
0倍以上違うために面内の熱の均一化は非常に良くな
る。
【0091】また、成膜源に応用した場合には、成膜源
の一部がプラズマ加熱された際の、ターゲット材料とそ
れを接着している裏板との剥離や、電子ビームの局所加
熱により原料の突噴といった不具合がない。
【0092】また、光学素子に応用した場合には、光源
からのレーザー光の照射による光学装置の熱劣化現象を
防ぐことができる。
【0093】また、均熱容器に応用した場合には、少な
い熱エネルギーで均一に効率良く加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の異方性黒鉛薄膜材料の構
造図
【図2】本発明の実施形態1で比較した柔軟性を有さな
い異方性黒鉛薄膜材料の構造図
【図3】本発明の実施形態2の真空装置の構造図
【図4】本発明の実施形態2で比較した真空装置の構造
【図5】本発明の実施形態3の成膜装置の構造図
【図6】本発明の実施形態3で比較した成膜源の構造図
【図7】本発明の実施形態3の成膜源の構造図
【図8】同るつぼの構造図
【図9】本発明の実施形態4の光学素子の構造図
【図10】本発明の実施形態5の均熱容器の構造図
【符号の説明】
1 六方原子環の集合体 2 層状構造 3 結晶子ー結晶子屈曲部 4 空孔部分 5 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 6 金属薄板 7 c軸方向 8 冷却系 9 真空室加熱系 10 排気口 11 排気系へ 12 ガス導入口 13 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 14 基板加熱系 15 防着板 16 被付着体 17 反応室加熱系 18 成膜源 19 冷却系 20 排気口 21 排気系へ 22 シャワープレート 23 反応性ガス導入口 24 均熱板 25 加熱系 26 排気系へ 27 冷却系 28 冷却水導入路 29 裏板(冷却機構付き) 30 ターゲット材料 31 ターゲット材料 32 裏板 33 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 34 冷却板 35 冷却水導入路 36 るとぼ取付け電極台(電子ビーム誘導用下部電
極) 37 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 38 マグネット 39 電子ビーム 40 蒸着粒子 41 蒸着原料 42 るつぼ 43 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 44 金属材料 45 被加工物 46 加熱あるいは冷却 47 柔軟性を有する異方性黒鉛薄膜基板 48 光演算装置(光導波路を含む非線形光学素子、発
光素子、光変調素子等) 49 入射光 51 入射光 50 出力光 52 出力光
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 3/00 B01J 3/00 K F28F 21/02 F28F 21/02 H01L 21/205 H01L 21/205 21/285 21/285 S 21/31 21/31 B

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムを出発原料として不活性
    ガス雰囲気中で焼成し、C面が屈曲することによりC面
    間に形成される空孔部により柔軟性を有する異方性黒鉛
    薄膜基板。
  2. 【請求項2】 更に、温度範囲摂氏400度以上120
    0度以下において出発原料が熱分解するときに放出され
    る炭素以外の気体を、強制的に脱離された請求項1記載
    の異方性黒鉛薄膜基板。
  3. 【請求項3】 高分子フィルムとして、ポリオキサジア
    ゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾ
    ール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサ
    ゾール、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンベン
    ゾイミダゾール、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾー
    ル、ポリチアゾール及びポリパラフェニレンビニレンの
    内の少なくとも一つの高分子フィルムを原料として用い
    た請求項1又は2記載の異方性黒鉛薄膜基板。
  4. 【請求項4】 膜厚が0.1mm以上1mm以下の範囲内
    にある請求項1から3のいずれか記載の異方性黒鉛薄膜
    基板。
  5. 【請求項5】 密度が0.8g/ccから1.5g/cc
    の範囲内にある請求項1から4のいずれか記載の異方性
    黒鉛基板。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか記載の異方性
    黒鉛薄膜基板を真空室の内壁の少なくとも一部に用いた
    真空装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から5のいずれか記載の異方性
    黒鉛薄膜基板を被付着体の裏面に設けた成膜装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から5のいずれか記載の異方性
    黒鉛薄膜基板を成膜源の周囲又は裏面に設けた成膜源。
  9. 【請求項9】 請求項1から5のいずれか記載の異方性
    黒鉛薄膜基板上に光学装置を設けた光学素子。
  10. 【請求項10】 請求項1から5のいずれか記載の異方
    性黒鉛薄膜基板を容器の内部の少なくとも一部に用いた
    均熱容器。
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