JPH09328479A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

プロピレンオキサイドの製造方法

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JPH09328479A
JPH09328479A JP8145493A JP14549396A JPH09328479A JP H09328479 A JPH09328479 A JP H09328479A JP 8145493 A JP8145493 A JP 8145493A JP 14549396 A JP14549396 A JP 14549396A JP H09328479 A JPH09328479 A JP H09328479A
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純平 辻
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチルベンゼンの液相自動酸化によって得た
エチルベンゼンハイドロパーオキサイドのエチルベンゼ
ン溶液である原料液を、Ti含有固体触媒の存在下、プ
ロピレンと反応させてプロピレンオキサイドを製造する
方法であって、用いる触媒の経時的な活性の低下を抑制
することができるプロピレンオキサイドの製造方法を提
供する。 【解決手段】 エチルベンゼンの液相自動酸化によって
得たエチルベンゼンハイドロパーオキサイドのエチルベ
ンゼン溶液である原料液を、Ti含有固体触媒の存在
下、プロピレンと反応させてプロピレンオキサイドを製
造する方法において、該原料液として、10〜25重量
%のエチルベンゼンハイドロパーオキサイドを含有する
エチルベンゼン溶液をアルカリ洗浄に供することにより
該原料液中の乳酸の濃度を5重量ppm以下とした溶液
を用いることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプロピレンオキサイ
ドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発
明は、エチルベンゼンの液相自動酸化によって得たエチ
ルベンゼンハイドロパーオキサイドのエチルベンゼン溶
液である原料液を、Ti含有固体触媒の存在下、プロピ
レンと反応させてプロピレンオキサイドを製造する方法
であって、用いる触媒の経時的な活性の低下を抑制する
ことができるプロピレンオキサイドの製造方法に関する
ものである。プロピレンオキサイドは、例えばポリウレ
タン製造の原料などに使用される有用な工業薬品のひと
つである。
【0002】
【従来の技術】オレフィン型化合物と、エチルベンゼン
ハイドロパーオキサイドをTi含有固体触媒の存在下に
反応させ、オレフィン型化合物をオキシラン化合物に変
換する方法は公知である(特公昭56−35941号公
報、54−40525号公報、54−40526号公
報、50−30049号公報など参照。)。しかしなが
ら、これらの方法で調製した触媒を用いてプロピレンの
エポキシ化反応を行うと、触媒の活性が時間とともに低
下するという工業用触媒としては不都合な現象があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明が解決しようとする課題は、エチルベンゼンの液相
自動酸化によって得たエチルベンゼンハイドロパーオキ
サイドのエチルベンゼン溶液である原料液を、Ti含有
固体触媒の存在下、プロピレンと反応させてプロピレン
オキサイドを製造する方法であって、用いる触媒の経時
的な活性の低下を抑制することができるプロピレンオキ
サイドの製造方法を提供する点に存する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは触媒失活に
影響を与える因子について詳細に検討した。その結果、
原料エチルベンゼンハイドロパーオキサイド溶液中に存
在する乳酸が失活に大きく関与する物質であることを見
いだした。つまり、乳酸の濃度を低く規制した条件で反
応を行うことにより失活現象が抑制または防止されるこ
とを見いだした。更に、原料液中の乳酸を低減させる方
法として、特定のエチルベンゼンハイドロパーオキサイ
ド濃度のエチルベンゼン溶液をアルカリ洗浄に供するこ
とが極めて有効であることを見いだし、本発明を完成さ
せた。
【0005】すなわち、本発明は、エチルベンゼンの液
相自動酸化によって得たエチルベンゼンハイドロパーオ
キサイドのエチルベンゼン溶液である原料液を、Ti含
有固体触媒の存在下、プロピレンと反応させてプロピレ
ンオキサイドを製造する方法において、該原料液とし
て、10〜25重量%のエチルベンゼンハイドロパーオ
キサイドを含有するエチルベンゼン溶液をアルカリ洗浄
に供することにより該原料液中の乳酸の濃度を5重量p
pm以下とした溶液を用いることを特徴とするプロピレ
ンオキサイドの製造方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】エチルベンゼン(以下、「EB」
と略す。)の液相自動酸化は、通常50〜150℃で分
子状酸素により行われる。エチルベンセンハイドロパー
オキサイド(以下、「EBHP」と略す。)への選択率
を高く維持するため、EBの転化率は低く抑えられる。
このため、酸化反応液中のEBHPの濃度は通常5〜1
5重量%となる。通常はこの酸化反応液を濃縮工程に供
し、蒸留により一部のEB等の軽沸分を留去させること
によって、EBHPの濃度を高めたあとで、プロピレン
とのエポキシ化反応に供する。
【0007】ところが該酸化反応液中に相当量の乳酸が
存在し、これは濃縮工程で除かれず、次のエポキシ化反
応でのTi含有固体触媒の触媒毒となることが判明し
た。酸化反応液中の乳酸の濃度は酸化条件等にもよる
が、例えば数十ppmの量で存在しうる。EBHP原料
液中の乳酸を除くために、アルカリ洗浄を行うのが有効
である。原料液中のEBHP濃度は10〜25重量%が
好ましく、更に好ましくは12〜20重量%である。こ
れより低いEBHP濃度ではアルカリ排水中へのEBH
Pの損失割合が大きくなり、また洗浄装置も過大となり
経済的でない。また、これより高いEBHP濃度ではア
ルカリ洗浄時の分液性が悪化し、そのため乳酸の除去率
が低下する。
【0008】前記のごとき濃度範囲のEBHP溶液は酸
化反応液の適度の蒸留による濃縮操作により容易に得ら
れる。アルカリ洗浄に用いるアルカリ源としては、Na
OH、KOH、Na2 CO3 、K2 CO3 、NaHCO
3 、KHCO3 などのアルカリ金属水酸化物やアルカリ
金属炭酸塩が好ましく用いられる。NaOHとNa2
3 が工業的に安価で入手容易のため特に好ましい。ア
ルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜30重量%であ
り、好ましくは0.05〜10重量%である。
【0009】原料油とフレッシュのアルカリ水溶液の容
量比(o/w)は、通常1000/1〜1/1であり、
好ましくは100/1〜10/1である。アルカリ水溶
液の濃度が高すぎる、またはo/wが小さすぎるとアル
カリ使用量が増えたり、また排水量や排水中のアルカリ
が増えるため不経済となる。一方、アルカリ水溶液の濃
度が低すぎたりo/wが大きすぎたりすると、原料油中
の乳酸の除去が不十分となる。
【0010】アリカリ洗浄は前述のEBHP原料油とア
ルカリ水溶液とを適度に混合したのち静置して分液さ
せ、EBHPを含む油層を回収すればよい。洗浄や静置
の温度は通常0〜100℃であり、好ましくは30〜8
0℃である。高温すぎると、EBHPの熱分解等の好ま
しくない副反応が併発し、また低温すぎるのは、冷却に
要するエネルギーが過大となる。油水の混合時間と静置
時間は限定的でなく、必要十分な混合および分液に要す
る静置が行なえればよいが、通常は1〜100分程度で
ある。アルカリ洗浄は回分法、連続法のいずれでも可能
である。洗浄後のアルカリ排水の一部をリサイクルしフ
レッシュのアルカリ水溶液と混合して再使用することも
できる。
【0011】このようにして得られるアルカリ洗浄油中
の乳酸の濃度は5wtppm以下とすることができる。
更に、アルカリ洗浄を前述の好ましい範囲に調節するこ
とにより、1重量ppm以下にすることもできる。
【0012】アルカリ洗浄で得た油層を更に水洗浄に供
してもよい。この場合、水洗浄の条件(o/w、温度、
時間)は前述したアルカリ洗浄と同じでよい。
【0013】前記のアルカリ洗浄は、エチルベンゼン酸
化反応液中のEBHP濃度を好ましくは10〜25重量
%、更に好ましくは12〜20重量%まで濃縮した後に
行い、更にアルカリ洗浄で得られた油層を蒸留による濃
縮に供することが好ましい。洗浄後に濃縮を行うことに
より、洗浄中に原料に溶解した水分をEBと共沸留去す
ることが出来る。
【0014】原料中に水分が多く含まれると、エポキシ
化工程における触媒の活性を著しく低下させ、また生成
するプロピレンオキサイド(以下、「PO」と略す。)
と反応して収率を低下させてしまい、好ましくない。ま
た、濃縮により次のエポキシ化工程において好ましいE
BHP濃度の溶液とすることが出来る。
【0015】次に、エポキシ化反応について述べる。
【0016】本発明に使用される触媒はTi含有固体触
媒である。例えば、Ti化合物を各種担体に担持したも
の、共沈法やゾルゲル法で他の酸化物と複合したもの、
あるいはTiを含むゼオライト系酸化物などが挙げられ
る。固体シリカおよび/または無機珪酸塩と化学的に結
合したチタンを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましく使用できる。このものは、以下の文献公知の方
法で合成することができる。(特公昭56−35941
号公報、54−40525号公報、54−40526号
公報、50−30049号公報など参照。)。
【0017】エポキシ化反応は、前記の触媒の存在下、
アルカリ洗浄を行ったEBHP原料液をプロピレンと反
応させることにより実施できる。EBHP原料液中のE
BHP濃度は通常10〜50重量%であり、好ましくは
15〜40重量%である。高濃度すぎるとEBHPの熱
分解等の副反応が増え、反応選択率の低下を招き、逆に
低濃度すぎるのは反応速度や生産性が低くなるため、触
媒量や反応器容量が大きくなり不経済である。
【0018】このような濃度範囲のEBHP原料液は前
述の通り、洗浄油を蒸留に付し、EB等の軽沸分の一部
を留去して濃縮すればよい。EBHP原料液中の乳酸の
濃度は触媒失活を低減させるために5重量ppm以下、
好ましくは1重量ppm以下である必要がある。エポキ
シ化反応に供するプロピレンとEBHPのモル比は、通
常1:1〜50:1であり、好ましくは1:1〜20:
1である。
【0019】プロピレンが少ないと、反応速度や反応選
択率が低下し、一方、プロピレンが過大すぎると、生産
性の低下や未反応プロピレンのリサイクルに要するエネ
ルギーが過大となり、好ましくない。
【0020】反応は連続法が好ましく、例えば反応管中
に固体ペレットの触媒を保持し、ここにEBHP原料液
とプロピレンを流せばよい。あるいは粉体触媒でスラリ
ー反応で実施してもよい。反応温度は通常0〜200℃
であり、好ましくは30〜150℃である。低温では反
応速度が遅すぎ、高温では反応選択率が下がる。反応圧
力は通常1〜100atmであり、好ましくは10〜5
0atmである。低圧では反応が遅く、逆に高圧では設
備コストが過大となる。
【0021】このようにして得られたエポキシ化反応液
中の未反応のプロピレンは蒸留分離後に再びエポキシ反
応工程へリサイクルすることができる。未反応プロピレ
ンの大部分を除いたあとの反応液からのプロピレンオキ
シドの分離は、蒸留、洗浄等の通常の操作で容易に行え
る。
【0022】
【実施例】
参考例1〔触媒の調製〕 市販シリカゲル(10〜40mesh、表面積300m
2 、平均細孔径10nm、50g)、チタン製テトライ
ソプロピル(1.1g)、アセチルアセトン(0.82
g)、イソプロパノール(200ml)を混合し、30
分間室温で攪拌後混合物を濾過した。固体部をイソプロ
パノール(50ml)で浸し、かき混ぜ洗浄した後、液
を濾別した。この操作を計3回繰り返した。固体部を窒
素気流下、500℃で2時間乾燥した。更に空気気流下
600℃で4時間焼成した。
【0023】この物質(10g)、ヘキサメチルジシラ
ザン(4g)、トルエン(50g)を混合し、加圧下2
00℃で1時間加熱攪拌した。混合物から濾過により液
を留去した。トルエン(50g)で洗浄し、真空乾燥
(120℃、10mmHg、3時間)することにより触
媒を得た。
【0024】実施例1EBHP溶液のアルカリ洗浄 EBHP溶液(15重量%、3000g)と水酸化ナト
リウム(0.5重量%、1000g)を60℃、15分
間攪拌混合し、同温で15分間静置した後、分液した。
分液した油層を更に1000gの水で60℃、15分間
洗浄した。得られた油層を60℃、50mmHgで濃縮
し、35重量%のEBHP溶液を得た。
【0025】反応 参考例1の調製法に従って合成した触媒(Ti含有量
0.3重量%)と、上記の洗浄方法によって得られたE
BHP溶液(EBHP35重量%、EB58重量%、乳
酸0.3重量ppm)及びプロピレンを用いて固定床流
通反応装置によるエポキシ化反応を行った。反応は、プ
ロピレン/EBHP=12、LHSV=12、ヒーター
温度99℃、反応圧力40kg/cm2 で行った。結果
を表1に示した。
【0026】比較例1 アルカリ洗浄を施さないEBHP溶液を使用したこと以
外は実施例1と同一の条件で反応を行った。結果を表1
に示した。
【0027】実施例2 参考例1の調製法に従って合成した触媒(Ti含有量
0.3重量%)と、実施例1に記載する方法と同様の洗
浄方法によって得られたEBHP溶液(EBHP35重
量%、EB58重量%、乳酸3.1重量ppm)及びプ
ロピレンを用い、固定床流通反応装置を用いてプロピレ
ンのエポキシ化反応を行った。反応は、プロピレン/E
BHP=11、LHSV=12、ヒーター温度65℃、
反応圧力40kg/cm2 で行った。結果を表2に示し
た。
【0028】比較例2 実施例1で得たアルカリ洗浄EBHP溶液に乳酸100
重量ppmを添加した原料を使用したこと以外は実施例
1と同一の条件で反応を行った。結果を表2に示した。
【0029】結果から次のことがわかる。本発明の条件
を充足する実施例1及び実施例2においては、反応時間
の経過にともなう触媒活性の低下がほとんどみられな
い。一方、本発明の条件を充足しない比較例1及び比較
例2においては、反応時間の経過にともなう触媒活性の
低下が著しい。
【0030】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 比較例1 反応原料液 種類 *1 A ← B ← 乳酸濃度 wt ppm 0.3 ← 68 ← 反応時間 hr 1 8 1 7 反応成績 EBHP転化率 % 99.2 99.0 99.8 77.9 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0031】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例2 比較例2 反応原料液 種類 *1 C ← D ← 乳酸濃度 wt ppm 3.1 ← 103 ← 反応時間 hr 1 3 1 3 反応成績 EBHP転化率 % 88.2 87.9 86.9 78.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0032】*1 反応原料液 種類 A、C:アルカリ洗浄液 B:未洗浄液 D:アルカリ洗浄液に乳酸を添加したもの
【0033】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、エ
チルベンゼンの液相自動酸化によって得たエチルベンゼ
ンハイドロパーオキサイドのエチルベンゼン溶液である
原料液を、Ti含有固体触媒の存在下、プロピレンと反
応させてプロピレンオキサイドを製造する方法であっ
て、用いる触媒の経時的な活性の低下を抑制することが
できるプロピレンオキサイドの製造方法を提供すること
ができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石野 勝 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチルベンゼンの液相自動酸化によって
    得たエチルベンゼンハイドロパーオキサイドのエチルベ
    ンゼン溶液である原料液を、Ti含有固体触媒の存在
    下、プロピレンと反応させてプロピレンオキサイドを製
    造する方法において、該原料液として、10〜25重量
    %のエチルベンゼンハイドロパーオキサイドを含有する
    エチルベンゼン溶液をアルカリ洗浄に供することにより
    該原料液中の乳酸の濃度を5重量ppm以下とした溶液
    を用いることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003081886A (ja) * 2001-09-13 2003-03-19 Sumitomo Chem Co Ltd クメンの製造方法
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KR100639048B1 (ko) * 1998-08-04 2006-10-27 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 티탄-함유 산화규소 촉매, 이의 제조 방법 및 당해 촉매를 사용하는 프로필렌 옥사이드의 제조방법
JP2013123697A (ja) * 2011-12-16 2013-06-24 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 多孔質シラザン被覆粒子、担持触媒およびこれらの製造方法

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