JP2003261482A - クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法 - Google Patents

クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法

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JP2003261482A
JP2003261482A JP2002060252A JP2002060252A JP2003261482A JP 2003261482 A JP2003261482 A JP 2003261482A JP 2002060252 A JP2002060252 A JP 2002060252A JP 2002060252 A JP2002060252 A JP 2002060252A JP 2003261482 A JP2003261482 A JP 2003261482A
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cumene hydroperoxide
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Shigeru Goto
滋 後藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を
加熱する設備の必要伝熱面積を小さくでき、しかもクメ
ンハイドロパーオキサイドの熱分解を抑制することで、
好ましくない副生物の生成を抑えることができる。 【解決手段】 加熱時に該溶液が保持される容器部分が
該溶液によって満液状態に保たれているクメンハイドロ
パーオキサイドを含む溶液の加熱方法。具体的には、下
記の工程を含む加熱工程で用いられ得る。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る加熱工程:酸化工程で得られた反
応液であるクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液を
加熱する 濃縮工程:加熱工程後の反応液を濃縮する エポキシ化工程:濃縮工程後の反応液中のクメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クメンハイドロパ
ーオキサイドを含む溶液の加熱方法に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、クメンハイドロパーオキ
サイドを含む溶液を加熱する設備の必要伝熱面積を小さ
くでき、しかもクメンハイドロパーオキサイドの熱分解
を抑制することで、好ましくない副生物の生成を抑える
ことができるという優れた特徴を有する特長を有するク
メンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】クメンハイドロパーオキサイドは、たと
えば、プロピレンと反応させ、プレピレンオキサイドを
得る場合の酸素供給源として使用される。
【0003】ところが、クメンハイドロパーオキサイド
は熱分解を起こしやすい物質であるため、これを含む溶
液を加熱する場合、加熱容器の内部で溶媒が蒸発し、局
所的なクメンハイドロパーオキサイドの濃縮が起こり、
熱分解反応が促進され、よってクメンハイドロパーオキ
サイドの収率が低下し、かつ好ましくない副生物量が増
加するという問題があった。一方、これを抑制するため
に該溶液と接する伝熱面の温度を低くすると、所望の熱
量を与えるための必要伝熱面積が大きくなり、かつ利用
できる熱源の温度に厳しい制限が生じるという問題があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明が解決しようとする課題は、クメンハイドロパー
オキサイドを含む溶液を加熱する設備の熱交換に必要な
伝熱面積を小さくでき、しかもクメンハイドロパーオキ
サイドの分解反応を抑制することで、好ましくない副生
物の生成を抑えることができるという優れた特徴を有す
るクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法
を提供する点に存する。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ク
メンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法であ
って、加熱時に該溶液が保持される容器部分が該溶液に
よって満液状態に保たれているクメンハイドロパーオキ
サイドを含む溶液の加熱方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の加熱に供されるクメンハ
イドロパーオキサイドを含む溶液におけるクメンハイド
ロパーオキサイド以外の成分としては、クメンや芳香族
の単環式化合物(例えばベンゼン、トルエン、クロロベ
ンゼン、オルトジクロロベンゼン)およびアルカン(例
えばオクタン、デカン、ドデカン)等をあげることがで
きる。溶液中におけるクメンハイドロパーオキサイドの
濃度としては、5〜80重量%であることが好ましい。
該濃度が過少であると工業的に生産性が低く不利であ
り、一方該濃度が過多であると分解反応が進行しやすく
不利である。
【0007】本発明においては、加熱時に溶液が保持さ
れる容器部分が溶液によって満液状態に保たれているこ
とが必要である。このようにすることにより、はじめて
前記の本発明が解決しようとする課題が解決される。
【0008】クメンハイドロパーオキサイドを含む溶液
を加熱する場合、溶液の温度は下記式(1)に示される
温度以下とすることが望ましい。 t(℃)=150−0.8×w (1) w:溶液中のクメンハイドロパーオキサイド濃度(重量
%) 上記条件を満足しない場合、クメンハイドロパーオキサ
イドが熱分解を受けて収率が低下し、好ましくない副生
物を生じることは、特開平2001-270874号公報に記載さ
れている。
【0009】ここで、加熱時に溶液が保持される容器部
分において、溶媒が蒸発する方法を用いた場合、溶液中
のクメンハイドロパーオキサイドが濃縮され、局所的に
式(1)の条件を満足しないことが起こりうる。一方、
これを回避するために該溶液と接する伝熱面の温度を低
くすると、所望の熱量を与えるための必要伝熱面積が大
きくなり、かつ利用できる熱源の温度に厳しい制限が生
じるのである。しかし、本発明とおり、加熱時に溶液が
保持される容器部分が溶液によって満液状態に保たれて
いる加熱方法では、局所的な溶媒の蒸発によるクメンハ
イドロパーオキサイドの濃縮が起こりえないため、上記
のような問題は起こらず、該溶液を加熱する設備の伝熱
面積を小さくでき、しかもクメンハイドロパーオキサイ
ドの熱分解を抑制することで、好ましくない副生物の生
成を抑えることができるというものである。
【0010】本発明の加熱方法は、下記の工程を含むプ
ロピレンオキサイドの製造方法における加熱工程で用い
られ得る。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 加熱工程:酸化工程で得られた反応液であるクメンハイ
ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 濃縮工程:加熱工程後の反応液を濃縮する工程 エポキシ化工程:濃縮工程後の反応液中のクメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
【0011】また、本発明の加熱方法は、下記の工程を
含むプロピレンオキサイドの製造方法における加熱工程
で用いられ得る。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 加熱工程:酸化工程で得られた反応液であるクメンハイ
ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 脱水工程:加熱工程後の反応液に含まれる水を分離除去
する工程 エポキシ化工程:脱水工程後の反応液中のクメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
【0012】また、本発明の加熱方法は、下記の工程を
含むプロピレンオキサイドの製造方法における加熱工程
で用いられ得る。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 洗浄工程:酸化工程で得た反応液をアルカリ水溶液およ
び/または水で洗浄する工程 加熱工程:洗浄工程で得られた反応液であるクメンハイ
ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 脱水工程:加熱工程後の反応液に含まれる水を分離除去
する工程 エポキシ化工程:脱水工程後の反応液中のクメンハイド
ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
【0013】本発明の酸化工程は、クメンを酸化するこ
とによりクメンハイドロパーオキサイドを得る工程であ
る。クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空気などの
含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸化反応は
添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリのような
添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50〜200
℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。
添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬として
は、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合物や、
アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaHCO3
のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び(NH
42CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等が用い
られる。
【0014】本発明の加熱工程は、酸化工程またはその
後段に必要に応じて設置される工程を経て得られたクメ
ンハイドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程で
あって、溶液が保持される容器部分が該溶液によって満
液状態に保たれている加熱工程である。本工程で加熱さ
れる溶液の温度は特開2001-270874号公報に記載されて
いる。本工程の操作圧力は、加熱温度において溶媒が蒸
発しない圧力以上である。
【0015】本発明の濃縮工程は、加熱工程で加熱され
た反応液中のクメンハイドロパーオキサイドを所望の濃
度まで濃縮する工程である。本工程の好ましい方法及び
条件は、次のとおりである。設備としては、蒸発缶や多
重効用缶、蒸留塔等を用いることができる。濃縮操作の
条件は、反応液中の溶媒が蒸発する条件であり、減圧下
において、特開2001-270874号公報に記載されている温
度以下とすることが望ましい
【0016】本発明の脱水工程は、加熱工程で加熱され
た反応液中から、水を分離除去する工程である。本発明
工程の好ましい方法及び条件は、次のとおりである。設
備としては、蒸発缶や多重効用缶、蒸留塔等を用いるこ
とができる。脱水操作の条件は、反応液中から水が蒸発
する条件であり、減圧下において、特開2001-270874号
公報に記載されている温度以下とすることが望ましい。
【0017】本発明の洗浄工程は、酸化工程で得た反応
液をアルカリ水溶液および/または水で洗浄する工程で
ある。本発明工程の好ましい方法及び条件は、次のとお
りである。洗浄すべき反応液に、アルカリ水溶液および
/または水を添加して混合し、その後油層と水層に分離
する設備を有する工程である。本工程に供給されるアル
カリ水溶液は、NaOH、KOHのようなアルカリ金属
化合物の水溶液や、アルカリ土類金属化合物又はNa2
CO3、NaHCO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はア
ンモニア及び(NH42CO3、アルカリ金属炭酸アン
モニウム塩等の水溶液が用いられ、酸化反応器に直接添
加してもよいし、反応の後に添加してもよい。添加する
アルカリの当量としては、洗浄すべき反応液に含まれる
酸の当量に対して1〜5倍とするのが一般的である。装
置としては、一般的な混合装置や油水分離装置を用いる
ことができる。操作温度は特開2001-270874号公報に記
載されている温度以下とすることが望ましい。操作圧力
は大気圧から5MPaの間である。洗浄工程はアルカリ
洗浄、水洗浄を必要に応じて多段に配置してもよい。
【0018】本発明のエポキシ化工程は、脱水工程後の
反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレン
とを反応させることによりプロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程である。本工程では、通常、
クメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレンと
を、液相中、固体触媒の存在下に反応させることによ
り、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールが製造
される。
【0019】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。
【0020】本発明において、エポキシ化工程の原料物
質として使用されるクメンハイドロパーオキサイドは、
希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
【0021】反応は、溶媒を用いて液相中で実施され
る。溶媒は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であ
り、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なも
のでなければならない。溶媒は使用されるハイドロパー
オキサイド溶液中に存在する物質からなるものであって
よい。たとえばクメンハイドロパーオキサイドがその原
料であるクメンとからなる混合物である場合には、特に
溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすること
も可能である。その他、有用な溶媒としては、芳香族の
単環式化合物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベ
ンゼン、オルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たと
えばオクタン、デカン、ドデカン)などがあげられる。
【0022】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。
【0023】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。
【0024】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。
【0025】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ク
メンハイドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する設備
の必要伝熱面積を小さくでき、しかもクメンハイドロパ
ーオキサイドの熱分解を抑制することで、好ましくない
副生物の生成を抑えることができるという優れた特徴を
有するクメンハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱
方法を提供することができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クメンハイドロパーオキサイドを含む溶
    液の加熱方法であって、加熱時に該溶液が保持される容
    器部分が該溶液によって満液状態に保たれているクメン
    ハイドロパーオキサイドを含む溶液の加熱方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の加熱方法が、下記の工程
    を含むプロピレンオキサイドの製造方法における加熱工
    程で用いられる請求項1記載の加熱方法。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
    パーオキサイドを得る工程 加熱工程:酸化工程で得られた反応液であるクメンハイ
    ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 濃縮工程:加熱工程後の反応液を濃縮する工程 エポキシ化工程:濃縮工程後の反応液中のクメンハイド
    ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
    りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
  3. 【請求項3】 請求項1記載の加熱方法が、下記の工程
    を含むプロピレンオキサイドの製造方法における加熱工
    程で用いられる請求項1記載の加熱方法。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
    パーオキサイドを得る工程 加熱工程:酸化工程で得られた反応液であるクメンハイ
    ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 脱水工程:加熱工程後の反応液に含まれる水を分離除去
    する工程 エポキシ化工程:脱水工程後の反応液中のクメンハイド
    ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
    りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
  4. 【請求項4】 請求項1記載の加熱方法が、下記の工程
    を含むプロピレンオキサイドの製造方法における加熱工
    程で用いられる請求項1記載の加熱方法。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
    パーオキサイドを得る工程 洗浄工程:酸化工程で得た反応液をアルカリ水溶液およ
    び/または水で洗浄する工程 加熱工程:洗浄工程で得られた反応液であるクメンハイ
    ドロパーオキサイドを含む溶液を加熱する工程 脱水工程:加熱工程後の反応液に含まれる水を分離除去
    する工程 エポキシ化工程:脱水工程後の反応液中のクメンハイド
    ロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによ
    りプロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る工
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018021271A1 (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 住友化学株式会社 プロピレンオキサイドの製造方法

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