JP2003261551A - プロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法 - Google Patents
プロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 スチレンを併産することなくプロピレンをエ
ポキシ化して所望のプロピレンオキサイドに変換するこ
とができ、かつエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤ
ーを構成するクメンを繰り返して使用することができ、
しかもクメンダイマーをも得ることができる。 【解決手段】 下記の工程を含む。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得るエポキシ化工程:クメンハイドロ
パーオキサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の
存在下に反応させることにより、プロピレンオキサイド
及びクミルアルコールを得る 水素化分解工程:クミルアルコールを水素化分解するこ
とによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料として
酸化工程へリサイクルする クメンダイマー分離工程:水素化分解工程で得たクメン
を含有する反応液中に含まれるクメンダイマーを分離し
て回収する
ポキシ化して所望のプロピレンオキサイドに変換するこ
とができ、かつエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤ
ーを構成するクメンを繰り返して使用することができ、
しかもクメンダイマーをも得ることができる。 【解決手段】 下記の工程を含む。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得るエポキシ化工程:クメンハイドロ
パーオキサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の
存在下に反応させることにより、プロピレンオキサイド
及びクミルアルコールを得る 水素化分解工程:クミルアルコールを水素化分解するこ
とによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料として
酸化工程へリサイクルする クメンダイマー分離工程:水素化分解工程で得たクメン
を含有する反応液中に含まれるクメンダイマーを分離し
て回収する
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレンオキサ
イド及びクメンダイマーの製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、スチレンを併産すること
なくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレンオキ
サイドに変換することができ、かつエポキシ化で用いら
れる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返して使
用することができ、しかもクメンダイマーをも得ること
ができるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイ
ド及びクメンダイマーの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エチルベンゼンのハイドロパーオキサイ
ドを酸素キャリヤーとして用いてプロピレンを酸化し、
プロピレンオキサイド及びスチレンを得るプロセスはハ
ルコン法として知られている。この方法によると、プロ
ピレンオキサイドと共にスチレンが必然的に副生される
ため、プロピレンオキサイドのみを選択的に得るという
観点からは不満足である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明が解決しようとする課題は、スチレンを併産する
ことなくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレン
オキサイドに変換することができ、かつエポキシ化で用
いられる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返し
て使用することができ、しかも酸素のキャリヤーとして
使用するクメンハイドロパーオキサイドの原料として使
用するクメンの2量化によって生成する工業的に有用な
クメンダイマーをも得ることができるという優れた特徴
を有するプロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製
造方法を提供する点に存するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の工程を含むプロピレンオキサイド及びクメンダイマ
ーの製造方法に係るものである。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 水素化分解工程:エポキシ化工程で生成したクミルアル
コールを水素化分解することによりクメンを得、該クメ
ンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする工
程 クメンダイマー分離工程:水素化分解工程で得たクメン
を含有する反応液中に含まれるクメンダイマーを分離し
て回収する工程 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の酸化工程は、クメンを酸
化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る
工程である。クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空
気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸
化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリ
のような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50
〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間
である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬
としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合
物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaH
CO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び
(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等
が用いられる。 【0006】本発明のエポキシ化工程は、酸化工程で得
たクメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレン
とを、液相中、固体触媒の存在下に反応させることによ
り、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る
工程である。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】本発明において、エポキシ化工程の原料物
質として使用されるクメンハイドロパーオキサイドは、
希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】本発明の水素化分解工程は、エポキシ化工
程で得たクミルアルコールを水素化分解することにより
クメンを得、該クメンを酸化工程の原料として酸化工程
へリサイクルする工程である。すなわち、水素化分解に
より、酸化工程で用いたクメンと同一のものが再生され
る。水素化分解反応は、通常、クミルアルコールと水素
とを触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を
用いて液相又は気相中で実施できる。溶媒は、反応体及
び生成物に対して実質的に不活性なものでなければなら
ない。溶媒は使用されるクミルアルコール溶液中に存在
する物質からなるものであってよい。たとえばクミルア
ルコールが、生成物であるクメンとからなる混合物であ
る場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒
の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒
は、アルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)
や、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、エチル
ベンゼン、トルエン)などがあげられる。水素化分解反
応温度は一般に0〜500℃であるが、30〜400℃
の温度が好ましい。一般に圧力は100〜10000k
Paであることが有利である。水素化分解反応は、スラ
リー又は固定床の形の触媒を使用して有利に実施でき
る。触媒としては水素化能を有するいずれの触媒を用い
ることができる。触媒の例としてはコバルト、ニッケ
ル、パラジウム等の8A族金属系触媒、銅、亜鉛等の1
B族及び2B族金属系触媒をあげることができるが、副
生成物を抑制する観点からいえば銅系触媒を用いること
が好ましい。銅系触媒としては銅、ラネー銅、銅−クロ
ム、銅−亜鉛、銅−クロム−亜鉛、銅−シリカ、銅−ア
ルミナ等及びこれらを含む化合物があげられる。本発明
の方法は、回分法、半連続法又は連続法によって実施で
きる。反応原料を含有する液又はガスを固定床に通した
場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全
く含まれていないか又は実質的に含まれていない。 【0014】本発明のクメンダイマー分離工程は、水素
化分解工程で得たクメンを含有する反応液中に含まれる
クメンダイマーを分離して回収する工程である。 【0015】クメンダイマーは、各反応工程においてク
メンが2量化した結果生成する化合物である。クメンダ
イマーは系内蓄積成分であり、リサイクルを続ければ濃
度が経時的に増加し、各工程の反応有効容積が減少され
ると共に、熱交換器や蒸留等において汚れの原因となり
性能低下を引き起こすといった不都合が生じる。反応容
積の有効利用及び熱交換器や蒸留等における汚れの抑制
を考慮すると、酸化工程へリサイクルされるクメン含む
溶液中のクメンダイマーの濃度が5重量%以下であるこ
とが必要であり、好ましくは2重量%以下である。クメ
ンダイマーを分離して回収する方法としては、蒸留、抽
出、晶析等をあげることができる。また、具体的な条件
としては、水素化分解工程出口液から蒸留塔を用いて9
0%以上の純度を持つクメンダイマーを分離する方法を
上げることができ、以下、図1を参照して説明する。 【0016】方法1は、水素化分解反応液[11]を一基目
の蒸留塔(6)にフィードして、その塔頂にクメンに富
む成分[12]を分離したのち、クメンダイマー及び重質
不純物に富むその塔底液[13]を二基目の蒸留塔(7)
にフィードしてその塔頂からクメン及び重質不純物に富
む成分[14]を分離したのち、塔底から製品クメンダイ
マー[15]を得る方法である。一基目の蒸留塔(6)は
理論段数約10〜100段であり、圧力は0.001M
Pa〜1.0MPaの範囲で操作される。また、二基目
の蒸留塔(7)は理論段数約2〜20段であり、圧力は
0.001MPa〜1.0MPaの範囲で操作される。 【0017】本発明で示すようにクメンダイマー分離工
程を水素化分解工程の後に設置することで、沸点の高い
クメンダイマーを蒸留によって容易に分離することがで
きる。すなわち、クメンダイマーは沸点が高いので反応
性の高い不純物の存在下で蒸留を行うとそれら反応性の
高い不純物が変質して純度を上げることが困難である
が、水素化分解工程ではそれら反応性の高い不純物を水
素化分解反応によって安定な化合物に変換しているので
高温の蒸留操作を行っても純度低下を引き起こさないこ
とが特徴である。 【0018】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ス
チレンを併産することなくプロピレンをエポキシ化して
所望のプロピレンオキサイドに変換することができ、か
つエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤーを構成する
クメンを繰り返して使用することができ、しかもクメン
ダイマーをも得ることができるという優れた特徴を有す
るプロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法
を提供することができた。
イド及びクメンダイマーの製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、本発明は、スチレンを併産すること
なくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレンオキ
サイドに変換することができ、かつエポキシ化で用いら
れる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返して使
用することができ、しかもクメンダイマーをも得ること
ができるという優れた特徴を有するプロピレンオキサイ
ド及びクメンダイマーの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エチルベンゼンのハイドロパーオキサイ
ドを酸素キャリヤーとして用いてプロピレンを酸化し、
プロピレンオキサイド及びスチレンを得るプロセスはハ
ルコン法として知られている。この方法によると、プロ
ピレンオキサイドと共にスチレンが必然的に副生される
ため、プロピレンオキサイドのみを選択的に得るという
観点からは不満足である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状において、
本発明が解決しようとする課題は、スチレンを併産する
ことなくプロピレンをエポキシ化して所望のプロピレン
オキサイドに変換することができ、かつエポキシ化で用
いられる酸素のキャリヤーを構成するクメンを繰り返し
て使用することができ、しかも酸素のキャリヤーとして
使用するクメンハイドロパーオキサイドの原料として使
用するクメンの2量化によって生成する工業的に有用な
クメンダイマーをも得ることができるという優れた特徴
を有するプロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製
造方法を提供する点に存するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の工程を含むプロピレンオキサイド及びクメンダイマ
ーの製造方法に係るものである。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 水素化分解工程:エポキシ化工程で生成したクミルアル
コールを水素化分解することによりクメンを得、該クメ
ンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする工
程 クメンダイマー分離工程:水素化分解工程で得たクメン
を含有する反応液中に含まれるクメンダイマーを分離し
て回収する工程 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の酸化工程は、クメンを酸
化することによりクメンハイドロパーオキサイドを得る
工程である。クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空
気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸
化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリ
のような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50
〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間
である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬
としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合
物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaH
CO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び
(NH4)2CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等
が用いられる。 【0006】本発明のエポキシ化工程は、酸化工程で得
たクメンハイドロパーオキサイドと過剰量のプロピレン
とを、液相中、固体触媒の存在下に反応させることによ
り、プロピレンオキサイド及びクミルアルコールを得る
工程である。 【0007】触媒としては、目的物を高収率及び高選択
率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触
媒が好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に
結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が
好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持し
たもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したも
の、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげる
ことができる。 【0008】本発明において、エポキシ化工程の原料物
質として使用されるクメンハイドロパーオキサイドは、
希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。 【0009】エポキシ化反応は、プロピレンとクメンハ
イドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われ
る。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒
は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反
応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなけれ
ばならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド
溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たと
えばクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるク
メンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加
することなく、これを溶媒の代用とすることも可能であ
る。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合
物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オ
ルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタ
ン、デカン、ドデカン)などがあげられる。 【0010】エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃
であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、
反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。
一般に圧力は100〜10000kPaであることが有
利である。 【0011】固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で
有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固
定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、
連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を
固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物
には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれ
ていない。 【0012】エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/
クメンハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50
/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速
度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサ
イクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程に
おいて多大なエネルギーを必要とする。 【0013】本発明の水素化分解工程は、エポキシ化工
程で得たクミルアルコールを水素化分解することにより
クメンを得、該クメンを酸化工程の原料として酸化工程
へリサイクルする工程である。すなわち、水素化分解に
より、酸化工程で用いたクメンと同一のものが再生され
る。水素化分解反応は、通常、クミルアルコールと水素
とを触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を
用いて液相又は気相中で実施できる。溶媒は、反応体及
び生成物に対して実質的に不活性なものでなければなら
ない。溶媒は使用されるクミルアルコール溶液中に存在
する物質からなるものであってよい。たとえばクミルア
ルコールが、生成物であるクメンとからなる混合物であ
る場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒
の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒
は、アルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)
や、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、エチル
ベンゼン、トルエン)などがあげられる。水素化分解反
応温度は一般に0〜500℃であるが、30〜400℃
の温度が好ましい。一般に圧力は100〜10000k
Paであることが有利である。水素化分解反応は、スラ
リー又は固定床の形の触媒を使用して有利に実施でき
る。触媒としては水素化能を有するいずれの触媒を用い
ることができる。触媒の例としてはコバルト、ニッケ
ル、パラジウム等の8A族金属系触媒、銅、亜鉛等の1
B族及び2B族金属系触媒をあげることができるが、副
生成物を抑制する観点からいえば銅系触媒を用いること
が好ましい。銅系触媒としては銅、ラネー銅、銅−クロ
ム、銅−亜鉛、銅−クロム−亜鉛、銅−シリカ、銅−ア
ルミナ等及びこれらを含む化合物があげられる。本発明
の方法は、回分法、半連続法又は連続法によって実施で
きる。反応原料を含有する液又はガスを固定床に通した
場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全
く含まれていないか又は実質的に含まれていない。 【0014】本発明のクメンダイマー分離工程は、水素
化分解工程で得たクメンを含有する反応液中に含まれる
クメンダイマーを分離して回収する工程である。 【0015】クメンダイマーは、各反応工程においてク
メンが2量化した結果生成する化合物である。クメンダ
イマーは系内蓄積成分であり、リサイクルを続ければ濃
度が経時的に増加し、各工程の反応有効容積が減少され
ると共に、熱交換器や蒸留等において汚れの原因となり
性能低下を引き起こすといった不都合が生じる。反応容
積の有効利用及び熱交換器や蒸留等における汚れの抑制
を考慮すると、酸化工程へリサイクルされるクメン含む
溶液中のクメンダイマーの濃度が5重量%以下であるこ
とが必要であり、好ましくは2重量%以下である。クメ
ンダイマーを分離して回収する方法としては、蒸留、抽
出、晶析等をあげることができる。また、具体的な条件
としては、水素化分解工程出口液から蒸留塔を用いて9
0%以上の純度を持つクメンダイマーを分離する方法を
上げることができ、以下、図1を参照して説明する。 【0016】方法1は、水素化分解反応液[11]を一基目
の蒸留塔(6)にフィードして、その塔頂にクメンに富
む成分[12]を分離したのち、クメンダイマー及び重質
不純物に富むその塔底液[13]を二基目の蒸留塔(7)
にフィードしてその塔頂からクメン及び重質不純物に富
む成分[14]を分離したのち、塔底から製品クメンダイ
マー[15]を得る方法である。一基目の蒸留塔(6)は
理論段数約10〜100段であり、圧力は0.001M
Pa〜1.0MPaの範囲で操作される。また、二基目
の蒸留塔(7)は理論段数約2〜20段であり、圧力は
0.001MPa〜1.0MPaの範囲で操作される。 【0017】本発明で示すようにクメンダイマー分離工
程を水素化分解工程の後に設置することで、沸点の高い
クメンダイマーを蒸留によって容易に分離することがで
きる。すなわち、クメンダイマーは沸点が高いので反応
性の高い不純物の存在下で蒸留を行うとそれら反応性の
高い不純物が変質して純度を上げることが困難である
が、水素化分解工程ではそれら反応性の高い不純物を水
素化分解反応によって安定な化合物に変換しているので
高温の蒸留操作を行っても純度低下を引き起こさないこ
とが特徴である。 【0018】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、ス
チレンを併産することなくプロピレンをエポキシ化して
所望のプロピレンオキサイドに変換することができ、か
つエポキシ化で用いられる酸素のキャリヤーを構成する
クメンを繰り返して使用することができ、しかもクメン
ダイマーをも得ることができるという優れた特徴を有す
るプロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法
を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプロピレンオキサイド及びクメン
ダイマーの製造方法のフローの例である。 【符号の説明】 (1) 酸化工程 (2) エポキシ工程 (3) プロピレン回収工程 (4) プロピレンオキサイドとクミルアルコールの分
離 (5) 水素化分解工程 (6) クメンダイマーとクメンの分離 (7) クメンダイマーと重質不純物及び生成水の分離 [1] クメン(フレッシュフィード) [2] 酸素源 [3] クメンハイドロパーオキサイド [4] プロピレン(フレッシュフィード) [5] プロピレン(リサイクル) [6] エポキシ化工程反応液 [7] プロピレンオキサイド [8] クミルアルコール含有反応液 [9] 水素化分解フィード液 [10] 水素 [11] 水素化分解反応液 [12] クメン(リサイクル) [13] クメンダイマー含有塔底液 [14] 重質不純物 [15] クメンダイマー 図中の、・・・等は上記の[1]、[2]・・・等
に相当する。
ダイマーの製造方法のフローの例である。 【符号の説明】 (1) 酸化工程 (2) エポキシ工程 (3) プロピレン回収工程 (4) プロピレンオキサイドとクミルアルコールの分
離 (5) 水素化分解工程 (6) クメンダイマーとクメンの分離 (7) クメンダイマーと重質不純物及び生成水の分離 [1] クメン(フレッシュフィード) [2] 酸素源 [3] クメンハイドロパーオキサイド [4] プロピレン(フレッシュフィード) [5] プロピレン(リサイクル) [6] エポキシ化工程反応液 [7] プロピレンオキサイド [8] クミルアルコール含有反応液 [9] 水素化分解フィード液 [10] 水素 [11] 水素化分解反応液 [12] クメン(リサイクル) [13] クメンダイマー含有塔底液 [14] 重質不純物 [15] クメンダイマー 図中の、・・・等は上記の[1]、[2]・・・等
に相当する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の工程を含むプロピレンオキサイド
及びクメンダイマーの製造方法。 酸化工程:クメンを酸化することによりクメンハイドロ
パーオキサイドを得る工程 エポキシ化工程:酸化工程で得たクメンハイドロパーオ
キサイドとプロピレンとを、液相中、固体触媒の存在下
に反応させることにより、プロピレンオキサイド及びク
ミルアルコールを得る工程 水素化分解工程:エポキシ化工程で生成したクミルアル
コールを水素化分解することによりクメンを得、該クメ
ンを酸化工程の原料として酸化工程へリサイクルする工
程 クメンダイマー分離工程:水素化分解工程で得たクメン
を含有する反応液中に含まれるクメンダイマーを分離し
て回収する工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002060254A JP2003261551A (ja) | 2002-03-06 | 2002-03-06 | プロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002060254A JP2003261551A (ja) | 2002-03-06 | 2002-03-06 | プロピレンオキサイド及びクメンダイマーの製造方法 |
Publications (1)
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