JP4096582B2 - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得、該溶液を精製し、精製後の溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得るプロピレンオキサイドの製造方法であって、該溶液の精製に用いる減圧蒸留塔が汚れに強く、かつ低差圧の状態で長期間安定的に運転できるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得、その後エポキシ化工程で悪影響を及ぼす物質(例えば水等)を精製除去したり、生産性向上のため該溶液に含まれるクメンハイドロパーオキサイドを濃縮した後、溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る方法は公知である(たとえば、特開2001-270875号公報参照。)。このとき、精製のための設備として減圧蒸留塔が用いられる。ここで減圧蒸留塔が用いられる理由は、クメンハイドローパーオキサイドが熱分解しやすい物質であり、該溶液の沸点を下げて精製操作を実施する必要があるためである。ところが、従来の方法によると、低差圧で高性能な充填塔を採用した場合、汚れ成分(主として塩類や重合物)により充填層の差圧が上昇して塔の安定的な連続運転が妨げられるという問題があった。一方、汚れに強い棚段塔を採用した場合は、性能面で充填塔に劣り、必要段数が多く、かつ運転差圧が大きく不満足である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得、該溶液を精製し、精製後の溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得るプロピレンオキサイドの製造方法であって、該溶液の精製に用いられる減圧蒸留塔が汚れに強く、かつ低差圧の状態で長期間安定的に運転できるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイドの製造方法を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得る工程
精製工程:減圧状態にある蒸留塔を用いて、酸化工程またはその後段に必要に応じて設置される工程を経て得られたクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を精製する工程であって、該蒸留塔が、精製に供する該溶液の供給口の下部分は棚段型式であり、該供給口の上部分は充填塔型式である工程
エポキシ化工程:精製工程後の溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工程
【0005】
【発明の実施の形態】
酸化工程は、クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得る工程である。
【0006】
クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリのような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaHCO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等が用いられる。
【0007】
本発明の精製工程は、減圧状態にある蒸留塔を用いて、酸化工程またはその後段に必要に応じて設置される工程を経て得られた溶液を精製する工程であって、該蒸留塔が、精製に供する該溶液の供給口の下部分は棚段型式であり、該供給口の上部分は充填塔型式である工程である。
【0008】
ここでいう精製の目的は、後段のエポキシ化工程で悪影響をおよぼす物質の除去であり、具体的には水の除去を挙げることができる。例えばエポキシ化工程に供されるクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液中の水の濃度は1重量%以下であることが必要であり、好ましくは5000重量ppm以下であることが、特開2001-270875に記載されているが、本工程で除去される精製の除去目的成分は水に限定されない。
【0009】
精製のもうひとつの目的は、生産性向上のため、エポキシ化工程に供される反応液中に含まれるクメンハイドロパーオキサイドを濃縮するものである。該溶液中の好ましいクメンハイドロパーオキサイド濃度は、特開平2001-270874号公報に記載されている。
【0010】
本工程は、上記のうち1つ以上の目的で設置される。
【0011】
本工程の好ましい条件は、下記のとおりである。
【0012】
精製操作の条件は、減圧下において、精製される反応液中に含まれるクメンハイドロパーオキサイド濃度により、下記式(1)に示される温度以下とすることが望ましい。
t(℃)=150−0.8×w (1)
w:溶液中のクメンハイドロパーオキサイド濃度(重量%)
【0013】
上記条件を満足しない場合、クメンハイドロパーオキサイドが熱分解を受けて収率が低下し、好ましくない副生物を生じることは、特開平2001-270874号公報に記載されている。
【0014】
本発明工程の減圧蒸留塔が従来の設備と比較して優れた特徴を有する点は、精製される反応液中に含まれる汚れ成分(主として塩類や重合物)により差圧上昇の影響を受けやすい原料供給口の下部分に棚段型式を用い、一度蒸発した成分が主となる供給口の上部分は、棚段形式と比較して差圧が小さく高性能な充填物型式を組み合わせたことである。
【0015】
このことにより本発明工程の減圧蒸留塔は、汚れに強くかつ低差圧の状態で長期間安定的に運転できるのである。
【0016】
エポキシ化工程は、濃縮工程後の反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工程である。
【0017】
本工程は、通常、クメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下に反応させることにより行われる。
【0018】
触媒としては、目的物を高収率及び高選択率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したもの、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげることができる。
【0019】
エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハイドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるクメンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)などがあげられる。
【0020】
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
【0021】
固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれていない。
【0022】
本発明の洗浄工程は、酸化工程で得たクメンハイドローパーオキサイドを含む反応液をアルカリ水溶液および/または水で洗浄する工程である。
【0023】
本発明工程の好ましい方法及び条件は、次のとおりである。洗浄すべき反応液に、アルカリ水溶液および/または水を添加して混合し、その後油層と水層に分離する設備を有する工程である。本工程に供給されるアルカリ水溶液は、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合物の水溶液や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaHCO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等の水溶液が用いられ、酸化反応器に直接添加してもよいし、反応の後に添加してもよい。添加するアルカリの当量としては、洗浄すべき反応液に含まれる酸の当量に対して1〜5倍とするのが一般的である。装置としては、一般的な混合装置や油水分離装置を用いることができる。特開2001-270874号公報に記載されている温度以下とすることが望ましい。操作圧力は大気圧から5MPaの間である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得、該反応液に含まれるクメンハイドロパーオキサイドを精製し、該精製後の反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得るプロピレンオキサイドの製造方法であって該溶液の精製に用いる減圧蒸留塔が汚れに強く、かつ低差圧の状態で長期間安定的に運転できるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイドの製造方法を提供することができた。
Claims (2)
- 下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法。
酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得る工程
精製工程:減圧状態にある蒸留塔を用いて、酸化工程またはその後段に必要に応じて設置される工程を経て得られたクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を精製する工程であって、該蒸留塔が、精製に供する該溶液の供給口の下部分は棚段型式であり、該供給口の上部分は充填塔型式である工程
エポキシ化工程:精製工程後の溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工程 - 下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法。
酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロパーオキサイドを含む反応液を得る工程
洗浄工程:酸化工程で得た反応液をアルカリ水溶液および/または水で洗浄する工程
精製工程:減圧状態にある蒸留塔を用いて、洗浄工程またはその後段に必要に応じて設置される工程を経て得られたクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を精製する工程であって、該蒸留塔が、精製に供する該溶液の供給口の下部分は棚段型式であり、該供給口の上部分は充填塔型式である工程
エポキシ化工程:精製工程後の溶液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工程
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