JP2009007294A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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【課題】有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイドを製造する方法であって、プロピレンの供給を有利に実施できる。
【解決手段】下記の工程を用いる。
メタセシス工程:触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る エポキシ化工程:触媒の存在下、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びアルコールを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンとする
プロピレン回収工程:エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収し、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする
プロピレンオキサイド精製工程:エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る
【選択図】図1

Description

本発明は、プロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイドを製造する方法であって、原料であるプロピレンの供給を有利に実施でき、よって特に産業的実施の観点に優れたプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイドを製造する方法は公知である。たとえば、特許文献1にはクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンからプロピレンオキサイドとクミルアルコールを得る方法が開示されている。
ところで、プロピレンを工業的規模で製造する方法として、ナフサ等を熱分解してエチレンとプロピレンを得る方法が知られており、石油化学産業において実施されている。ところが、近年、エチレンに比べてプロピレンに対する需要が増加しつつあり、この傾向は今後も加速されることが予想される。その結果、石油化学産業においてプロピレンが不足するという問題がある。
特許文献2には、スチレンおよびプロピレンオキサイドの製造方法において、流動床接触分解ユニット(FCC)を併設し、プラントで使用するエチレンおよびプロピレンを製造する技術が開示されている。しかし、この技術はFCCで経済的に得られるエチレン/プロピレン比が、プラントで要求されるエチレン/プロピレン比と一致しない場合、FCCを併設したにも関わらず、他の源から不足するエチレンまたはプロピレンの一方の供給を受けなくてはならないという点で不満足である。
特開2003−064069号公報 特表2002−521351号公報
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、本発明は、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイドを製造する方法であって、原料であるプロピレンの供給を有利に実施でき、よって特に産業的実施の観点に優れたプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
すなわち、本発明のうち第一の発明は、下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
メタセシス工程:触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程
エポキシ化工程:触媒の存在下、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びアルコールを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
プロピレン回収工程:エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収し、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程
プロピレンオキサイド精製工程:エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程
また、本発明のうち第二の発明は、下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
メタセシス工程:触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程
アルキル化工程:触媒の存在下、ベンゼンとプロピレンを反応させてクメンを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
酸化工程:クメンを酸化してクメンハイドロパーオキサイドを含む酸化反応液を得る工程
エポキシ化工程:触媒の存在下、酸化反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びα−クミルアルコールを含むエポキシ反応液を得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
プロピレン回収工程:エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収して、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程
プロピレンオキサイド精製工程:エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程
水素化工程:触媒の存在下、エポキシ化工程で得たα−クミルアルコールを水素化することによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料の少なくとも一部として酸化工程へリサイクルする工程
本発明により、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイドを製造する方法であって、原料であるプロピレンの供給を有利に実施でき、よって特に産業的実施の観点に優れたプロピレンオキサイドの製造方法を提供することができる。
まず、第一の発明について説明する。
本発明のメタセシス工程は、触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程である。
触媒としては、公知のメタセシス触媒を利用することができ、元素周期表の第6族元素から第10族元素の少なくとも1種類を含む化合物、例えばルテニウムやレニウムの酸化物を含む化合物をアルミナ担体に担持したもの等をあげることができる。
2−ブテンは、たとえばナフサのスチームクラッキングで生産されるオレフィンのうち、炭素数3−6の混合物流を分留することや、エチレンの重合反応、1−ブテンの異性化等により得ることができる。
本工程を実施する好ましい具体例としては下記の方法をあげることができる。
本工程の反応条件は採用する触媒に応じて適時最適化された反応条件を採用すればよいが、一般に加圧下、300〜500℃付近で実施されることが多い。
反応器についても特に制限はないが、例えば、遷移金属酸化物を含む化合物をアルミナ等に担持させた固体触媒を固定床流通反応器にて用いる方法があげられる。
本発明のエポキシ化工程は、触媒の存在下、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びアルコールを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程である。
本発明のエポキシ化工程は、目的物を高収率及び高選択率下に得る観点から、チタン含有珪素酸化物からなる触媒の存在下に実施することが好ましい。これらの触媒は、珪素酸化物と化学的に結合したTiを含有する、いわゆるTi−シリカ触媒が好ましい。たとえば、Ti化合物をシリカ担体に担持したもの、共沈法やゾルゲル法で珪素酸化物と複合したもの、あるいはTiを含むゼオライト化合物などをあげることができる。
本発明において、エポキシ化工程の原料物質として使用される有機ハイドロパーオキサイドは、希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
エポキシ化反応は、プロピレンと有機ハイドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行われる。反応は、溶媒を用いて液相中で実施される。溶媒は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえばエチルベンゼンハイドロパーオキサイドやクメンハイドロパーオキサイドがその原料であるエチルベンゼンやクメンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。その他、有用な溶媒としては、芳香族の単環式化合物(たとえばベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン)及びアルカン(たとえばオクタン、デカン、ドデカン)などがあげられる。
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
固体触媒は、スラリー状又は固定床の形で有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固定床を用いるのが好ましい。また、回分法、半連続法、連続法等によって実施できる。反応原料を含有する液を固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれていない。
エポキシ化工程へ供給されるプロピレン/有機ハイドロパーオキサイドのモル比は2/1〜50/1であることが好ましい。該比が過小であると反応速度が低下して効率が悪く、一方該比が過大であるとリサイクルされるプロピレンの量が過大となり、回収工程において多大なエネルギーを必要とする。
本発明のプロピレン回収工程は、エポキシ化工程後の反応液中に含まれる未反応のプロピレンを回収し、該回収したプロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程である。
本工程を実施する好ましい具体例としては下記の方法をあげることができる。
上記のとおり、プロピレンは過剰に用いられるので、エポキシ化工程から出てくる反応液中には未反応のプロピレンが含まれる。該プロピレンを反応液から分離して回収する方法としては、反応液を蒸留する方法をあげることができる。蒸留は通常反応液の中からプロピレンが気化しやすい条件を用いる。蒸留の条件としては、蒸留工程に供給される反応液の温度や組成によっても変化するが、通常、圧力はゲージ圧で0〜5MPa、好ましくは0〜3MPa、塔頂温度−50〜150℃をあげることができる。また、複数の蒸留塔を用いて段階的にプロピレンを蒸留する方法を用いてもよい。
本発明のプロピレンオキサイド精製工程は、エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程である。
本工程を実施する好ましい具体例としては下記の方法をあげることができる。
精製に付されるプロピレンオキサイドはエポキシ化工程の反応液から、上述の通り未反応のプロピレンを回収した後の液である。
通常、はじめにエポキシ化工程で生成したアルコールおよび溶媒が蒸留により除去され、粗プロピレンオキサイドが得られる。
この粗プロピレンオキサイドは、不純物として、水、炭化水素、酸素含有化合物が含まれているのが一般であり、炭化水素としては炭素数3〜7の炭化水素を例示することができる。酸素含有化合物としてはメタノール、アセトアルデヒド、アセトン、プロピオンアルデヒド、ギ酸メチル等の化合物を例示することができる。
これらの不純物を除去する方法として、公知の蒸留、抽出、吸着、晶析等の分離技術を適宜組み合わせてよいが、水、炭化水素、酸素含有化合物を効率的に除去する観点から、粗プロピレンオキサイドを炭素数7〜10の炭化水素を抽剤とする抽出蒸留とその他の蒸留を組み合わせて精製に付すことが好ましい。
抽剤である炭素数7〜10の炭化水素としては、n−ヘプタン、n―オクタン、n―ノナン、n―デカン等の直鎖状飽和炭化水素、2,2―ジメチルペンタン、2,3―ジメチルペンタン、2,2―ジメチルヘキサン、2,3―ジメチルヘキサン等の枝分かれ状飽和炭化水素またはこれら不飽和炭化水素等を例示することができる。尚、これらの抽剤は、単品でもこれら化合物の混合物でもどちらでも使用できる。
抽出蒸留塔およびその他の蒸留塔の型式と運転条件、抽剤の使用量等は要求される製品の品質により適宜決定するこができる。
かくして得られた精製プロピレンオキサイドは所望の製品品質を満たしている。
次に、より具体的で好ましい実施態様として、第二の発明を説明する。
本発明のメタセシス工程は、触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程であり、第一の発明において説明したとおりである。
本発明のアルキル化工程は、触媒の存在下、ベンゼンとプロピレンを反応させてクメンを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程である。
触媒としては、公知の塩化アルミ触媒やゼオライト触媒、リン酸触媒等をあげることができる。
本工程を実施する好ましい具体例としては下記の方法をあげることができる。
本工程の反応条件は採用する触媒に応じて適時最適化された反応条件を採用すればよい。例えば、反応圧力、温度は採用する触媒系や気相法、液相法によって異なるが、一般に加圧下、50〜500℃付近で実施されることが多い。
反応器についても特に制限はないが、例えば、均一系の塩化アルミ触媒を採用した場合攪拌槽を用いることができ、ゼオライト触媒を用いた場合、固定床流通反応器を用いる方法があげられる。
本発明の酸化工程は、クメンを酸化してクメンハイドロパーオキサイドを含む酸化反応液を得る工程である。
本工程を実施する好ましい具体例としては下記の方法をあげることができる。
クメンの酸化は、通常、空気や酸素濃縮空気などの含酸素ガスによる自動酸化で行われる。この酸化反応は添加剤を用いずに実施してもよいし、アルカリのような添加剤を用いてもよい。通常の反応温度は50〜200℃であり、反応圧力は大気圧から5MPaの間である。添加剤を用いた酸化法の場合、アルカリ性試薬としては、NaOH、KOHのようなアルカリ金属化合物や、アルカリ土類金属化合物又はNa2CO3、NaHCO3のようなアルカリ金属炭酸塩又はアンモニア及び(NH42CO3、アルカリ金属炭酸アンモニウム塩等が用いられる。
本発明のエポキシ化工程は、触媒の存在下、酸化反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びα−クミルアルコールを含むエポキシ反応液を得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程であり、反応条件及び装置については、第一の発明において説明したとおりである。
本発明のプロピレン回収工程は、エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収して、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程であり、反応条件及び装置については、第一の発明において説明したとおりである。
本発明のプロピレンオキサイド精製工程は、エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程であり、反応条件及び装置については、第一の発明において説明したとおりである。
本発明の水素化工程は、触媒の存在下、エポキシ化工程で得たα−クミルアルコールを水素化することによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料の少なくとも一部として酸化工程へリサイクルする工程であるがクメンを効率的にリサイクルするという観点から脱水/水添により行うことがより好ましい。
脱水工程は、エポキシ化反応で得たα−クミルアルコールを脱水触媒に供し、α−メチルスチレンと水を得る工程である。使用される触媒としては、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸や、活性アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、ゼオライト等の金属酸化物があげられるが、反応液との分離、触媒寿命、選択性等の観点から活性アルミナが好ましい。
脱水触媒の量はα−クミルアルコールが充分に転化する量であればよく、α−クミルアルコール転化率は90%以上であることが好ましく、98%以上であることが更に好ましい。
脱水反応はα−クミルアルコールを含む溶液を触媒に接触させることで行われるが、脱水/水添法においては脱水反応に引き続いて水添反応を行なうので、水素も触媒へフィードしてもよい。脱水反応温度は一般に50〜450℃であるが、150〜300℃の温度が好ましい。一般に圧力は10〜10000kPaであることが有利である。
水添工程は、脱水工程で得たα−メチルスチレンを水添触媒に供し、α−メチルスチレンを水添してクメンに変換し、クメンを酸化工程の原料としてリサイクルする工程である。
水添触媒としては、周期律表10族又は11族の金属を含む触媒をあげることができ、具体的にはニッケル、パラジウム、白金、銅をあげることができるが、芳香環の核水添反応の抑制、高収率の観点からパラジウムまたは銅が好ましい。銅系触媒としては銅、ラネー銅、銅・クロム、銅・亜鉛、銅・クロム・亜鉛、銅・シリカ、銅・アルミナ等があげられる。パラジウム触媒としては、パラジウム・アルミナ、パラジウム・シリカ、パラジウム・カーボン等があげられる。これらの触媒は単一でも用いることができるし、複数のものを用いることもできる。水添触媒に同時に脱水能がある場合は、脱水/水添触媒として単独で用いてもよい。
水添触媒の量はα−メチルスチレンが充分に転化する量であればよく、α−メチルスチレン転化率は98%以上が好ましい。
水添反応はα−メチルスチレンを含む溶液と水素を触媒に接触させることで行われるが、脱水/水添法においては脱水反応に引き続いて水添反応を行なうため、脱水反応において発生した水を油水分離等によって分離した後行ってもよいし、水を分離せずにα−メチルスチレンとともに水添触媒に供して行っても良い。
反応に必要な水素量はα−メチルスチレンと等モルであればよいが、通常、原料中には水素を消費する他の成分も含まれており、過剰の水素が必要とされる。また水素の分圧を上げるほど反応は速やかに進むことから、通常、水素/α−メチルスチレンモル比として1から10が使用される。さらに好ましくは1から5である。反応後に残存した過剰分の水素は反応液と分離した後にリサイクルして使用することもできる。
水添反応温度は一般に0〜500℃であるが、30〜300℃の温度が好ましい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
脱水/水添反応の反応形態は、固定床によって有利に実施できる。脱水反応と水添反応は別々の反応器を用いてもよいし、単一の反応器を用いてもよいが、コストの観点から考えると、脱水触媒と水添触媒は多段のリアクターとすることなく、単一の固定床反応器に充填されていることが好ましい。
反応物の流れとしてはアップフロー、ダウンフロー、トリクル流のいずれの場合を用いてもよい。
次に本発明を実施例により説明する。簡単のため、主要反応のみを量論的に説明するが、実際のプロセスにおいては当業者が必要に応じた収率、選択率で実施すればよい。
実施例1
メタセシス反応工程に、エチレンと2−ブテンを含む原料を供給し、1モルのエチレンと1モルの2−ブテンから2モルのプロピレン(1)を合成する。
次いで、得られたプロピレンをアルキル化工程へ送り、1モルのプロピレンと1モルのベンゼンを反応させ、1モルのクメンを合成する。
得られたクメン(2)の一部は必要量酸化工程へ送られ、1モルの酸素と反応して1モルのクメンハイドロパーオキサイドを合成する。
得られたクメンハイドロパーオキサイドを含む酸化反応液(3)はエポキシ化工程へ送られ、過剰量のプロピレン存在化で1モルのプロピレンと反応して1モルのプロピレンオキサイドと1モルのα−クミルアルコールを生成する。
プロピレンオキサイドを含むエポキシ反応液(4)は、プロピレン回収工程で未反応のプロピレン(5)を回収した後、プロピレン回収後の反応液(6)としてプロピレンオキサイド精製工程へ送られる。
プロピレン回収工程で回収された未反応のプロピレン(5)はメタセシス工程で得られたプロピレンと合流させて、再びエポキシ化工程に供給される。
プロピレンオキサイド精製工程では、理論的にエポキシ反応で等モル生成したα−クミルアルコールとプロピレンオキサイドを分離する他、溶液中に存在するクメンや副生成物も分離し、製品品質を満足するプロピレンオキサイドが得られる。
一方、分離されたα−クミルアルコールおよびクメンを主とする液(7)は、水素化工程に送られる。
水素化工程では、α−クミルアルコール1モルと水素1モルを用いて、クメン1モルを生成する。得られたクメンは、水素化工程に送られる液中に含まれるクメンと区別なくリサイクルクメン(8)となる。一方で各工程で副反応等により失われたクメンに相当する量は、メタセシス工程で生成したクメンにより補われる。
このようにして、プロピレンが不足する環境に左右されること無く、プロピレンの供給を外部から受けなくても、合理的にプロピレンオキサイドを製造することができる。
実施例1のフローの概略を示す図である。
符号の説明
(1) プロピレン
(2) クメン
(3) 酸化反応液
(4) エポキシ反応液
(5) 未反応のプロピレン
(6) プロピレン回収後の反応液
(7) α−クミルアルコールおよびクメンを主とする液
(8) リサイクルクメン

Claims (2)

  1. 下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法。
    メタセシス工程:触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程
    エポキシ化工程:触媒の存在下、有機ハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びアルコールを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
    プロピレン回収工程:エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収し、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程
    プロピレンオキサイド精製工程:エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程
  2. 下記の工程を含むプロピレンオキサイドの製造方法。
    メタセシス工程:触媒の存在下、エチレンと2−ブテンを反応させてプロピレンを得る工程
    アルキル化工程:触媒の存在下、ベンゼンとプロピレンを反応させてクメンを得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
    酸化工程:クメンを酸化してクメンハイドロパーオキサイドを含む酸化反応液を得る工程
    エポキシ化工程:触媒の存在下、酸化反応液中のクメンハイドロパーオキサイドとプロピレンとを反応させることによりプロピレンオキサイド及びα−クミルアルコールを含むエポキシ反応液を得る工程であって、プロピレンの少なくとも一部がメタセシス工程で得られたプロピレンである工程
    プロピレン回収工程:エポキシ化工程における未反応のプロピレンを回収して、該プロピレンをエポキシ化工程の原料の少なくとも一部としてエポキシ化工程へリサイクルする工程
    プロピレンオキサイド精製工程:エポキシ化工程で得られたプロピレンオキサイドを蒸留に付すことにより精製プロピレンオキサイドを得る工程
    水素化工程:触媒の存在下、エポキシ化工程で得たα−クミルアルコールを水素化することによりクメンを得、該クメンを酸化工程の原料の少なくとも一部として酸化工程へリサイクルする工程
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