JPH09132571A - メタクリル酸グリシジルの製造方法 - Google Patents

メタクリル酸グリシジルの製造方法

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JPH09132571A
JPH09132571A JP7291178A JP29117895A JPH09132571A JP H09132571 A JPH09132571 A JP H09132571A JP 7291178 A JP7291178 A JP 7291178A JP 29117895 A JP29117895 A JP 29117895A JP H09132571 A JPH09132571 A JP H09132571A
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JP
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peroxide
reaction
catalyst
glycidyl methacrylate
solution
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JP7291178A
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Osamu Kondo
近藤  治
Takashi Konishi
隆 小西
Yukari Shimizu
ゆかり 清水
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体触媒を用いてメタクリル酸アリルを過酸
化水素によりエポキシ化しメタクリル酸グリシジルを製
造する方法において、反応溶液中に残存する過酸化物を
効率よく分解し、且つ生成したメタクリル酸グリシジル
を高い収率で反応溶液から得ることにより、安全性と経
済性に優れるメタクリル酸グリシジルの製造方法を提供
する。 【構成】 メタクリル酸アリルを1種類以上の溶媒及び
固体触媒存在下、過酸化水素と反応させてメタクリル酸
グリシジルを製造する方法に於て、反応液から触媒を分
離し、該溶液をアルカリ水溶液で洗浄した後、残存する
過酸化物を接触的に分解させる工程を含むことを特徴と
するメタクリル酸グリシジルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉体塗料原料、接着
剤、硬化剤、改質剤等の幅広い用途を持つ重要な工業薬
品であるメタクリル酸グリシジルを塩素化合物を全く含
まずに製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子内にメタクロイル基とエポキシ基を
有するメタクリル酸グリシジルは極めて反応性に富む化
合物であり、反応性モノマーとして各種用途に用いられ
ている。メタクリル酸グリシジルは、メタクリル酸或い
はそのアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンとの反応に
よって製造する方法が公知であるが、原料として用いる
エピクロルヒドリン或いは副生する塩素化合物が製品中
に残留するという問題がある。この問題を回避するため
に、全く塩素源を使用しないプロセスへの転換が種々試
みられており、メタクリル酸メチルとグリシドールのエ
ステル交換反応を用いる方法、或いはメタクリル酸アリ
ルを各種酸化剤を用いてエポキシ化する方法などが知ら
れている。なかでもメタクリル酸アリルを比較的安価な
酸化剤である過酸化水素を用いてエポキシ化する方法
は、有望な方法としていくつかの試みがなされている。
【0003】例えば、触媒として均一系触媒であるアル
カリ金属のモリブデン酸塩またはタングステン酸塩存在
下、相関移動触媒を使用してエポキシ化する方法が特開
平5-92962 号公報に開示されているが、反応速度が非常
に小さいうえ、触媒の分離回収が容易でなく実用的なレ
ベルに到達していない。
【0004】一方、反応後の分離が容易な固体触媒を用
いる方法の開発が近年盛んに行われている。例えば、M
FI構造を持つ酸化ケイ素−酸化チタン合成ゼオライト
であるチタノシリケート触媒を用いてメタクリル酸アリ
ルを過酸化水素でエポキシ化する方法が特開昭61-18327
5 号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】本発明者らは、上記
のチタノシリケート触媒を用いる方法を詳細に検討した
結果、反応自体は良好に進行し、比較的良い反応成績で
メタクリル酸グリシジルを与えるものの、次の二点の解
決なくして工業化は困難であるとの結論を得た。即ち、
その第一点は、反応溶液中に残存及び生成する過酸化物
の分解であり、その第二点は重合性に富むメタクリル酸
グリシジルを反応溶液から高い収率で回収する方法であ
る。
【0006】まず、残存及び生成する過酸化物の分解で
あるが、本発明ではエポキシ化剤である過酸化水素を10
0 %転化させることは得策ではなく、若干量の過酸化水
素が未反応で系中に残存する。また、反応系中に存在す
る有機化合物と過酸化水素との反応によって、極微量で
はあるが有機過酸化物が生成する。これらの有機過酸化
物は、反応系中の存在量はわずかであってもその後の蒸
留などの工程において、製品中に不純物として混入した
り、或いは釜残に濃縮される可能性があり不安定な物質
であるために、製品品質の確保および安全操業の観点か
ら見て好ましくない。
【0007】一方、触媒を濾過した反応溶液からのメタ
クリル酸グリシジルの回収は、メタクリル酸グリシジル
の高い重合活性のために、溶液をそのまま蒸留すると蒸
留途中で重合を生じ、結果的に回収されるメタクリル酸
グリシジルの量は非常にわずかなものになってしまうと
いう欠点を有する。公知技術であるラジカル重合禁止剤
の添加などによってはこの重合は抑制することができ
ず、ラジカル重合以外の重合メカニズムの寄与を示唆し
ている。しかもこの問題は残存過酸化物分解の工程と密
接に関連しており、過酸化物分解の方法によっては重合
がさらに促進される場合がある。従って、過酸化物分解
工程を含めたトータルのプロセスとして最適化を行う必
要がある。
【0008】過酸化物を分解する手法としては、還元
剤、例えば亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化第一ス
ズ、水素化リチウムアルミニウム、トリフェニルフォス
フィン、銅・亜鉛合金等によって代表される物質を用い
て還元的に分解する方法は公知である。このような還元
剤を用いる方法は、残存する過酸化物に対して還元剤が
等モル必要であるため、場合によっては添加量がかなり
多くなり経済的に不利益をもたらす場合がある。さら
に、添加する還元剤によっては溶液内の他の物質、例え
ば生成物であるメタクリル酸グリシジルとも作用し、無
視できない量のメタクリル酸グリシジルの損失を生じ
る。また、これらの物質の添加は、メタクリル酸グリシ
ジルの重合を促進する場合が多く、結果的に製造コスト
の増大につながるという大きな欠点を有する。
【0009】一方、原子価を2種以上もちうる物質、例
えばコバルト、マンガン、ニッケル、クロム、銅、バナ
ジウムなどのイオンを生じる物質を用いて触媒的に分解
させる方法も公知である。この方法では、それらの物質
の添加量は触媒量ですむという利点があるものの、一般
に反応速度が小さく、また高い活性を示す物質において
は過酸化物のラジカル的な分解による系中のメタクリル
酸アリル、メタクリル酸グリシジル等のオレフィン系二
重結合を持つ物質の重合を促進する等の問題点があり、
実用的ではない。さらに、前述の金属を含む触媒は回収
されずに廃棄されるため、環境保全上問題がある。
【0010】本発明の課題は、固体触媒、特にチタノシ
リケート触媒を用いてメタクリル酸アリルを過酸化水素
によりエポキシ化しメタクリル酸グリシジルを製造する
方法において、残存する過酸化物を効率的に分解し、過
酸化物による製品品質の低下や操業時の危険性が全くな
く、しかもその工程やそれ以後の工程において損失なく
優れた回収率でメタクリル酸グリシジルを回収すること
によって、経済性に優れたメタクリル酸グリシジルの製
造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
の解決を図るべく鋭意検討を行った結果、メタクリル酸
アリルを1種類以上の溶媒及び固体触媒の存在下、過酸
化水素を酸化剤としてエポキシ化反応を行った反応液を
濾過し、該反応溶液をアルカリ水溶液で洗浄後、接触的
に過酸化物を分解する工程を経てメタクリル酸グリシジ
ルを蒸留回収することによって、過酸化物の蓄積がな
く、安全でしかも高い収率でメタクリル酸グリシジルを
回収することが可能であることを見いだし本発明を完成
させるに至ったものである。
【0012】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明で用いる固体触媒としては、チタン原子を結晶格子
内に含む各種結晶性物質が用いられ、MFI 構造を持つTS
-1、MEL 構造を持つTS-2、ゼオライトβ構造を持つ Ti-
β、等を例示することができるが、なかでもMFI 構造を
持つチタノシリケート触媒(TS-1)が最も好適に使用さ
れる。このチタノシリケート触媒は、公知の方法(例え
ば、USP4、410、501号公報)で調製したものを用いること
ができる。チタノシリケート触媒の量は、触媒の活性が
結晶中に含まれるTi量によって変化するために一般的な
規定はできないが、通常、反応混合物中の濃度として、
0.1 〜20重量%の範囲が適当である。より好ましくは、
0.5 〜10重量%の範囲である。反応溶媒としては、メタ
クリル酸アリルと水及び過酸化水素の相溶媒となり、反
応に不活性である物質群の中から選ばれる。そのような
物質として、アルコール、ケトン、エーテル、グリコー
ル等を例示することができ、具体的には、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を
挙げることができる。その中で特に好ましい溶媒とし
て、アルコールとケトンを一定の比率で混合したものが
用いられる。ここで用いられるアルコールとしてはメタ
ノールが好ましい。一方、ケトンとしてはアセトン、或
いはメチルエチルケトンが好ましく、より好ましくはメ
チルエチルケトンである。混合溶媒中のメタノールとケ
トンの混合比率は、メタノール/ケトン重量比にして0.
1:1 〜10:1 の範囲とすることが好ましい。混合溶媒
中のメタノールの割合が高いと、アルカリ洗浄後の水層
にメタクリル酸グリシジルが分配される割合が増加し回
収不能分が増加するため、より好ましい溶媒組成比とし
ては 0.2:1 〜2:1 の範囲である。本発明において
は、前記の範囲を守れば、アルコール、ケトン以外の溶
媒を添加することを妨げない。
【0013】溶媒量には適当な範囲が存在する。溶媒量
が少なすぎると、反応の進行とともに水が増加するため
に反応混合物が有機層と水層とに分離し、主に水層中で
進行するメタクリル酸グリシジルの加水分解によるジオ
ール生成などの副反応の影響が大きくなり好ましくな
い。一方、溶媒量が多すぎると反応速度の低下や、生成
するメタクリル酸グリシジルの反応混合物中濃度が低く
なるために、多量の溶媒を除去するためのエネルギーコ
ストが大きくなりすぎて経済的でない。従って、溶媒量
は不溶性である触媒を除いた反応混合物の液相が反応温
度において均一状態であり、有機層と水層に分離しない
ような量が望ましい。そのような溶媒量はメタクリル酸
アリルと過酸化水素のモル比などによっても変わり得る
が、通常、触媒を除いた反応混合物総量に対して 5〜80
重量%、より好ましくは15〜50重量%の範囲から選択さ
れる。
【0014】用いる過酸化水素に特に制限はなく、35重
量%、60重量%、70重量%等の濃度の過酸化水素水溶液
を使用することができる。添加する過酸化水素の量は、
メタクリル酸アリルに対してモル比で過剰に用いること
もできるし、メタクリル酸アリルを過剰に用いることも
できる。過酸化水素を過剰に用いる場合は、反応混合物
中の反応物濃度を相対的に低減できるため製品の分離精
製コストの低減のメリットがあるものの、反応に長時間
を要し、メタクリル酸グリシジルの加水分解によるジオ
ールの生成など副反応の影響が大きく、プロセス全体で
みれば多くの場合好ましくない結果を与える。一方、メ
タクリル酸アリルを過剰に用いる場合には、過剰のメタ
クリル酸アリルを反応後に除去回収する必要があるもの
の、反応速度が大きい、副生物の生成が比較的わずかで
ある等の利点に加えて、疎水性の高いメタクリル酸アリ
ルが残存することによるアルカリ洗浄時の二層分離が容
易であり、且つメタクリル酸グリシジルの水層への移行
が抑制される等、より好ましい結果を与える。これらの
ことを考慮すると、メタクリル酸アリル/過酸化水素モ
ル比の好ましい範囲は1.1 〜5 、より好ましくは1.5 〜
3 である。
【0015】本発明は、触媒、メタノールとケトンの混
合物並びにメタクリル酸アリルを反応器に入れ、ここに
過酸化水素を加えて反応を開始する、いわゆるバッチ反
応方式とすることもできるし、溶媒、メタクリル酸アリ
ル、過酸化水素を連続的に反応器に導入し反応液を同時
に抜き出す、いわゆる連続反応方式も可能である。反応
温度は、40〜 100℃の範囲が好ましく、さらに好ましく
は50〜80℃の範囲である。反応温度は上記範囲より低い
と反応速度が遅く実用的でなく、上記範囲より高い場合
は副反応の影響が大きくなる。メタクリル酸グリシジル
を生成する反応は発熱反応であるため、反応温度を一定
の範囲に制御するために、適当な方法で反応熱を除去す
ることが好ましい。どの時点において反応を終了させる
かは蒸留時の収率に大きな影響を持ち、プロセスの経済
性を決定する因子の一つである。過酸化水素転化率が十
分でない時点で反応を終了させることは、残存過酸化水
素量が多くなりコストに占める過酸化水素の割合が大き
くなると同時に過酸化物の蓄積の観点からも望ましくな
い。しかしながら、過水転化率を限りなく100 %に近づ
けると生成したメタクリル酸グリシジルの副反応の影響
が大きくなり、結果的に蒸留時の重合をもたらし得策で
ない。従って、反応終了時点として、限定物質である過
酸化水素の転化率が80%以上、99%以下が好ましい。よ
り好ましくは90%以上98%以下である。反応は、反応溶
液から触媒を除去すること、或いは反応液を室温以下に
冷却することによって終了させることができる。
【0016】濾過によって触媒を除去した反応液は、ア
ルカリ水溶液による洗浄を行う。この操作を行うことに
より反応液が有機層と水層に分離されるため、過酸化水
素とともに導入される希釈水と反応で生成する水を効率
的に除去することができる。また、この操作によって蒸
留時の重合がほとんど抑制されるという非常に重要な利
点が生じる。ここで用いられるアルカリの種類として
は、生成したメタクリル酸グリシジルと容易に反応せ
ず、コスト的に許容されるものであれば、その水溶液の
pH値が7以上の範囲の物質から選択することができる。
すなわち、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水
素ナトリウム等に代表されるような物質である。水溶液
中のアルカリの濃度は、0.1 〜10重量%の範囲が好まし
い。あまり高濃度のアルカリを用いると、メタクリル酸
グリシジルのエステル部分の加水分解などの好ましくな
い副反応が生じる場合があるので注意を要する。より好
ましい範囲は、0.5 〜2 重量%である。
【0017】洗浄は公知の方法に従って行うことができ
る。即ち、回分的に行うこともできるし、ミキサー・セ
トラーのような装置で連続的に行うこともできるし、或
いは向流抽出装置を用いることも可能である。洗浄に用
いるアルカリ水溶液の量には適当な範囲が存在する。す
なわち、洗浄水量が少ない場合には効果が小さくなり、
逆に多すぎるとメタクリル酸グリシジルの水層への分配
が無視できなくなり、その分は回収できなくなるため
に、蒸留時の重合抑制のメリットが相殺されてしまう。
また、水層は廃水として廃棄されることを考えると、可
能な限り水量を低減させることが望ましい。回分的な洗
浄を行う場合には、所定量のアルカリ水溶液を数回に分
けて洗浄することによって、トータルの量を減少させる
ことも可能である。具体的な範囲を例示すれば、濾過後
の反応液に対して 1〜20重量%のアルカリ水溶液を用い
て洗浄すれば十分その効果が得られる。
【0018】アルカリ洗浄後の有機層は、次いでPtを固
体担体上に担持した触媒と接触させることによって該溶
液中に存在する未反応の過酸化水素と有機過酸化物の分
解を行う。この分解操作は、アルカリ洗浄を行った後に
行うことが特に重要であり、アルカリ洗浄の前に行うと
蒸留時の重合、或いは過酸化物分解触媒の急激な劣化な
ど、好ましくない現象が生じる。
【0019】過酸化物分解触媒の単体としては、活性
炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、粘土、ボーキ
サイト、マグネシア、チタニア、ケイソウ土、等の代表
的な単体を用いることができるが、中でも、活性炭、ア
ルミナが好ましく、さらに好ましくは活性炭である。担
体上の白金担持量は広い範囲で変化しうるが、一般には
0.1 〜10重量%、より好ましくは0.5 〜5 重量%の範囲
である。分解反応の様態としては、触媒の粉末を反応溶
液に添加して所定時間撹拌する懸濁触媒方式、或いは適
当な形状に成形した触媒を反応管に充填し、そこに溶液
を一定の速度で通過させる固定床方式のいずれでも良好
な結果が得られる。過酸化物分解温度は室温においても
十分な反応速度が得られるが、必要であれば加熱するこ
とによってさらに分解速度を速くすることもできる。
【0020】このようにして残存過酸化物を分解した反
応溶液は、重合活性の高いメタクリル酸グリシジルの重
合を防止するために公知の重合禁止剤、例えば、ハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノ
チアジン等を添加して蒸留を行うことによって、重合な
どを生じることなくメタクリル酸グリシジルを高い収率
で取得することができる。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明の内容はこれらによっていかなる意味に
おいても限定されるものではない。 参考例(チタノシリケート触媒調製方法) テトラエチルオルトシリケート375 gとテトラエチルオ
ルトチタネート10.3gを、3リットル の四つ口セパラブルフ
ラスコに入れ、窒素気流下、滴下ポンプを用いて20重量
%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液648g
を5.4g/ 分の速度で滴下した。滴下の間中、反応液温度
は20℃で一定となるように調節した。滴下終了後もしば
らく撹拌を続け、加水分解を完全に進行させた後、反応
温度を80℃に加熱し加水分解で生成したエタノールを反
応液から留去し、透明なゾルを得た。得られたゾルに蒸
留水290gを加え、溶液全体の重量を885gとしてSUS31
6製の3リットル オートクレーブに充填率30%で充填した。
オートクレーブ内の気体を窒素で置換した後、密閉して
170 ℃に2日間加熱後、210 ℃に昇温してさらに2日間
210 ℃に保持した後、室温に冷却した。白色固体を含む
液を遠心分離器を用いて3000rpm で20分間遠心分離を行
い、ほぼ透明な上澄み液と白色のチタノシリケート粒子
とに分離した。得られた白色チタノシリケート粒子を蒸
留水で洗浄後、乾燥し、電気炉で空気中、550 ℃で6時
間焼成処理を行い、91.7gのチタノシリケート触媒を得
た。得られた結晶性チタノシリケート中のSi/Ti 比をX
線回折法により求めたところ66であった。
【0022】実施例1 メタクリル酸アリル330.1g(2.62モル)とメタノール5
0.4g (1.58モル)及びメチルエチルケトン50.2g (0.6
9モル)、さらに上の参考例で調製したチタノシリケー
ト触媒12.2g を撹拌機、温度計、環流冷却管を付したフ
ラスコに仕込み、ついで60重量%過酸化水素水59.5g
(1.05モル)を反応温度60℃で1.5 時間かけて滴下し
た。滴下終了後さらに10分間撹拌を続けた後、触媒を濾
過し反応を終了させた。過酸化水素転化率は89.6%であ
り、濾過後の反応溶液中のメタクリル酸アリル残存量は
212.6g(1.69モル)、生成メタクリル酸グリシジル量は
123.1g(0.87モル)であった。この反応溶液467.4gに、
0.5 重量%の水酸化ナトリウム水溶液32.7g(反応液の
7.0 重量%)を添加し、室温で撹拌した後静置し二層に
分離させた(有機層410.4 g、水層84.0g)。有機層中
に含まれるメタクリル酸アリルは208.2 g、メタクリル
酸グリシジルは119.4 gであり、回収率はそれぞれ97.9
%、97.0%であった。この有機層中には、過酸化水素が
0.041mol、有機過酸化物が0.0048mol 存在していた。有
機層を分離し、5重量% Pt を活性炭上に担持させた触
媒を4.67g(溶液に対して1.0 重量%)添加し、室温で
1時間撹拌後触媒を濾過した。濾液中に過酸化水素は検
出されず(100 %分解)、有機過酸化物は0.00009mol
(98%が分解)に減少していた。過酸化物分解後の溶液
を500mlナスフラスコに入れ、重合禁止剤アンテージW4
00 を1.62g(溶液の0.4 重量%)添加して単蒸留を行
った。まず、メタノール及びメチルエチルケトンを240
mmHg、ボトム温度65℃で留去し、次いでメタクリル酸
アリルを40mmHg、ボトム温度75℃で留去した。メタク
リル酸グリシジルを含むメタクリル酸アリルを初留とし
て35mmHgから留去に伴い3 mmHgに変化させ、ボトム
温度70℃で取得後、3 mmHg、蒸気温度65℃で留去した
メタクリル酸グリシジル52.3g を得た。初留中に含まれ
る60.5gを合わせて合計112.8 gのメタクリル酸グリシ
ジルが回収された(蒸留収率97.6%)。釜残は8.3g(2.
2 重量%)であり、その粘度は低く重合は認められなか
った。主留中に含まれる過酸化物濃度は過酸化水素換算
で7ppmであった。チタノシリケート触媒濾過後の反応溶
液からのメタクリル酸アリル及びメタクリル酸グリシジ
ルの回収率はそれぞれ93.5%、91.6%であり、ほぼ定量
的な回収が可能であった。
【0023】比較例1(過酸化物分解後アルカリ水洗) 実施例1と同様の操作を行い、メタクリル酸アリルのエ
ポキシ化反応溶液を得た。溶液中の残存メタクリル酸ア
リルは211.2 g、生成メタクリル酸グリシジル量123.5
g、残存過酸化水素0.061mol、有機過酸化物0.0080mol
であった。この溶液に5重量%Pt を活性炭上に担持さ
せた触媒を4.66g(溶液に対して1.0 重量%)添加し、
室温で1時間撹拌後触媒を濾過した。この濾液中に過酸
化水素は検出されず(100 %分解)、有機過酸化物は0.
00012mol(98.5%が分解)に減少していた。この溶液46
1.7gに、0.5 重量%の水酸化ナトリウム水溶液32.7g
(反応液の7.0 重量%)を添加し、室温で撹拌した後静
置し二層に分離させた(有機層393.7g、水層86.0g)。
有機層中に含まれるメタクリル酸アリルは202.7g、メタ
クリル酸グリシジルは116.7gであり、回収率はそれぞれ
95.9%、94.5%であった。この有機層を500ml ナスフラ
スコに入れ、重合禁止剤アンテージW400 を1.57g(溶
液の0.4 重量%)を添加し実施例1と全く同様に単蒸留
を行った。主留取得時に重合を生じ、メタクリル酸グリ
シジルは88.2g回収されたにとどまった(蒸留収率75.5
%)。このように、過酸化物分解とアルカリ水洗の順序
を入れ替えると、蒸留時の重合を生じ、結果的にプロセ
スの経済性を大幅に損なうものである。
【0024】実施例2(固定床流通反応) 実施例1と同様の操作で、メタクリル酸アリルのエポキ
シ化反応溶液に0.5 重量%の水酸化ナトリウム水溶液を
添加(反応液に対して7重量%)して洗浄を行い、次に
示す組成の有機層を得た。 メタノール 5.1 重量% メチルエチルケトン 10.7重量% メタクリル酸アリル 48.0重量% メタクリル酸グリシジル 31.1重量% 過酸化水素 0.13重量% 有機過酸化物 0.036 重量% この溶液を、粒子径0.3 〜0.7mm の2重量%Pt/ 活性炭
を10g詰めた内径16mmの反応管に、室温で、LHSV6.0 h
-1の供給速度で供給した。反応管からの流出液につい
て、各成分及び過酸化物の分析を行ったところ、メタク
リル酸アリル、メタクリル酸グリシジルとも100 %回収
され、過酸化水素は100 %、有機過酸化物は98%分解し
ていた。この溶液482.6 gを実施例1と同様に蒸留を行
った結果、メタクリル酸アリル、メタクリル酸グリシジ
ルの蒸留収率は、それぞれ99.2%、97.7%と重合などを
生じることなくほぼ定量的に回収された。このように、
過酸化物分解工程は固定床流通反応系を用いて効率よく
実施される。
【0025】比較例2(亜硫酸ナトリウムによる過酸化
物分解) 過酸化水素滴下終了後さらに30分間撹拌を続けた他は、
実施例1とほぼ同様の操作を行いメタクリル酸アリルの
エポキシ化反応溶液を得た。過酸化水素転化率は99.3%
であり、濾過後の反応溶液中のメタクリル酸アリル残存
量は192.4g(1.53モル)、生成メタクリル酸グリシジル
量は131.6 g(0.93モル)であった。この溶液に、10重
量%の亜硫酸ナトリウム水溶液を9.66g(残存過酸化物
の2倍モル量相当)添加し、室温で30分間撹拌した後静
置し、次いで上層の有機層をさらに純水23.0gで洗浄し
た。(この純水での洗浄を省略すると、蒸留開始直後に
重合を生じる。)再び静置した後、有機層に含まれるメ
タクリル酸アリル、メタクリル酸グリシジルを定量した
ところ、それぞれ190.1 g、124.6 gであった。この有
機層を実施例1と同様の操作で蒸留を行った。蒸留によ
って回収されたメタクリル酸アリルは185 g、メタクリ
ル酸グリシジルは104.1 gであり、反応液からの回収率
はそれぞれ96.2%、79.1%と、特にメタクリル酸グリシ
ジルの回収率が低く、釜残での重合が認められた。主留
中の過酸化物濃度は146ppmとかなりの量が残存した。こ
のように、亜硫酸ナトリウムによる還元反応を利用した
過酸化物分解では、亜硫酸ナトリウムとメタクリル酸グ
リシジルとの反応によるロスが大きいほか、蒸留時の重
合の抑制が困難であり、また過酸化物も完全に分解され
ずに残存するなど多くの問題点を有する。
【0026】実施例3 過酸化物分解触媒としてアルミナ上に白金を5重量%担
持した触媒を、溶液に対して1.6 wt%添加した他は実施
例1と全く同様の操作を行った。表1に示すようにPt/
活性炭とほぼ同等の過酸化物分解能力を示した。
【0027】比較例3〜12 表1に示す各種過酸化物分解剤を、実施例1と同様にし
て得た反応溶液に5000ppm 添加し、室温で1時間撹拌
後、過酸化物の分解度合いを調べた。遷移金属系の触媒
では総じて反応速度が小さく、また比較的高い活性を示
す物質においては溶液の重合を生じるなど、実用化には
適さなかった。
【0028】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸アリルを1種類以上の溶媒
    及び固体触媒の存在下、過酸化水素と反応させてメタク
    リル酸グリシジルを製造する方法において、反応液から
    触媒を分離し、該反応液をアルカリ水溶液で洗浄した
    後、残存する過酸化物を接触的に分解させる工程を含む
    ことを特徴とするメタクリル酸グリシジルの製造方法。
  2. 【請求項2】 固体触媒が、MFI結晶構造を持つチタ
    ノシリケートであることを特徴とする請求項1記載のメ
    タクリル酸グリシジルの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒が、アルコール、ケトン、或いはア
    ルコールとケトンの混合物であることを特徴とする請求
    項1記載のメタクリル酸グリシジルの製造方法。
  4. 【請求項4】 過酸化物分解触媒として、白金を活性
    炭、或いはアルミナ上に担持させた触媒を用いることを
    特徴とする請求項1記載のメタクリル酸グリシジルの製
    造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008041138A1 (de) 2008-08-11 2010-02-18 Evonik Röhm Gmbh Verfahren und Anlage zur Herstellung von Glycidyl(meth)acrylat
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