JPH09127012A - 表面疵の検出方法およびその装置 - Google Patents

表面疵の検出方法およびその装置

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JPH09127012A
JPH09127012A JP28025095A JP28025095A JPH09127012A JP H09127012 A JPH09127012 A JP H09127012A JP 28025095 A JP28025095 A JP 28025095A JP 28025095 A JP28025095 A JP 28025095A JP H09127012 A JPH09127012 A JP H09127012A
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Application number
JP28025095A
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English (en)
Inventor
Takahiko Oshige
貴彦 大重
Yuji Matoba
有治 的場
Akira Kazama
彰 風間
Tsutomu Kawamura
努 河村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出および判別可能な疵種の数を増大させ、
従来の方式では検出できなかった模様状の表面疵を検出
する。 【解決手段】 (a)表面疵を有する試料に偏光を照射
して表面反射光のエリプソパラメータ(Ψ,Δ)特性を
あらかじめ求める工程と、(b)検査されるべき試料の
被検査面に偏光を照射して表面反射光のエリプソパラメ
ータ(Ψ,Δ)を求める工程と、(c)工程(b)で得
られたエリプソパラメータ(Ψ,Δ)と工程(a)での
エリプソパラメータ(Ψ,Δ)特性とを比較する工程
と、(d)工程(c)で得られた結果に基づき表面疵の
等級付けをする工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学式の表面疵検出
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄鋼板表面の疵など鋼板の表面疵を光学
的に検出する装置としては、光源にレーザ光を用い、光
の散乱または回折パターンの変化を利用した光学式疵検
出器が多く用いられている。この方式は、疵によるレー
ザ光の散乱または回折のパターン変化より疵検出を行っ
ており、鋼板表面に明かな凹凸を形成している疵の場合
は有効な手段である。
【0003】しかし、疵には表面の凹凸がなく、物性値
のむら、ミクロな粗さのむら、薄い酸化膜等の局所的存
在、コーティング膜厚の厚さむらといった、前述の観測
方法では検出困難なものが存在する。例えば正常部で1
00A(オングストローム)程度の酸化膜が付いている
鋼板表面に、局所的に400A(オングストローム)程
度の酸化膜が厚い異常部があるとする。この様な異常部
を以下模様状疵と呼ぶことにする。このような領域は下
工程において塗装不良が生じるなど、疵として検出し除
去したいという要請があるが、正常部との酸化膜厚の差
は鋼板表面の粗さに埋もれており、光の散乱や回折を利
用した方式では全く検出不可能である。
【0004】散乱や回折に感度を持たない疵を検出する
には、偏光を用いた表面検査方法がある。例えば、半導
体ウエファー上の異物を見つけるための方法が特公平5
−23620号公報に提案されている。この方法は偏光
パラメータのうちΨ、すなわちP偏光とS偏光の振幅比
(tanΨ)を求めて疵を検出する方法である。(P偏
光とは反射光の電気ベクトルのうち光の入射面方向の成
分、S偏光とは入射面に垂直方向の成分をいう。)しか
しながら偏光成分比が一定で、しかも正常・異常部が変
わる表面疵があり、前述の目的に対してこの方法は適用
できない。
【0005】偏光のP、S成分比と位相差を同時に測定
する手段にエリプソメトリがある。特公平4−7812
2号公報、特開平1−211937号公報にはエリプソ
メトリを用いて材料表面の特性値を試験する方法が提示
されている。しかし、これらの方法は前述の如き素材の
表面疵に適用するには敏感すぎて、鋼板の疵検出に使え
る可能性はないと考えられていた。このように従来、鋼
板の模様状疵を光学的手段で検出することは不可能とさ
れており、そのような装置も存在しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
を鑑みて、被検査面からの反射光の偏光特性を用いるこ
とで、検出及び判別可能な疵種の数を増大し、従来の方
式では検出できなかった模様状の表面疵を検出しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】エリプソパラメ−タ
(Ψ、Δ)は、偏光のS成分の反射率Rsの、P成分反
射率Rpに対する比ρを介して(1)式で定義される。 ρ=Rs/Rp=tanΨ・exp(jΔ) (1) ここでtanΨは反射光のP、S成分の振幅比を、ex
p(jΔ)はP、S成分の位相差を示す。入射光が0度
(P成分のみ)の直線偏光の場合は、反射光のP、S成
分がなす楕円の主軸が入射面となす角度がΨに、P、S
成分の位相差がΔに相当する。この場合は反射光を任意
の直行2軸の偏光角度で分割し、各々の偏光強度を測定
して、楕円の主軸方向と離心率からΨ、Δを演算するこ
とができる。また、入射光の偏光状態は任意に設定する
ことが可能であり、そのときは入射光の偏光状態を補正
してΨ、Δを求める。
【0008】反射光の強度Iは、入射光の強度Ioと表
面の反射率Rによって(2)式で求まる。 I=Io・R (2) このような光学的な測定値を用いるとき、上記課題は、
被検査面に偏光を照射して表面反射光のエリプソパラメ
−タ(Ψ、Δ)を求め、あらかじめ求めておいた表面疵
からの反射光の振幅比Ψと位相差Δ特性と比較して、等
級付けすることを特徴とする表面疵の検出方法とするこ
とによって解決される。
【0009】また、被検査面に偏光を照射して表面反射
光のエリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求め、被検査面の
同一箇所に同一ないし別個の光を照射して表面の反射強
度(I)を求め、該2つのエリプソパラメータと該反射
強度の状態によって表面疵の等級および種類を判定する
ことを特徴とする表面疵の検出方法、とする。
【0010】本発明に係る装置は、表面疵のエリプソパ
ラメ−タ(Ψ、Δ)特性をあらかじめ記憶する手段と、
被検査面に偏光を照射して表面反射光のエリプソパラメ
−タ(Ψ、Δ)を測定する手段と、測定した表面反射光
と記憶特性との比較結果を出力する手段を備えたことを
特徴とする表面疵検出装置、である。また、被検査面に
偏光を照射して該表面反射光のエリプソパラメ−タ
(Ψ、Δ)を求める手段と、被検査面の同一箇所に同一
ないし別個の光を照射して反射強度(I)を測定する手
段と、被検査面からの反射光が属するΨ、Δ、Iの3次
元座標位置を、あらかじめ定めた範囲区分として出力す
る手段を備えたことを特徴とする表面疵検出装置、とす
る。
【0011】被測定面が広い場合には、該反射光の受光
手段に複数の2次元撮像素子を用い、同一反射点に相当
する画素の測光値を用いてΨ、ΔないしIを計算するこ
とを特徴とする表面疵検出装置、とする。また、該偏光
の光源が単色光源であって、その光源を光ファイバーを
用いて被検査面上の所定範囲に照射し、該範囲を複数台
のエリプソメータで被検査面からの反射光を分担して受
光する受光するようにした疵検出装置とする。
【0012】偏光特性は物質の表面性状に敏感であるた
め、散乱光、回折を用いては検出不可能な表面特性を測
定することが可能である。模様状疵の表面には光の反射
に関係する特性の変化があり、エリプソパラメータが敏
感に変化する。しかし従来、どのような手段をとればエ
リプソパラメータの変化が疵と対応づけできるのかが分
かっていなかった。発明者らは、エリプソパラメータと
表面疵との関係を調査した結果、模様状疵の場合は、疵
として検出したい酸化膜の膜厚の範囲に応じて、Ψ、Δ
が関数特性をもって変化し、この特性を用いれば疵部分
と正常部分とが判別できることを知見した。
【0013】膜の上に異物が乗った模様状疵について
は、表面凹凸が伴うのでエリプソパラメータと同時に光
学的な反射率も変化する。この場合エリプソパラメータ
の変化と反射率強度変化の組み合わせで疵と正常部が判
別できる。また、疵の種類によって、この組み合わせが
再現するために、反射光の強度変化とエリプソ変化とを
組み合わせることによって疵の程度や種類が判別可能と
なる。
【0014】エリプソパラメ−タは、複数の受光素子を
用いて表面の各点について求める装置が一般的である。
しかし、発明者らは、2次元撮像素子を用いる装置を提
案する。広い範囲の被検査面のエリプソパラメ−タや反
射強度を測定する場合に、対象物の表面を複数の光学系
に分けて、2次元の撮像素子に結像させる。エリプソパ
ラメ−タや光強度の測定において、複数の撮像素子によ
って測定された光強度を被測定面の同一箇所に対応する
素子の強度を用いて演算する。光学系を補正することに
よって、同一反射点の反射光強度を求めるようにすれ
ば、単一の測光手段で走査するよりも、光学系が簡素に
なる。
【0015】また、光源はレーザ光源など比較的大出力
のものがある。1台のレーザ光源と、複数台のエリプソ
メータを用いて広い範囲のエリプソパラメータを測定す
る場合、光ファイバーを用いて共通の光源からの光を分
散させて照射すると幅広材料の各部分における照射強度
が均一となり、反射光強度の補正が容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施形態1 本発明の一実施形態を図1に示す。図1は冷延鋼板上に
5nm〜100nmの酸化膜が付着した場合の偏光パラ
メータの変化の様子を示す。図1は一般な偏光解析で用
いられる「Δ- Ψチャート」であり、横軸はP、S偏光
の振幅比を現す角度Ψ、縦軸はP、S偏光の位相差Δ、
プロットのマーカは別な手段で測定した酸化膜の膜厚を
示している。測定条件は、He−Neレーザで波長63
3nm、測定入射角度を70度として、複素屈折率2.
0+i4.0の鋼板上に屈折率3.0の酸化皮膜が存在
する場合のものである。
【0017】図1において、酸化膜厚が20〜50nm
程度まではΨの変化が認められるが、0〜20nmおよ
び50〜100nmまではΔの変化が主になり、Ψはほ
とんど変化しない。従って酸化膜厚の管理範囲が0〜2
0nmあるいは50〜100nmにあって、厚さムラを
疵として捕らえようとしても、Ψのみを観測していては
検出することは不可能である。したがって、本発明は
Ψ、Δを同時に求め、この関係式に当てはめて、広い範
囲の酸化膜厚さを評価する。例えば、Ψが35度付近で
あり、かつΔが100度から250度の範囲である場合
は、膜厚が50nmから100nmと0nmから20n
mに対応する2つの線分で換算する。また、Ψが40度
以上でかつΔが100度から250度の範囲以外の場合
には、膜厚が20nmから35nm、35nmから50
nmに対応する線分で換算する。膜厚の正常範囲は鋼
種、厚さなどによって管理範囲を定めることにして、膜
厚が管理範囲を外れた部分を疵として検出する。
【0018】本発明の他の実施形態を図2から図4に示
す。図2は、模様状疵の内Aタイプの疵を検出した例を
示す。疵は線状に伸びており、この線を図の横方向の中
央にくるようにして、20mm幅の範囲のエリプソパラ
メータと反射光強度を幅方向位置を対応させて表示した
ものである。疵部分の位相差(Δ)と強度(I)は正常
部分(横方向の中央部以外)にくらべ疵の存在が判別し
にくい。しかし振幅比(Ψ)は、明らかに疵がある部分
(中央部)とない部分(中央部以外)を判別できる。こ
の疵は表面の薄い酸化皮膜であって、従来の光学式検査
機では検出できなかった疵である。
【0019】図3は模様状疵の内Bタイプの疵を検出し
た例を示す。疵はΨでは存在が判別できないが、位相差
(Δ)と強度(I)に感じている。Bタイプの疵は鋼板
のミクロな表面粗さが変化した場合に現れることが多
い。原因としては圧延ロール肌に部分的な荒れが生じた
場合などに起きる。
【0020】図4は模様状疵の内Cタイプの疵を検出し
た例を示す。この疵の場合はΔ、Ψ、Iのすべてのパラ
メータに感じている。タイプCは模様状疵の上に付着物
が乗ることにより鋼板表面の見掛けの粗さが大きく変化
した疵である。目視でみても分かる付着物で、従来の検
査機でも検出可能なものである。図2から図4に示した
ように、疵の種類によっては、反射光の強度変化が伴う
ものと、伴わないものがある。またエリプソパラメータ
の値も疵の種類によって変化の様子が異なる。
【0021】次に疵の種類を判別する手段の一例を述べ
る。強度、Ψ、Δの各値は部分的に変化することがある
ので、絶対値では求め難い。そこで、各パラメータの移
動平均を測定しておいて、平均値からの変化を検出す
る。移動平均の定数は発生する疵の寸法に合わせてと
る。一定以上の変化が検出された場合はエリプソパラメ
ータについては角度の絶対値を、反射強度については平
均値からの変化量を評価値とする。Δ、Ψの絶対値と反
射強度の変化量は3次元の空間を構成する。この3次元
空間を経験則に基づいて区間分割し、各区間を疵の種類
と等級にあてはめる。複数の区間に疵の共通性があるも
のについては、これらをグループ化し、区間を等級で表
示することも可能である。
【0022】エリプソパラメータの測定装置は光学系に
よって種々の変化がある。発明者らは、先に反射光の4
つの偏光成分を求めることによってエリプソパラメ−タ
(Ψ、Δ)のみならず位相角Δの絶対値が分かり、かつ
入射光強度の変化も補正可能な光学系を提案した(特開
平5−113371号公報参照)。これで提案した光学
系のいずれかを用いて表面疵検出装置を構成した、本発
明の第三の実施形態を図5に示す。
【0023】図5の表面疵検出装置は、エリプソメータ
本体1と、その出力からエリプソパラメ−タを演算する
エリプソパラメ−タ演算装置3、試料2に疵のあるもの
を用いたときにそのエリプソパラメ−タを記憶するエリ
プソパラメ−タ記憶装置4、特性が未知の試料2を用い
たときにそのエリプソパラメ−タと、記憶装置4に記憶
された疵の特性値とを比較するエリプソパラメ−タ比較
装置5、比較結果に応じて疵の有無、等級などを出力す
る疵信号出力装置6で構成されている。
【0024】エリプソメータ本体1は、例えば図6に示
す光学系で構成する。図6において10はレーザー光
源、11は偏光子、12は入射光を示す。入射光12は
偏光子11によって直線偏光となり、試料2の表面で反
射する。反射光13は14、15、16のビームスプリ
ッターおよび1/4波長板17によって相異なる4つの
偏光18a、18b、18c、18dに分割して、それ
ぞれの受光器19a、19b、19c、19dで光強度
I1 、I2 、I3 、I4 を検出する。
【0025】エリプソパラメ−タの演算装置3は、これ
らの光強度から(3),(4)式によってエリプソパラ
メ−タを演算する。 tanΔ=〔σR (I1 −I2 )〕/〔σT (I3 −I4 )〕 (3) tanΨ=〔(σR 2 −σT 2 )/2〕・〔{σR (I1 −I2 )}2 〕 +{σT (I3 −I4 )}2 〕1/2 ÷〔σR 2 (I1 +I2 ) −σT 2 (I3 +I4 )〕 (4) ここでσR ,σT はそれぞれ無偏光ビームスプリッター
14のP偏光、S偏光の振幅反射率比、および振幅透過
率比で、該光学部品に固有な値である。
【0026】エリプソパラメ−タ記憶装置4には、試料
2に予め疵のあるものを用いたときに、そのエリプソパ
ラメ−タの特性を記憶する。例えば図1のような酸化膜
の特性が記憶される。エリプソパラメ−タ比較装置5
は、未知の特性を持った試料2のエリプソパラメ−タが
得られたとき、予め測定し記憶しておいた特性と比較す
る。これには、Ψ、Δ次元における区間分割処理などを
適用する。これによって膜厚信号を出力する。疵信号出
力装置6は、膜厚による合否の判定基準を設定してお
き、膜厚が所定範囲以内のとき正常とし、所定範囲を外
れた時は異常として警報出力する。
【0027】本発明の他の実施形態を図7に示す。図7
は本発明を鋼板の走行ラインに適用する装置の内、光学
系の部分を示す。本実施形態の光学系は、エリプソパラ
メータを求める系統と、反射強度を求める系統がある。
この実施形態では、入射光の強度を試料の各部で均一と
し時間的変化は無くしたので、両系統で反射光の3つの
偏光成分を求め、これらの演算で反射光の強度(I)、
エリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求めることができる。
【0028】まずエリプソパラメータの系統では、高輝
度光源20から出た光は偏光板23で偏光させた後に試
料2の表面に照射する。表面からの反射光はウオーラン
トプリズム26で45°とー45°で直交する2つの偏
光成分に分離して2次元CCD素子を用いたカメラBで
画素ごとに偏光強度を測定する。カメラBは一台のCC
Dカメラの相異なる部分に分離した像を結ばせる方式と
している。これは、光学系を変更することによって別々
の2台のカメラに分けて分離して撮影することも可能で
ある。カメラBの光強度は、この図には表示していない
エリプソメータ演算装置に出力してこれら2つの光強度
を演算することによって試料面各点のエリプソパラメー
タが求められる。
【0029】次に反射強度を測定する系統について述べ
る。高輝度光源20から出た光は拡散板21で均一な強
度分布とした後に、試料2の表面に照射する。表面から
の反射光は無偏光プリズム25の面で反射して、偏光角
0度に設定した偏光子24を経たあとにカメラA27に
入る。カメラAでは、2次元のCCD素子を使用して測
定表面の各点の光強度を同時に求める。図7の光学系の
場合、反射強度(I)は、I=I2 +I3 −2I1 で求
められる。ここでI1 はカメラA、I2 、I3はカメラ
Bの45度、−45度偏光画像からそれぞれ得られる光
強度である。
【0030】図7の光学系の特徴は、広い範囲を均一に
偏光で照射し、偏光角度が0、45、−45度の画像か
ら試料面の多数の点のエリプソパラメータと反射強度を
同時に演算できるようにしたことである。エリプソパラ
メータ出力は、記憶パターンと比較することで膜厚や疵
種類に換算する。
【0031】図8は反射光強度とエリプソパラメータを
同時に使って疵検出する装置の信号処理系統図である。
図7の光学系の出力を信号処理する部分に相当する装置
である。
【0032】カメラA、カメラBからの出力信号は一旦
フレームメモリーA31,フレームメモリーB31に蓄
積する。フレームメモリーBは2つの偏光角度の像が蓄
えられているから、光強度を蓄えているフレームメモリ
ーAと合わせて、試料表面の同一点が合計3つの光強度
情報を与えることになる。この際、視野角度によって
Δ、Ψ、Iにフレームメモリー上で位置的なずれが生じ
るので、位置縮尺補正装置32はフレームメモリーに捕
らえられた3偏光成分の画像について、光学系のフレネ
ル係数から求められる位置・縮尺を一致させる処理を行
う。次ににΔ、Ψ、I計算装置33は、Δ、Ψ、I計算
を一致した画素ごとに行う。等価複素屈折率計算装置3
5は、入射光の偏光状態を基に、反射光から計算した
Δ、Ψ、Iから試料各点の等価複素屈折率を計算する。
これらの演算結果は適当なマッピング処理を施した後、
表示装置36に表面状態として表示する。簡易的には
Δ、Ψ、Iの画像のまま過去のデータと比較してもよ
い。
【0033】図9は、図2から図4の疵に対するマッピ
ング処理の例である。図9aは反射強度Iが通常値から
上昇した場合に適用する判別図である。Δ、Ψが図の斜
線部にあるときDタイプ疵のグレード1、2、3と対応
させる。図9bは反射光強度が通常値にある場合に適用
する。Δ、Ψの値に応じてA、Bのタイプとグレードを
斜線部のように割り当てる。同様に図9のc,dは反射
光強度が通常値から下降した場合に適用するものであ
る。この場合はΔ、Ψの値によらず、強度の区分のみで
疵タイプとグレードを割り当てる。
【0034】図10は多チャンネルエリプソメータを並
列配置する本発明の他の実施形態を示す。この装置は2
000mm幅の幅広鋼板40が最大ライン速度600m
/分で移動中に疵検出することを目的としている。光源
は波長800nmのレーザー41で、この光を光ファイ
バー42を用いて被測定面の近くに導く。偏光板43に
よって入射光は45度の直線偏光とする。鋼板面への入
射角は65度とした。光ファイバーのかわりに放物面鏡
を用いてレーザー光をスリット状平行光線とし、鋼板に
照射してもよい。光検出カメラ44、45、46は10
24画素の一次元CCDを用いて、幅方向分解能0.2
5mm、1チャンネルで鋼板の250mm幅を見る構成
とした。
【0035】1〜8ヘッドそれぞれに画像処理装置を付
けてライン速度に見合う速さで偏光強度計算を行う。処
理速度を向上させるため、Δ、Ψ、I演算装置33は8
セット分を並列処理している。ライン速度が遅い場合、
または分解能が低い場合は並列処理数を増やして装置台
数を減らすことが可能である。これらの信号は、画像処
理装置34でエリプソパラメータ演算を行ったあと、マ
ッピング表示装置36で疵の判別を行う。
【0036】この実施形態におけるマッピング処理は、
疵が画像内に現れると、Δ、Ψ、Iのうち、どのパラメ
ータが変化しているかの組合せによって、疵種類の判別
を行う。疵の程度は、例えば図4のΔについて、正常部
のΔの値113°程度から疵部のΔの値98°までの変
化の度合いで決定する。図4ではΔの変化値が2〜3°
以内は害のない疵であるが、それ以上は出荷品質として
許容できないものであるから、異常部分として、警報出
力する。検査対象の鋼板上には油が塗られているが、エ
リプソメータとしての基本的機能を有しているため、油
膜厚さムラの測定も可能である。
【0037】上記実施形態はいずれも光強度を求める光
源と、エリプソパラメータを求める光源が同一の場合で
示した。これらは必ずしも同一である必要はなく、反射
光を求めるための通常光源と、エリプソパラメータを求
める偏光光源を独立に設置してもよい。
【0038】エリプソパラメータを記憶した値と比較す
ることによって、従来検出ができなかった鋼板面の模様
状疵の検出が可能となる。エリプソパラメータと反射光
強度と組み合わせたので、疵種類の判定が可能になる。
2次元撮像素子を用いたのでコンパクトな光学系とな
る。また、幅広材料に適用する場合には、光源の光を光
ファイバーで導くようにしたので、照射光が均一とな
り、簡易な補正で正確な測定が可能となる。
【0039】実施形態2 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0040】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらと
いった模様状疵といわれるものがある。このような模様
状疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が
困難である。例えば正常部で100 A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に40
0 A(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いてい
る異常部がある場合、このような異常部の領域は表面処
理工程において塗装不良が生じるため、疵として検出し
て除去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常
部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、
光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能で
ある。
【0041】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報,特開平4−58138 号公報等に開示されて
いる。特開昭52−138183号公報に示された検査方法は被
検査体の表面から反射したP偏光とS偏光の比があらか
じめ定めた比較レベルより高いか否可によって欠陥の有
無を検知するものである。また、特開昭58−204356号公
報に示された検出方法は被検査体の表面に特定角度の入
射角で光を照射して、表面欠陥を検出するときのS/N
比を向上するようにしたものである。特開平4−58138
号公報に示された検査方法は、試料から反射した偏光を
1/4波長板からなる移相子と検光子とを介してイメ−
ジセンサに導くときに、移相子の透過軸の位置を所定角
度変え、各角度毎に検光子を回転させてイメ−ジセンサ
の画素毎に偏光パラメ−タを求めて複屈折分布を精度良
く測定する方法である。
【0042】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、厳密な偏光パラメ−タすな
わち反射光の電気ベクトルのうち入射面方向の成分であ
るP偏光と入射面に垂直方向の成分であるS偏光との振
幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することなしに疵を
検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部は光学的
物性が正常部と異なった部分であることが多く、このよ
うな部分は複素屈折率が正常部と異なっているといえ
る。このような場合、偏光パラメ−タの振幅反射率比ta
n Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、偏光パラメ−タ
の変化の一部しか捕らえることができず、例えば検査結
果として異常部が検出できたとしても、それが油のしみ
か、酸化膜のむらか、又は何らかしらの異常な付着物が
付着したのであるか等を弁別するこができず、異常部の
種別と程度を判定することは困難であった。
【0043】また、特開平4−58138 号公報に示された
検査方法は、薄膜評価等に使用されているエリプソメ−
タを2次元に拡大したものであり、この場合は、各画素
毎に複屈折率が求められるため、明確に定量化された複
屈折率により正常部と異常部を弁別することができる。
しかしながら、移相子と検光子を機械的に回転させて測
定しているため、被検査体の各位置の複屈折率を測定す
るには、少なくとも1回の測定中は被検査体を停止させ
ている必要があった。このため、例えば鋼板等のように
連続的に製造されて送られるシ−ト状製品の表面をオン
ラインで連続的に検査することは不可能であった。
【0044】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、シ−ト状製品の表面にある模様状疵
もオンラインで連続的に検出して、その種別や程度を正
確に弁別することができる表面検査装置を得ることを目
的とするものである。
【0045】この発明に係る表面検査装置は、投光部と
受光部と信号処理部とを有し、投光部は被検査面に平行
光束の偏光を入射し、受光部は被検査面からの反射光の
異なる光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位角
を有する3個の検光子と、各検光子を透過した光を受光
するリニアアレイセンサとを有し、被検査面からの反射
光を入射し画像信号に変換し、信号処理部は3個のリニ
アアレイセンサからの画像信号を処理し、振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを示すcos Δと被検査面の表面反射強
度I0 を演算し、tan Ψ画像とcos Δ画像及びI0 画像
を生成し、生成したtan Ψ画像とcos Δ画像及びI0 画
像の各画素の濃度から表面の特性を評価することを特徴
とする。
【0046】本発明に係る表面検査装置は、投光部、受
光部と信号処理部から構成される。投光部は被検査面に
平行光束の偏光を入射させる。受光部は被検査面からの
反射光を入射し画像信号に変換する。該受光部は被検査
面からの反射光の異なる光路にそれぞれ設けられそれぞ
れ異なる方位角を有する3個の検光子と、各検光子を透
過した光を受光する3個のリニアアレイセンサからな
る。信号処理部は該3個のリニアアレイセンサからの画
像信号を処理し、振幅反射率比 tanΨと位相差Δを示す
cosΔと被検査面の表面反射強度I0 を演算し、tan Ψ
画像とcos Δ画像及びI0 画像を生成し、生成したtan
Ψ画像、cos Δ画像及びI0 画像の各画素の濃度から表
面の特性を評価する。
【0047】例えば、投光部は被検査面の板幅方向に長
く形成された平行光源から偏光子を介して被検査面に偏
光を入射し、被検査面からの反射光を受光して、被検査
面に疵等の異常部があるか否を検出する。
【0048】例えば、受光部は3個のラインセンサカメ
ラと、各ラインセンサカメラの受光面の前面に設けられ
た検光子とで構成し、3個の検光子はそれぞれ異なる方
位角、すなわち透過軸が被検査面の入射面となす角が、
例えば「0」,「π/4」,「−π/4」になるように
配置され、3個のラインセンサカメラは各検光子を通っ
た偏光を入射して偏光の強度分布を示す画像を出力す
る。
【0049】例えば、信号処理部は3個のラインセンサ
カメラからそれぞれ出力された光強度分布を示す画像の
各画素における偏光パラメ−タすなわち振幅反射率比ta
n Ψと位相差Δを示すcos Δと表面反射強度I0 を演算
し、偏光パラメ−タのtan Ψ画像とcos Δ画像及びI0
画像を生成し、生成した tanΨ画像とcos Δ画像とI0
画像の異常部における明暗のパターンを利用して異常部
の種別を判定し、それらの画像の輝度変化の度合いによ
り異常の程度を判定する。
【0050】実施形態3 図11,図12はこの発明の一実施形態の構成を示し、
図11は光学系の構成図、図12は信号処理部を示すブ
ロック図である。図11に示すように、光学系101は
投光部102と受光部103とを有する。投光部102
は平行光源104と平行光源104の前面に設けられた
偏光子105とを有する。平行光源104は被検査体例
えば鋼板106の板幅方向に長く形成された面状光源か
らなり、鋼板106の表面の一定長さ範囲に平行光束を
照射する。偏光子105は例えば偏光板や偏光フイルタ
からなり、図13に示すように、透過軸Pが鋼板106
の入射面となす角α1 がπ/4になるように配置されて
いる。受光部103は3個のラインセンサカメラ107
a,107b,107cと、各ラインセンサカメラ10
7a,107b,107cの受光面の前面に設けられた
検光子108a,108b,108cとを有する。ライ
ンセンサカメラ107a,107b,107cは鋼板1
06の移動方向に位置をずらして配置され、鋼板106
の表面からの反射光を検出して偏光画像信号に変換す
る。検光子108a,108b,108cは、例えば偏
光板や偏光フイルタからなり、図13に示すように、検
光子108の透過軸が鋼板106の入射面となす角α2
は検光子108aがα2 =0、検光子108bがα2 =
π/4、検光子108cがα2 =−π/4になるように
配置されている。
【0051】信号処理部109は偏光画像用のフレ−ム
メモリ110a,110b,110cと、演算用CPU
111と、エリプソパラメ−タ画像用のフレ−ムメモリ
112a,112b,112c及び処理用CPU113
とを有する。フレ−ムメモリ110a,110b,11
0cにはそれぞれラインセンサカメラ107a,107
b,107cから出力された偏光画像信号が2次元展開
される。演算用CPU111はラインセンサカメラ10
7a,107b,107cの設置位置のずれを考慮して
鋼板106の同じ位置の偏光画像信号をフレ−ムメモリ
110a,110b,110cから読み出し、各画素に
おける偏光パラメ−タすなわち振幅反射率比tan Ψと位
相差Δを示すcos Δと鋼板106の表面反射強度I0 を
演算し、偏光パラメ−タの像tan Ψ画像とcos Δ画像及
びI0 画像を生成する。フレ−ムメモリ112a,11
2b,112cには演算用CPU111で演算したtan
Ψ画像とcos Δ画像及びI0 画像が展開される。処理用
CPU113はフレ−ムメモリ112a,112b,1
12cに展開されたtan Ψ画像とcos Δ画像とI0画像
の異常部における明暗のパタ−ンを利用して異常部の種
別を判定し、それらの画像の明暗の輝度変化の度合いに
より異常の程度を判定する。
【0052】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、まず、3個のラインセンサカメ
ラ107a,107b,107cで検出した光強度から
振幅反射率比tan Ψとcos Δと鋼板106の表面反射強
度I0 を演算する原理を説明する。
【0053】図13に示すように偏光子105の透過軸
Pと検光子108の透過軸Aが鋼板106の入射面とな
す角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板10
6に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検光子
108を通って合成されたときの光強度I(α1 ,α2)
は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とすると
次式で表せる。
【0054】
【数1】 ただし、
【0055】
【数2】
【0056】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子108aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子108bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子108cを通った光強度I3 は、
I3 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。ただし、光強度I1 ,I2
,I3 はカメラのアンプゲインなどの選び方によって
定数倍される場合もある。
【0057】
【数3】
【0058】このtan Ψとcos Δと表面反射強度I0 を
使用して鋼板106の疵を検出する表面検査装置の動作
を図14の信号特性図を参照して説明する。光学系10
1から出射されて一定速度で移動している鋼板106の
一定間隔Lをおいた各位置で反射した偏光はそれぞれ検
光子108a,108b,108cを通ってラインセン
サカメラ107a,107b,107cに入射する。す
なわち鋼板106表面の同一検査線上の像は間隔Lに対
応したずれが生じて検出される。このラインセンサカメ
ラ107a,107b,107cで鋼板106の方面か
らの反射光の光強度を検出するときに、ラインセンサカ
メラ107aの前面にはα2 =0の検光子108aが設
けられているから、ラインセンサカメラ107aは前記
光強度I1 を検出し、ラインセンサカメラ107bの前
面にはα2 =π/4の検光子108bが設けられている
から、ラインセンサカメラ107bは前記光強度I2 を
検出し、ラインセンサカメラ107cの前面にはα2 =
−π/4の検光子108cが設けられているから、ライ
ンセンサカメラ107cは前記光強度I3 を検出する。
ラインセンサカメラ107a,107b,107cで検
出した光強度I1 ,I2 ,I3 の分布を示す画像がそれ
ぞれフレ−ムメモリ110a,110b,110cに展
開される。このようにラインセンサカメラ107a,1
07b,107cで光強度I1 ,I2 ,I3 を検出する
ときに、α2 =0の検光子108aを通ってラインセン
サカメラ107aに入射する光強度のI1 はラインセン
サカメラ107b,107cに入射する光強度I2 ,I
3 のほぼ2倍程度になる。そこでラインセンサカメラ1
07aの感度をラインセンサカメラ107b,107c
の感度の1/2にしておくと、フレ−ムメモリ110
a,110b,110cに同じ程度の濃度を基準とした
画像を生成することができる。
【0059】演算用CPU111はフレ−ムメモリ11
0a,110b,110cに生成された光強度I1 ,I
2 ,I3 による偏光画像信号をラインセンサカメラ10
7a,107b,107cの設置位置のずれを考慮して
読み出し、各画素における振幅反射率比tan Ψと位相差
Δを示すcos Δと鋼板106の表面反射強度I0 を逐次
演算してフレ−ムメモリ112aにはtan Ψ画像を生成
し、フレ−ムメモリ112bにはcos Δ画像を生成し、
フレ−ムメモリ112bにはI0 画像を生成する。この
画像を生成するときに、各画素のtan Ψ=0〜2程度を
0〜255 階調に変換し、cos Δ=−1〜1を0〜255 階
調に変換して生成する。例えばcos Δ画像において、正
常部がcos Δ=0であるとき、異常部をcos Δ=−1と
すると、cos Δ画像で異常部は正常部より濃度が濃い画
像に形成される。ここで振幅反射率比tan Ψと位相差Δ
を示すcos Δと鋼板106の表面反射強度I0 を演算す
るときに、ラインセンサカメラ107aの感度をライン
センサカメラ107b,107cの感度の1/2にした
ときには、ラインセンサカメラ107aで検出した光強
度をI1 とすると、tan Ψとcos Δ及びI0 を下記で演
算する。
【0060】
【数4】
【0061】処理用CPU113はフレ−ムメモリ11
2a,112b,112cに生成されたtan Ψ画像とco
s Δ画像及びI0 画像の各画素の濃度をシェ−ディング
補正してから正常部の濃度を基準として正規化して、濃
度レベル特性に変換処理する。このtan Ψ画像とcos Δ
画像及びI0 画像の濃度レベル特性の変化により異常部
の種別とその程度を判定する。
【0062】例えば、板速度が300m/ 分で移動している
鋼板106に投光部102から偏光を入射角60度で入射
し、検査線間隔L=100mm おきにラインセンサカメラ1
07a,107b,107cで光強度I1 ,I2 ,I3
を検出してフレ−ムメモリ110a,110b,110
cに展開した画像を図14(a)に示す。また、このフ
レ−ムメモリ110a,110b,110cに生成され
た光強度I1 ,I2 ,I3 による偏光画像から演算用C
PU111で演算して生成したtan Ψ画像とcos Δ画像
及びI0 画像を図14(b)に示す。ここで図14
(a)、(b)の画像において、画面中央部に示す光強
度の変化している部分121は模様状疵を示し、右端部
の光強度の変化している部分122は油しみ等の無害で
あるが模様状のパタ−ンを示す。図14(b)に示すよ
うにほとんど大部分を示す正常部と異常部ではtan Ψ画
像とcos Δ画像及びI0 画像の濃度が明らかに相違し、
例えば図14(b)に示すようにcos Δ画像では異常部
が正常部より非常に濃くなる。このtan Ψ画像とcos Δ
画像及びI0 画像の各画素の濃度を正常部の濃度を基準
として正規化した濃度レベル特性を図14(c)に示
す。図14(c)に示すように、模様状疵121のtan
Ψ画像の濃度レベルはプラスになり、cos Δ画像の濃度
レベルはマイナスになり、I0 画像の濃度レベルはマイ
ナスになるが、油しみ等の模様状パタ−ン122の部分
はtan Ψ画像の濃度レベルとcos Δ画像の濃度レベルは
ともにマイナスになり、I0 画像の濃度レベルはプラス
になる。したがって、tan Ψ画像の明暗とcos Δ画像の
明暗とI0 画像の明暗により疵の種別を判別することが
できる。また、それらの画像の濃度レベルの変化度によ
り疵の程度を判定することができる。
【0063】なお、上記実施形態は投光部102の光源
104を1個の面状光源で構成した場合について説明し
たが、図15の側面図に示すように、3個のラインセン
サカメラ107a,107b,107cに対応して一定
距離をおいて配置された3個の線状光源104a,10
4b,104cを用い、各線状光源104a,104
b,104cから出射し鋼板106表面で反射した偏光
を対応するラインセンサカメラ107a,107b,1
07cで受光するようにしても良い。
【0064】また、上記各実施形態は受光部103のラ
インセンサカメラ107a,107b,107cを鋼板
6の移動方向に対して位置をずらして配置した場合につ
いて説明したが、図16の上面図と図17の側面図に示
すように、ラインセンサカメラ107a,107b,1
07cを鋼板106の移動方向と直交する同一ライン上
で同じ高さの位置に設け、鋼板106の同一位置からの
反射光をラインセンサカメラ107a,107b,10
7cで同時に検出するようにしても良い。そしてスペ−
ス的に余裕がある場合にはラインセンサカメラ107
a,107b,107cに焦点距離の長いレンズを使用
することにより、画面上の被写界深度の問題を回避する
ことができる。また、場合によっては中心に設けたライ
ンセンサカメラ107aの両側のラインセンサカメラ1
07b,107cを一定角度内側に向けても良い。
【0065】上記実施形態はラインセンサカメラ107
a,107b,107cを鋼板106の移動方向と直交
する同一ライン上で同じ高さの位置に設けた場合につい
て説明したが、図18に示すようにラインセンサカメラ
107a,107b,107cの設置高さを変えて鋼板
106の同一位置からの反射光を同時に検出するように
しても良い。
【0066】また、上記各実施形態は投光部102から
出射した偏光を鋼板106の表面に直接入射し、その反
射光をラインセンサカメラ107a,107b,107
cで直接受光する場合について説明したが、図19に示
すように、平行光源104から鋼板106の表面に対し
て直交するように出射した光をミラ−114で反射して
から偏光子105を通して所定の入射角で鋼板106の
表面に入射し、その反射光を検光子108a,108
b,108cを通してからミラ−115で反射して鋼板
106の表面に対して直交するように設けたラインセン
サカメラ107a,107b,107cで受光するよう
にしても良い。このように投光部102と受光部103
を構成することにより、光学系101の設置スペ−スを
小さくすることができ、オンラインにおける設置の自由
度を改善することができる。なお、上記実施形態は偏光
子105をミラ−114の後段に設け、検光子108
a,108b,108cをミラ−115の前段に設けて
偏光がミラ−114,115の影響を受けないようにし
たが、偏光子105をミラ−114の前段に設け、検光
子108a,108b,108cをミラ−115の後段
に設けて、ミラ−114,115の影響を補正するよう
にしても良い。
【0067】また、上記各実施形態はラインセンサカメ
ラ107a,107b,107cでそれぞれ鋼板106
の移動方向と直交するライン画像を検出する場合につい
て説明したが、2次元CCDカメラを使用して鋼板10
6の一定長さ毎の画像を検出するようにしても良い。
【0068】この発明は以上説明したように、被検査面
に平行光束の偏光を入射し、被検査面からの反射光の異
なる光路にそれぞれ設けられ、異なる方位角を有する3
個の検光子を通した偏光の光強度分布を検出し、検出し
た光強度分布を示す画像の各画素における偏光パラメ−
タすなわち振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すcosΔ
と表面反射強度I0 を演算し、偏光パラメ−タの像tan
Ψ画像とcos Δ画像及びI0 画像を生成し、生成したta
n Ψ画像とcos Δ画像の異常部における明暗が一致して
いるか否により異常部の種別を判定し、I0 画像の輝度
変化の度合いにより異常の程度を判定するようにしたか
ら、簡単な構成で被検査面の疵や油じみ等を精度良く検
出することができる。
【0069】また、偏光角度の調整等を必要なしで迅速
に被検査面の疵等を検出できるから、連続的に製造され
て送られるシ−ト状製品の表面をオンラインで連続的に
検査することができる。
【0070】実施形態4 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0071】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらと
いった模様状疵といわれるものがある。このような模様
状疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が
困難である。例えば正常部で100 A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に40
0 A(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いてい
る異常部がある場合、このような異常部の領域は表面処
理工程において塗装不良が生じるため、疵として検出し
て除去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常
部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、
光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能で
ある。
【0072】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報,特開平4−58138 号公報等に開示されて
いる。特開昭52−138183号公報に示された検査方法は被
検査体の表面から反射したP偏光とS偏光の比があらか
じめ定めた比較レベルより高いか否可によって欠陥の有
無を検知するものである。
【0073】また、特開昭58−204356号公報に示された
検出方法は、連続鋳造スラブの表面欠陥を検出するため
に、図9に示すように、光源30からの光をシルンドリ
カルレンズ31により帯状にして被検査面32に投光
し、正反射光受光カメラ33と散乱反射光受光カメラ3
4により撮像し、それらの出力を比較して表面の疵を検
出している。すなわち、2つの異なる位置に設置された
受光カメラ33,34で検出した撮像信号は縦割れの疵
に対して極性が異なるが、スケ−ル等の疑似欠陥信号は
極性が同じことを利用してスケ−ル等の疑似欠陥信号を
除去して、表面欠陥を検出するときのS/N比を向上す
るようにしたものである。また、光源30とシルンドリ
カルレンズ31の間に偏光子35を設け、正反射光受光
カメラ33と散乱反射光受光カメラ34の前に検光子3
6を配置して、凹凸状の疵検出精度をより高めるように
している。
【0074】また、特開平4−58138 号公報に示された
検査方法は、試料から反射した偏光を1/4波長板から
なる移相子と検光子とを介してイメ−ジセンサに導くと
きに、移相子の透過軸の位置を所定角度変え、各角度毎
に検光子を回転させてイメ−ジセンサの画素毎に偏光パ
ラメ−タを求めて複屈折分布を精度良く測定する方法で
ある。
【0075】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、厳密な偏光パラメ−タすな
わち反射光の電気ベクトルのうち入射面方向の成分であ
るP偏光と入射面に垂直方向の成分であるS偏光との振
幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することなしに疵を
検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部は光学的
物性が正常部と異なった部分であることが多く、このよ
うな部分は複素屈折率が正常部と異なっているといえ
る。このような場合、偏光パラメ−タの振幅反射率比ta
n Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、偏光パラメ−タ
の変化の一部しか捕らえることができず、例えば検査結
果として異常部が検出できたとしても、それが油のしみ
か、酸化膜のむらか、又は何らかしらの異常な付着物が
付着したのであるか等を弁別するこができず、異常部の
種別と程度を判定することは困難であった。
【0076】また、特開平4−58138 号公報に示された
検査方法は、薄膜評価等に使用されているエリプソメ−
タを2次元に拡大したものであり、この場合は、各画素
毎に複屈折率が求められるため、明確に定量化された複
屈折率により正常部と異常部を弁別することができる。
しかしながら、移相子と検光子を機械的に回転させて測
定しているため、被検査体の各位置の複屈折率を測定す
るには、少なくとも1回の測定中は被検査体を停止させ
ている必要があった。このため、例えば鋼板等のように
連続的に製造されて送られるシ−ト状製品の表面をオン
ラインで連続的に検査することは不可能であった。
【0077】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、シ−ト状製品の表面にある模様状疵
もオンラインで連続的に検出して、その種別や程度を正
確に弁別することができる表面検査装置を得ることを目
的とするものである。
【0078】この発明に係る表面検査装置は、投光部と
正反射光検出部と散乱反射光検出部及び信号処理部とを
有し、投光部は被検査面の幅方向全体に偏光を入射し、
正反射光検出部は被検査面からの反射光の正反射光の光
路に設けられ、散乱反射光検出部は被検査面からの反射
光の散乱反射光の光路に設けられ、正反射光検出部と散
乱反射光検出部の少なくともいずれか一方は入射した光
を3本のビ−ムに分離する光学系と、分離された3本の
ビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位
角を有する検光子と、各検光子を透過した光を受光する
撮像手段とを有し、信号処理部は正反射光検出部と散乱
反射光検出部からの画像信号を比較するとともに、検光
子を透過した光を受光した3個の影像手段からの画像信
号を処理して、被検査面の表面反射光のエリプソパラメ
−タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δ
を演算し、正反射光と散乱反射光の比較結果及び2つの
エリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δから被検査面の表面
特性を評価することを特徴とする。
【0079】第2の発明に係る表面検査装置は、第1の
発明と同じ投光部と正反射光検出部と散乱反射光検出部
とを有し、信号処理部において正反射光検出部と散乱反
射光検出部からの画像信号を比較するとともに、検光子
を透過した光を受光した3個の撮像手段からの画像信号
を処理して、被検査面の表面反射光のエリプソパラメ−
タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δ及
び被検査面の表面反射強度I0 を演算し、正反射光と散
乱反射光の比較結果及び2つのエリプソパラメ−タtan
Ψ,cos Δと表面反射強度I0 から被検査面の表面特性
を評価することを特徴とする。
【0080】第3の発明に係る表面検査装置は、投光部
と受光部及び信号処理部とを有し、投光部は被検査面の
幅方向全体に偏光を入射し、受光部は被検査面からの反
射光の散乱反射光の光路に設けられ、入射した光を3本
のビ−ムに分離する光学系と、分離された3本のビ−ム
の光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位角を有
する検光子と、各検光子を透過した光を受光する影像手
段とを有し、信号処理部は検光子を透過した光を受光し
た3個の撮像手段からの画像信号を処理して、被検査面
の表面反射光のエリプソパラメ−タである振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを示すcos Δを演算し、演算した2つ
のエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δから被検査面の表
面特性を評価することを特徴とする。
【0081】第4の発明に係る表面検査装置は、第3の
発明と同じ投光部と受光部を有し、信号処理装置におい
て検光子を透過した光を受光した3個の撮像手段からの
画像信号を処理して、被検査面の表面反射光のエリプソ
パラメ−タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示す
cos Δ及び被検査面の表面反射強度I0 を演算し、演算
した2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δと表面反
射強度I0 から被検査面の表面特性を評価することを特
徴とする。
【0082】この発明においては、被検査面に対して一
定入射角で被検査面の幅方向全体に偏光を入射するよう
に投光部を配置し、被検査面からの反射光の正反射光を
受光する正反射光検出部と被検査面からの反射光の散乱
反射光を受光する散乱反射光検出部を所定の位置に配置
され、出力側が信号処理部に接続されている。この正反
射光検出部と散乱反射光検出部の少なくともいずれか一
方、例えば正反射光検出部は入射した光を3本のビ−ム
に分離するビ−ムスプリッタと3個の撮像手段と検光子
とで構成される。撮像手段は例えばCCD等のリニアア
レイカメラからなり、ビ−ムスプリッタと各撮像手段の
間にそれぞれ異なる方位角、すなわち透過軸が被検査面
の入射面となす角が、例えば0,π/4,−π/4にな
るように配置され、3個の撮像手段は各検光子を通った
偏光を入射して、偏光の強度分布を示す画像信号を出力
する。
【0083】信号処理部は正反射光検出部と散乱反射光
検出部から入力した正反射光と散乱反射光の画像信号を
比較して、被検査面の凹凸性の疵を検出するとともに、
検光子を透過した光を受光した3個の撮像手段からの画
像信号を処理して、被検査面の表面反射光のエリプソパ
ラメ−タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すco
s Δを演算し、2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,cos
Δの変化から被検査面の特性の変化、すなわち被検査面
の物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等の
局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらとい
った模様状疵の有無を検出する。
【0084】また、信号処理部は上記2つのエリプソパ
ラメ−タtan Ψとcos Δとともに被検査面の表面反射強
度I0 を演算し、2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,co
s Δと表面反射強度I0 から被検査面の特性の変化を検
出し、模様状疵の有無をより詳細に検出する。
【0085】また、反射光の検出部として被検査面から
の反射光の散乱反射光を検出する受光部をもうけ、上記
と同様に信号処理部で被検査面の表面反射光のエリプソ
パラメ−タtan Ψ,cos Δ又はエリプソパラメ−タtan
Ψ,cos Δと表面反射強度I0 から被検査面の特性の変
化を検出し、凹凸状疵の有無を高精度に検出する。
【0086】実施形態5 図20はこの発明の一実施形態の光学系を示す配置図で
ある。図に示すように、光学系201は投光部202と
正反射光検出部203及び散乱反射光検出部204を有
する。投光部202は被検査体例えば鋼板205の幅方
向全体に例えば入射角θ=60度で偏光を入射するもので
あり、光源206と光源206の前面に設けられた偏光
子207とを有する。光源206は棒状に構成され、被
検査面205の幅方向全体にわたり光を照射する。偏光
子207は例えば偏光板や偏光フィルタからなり、図2
1の配置説明図に示すように、透過軸Pが鋼板205の
入射面となす角α1 がπ/4になるように配置されてい
る。正反射光検出部203は鋼板205から反射角θの
正反射光を受光するものであり、例えばオプティカルフ
ラットからなるビ−ムスプリッタ208a,208b,
208cと、例えばCCDからなるリニアアレイカメラ
209a,209b,209cと、リニアアレイカメラ
209a,209b,209cの受光面の前面に設けら
れた検光子210a,210b,210cとを有する。
リニアアレイカメラ209a〜209cは鋼板205の
同一位置を見るように調整されている。検光子210
a,210b,210cは例えば偏光板や偏光フィルタ
からなり、図21に示すように、検光子210の透過軸
が鋼板205の入射面となす角α2 は検光子210aが
α2 =0、検光子210bがα2 =π/ 4、検光子21
0cがα2 =−π/ 4になるように配置されている。散
乱反射光検出部204は鋼板205から例えば反射角0
度の散乱反射光を受光するものであり、散乱反射光用リ
ニアアレイカメラ209dと、散乱反射光用リニアアレ
イカメラ209dの前面に設けられた検光子210dと
を有する。検光子210dも例えば偏光板や偏光フィル
タからなり、透過軸が鋼板205の入射面となす角α2
がπ/ 2になるように配置されている。
【0087】正反射光検出部203のリニアアレイカメ
ラ209a,209b,209cと散乱反射光検出部2
04の散乱反射光用リニアアレイカメラ209dは、図
22のブロック図に示すように、信号処理部211に接
続されている。信号処理部211は正反射光用のフレ−
ムメモリ212a,212b,212cと散乱反射光用
のフレ−ムメモリ212dと、演算手段213と、tan
Ψ記憶手段214aとcos Δ記憶手段214bとI0 記
憶手段214cと、パラメ−タ記憶手段215と、パラ
メ−タ比較手段216と、散乱光比較手段217と疵種
総合判断手段218及び不図示の出力手段とを有する。
フレ−ムメモリ212a,212b,212cにはそれ
ぞれリニアアレイカメラ209a,209b,209c
から出力された画像信号が各画素毎に展開される。フレ
−ムメモリ212dには散乱反射光用リニアアレイカメ
ラ209dから出力された画像信号が各画素毎に展開さ
れる。演算手段213は鋼板205の同じ位置の画像信
号をフレ−ムメモリ212a,212b,212cから
逐次読み出し、各画素におけるエリプソパラメ−タすな
わち振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δと、鋼
板205の正反射光の表面反射強度I0 を演算し、tan
Ψ記憶手段214aとcos Δ記憶手段214bとI0 記
憶手段214cに格納する。パラメ−タ記憶手段215
にはあらかじめ求めておいた鋼板205の表面の特性、
すなわち物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化
膜等の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむ
らといった模様状疵に応じたtan Ψとcos Δ及び正反射
光の表面反射強度I0 の各種特性が記憶してある。パラ
メ−タ比較手段216はtan Ψ記憶手段214aとcos
Δ記憶手段214bとI0 記憶手段214cに記憶され
たtan Ψとcos Δ及び表面反射強度I0 とパラメ−タ記
憶手段215にあらかじめ記憶された特性とを各画素毎
に比較し、鋼板205の表面の主に模様状疵の有無とそ
の種別と程度を判定する。散乱光比較手段217は正反
射光の表面反射強度I0 とフレ−ムメモリ212dに格
納された散乱光の強度I4 から鋼板205表面の主に凹
凸性の疵の有無とその程度を判定する。そして、最終的
に疵種総合判定手段218で疵種の総合判定を行う。ま
た、ここではパラメ−タ比較手段216は正反射光のパ
ラメ−タのみを扱ったが、散乱光の強度I4 もパラメ−
タの1つと考え、一括してパラメ−タ比較手段216で
処理するようにすることもできる。
【0088】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、まず、3個のリニアアレイカメ
ラ209a,209b,209cで検出した光強度から
振幅反射率比tan Ψとcos Δと鋼板205の正反射光の
表面反射強度I0 を演算する原理を説明する。
【0089】図21に示すように偏光子207の透過軸
Pと検光子210の透過軸Aが鋼板205の入射面とな
す角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板20
5に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検光子
210を通って合成されたときの光強度I( α1 ,α2)
は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とすると
次式で表せる。
【0090】
【数5】 ただし
【0091】
【数6】
【0092】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子210aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子210bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子210cを通った光強度I3 は、
I2 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。但し、光強度I1 ,I2 ,
I3 はカメラのアンプゲインなどの選び方によって定数
倍される場合もある。
【0093】
【数7】
【0094】次に、上記原理を使用した表面検査装置の
動作を説明する。投光部202から出射されて一定速度
で移動している鋼板205の表面で正反射した偏光はそ
れぞれ検光子210a,210b,210cを通ってリ
ニアアレイカメラ209a,209b,209cに入射
する。このリニアアレイカメラ209a,209b,2
09cで正反射光の光強度を検出するときに、リニアア
レイカメラ209aの前面にはα2 =0の検光子210
aが設けられているから、リニアアレイカメラ209a
は前記光強度I1 を検出し、リニアアレイカメラ209
bの前面にはα2 =π/4の検光子210bが設けられ
ているから、リニアアレイカメラ209bは前記光強度
I2 を検出し、リニアアレイカメラ209cの前面には
α2 =−π/4の検光子210cが設けられているか
ら、リニアアレイカメラ209cは前記光強度I3 を検
出する。リニアアレイカメラ209a,209b,20
9cで検出した光強度I1 ,I2 ,I3 の分布を示す画
像がそれぞれフレ−ムメモリ212a,212b,21
2cに展開される。同時に散乱反射光用ラインセンサ2
09dで検出した鋼板205表面の散乱光の光強度I4
がフレ−ムメモリ212dに展開される。
【0095】演算手段213はフレ−ムメモリ212a
〜212cに展開された光強度I1,I2 ,I3 を各画
素毎に読み出して、振幅反射率比tan Ψとcos Δと正反
射光の表面反射強度I0 を逐次演算して、tan Ψ記憶手
段214aとcos Δ記憶手段214bとI0 記憶手段2
14cに格納する。パラメ−タ比較手段216はtanΨ
記憶手段214aとcos Δ記憶手段214bとI0 記憶
手段214cに記憶されたtan Ψとcos Δ及び表面反射
強 度I0 とパラメ−タ記憶手段215にあらかじめ記
憶された特性とを各画素毎に比較し、鋼板205の表面
の主に模様状疵の有無とその種別と程度を判定する。一
方、散乱光比較手段217はフレ−ムメモリ212dに
格納された散乱光の光強度I4 とI0 記憶手段214c
に記憶された表面反射強度I0 を各画素毎に比較し、鋼
板205の表面の主に凹凸の疵の有無とその程度を判定
する。このパラメ−タ比較手段216と散乱光比較手段
217の判定結果が疵種総合判定手段218で総合的に
判断され、出力手段(不図示)から記録手段や表示手段
(不図示)に逐次出力され、鋼板205の表面に異常が
あるか否を明らかにする。
【0096】このように鋼板205の表面の模様状疵の
有無とその種別と程度を検出するとともに凹凸の疵の有
無とその程度も同時に検出するから、鋼板205の表面
の異常の有無を迅速にかつ精度良く検出することができ
る。例えばtan Ψとcos Δ及び表面反射強度I0 を考慮
しない従来の場合と比べて軽い模様状疵の検出精度を70
%程度から95%程度に高めることができるとともに、軽
い凹凸の疵も従来の80%程度から99%異常に高めること
ができた。
【0097】なお、上記実施形態は正反射光検出部20
3に3個のリニアアレイカメラ209a,209b,2
09cを設けた場合について説明したが、図23に示す
ように、ビ−ムスプリッタ208と3個の検光子210
a,210b,210c及び3個のリニアアレイセンサ
219a,219b,219cを内蔵した3板式リニア
アレイカメラ220を使用しても上記実施形態と同様に
鋼板205表面の模様状疵や各種疵を検出することがで
きる。このように正反射光検出部203を一体化するこ
とにより、設置スペ−スの自由度を高めることができ
る。
【0098】また、上記実施形態においては散乱反射光
検出部204に検光子210dを設けた場合について説
明したが、検光子210dを取り除いても、上記実施形
態と同様に鋼板205の凹凸の疵や模様状疵を精度良く
検出することができる。
【0099】さらに、上記各実施形態は散乱反射光検出
部204に1個の散乱反射光用リニアアレイカメラ20
9dを設けた場合について説明したが、図24に示すよ
うに、散乱反射光検出部204に、方位角π/2の検光
子210dと散乱反射光用リニアアレイカメラ209d
とともに方位角0度の検光子210eと散乱反射光用リ
ニアアレイカメラ209eを設け、ビ−ムスプリッタ2
21で散乱反射光を2つに分離して散乱反射光用リニア
アレイカメラ209dと散乱反射光用リニアアレイカメ
ラ209eで検出するようにしても良い。このように散
乱反射光検出部204で方位角π/2の検光子210d
を通った光の光強度と方位角0度の検光子210eを通
った光の光強度を検出することにより、鋼板205表面
の凹凸の疵の検出精度を、上記実施形態の場合よりある
程度向上させることができる。
【0100】また、図25に示すように、正反射光検出
部203と散乱反射光検出部204の双方にビ−ムスプ
リッタ208と3個の検光子210a,210b,21
0c及び3個のリニアアレイセンサ219a,219
b,219cを内蔵した3板式リニアアレイカメラ22
0を配置しても良い。この場合は、正反射光と散乱反射
光のエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δと、表面反射強
度I0 を得ることができ、あらゆる種類の疵を高精度に
検出することができる。
【0101】さらに、用途をある程度限定して鋼板20
5表面の凹凸の疵を主として検出する場合には、図26
に示すように、散乱反射光検出部204に3板式リニア
アレイカメラ220を配置し、正反射光検出部203に
方位角π/2の検光子210dと1台のリニアアレイカ
メラ209を配置したり、図27に示すように、散乱反
射光検出部204にのみ3板式リニアアレイカメラ22
0を配置するようにしても良い。このように構成するこ
とにより、凹凸が小さい模様状疵の検出精度は若干低下
するが、散乱反射光のエリプソパラメ−タtan Ψ,cos
Δと、表面反射強度I0 を得ることにより、凹凸の疵の
検出精度を高めることができる。なお、図26の正反射
光検出部203に設けた方位角0度の検光子210dは
鋼板205が塗油材の場合を使用したほうが良いが、無
塗油材の場合には省略しても良い。
【0102】なお、上記各実施形態では光源206とし
て棒状に構成されたものを使用した場合について説明し
たが、レ−ザ光源からの光をレンズや放物面鏡でライン
状にして出射するようにしても良い。
【0103】また、上記各実施形態は反射光のエリプソ
パラメ−タtan Ψ,cos Δと、表面反射強度I0 から鋼
板205の表面の模様状疵や凹凸の疵の有無を検出する
場合について説明したが、模様状疵の種類によっては反
射光のエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δから鋼板20
5の表面特性を検出するようにしても良い。
【0104】この発明は以上説明したように、被検査面
に対して一定入射角で被検査面の幅方向全体に偏光を入
射し、被検査面からの正反射光と散乱反射光を受光し、
正反射光と散乱反射光の画像信号を比較して、被検査面
の凹凸の疵を検出するとともに、正反射光と散乱反射光
のすくなくとも一方の画像信号から被検査面の表面反射
光のエリプソパラメ−タである振幅反射率比tan Ψと位
相差Δを示すcos Δを演算し、2つのエリプソパラメ−
タtan Ψ,cos Δの変化から被検査面の模様状疵の有無
を検出するようにしたから、被検査面の異常の有無を迅
速に検出することができ、鋼板等のようなシ−ト状製品
の表面の状態をオンラインで連続的に検出することがで
きる。
【0105】また、上記2つのエリプソパラメ−タtan
Ψとcos Δとともに被検査面の表面反射強度I0 を演算
し、2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δと表面反
射強度I0 から被検査面の特性の変化を検出することに
より、各種の模様状疵の有無をより高精度に検出するこ
とができる。また、散乱反射光からエリプソパラメ−タ
tan Ψ,cos Δ又はエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δ
と表面反射強度I0 を得て被検査面の特性の変化を検出
することにより、被検査面の凹凸を有する疵を高精度に
検出することができる。
【0106】実施形態6 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0107】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらと
いった模様状疵といわれるものがある。このような模様
状疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が
困難である。例えば正常部で100 A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に40
0 A(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いてい
る異常部がある場合、このような異常部の領域は表面処
理工程において塗装不良が生じるため、疵として検出し
て除去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常
部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、
光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能で
ある。
【0108】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報等に開示されている。特開昭52−138183号
公報に示された検査方法は被検査体の表面から反射した
P偏光とS偏光の比があらかじめ定めた比較レベルより
高いか否可によって欠陥の有無を検知するものである。
また、特開昭58−204356号公報に示された検出方法は被
検査体の表面に特定角度の入射角で光を照射して、表面
欠陥を検出するときのS/N比を向上するようにしたも
のである。また、偏光を用いた膜厚あるいは物性値の測
定方法が例えば特開昭62−293104号公報に開示されてい
る。特開昭62−293104号公報に示された検査方法は、試
料から反射した偏光を方位角の異なる3個の検光子を通
して受光し、異なる3種類の偏光の光強度から各位置の
エリプソパラメ−タすなわち反射光の電気ベクトルのう
ち入射面方向の成分であるP偏光と入射面に垂直方向の
成分であるS偏光との振幅反射率比tan Ψと位相差Δを
演算して、被検査面上の酸化膜やコ−ティング厚さある
いは物性値を精度良く測定する方法である。
【0109】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、厳密なエリプソパラメ−タ
である振幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することな
しに疵を検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部
は光学的物性が正常部と異なった部分であることが多
く、このような部分は複素屈折率が正常部と異なってい
るといえる。このような場合、エリプソパラメ−タの振
幅反射率比tan Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、エ
リプソパラメ−タの変化の一部しか捕らえることができ
ず、例えば検査結果として異常部が検出できたとして
も、それが油のしみか、酸化膜のむらか、又は何らかし
らの異常な付着物が付着したのであるか等を弁別するこ
とができず、異常部の種別と程度を判定することは困難
であった。
【0110】これに対して特開昭62−293104号公報に示
された検査方法は、エリプソパラメ−タの振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを使用しているから、油のしみや酸化
膜のむら,異物の付着を弁別できる可能性がある。しか
しながら、この方法は基本的に点測定であり、鋼板等の
表面全体の検査に適さない。仮に、特開昭62−293104号
公報に示されている装置で、光電変換器をカメラに置き
換えるなど何らかの工夫により全面走査が可能になった
としても、2台のカメラを画素単位で鋼板上の全く同一
の位置を見るように厳密に位置と姿勢を調整する必要が
ある。また3台のカメラを収納するために大きなスペ−
スを必要とする。
【0111】また、この方法は元々膜厚あるいは物性値
を測定する方法であり、そのためにはエリプソパラメ−
タの振幅反射率比tan Ψと位相差Δを測定すれば十分で
あった、しかしながら、これらのパラメ−タは必ずしも
人の目で見た状態と一致するものではなく、人が疵と認
識できてもエリプソパラメ−タは変化しない疵について
は検出することができない。
【0112】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、簡単な構成でシ−ト状製品の表面に
ある模様状疵や凹凸状の疵をオンラインで連続的に検出
して、その種別や程度を正確に弁別することができる表
面疵検査装置を得ることを目的とするものである。
【0113】この発明に係る表面疵検査装置は、投光部
と3板式偏光リニアアレイカメラと信号処理部とを有
し、投光部は被検査面に偏光を入射し、3板式偏光リニ
アアレイカメラは入射した光束を3本のビ−ムに分離す
るビ−ムスプリッタと、分離された3本のビ−ムの光路
にそれぞれ設けられ、方位角がそれぞれ異なる向きに配
置された検光子と、各検光子を透過した光を受光するリ
ニアアレイセンサとを有し、被検査面からの反射光を入
射して異なる3種類の偏光画像信号を出力し、信号処理
部は3板式偏光リニアアレイカメラから出力された偏光
画像信号を処理して、被検査面の表面反射光のエリプソ
パラメ−タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示す
cos Δ及び反射光強度I0 を演算し、演算した振幅反射
率比tan Ψと位相cos Δ及び反射光強度I0 から被検査
面の表面疵の有無を判定することを特徴とする。
【0114】この発明においては、表面疵検査装置を投
光部と受光部である3板式偏光リニアアレイカメラと信
号処理部で構成する。投光部は被検査面例えば高速で移
動している鋼板の表面の幅方向全体にわたり一定入射角
で光束を入射するように光源が配置され、光源と被検査
面の入射位置との間に偏光子が設けられている。3板式
偏光リニアアレイカメラは被検査面からの反射光を入射
して異なる3種類の偏光画像信号を出力するものであ
り、ビ−ムスプリッタと3個の検光子と例えばCCD等
からなる3個のリニアアレイセンサとを有する。ビ−ム
スプリッタは入射面に誘電体多層膜を蒸着した2つの半
透過性を有する反射面が設けられ、被検査面からの反射
光を入射する第1の反射面は透過率と反射率が約2対1
の割合になっており、第1の反射面を透過した光を入射
する第2の反射面は透過率と反射率が1対1の割合にな
っている。このビ−ムスプリッタで入射した光を3本の
ビ−ムに分離して、分離したビ−ムをそれぞれ検光子に
入射させる。3個の検光子はそれぞれ異なる方位角、す
なわち透過軸が被検査面の入射面となす角が例えば0,
π/4,−π/4になるように配置され、振動面が異な
った偏光をそれぞれリニアアレイセンサに入射させる。
3個のリニアアレイセンサは各検光子を通った偏光を入
射して偏光の強度分布を示す画像信号を信号処理部に出
力する。このように被検査面からの反射光を1台の3板
式偏光リニアアレイカメラに入射し、3板式偏光リニア
アレイカメラ内で振動面が異なった3本の偏光に分離し
て3個のリニアアレイセンサに入射するから、3個のリ
ニアアレイセンサには被検査面からの同じ位置からの反
射光を同じタイミングで入射することができる。
【0115】信号処理部は3板式偏光リニアアレイカメ
ラから出力された偏光画像信号を処理して、被検査面の
表面反射光のエリプソパラメ−タである振幅反射率比ta
n Ψと位相差Δを示すcos Δ及び反射光強度I0 を演算
し、演算した振幅反射率比tan Ψと位相cos Δ及び反射
光強度I0 とあらかじめ定められた表面疵の特性とを比
較して異常の程度を判定する。
【0116】実施形態7 図28はこの発明の一実施形態の光学系を示す配置図で
ある。図に示すように、光学系301は投光部302と
3板式偏光リニアアレイカメラ303を有する。投光部
302は被検査体例えば鋼板304の表面に一定の入射
角で偏光を入射するものであり、光源305と光源30
5の前面に設けられた偏光子306とを有する。光源3
05は鋼板304の幅方向に伸びた棒状発光装置からな
り、鋼板304の幅方向全体に一定間隔で光を照射す
る。偏光板306は例えば偏光板もしくは偏光フィルタ
からなり、図29の配置説明図に示すように、透過軸P
が鋼板304の入射面となす角α1 がπ/4になるよう
に配置されている。3板式偏光リニアアレイカメラ30
3は、図30の構成図に示すように、ビ−ムスプリッタ
307と3個の検光子308a,308b,308cと
3個のリニアアレイセンサ309a,309b,309
cと3個のスリット310a,310b,310cを有
する。ビ−ムスプリッタ307は3個のプリズムからな
り、入射面に誘電体多層膜を蒸着した半透過性を有する
反射面が2面設けられ、鋼板304からの反射光を入射
する第1の反射面307aは透過率と反射率が約2対1
の割合になっており、第1の反射面307aを透過した
光を入射する第2の反射面307bは透過率と反射率が
1対1の割合になっており、鋼板304からの反射光を
同じ光量の3本のビ−ムに分離する。また、ビ−ムスプ
リッタ307の入射面から分離した3本のビ−ムの出射
面までの光路長は同じにしてある。検光子308aは第
2の反射面310bの透過光の光路に設けられ、図29
に示すように、方位角すなわち透過軸が鋼板304の入
射面となす角α2 が0度になるように配置され、検光子
308bは第2の反射面307bの反射光の光路に設け
られ、方位角α2 がπ/4度になるように配置され、検
光子308cは第1の反射面307aの反射光の光路に
設けられ、方位角α2 が−π/4になるように配置され
ている。リニアアレイセンサ309a,309b,30
9cは例えばCCDセンサからなり、それぞれ検光子3
08a,308b,308cの後段に配置されている。
また、ビ−ムスプリッタ7と検光子308a,308
b,308cの間にはビ−ムスプリッタ307内の多重
反射光や不必要な散乱光をカットするスリット310
a,310b,310cが設けられ、ビ−ムスプリッタ
307の前段にはレンズ群311が設けられている。ま
た、リニアアレイセンサ309a,309b,309c
は同じ光強度の光が入射したときに同じ信号を出力する
ように利得が調整してある。
【0117】このように入射した光を分離した3本のビ
−ムの光路に検光子308a〜308cとリニアアレイ
センサ309a〜309cが一体化して設けられている
から、リニアアレイセンサ309a〜309c等を鋼板
304の搬送路近傍に設置して鋼板304からの反射光
を検出するときに、リニアアレイセンサ309a〜30
9c等の位置調整を必要としないとともに、鋼板304
の同じ位置からの反射光を同じタイミングで検出するこ
とができる。また、3板式偏光リニアアレイカメラ30
3内に3組のリニアアレイセンサ309a〜309cが
まとまって収納されて小型化しているから、3板式偏光
リニアアレイカメラ303を鋼板304の反射光の光路
に簡単に配置することができるとともに、配置位置を任
意に選択することができ、光学系301の配置の自由度
を向上することができる。
【0118】3板式偏光リニアアレイカメラ303のリ
ニアアレイセンサ309a〜309cは、図31のブロ
ック図に示すように、信号処理部312に接続されてい
る。信号処理部312はフレ−ムメモリ313a,31
3b,313cと演算手段314とtan Ψ記憶手段31
5aとcos Δ記憶手段315bとI0 記憶手段315c
とパラメ−タ記憶手段316とパラメ−タ比較手段31
7及び出力手段318とを有する。フレ−ムメモリ31
3a,313b,313cにはそれぞれリニアアレイセ
ンサ309a,309b,309cから出力された画像
信号が各画素毎に展開される。演算手段314は鋼板3
04の同じ位置の画像信号をフレ−ムメモリ313a,
313b,313cから逐次読み出し、各画素における
エリプソパラメ−タすなわち振幅反射率比tan Ψと位相
差Δを示すcos Δと、鋼板304の反射光の表面反射強
度I0 を演算し、tan Ψ記憶手段315aとcos Δ記憶
手段315bとI0 記憶手段315cに格納する。パラ
メ−タ記憶手段316にはあらかじめ求めておいた鋼板
304の表面の特性、すなわち物性値のむら,ミクロな
粗さのむら,薄い酸化膜等の局所的な存在あるいはコ−
ティング膜厚の厚さむらといった模様状疵や凹凸状の疵
に応じたtan Ψとcos Δ及び正反射光の表面反射強度I
0 の各種特性が記憶してある。パラメ−タ比較手段31
7はtan Ψ記憶手段315aとcos Δ記憶手段315b
とI0 記憶手段315cに記憶されたtan Ψとcos Δ及
び表面反射強度I0 とパラメ−タ記憶手段316にあら
かじめ記憶された各特性値とを各画素毎に比較し、鋼板
304の表面の模様状疵や凹凸状疵の有無とその種別と
程度を判定する。
【0119】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、まず3個のリニアアレイセンサ
309a,309b,309cで検出した光強度から振
幅反射率比tan Ψとcos Δと鋼板4の正反射光の表面反
射強度I0 を演算する原理を説明する。
【0120】図29に示すように、鋼板304からの反
射光が検光子308に入射する場合、偏光板306の透
過軸Pと検光子308の透過軸Aが鋼板304の入射面
となす角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板
304に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検
光子308を通って合成されたときの光強度I( α1,
α2)は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とす
ると次式で表せる。
【0121】
【数8】 ただし、
【0122】
【数9】
【0123】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子308aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子308bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子308cを通った光強度I3 は、
I3 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。
【0124】
【数10】
【0125】また、図30に示すように、鋼板304か
らの反射光をビ−ムスプリッタ307を通してから各検
光子308a〜308cを介してリニアアレイセンサ3
09a,309b,309cで検出した場合、上記エリ
プソパラメ−タtan ΨとcosΔ及び表面反射強度I0 の
各画素毎の値は、K画素目のリニアアレイセンサ309
a〜309cの出力をI1k,I2k,I3kとし、リニアア
レイセンサ309b,309cに入射する光のビ−ムス
プリッタ307によるs偏光成分とp偏光成分の透過率
の比をτ2,τ3、A=(τ2+τ3),B=(1+τ
22),C=(1+τ32)とすると、K画素目のエリプソ
パラメ−タtan Ψk とcos Δk 及びK画素全体の光量を
示す表面反射強度I0kは次式で得られる。
【0126】
【数11】
【0127】次に、上記原理を使用した表面検査装置の
動作を説明する。投光部302から出射されて一定速度
で移動している鋼板304の表面で反射した偏光は3板
式偏光リニアアレイカメラ303で受光される。3板式
偏光リニアアレイカメラ303に入射した鋼板304の
反射光はビ−ムスプリッタ307で分離され検光子30
8a,308b,308cを通ってリニアアレイセンサ
309a,309b,309cに入射する。このリニア
アレイセンサ309a,309b,309cで反射光の
光強度を検出するときに、リニアアレイセンサ309a
は前面にα2 =0の検光子308aが設けられているか
ら前記光強度I1 を検出し、リニアアレイセンサ309
bは前面にα2 =π/4の検光子308bが設けられて
いるから光強度I2 を検出し、リニアアレイセンサ30
9cは前面にα2 =−π/4の検光子308cが設けら
れているから光強度I3 を検出する。リニアアレイセン
サ309a,309b,309cで検出した光強度I1
,I2 ,I3 を示す画像信号は各画素毎にそれぞれフ
レ−ム メモリ313a,313b,313cに展開さ
れる。
【0128】演算手段314はフレ−ムメモリ313a
〜313cに展開された光強度I1,I2 ,I3 を各画
素毎に読み出して、各画素毎に振幅反射率比tan Ψk と
cosΔk と表面反射強度I0kを逐次演算して、tan Ψ記
憶手段315aとcos Δ記憶手段315bとI0 記憶手
段315cに格納する。パラメ−タ比較手段317はta
n Ψ記憶手段315aとcos Δ記憶手段315bとI0
記憶手段315cに記憶されたtan Ψk とcos Δk 及び
表面反射強度I0kとパラメ−タ記憶手段316にあらか
じめ記憶された特性とを各画素毎に比較し、鋼板304
の表面の模様状疵や凹凸状の疵の有無とその種別と程度
を判定する。このパラメ−タ比較手段317の判定結果
が出力手段318から不図示の記録手段や表示手段に逐
次出力され、鋼板304の表面に異常があるか否を明ら
かにする。
【0129】この発明は以上説明したように、被検査面
からの反射光を入射して異なる3種類の偏光画像信号を
出力する3組のリニアアレイセンサを一体化した3板式
偏光リニアアレイカメラを使用して異なる3種類の偏光
画像信号を得るようにしたから、3板式偏光リニアアレ
イカメラを被検査面の反射光の光路に簡単に配置するこ
とができるとともに、配置位置を任意に選択することが
でき、偏光を利用した表面疵検査装置の光学系の配置の
自由度を高めることができる。
【0130】また、3組のリニアアレイセンサを一体化
して、被検査面の同じ位置からの反射光を同じタイミン
グで検出するようにしたから、画像信号を処理する信号
処理部の構成を簡略化するとともに、被検査面の表面疵
を精度良く検出することができる。
【0131】実施形態8 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0132】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらと
いった模様状疵といわれるものがある。このような模様
状疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が
困難である。例えば正常部で100 A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に40
0 A(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いてい
る異常部がある場合、このような異常部の領域は表面処
理工程において塗装不良が生じるため、疵として検出し
て除去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常
部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、
光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能で
ある。
【0133】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報等に開示されている。特開昭52−138183号
公報に示された検査方法は被検査体の表面から反射した
P偏光とS偏光の比があらかじめ定めた比較レベルより
高いか否可によって欠陥の有無を検知するものである。
また、特開昭58−204356号公報に示された検出方法は被
検査体の表面に特定角度の入射角で光を照射して、表面
欠陥を検出するときのS/N比を向上するようにしたも
のである。また、疵検査方法ではないが、偏光を用いた
膜厚,表面物性の測定方法が例えば特開昭62−293104号
公報や特開平4−58138 号公報等に開示されている。特
開昭62−293104号公報に示された検査方法は、試料から
反射した偏光を方位角の異なる3個の検光子を通して受
光し、異なる3種類の偏光の光強度から各位置のエリプ
ソパラメ−タすなわち反射光の電気ベクトルのうち入射
面方向の成分であるP偏光と入射面に垂直方向の成分で
あるS偏光との振幅反射率比tan Ψと位相差Δを演算し
て、被検査面上の酸化膜やコ−ティング厚さあるいは物
性値を精度良く測定する方法である。特開平4−58138
号公報に示された検出方法は、試料から反射した偏光を
1/4波長板からなる移相子と検光子とを介してイメ−
ジセンサに導くときに、移相子の透過軸の位置を所定角
度変え、各角度毎に検光子を回転させてイメ−ジセンサ
の画素毎に偏光パラメ−タを求めて複屈折分布を精度良
く測定する方法である。
【0134】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、エリプソパラメ−タである
振幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することなしに疵
を検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部は光学
的物性が正常部と異なった部分であることが多く、この
ような部分は複素屈折率が正常部と異なっているといえ
る。このような場合、エリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、エリプソパ
ラメ−タの変化の一部しか捕らえることができず、例え
ば検査結果として異常部が検出できたとしても、それが
油のしみか、酸化膜のむらか、又は何らかしらの異常な
付着物が付着したのであるか等を弁別するこができず、
異常部の種別と程度を判定することは困難であった。
【0135】これに対して特開昭62−293104号公報に示
された検査方法は、エリプソパラメ−タの振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを使用しているから、油のしみや酸化
膜のむら,異物の付着を弁別できる可能性がある。しか
しながら、この方法は基本的に点測定であり、鋼板等の
表面全体の検査に適さない。仮に、特開昭62−293104号
公報にしめされている装置を鋼板の幅方向に多数並べた
り、幅方向に高速に移動可能な機構を持った手段によっ
て1台の装置を走査したり、何らかの工夫により全面走
査が可能になったとしても、信号処理部は全測定点につ
いて偏光強度信号からエリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δを演算子、画像処理装置などを用い
て疵種と疵の等級を判定する必要がある。しかし、幅方
向1ラインで1000点以上の偏光強度信号を処理しなけら
ばならず、特にエリプソパラメ−タ演算はソフトウェア
演算で行った場合、約数10秒の演算時間がかかるため、
例えば毎分数100 mの速度で通過する鋼板等のシ−ト状
製品の表面をオンラインで連続的に検査することは不可
能であった。このために専用の偏光パラメ−タ等の演算
処理装置が必要となり、装置が高価になってしまう。
【0136】また、この方法はもともと膜厚あるいは物
性値を測定する方法であり、そのためにはエリプソパラ
メ−タの振幅反射率比tan Ψと位相差Δを測定すれば十
分であった、しかしながら、これらのパラメ−タは必ず
しも人の目で見た状態と一致するものではなく、人が疵
と認識できてもエリプソパラメ−タは変化しない疵につ
いては検出することができない。
【0137】また、特開平4−58138 号公報に示された
検査方法は、薄膜評価等に使用されているエリプソメ−
タを2次元に拡大したものであり、この場合は、各画素
毎に複屈折率が求められるため、明確に定量化された複
屈折率により正常部と異常部を弁別することができる。
しかしながら、移相子と検光子を機械的に回転させて測
定しているため、被検査体の各位置の複屈折率を測定す
るには、少なくとも1回の測定中は被検査体を停止させ
ている必要があった。このため、例えば鋼板等のように
連続的に製造されて送られるシ−ト状製品の表面をオン
ラインで連続的に検査することは不可能であった。
【0138】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、簡単な構成でシ−ト状製品の表面に
ある模様状疵や凹凸状の疵をオンラインで連続的に検出
して、その種別や程度を弁別することができる表面検査
装置を得ることを目的とするものである。
【0139】この発明にかかわる表面検査装置は、投光
部と受光部と信号処理部とを有し、投光部は幅方向に長
いビ−ムの偏光を被検査面に入射し、受光部は被検査面
の反射光の光路に設けられ、それぞれ異なる方位角を有
する3個の検光子と、各検光子を透過した光を受光する
リニアアレイセンサとを有し、被検査面からの反射光を
入射し画像信号に変換し、信号処理部は各リニアアレイ
センサからの出力画像信号を正規化して平坦化し、平坦
化した画像信号からエリプソパラメ−タである振幅反射
率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δ及び反射光強度I0
の相対値を演算し、演算した振幅反射率比tan Ψと位相
差cos Δ及び反射光強度I0 の相対値から被検査面の表
面の異常の有無を判定することを特徴とする。
【0140】この発明においては、被検査面に対して一
定入射角で被検査面の幅方向全体に偏光を入射するよう
に投光部を配置し、被検査面からの反射光を受光する受
光部を所定の位置に配置する。受光部は入射した光を3
本のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタと、分離した3
本のビ−ムを別々に入射して画像信号を出力する例えば
CCDセンサを有する3組のリニアアレイカメラと、ビ
−ムスプリッタと各リニアアレイカメラの間に設けら
れ、被検査面からの反射光を異なる振動面の偏光にする
検光子とが設けられている。3個の検光子はそれぞれ異
なる方位角、すなわち透過軸が被検査面の入射面となす
角が、例えば0,π/4,−π/4になるように配置さ
れている。
【0141】信号処理部は各リニアアレイセンサからの
出力画像信号を正常部が全階調の中心輝度になるように
正規化して平坦化し、正常部に対する相対的な変化を示
す画像信号に変換する。この正常部に対する相対的な変
化を示す画像信号からエリプソパラメ−タである振幅反
射率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δ及び反射光強度I
0 を演算し、振幅反射率比tan Ψと位相差cos Δ及び反
射光強度I0 の相対値を算出し、tan Ψ,cos Δ,I0
の相対値画像を形成する。この相対値画像からtan Ψ,
cos Δ,I0 の相対的な変化を検出して鋼板等の被検査
面の表面の異常の有無を検出する。
【0142】実施形態9 図32,図33はこの発明の一実施形態の構成を示し、
図32は光学系の構成図、図33は信号処理部を示すブ
ロック図である。図32に示すように、光学系401は
投光部402と受光部403とを有する。投光部402
は光源404と光源404の前面に設けられた偏光子4
05とを有する。光源404は被検査体例えば鋼板40
6の板幅方向に長く形成された面状光源からなり、鋼板
406の表面の一定長さ範囲に平行光束を照射する。偏
光子405は例えば偏光板または偏光フィルタからな
り、図34に示すように、透過軸Pが鋼板406の入射
面となす角α1 がπ/4になるように配置されている。
受光部403は3個のリニアアレイカメラ407a,4
07b,407cと、各リニアアレイカメラ407a,
407b,407cの受光面に設けられた検光子408
a,408b,408cとを有する。リニアアレイカメ
ラ407a,407b,407cは、例えばCCD素子
群を有し、鋼板406の移動方向に位置をずらして配置
され、鋼板406の表面からの反射光を検出して偏光画
像信号に変換する。検光子408a,408b,408
cは、例えば偏光板または偏光フィルタからなり、図3
4に示すように、検光子408の透過軸が鋼板406の
入射面となす角α2 は検光子408aがα2 =0、検光
子408bがα2 =π/4、検光子408cがα2 =−
π/4になるように設置されている。
【0143】信号処理部409は信号変換部410a,
410b,410cと、フレ−ムメモリ411a,41
1b,411cと、演算手段412と、tan Ψ記憶手段
413aとcos Δ記憶手段413bとI0 記憶手段41
3cと、パラメ−タ比較手段414及び出力手段415
を有する。信号変換部410a,410b,410cは
それぞれリニアアレイカメラ407a,407b,40
7cから出力された偏光画像信号の正常部の信号を基準
レベルとし、正常部の信号が全階調の中心輝度になるよ
うにしてニアアレイカメラ407a,407b,407
cから出力された偏光画像信号を正規化して平坦化し、
正常部に対する相対的な変化を示す画像信号に変換す
る。フレ−ムメモリ411a,411b,411cには
それぞれ信号変換部410a,410b,410cから
出力された画像信号が各画素毎に展開される。演算手段
412は鋼板406の同じ位置の画像信号をフレ−ムメ
モリ411a,411b,411cから逐次読み出し、
各画素におけるエリプソパラメ−タすなわち振幅反射率
比tan Ψと位相差Δを示すcos Δと、鋼板406の反射
光の表面反射強度I0 を演算し、tan Ψ記憶手段413
aとcos Δ記憶手段413bとI0 記憶手段413cに
格納する。パラメ−タ比較手段414はtan Ψ記憶手段
413aとcos Δ記憶手段413bとI0 記憶手段41
3cに記憶されたtan Ψとcos Δ及び表面反射強度I0
のレベル変化から、鋼板406の表面の模様状疵や凹凸
状疵の有無とその種別を判定する。
【0144】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、まず、3個のリニアアレイカメ
ラ407a,407b,407cで検出した光強度から
振幅反射率比tan Ψとcos Δと鋼板406の反射光の表
面反射強度I0 を演算する原理を説明する。
【0145】図34に示すように、鋼板406からの反
射光が検光子408に入射する場合、偏光子405の透
過軸Pと検光子408の透過軸Aが鋼板406の入射面
となす角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板
406に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検
光子408を通って合成されたときの光強度I( α1,
α2)は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とす
ると次式で表せる。
【0146】
【数12】 ただし、
【0147】
【数13】
【0148】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子408aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子408bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子408cを通った光強度I3 は、
I3 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。
【0149】
【数14】
【0150】次に、上記原理を使用した表面検査装置の
動作を説明する。投光部2から出射されて一定速度で移
動している鋼板4の表面で反射した偏光は検光子408
a,408b,408cを通ってリニアアレイカメラ4
07a,407b,407cに入射する。このリニアア
レイカメラ407a、407b、407cで反射光の光
強度を検出するときに、リニアアレイカメラ407aは
前面にα2 =0の検光子408aが設けられているから
前記光強度I1 を検出し、リニアアレイカメラ407b
は前面にα2 =π/4の検光子408bが設けられてい
るから光強度I2 を検出し、リニアアレイカメラ407
cは前面にα2 =−π/4の検光子408cが設けられ
ているから光強度I3 を検出する。なお、リニアアレイ
カメラ407a,407b,407cが出力する偏光画
像信号の出力レベルを同じようなレベルにするためにリ
ニアアレイカメラ407aのゲインをリニアアレイカメ
ラ407b,407cのゲインの1/2にしておくと前
記式における光強度I1 はリニアアレイカメラ407a
で検出した光強度の2倍になる。
【0151】リニアアレイカメラ407a,407b,
407cで検出した光強度I1 ,I2 ,I3 を示す偏光
画像信号はそれぞれ信号変換部410a,410b,4
10cに送られる。信号変換部410a,410b,4
10cは送られた光強度I1,I2 ,I3 を示す偏光画
像信号を、正常部の画像を信号の基準レベルとし、正常
部の画像信号が全階調の中心輝度になるようにして正規
化して平坦化し、正常部に対する相対的な変化を示す画
像信号に変換する。すなわち、例えば図35(a)に示
すように、リニアアレイカメラ407a,407b,4
07cで検出した光強度I1 ,I2 ,I3 を示す偏光画
像信号を正常部の画像を信号の基準レベルとし、図35
(b)に示すように、正常部の画像信号が255 階調の中
心輝度である128 階調になるようにして、光強度I1 ,
I2 ,I3 を幅方向に所定の移動平均幅で平均輝度を求
めて正規化して平坦化する。例えばリニアアレイカメラ
8aのj番目の画素の光強度をIaj、所定の幅で移動平
均処理を行った後の光強度をIajm とすると、〔G( I
aj−Iajm )/Iajm 〕+128 なる計算を行う。なお、
Gは各カメラ,画素に共通な定数である。この平坦化し
た正常部に対する相対的な変化を示す画像信号をそれぞ
れフレ−ムメモリ411a,411b,411cに格納
する。このように正規化する前後の光強度I1 ,I2 ,
I3 の画像を図36(a),(b)に示す。図36
(a)に示すように、リニアアレイカメラ407a,4
07b,407cで検出した光強度I1 ,I2 ,I3 を
示す偏光画像は光強度I1 ,I2 ,I3 の輝度に応じて
濃淡が異なる画像を形成しているが、図36(b)に示
すように、正規化した相対的な変化を示す画像は、同じ
濃度を示す正常部を基準として異常部は明るくなったり
暗くなったりして濃度変化を示す。このようにリニアア
レイカメラ407a,407b,407cで検出した光
強度I1 ,I2 ,I3 を正常部を基準として正規化する
ことにより、リニアアレイカメラ407a,407b,
407cの個々のドリフト等は問題にならずに光強度I
1 ,I2 ,I3 に応じた画像を得ることができる。
【0152】演算手段412はフレ−ムメモリ411a
〜411cに展開された光強度I1,I2 ,I3 の相対
的な変化を示す画像を各画素毎に読み出して、各画素毎
に振幅反射率比tan Ψとcos Δと表面反射強度I0 を逐
次演算して、tan Ψ,cos Δ,I0 の画像デ−タとして
tan Ψ記憶手段413aとcos Δ記憶手段413bとI
0 記憶手段413cに格納する。この演算によって得ら
れるtan Ψ,cos Δ,I0 の画像は、図37(a),
(b),(c)に示すように、正常部を基準とした相対
値画像となり、例えば、cos Δ についてはΔ=90度の
正常部を基準にして生成され、異常部は明るくなるか暗
くなる。このtan Ψ,cos Δ,I0 の相対値画像を不図
示の表示装置に表示する。
【0153】パラメ−タ比較手段414はtan Ψ記憶手
段413aとcos Δ記憶手段413bとI0 記憶手段4
13cに記憶されたtan Ψとcos Δ及び表面反射強度I
0 のレベル変化から、鋼板406表面の模様状疵や凹凸
状疵の有無とその種別を判定して出力手段415から記
録装置や表示装置に出力する。すなわち、鋼板406の
異常部は、図37(c)のtan Ψ,cos Δ,I0 の画像
に示すように、異常すなわち疵等の種別によって正常部
を基準にした極性が異なり、例えば鋼板406の内部介
在物に起因した疵421はtan Ψ画面とcos Δ画面で正
極性となり、I0 画面では負極性を示す。また、油しみ
の場合はtan Ψ画面とcos Δ画面とI0画面で正,負,
正極性あるいはすべて正極性となり、tan Ψ,cos Δ,
I0 のレベルにより異常部の種別を弁別することができ
る。
【0154】このように、正常部の画像信号を255 階調
の中心輝度である128 階調になるようにして正規化して
相対的画像を生成することにより、エリプソパラメ−タ
tanΨやcos Δの異常部における変化を明確にすること
ができる。すなわち、一般的な画像処理の階調は255 階
調であるが、例えばリニアアレイカメラ407cで検出
した 光強度I3 の正常部の階調度が小さくなると、図
37(a)のI3 画像に示すように画像全体が非常に暗
くなる。この画像デ−タを用いてエリプソパラメ−タで
ある振幅反射率比tan Ψやcos Δの絶対値を演算する
と、エリプソパラメ−タtan Ψやcos Δの異常部におけ
る変化が明確にならない場合も生じ、疵検出に不都合が
生じることもあるが、このような不都合を解消すること
ができる。
【0155】また、各パラメ−タは理論的には、0≦ta
n Ψ≦∞,−1≦cos Δ≦1,0≦I0 ≦510 という値
をとり得るが、鋼板406の表面疵検査では、例えば0.
4 ≦tan Ψ≦1.6 ,−0.28≦cos Δ≦0.28,32≦I0 ≦
224 のようにとり得る値が限られることがある。このよ
うな場合は、現実にとり得る値が0から255 階調に対応
するようにレンジの拡大を行うことで、フレ−ムメモリ
411a〜411cの階調を有効に使い、例えば疵検出
のしきい値設定をより細かくできるようになる。
【0156】なお、上記各実施形態はリニアアレイカメ
ラ8a,8b,8cを鋼板鋼板406の移動方向に対し
て位置をずらして配置して、設置位置のずれ量Lを考慮
して鋼板406からの反射光を検出したが、鋼板406
の反射光をビ−ムスプリッタで3本のビ−ムに分離して
3台のリニアアレイカメラで受光するようにしてもよ
い。
【0157】また、図38の上面図と図39の側面図に
示すように、リニアアレイカメラ407a,407b,
407cを鋼板406の移動方向と直交する同一ライン
上で同じ高さの位置に設け、鋼板406の同一位置から
の反射光を同時に検出するようにしても良い。
【0158】また、上記各実施形態は投光部2から出射
した偏光を鋼板4の表面に直接入射し、その反射光をリ
ニアアレイカメラ407a,407b,407cで直接
受光する場合について説明したが、図40に示すよう
に、光源404から偏光子405を通して所定の入射角
で鋼板406の表面に入射し、その反射光をミラ−41
6で反射して鋼板406の表面に対して直交するように
設けたリニアアレイカメラ407a,407b,407
cで受光するようにしても良い。このように投光部40
2と受光部403を構成することにより、光学系401
の設置スペ−スを小さくすることができ、オンラインに
おける設置の自由度を改善することができる。この場
合、tan Ψ,cos Δ,I0 の絶対的な変化を問題にしな
いで相対的な変化を問題にするから、アルミニュ−ム等
のミラ−416による偏光の影響を問題にしないで済
み、光学系401の構成や設置の自由度を高めることが
できる。
【0159】この発明は以上説明したように、被検査面
に対して偏光を入射し、その反射光を異なる方位角を有
する検光子を通して受光し、異なる偏光の光強度分布を
測定し、測定した光強度分布を正常部が全階調の中心輝
度になるように正規化して平坦化し、正常部に対する相
対的な変化を示す画像信号に変換するようにしたから、
受光部の各カメラのドリフト等を問題とせずに光強度に
応じた画像を生成することができる。
【0160】また、生成した相対的画像からエリプソパ
ラメ−タtan Ψやcos Δ及び反射光強度I0 を演算する
から、エリプソパラメ−タtan Ψやcos Δ及び反射光強
度I0 の異常部における変化を明確にすることができ、
シ−ト状製品の表面にある異常部の有無や種別をオンラ
インで精度良く検出することができる。さらに、エリプ
ソパラメ−タの絶対値を測定しないで相対値を測定する
から、光学系や信号処理部の厳密さが大幅に緩和され、
装置全体を低価格にすることができるとともに設置や調
整も容易にすることができる。
【0161】実施形態10 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0162】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚さむらと
いった模様状疵といわれるものがある。このような模様
状疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が
困難である。例えば正常部で100 A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に40
0 A(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いてい
る異常部がある場合、このような異常部の領域は表面処
理工程において塗装不良が生じるため、疵として検出し
て除去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常
部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、
光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能で
ある。
【0163】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報等に開示されている。特開昭52−138183号
公報に示された検査方法は被検査体の表面から反射した
P偏光とS偏光の比があらかじめ定めた比較レベルより
高いか否可によって欠陥の有無を検知するものである。
また、特開昭58−204356号公報に示された検出方法は被
検査体の表面に特定角度の入射角で光を照射して、表面
欠陥を検出するときのS/N比を向上するようにしたも
のである。また、疵検査方法ではないが、偏光を用いた
膜厚,表面物性の測定方法が例えば特開昭62−293104号
公報や特開平4−58138 号公報等に開示されている。特
開昭62−293104号公報に示された検査方法は、試料から
反射した偏光を方位角の異なる3個の検光子を通して受
光し、異なる3種類の偏光の光強度から各位置のエリプ
ソパラメ−タすなわち反射光の電気ベクトルのうち入射
面方向の成分であるP偏光と入射面に垂直方向の成分で
あるS偏光との振幅反射率比tan Ψと位相差Δを演算し
て、被検査面上の酸化膜やコ−ティング厚さあるいは物
性値を精度良く測定する方法である。特開平4−58138
号公報に示された検出方法は、試料から反射した偏光を
1/4波長板からなる移相子と検光子とを介してイメ−
ジセンサに導くときに、移相子の透過軸の位置を所定角
度変え、各角度毎に検光子を回転させてイメ−ジセンサ
の画素毎に偏光パラメ−タを求めて複屈折分布を精度良
く測定する方法である。
【0164】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、エリプソパラメ−タである
振幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することなしに疵
を検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部は光学
的物性が正常部と異なった部分であることが多く、この
ような部分は複素屈折率が正常部と異なっているといえ
る。このような場合、エリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、エリプソパ
ラメ−タの変化の一部しか捕らえることができず、例え
ば検査結果として異常部が検出できたとしても、それが
油のしみか、酸化膜のむらか、又は何らかしらの異常な
付着物が付着したのであるか等を弁別することができ
ず、異常部の種別と程度を判定することは困難であっ
た。
【0165】これに対して特開昭62−293104号公報に示
された検査方法は、エリプソパラメ−タの振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを使用しているから、油のしみや酸化
膜のむら,異物の付着を弁別できる可能性がある。しか
しながら、この方法は基本的に点測定であり、鋼板等の
表面全体の検査に適さない。仮に、特開昭62−293104号
公報に示されている装置を鋼板の幅方向に多数並べた
り、幅方向に高速に移動可能な機構を持った手段によっ
て1台の装置を走査したり、何らかの工夫により全面走
査が可能になったとしても、信号処理部は全測定点につ
いて偏光強度信号からエリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δを演算子、画像処理装置などを用い
て疵種と疵の等級を判定する必要がある。しかし、幅方
向1ラインで1000点以上の偏光強度信号を処理しなけら
ばならず、特にエリプソパラメ−タ演算はソフトウェア
演算で行った場合、約数10秒の演算時間がかかるため、
例えば毎分数100 mの速度で通過する鋼板等のシ−ト状
製品の表面をオンラインで連続的に検査することは不可
能であった。このために専用の偏光パラメ−タ等の演算
処理装置が必要となり、装置が高価になってしまう。
【0166】また、この方法はもともと膜厚あるいは物
性値を測定する方法であり、そのためにはエリプソパラ
メ−タの振幅反射率比tan Ψと位相差Δを測定すれば十
分であった、しかしながら、これらのパラメ−タは必ず
しも人の目で見た状態と一致するものではなく、人が疵
と認識できてもエリプソパラメ−タは変化しない疵につ
いては検出することができなかった。
【0167】また、特開平4−58138 号公報に示された
検査方法は、薄膜評価等に使用されているエリプソメ−
タを2次元に拡大したものであり、この場合は、各画素
毎に複屈折率が求められるため、明確に定量化された複
屈折率により正常部と異常部を弁別することができる。
しかしながら、移相子と検光子を機械的に回転させて測
定しているため、被検査体の各位置の複屈折率を測定す
るには、少なくとも1回の測定中は被検査体を停止させ
ている必要があった。このため、例えば鋼板等のように
連続的に製造されて送られるシ−ト状製品の表面をオン
ラインで連続的に検査することは不可能であった。
【0168】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、簡単な構成でシ−ト状製品の表面に
ある模様状疵や凹凸状の疵をオンラインで連続的に検出
して、その種別や程度を弁別することができる表面検査
装置を得ることを目的とするものである。
【0169】この発明に係る表面検査装置は、投光部と
受光部と信号処理部とを有し、投光部は被検査面に偏光
を入射し、受光部は異なる特定角度の少なくとも3方向
の偏光を受光する複数の受光光学系を有し、被検査面で
反射した反射光を検出して画像信号に変換し、信号処理
部は各受光光学系から出力された光強度分布を平均値が
基準値となるように規格化し、企画化した複数の光強度
分布の変化極性と変化量とをあらかじめ定めたパターン
と比較し疵種を判定することを特徴とする。
【0170】また、上記信号処理部は各受光光学系から
出力された光強度分布を平均値が基準値となるように規
格化し、規格化した複数の光強度分布の変化極性と変化
量とをあらかじめ定めたパタ−ンと比較し疵種を判定
し、各受光光学系から出力された光強度分布から目視相
当の光量変化を演算し、演算した光量変化をあらかじめ
定めたパタ−ンと比較し疵の等級を判定することが望ま
しい。偏光は反射表面の物性、特に薄膜に対して敏感で
ある。また反射表面の物性により最大強度の偏光方向も
変化する。金属表面の疵部は正常部と異なる表面特性を
有し、表面の物性が母材と異なるため疵となったり、あ
るいは例えば凹凸のように正常部と表面幾何学形状が異
なるために疵となるものがある。前者は偏光を用いるこ
とにより検出でき、後者は反射率の相違となって現れる
ため反射光量変により検出できる。
【0171】そこで、この発明においては、被検査面に
対して一定入射角で被検査面の幅方向全体に偏光を入射
するように投光部を配置し、被検査面からの反射光を受
光する受光部を所定の位置に配置する。受光部は入射し
た光を例えば3本のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタ
と、分離した3本のビ−ムを別々に入射して画像信号を
出力する例えばCCDセンサを有する3組のリニアアレ
イカメラと、ビ−ムスプリッタと各リニアアレイカメラ
の間に設けられ、被検査面からの反射光を異なる振動面
の偏光にする検光子とが設けられている。3個の検光子
はそれぞれ異なる方位角、すなわち透過軸が被検査面の
入射面となす角が、例えば0,π/4,−π/4になる
ように配置されている。
【0172】信号処理部は各リニアアレイカメラからの
出力画像信号をシェ−ディング補正して正常部が全階調
の中心濃度になるように正規化して平坦化し、正常部に
対する相対的な変化を示す光強度信号に変換する。この
正常部に対する相対的な変化を示す3種類の光強度信号
の分布の変化極性と変化量とをそれぞれあらかじめ定め
たパタ−ンと比較して偏光の変化を検出する。この3種
類の光強度信号の正常部に対する変化極性と変化量の大
小から表面の物性が母材と異なる疵の疵種を判定する。
【0173】また、信号処理部は上記処理とともに各受
光光学系から出力された光強度分布から目視相当の光量
変化すなわち表面反射強度を演算し、演算した光量変化
をあらかじめ定めたパタ−ンと比較し、光量変化の変化
極性と変化量の大小から例えば凹凸状の疵のように正常
部と表面幾何学形状が異なる疵の等級を判定する。
【0174】実施形態11 図41はこの発明の一実施形態の光学系を示す配置図で
ある。図に示すように、光学系501は投光部502と
3板式偏光リニアアレイカメラ503を有する。投光部
502は被検査体例えば鋼板504の表面に一定の入射
角で偏光を入射するものであり、光源505と光源50
5の前面に設けられた偏光子506とを有する。光源5
05は鋼板504の幅方向に伸びた棒状発光装置からな
り、鋼板504の幅方向全体に一様な強度分布を有する
光を照射する。偏光子506は例えば偏光板又は偏光フ
ィルタからなり、図42の配置説明図に示すように、透
過軸Pが鋼板504の入射面となす角α1 がπ/4にな
るように配置されている。3板式偏光リニアアレイカメ
ラ503は、図43の構成図に示すように、ビ−ムスプ
リッタ507と3個の検光子508a,508b,50
8cと3個のリニアアレイセンサ509a,509b,
509cとを有する。ビ−ムスプリッタ507は3個の
プリズムからなり、入射面に誘電体多層膜を蒸着した半
透過性を有する反射面が2面設けられ、鋼板504から
の反射光を入射する第1の反射面507aは透過率と反
射率が約2対1の割合になっており、第1の反射面50
7aを透過した光を入射する第2の反射面507bは透
過率と反射率が1対1の割合になっており、鋼板504
からの反射光を同じ光量の3本のビ−ムに分離する。ま
た、ビ−ムスプリッタ7の入射面から分離した3本のビ
−ムの出射面までの光路長は同じにしてある。検光子5
08aは第2の反射面507bの透過光の光路に設けら
れ、図42に示すように、方位角すなわち透過軸が鋼板
504の入射面となす角α2 が0度になるように配置さ
れ、検光子508bは第2の反射面507bの反射光の
光路に設けられ、方位角α2 がπ/ 4度になるように配
置され、検光子508cは第1の反射面507aの反射
光の光路に設けられ、方位角α2 が−π/4になるよう
に配置されている。リニアアレイセンサ509a,50
9b,509cは例えばCCDセンサからなり、それぞ
れ検光子508a,508b,508cの後段に配置さ
れている。また、ビ−ムスプリッタ507と検光子50
8a,508b,508cの間にはビ−ムスプリッタ5
07内の多重反射光や不必要な散乱光をカットするスリ
ット510a,510b,510cが設けられ、ビ−ム
スプリッタ507の前段にはレンズ群511が設けられ
ている。また、リニアアレイセンサ509a,509
b,509cは同じ光強度の光が入射したときに同じ信
号を出力するように利得が調整してある。
【0175】このように入射した光を分離した3本のビ
−ムの光路に検光子508a〜508cとリニアアレイ
センサ509a〜509cが一体化して設けられている
から、リニアアレイセンサ509a〜509c等を鋼板
504の搬送路近傍に設置して鋼板504からの反射光
を検出するときに、リニアアレイセンサ509a〜50
9c等の位置調整を必要としないとともに、鋼板504
の同じ位置からの反射光を同じタイミングで検出するこ
とができる。また、3板式偏光リニアアレイカメラ50
3内に3組のリニアアレイセンサ509a〜509cが
まとまって収納されて小型化しているから、3板式偏光
リニアアレイカメラ503を鋼板504の反射光の光路
に簡単に配置することができるとともに、配置位置を任
意に選択することができ、光学系501の配置の自由度
を向上することができる。
【0176】3板式偏光リニアアレイカメラ503のリ
ニアアレイセンサ509a〜509cは、図44のブロ
ック図に示すように、信号処理部512に接続されてい
る。信号処理部512は信号前処理部513a,513
b,513cとI1 メモリ514a,I2 メモリ514
b,I3 メモリ514cと、疵パラメ−タ演算部515
と、パタ−ン記憶部516と、光量記憶部517と、基
準パタ−ン記憶部518と、疵種判定部519と、等級
パタ−ン記憶部520と、疵等級判定部521及び出力
部522を有する。信号前処理部513a〜513cは
リニアアレイセンサ509a〜509cから出力された
偏光の光強度信号I1 ,I2 ,I3 の幅方向等の感度む
ら等を補正するシェ−ディング補正等を行ってから正常
部の信号を基準レベルとして、正常部の信号が255 階調
の中心濃度である128 階調になるように正規化して、正
規化した光強度信号I1 ,I2 ,I3 をそれぞれI1 メ
モリ514a,I2 メモリ514b,I3 メモリ514
cに格納する。疵パラメ−タ演算部515はI1 メモリ
514a〜I3 メモリ514cに格納された光強度信号
I1 ,I2 ,I3 の分布に表れた疵部のピ−ク値を正常
部の値である128 階調を基準にしてプラスであるかマイ
ナスであるかを示す極性パタ−ンと、 128階調を基準に
した変化量を示す値パタ−ンを算出するとともに、疵部
の光強度から目視相当光量を演算する。パタ−ン記憶部
516は算出された極性パタ−ンと値パタ−ンを記憶
し、光量記憶部517は算出された目視相当光量Imax
を記憶する。基準パタ−ン記憶部518には各種極性パ
タ−ンと値パタ−ン及びこれらに対応する疵種があらか
じめ格納されている。疵種判定部519はパタ−ン記憶
部516に記憶された極性パタ−ンと値パタ−ンとを基
準パタ−ン記憶部518に記憶された各種極性パタ−ン
と値パタ−ンと比較して疵種を判定する。等級パタ−ン
記憶部520には各疵種毎に光量に対する疵の等級を示
す等級基準パタ−ンがあらかじめ格納してある。疵等級
判定部521は光量記憶部517に記憶した目視相当光
量Imax と疵種判定部519で判定した疵種を等級パタ
−ン記憶部520に記憶してある等級基準パタ−ンと比
較して疵の等級を判定する。出力部522は疵等級判定
部521から出力される疵種と疵の等級を不図示の表示
装置や記録装置に出力する。
【0177】次に上記のように構成された表面検査装置
で鋼板504の表面を検査する時の動作を説明する。投
光部502から出射されて移動している鋼板504の表
面で反射した偏光は3板式偏光リニアアレイカメラ50
3で受光される。3板式偏光リニアアレイカメラ503
に入射した鋼板504の反射光はビ−ムスプリッタ50
7で分離され検光子508a,508b,508cを通
ってリニアアレイセンサ509a〜509cに入射す
る。このリニアアレイセンサ509a〜509cで反射
光の光強度を検出するときに、リニアアレイセンサ50
9a〜509cの前面に異なる方位角の検光子508a
〜508cが設けられているから,リニアアレイセンサ
509a〜509cは異なる偏光の光強度I1 ,I2 ,
I3 を検出し信号処理部512に送る。
【0178】信号処理部512の信号前処理部513a
〜513cはリニアアレイセンサ509a〜509cか
ら出力された偏光の光強度信号I1 ,I2 ,I3 の幅方
向等の感度むら等を補正するシェ−ディング補正等を行
ってから、例えば図45の疵信号分布図に示すように、
正常部の信号が128 階調になるように正規化して、正規
化した光強度信号I1 ,I2 ,I3 をそれぞれI1 メモ
リ14a〜I3 メモリ14cに格納する。図45におい
て、(a)は光強度信号I1 の分布、(b)は光強度信
号I2 の分布、(c)は光強度信号I3 の分布を示す。
疵パラメ−タ演算部515はI1 メモリ514a〜I3
メモリ514cに格納された光強度信号I1 ,I2 ,I
3 の分布に表れた疵部のピ−ク値をそれぞれ正常部の値
である128 階調よりプラスであるかマイナスであるかを
示す極性パタ−ンと、128 階調を基準にした変化量を示
す値パタ−ンを算出する。図45に示す例では正規化し
た光強度信号I1 ,I2 ,I3 の疵部のピ−ク値は全て
128 階調よりプラスであるから、極性パタ−ンは(+,
+,+)と算出し、128 階調を基準にした光強度信号I
1 ,I2 ,I3 の疵部のピ−ク値の変化量は(+38,+
10,+32)になる。この変化量を最大値を基準に規格化
すると、(1.0 ,0.26,0.84)になる。この変化量の最
大値を基準にした規格値例えば(1.0 ,0.26,0.84)を
値パタ−ンとして算出する。そして算出した極性パタ−
ンと値パタ−ンをパタ−ン記憶部516に格納する。ま
た、疵パラメ−タ演算部515は光強度信号I1 ,I2
,I3の分布から目視相当光量Imax を、Imax =MA
X〔I2 (x)+I3 (x)−I1 (x)〕で演算して
光量記憶部517に記憶させる。例えば、図45に示し
た例では、光強度信号I1 ,I2 ,I3 の疵部のピ−ク
値の変化量は(+38,+10,+32)であるから、目視相
当光量Imax は「4」になる。
【0179】基準パタ−ン記憶部518には疵の程度に
応じて複数の疵種に対応する極性パタ−ンと値パタ−ン
が実験で定められて、例えば図46に示すように、基準
パタ−ンとして格納してある。図46において、疵種X
〜疵種Wは例えば有害度が低い疵から有害度が高い疵の
順に疵種を示し、各疵種X〜疵種Wに対応する極性パタ
−ンと値パタ−ンの基準値を示す。また、等級パタ−ン
記憶部520には各疵種X〜疵種Wに応じて光量レベル
と疵の等級を示す相関をあらかじめ調べて、例えば図4
7の相関図に示すように格納してある。
【0180】疵種判定部519はパタ−ン記憶部516
に記憶された、極性パタ−ンと値パタ−ン、例えば図4
5に示す例の場合、極性パタ−ン(+,+,+)と値パ
タ−ン(1.0 ,0.26,0.84)と、図44に示す基準パタ
−ン記憶部518に記憶された基準パタ−ンとを比較し
て疵種を判定する。例えば図45に示す例の場合には疵
種Xと判定する。このように複数の異なる疵A〜疵Hの
疵種を極性パタ−ンと値パタ−ンにより判定した例を図
48に示す。この疵種を判定する場合に、例えば極性パ
タ−ンが同じ(−,−,−)の疵Bと疵Cでも、値パタ
−ンにより有害度の低い疵種Yと有害度の高い疵種Zに
分類することができ、疵種を正確に判定することができ
る。また、疵の状態によっては疵Gに示すように極性パ
タ−ンの3つの符号のうち1つが反対、あるいは「0」
であっても値パタ−ンを併用することにより疵種を正確
に判別することができる。また、このように極性パタ−
ンと値パタ−ンで疵種を判定するから、疵種判定のため
の処理が簡略化され、短時間で精度良く疵種を判定する
ことができる。
【0181】一方、疵等級判定部521は光量記憶部5
17に記憶した目視相当光量Imaxと疵種判定部519
で判定した疵種とを等級パタ−ン記憶部520に記憶し
てある各疵種X〜疵種Wに応じて光量レベルと疵の等級
を示す相関図と比較して疵の等級を判定する。例えば図
47に示すように疵種Xで目視相当光量Imax が「4」
の場合には疵の等級をBと判定し、疵種Yで目視相当光
量Imax が「37」の場合には疵の等級をCと判定する。
このように目視相当光量Imax と疵種により疵の等級を
判定するから、鋼板504の表面に生じた凹凸のない模
様状疵だけでなく凹凸状の疵の程度を精度良く判別する
ことができる。疵等級判定部521は疵種判定部519
で判定した疵種と判別した疵の等級を出力部522に送
る。出力部522は疵等級判定部21から出力される疵
種と疵の等級を表示装置や記録装置に出力する。
【0182】この発明は以上説明したように、被検査面
に対して一定入射角で偏光を入射し、その反射光の異な
る複数の偏光の光強度分布を検出し、検出した強度分布
を正規化し、正常部に対する疵部の異なる偏光の光強度
信号の変化極性と変化量とを算出し、算出した変化極性
と変化量とをそれぞれあらかじめ定めたパタ−ンと比較
して疵種を判定すようにしたから、簡単な処理で迅速に
疵種を判別することができる。
【0183】また、各受光光学系から出力された光強度
分布から目視相当の光量変化すなわち無偏光時の表面反
射強度を演算し、演算した光量変化から疵の等級を判定
するようにしたから、凹凸のない模様状疵だけでなく凹
凸状の疵の程度を簡単な処理で精度良く判別することが
できる。さらに、簡単な処理で迅速に疵種と疵の等級を
判定するから、装置自体のの構成を簡略化することがで
きるとともに、高速で移動しているシ−ト状製品の表面
にある異常部をオンラインで精度良く検出することがで
きる。
【0184】実施形態12 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0185】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜の厚さむらとい
った模様状疵といわれるものがある。このような模様状
疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が困
難である。例えば正常部で100 A(オングストローム)
程度の酸化膜が付いている鋼板表面に、局所的に400 A
(オングストローム)程度の酸化膜が厚く付いている異
常部がある場合、このような異常部の領域は表面処理工
程において塗装不良が生じるため、疵として検出して除
去したい要請がある。しかしながら、異常部と正常部の
酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてしまい、光の
散乱や回折を利用した方法では全く検出が不可能であ
る。
【0186】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報等に開示されている。特開昭52−138183号
公報に示された検査方法は被検査体の表面から反射した
P偏光とS偏光の比があらかじめ定めた比較レベルより
高いか否可によって欠陥の有無を検知するものである。
また、特開昭58−204356号公報に示された検出方法は被
検査体の表面に特定角度の入射角で光を照射して、表面
欠陥を検出するときのS/N比を向上するようにしたも
のである。また、偏光を用いた膜厚あるいは物性値の測
定方法が例えば特開昭62−293104号公報に開示されてい
る。特開昭62−293104号公報に示された検査方法は、試
料から反射した偏光を方位角の異なる3個の検光子を通
して受光し、異なる3種類の偏光の光強度から各位置の
エリプソパラメ−タすなわち反射光の電気ベクトルのう
ち入射面方向の成分であるP偏光と入射面に垂直方向の
成分であるS偏光との振幅反射率比tan Ψと位相差Δを
演算して、被検査面上の酸化膜やコ−ティング厚さある
いは物性値を精度良く測定する方法である。
【0187】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、厳密なエリプソパラメ−タ
である振幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することな
しに疵を検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部
は光学的物性が正常部と異なった部分であることが多
く、このような部分は複素屈折率が正常部と異なってい
るといえる。このような場合、エリプソパラメ−タの振
幅反射率比tan Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、エ
リプソパラメ−タの変化の一部しか捕らえることができ
ず、例えば検査結果として異常部が検出できたとして
も、それが油のしみか、酸化膜のむらか、又は何らかし
らの異常な付着物が付着したのであるか等を弁別するこ
とができず、異常部の種別と程度を判定することは困難
であった。
【0188】これに対して特開昭62−293104号公報に示
された検査方法は、エリプソパラメ−タの振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを使用しているから、油のしみや酸化
膜のむら,異物の付着を弁別できる可能性がある。しか
しながら、この方法は基本的に点測定であり、鋼板等の
表面全体の検査に適さない。仮に、特開昭62−293104号
公報にしめされている装置を鋼板の幅方向に多数並べた
り、幅方向に高速に移動可能な機構を持った手段によっ
て1台の装置を走査したり、何らかの工夫により全面走
査が可能になったとしても、信号処理部は全測定点につ
いて偏光強度信号からエリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δを演算子、画像処理装置などを用い
て疵種と疵の等級を判定する必要がある。しかし、幅方
向1ラインで1000点以上の偏光強度信号を処理しなけら
ばならず、特にエリプソパラメ−タ演算はソフトウェア
演算で行った場合、約数10秒の演算時間がかかるため、
例えば毎分数100 mの速度で通過する鋼板等のシ−ト状
製品の表面をオンラインで連続的に検査することは不可
能であった。このために専用の偏光パラメ−タ等の演算
処理装置が必要となり、装置が高価になってしまう。
【0189】また、この方法は元々膜厚あるいは物性値
を測定する方法であり、そのためにはエリプソパラメ−
タの振幅反射率比tan Ψと位相差Δを測定すれば十分で
あった、しかしながら、これらのパラメ−タは必ずしも
人の目で見た状態と一致するものではなく、人が疵と認
識できてもエリプソパラメ−タは変化しない疵について
は検出することができない。
【0190】また、エリプソパラメ−タの演算を行う
と、疵部でのS/Nが撮像装置で捕らえた偏光画像のう
ちS/Nが最大のものと比べると低下してしまう場合も
あり、疵を見逃す危険性があった。
【0191】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、簡単な構成でシ−ト状製品の表面に
ある模様状疵や凹凸状の疵をオンラインで連続的に検出
して、その種別や程度を正確に弁別することができる表
面検査装置を得ることを目的とするものである。
【0192】この発明に係る表面検査装置は、投光部と
検出部と信号処理部とを有し、投光部は被検査面の幅方
向全体にわたり偏光光束を入射し、検出部は被検査面か
らの反射光を3本のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタ
と、分離された3本のビ−ムの光路にそれぞれ設けら
れ、それぞれ異なる方位角を有する検光子と、各検光子
を透過した光を受光するリニアアレイセンサとを有し、
被検査面からの反射光を入射し画像信号に変換し、信号
処理部は疵候補領域抽出部とパラメ−タ演算部と判定部
とを有し、疵候補領域抽出部は3組のリニアアレイセン
サから入力された偏光画像の濃度レベルと基準濃度レベ
ルとを比較して、測定した偏光画像の濃度レベルが基準
濃度レベルの範囲外となる領域を疵候補領域として抽出
し、パラメ−タ演算部は抽出した疵候補領域内における
測定光強度からエリプソパラメ−タと表面反射強度を算
出し、判定部は算出したエリプソパラメ−タと表面反射
強度の特性とあらかじめ定められた表面疵の特性とを比
較し、表面疵の等級と種類を判定することを特徴とす
る。
【0193】この発明においては、表面検査装置を投光
部と受光部及び信号処理部で構成する。投光部は被検査
面の幅方向全体にわたり一定入射角で光束を入射するよ
うに光源が配置され、光源と被検査面の入射面との間に
偏光板が設けられている。受光部は3組のリニアアレイ
センサと、各リニアアレイセンサの受光面の前面に設け
られた検光子とで構成し、3組の検光子はそれぞれ異な
る方位角、すなわち透過軸が被検査面の入射面となす角
が、例えば「0」,「π/ 4」,「−π/ 4」になるよ
うに配置され、3組のリニアアレイセンサは各検光子を
通った偏光を入射して偏光の強度分布を示す画像を信号
処理部に出力する。
【0194】信号処理部には疵候補領域抽出部とパラメ
−タ演算部と判定部とが設けられている。疵候補領域抽
出部には、被検査面の正常状態を示す基準濃度レベルが
あらかじめ格納されているか、もしくは測定したデ−タ
のピ−ク値やバラツキ等から自動的に求めるようになっ
ている。そして3組のリニアアレイセンサから入力され
た偏光画像の濃度レベルと基準濃度レベルとを比較し
て、測定した偏光画像の濃度レベルが基準濃度レベルの
範囲外となる領域を疵候補領域として抽出する。この抽
出した疵候補領域内における測定光強度からパラメ−タ
演算部でエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δと表面反射
強度を算出することにより、演算処理する画素の領域を
限定して演算処理時間を短縮する。さらにパラメ−タ演
算部で演算する前に疵候補領域を特定することにより、
疵部の信号レベルが低下することを防ぎ、疵の検出精度
を高める。判定部は算出したエリプソパラメ−タと表面
反射強度の特性とあらかじめ定められた表面疵の特性と
を比較して異常の程度を判定する。
【0195】実施形態13 図49はこの発明の一実施形態の光学系を示す配置図で
ある。図に示すように、光学系601は投光部602と
反射光検出部603を有する。投光部602は被検査体
例えば鋼板604の幅方向全体に一定の入射角で偏光を
入射するものであり、光源605と、光源605の前面
に設けられた光ファイバ束606と、光ファイバ束60
6の先端部に設けられたレンズ群607と、レンズ群6
07の前面に設けられた偏光子608とを有する。な
お、投光部602は光源605として鋼板604の幅方
向に伸びた棒状の光源を使用して光ファイバ束606と
レンズ群607を省略するようにしても良い。偏光子6
08は偏光板もしくは偏光フィルタからなり、図50の
配置説明図に示すように、透過軸Pが鋼板604の入射
面となす角α1 がπ/4になるように配置されている。
反射光検出部603は鋼板604から反射角θの正反射
光を受光するものであり、ビ−ムスプリッタ609a,
609bと、例えばCCDからなるリニアアレイカメラ
610a,610b,610cと、リニアアレイカメラ
610a,610b,610cの受光面の前面に設けら
れた検光子611a,611b,611cとを有する撮
像装置612が鋼板604の幅方向に連設されている。
検光子611a,611b,611cは例えば偏光板も
しくは偏光フィルタからなり、図50に示すように、検
光子611の透過軸が鋼板604の入射面となす角α2
は検光子611aがα2 =0、検光子611bがα2 =
π/4、検光子611cがα2 =−π/4になるように
配置されている。
【0196】反射光検出部603のリニアアレイカメラ
610a,610b,610cは、図51のブロック図
に示すように、信号処理部613に接続されている。信
号処理部613は多値フレ−ムメモリ614a,614
b,614cと2値化処理部615,2値メモリ616
a,616b,616c,オア処理部617,2値メモ
リ618,疵候補領域抽出部619,パラメ−タ演算部
620,tan Ψ記憶部621aとcos Δ記憶部621b
とI0 記憶部621c及び判定部622を有する。多値
フレ−ムメモリ614a,614b,614cにはそれ
ぞれリニアアレイカメラ610a,610b,610c
から出力された反射光の光強度I1 ,I2 ,I3 を示す
画像信号が各画素毎に展開されて偏光画像を形成する。
2値化処理部615は多値フレ−ムメモリ614a,6
14b,614cに格納された偏光画像を2値化して、
それぞれ2値メモリ616a,616b,616cに格
納する。オア処理部617は2値メモリ616a,61
6b,616cに格納された2値画像の各画素をオア処
理して2値メモリ618に格納する。疵候補領域抽出部
619は2値メモリ618に格納された2値画像の各画
素の濃度から疵候補領域の位置を特定する。パラメ−タ
演算部620は疵候補領域として特定された位置の光強
度I1 ,I2 ,I3 を示す画像信号から各画素における
エリプソパラメ−タすなわち振幅反射率比tan Ψと位相
差Δを示すcos Δと、鋼板604の反射光の表面反射強
度I0 を演算し、tan Ψ記憶部621aとcos Δ記憶部
621bとI0 記憶部621cに格納する。判定部62
2にはあらかじめ求めておいた鋼板604の表面の特
性、すなわち物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い
酸化膜等の局所的な存在あるいはコ−ティング膜厚の厚
さむらといった模様状疵や凹凸状疵に応じたtan Ψとco
s Δ及び表面反射強度I0 の各種特性が記憶してあり、
tan Ψ記憶部621aとcos Δ記憶部621bとI0 記
憶部621cに記憶されたtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 とあらかじめ記憶された特性とを各画素毎に比
較し、鋼板604の表面の模様状疵や凹凸状疵の有無と
その種別と程度を判定して出力する。
【0197】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、まず、3個のリニアアレイカメ
ラ610a,610b,610cで検出した光強度から
振幅反射率比tan Ψとcos Δと鋼板604の反射光の表
面反射強度I0 を演算する原理を説明する。
【0198】図50に示すように偏光子608の透過軸
Pと検光子611の透過軸Aが鋼板604の入射面とな
す角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板60
4に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検光子
611を通って合成されたときの光強度I( α1 ,α2)
は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とすると
次式で表せる。
【0199】
【数15】 ただし
【0200】
【数16】
【0201】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子611aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子611bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子611cを通った光強度I3 は、
I3 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。
【0202】
【数17】
【0203】但し、光強度I1 ,I2 ,I3 はカメラの
アンプゲインなどの選び方によって定数倍される場合も
ある。次に、上記原理を使用した表面検査装置の動作を
説明する。投光部602から出射されて一定速度で移動
している鋼板604の表面で反射した偏光はビ−ムスプ
リッタ609a,609bで分離され、検光子611
a,611b,611cを通ってリニアアレイカメラ6
10a,610b,610cに入射する。このリニアア
レイカメラ610a,610b,610cで反射光の光
強度を検出するときに、リニアアレイカメラ610aの
前面にはα2 =0の検光子611aが設けられているか
ら、リニアアレイカメラ610aは前記光強度I1 を検
出し、リニアアレイカメラ610bの前面にはα2 =π
/4の検光子611bが設けられているから、リニアア
レイカメラ610bは前記光強度I2 を検出し、リニア
アレイカメラ610cの前面にはα2 =−π/4の検光
子611cが設けられているから、リニアアレイカメラ
610cは前記光強度I3 を検出する。リニアアレイカ
メラ610a,610b,610cで検出した光強度I
1 ,I2 ,I3 を示す画像信号がそれぞれ多値フレ−ム
メモリ612a,612b,612cに展開され、図5
2の画像説明図の(a)に示すように、I1 偏光画像6
24aとI2 偏光画像624bとI3 偏光画像624c
を形成する。ここでリニアアレイカメラ610a,61
0b,610cは光学的に位置,角度を調整して同じ視
野となっており、同じタイミングで検出した光強度I1
,I2 ,I3 は鋼板604の同一位置で反射した光の
光強度になっている。なお、リニアアレイカメラ610
a,610b,610cで同一位置の反射光を同じタイ
ミングで検出できない場合は、リニアアレイカメラ61
0a,610b,610cの出力端に遅延回路等を設け
て、検出位置とタイミングを合わせるようにしても良
い。
【0204】多値フレ−ムメモリ612a,612b,
612cは、例えば横1024画素×縦200 ラインからな
り、1024画素の1ラインデ−タを同一タイミングでサン
プリングし、このサンプリングが200 ラインに達するま
で順次格納し、I1 偏光画像624aとI2 偏光画像6
24bとI3 偏光画像624cを形成する。2値化処理
部625は鋼板604の表面粗さや表面の塗油状態に応
じてあらかじめ定められている2値化レベルによりI1
偏光画像624aとI2 偏光画像624bとI3偏光画
像624cを図4(b)に示すように2値化し、2値化
画像625a,625b,625cをそれぞれ2値化メ
モリ618a,618b,618cに格納する。この2
値化するときの2値化レベルは鋼板604の表面粗さや
表面の塗油状態に応じて定められているが、測定したデ
−タのピ−ク値やバラツキ等から自動的に求めてノイズ
レベルに設定しても良い。また、疵は種類によって正常
部のレベルに対して高いレベルになる場合と低いレベル
になる場合があるため、図53に示すように正常レベル
に対してプラス,マイナス両方の2値化レベル626
a,626bを設定して2値化し、図52(b)に示す
ように、例えば疵部627a,627bを白、正常部6
28を黒とする。
【0205】この2値化画像625a,625b,62
5cはI1 ,I2 ,I3 の3画像があり、図52(b)
に示すように、疵627a,627bが3画像に共通し
て異常値として検出されるとは限らないため、オア処理
部617で、図52(c)に示すように、I1 ,I2 ,
I3 の2値画像を各画素毎にオア処理して、オア処理画
像629を2値メモリ618に格納する。疵候補領域抽
出部619は2値メモリ618に格納されたオア処理画
像629の疵部627a,627bを示す白い部分の位
置を求め、図52(d)に示すように、白い部分に外接
する長方形の領域を疵候補領域630a,630bとし
て抽出し、疵候補領域630a,630bの2点例えば
右上のP1 ,P3 点と左下のP2 ,P4 点の座標から疵
候補領域630a,630bを特定し、パラメ−タ演算
部620に送る。パラメ−タ演算部620は送られた疵
候補領域630a,630bの各画素に対応する光強度
I1 ,I2 ,I3 を多値フレ−ムメモリ612a,61
2b,612cを読み出し、各画素毎にエリプソパラメ
−タである振幅反射率比tan Ψ と位相cos Δと鋼板6
04の反射光の表面反射強度I0 を演算し、演算した結
果をtan Ψ記憶部621aとcos Δ記憶部621b及び
I0 記憶部621cに逐次格納する。このように疵候補
領域630a,630bの各画素についてだけエリプソ
パラメ−タ等を演算するから画像全体の領域について演
算する場合と比べて演算時間を大幅に短縮することがで
きる。また、従来のエリプソパラメ−タに加えて反射光
の表面反射強度I0 できるようになったので、検出可能
な疵種と等級も多くなっている。
【0206】判定部622はtan Ψ記憶部621aとco
s Δ記憶部621b及びI0 記憶部621cに格納され
たtan Ψとcos Δと表面反射強度I0 とを各画素毎にあ
らかじめ求めておいた鋼板604の表面の特性と比較
し、どのパラメ−タが変化しているかの組合わせによ
り、疵の種類と等級を判定して不図示の表示手段や記録
手段に出力する。なお、油むらは偏光画像では濃度レベ
ルが高く疵として抽出されるが、tan Ψとcos Δと表面
反射強度I0 の組合せにより表面疵に相当しない場合に
は疵として判定されないようにしている。
【0207】また、判定部622から疵の種類と等級を
出力するとともに、疵候補領域抽出部619で抽出した
疵候補領域630a,630bの座標を特定して出力す
ることにより、疵の大きさも検出することができ、疵を
正確に判定することができる。
【0208】このように鋼板604の表面疵を検出する
場合、通常、鋼板604の表面疵は、幅が5mm、長さが
200mm 以下の大きさであり、発生頻度は長手方向の数10
mに1回程度である。したがって上記のように多値フレ
−ムメモリ614a〜614cのサイズを例えば横1024
画素×縦200 ラインに構成すると、1画素分解能を横0.
5mm ×縦5mmとすると、多値フレ−ムメモリ614a〜
614cのサイズは鋼板604の幅500mm 、長さ1.0 m
に相当するため、1画像中の表面疵の画素数は横10画素
×縦40画素程度であり、エリプソパラメ−タ等を演算す
る演算時間は画像の全画素分を演算する場合と比べて1
/500 以下になる。したがって特殊な演算装置を使用し
なくても演算時間が数10msecの時間ですみ、例えば毎分
数100 m移動する鋼板604の場合であっても、200 ラ
インの画像ができる時間が数100msec であることから、
移動している鋼板604の疵をオンラインで確実に検出
することができる。
【0209】なお、上記実施形態は1次元のリニアアレ
イカメラで幅方向の偏光画像を検出する場合について説
明したが、2次元のカメラを用いて、幅方向とそれに直
交する方向の2次元画像を検出するようにしても良い。
【0210】この発明は以上説明したように、3組のリ
ニアアレイセンサから入力された被検査面の偏光画像の
濃度レベルと基準濃度レベルとを比較して、測定した偏
光画像の濃度レベルが基準濃度レベルの範囲外となる領
域を疵候補領域として抽出し、抽出した疵候補領域内に
おける測定光強度から被検査面の疵を判定するエリプソ
パラメ−タと表面反射強度を算出するようにして、演算
処理する画素の領域を限定するから、偏光画像の全画素
について演算する場合と比べて演算処理時間を大幅に短
縮することができる。したがって高速で移動している鋼
板等のシ−ト状材料の表面疵をオンラインで精度良く検
出することができる。さらに、装置全体の処理能力が少
なくてすむから、装置全体を簡略化することができ、装
置のコストダウンを図ることができる。また、エリプソ
パラメ−タ画像に比べて疵部のS/Nが高い偏光画像で
疵位置を検出するから、疵を確実に捕らえて見逃しを減
らすことができる。
【0211】実施形態14 例えば鋼板の表面疵を光学的に検出する装置としては、
レ−ザ光の散乱又は回折パタ−ンの変化を利用して疵を
検出する方法が多く用いられている。この方法は鋼板の
表面に明らかな凹凸を形成している疵を検出する場合に
は有効な方法である。
【0212】一方、鋼板等の疵には、表面の凹凸はな
く、物性値のむら,ミクロな粗さのむら,薄い酸化膜等
の局所的な存在あるいはコ−ティング膜の厚さむらとい
った模様状疵といわれるものがある。このような模様状
疵はレ−ザ光の散乱や回折パタ−ンの変化では検出が困
難である。例えば正常部で100 〓程度の酸化膜が付いて
いる鋼板表面に、局所的に400 〓程度の酸化膜が厚く付
いている異常部がある場合、このような異常部の領域は
表面処理工程において塗装不良が生じるため、疵として
検出して除去したい要請がある。しかしながら、異常部
と正常部の酸化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれてし
まい、光の散乱や回折を利用した方法では全く検出が不
可能である。
【0213】このように光の散乱や回折を利用した方法
では検出できない疵を検出するために、偏光を用いた疵
検査方法が例えば特開昭52−138183号公報や特開昭58−
204356号公報等に開示されている。特開昭52−138183号
公報に示された検査方法は被検査体の表面から反射した
P偏光とS偏光の比があらかじめ定めた比較レベルより
高いか否かによって欠陥の有無を検知するものである。
また、特開昭58−204356号公報に示された検出方法は被
検査体の表面に特定角度の入射角で光を照射して、表面
欠陥を検出するときのS/N比を向上するようにしたも
のである。また、偏光を用いた膜厚あるいは物性値の測
定方法が例えば特開昭62−293104号公報に開示されてい
る。特開昭62−293104号公報に示された検査方法は、試
料から反射した偏光を方位角の異なる3個の検光子を通
して受光し、異なる3種類の偏光の光強度から各位置の
エリプソパラメ−タすなわち反射光の電気ベクトルのう
ち入射面方向の成分であるP偏光と入射面に垂直方向の
成分であるS偏光との振幅反射率比tan Ψと位相差Δを
演算して、被検査面上の酸化膜やコ−ティング厚さある
いは物性値を精度良く測定する方法である。
【0214】特開昭52−138183号公報や特開昭58−2043
56号公報に示された検査方法は、偏光を用いて正常部と
異常部とを弁別しているが、厳密なエリプソパラメ−タ
である振幅反射率比tan Ψと位相差Δを判定することな
しに疵を検出するようにしている。鋼板等の表面の疵部
は光学的物性が正常部と異なった部分であることが多
く、このような部分は複素屈折率が正常部と異なってい
るといえる。このような場合、エリプソパラメ−タの振
幅反射率比tan Ψと位相差Δの両方を考慮しないと、エ
リプソパラメ−タの変化の一部しか捕らえることができ
ず、例えば検査結果として異常部が検出できたとして
も、それが油のしみか、酸化膜のむらか、又は何らかし
らの異常な付着物が付着したのであるか等を弁別するこ
とができず、異常部の種別と程度を判定することは困難
であった。
【0215】これに対して特開昭62−293104号公報に示
された検査方法は、エリプソパラメ−タの振幅反射率比
tan Ψと位相差Δを使用しているから、油のしみや酸化
膜のむら,異物の付着を弁別できる可能性がある。しか
しながら、この方法は基本的に点測定であり、鋼板等の
表面全体の検査に適さない。仮に、特開昭62−293104号
公報にしめされている装置を鋼板の幅方向に多数並べた
り、幅方向に高速に移動可能な機構を持った手段によっ
て1台の装置を走査したり、何らかの工夫により全面走
査が可能になったとしても、信号処理部は全測定点につ
いて偏光強度信号からエリプソパラメ−タの振幅反射率
比tan Ψと位相差Δを演算子、画像処理装置などを用い
て疵種と疵の等級を判定する必要がある。しかし、幅方
向1ラインで1000点以上の偏光強度信号を処理しなけら
ばならず、特にエリプソパラメ−タ演算はソフトウェア
演算で行った場合、約数10秒の演算時間がかかるため、
例えば毎分数100 mの速度で通過する鋼板等のシ−ト状
製品の表面をオンラインで連続的に検査することは不可
能であった。このために専用の偏光パラメ−タ等の演算
処理装置が必要となり、装置が高価になってしまう。
【0216】また、この方法は膜厚あるいは物性値を測
定する方法であり、そのためにはエリプソパラメ−タの
振幅反射率比tan Ψと位相差Δを測定すれば十分であっ
た。しかしながら、これらのパラメ−タは必ずしも人の
目で見た状態と一致するものではなく、人が疵と認識で
きてもエリプソパラメ−タは変化しない疵については検
出することができない。
【0217】この発明はかかる短所を改善するためにな
されたものであり、簡単な構成でシ−ト状製品の表面に
ある模様状疵や凹凸状の疵をオンラインで連続的に検出
して、その種別や程度を正確に弁別することができる表
面検査装置を得ることを目的とするものである。
【0218】この発明に係る表面検査装置は、投光部と
受光部と信号処理部とを有し、投光部は被検査面の幅方
向全体にわたり偏光光束を入射し、受光部は被検査面か
らの反射光から異なる3つの偏光成分を抽出して画像信
号に変換し、信号処理部はパラメ−タ演算部と特徴量演
算部及び疵判定部とを有し、パラメ−タ演算部は上記画
像信号からエリプソパラメ−タと表面反射強度を算出
し、特徴量演算部は疵候補領域内におけるエリプソパラ
メ−タと表面反射強度の正常部に対する大小を示す極性
を算出し、算出したエリプソパラメ−タと表面反射強度
の極性の組合せによる疵特徴量を演算し、疵判定部は演
算した疵特徴量から表面疵の種類を判定することを特徴
とする。
【0219】上記特徴量演算部は疵候補領域内における
エリプソパラメ−タと表面反射強度の極性の組合せによ
る疵特徴量を演算するとともに疵候補領域内における異
なる偏光画像の光強度の極性の組合せによる疵特徴量を
演算し、疵判定部は演算したエリプソパラメ−タと表面
反射強度の極性の組合せによる疵特徴量と光強度による
疵特徴量から表面疵の種類を判定することが望ましい。
【0220】さらに、上記信号処理部はパラメ−タ演算
部と特徴量演算部と疵判定部とともに疵候補領域抽出部
を有し、疵候補領域抽出部で上記エリプソパラメ−タと
表面反射強度の画像の濃度レベルが地肌レベルに相当す
る基準濃度レベルの範囲外となる領域を疵候補領域とし
て抽出すると良い。
【0221】また、この発明に係る他の表面検査装置
は、投光部と受光部と信号処理部とを有し、投光部は被
検査面の幅方向全体にわたり偏光光束を入射し、受光部
は被検査面からの反射光から異なる3つの偏光成分を抽
出して画像信号に変換し、信号処理部は疵候補領域抽出
部とパラメ−タ演算部と特徴量演算部及び疵判定部を有
し、疵候補領域抽出部は上記3つの偏光成分の画像信号
の画像の濃度レベルが地肌レベルに相当する基準濃度レ
ベルの範囲外となる領域を疵候補領域として抽出し、パ
ラメ−タ演算部は疵候補領域内で画像信号からエリプソ
パラメ−タと表面反射強度を算出し、特徴量演算部は算
出したエリプソパラメ−タと表面反射強度の正常部に対
する大小を示す極性を算出し、算出したエリプソパラメ
−タと表面反射強度の極性の組合せによる疵特徴量を演
算し、疵判定部は演算した疵特徴量から表面疵の種類を
判定することを特徴とする。
【0222】上記受光部は被検査面からの反射光を3本
のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタと、分離された3
本のビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる
方位角を有する検光子と、各検光子を透過した光を受光
するリニアアレイセンサを有すると良い。
【0223】この発明においては、表面検査装置を投光
部と受光部及び信号処理部で構成する。投光部は被検査
面の幅方向全体にわたり一定入射角で光束を入射するよ
うに光源が配置され、光源と被検査面の入射面との間に
偏光子が設けられ、被検査面に一定偏光角の偏光を入射
する。受光部は3組のリニアアレイセンサと、各リニア
アレイセンサの受光面の前面に設けられた検光子とで構
成し、3組の検光子はそれぞれ異なる方位角、すなわち
透過軸が被検査面の入射面となす角が、例えば「0」,
「π/4」,「−π/4」になるように配置され、3組
のリニアアレイセンサは各検光子を通った偏光を入射し
て偏光の強度分布を示す画像を信号処理部に出力する。
【0224】信号処理部にはパラメ−タ演算部と疵候補
領域抽出部と特徴量演算部及び疵判定部とが設けられて
いる。パラメ−タ演算部は3組のリニアアレイセンサか
ら入力された偏光画像の光強度からエリプソパラメ−タ
tan Ψ,cos Δと表面反射強度I0 を算出し、tan Ψ画
像とcos Δ画像及びI0 画像を形成する。疵候補領域抽
出部には、被検査面の正常状態を示す基準濃度レベルが
あらかじめ格納されているか、もしくは測定したデ−タ
のピ−ク値やバラツキ等から自動的に求めるようになっ
ている。そして3組のtan Ψ画像とcos Δ画像及びI0
画像の濃度レベルと基準濃度レベルとを比較して、tan
Ψ画像とcos Δ画像及びI0 画像の濃度レベルが基準濃
度レベルの範囲外となる領域を疵候補領域として抽出す
る。この抽出した疵候補領域内の各画素におけるエリプ
ソパラメ−タtan Ψとcos Δ及び表面反射強度I0 を特
徴量演算部で抽出して最大値又は平均値の正常部に対す
る大小を示す極性を算出し、算出したエリプソパラメ−
タと表面反射強度の極性の組合せによる疵特徴量を演算
する。疵判定部は算出したエリプソパラメ−タtanΨとc
os Δと表面反射強度I0 の極性の組合せによる疵特徴
量から表面疵の種類を判定する。
【0225】このように被検査面の表面特性により敏感
に変化するエリプソパラメ−タtanΨとcos Δを検出し
て、疵の有無を判別するから、散乱光や回折で検出でき
なかった表面の物性変化をも検出できる。また疵候補領
域を特定してエリプソパラメ−タtan Ψとcos Δと表面
反射強度I0 の極性の組合せから疵の種類を判別するか
ら、簡単に疵の種類を判別することができるとともに疵
の検出精度を高める。
【0226】また疵の種類を判別するときに疵候補領域
内におけるエリプソパラメ−タtanΨとcos Δと表面反
射強度I0 の極性変化の組合せと疵部の測定光強度の極
性変化により疵を判別することにより、より詳細に疵の
種類と等級を判別できる。
【0227】実施形態15 図54はこの発明の一実施形態の光学系を示す配置図で
ある。図に示すように、光学系701は投光部702と
受光部703を有する。投光部702は被検査体例えば
鋼板704の幅方向全体に一定の入射角で偏光を入射す
るものであり、光源705と、光源705の前面に設け
られた光ファイバ束706と、光ファイバ束706の先
端部に設けられたレンズ群707と、レンズ群707の
前面に設けられた偏光子708とを有する。なお、投光
部702は光源705として鋼板704の幅方向に伸び
た棒状の光源を使用して光ファイバ束706とレンズ群
707を省略するようにしても良い。偏光子708は偏
光板もしくは偏光フィルタからなり、図55に示すよう
に、透過軸Pが鋼板704の入射面となす角α1 がπ/
4になるように配置されている。受光部703は鋼板7
04から反射角θの正反射光を受光するものであり、ビ
−ムスプリッタ709a,709bと、例えばCCDか
らなるリニアアレイカメラ710a,710b,710
cと、リニアアレイカメラ710a,710b,710
cの受光面の前面に設けられた検光子711a,711
b,711cとを有する撮像装置712が鋼板704の
幅方向に連設されている。検光子711a,711b,
711cは例えば偏光板若しくは偏光フィルタからな
り、図55に示すように、検光子711の透過軸が鋼板
704の入射面となす角α2 は検光子711aがα2 =
0、検光子711bがα2=π/4、検光子711cが
α2 =−π/4になるように配置されている。リニアア
レイカメラ710a〜710cは鋼板4からの反射光の
光強度I1 ,I2 ,I3 を示す画像信号を一定周期で1
ライン信号として出力する。
【0228】受光部703のリニアアレイカメラ710
a,710b,710cは、図56のブロック図に示す
ように、信号処理部713に接続されている。信号処理
部713は前処理部714a,714b,714cとフ
レ−ムメモリ715a,715b,715cとパラメ−
タ演算部716,メモリ717a,717b,717
c,エッジ検出部718,輝度むら補正部719,2値
化処理部720,メモリ721a,721b,721
c,オア処理部722,2値メモリ723,疵候補領域
抽出部724,特徴量演算部725及び疵判定部726
を有する。
【0229】前処理部714a〜714cはリニアアレ
イカメラ710a〜710cから出力された反射光の光
強度I1 ,I2 ,I3 を示す画像信号を加算平均すると
ともに鋼板704のラインの移動量を検出して、鋼板7
04が信号処理における1ラインの長さだけ移動した
ら、加算平均した信号を1ラインのデ−タとしてフレ−
ムメモリ715a〜715cに送り、ライン速度が変わ
っても信号処理における1ラインの長さを一定とする。
フレ−ムメモリ715a〜715cは、例えば横1024画
素×縦200 ラインで構成され、1024画素の1ラインデ−
タを同一タイミングでサンプリングして、200 ラインに
達するまで順次格納して2次元の偏光画像を形成する。
パラメ−タ演算部716はフレ−ムメモリ715a〜7
15cに格納された偏光画像の各画素の光強度I1 ,I
2 ,I3 を示す画像信号からエリプソパラメ−タすなわ
ち振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δと鋼板7
04の反射光の表面反射強度I0 を演算して、メモリ7
17a,717b,717cにそれぞれtan Ψ画像デ−
タとcos Δ画像デ−タ及びI0 画像デ−タとして格納す
る。エッジ検出部718はtan Ψ画像とcos Δ画像及び
I0 画像における鋼板704のエッジ部を検出する。輝
度むら補正部719は光源705の強度むらや鋼板反射
率むらによる幅方向の強度むらと、それに伴う感度むら
を補正する。2値化処理部720はtan Ψ画像とΔ画像
及びI0 画像を2値化して、それぞれメモリ721a,
721b,721cに格納する。オア処理部722はメ
モリ721a,721b,721cに格納されたtan
Ψ,Δ,I0 の2値画像の各画素をオア処理して2値メ
モリ723に格納する。疵候補領域抽出部724は2値
メモリ723に格納された2値画像の各画素の濃度から
疵候補領域の位置を特定する。特徴量演算部725は疵
候補領域におけるtan Ψ,Δ,I0 を抽出して絶対値が
最大となる値、すなわちピ−ク値又は平均値を演算し特
徴量を明らかにする。疵判定部726は疵候補領域にお
けるtan Ψ,Δ,I0 のピーク値(基準レベルからの変
化量の絶対値が最大となる値)又は平均値が正常部より
プラス領域かマイナス領域かを示す極性から疵の種類を
判定する。
【0230】上記のように構成された表面検査装置の動
作を説明するに当たり、3個のリニアアレイカメラ71
0a,710b,710cで検出した光強度から振幅反
射率比tan Ψとcos Δと鋼板704の反射光の表面反射
強度I0 を演算する原理を説明する。
【0231】図55に示すように偏光子708の透過軸
Pと検光子711の透過軸Aが鋼板704の入射面とな
す角をα1 ,α2 とすると、任意の入射角θで鋼板70
4に入射して反射したp偏光成分とs偏光成分が検光子
711を通って合成されたときの光強度I( α1 ,α2)
は、p成分とs成分の振幅反射率をrp ,rs とすると
次式で表せる。
【0232】
【数18】 ただし、
【0233】
【数19】
【0234】ここでα1 =π/4にしたとき、α2 =0
の検光子711aを通った光強度I1 は、I1 =I0 ρ
2 となり、α2 =π/4の検光子711bを通った光強
度I2 は、I2 =I0(1+ρ2 +2ρcos Δ)/2、α
2 =−π/4の検光子711cを通った光強度I3 は、
I3 =I0(1+ρ2 −2ρcos Δ)/2となる。この光
強度I1 ,I2 ,I3 からtan Ψとcos Δ及び表面反射
強度I0 は次式で得られる。
【0235】
【数20】
【0236】但し、光強度I1 ,I2 ,I3 はカメラの
アンプゲインなどの選び方によって定数倍される場合も
ある。
【0237】次に、上記原理を使用した表面検査装置の
動作を説明する。投光部702から出射されて移動して
いる鋼板704の表面で反射した偏光はビ−ムスプリッ
タ709a,709bで分離され、検光子711a,7
11b,711cを通ってリニアアレイカメラ710
a,710b,710cに入射する。このリニアアレイ
カメラ710a,710b,710cで反射光の光強度
を検出するときに、リニアアレイカメラ710aの前面
にはα2 =0の検光子711aが設けられているから、
リニアアレイカメラ710aは前記光強度I1 を検出
し、リニアアレイカメラ710bの前面にはα2 =π/
4の検光子711bが設けられているから、リニアアレ
イカメラ710bは前記光強度I2 を検出し、リニアア
レイカメラ710cの前面にはα2 =−π/4の検光子
711cが設けられているから、リニアアレイカメラ7
10cは前記光強度I3 を検出する。リニアアレイカメ
ラ710a,710b,710cで検出した光強度I1
,I2 ,I3 を示す画像信号がそれぞれ前処理部71
4a〜714bで長手方向の分解能が一定にされてフレ
−ムメモリ715a〜715cに展開され、図4の画像
説明図の(a)に示すように、I1 偏光画像726aと
I2 偏光画像726bとI3 偏光画像726cを形成す
る。ここでリニアアレイカメラ710a,710b,7
10cは光学的に位置,角度を調整して同じ視野となっ
ており、同じタイミングで検出した光強度I1 ,I2 ,
I3 は鋼板704の同一位置で反射した光の光強度にな
っている。なお、リニアアレイカメラ710a,710
b,710cで同一位置の反射光を同じタイミングで検
出できない場合は、リニアアレイカメラ710a,71
0b,710cの出力端に遅延回路等を設けて、検出位
置とタイミングを合わせるようにしても良い。
【0238】パラメ−タ演算部716はフレ−ムメモリ
715a〜715cに格納された偏光画像731a〜7
31cの各画素の光強度I1 ,I2 ,I3 を示す画像信
号からエリプソパラメ−タすなわち振幅反射率比tan Ψ
と位相差Δを示すcos Δと鋼板704の反射光の表面反
射強度I0 を演算して、メモリ717a〜717cにta
n Ψ画像デ−タとcos Δ画像デ−タ及びI0 画像デ−タ
として格納する。エッジ検出部718はメモリ717a
〜717cに展開されたtan Ψ画像,cos Δ画像,I0
画像の鋼板4の領域では、図58に示すように、信号レ
ベルが高く、鋼板704ではない背景領域では信号レベ
ルが小さくなることから信号レベルが急激に変わってい
る点を鋼板704のエッジ部として特定し、信号処理領
域を定める。この信号処理領域におけるtan Ψ,cos
Δ,I0 の1ラインの信号強度は、例えば図59(a)
に示すように、幅方向に大きなむらがある。そこで輝度
むら補正部719は1ラインの信号を幅方向に基準点を
中心に左右の数10点で移動平均して、図59(b)に示
すように、移動平均した信号tan Ψm,cos Δm,I0
mを作成する。そして、図59(c)に示すように、移
動平均前の信号tan Ψ,cos Δ,I0 と移動平均した信
号tan Ψm,cos Δm,I0 m及び地肌である正常部を
示す基準レベルCから次式により各画素毎の補正信号ta
n Ψc,cos Δc,I0 cを算出する。なお、次式にお
いてAは定数である。
【0239】
【数21】
【0240】この輝度むら補正した信号において、図5
9(c)に示すように、鋼板704の地肌である正常部
に対して明るく見える疵733aの信号レベルは正常部
734の基準レベルCより高く、正常部に対して暗く見
える疵733bの信号レベルは基準レベルCより低くな
る。この補正された画像を2値化処理部720で2値化
して、tan Ψc,cos Δc,I0 cの2値化画像をぞれ
ぞれメモリ721a〜721cに格納する。この2値化
するときの2値化レベルは鋼板704の表面粗さや表面
の塗油状態に応じて定められているが、測定したデ−タ
のピ−ク値やバラツキ等から自動的に求めてノイズレベ
ルに設定しても良い。また、疵は種類によって正常部の
レベルに対して高いレベルになる場合と低いレベルにな
る場合があるため、図60に示すように正常レベルに対
してプラス,マイナス両方の2値化レベル735a,7
35bを設定して2値化し、信号レベルがプラスの2値
化レベル735aとマイナスの2値化レベル735b以
外の範囲を白、2値化レベル735a,735bの範囲
内を黒として正常部とする。
【0241】この2値化画像はtan Ψc,cos Δc,I
0 cの3画像があり、例えば図57(b)に示すよう
に、疵733a,733bが3画像に共通して異常値と
して検出されるとは限らない。そこでオア処理部722
はメモリ721に格納されたtan Ψc,cos Δc,I0
cの2値画像を各画素毎にオア処理して、オア処理画像
736を2値メモリ723に格納する。疵候補領域抽出
部724は2値メモリ723に格納されたオア処理画像
736の疵部733a,733bを示す白い部分の位置
を求め、図57(d)に示すように、白い部分に外接す
る長方形の領域を疵候補領域737a,737bとして
抽出し、疵候補領域737a,737bの2点例えば右
上のP1 ,P3 点と左下のP2 ,P4 点の座標から疵候
補領域737a,737bを特定して特徴量演算部72
5に送る。特徴量演算部725は疵候補領域737a,
737bにおける各画素のtan Ψc,cos Δc,I0 c
のピ−ク値又は平均値を求め、疵候補領域737a,7
37bにおけるtan Ψc,cos Δc,I0 cのピ−ク値
又は平均値が正常部の基準レベルよりプラス領域かマイ
ナス領域かを示す極性を求め、極性パタ−ンの疵特徴量
Eppを例えば、Epp=9Δp+3Ψp+Ipで演算
する。ここでΨpはtan Ψcの極性、Δpはcos Δcの
極性、IpはI0 cの極性を示し、例えばプラス極性の
ときは「2」、正常部と同じときは「1」、マイナス極
性のときは「0」と数値化して表す。
【0242】また、疵特徴量Eppと同様に、疵候補領
域737a,737bにおける各画素I1,I2,I3
のピ−ク値又は平均値を求め、疵候補領域737a,7
37bにおける各画素I1,I2,I3のピ−ク値又は
平均値は正常部の基準レベルよりプラス領域かマイナス
領域かを示す極性を求め、極性パタ−ンの疵特徴量Ip
pを例えばIpp=9I1p+3I2p+I3pで演算
する。ここでI1pはI1の極性、I2pはI2の極
性、I3pはI3の極性を示し、例えばプラス極性のと
きは「2」、正常部と同じときは「1」、マイナス極性
のときは「0」と数値化して表す。さらに、特徴量演算
部725は疵候補領域抽出部724で算出した疵候補領
域の座標から疵の長さと幅を求める。
【0243】疵判定部726は送られた疵候補領域73
7a,737bの疵特徴量Eppを使って疵の種類を判
定する。例えば冷延鋼板における異なる疵種S,T,
U,V,W,Xに対するtan Ψc,cos Δc,I0 cの
極性変化を調べた結果と疵特徴量Eppは図61に示す
ようになり、鍍金鋼板における異なる疵種S,X,Y,
Z,Wに対するtan Ψc,cos Δc,I0 cの極性変化
を調べた結果と疵特徴量Eppは図62に示すようにな
った。そこで疵判定部726はこの各疵種の疵特徴量E
ppと特徴量演算部725で算出した疵特徴量Eppか
ら疵種を判別する。すなわち、tan Ψc,cos Δc,I
0 cの極性の1又は2つの組合せでは、図61,図62
に示すように疵種を判別することはできないが、tan Ψ
c,cos Δc,I0 cの3つの極性を組み合わせること
により疵種を明確に区分けすることができる。そこで例
えば冷延鋼板の場合には、疵特徴量Eppが「0」のと
きは疵種Tと判定し、疵特徴量Eppが「1」のときは
疵種Vと判定し、疵特徴量Eppが「12」のときは疵種
Wと判定し、疵特徴量Eppが「18」のときは疵種Sか
疵種Xと判定し、疵特徴量Eppが「24」のときは疵種
Uと判定する。
【0244】上記のように冷延鋼板の疵種Sと疵種Xの
ように疵特徴量Eppだけでは区分できない場合もあ
る。このような場合には、さらに疵候補領域737a,
737bの疵特徴量Ippも使う。冷延鋼板における異
なる疵種S,T,U,V,W,Xに対するI1,I2,
I3の極性変化を調べた結果と疵特徴量Ippは図63
に示すようになり、鍍金鋼板における異なる疵種S,
X,Y,Z,Wに対するI1,I2,I3の極性変化を
調べた結果と疵特徴量Ippは図64に示すようになっ
た。冷延鋼板の疵種Sと疵種Xについては疵特徴量Ep
pが同じであるため区分ができなかったが、疵特徴量I
ppが異なるので、疵特徴量Ippにより明確に区分す
ることができる。また、疵の等級はtan Ψ,cos Δ,I
0 のピ−ク値や平均値、疵の長さ、幅を使い判定する。
【0245】なお、上記実施形態は偏光画像から直ちに
tan Ψ,cos Δ,I0 を演算した場合について説明した
が、I1 ,I2 ,I3 の偏光画像から疵候補領域を検出
してから疵候補領域内だけtan Ψ,cos Δ,I0 を演算
したり、I1 ,I2 ,I3 の偏光画像から検出した疵候
補領域内の測定光強度の代表値例えばピ−ク値や平均値
からtan Ψ,cos Δ,I0 を演算するようにして疵特徴
量Eppを求めても良い。
【0246】また、上記実施形態は、受光部703が鋼
板704からの正反射光を受光するように配置されてい
る場合について説明したが、検出する疵種に選っては鋼
板704からの散乱反射光を検出するようにしても良
い。
【0247】また、上記実施形態は鋼板704からの反
射光から異なる3つの偏光成分を抽出するためにビ−ム
スプリッタ709a、709bを用いた場合について説
明したが、図15に示すように鋼板106の移動方向に
距離L毎にずれたいつを検査するリニアアレイカメラ1
07a〜107cを用い、設置位置のずれを考慮してメ
モリ上から偏光画像を読み出してエリプソパラメ−タと
表面反射強度を演算するようにしても良い。また、上記
実施形態は1次元のリニアアレイカメラ710a〜71
0cを使用して鋼板704からの反射光を検出した場合
について説明したが、2次元カメラにより鋼板704か
らの反射光を検出しても良い。
【0248】この発明は以上説明したように、異なる3
種類の偏光画像から疵候補領域を抽出し、疵候補領域の
各画素におけるエリプソパラメ−タtan Ψとcos Δ及び
表面反射強度I0 のピ−ク値又は平均値の正常部に対す
る大小を示す極性を算出し、算出したエリプソパラメ−
タtan Ψとcos Δと表面反射強度I0 の極性変化の組合
せを示す疵特徴量から疵の種類を判定するようにしたか
ら、散乱光や回折では検出できなかった表面の物性変化
をも検出することができ、疵の検出精度を高めることが
できる。
【0249】また、疵の種類を判別するときに疵候補領
域内におけるエリプソパラメ−タtan Ψとcos Δと表面
反射強度I0 の極性変化の組合せに加えて疵部の3種類
の測定光強度の極性変化の組合せにより疵を判別するか
ら、より詳細に疵の種類と等級を判別することができ
る。
【0250】実施形態16 薄鋼板表面の疵など鋼板の表面疵を光学的に検出する装
置としては、光源にレーザ光を用い、光の散乱または回
折パターンの変化を利用した光学式疵検出器が多く用い
られている。この方式は、疵によるレーザ光の散乱また
は回折のパターン変化より疵検出を行っており、鋼板表
面に明かな凹凸を形成している疵の場合は有効な手段で
ある。
【0251】しかし、疵の種類によっては、物性値のむ
ら、ミクロな粗さのむら、薄い酸化膜等の局所的存在、
コーティング膜厚の厚さむら等が原因で発生する表面に
凹凸のない表面疵がある。このような疵には、その外観
からたとえてしばしば模様状疵と称呼される従来の検査
装置では検出困難な表面疵も含まれる。例えば正常部で
100A(オングストローム)程度の酸化膜が付いてい
る鋼板(例えば、冷延鋼板、表面処理鋼板、メッキ鋼板
等)の表面に、局所的に4000A(オングストロー
ム)程度の酸化膜が厚い異常部があるとする。このよう
な領域は下工程において塗装不良が生じるなど、疵とし
て検出し除去したいという要請があるが、正常部との酸
化膜厚の差は鋼板表面の粗さに埋もれており、光の散乱
や回折を利用した方式では全く検出不可能である。この
ように表面疵は、製品の品質に大いに影響するため、こ
れを検出できる新たな表面疵検査技術が切望されてい
た。
【0252】一方、従来の表面検査技術としては、散乱
や回折に感度を持たない表面疵を検出するための偏光を
用いた方法がある。例えば、半導体ウエファー上の異物
を見つけるための方法が特公平5−23620号公報に
提案されている。この方法は偏光パラメータのうちΨ、
すなわちP偏光とS偏光の振幅比(tanΨ)を求めて
疵を検出する方法である。(なお、以下において、P偏
光とは反射光の電気ベクトルのうち光の入射面方向の成
分、S偏光とは入射面に垂直方向の成分をいう。)しか
しながら偏光成分比が一定で、しかも正常・異常部が変
わる表面疵もあり、前述の目的に対してこの方法は一般
的には適用できない。
【0253】更に偏光のP、S成分比と位相差を同時に
測定する手段にエリプソメトリがある。特公平4−78
122号公報、特開平1−211937号公報にはエリ
プソメトリを用いて材料表面の特性値を試験する方法が
提示されている。しかし、これらの方法は検査手法とし
ては非常に敏感で、他の種類の疵や汚れ、油斑(む
ら)、スケールなどから相対的に微弱な検出強度しか与
えない表面疵の情報のみを弁別して検出することは困難
であった。特に、表面に油膜を塗布されて製造ライン上
を移動する鋼板をエリプソメトリにより検査する場合に
は、その油膜と本来検出すべき表面疵の両方の情報を含
んだエリプソパラメータを検出してしまい、表面疵の情
報のみを弁別して検出できないという問題があった。こ
の意味から特に通常の鋼板の表面疵の検出に使える可能
性はないと考えられており、従来、鋼板の模様状疵を光
学的手段で検出すること、ひいては表面疵の種類や等級
まで決定することは不可能とされており、またそのよう
な装置も、発明者らの知る限り、存在しなかった。
【0254】本発明はこうした状況を鑑みて成されたも
のであり、従来のエリプソメトリを改良し、被検査面の
エリプソパラメータ(Ψ、Δ)や複素屈折率(n+i
k)に関する光学定数(n、k)並びに光の反射強度
(I)をなるパラメータを用いて表面疵の情報をサンプ
リングして、検出及び判別可能な疵種の数を増大し、従
来の方式では検出できなかった表面疵、特に模様状の表
面疵を検出、更にはその表面疵の種類と等級を決定でき
る技術を提供することを目的とする。
【0255】エリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)は、偏光の
S成分の反射率Rsの、P成分反射率Rpに対する比ρ
を介して(1)式で定義される。 ρ=Rp/Rs=tanΨ・exp(jΔ) (1) ここでtanΨは反射光のP、S成分の振幅比を、Δは
P、S成分の位相差を示す。入射光が0度(P成分の
み)の直線偏光の場合は、反射光のP、S成分がなす楕
円の主軸が入射面となす角度がΨに、P、S成分の位相
差がΔに相当する。この場合は反射光を任意の直行2軸
の偏光角度で分割し、各々の偏光強度を測定して、楕円
の主軸方向と離心率からΨ、Δを演算することができ
る。また、入射光の偏光状態は任意に設定することが可
能であり、そのときは入射光の偏光状態を補正してΨ、
Δを求める。
【0256】反射光の強度Iは、入射光の強度Ioと表
面の反射率Rによって(2)式で求まる。 I=Io・R (2) これらのパラメータを用いて、上記課題は以下に示す手
段により解決される。
【0257】本発明に係る第1の方法は、被検査面に光
を照射して表面からの反射光を検出して当該被検査面の
2つのエリプソパラメ−タΨ、Δを求め、その一方で、
種々の既知の表面疵から反射光の振幅比Ψと位相差Δの
特性をあらかじめ測定しておき、その特性の特徴を抽出
して記憶しておき、次いで、測定した2つのエリプソメ
ータと記憶されている特性の特徴とを比較してその表面
疵を特定する。既知の表面疵とは、その種類と等級又は
疵の程度とが既知のものであってもよい。その既知の表
面疵のΨ−Δ特性から抽出される特徴とは、Ψ−Δ特性
の相関分布曲線であってもよく、また領域別に近似され
た直線であってもよい。
【0258】本発明に係る第2の方法は、上記の2つの
エリプソパラメータを求める以外に更に被検査面に照射
した光の反射光の強度Iを求め、合計3つのパラメター
タから少なくとも2つのパラメータを選択して、選択し
た少なくとも2つのパラメータと記憶されているパラメ
ータ特性の特徴とを比較して被検査面に存在する表面疵
を特定する。
【0259】本発明に係る第1の装置は、サンプリング
された種々の表面疵の2つのエリプソパラメータの特性
を記憶する手段と、被検査面に光を照射して表面からの
反射光を検出して2つのエリプソパラメータを検出する
手段と、記憶されている2つのエリプソパラメータの特
性と測定された2つのエリプソパラメータとを比較し
て、被検査面に存在する表面疵を特定する手段とを備え
ている。
【0260】本発明に係る第2の装置は、被検査面に光
りを照射して当該被検査面の2つのエリプソパラメータ
Ψ、Δと光の反射強度Iの3つのパラメータを測定する
手段と、あらかじめ求めておいたΨ、Δ及びIの基準情
報を記憶する手段と、測定した3つのパラメータから少
なくとも2つのパラメータを選択する選択手段と、選択
された少なくとも2つのパラメータと記憶されている基
準情報とを比較して、被検査面に存在する表面疵の種類
と等級とを決定する評価手段と、決定した表面疵の種類
と等級を出力する手段とを備える。この場合、選択手段
は、3つのパラメータを全て選択することも可能であ
る。3つのパラメータのすべてを選択する場合には、選
択手段を不活性状態にすれば足りる。3つのパラメータ
の全てを選択する場合には、従って選択手段を常に装着
している必要はない。
【0261】本発明に係る第3の装置は、被検査面に光
を照射する光源と、被検査面から反射された光から複数
の光成分を抽出する分光手段と、分光された複数の光成
分を受光する受光手段と、受光手段の出力情報に基づ
き、被検査面の2つのエリプソパラメータΨ、Δを算出
する演算手段と、光源が光を照射する被検査面上の反射
位置における光の反射強度を測定する光強度測定手段
と、あらかじめ求めておいた表面疵に起因するΨ、Δ及
びIの基準情報を記憶する記憶手段と、算出されたエリ
プソパラメータと測定された光の反射強度とからなる測
定情報と記憶されている基準情報とを比較して、被検査
面に存在する表面疵を特定する判断手段と、特定された
表面疵に関する情報を表示する出力手段とを備えてい
る。
【0262】受光手段は、複数の2次元撮像素子であ
り、これと対応して演算手段は受光手段の画素毎に被検
査面の2つのエリプソパラメータを算出する手段である
のが好ましい。光源からの光は、光導路で被検査面に導
くようにしても構わない。この場合、光導路を複数設け
て、分光手段と受光手段とから成る測定ヘッド部分が、
被検査面上の光源の光の照射位置と平行に複数個配列す
ることができる。分光手段は、被検査面で反射された光
から3つの偏光成分を抽出する複合型偏光プリズムであ
るのが好適である。
【0263】分光手段を用いる場合、特に被検査面から
反射された光から複数の偏光成分を抽出する場合ににお
いては、特に光強度測定手段は、被検査面からの光の反
射強度を直接計測するものである必要はなく、分光手段
により抽出された3つの偏光成分の強度に基づき演算し
た近似的な光の反射強度を、直接計測した光の反射強度
として擬制してその後の処理に供することもできる。更
に、分光手段は、被検査面で反射された光から4つの偏
光成分を抽出する光学装置であっても良く、この場合、
演算手段は、抽出された4つの偏光成分から3つのを選
択し、その選択された3つの偏光成分の光強度に基づき
2つのエリプソパラメータを算出する手段とし、抽出さ
れなかった残り1つの偏光成分の光強度をもって直接測
定した光の反射強度として擬制し、その後の処理に供す
ることもできる。なお、光の反射強度を直接計測する場
合においては、光源の被検査面への光の照射位置と同一
の位置に光を照射するもう一つ光源を設けて、このもう
一つの光源からの光の反射強度を直接計測するようにし
ても構わない。
【0264】本発明に係る方法及び装置は、測定ヘッド
部分に対して相対的に移動する被検査面に好適である。
本発明に係る他の態様の方法及び装置は、上記第1及び
第2の方法並びに第1、第2及び第3の装置において、
2つのエリプソパラメータΨ、Δの代わりに被検査面の
複素屈折率に関する2つの光学定数n、kに着目するも
のである。発明者らは、エリプソパラメータと表面疵と
の関係を調査した結果、表面疵の種類と等級が被検査面
の2つのエリプソパラメータΨ、Δ及び光の反射強度I
とに密接な関係があることを見出した。すなわち、これ
ら3つのパラメータの変化のパターンにより表面疵を特
定することができる。更に発明者らは表面疵の種類によ
っては、3つのパラメータのうち2つのみの変化パター
ンにより、当該表面疵の種類と等級とを特定することが
できることを見出した。
【0265】図1は、被検査物である冷延鋼板の表面に
存在する酸化物の膜厚(5〜100nm)のΨ−Δの変
化を示す。この酸化物は表面疵の原因の一つであるが、
酸化膜の存在により光の反射強度Iが変化するほどでは
ない。図中に示す無害な表面疵の範囲は、おおよそΨ=
34〜36°、Δ=70〜120°である。このような
範囲は、被検査物の種類や厚さなどに。従って、被検査
面の表面疵の検査にあたり、特に酸化物に起因する表面
疵の検出を行う場合、このような疵は光の反射強度の変
化をもっては疵の特定を行うことはできない一方で、
Ψ、Δを計測することで、表面疵の等級(有害か無害
か)を判断することができる。
【0266】図2は、表面の薄い酸化皮膜に起因する模
様状疵の存在する被検査面から検出した2つのエリプソ
パラメータと光の反射強度の変化を示している。この疵
は、従来の光学式検査装置(例えば、レーザの反射・回
折を利用するもの)では検出できなかったもので、光源
からの光の入射・反射方向に線状に延びているものであ
る。この図は、そのような疵が図の中央に位置するもの
として、20mm幅の範囲のエリプソパラメータΨ、Δと
光の反射強度Iを幅方向位置に対応させて示したもので
ある。疵部分のΔと反射強度Iは正常部分(横方向の中
央部分以外のところ)に比べて疵の存在を判別し難い。
しかし、Ψは明らかに疵がある部分(中央部)と異なる
ので、Ψを基準にすれば、明らかに疵のある場所と、無
い場所とを判別できる。
【0267】図3は、例えば圧延ロール肌に部分的に荒
れが生じた場合に起こる圧延加工疵に起因する模様状疵
が存在する被検査面から検出したΨ、Δ及びIの変化を
示している。この図も図2と同じように疵が中央に位置
するものとして3つのパラメータが示されている。この
図より、この種の疵の存在はΨでは確認できないが、Δ
及びIにより確認することができる。しかし、この種の
疵も従来の光学検査方法での検出が困難な場合が多かっ
た。
【0268】図4は、目視で判る程度の付着物に起因す
る模様状疵が存在する被検査面から検出した3つのパラ
メータの変化を、図2と同様に表示したものである。こ
の模様状疵では、付着物が被検査面上に存在する結果、
被検査面の見掛け上の表面粗さが大きく変化したため、
Ψ、Δ及びIのすべてのパラメータに大きな変化が見ら
れる。
【0269】図2から図4より、疵の種類によって、3
つのパラメータの変化のパターンが異なることが判る。
このことから、例えばΨ、Δ及びIの各パラメータの変
化のパターンを極性の変化(−,0又は+)として把握
するならば、合計27種の表面疵の弁別が可能になる。
この点についての詳述は、既に実施形態8において言及
したので省略する。また、2つのエリプソパラメータの
みに着目していては弁別できない表面疵も、第3のパラ
メータとしての光の反射強度Iの採用により、より的確
に表面疵を特定することが可能になる。
【0270】疵の等級は、例えば、Ψ、Δ及びIの3つ
のパラメータの絶対値の大きさと基準値との比較により
決定することができる。図65は、鋼板上に存在する同
一種類の表面疵に関して検出された3つのパラメータの
値と対応する等級との関係の一例である。この図におい
て基準値とは各パラメータに相当する信号のノイズレベ
ルである。この等級の決定に際しては、単にこれらのパ
ラメータのみに拘泥することなく、例えば表面疵を画像
処理して得た疵の画素数(従って面積)と基準値とを比
較してΨ、Δ及びIに基づく等級の決定のための補助的
なパラメータとして採用しても構わない。また、表面疵
の種類によっては、Ψ、Δ及びIの何れかが特に顕著な
変化を示す場合がある。そのような場合には、変化の大
きなパラメータのみに着目して、その変化の絶対値と基
準値とを比較することでその表面疵の等級を決定しても
構わない。
【0271】以上のΨ、Δ及びIのパラメータに基づ
き、表面疵の種類及び等級の決定により、標準的な表面
疵についての情報を記憶手段に蓄積する。このとき、記
憶手段には、基準情報として測定されたΨの絶対値、Δ
の絶対値、Iの絶対値、表面疵の種類及び等級が蓄積さ
れる。ただし、基準値からの偏倚を求めて、Ψの変化
量、Δの変化量,Iの変化量、表面疵の種類、表面疵の
等級が蓄積されても良い。かくして蓄積される情報は、
表面疵の特性に対応するものであり、座標位置として記
憶手段に蓄積されることになる。そしてその記憶手段内
で位置座標とマップ情報がリンクするように構成され
る。一方、Ψ、Δ及びIの3つのパラメータの内少なく
とも2つが被検査面から測定されると、被検査面のパラ
メータと記憶手段に蓄積されている基準情報である種々
の表面疵の特性と比較される。これにより表面疵の種類
及び等級が判定される。同時に座標位置従って対応する
マップ情報が特定されるので、マップ化された表面疵の
種類及び等級を視覚化することができる。
【0272】本発明に係る装置では、被検査面からの反
射光から3つの光成分を抽出して被検査面の2つのエリ
プソパラメータを測定する。3つの光成分からエリプソ
パラメータを算出する方法については、実施形態2から
8において解説している通りである。本発明において
は、4つの光成分を用いて2つのエリプソパラメ−タを
求めることができる点も実施形態1で述べた通りであ
る。これらのような複数の光成分を抽出するための分光
手段は、一体型の複合型偏光ビームとすると良い。これ
により測定ヘッド部分を著しく小型化することができ、
可動部を有しないのでメンテナンスが容易であるので、
オンライン検査、特に被検査面が測定ベッド部分に対し
て相対的に移動する系に好適である。
【0273】分光手段により抽出された3つの偏光成分
の強度に基づき演算した近似的な光の反射強度を、直接
計測した光の反射強度として擬制してその後の処理に供
することにより、表面疵検出装置の構造を簡素化するこ
ができる。近似的な光の反射強度の算出方法は、実施形
態2から実施形態8に既に記述しているので詳述はしな
い。なお、複合型偏光ビームスプリッタを分光手段とし
て用いることで、被検査面からの光の反射光から4つの
独立な偏光成分を抽出する場合には、一つの受光手段
で、被検査面へ入射する光の入射面に対して90°の偏
光面を有する偏光の強度をもって擬似的な光の反射強度
とすることができる。
【0274】表面疵を検査するために必要な2つのエリ
プソパラメータΨ、Δの代わりに被検査面の複素屈折率
に関する2つの光学定数n、kに着目する場合には、
n、kはΨ、Δと異なり物理量なので、検査結果が表面
疵の特徴に直接結びつきやすい。なお、n、kは次式に
基づきΨ、Δから算出できることが知られている。 n+ik=N0 tan θ[1−sin 2 θ・ 4ρ/(1+ρ)2 1/2 (3) ここで、N0 は空気の屈折率、θは入射角である。ρは
(1)式で定まる。
【0275】図66は、発生原因の異なる表面疵の評価
をまとめたものである。表面疵によって正常又は異常と
認識される(n、k)領域は異なるが、同一種の表面疵
ならば正常と認定される領域と異常と認定される領域と
が明確に異なることがわかる。即ち、図66において正
常部が一点に収束していないのは被検査体の疵の種類が
異なっているからであり、また、被検査体それ自身の種
類によっても異なったものとなる。更に、異常の等級に
ついてはも図示のベクトル(大きさと方向)によっても
規定するこができる。その意味から複素屈折率に関する
2つの光学定数により表面疵の種類と等級判断が可能で
あることが判る。しかも、この場合の等級判断は、エリ
プソパラメータを用いて行う場合に比べてかなり視覚的
で便利である。
【0276】本発明に係る装置では、受光手段として、
2次元撮像素子を用いているので、単一の測光手段で走
査するよりも、光学系が簡素になる。また、光導路を用
いれば少ない光源で広い範囲にわたって光を分散させて
照射することができ、幅広材料の各部分における照射強
度が均一となり、反射光強度の補正が容易となる。
【0277】本発明に係る装置の実施形態を図67に示
す。この図に示す装置のブロックダイヤグラムは、特に
被検査体が走行する鋼板であり、オンライン検査に好適
なものに関する。装置全体の挙動は図示しない制御手段
によりコントロールされている。まず、被検査面に照射
して反射光から3つの偏光成分(入射光の入射面を基準
にして−45°、+45°及び0°の偏光面を有する光
成分)をカメラ1〜3で受光され、受光して得た画像情
報は記憶手段のフレームメモリにそれぞれ格納される。
その後各画像情報が位置・縮尺補正手段に入力され、別
に入力された被検査部分の位置情報と記憶手段から読み
込んだ補正係数により画素毎に位置と縮尺の補正が行わ
れる。補正結果は、補正画像として再度フレームメモリ
に格納される。3種類の補正画像は、偏光パラメータ演
算手段に送られ、所定の演算式に基づき、画素毎に2つ
のエリプソパラメータが演算される。この時同時に所定
の演算式に基づき近似的な光の反射強度が演算される。
演算された近似的な光の反射強度は、その後直接測定さ
れた光の反射強度と見なされて処理される。もちろん、
この近似的な光の反射強度を求める代わりに、別に設け
た光強度測定手段により直接光の反射強度を計測しても
構わない。その後、合計3つのパラメータは評価手段に
入力される。この評価手段においては、第1に画素信号
の基準値との比較が行われ、基準値を越える信号レベル
を表面疵に関連するものされ、基準値からの画素毎の
Ψ、Δ及びIの変化量が求められる。次にパラメータ選
択手段からの指示信号に基づき、検査に要する少なくと
も2つのパラメータが選択される。選択されたパラメー
タとサンプリングされた基準表面疵情報とが画素毎に比
較され、照合した基準表面疵に対応して格納されている
表面疵の種類と等級が、記憶手段に格納されているパラ
メータと疵の対応表から読み出される。これと同時に基
準表面疵情報に対応してやはり記憶手段の対応表に格納
されてた座標位置情報が読み出される。評価手段は、特
定した表面疵についての情報を、画素毎に読み出された
座標位置の情報とともに出力手段に送る。出力手段にお
いては、ディスプレイに疵情報をマッピング出力し、表
面疵に関するテキスト情報をプリンタに出力し、必要な
データを保管する。
【0278】図67では、偏光の補正画像を用いて偏光
パラメータを求め更に複素屈折率を求めてもよい。かく
して偏光パラメータ・複素屈折率演算手段において演算
された複素屈折率は、n画像情報、k画像情報として記
憶手段に格納される。これと同時に演算された近似的な
光の反射強度又は直接光強度測定手段により計測された
光の反射強度が記憶手段に格納される。その後、合計3
つのパラメータは評価手段に入力される。この評価手段
においては、第1に画素信号の基準値との比較が行わ
れ、基準値を越える信号レベルを表面疵に関連するもの
され、基準値からの画素毎のn、k及びIの変化量が求
められる。次にパラメータ選択手段からの指示信号に基
づき、検査に要する少なくとも2つのパラメータが選択
される。選択されたパラメータとサンプリングされた基
準表面疵情報とが画素毎に比較され、照合した基準表面
疵に対応して格納されている表面疵の種類と等級が、記
憶手段に格納されているパラメータと疵の対応表から読
み出される。これと同時に基準表面疵情報に対応してや
はり記憶手段の対応表に格納されてた座標位置情報が読
み出される。評価手段は、特定した表面疵についての情
報を、画素毎に読み出された座標位置の情報とともに出
力手段に送る。出力手段においては、ディスプレイに疵
情報をマッピング出力し、表面疵に関するテキスト情報
をプリンタに出力し、必要なデータを保管する。
【0279】次に疵の種類を判別する手段の一例を述べ
る。強度、Ψ、Δの各値は部分的に変化することがある
ので、絶対値では求め難い。そこで、各パラメータの移
動平均を測定しておいて、平均値からの変化を検出す
る。移動平均の定数は発生する疵の寸法に合わせてと
る。一定以上の変化が検出された場合はエリプソパラメ
ータについては角度の絶対値を、反射強度については平
均値からの変化量を評価値とする。Δ、Ψの絶対値と反
射強度の変化量は3次元の空間を構成する。この3次元
空間を経験則に基づいて区間分割し、各区間を疵の種類
と等級にあてはめる。複数の区間に疵の共通性があるも
のについては、これらをグループ化し、区間を等級で表
示することも可能である。
【0280】エリプソパラメータの測定装置は光学系に
よって種々の変化がある。発明者らは、先に反射光の4
つの偏光成分を求めることによってエリプソパラメ−タ
(Ψ、Δ)のみならず位相角Δの絶対値が分かり、かつ
入射光強度の変化も補正可能な光学系を提案した(特開
平5−113371号公報参照)。これで提案した光学
系のいずれかを用いて表面疵検出装置を構成した、本発
明の第三の実施形態を図5に示す。
【0281】図5の表面疵検出装置は、エリプソメータ
本体1と、その出力からエリプソパラメ−タを演算する
エリプソパラメ−タ演算装置3、試料2に疵のあるもの
を用いたときにそのエリプソパラメ−タを記憶するエリ
プソパラメ−タ記憶装置4、特性が未知の試料2を用い
たときにそのエリプソパラメ−タと、記憶装置4に記憶
された疵の特性値とを比較するエリプソパラメ−タ比較
装置5、比較結果に応じて疵の有無、等級などを出力す
る疵信号出力装置6で構成されている。
【0282】エリプソメータ本体1は、例えば図6に示
す光学系で構成する。図6において10はレーザー光
源、11は偏光子、12は入射光を示す。入射光12は
偏光子11によって直線偏光となり、試料2の表面で反
射する。反射光13は14、15、16のビームスプリ
ッターおよび1/4波長板17によって相異なる4つの
偏光18a、18b、18c、18dに分割して、それ
ぞれの受光器19a、19b、19c、19dで光強度
I1 、I2 、I3 、I4 を検出する。
【0283】エリプソパラメ−タの演算装置3は、これ
らの光強度から(3),(4)式によってエリプソパラ
メ−タを演算する。 tanΔ=〔σR (I1 −I2 )〕/〔σT (I3 −I4 )〕 (3) tanΨ=〔(σR 2 −σT 2 )/2〕・〔{σR (I1 −I2 )}2 〕 +{σT (I3 −I4 )}2 〕1/2 ÷〔σR 2 (I1 +I2 ) −σT 2 (I3 +I4 )〕 (4) ここでσR ,σT はそれぞれ無偏光ビームスプリッター
14のP偏光、S偏光の振幅反射率比、および振幅透過
率比で、該光学部品に固有な値である。
【0284】エリプソパラメ−タ記憶装置4には、試料
2に予め疵のあるものを用いたときに、そのエリプソパ
ラメ−タの特性を記憶する。例えば図1のような酸化膜
の特性が記憶される。エリプソパラメ−タ比較装置5
は、未知の特性を持った試料2のエリプソパラメ−タが
得られたとき、予め測定し記憶しておいた特性と比較す
る。これには、Ψ、Δ次元における区間分割処理などを
適用する。これによって膜厚信号を出力する。疵信号出
力装置6は、膜厚による合否の判定基準を設定してお
き、膜厚が所定範囲以内のとき正常とし、所定範囲を外
れた時は異常として警報出力する。
【0285】本発明の他の実施形態を図7に示す。図7
は本発明を鋼板の走行ラインに適用する装置の内、光学
系の部分を示す。本実施形態の光学系は、エリプソパラ
メータを求める系統と、反射強度を求める系統がある。
この実施形態では、入射光の強度を試料の各部で均一と
し時間的変化は無くしたので、両系統で反射光の3つの
偏光成分を求め、これらの演算で反射光の強度(I)、
エリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求めることができる。
【0286】まずエリプソパラメータの系統では、高輝
度光源20から出た光は偏光板23で偏光させた後に試
料2の表面に照射する。表面からの反射光はウオーラン
トプリズム26で45°とー45°で直交する2つの偏
光成分に分離して2次元CCD素子を用いたカメラBで
画素ごとに偏光強度を測定する。カメラBは一台のCC
Dカメラの相異なる部分に分離した像を結ばせる方式と
している。これは、光学系を変更することによって別々
の2台のカメラに分けて分離して撮影することも可能で
ある。カメラBの光強度は、この図には表示していない
エリプソメータ演算装置に出力してこれら2つの光強度
を演算することによって試料面各点のエリプソパラメー
タが求められる。
【0287】次に反射強度を測定する系統について述べ
る。高輝度光源20から出た光は拡散板21で均一な強
度分布とした後に、試料2の表面に照射する。表面から
の反射光は無偏光プリズム25の面で反射して、偏光角
0度に設定した偏光子24を経たあとにカメラA27に
入る。カメラAでは、2次元のCCD素子を使用して測
定表面の各点の光強度を同時に求める。図7の光学系の
場合、反射強度(I)は、I=I2 +I3 −2I1 で求
められる。ここでI1 はカメラA、I2 、I3はカメラ
Bの45度、−45度偏光画像からそれぞれ得られる光
強度である。
【0288】図7の光学系の特徴は、広い範囲を均一に
偏光で照射し、偏光角度が0、45、−45度の画像か
ら試料面の多数の点のエリプソパラメータと反射強度を
同時に演算できるようにしたことである。エリプソパラ
メータ出力は、記憶パターンと比較することで膜厚や疵
種類に換算する。図8は反射光強度とエリプソパラメー
タを同時に使って疵検出する装置の信号処理系統図であ
る。図7の光学系の出力を信号処理する部分に相当する
装置である。
【0289】カメラA、カメラBからの出力信号は一旦
フレームメモリーA31,フレームメモリーB31に蓄
積する。フレームメモリーBは2つの偏光角度の像が蓄
えられているから、光強度を蓄えているフレームメモリ
ーAと合わせて、試料表面の同一点が合計3つの光強度
情報を与えることになる。この際、視野角度によって
Δ、Ψ、Iにフレームメモリー上で位置的なずれが生じ
るので、位置縮尺補正装置32はフレームメモリーに捕
らえられた3偏光成分の画像について、光学系のフレネ
ル係数から求められる位置・縮尺を一致させる処理を行
う。次ににΔ、Ψ、I計算装置33は、Δ、Ψ、I計算
を一致した画素ごとに行う。等価複素屈折率計算装置3
5は、入射光の偏光状態を基に、反射光から計算した
Δ、Ψ、Iから試料各点の等価複素屈折率を計算する。
これらの演算結果は適当なマッピング処理を施した後、
表示装置36に表面状態として表示する。簡易的には
Δ、Ψ、Iの画像のまま過去のデータと比較してもよ
い。
【0290】図9は、図2から図4の疵に対するマッピ
ング処理の例である。図9aは反射強度Iが通常値から
上昇した場合に適用する判別図である。Δ、Ψが図の斜
線部にあるときDタイプ疵のグレード1、2、3と対応
させる。図9bは反射光強度が通常値にある場合に適用
する。Δ、Ψの値に応じてA、Bのタイプとグレードを
斜線部のように割り当てる。同様に図9のc,dは反射
光強度が通常値から下降した場合に適用するものであ
る。この場合はΔ、Ψの値によらず、強度の区分のみで
疵タイプとグレードを割り当てる。
【0291】図10は多チャンネルエリプソメータを並
列配置する本発明の第五の実施形態を示す。この装置は
2000mm幅の幅広鋼板40が最大ライン速度600
m/分で移動中に疵検出することを目的としている。光
源は波長800nmのレーザー41で、この光を光ファ
イバー42を用いて被測定面の近くに導く。偏光板43
によって入射光は45度の直線偏光とする。鋼板面への
入射角は65度とした。光ファイバーのかわりに放物面
鏡を用いてレーザー光をスリット状平行光線とし、鋼板
に照射してもよい。光検出カメラ44、45、46は1
024画素の一次元CCDを用いて、幅方向分解能0.
25mm、1チャンネルで鋼板の250mm幅を見る構
成とした。
【0292】1〜8ヘッドそれぞれに画像処理装置を付
けてライン速度に見合う速さで偏光強度計算を行う。処
理速度を向上させるため、Δ、Ψ、I演算装置33は8
セット分を並列処理している。ライン速度が遅い場合、
または分解能が低い場合は並列処理数を増やして装置台
数を減らすことが可能である。これらの信号は、画像処
理装置34でエリプソパラメータ演算を行ったあと、マ
ッピング表示装置36で疵の判別を行う。
【0293】この実施形態におけるマッピング処理は、
疵が画像内に現れると、Δ、Ψ、Iのうち、どのパラメ
ータが変化しているかの組合せによって、疵種類の判別
を行う。疵の程度は、例えば図4のΔについて、正常部
のΔの値113°程度から疵部のΔの値98°までの変
化の度合いで決定する。図4ではΔの変化値が2〜3°
以内は害のない疵であるが、それ以上は出荷品質として
許容できないものであるから、異常部分として、警報出
力する。 検査対象の鋼板上には油が塗られているが、
エリプソメータとしての基本的機能を有しているため、
油膜厚さムラの測定も可能である。
【0294】上記実施形態はいずれも光強度を求める光
源と、エリプソパラメータを求める光源が同一の場合で
示した。これらは必ずしも同一である必要はなく、反射
光を求めるための通常光源と、エリプソパラメータを求
める偏光光源を独立に設置してもよい。
【0295】エリプソパラメータを記憶した値と比較す
ることによって、従来検出ができなかった鋼板面の模様
状疵の検出が可能となる。エリプソパラメータと反射光
強度と組み合わせたので、疵種類の判定が可能になる。
2次元撮像素子を用いたのでコンパクトな光学系とな
る。また、幅広材料に適用する場合には、光源の光を光
ファイバーで導くようにしたので、照射光が均一とな
り、簡易な補正で正確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼板上に酸化膜が付いた場合のエリプソパ
ラメ−タを示す図。
【図2】 タイプAの疵の反射特性を示す図。
【図3】 タイプBの疵の反射特性を示す図。
【図4】 タイプCの疵の反射特性を示す図。
【図5】 本発明による疵検出装置の一実施形態を示
す図。
【図6】 エリプソメータの光学系の一例を示す図。
【図7】 本発明による光学系の一実施形態を示す
図。
【図8】 本発明による信号処理系の一実施形態を示
す図。
【図9】 本発明によるマッピングの一実施形態を示
す図。
【図10】 本発明による疵検出装置の一実施形態を示
す図。
【図11】 本発明の実施形態の光学系を示す構成図で
ある。
【図12】 図11に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図13】 図11に係わる実施形態の動作原理を示す
説明図である。
【図14】 図11に係わる実施形態の動作を示す画像
分布特性図である。
【図15】 他の実施形態の光学系を示す側面図であ
る。
【図16】 他の実施形態の光学系を示す上面図であ
る。
【図17】 図16に係わる実施形態の光学系を示す側
面図である。
【図18】 他の実施形態の光学系を示す側面図であ
る。
【図19】 他の実施形態の光学系を示す側面図であ
る。
【図20】 本発明の実施形態の光学系を示す配置図で
ある。
【図21】 図20に係わる実施形態の配置を示す説明
図である。
【図22】 図20に係わる実施形態の信号処理部の構
成を示すブロック図である。
【図23】 他の実施形態の光学系を示す配置図であ
る。
【図24】 他の実施形態の光学系を示す配置図であ
る。
【図25】 他の実施形態の光学系を示す配置図であ
る。
【図26】 他の実施形態の光学系を示す配置図であ
る。
【図27】 他の実施形態の光学系を示す配置図であ
る。
【図28】 本発明の実施形態の光学系を示す配置図で
ある。
【図29】 図28に係わる光学系の動作を示す配置説
明図である。
【図30】 図28に係わる実施形態の3板式偏光リニ
アアレイカメラの構成図である。
【図31】 図28に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図32】 本発明の実施形態の光学系を示す構成図で
ある。
【図33】 図32に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図34】 図32に係わる実施形態の光学系の動作を
示す配置説明図である。
【図35】 図32に係わる実施形態の正規化処理を示
す画像濃度特性図である。
【図36】 図32に係わる実施形態の正規化処理の画
像を示す画面図である。
【図37】 図32に係わる実施形態のtan Ψ,cos
Δ,I0 の画像を示す画面図である。
【図38】 他の実施形態の光学系を示す上面図であ
る。
【図39】 図38の実施形態の光学系を示す側面図で
ある。
【図40】 他の実施形態の光学系を示す側面図であ
る。
【図41】 本発明の実施形態の光学系を示す構成図で
ある。
【図42】 図41に係わる実施形態の光学系の動作を
示す配置説明図である。
【図43】 図41に係わる実施形態の3板式偏光リニ
アアレイカメラの構成図である。
【図44】 図41に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図45】 疵信号を示す光強度分布図である。
【図46】 疵種と疵パタ−ンと値パタ−ンを示す基準
パタ−ン図である。
【図47】 光量レベルと疵の等級の相関図である。
【図48】 各種疵の疵種と等級の具体例を示す説明図
である。
【図49】 本発明の実施形態の光学系を示す配置図で
ある。
【図50】 図49に係わる実施形態の配置を示す説明
図である。
【図51】 図49に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図52】 図49に係わる実施形態の動作を示す画像
説明図である。
【図53】 2値化レベルを示す濃度特性図である。
【図54】 本発明の実施形態の光学系を示す配置図で
ある。
【図55】 図54に係わる実施形態の配置を示す説明
図である。
【図56】 図54に係わる実施形態の信号処理部を示
すブロック図である。
【図57】 図54に係わる実施形態の動作を示す画像
説明図である。
【図58】 エッジ検出動作を示す信号強度分布図であ
る。
【図59】 輝度むら補正動作を示す説明図である。
【図60】 2値化レベルを示す濃度特性図である。
【図61】 冷延鋼板における疵種の極性特性図であ
る。
【図62】 鍍金鋼板における疵種の極性特性図であ
る。
【図63】 冷延鋼板における疵種の他の極性特性図で
ある。
【図64】 鍍金鋼板における疵種の他の極性特性図で
ある。
【図65】 鋼板上に存在する同一種類の表面疵に関し
て検出された3つのパラメータの値と対応する等級との
関係の一例を示した特性図である。
【図66】 発生原因の異なる表面疵の評価をまとめた
特性図である。
【図67】 本発明の一実施形態に係る装置の構成を示
すブロック図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 努 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検査面に偏光を照射して表面反射光の
    エリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求め、あらかじめ求め
    ておいた表面疵からの反射光の振幅比Ψと位相差Δ特性
    と比較して、等級付けすることを特徴とする表面疵の検
    出方法。
  2. 【請求項2】 被検査面に偏光を照射して表面反射光の
    エリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求め、被検査面の同一
    箇所に同一ないし別個の光を照射して表面の反射強度
    (I)を求め、該2つのエリプソパラメータと該反射強
    度の状態によって表面疵の等級および種類を判定するこ
    とを特徴とする表面疵の検出方法。
  3. 【請求項3】 表面疵のエリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)
    特性をあらかじめ記憶する手段と、被検査面に偏光を照
    射して表面反射光のエリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を測
    定する手段と、測定した反射光と記憶特性との比較結果
    を出力する手段を備えたことを特徴とする表面疵検出装
    置。
  4. 【請求項4】 被検査面に偏光を照射して該表面反射光
    のエリプソパラメ−タ(Ψ、Δ)を求める手段と、被検
    査面の同一箇所に同一ないし別個の光を照射して反射強
    度(I)を測定する手段と、被検査面からの反射光が属
    するΨ、Δ、Iの3次元座標位置を、あらかじめ定めた
    範囲区分として出力する手段を備えたことを特徴とする
    表面疵検出装置。
  5. 【請求項5】 投光部と受光部と信号処理部とを有し、
    投光部は被検査面に平行光束の偏光を入射し、受光部は
    被検査面からの反射光の異なる光路にそれぞれ設けら
    れ、それぞれ異なる方位角を有する3個の検光子と、各
    検光子を透過した光を受光するリニアアレイセンサとを
    有し、被検査面からの反射光を入射し画像信号に変換
    し、信号処理部は3個のリニアアレイセンサからの画像
    信号を処理し、振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示すco
    s Δと被検査面の表面反射強度I0を演算し、tan Ψ画
    像とcos Δ画像及びI0 画像を生成し、生成したtan Ψ
    画像とcos Δ画像及びI0 画像の各画素の濃度から表面
    の特性を評価することを特徴とする表面検査装置。
  6. 【請求項6】 投光部と正反射光検出部と散乱反射光検
    出部及び信号処理部とを有し、 投光部は被検査面の幅方向全体に偏光を入射し、 正反射光検出部は被検査面からの反射光の正反射光の光
    路に設けられ、散乱反射光検出部は被検査面からの反射
    光の散乱反射光の光路に設けられ、正反射光検出部と散
    乱反射光検出部の少なくともいずれか一方は入射した光
    を3本のビ−ムに分離する光学系と、分離された3本の
    ビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位
    角を有する検光子と、各検光子を透過した光を受光する
    撮像手段とを有し、 信号処理部は正反射光検出部と散乱反射光検出部からの
    画像信号を比較するとともに、検光子を透過した光を受
    光した3個の撮像手段からの画像信号を処理して、被検
    査面の表面反射光のエリプソパラメ−タである振幅反射
    率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δを演算し、正反射光
    と散乱反射光の比較結果及び2つのエリプソパラメ−タ
    tan Ψ,cos Δから被検査面の表面特性を評価すること
    を特徴とする表面検査装置。
  7. 【請求項7】 投光部と正反射光検出部と散乱反射光検
    出部及び信号処理部とを有し、 投光部は被検査面の幅方向全体に偏光を入射し、 正反射光検出部は被検査面からの反射光の正反射光の光
    路に設けられ、散乱反射光検出部は被検査面からの反射
    光の散乱反射光の光路に設けられ、正反射光検出部と散
    乱反射光検出部の少なくともいずれか一方は入射した光
    を3本のビ−ムに分離する光学系と、分離された3本の
    ビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位
    角を有する検光子と、各検光子を透過した光を受光する
    撮像手段とを有し、 信号処理部は正反射光検出部と散乱反射光検出部からの
    画像信号を比較するとともに、検光子を透過した光を受
    光した3個の撮像手段からの画像信号を処理して、被検
    査面の表面反射光のエリプソパラメ−タである振幅反射
    率比tan Ψと位相差Δを示すcos Δ及び被検査面の表面
    反射強度I0 を演算し、正反射光と散乱反射光の比較結
    果及び2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,cos Δと表面
    反射強度I0 から被検査面の表面特性を評価することを
    特徴とする表面検査装置。
  8. 【請求項8】 投光部と受光部及び信号処理部とを有
    し、 投光部は被検査面の幅方向全体に偏光を入射し、 受光部は被検査面からの反射光の散乱反射光の光路に設
    けられ、入射した光を3本のビ−ムに分離する光学系
    と、分離された3本のビ−ムの光路にそれぞれ設けら
    れ、それぞれ異なる方位角を有する検光子と、各検光子
    を透過した光を受光する撮像手段とを有し、 信号処理部は検光子を透過した光を受光した3個の撮像
    手段からの画像信号を処理して、被検査面の表面反射光
    のエリプソパラメ−タである振幅反射率比tanΨと位相
    差Δを示すcos Δを演算し、演算した2つのエリプソパ
    ラメ−タtan Ψ,cos Δから被検査面の表面特性を評価
    することを特徴とする表面検査装置。
  9. 【請求項9】 投光部と受光部及び信号処理部とを有
    し、 投光部は被検査面の幅方向全体に偏光を入射し、 受光部は被検査面からの反射光の散乱反射光の光路に設
    けられ、入射した光を3本のビ−ムに分離する光学系
    と、分離された3本のビ−ムの光路にそれぞれ設けら
    れ、それぞれ異なる方位角を有する検光子と、各検光子
    を透過した光を受光する撮像手段とを有し、 信号処理部は検光子を透過した光を受光した3個の撮像
    手段からの画像信号を処理して、被検査面の表面反射光
    のエリプソパラメ−タである振幅反射率比tanΨと位相
    差Δを示すcos Δ及び被検査面の表面反射強度I0 を演
    算し、演算した2つのエリプソパラメ−タtan Ψ,cos
    Δと表面反射強度I0 から被検査面の表面特性を評価す
    ることを特徴とする表面検査装置。
  10. 【請求項10】 投光部と3板式偏光リニアアレイカメ
    ラと信号処理部とを有し、投光部は被検査面に偏光を入
    射し、3板式偏光リニアアレイカメラは入射した光束を
    3本のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタと、分離され
    た3本のビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、方位角がそ
    れぞれ異なる向きにに配置された検光子と、各検光子を
    透過した光を受光するリニアアレイセンサとを有し、被
    検査面からの反射光を入射して異なる3種類の偏光画像
    信号を出力し、信号処理部は3板式偏光リニアアレイカ
    メラから出力された偏光画像信号を処理して、被検査面
    の表面反射光のエリプソパラメ−タである振幅反射率比
    tan Ψと位相差Δを示すcos Δ及び反射光強度I0 を演
    算し、演算した振幅反射率比tan Ψと位相cos Δ及び反
    射光強度I0 から被検査面の表面疵の有無を判定するこ
    とを特徴とする表面疵検査装置。
  11. 【請求項11】 投光部と受光部と信号処理部とを有
    し、 投光部は幅方向に長いビ−ムの偏光を被検査面に入射
    し、受光部は被検査面からの反射光の光路に設けられ、
    それぞれ異なる方位角を有する3個の検光子と、各検光
    子を透過した光を受光するリニアアレイセンサとを有
    し、被検査面からの反射光を入射し画像信号に変換し、
    信号処理部は各リニアアレイセンサからの出力画像信号
    を正規化して平坦化し、平坦化した画像信号からエリプ
    ソパラメ−タである振幅反射率比tan Ψと位相差Δを示
    すcos Δ及び反射光強度I0 の相対値を演算し、演算し
    た振幅反射率比tan Ψと位相差cos Δ及び反射光強度I
    0 の相対値から被検査面の表面の異常の有無を判定する
    ことを特徴とする表面検査装置。
  12. 【請求項12】 投光部と受光部と信号処理部とを有
    し、投光部は被検査面に偏光を入射し、受光部は少なく
    とも3方向の異なる角度の偏光を受光する複数の受光光
    学系を有し、被検査面で反射した反射光を検出して画像
    信号に変換し、信号処理部は各受光光学系から出力され
    た光強度分布を平均値があらかじめ定めた基準値となる
    ように規格化し、規格化した複数の光強度分布の変化極
    性と変化量とをあらかじめ定めたパタ−ンと比較し疵種
    を判定することを特徴とする表面検査装置。
  13. 【請求項13】 投光部と受光部と信号処理部とを有
    し、投光部は被検査面に偏光を入射し、受光部は少なく
    とも3方向の異なる角度の偏光を受光する複数の受光光
    学系を有し、被検査面で反射した反射光を検出して画像
    信号に変換し、信号処理部は各受光光学系から出力され
    た光強度分布を平均値があらかじめ定めた基準値となる
    ように規格化し、規格化した複数の光強度分布の変化極
    性と変化量とをあらかじめ定めたパタ−ンと比較し疵種
    と疵の等級を判定し、各受光光学系から出力された光強
    度分布から目視相当の光量変化を演算し、演算した光量
    変化をあらかじめ定めたパタ−ンと比較し疵の等級を判
    定することを特徴とする表面検査装置。
  14. 【請求項14】 投光部と検出部と信号処理部とを有
    し、 投光部は被検査面の幅方向全体にわたり偏光光束を入射
    し、 検出部は被検査面からの反射光を3本のビ−ムに分離す
    るビ−ムスプリッタと、分離された3本のビ−ムの光路
    にそれぞれ設けられ、それぞれ異なる方位角を有する検
    光子と、各検光子を透過した光を受光するリニアアレイ
    センサとを有し、被検査面からの反射光を入射し画像信
    号に変換し、 信号処理部は疵候補領域抽出部とパラメ−タ演算部と判
    定部とを有し、疵候補領域抽出部は3組のリニアアレイ
    センサから入力された偏光画像の濃度レベルと基準濃度
    レベルとを比較して、測定した偏光画像の濃度レベルが
    基準濃度レベルの範囲外となる領域を疵候補領域として
    抽出し、パラメ−タ演算部は抽出した疵候補領域内にお
    ける測定光強度からエリプソパラメ−タと表面反射強度
    を算出し、判定部は算出したエリプソパラメ−タと表面
    反射強度の特性とあらかじめ定められた表面疵の特性と
    を比較し、表面疵の等級と種類を判定することを特徴と
    する表面検査装置。
  15. 【請求項15】 投光部と受光部と信号処理部とを有
    し、 投光部は被検査面の幅方向全体にわたり偏光光束を入射
    し、 受光部は被検査面からの反射光から異なる3つの偏光成
    分を抽出して画像信号に変換し、 信号処理部はパラメ−タ演算部と特徴量演算部及び疵判
    定部とを有し、パラメ−タ演算部は上記画像信号からエ
    リプソパラメ−タと表面反射強度を算出し、特徴量演算
    部は疵候補領域内におけるエリプソパラメ−タと表面反
    射強度の正常部に対する大小を示す極性を算出し、算出
    したエリプソパラメ−タと表面反射強度の極性の組合せ
    による疵特徴量を演算し、疵判定部は演算した疵特徴量
    から表面疵の種類を判定することを特徴とする表面検査
    装置。
  16. 【請求項16】 上記特徴量演算部は疵候補領域内にお
    けるエリプソパラメ−タと表面反射強度の極性の組合せ
    による疵特徴量を演算するとともに疵候補領域内におけ
    る異なる偏光画像の光強度の極性の組合せによる疵特徴
    量を演算し、疵判定部は演算したエリプソパラメ−タと
    表面反射強度の極性の組合せによる疵特徴量と光強度に
    よる疵特徴量から表面疵の種類を判定する請求項1記載
    の表面検査装置。
  17. 【請求項17】 上記信号処理部はパラメ−タ演算部と
    特徴量演算部と疵判定部とともに疵候補領域抽出部を有
    し、 疵候補領域抽出部は上記エリプソパラメ−タと表面反射
    強度の画像の濃度レベルが地肌レベルに相当する基準濃
    度レベルの範囲外となる領域を疵候補領域として抽出す
    る請求項1又は2記載の表面検査装置。
  18. 【請求項18】 投光部と受光部と信号処理部とを有
    し、 投光部は被検査面の幅方向全体にわたり偏光光束を入射
    し、 受光部は被検査面からの反射光から異なる3つの偏光成
    分を抽出して画像信号に変換し、 信号処理部は疵候補領域抽出部とパラメ−タ演算部と特
    徴量演算部及び疵判定部を有し、疵候補領域抽出部は上
    記3つの偏光成分の画像信号の画像の濃度レベルが地肌
    レベルに相当する基準濃度レベルの範囲外となる領域を
    疵候補領域として抽出し、パラメ−タ演算部は疵候補領
    域内で画像信号からエリプソパラメ−タと表面反射強度
    を算出し、特徴量演算部は算出したエリプソパラメ−タ
    と表面反射強度の正常部に対する大小を示す極性を算出
    し、算出したエリプソパラメ−タと表面反射強度の極性
    の組合せによる疵特徴量を演算し、疵判定部は演算した
    疵特徴量から表面疵の種類を判定することを特徴とする
    表面検査装置。
  19. 【請求項19】 上記受光部は被検査面からの反射光を
    3本のビ−ムに分離するビ−ムスプリッタと、分離され
    た3本のビ−ムの光路にそれぞれ設けられ、それぞれ異
    なる方位角を有する検光子と、各検光子を透過した光を
    受光するリニアアレイセンサを有する請求項1,2,3
    又は4記載の表面検査装置。
  20. 【請求項20】 被検査面に光を照射して表面からの反
    射光を検出して当該被検査面の複素屈折率に関する2つ
    の光学定数(n、k)を求め、測定した2つの光学定数
    とあらかじめ求めておいた表面疵に起因するn−k特性
    と比較して、被検査面に存在する表面疵を特定すること
    を特徴とする表面疵の検出方法。
  21. 【請求項21】 被検査面に光を照射して表面からの反
    射光を検出して当該被検査面の複素屈折率に関する2つ
    の光学定数(n、k)を測定し、測定した2つの光学定
    数とあらかじめ求めておいた表面疵に起因するn−k特
    性とを比較して、被検査面の表面疵の種類と等級とを決
    定するすることを特徴とする表面疵の検出方法。
  22. 【請求項22】 被検査面に光を照射して表面からの反
    射光を検出して当該被検査面の複素屈折率に関する2つ
    の光学定数(n、k)と光の反射強度(I)を求め、該
    3つのパラメータのうち少なくとも2つを選択し、選択
    した少なくとも2つのパラメータとあらかじめ求めてお
    いた表面疵に対応する基準情報とを比較することによ
    り、被検査面に存在する表面疵のを特定することを特徴
    とする表面疵の検出方法。
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