JP2003160522A - プロピレンオキサイド及びアセトフェノンの製造方法 - Google Patents
プロピレンオキサイド及びアセトフェノンの製造方法Info
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- JP2003160522A JP2003160522A JP2001357359A JP2001357359A JP2003160522A JP 2003160522 A JP2003160522 A JP 2003160522A JP 2001357359 A JP2001357359 A JP 2001357359A JP 2001357359 A JP2001357359 A JP 2001357359A JP 2003160522 A JP2003160522 A JP 2003160522A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 スチレンを併産することなくプロピレンをエ
ポキシ化して所望のプロピレンオキサイドに変換するこ
とができ、かつエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤ
ーを構成するクメンを繰り返して使用することができ、
しかもアセトフェノンをも得ることができるプロピレン
オキサイド及びアセトフェノンの製造方法を提供する。 【解決手段】酸化工程:クメンを酸化してクメンハイド
ロパーオキサイドを得る エポキシ化工程:クメンハイドロパーオキサイドとプロ
ピレンからプロピレンオキサイド及びクミルアルコール
を得る アセトフェノン分離工程:クミルアルコールを含有する
反応液中に含まれるアセトフェノンを分離して回収し、
クメンを酸化工程にリサイクルする 水素化分解工程:アセトフェノン分離工程でアセトフェ
ノンを分離した後のクミルアルコールを水素化分解して
クメンとし該クメンを酸化工程へリサイクルする
ポキシ化して所望のプロピレンオキサイドに変換するこ
とができ、かつエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤ
ーを構成するクメンを繰り返して使用することができ、
しかもアセトフェノンをも得ることができるプロピレン
オキサイド及びアセトフェノンの製造方法を提供する。 【解決手段】酸化工程:クメンを酸化してクメンハイド
ロパーオキサイドを得る エポキシ化工程:クメンハイドロパーオキサイドとプロ
ピレンからプロピレンオキサイド及びクミルアルコール
を得る アセトフェノン分離工程:クミルアルコールを含有する
反応液中に含まれるアセトフェノンを分離して回収し、
クメンを酸化工程にリサイクルする 水素化分解工程:アセトフェノン分離工程でアセトフェ
ノンを分離した後のクミルアルコールを水素化分解して
クメンとし該クメンを酸化工程へリサイクルする
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレンオキサ
イド及びアセトフェノンの製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、スチレンを併産すること
なくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレンオキ
サイドに変換することができ、かつエポキシ化で用いら
れる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返して使
用することができ、しかもアセトフェノンをも得ること
ができるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイ
ド及びアセトフェノンの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エチルベンゼンのハイドロパーオキサイ
ドを酸素キャリヤーとして用いてプロピレンを酸化し、
プロピレンオキサイド及びスチレンを得るプロセスはハ
ルコン法として知られている。この方法によると、プロ
ピレンオキサイドと共にスチレンが必然的に副生される
ため、プロピレンオキサイドのみを選択的に得るという
観点からは不満足である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明が解決しようとする課題は、スチレンを併産する
ことなくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレン
オキサイドに変換することができ、かつエポキシ化で用
いられる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返し
て使用することができ、しかも酸素のキャリヤーとして
使用するクメンハイドロパーオキサイドの分解によって
生成する不純物から工業的に有用なアセトフェノンをも
得ることができるという優れた特徴を有するプロピレン
オキサイド及びアセトフェノンの製造方法を提供する点
に存するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の工程を含むプロピレンオキサイド及びアセトフェノ
ンの製造方法に係るものである。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 アセトフェノン分離工程:エポキシ化工程で得たクミル
アルコールを含有する反応液中に含まれるアセトフェノ
ンを分離して回収し、更に反応液中のクメンを分離して
酸化工程にリサイクルする工程 水素化分解工程:アセトフェノン分離工程でアセトフェ
ノンを分離した後のクミルアルコールを水素化分解する
ことによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料とし
て酸化工程へリサイクルする工程 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の酸化工程は、クメンを酸
化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る
工程である。クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空
気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸
化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリ
のような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50
〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間
である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬
としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合
物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaH
CO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び
(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等
が用いられる。 【0006】本発明のエポキシ化工程は、酸化工程で得
たクメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレン
とを、液相中、固体触媒の存在下に反応させることによ
り、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る
工程である。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】本発明において、エポキシ化工程の原料物
質として使用されるクメンハイドロパーオキサイドは、
希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】本発明のアセトフェノン分離工程は、エポ
キシ化工程で得たクミルアルコールを含有する反応液中
に含まれるアセトフェノンを分離して回収し、更に反応
液中のクメンを分離して酸化工程にリサイクルする工程
である。 【0014】アセトフェノンは酸化工程及びエポキシ工
程において、クメンハイドロパーオキサイドの分解反応
により生成する。エポキシ化工程で得たクミルアルコー
ルを含有する反応液中に含まれるアセトフェノンは系内
蓄積成分であり、リサイクルを続ければ濃度が経時的に
増加し、各工程の反応有効容積が減少されると共に、ア
セトフェノン由来の副生成物によるエポキシ化工程の反
応阻害が生じ、また該副生成物がプロピレンオキサイド
中の不純物となりうるといった不都合が生じる。反応容
積の有効利用及び副生成物の抑制を考慮すると、アセト
フェノン分離工程へフィードされるクメンを含む溶液中
のアセトフェノン濃度は、通常0.1〜5重量パーセン
トとなるように制御される。アセトフェノンを分離して
回収する方法としては、蒸留、抽出等をあげることがで
きる。また、具体的な条件としては、二基の蒸留塔を用
いて99%以上の純度を持つアセトフェノンを分離する
方法をあげることができる。以下、図1を参照しつつ、
説明する。 【0015】すなわち、クミルアルコールを含む反応液
[8]を一基目の蒸留塔(5)にフィードして、その塔
頂にクメンに富む成分[9]を分離したのち、クミルア
ルコール及びアセトフェノンに富むその塔底液[10]を
二基目の蒸留塔(6)にフィードしてその塔底からクミ
ルアルコールに富む成分[11]を分離したのち、塔頂か
ら製品アセトフェノン[12]を得る方法である。一基目
の蒸留塔(5)は理論段数約10〜100段であり、圧
力は絶対圧力で0.001MPa〜1.0MPaの範囲
で操作される。また、二基目の蒸留塔(6)は理論段数
約10〜100段であり、圧力は絶対圧力で0.001
MPa〜1.0MPaの範囲で操作される。 【0016】本発明の水素化分解工程は、エポキシ化工
程で得たクミルアルコールをアセトフェノン分離工程で
後処理後に水素化分解することによりクメンを得、該ク
メンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする
工程である。すなわち、水素化分解により、酸化工程で
用いたクメンと同一のものが再生される。水素化分解反
応は、通常、クミルアルコールと水素とを触媒に接触さ
せることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相又は気
相中で実施できる。溶媒は、反応体及び生成物に対して
実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用
されるクミルアルコール溶液中に存在する物質からなる
ものであってよい。たとえばクミルアルコールが、生成
物であるクメンとからなる混合物である場合には、特に
溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすること
も可能である。その他、有用な溶媒は、アルカン(たと
えばオクタン、デカン、ドデカン)や、芳香族の単環式
化合物(たとえばベンゼン、エチルベンゼン、トルエ
ン)などがあげられる。水素化分解反応温度は一般に0
〜500℃であるが、30〜400℃の温度が好まし
い。一般に圧力は100〜10000kPaであること
が有利である。水素化分解反応は、スラリー又は固定床
の形の触媒を使用して有利に実施できる。触媒としては
水素化能を有するいずれの触媒を用いることができる。
触媒の例としてはコバルト、ニッケル、パラジウム等の
8A族金属系触媒、銅、亜鉛等の1B族及び2B族金属
系触媒をあげることができるが、副生成物を抑制する観
点からいえば銅系触媒を用いることが好ましい。銅系触
媒としては銅、ラネー銅、銅−クロム、銅−亜鉛、銅−
クロム−亜鉛、銅−シリカ、銅−アルミナ等及びこれら
を含む化合物があげられる。本発明の方法は、回分法、
半連続法又は連続法によって実施できる。反応原料を含
有する液又はガスを固定床に通した場合には、反応帯域
から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないか
又は実質的に含まれていない。 【0017】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ス
チレンを併産することなくプロピレンをエポキシ化して
所望のプロピレンオキサイドに変換することができ、か
つエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤーを構成する
クメンを繰り返して使用することができ、しかもアセト
フェノンをも得ることができるという優れた特徴を有す
るプロピレンオキサイド及びアセトフェノンの製造方法
を提供することができた。
イド及びアセトフェノンの製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、スチレンを併産すること
なくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレンオキ
サイドに変換することができ、かつエポキシ化で用いら
れる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返して使
用することができ、しかもアセトフェノンをも得ること
ができるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイ
ド及びアセトフェノンの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エチルベンゼンのハイドロパーオキサイ
ドを酸素キャリヤーとして用いてプロピレンを酸化し、
プロピレンオキサイド及びスチレンを得るプロセスはハ
ルコン法として知られている。この方法によると、プロ
ピレンオキサイドと共にスチレンが必然的に副生される
ため、プロピレンオキサイドのみを選択的に得るという
観点からは不満足である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明が解決しようとする課題は、スチレンを併産する
ことなくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレン
オキサイドに変換することができ、かつエポキシ化で用
いられる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返し
て使用することができ、しかも酸素のキャリヤーとして
使用するクメンハイドロパーオキサイドの分解によって
生成する不純物から工業的に有用なアセトフェノンをも
得ることができるという優れた特徴を有するプロピレン
オキサイド及びアセトフェノンの製造方法を提供する点
に存するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の工程を含むプロピレンオキサイド及びアセトフェノ
ンの製造方法に係るものである。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 アセトフェノン分離工程:エポキシ化工程で得たクミル
アルコールを含有する反応液中に含まれるアセトフェノ
ンを分離して回収し、更に反応液中のクメンを分離して
酸化工程にリサイクルする工程 水素化分解工程:アセトフェノン分離工程でアセトフェ
ノンを分離した後のクミルアルコールを水素化分解する
ことによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料とし
て酸化工程へリサイクルする工程 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の酸化工程は、クメンを酸
化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る
工程である。クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空
気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸
化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリ
のような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50
〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間
である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬
としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合
物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaH
CO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び
(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等
が用いられる。 【0006】本発明のエポキシ化工程は、酸化工程で得
たクメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレン
とを、液相中、固体触媒の存在下に反応させることによ
り、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る
工程である。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】本発明において、エポキシ化工程の原料物
質として使用されるクメンハイドロパーオキサイドは、
希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】本発明のアセトフェノン分離工程は、エポ
キシ化工程で得たクミルアルコールを含有する反応液中
に含まれるアセトフェノンを分離して回収し、更に反応
液中のクメンを分離して酸化工程にリサイクルする工程
である。 【0014】アセトフェノンは酸化工程及びエポキシ工
程において、クメンハイドロパーオキサイドの分解反応
により生成する。エポキシ化工程で得たクミルアルコー
ルを含有する反応液中に含まれるアセトフェノンは系内
蓄積成分であり、リサイクルを続ければ濃度が経時的に
増加し、各工程の反応有効容積が減少されると共に、ア
セトフェノン由来の副生成物によるエポキシ化工程の反
応阻害が生じ、また該副生成物がプロピレンオキサイド
中の不純物となりうるといった不都合が生じる。反応容
積の有効利用及び副生成物の抑制を考慮すると、アセト
フェノン分離工程へフィードされるクメンを含む溶液中
のアセトフェノン濃度は、通常0.1〜5重量パーセン
トとなるように制御される。アセトフェノンを分離して
回収する方法としては、蒸留、抽出等をあげることがで
きる。また、具体的な条件としては、二基の蒸留塔を用
いて99%以上の純度を持つアセトフェノンを分離する
方法をあげることができる。以下、図1を参照しつつ、
説明する。 【0015】すなわち、クミルアルコールを含む反応液
[8]を一基目の蒸留塔(5)にフィードして、その塔
頂にクメンに富む成分[9]を分離したのち、クミルア
ルコール及びアセトフェノンに富むその塔底液[10]を
二基目の蒸留塔(6)にフィードしてその塔底からクミ
ルアルコールに富む成分[11]を分離したのち、塔頂か
ら製品アセトフェノン[12]を得る方法である。一基目
の蒸留塔(5)は理論段数約10〜100段であり、圧
力は絶対圧力で0.001MPa〜1.0MPaの範囲
で操作される。また、二基目の蒸留塔(6)は理論段数
約10〜100段であり、圧力は絶対圧力で0.001
MPa〜1.0MPaの範囲で操作される。 【0016】本発明の水素化分解工程は、エポキシ化工
程で得たクミルアルコールをアセトフェノン分離工程で
後処理後に水素化分解することによりクメンを得、該ク
メンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする
工程である。すなわち、水素化分解により、酸化工程で
用いたクメンと同一のものが再生される。水素化分解反
応は、通常、クミルアルコールと水素とを触媒に接触さ
せることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相又は気
相中で実施できる。溶媒は、反応体及び生成物に対して
実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用
されるクミルアルコール溶液中に存在する物質からなる
ものであってよい。たとえばクミルアルコールが、生成
物であるクメンとからなる混合物である場合には、特に
溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすること
も可能である。その他、有用な溶媒は、アルカン(たと
えばオクタン、デカン、ドデカン)や、芳香族の単環式
化合物(たとえばベンゼン、エチルベンゼン、トルエ
ン)などがあげられる。水素化分解反応温度は一般に0
〜500℃であるが、30〜400℃の温度が好まし
い。一般に圧力は100〜10000kPaであること
が有利である。水素化分解反応は、スラリー又は固定床
の形の触媒を使用して有利に実施できる。触媒としては
水素化能を有するいずれの触媒を用いることができる。
触媒の例としてはコバルト、ニッケル、パラジウム等の
8A族金属系触媒、銅、亜鉛等の1B族及び2B族金属
系触媒をあげることができるが、副生成物を抑制する観
点からいえば銅系触媒を用いることが好ましい。銅系触
媒としては銅、ラネー銅、銅−クロム、銅−亜鉛、銅−
クロム−亜鉛、銅−シリカ、銅−アルミナ等及びこれら
を含む化合物があげられる。本発明の方法は、回分法、
半連続法又は連続法によって実施できる。反応原料を含
有する液又はガスを固定床に通した場合には、反応帯域
から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないか
又は実質的に含まれていない。 【0017】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ス
チレンを併産することなくプロピレンをエポキシ化して
所望のプロピレンオキサイドに変換することができ、か
つエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤーを構成する
クメンを繰り返して使用することができ、しかもアセト
フェノンをも得ることができるという優れた特徴を有す
るプロピレンオキサイド及びアセトフェノンの製造方法
を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプロピレンオキサイド及びアセト
フェノンの製造方法のフローの例である。 【符号の説明】 (1) 酸化工程 (2) エポキシ工程 (3) プロピレン回収工程 (4) プロピレンオキサイドとクミルアルコールの分
離 (5) クメンとアセトフェノン・クミルアルコールの
分離 (6) アセトフェノンとクミルアルコールの分離 (7) 水素化分解工程 [1] クメン(フレッシュフィード) [2] 酸素源 [3] クメンハイドロパーオキサイド [4] プロピレン(フレッシュフィード) [5] プロピレン(リサイクル) [6] エポキシ化工程反応液 [7] プロピレンオキサイド [8] クミルアルコール含有反応液 [9] クメン(リサイクル) [10] クミルアルコール・アセトフェノン液 [11] クミルアルコール [12] アセトフェノン [13] 水素 [14] クメン(リサイクル) [15] 脱プロピレンエポキシ反応液
フェノンの製造方法のフローの例である。 【符号の説明】 (1) 酸化工程 (2) エポキシ工程 (3) プロピレン回収工程 (4) プロピレンオキサイドとクミルアルコールの分
離 (5) クメンとアセトフェノン・クミルアルコールの
分離 (6) アセトフェノンとクミルアルコールの分離 (7) 水素化分解工程 [1] クメン(フレッシュフィード) [2] 酸素源 [3] クメンハイドロパーオキサイド [4] プロピレン(フレッシュフィード) [5] プロピレン(リサイクル) [6] エポキシ化工程反応液 [7] プロピレンオキサイド [8] クミルアルコール含有反応液 [9] クメン(リサイクル) [10] クミルアルコール・アセトフェノン液 [11] クミルアルコール [12] アセトフェノン [13] 水素 [14] クメン(リサイクル) [15] 脱プロピレンエポキシ反応液
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07D 303/04 C07D 303/04
// C07B 61/00 300 C07B 61/00 300
Fターム(参考) 4C048 AA01 BB01 BC01 CC01 XX02
4H006 AA02 AC40 AC41 AC44 AD30
BA20 BA21 BA25 BA61 BA70
BD34 BD51 BE30 FE11
4H039 CA60 CB40
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の工程を含むプロピレンオキサイド
及びアセトフェノンの製造方法。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 アセトフェノン分離工程:エポキシ化工程で得たクミル
アルコールを含有する反応液中に含まれるアセトフェノ
ンを分離して回収し、更に反応液中のクメンを分離して
酸化工程にリサイクルする工程 水素化分解工程:アセトフェノン分離工程でアセトフェ
ノンを分離した後のクミルアルコールを水素化分解する
ことによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料とし
て酸化工程へリサイクルする工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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CN100418959C (zh) * | 2003-09-26 | 2008-09-17 | 住友化学株式会社 | 环氧丙烷的制造方法 |
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