JP4821044B2 - マーキング付き金属帯の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば薄鋼板等の金属帯の表面疵を光学的に検出しその位置にマーキングするマーキング付き金属帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部から光を入射し、正反射光及び拡散反射光をカメラでとらえることによる金属物体の表面探傷方法として、特開昭58-204353 号公報記載の技術がある。本技術は、被検体表面に対し35〜75度の角度で光を入射し、反射光を、正反射方向と、入射方向あるいは正反射方向から20度以内の角度方向に設置した2 台のカメラで受光している。そして、2 台のカメラの信号を比較し、例えばお互いの論理和を取る、すなわち、2 台とも検出した場合のみ傷とみなすことにより、ノイズに影響されない検査方法を実現している。
【0003】
また、被検体からの後方散乱光を受光することによる被検体表面の疵検査方法として、特開昭60-228943 号公報記載の技術がある。本技術は、ステンレス鋼板に大きな入射角で光を入射し、入射側へ戻る反射光を検出することにより、ステンレス鋼板表面のヘゲ疵を検出しようとするものである。
【0004】
複数の後方散乱反射光を検出することによる探傷装置として、特開平8-178867号公報記載の技術がある。これは熱間圧延された平鋼上の掻疵を検出しようとするものである。本明細書によれば、掻疵の疵斜面角度は10〜40度であり、この範囲の疵斜面からの正反射光を全てカバーできるように後方拡散反射方向に複数台のカメラを用意している。
【0005】
また、偏光を利用した表面検査装置として、特開昭57-166533 号公報記載の技術は、測定対象に45度方向の偏光を入射し、提案された偏光カメラで受光している。偏光カメラは、反射光をカメラ内部のビームスプリッタを用いて3 つに分岐し、それぞれ異なる方位角の偏光フィルタを通して受光するようになっている。偏光カメラからの3 本の信号を、カラーTVシステムと同様の信号処理により、モニタに表示し、偏光状態を可視化する技術を開示している。この技術はエリプソメトリの技術を利用しており、光源は平行光であることが望ましく、実施例ではレーザ光が用いられている。
【0006】
また、特開平9-166552号公報では同様に、エリプソメトリを利用した鋼板表面の疵検査装置を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術はいずれも顕著な凹凸性を持つ疵を検出するか、酸化膜等異物が存在する疵を検出することを目的としたものであり、顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵等に対しては全ての疵を確実に捉えることはできなかった。
【0008】
例えば、特開昭58-204353 号公報記載の技術では、正反射光と散乱反射光を受光する2 台のカメラを有しているが、その目的は2 つのカメラの信号の論理和によるノイズの影響除去であり、顕著な凹凸性を有する疵、すなわち表面に割れ・抉れ・めくれ上がりを生じているような疵に対しては両方のカメラで疵の信号が捉えられるので適用可能であるが、どちらか一方のカメラでしか疵の信号を捕らえられないような顕著な凹凸性を持たない、模様状ヘゲ疵のような疵の場合は、その疵を全て検出することはできない。
【0009】
特開昭60-228943 号公報記載の技術では、表面粗さの小さいステンレス鋼板上に顕在化した、持ち上がったヘゲ疵を対象としており、顕在化していない、持ち上がった部分のない疵や、疵の存在しない部分も入射側へ戻る光を反射するような表面の粗い鋼板に適用することはできない。 特開平8-178867号公報記載の技術では掻き疵を対象にしており、疵斜面での正反射光を捉えることに基づいているため、顕著な凹凸性を持たない、模様状ヘゲのような疵の場合には後方散乱反射光では捉えられないものも存在し、未検出を生ずるという問題点があった。
【0010】
また、一度カメラを設置し、どの角度の反射成分を受光するかが決定されると、容易に変更できないという問題もあった。
【0011】
特開昭57-166533 号公報記載の技術及び特願平7-286377号公報記載の技術は、エリプソメトリの技術を用いており、「薄い透明な層の厚さ及び屈折率」や「物性値のむら」を検出することはできる。しかしながら、例えば表面処理鋼板のように、もともと疵部が母材部と異なる物性値を有していたとしても、その上から同一の物性値を有するものに覆われたような対象に対しては、有効性が低下してしまうという問題があった。
【0012】
また、エリプソメトリでは、同一点からの反射光を各CCD の対応する画素で受光し、画素ごとにエリプソパラメータを計算する必要があった。そのため、特開昭57-166533 号公報記載の技術では反射光をビームスプリッタにより3 分岐して3 つのCCD により検出しており、光量が低下したり、CCD 間の画素合わせが困難であるという問題があった。
【0013】
また、特開平9-166552号公報の実施例では、3 台のカメラを鋼板進行方向に並べたり(明細書図6)、縦または横に並べた3 台のカメラの傾きを変えて同一領域を見る(同図7、同図8)ようにしているが、明細書図6の場合は、鋼板の速度が変化したときの処理が複雑であるという問題があった。また、明細書図7、明細書図8では、各カメラの角度が異なるため光学条件が同一にならない、やはり画素合わせが困難であるといった問題があった。
【0014】
さらに、特開昭58-204353 号公報記載の技術や特開平8-178867号公報記載の技術では複数台のカメラの光軸が共通ではなく出射角が異なるため、得られる2つの画像の対応する画素の視野サイズが異なるほか、被検査面のバタツキや対象の厚さ変動による距離変化があると視野に位置ズレを生じるという問題があった。特に特開昭58-204353 号公報記載の技術では2つのカメラで同じ視野に対する論理和をとることが要求されるため問題は大きかった。
【0015】
品質保証の観点からは、こういった表面検査装置は未検出がないことが絶対条件であり、検査対象として表面処理鋼板等まで広く適用可能なものとしては従来実用に耐えうる表面疵検査装置は実現できていなかった。
【0016】
さらに、表面疵の検査結果については、一般に金属帯全体として良好か不良かの判定がされるだけであり、軽微な疵についてはユーザ側で知ることはできなかった。仮に、それらの表面疵についての情報をユーザ側に知らせるとしても、ミルシート等に記載する等の方法以外に適切な方法がなかったと言える。
【0017】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、表面の割れ・抉れ・めくれ上がりのような顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵を、未検出となることなく検出し、簡単な手段でその情報をユーザ側に知らせることが可能なマーキング付き金属帯の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、次の発明により解決される。
【0019】
この発明に用いる装置は、金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出する複数の受光部と、これら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する信号処理部とを有する疵検査手段と、金属帯表面にその疵に関する情報を示すマーキングを行うマーキング手段とを備えていることを特徴とする金属帯の表面疵マーキング装置である。
【0020】
この発明に用いる装置は、まず、疵検査手段の受光部で、金属帯の表面からの反射光を、偏光条件等の光学条件の異なる2種以上の受光部により受光し、その結果から光学的性状を解析する。次いで、疵検査手段の信号処理部で、得られた光学的性状から、金属帯の表面について、正常部と異常部、即ち表面疵を判別する。表面疵と判定された部分には、マーキング手段により印字・刻印・穿孔等の所定の方法でマーキングを行う。マーキングの位置については、表面疵の位置あるいはその近傍を、トラッキング手段等によりトラッキングすることにより決定できる。これを方法の発明として言い換えると、金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、これら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する検査工程と、表面疵の位置あるいはその近傍をトラッキングするトラッキング工程と、金属帯の表面にその疵に関する情報を示すマーキングを施すマーキング工程と、を有することを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法である。
【0021】
次に、本発明に用いる表面疵検査装置が検査の対象とする鋼板表面の光学的反射の形態について、鋼板表面のミクロな凹凸形状と関連づけて説明する。一般に鋼板表面のミクロ凹凸形状は調質圧延(テンパ)により、もともと起伏の高い点がロールにより強く圧延され平坦度がよくなり、それ以外の点は調質圧延のロールがあたらずに元の凹凸形状を残したままとなっている。
【0022】
例えば、合金化亜鉛メッキ鋼板の場合には下地の冷延鋼板1は図12(a)に示すように溶融亜鉛メッキされたのち、合金化炉を通過する。この間に下地鋼板の鉄元素がメッキ層の亜鉛中に拡散し、通常、図12(c)に示すように柱状等の合金結晶3を形成する。この鋼板が次に図12(b)に示すように調質圧延されると図12(d)に示すように柱状結晶3の特に突出した箇所が平坦に潰され(テンパ部6)、それ以外の箇所(非テンパ部7)は元の柱状の結晶形状を残したままとなる。
【0023】
このような鋼板表面でどのような光学的反射が起こるかをモデル化したのが図13である。調質圧延により潰された箇所(テンパ部6)に入射した光8は、鋼板正反射方向に鏡面的に反射する。一方、調質圧延により潰されずに元の柱状結晶構造を残す箇所(非テンパ部7)に入射した光は、ミクロに見れば柱状結晶表面の微小面素の一つ一つにより鏡面的に反射されるが、反射の方向は鋼板の正反射方向とは必ずしも一致しない。
【0024】
従って、テンパ部、非テンパ部の反射光の角度分布は、マクロに見ればそれぞれ図14(a)、(b)のようになる。すなわち、(a)テンパ部6では鋼板正反射方向に鋭い分布を持つ鏡面性の反射9が起こり、(b)非テンパ部7では、柱状結晶表面の微小面素の角度分布に対応した広がりを持った反射10となる。以降、前者を鏡面反射、後者を鏡面拡散反射と呼ぶ。実際に観察される反射の角度分布は、図14(c)に示すように鏡面反射・鏡面拡散反射の角度分布をテンパ部・非テンパ部それぞれの面積率に応じて加算したものとなる。
【0025】
以上は合金化亜鉛メッキ鋼板を例に説明したが、調質圧延により平坦部が生じる他の鋼板にも一般に成り立つ。このように、調質圧延を施す場合の発明は、金属帯を調質圧延する調質圧延工程と、前記金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、これら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する検査工程と、金属帯の表面にその疵に関する情報を示すマーキングを施すマーキング工程と、を有することを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法となる。
【0026】
次に本発明の検出対象となる、顕著な凹凸性を持たない、模様状ヘゲ疵と呼ばれる疵の光学反射特性について説明する。例えば、図15に示すように、合金化溶融亜鉛鍍金鋼板4に見られるヘゲ疵11は、鍍金前の冷延鋼板原板1にヘゲ疵11が存在し、その上に鍍金層2が乗り、さらに下地の鉄の拡散による合金化が進行したものである。
【0027】
一般にヘゲ部は母材と比べ、例えば鍍金厚に違いがあったり、合金化の程度に違いがあったりする。その結果として、例えばヘゲ部鍍金厚が厚く母材に対し凸の場合には調質圧延を掛けられることによりテンパ部の面積が非テンパ部に比べて多くなる。逆にヘゲ部が母材に比べ凹の場合にはヘゲ部は調質圧延ロールがあたらず、非テンパ部が大半を占める。また、ヘゲ部合金化が浅い場合には微小面素の角度分布は鋼板方線方向に強く、拡散性は小さくなる。
【0028】
このようなヘゲ部と母材部の表面性状の違いにより、模様状ヘゲ疵がどのように見えるかを説明する。上述した調質圧延における鍍金表面の変形モデルに基づき、ヘゲ部と母材部の違いについて分類すると、図17に示すように次の3種類に分けられる。
【0029】
(a):ヘゲ部(実線)におけるテンパ部の面積率及び非テンパ部の微小面素の角度分布が、母材部(破線)と異なる。ここで、テンパ部は法線角度ξ=0に対応し、図ではピークを示している。このピーク高さ(面積率)がヘゲ部と母材部で異なっている。また、非テンパ部はそれ以外の部分(スロープ)に対応し、図ではヘゲ部と母材部の面積率の分布が異なっている。このスロープの部分は非テンパ部の微小面素の角度分布を反映している。
【0030】
(b):テンパ部の面積率はヘゲ部と母材部で異なるが、非テンパ部の微小面素の角度分布は変わらない。図ではヘゲ部と母材部でピーク高さが異なっているが、スロープの形状は一致している。
【0031】
(c):非テンパ部の微小面素の角度分布はヘゲ部と母材部で異なるが、テンパ部の面積率は変わらない。図ではヘゲ部と母材部でピーク高さは一致しているが、スロープの形状は異なっている。
【0032】
このようなテンパ部面積率及び微小面素の角度分布の違いが、図16に示すような反射光量の角度分布の違いとして観察される。
【0033】
テンパ部面積率に違いがある場合(上記a,bの場合)には図16(a)、(b)に示すように、反射光量の角度分布はヘゲ部11aと母材部12aのようになる。その差は角度分布がピークとなる方向、即ち正反射方向から観察される。ヘゲ部のテンパ部面積率が母材部より大きい場合(図16a,b,図17a,bに該当)には正反射方向からはヘゲは明るく見え、逆にヘゲ部のテンパ率が母材部より小さいときには正反射方向からは暗く観察される。
【0034】
テンパ部面積率に違いがない場合(上記( c) の場合)には、鋼板正反射方向からの観察ではヘゲを見ることはできない。それでも、鏡面拡散反射成分の拡散性に違いがあるときには図16(c)に示すように角度分布のピークから外れた拡散方向から疵が観察される。例えば、鏡面拡散反射成分の拡散性が小さい時には、一般に正反射に比較的近い拡散方向からはヘゲは明るく観察され、正反射方向から離れるに従い明るさは小さくなり、ある角度でヘゲ部と母材部の差がなくなりその前後の角度で観察不能となる。さらに正反射から遠ざかると今度はヘゲは暗く観察される。
【0035】
このような模様状ヘゲ疵を母材部と弁別し、検出するためには、図17において、どういう角度の微小面素からの反射光を抽出するのかを検討することが必要である。例えば、先の図16(a)、(b)の例のように、正反射方向でヘゲ部と母材部の違いを検出するということは、図17で示される微小面素の角度分布のうちξ=0について抽出し、ヘゲ部と母材部の違いを検出していることになる。
【0036】
ここで、ξ=0について抽出するということを数学的に表現すると、図17の関数S( ξ) それぞれに、図19(a)に示すデルタ関数δ( ξ) で表される抽出特性を表す関数(以後重み関数と呼ぶ)を乗じて積分することに相当する。また、例えば、入射角60において、正反射から20度ずれた40度の位置で測定するというのは、法線角度ξが10度ずれた面(微小面素)による反射を検出することになる。これは、図19(b)のようなδ( ξ+10) なる重み関数を用いていることに相当する。なお、反射角と微小面素の法線角度ξの関係は図18から計算される。
【0037】
このように考えると、どういう角度の微小面素からの反射光を抽出するかということは、どのような重み関数を設計するかということに相当することがわかる。重み関数は、必ずしもデルタ関数である必要はなく、ある程度の幅を持っていてもかまわない。
【0038】
このような観点から、図17(a)、(b)、(c)で表されるような面積率分布を有するヘゲ疵を母材部と弁別し、検出するための重み関数を考えると、図19に示すδ関数δ( ξ) もその一例ではある。ただし、これでは、異なる受光角度にカメラを設置するため2つの光学系の視野サイズを同一にすることはできない。また、拡散反射光を測定するために一旦カメラを設置すると、その重み関数を変更することは、カメラの設置位置を変更することが必要であるから、容易ではない。
【0039】
前者の課題に対しては同一光軸上の測定が必要である。そこで、拡散反射光を捉えるのでなく、鋼板正反射方向からの測定で鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分の両成分が捉えられることが望ましい。そして、後者に対しては、重み関数がカメラの設置位置の変更に対してある程度自由度を持って設定できることが望ましい。
【0040】
このような目的で、この発明では、まず光源として、レーザのような平行光源ではなく、拡散特性をもつ線状の光源を用いている。また、鋼板正反射方向から鏡面反射成分、鏡面拡散反射成分を、偏光を用いることにより分離して抽出している。
【0041】
この線状拡散光源の作用と効果を説明するために、図20に示すように、まず、線状の拡散光源14を鋼板4に平行に配置し、光源に垂直な面内にあり、入射角が出射角と一致する方向(以降、鋼板正反射方向と呼ぶ)から鋼板4上の一点を観察したときの反射特性を考える。
【0042】
今、図20(a)に示すように、線状光源14の中央部から照射された光の場合、テンパ部に入射した光は鏡面的に反射され、鋼板正反射方向で全て捉えられる。一方、非テンパ部に入射した光は鏡面拡散的に反射され、たまたま鋼板法線方向と同一方向を向いている微小面素により反射された分のみが捉えられる。このような微小面素は確率的に非常に少ないので、鋼板正反射方向で捉えられる反射光のうちではテンパ部からの鏡面反射が支配的となる。
【0043】
これに対し、図20(b)に示すように、線状光源の中央部以外から照射された光の場合には、テンパ部に入射した光は鏡面反射して鋼板正反射方向とは異なる方向へ反射し、鋼板正反射方向では捉えることができない。一方、非テンパ部に入射した光は鏡面拡散的に反射され、そのうち鋼板正反射方向に反射された分が捉えられる。従って、鋼板正反射方向で捉えられる反射光は全て非テンパ部で反射した鏡面拡散反射光となる。
【0044】
以上2つの場合を併せると、線状光源全体から照射される光で鋼板正反射方向からの観察で捉えられるのは、テンパ部からの鏡面反射光と、非テンパ部からの鏡面拡散反射光の和となる。
【0045】
次に、このように線状光源を使用して正反射方向から被検査面を観察した場合に、偏光特性がどう変化するかについて説明する。
【0046】
一般に、鏡面状の金属表面での反射においては、電界の方向が入射面に平行な光(p偏光)あるいは入射面に直角な光(s偏光)に関しては、反射により偏光特性は保存され、p偏光のまま、あるいはs偏光のまま出射する。また、p偏光成分とs偏光成分を同時に持つ任意の直線偏光は、p、s偏光の反射率比および位相差に応じた楕円偏光となって出射する。
【0047】
以下、合金化亜鉛鍍金鋼板に線状拡散光源から光が照射される場合について考える。図21(a)に示すように、線状光源14中央部から出射した光は、鋼板4のテンパ部で鏡面反射し鋼板正反射方向で観察される。これに関しては上記一般の鏡面状の金属表面での反射がそのまま成立し、p偏光はp偏光のまま出射する。
【0048】
一方、線状光源の中央部以外の箇所から出射した光には、図21(b)に示すように非テンパ部の結晶表面の傾いた微小面素で鏡面反射し、鋼板正反射方向で観察されるものがある。この際、鋼板の入射面に平行なp偏光の光を入射したとしても、実際に反射する傾いた微小面素に対しては、その入射面と平行ではないため、p、s両偏光成分を持つ直線偏光となる。その結果、この入射光は、微小面素からは楕円偏光となって出射する。ここで、p偏光の代わりにs偏光を入射した場合も同様である。
【0049】
また、p、s両偏光成分を持つ任意の偏光角の直線偏光に関しては、上記理由と同一の理由で傾いた微小面素に対しては、入射面を基準にすると偏光角が傾いて作用するため、鋼板正反射方向に出射する楕円偏光の形状は、線状光源中央から入射しテンパ部で鏡面反射した光とは異なる。
【0050】
以下で、p、s両成分をもつ直線偏光を入射する場合について、もう少し具体的に説明する。
【0051】
まず、図22に示すように、線状拡散光源14からの光8を方位角αの偏光板15で直線偏光にした後、水平に置かれた鋼板4に入射し、その正反射光を光検出器16で受光することを考える。
【0052】
前述したように、光源上の点Cから出射された光8については、テンパ部により鏡面反射された成分、及び、非テンパ部でたまたま法線が鉛直方向を向いた微小面素からの鏡面拡散反射された成分が、鋼板上の点O(およびその結果周辺の領域13)から光検出器16の方向へ反射する光に寄与している。
【0053】
それに対し、図23に示すように、点Oから見て角度φだけずれた点Aからの光8については、鏡面反射成分は光検出器16とは異なる方向に反射されるため、法線角度ξ(鉛直方向に対する法線の角度がξ)の微小面素による鏡面拡散反射成分のみが寄与する。ここで、φとξの関係は、簡単な幾何学的考察により、次式で与えられる。
cosξ= 2cosθ・cos2(φ/2)
/[sin2φ+4・[cos2θ・cos4(φ/2)+sin2θ・sin4(φ/2)]]1/2 (1)
ただし、θは鋼板への入射角である。
【0054】
次に、このようにして反射された光の偏光状態について考える。図22で、点Cから出射された光8が、方位角αの偏光板15を通り、点Oにて鏡面反射された後の偏光状態は、偏光光学で一般に用いられるジョーンズ行列を用いて、
E c = T・E in (2)
と表される。ただし、E inは方位角αの直線偏光ベクトル(列ベクトル)、 Tは
鋼板の反射特性行列を表す。それぞれの成分は、次のようになる。
E in= Ep・t(cosα,sinα)
T=rs (Tmn); T11=tanΨ・exp(jΔ),T22=1,T12=T21=0
【0055】
ここで、t( )は列ベクトル、tanΨはp・s偏光の振幅反射率比、Δはp・s偏光の反射率により生じる位相差、rsはs偏光反射率を表す。なお、これらの行列表現は数1のようになる。
【数1】
【0056】
同様に、図23で、点Aから出射した光8が、法線角度ξの微小面素で光検出器16の方向に反射された光の偏光状態は、入射面が偏光板15及び検光子17と直交しているとすれば、
E A =R(ξ)・T・R(-ξ)・E in (3)
ただし、Rは角度ξの2次元の回転行列であり、その成分Rmnは次のようにな
る。
R11=R22= cosξ,R12=-R21=-sinξ
【0057】
なお、R (ξ)の行列表現は数2のようになる。
【0058】
【数2】
【0059】
式(2) は、式(3) においてξ=0とおいた特別の場合であり、鏡面反射成分についても鏡面拡散反射成分についても(式3) を用いて統一的に考えることができる。
【0060】
式(3)を計算し、法線角度ξの微小面素からの反射光の楕円偏光状態を図示すると、図24 のようになる。ただし、ここで入射偏光の方位角αは45度、入射角θは60度、鋼板の反射特性としてΨ=28°、Δ=120 °とした。図より、ξ=0すなわち鏡面反射の場合の楕円に対し、ξの値が変化するに従って、楕円が傾いていくのがわかる。従って、例えば光検出器の前に検光子を挿入し、その検光角を設定することによって、どの法線角度の微小面素からの反射光をより多く抽出するかを選択することができる。
【0061】
このことを定量化するために、式(3)で表される偏光状態の反射光に検光角βの検光子を挿入した後の偏光状態E Dを求めると、
E D = R(β)・A・R(-β)・E A
= R(β)・A・R(-β)・R(ξ)・T・R(-ξ)・E in (4)
となる。ただし、A=(Amn)は検光子を表す行列であり、A11=1、他の成分
は0である。なお、Aの行列表現は数3のようになる。
【0062】
【数3】
【0063】
である。式(4)から、光検出器16(図23)で検出する法線角度ξの微小面素からの反射光の光強度Lを計算すると、その微小面素の面積率をS( ξ) として、
となる。ここで、I(ξ,β)は前述したように、法線角度ξの微小面素からの反射光をどの程度抽出できるかを表す重み関数で、光学系及び被検体の偏光特性に依存する。そして、それに鋼板の反射率rs 2、入射光光量Ep2、面積率S(ξ)を乗じたものが検出される光強度になる。表面処理鋼板などのように、鋼板表面の材質が均一な対象を考える場合はrs 2の値は一定と考えられる。また、Ep2は入射光量が光源の位置によらず均一ならば同じく一定の値としてよい。従って、光検出器が検出する光強度を求めるには、法線角度ξの微小面素の面積率S(ξ)と抽出特性I(ξ,β)を考えればよい。
【0064】
ここでまず、抽出特性I(ξ,β)について考える。法線角度ξ0の微小面素からの寄与が最も大きくなるような検光角β0を選定しようとした場合、その候補は次の式をβについて解くことによって与えられる。
[∂I(ξ,β)/∂ξ]ξ=ξ0 =0 (6)
【0065】
この式の通常の数式表現を数4に示す。
【0066】
【数4】
【0067】
上式(6)により、ξ=0すなわち鏡面反射成分の寄与が最も大きくなるような検光角を求めると、βはおよそ-45度となる。ただし、ここでも、鋼板の反射特性としてΨ=28°、Δ=120°、偏光子の方位角α=45°とした。図25に、検光角βが-45度の場合、微小面素の法線が鉛直方向に対してなす角ξと抽出特性、即ち重み関数I( ξ,-45)の関係を示す。ただし、見やすさのために最大値を1に規格化してある。
【0068】
この図25より、ξ=0すなわち鏡面反射成分が最も支配的で(抽出されやすく)、逆に法線角度ξ=±35度付近の微小面素からの鏡面拡散反射光が最も抽出されないことがわかる。また、逆にξ=±35度の反射光を最もよく抽出するような検光角βを式(5)(6)より求めると、およそβ=45度となる。検光角β=45度に対する法線角度ξと抽出特性I( ξ,45)の関係を図26に載せた。ここで、β=45度の曲線が左右対称でないのは、入射面(微小面素に対する入射光と反射光により張られる平面)を基準に考えると、ξが正の場合、見かけ上入射偏光の方位角αが小さくなる(p偏光に近づく)ことと、鋼板のp偏光反射率がs偏光反射率より小さいことによる。また、β=-45°と45°の中間の特性となるβ=90°についても同図に載せた。
【0069】
式(5)で示したように、法線角度ξの微小面素からの反射光強度Lは、抽出特性(重み関数)I( ξ, β) と面積率S( ξ) の積により与えられるから、最終的に光検出器16で受光する光強度はS( ξ) ・I( ξ, β) をξについて積分したものになる。例えば、図27に示すような反射特性を有する鋼板からの反射光を、検光角βが-45度の検光子を通して受光した場合、図27で示される面積率S( ξ) を図25のような抽出特性I( ξ, β) の重みをつけて積分したものが、受光光量となる。
【0070】
鋼板表面に、図16に示されるような特性の模様状ヘゲ疵があった場合を考える。その場合の面積率S( ξ) は、それぞれ図17 (a)、(b)、(c)のようになっている。
【0071】
まず、図16(b)、図17(b)のように鏡面反射成分のみに違いがある場合を考える。このような疵を検光角β=-45度の検光子を通して受光したときの光強度は、図17(b)を図25 で表される重み関数I( ξ, β) をかけて積分したものに相当するから、母材部とヘゲ部の反射光量の違いを検出することができる。また、検光角β=45度については、図17 (b)に示すように、鏡面拡散反射成分に違いがなく、違いがあるのはξ=0゜付近のみのため、図26に示したβ=45゜の重み関数I( ξ, β) がξ=0゜付近で低い値であることを考えると、その積はξの全領域で低い値となり、積分により違いが打ち消されることになる。従って、母材部とヘゲ部の違いを検出することができない。
【0072】
また、図16(c)、図17(c)のように鏡面拡散反射成分のみに違いがある場合には、逆に、-45度の検光子を通したのでは検出できない。この場合は、ξ=0゜より離れたところで重み関数I( ξ, β) が高い値を示す45度の検光子を通すことにより、検出できる。
【0073】
ところで、母材部とヘゲ部の鏡面拡散反射成分の違いがなくなっている法線角度ξは、図17 (c)ではξ=±20度付近であったが、もし、その法線角度ξがたまたま±30数度付近となる疵があると、45度の検光子を通しても検出できなくなる。その場合は、別の抽出特性となるような検光角(例えばβ=90°)の検光子をもう一つ別に用意し、3つめの光検出器で受光するようにすればよい。
【0074】
一般に、鋼板表面の母材部とヘゲ部の反射特性は図10(a)、(b)、(c)のいずれかであることがほとんどであるから、いずれか2つの光学条件(この例では検光角)を用いることにより、大部分の場合、検出ができる。但し、上述のような特別の場合、見落としをなくすためには、3つの異なる検光角の検光子を用い、対応する3つの法線角度の微小面素からの反射光を抽出して受光するようにすることが望ましい。
【0075】
なお、図16(a)、図17 (a)のように鏡面反射成分、鏡面拡散反射成分ともに違いがある場合には、基本的には、1つの検光子を通した反射光だけでも、母材部とヘゲ部の違いを検出できる。
【0076】
ここでは線状拡散光源の全面に入射偏光板を配置し、その偏光の方位角はp偏光、s偏光をともに含む角度にする。そして、正反射光のうち、鏡面反射成分をより透過する偏光角の偏光子を通して撮影するカメラと、鏡面拡散反射成分をより透過する偏光角の偏光子を通して撮影するカメラを使用する。
【0077】
このような光学系により、正反射方向からの共通な光軸での測定であるため、鋼板距離変動や速度変化に影響されることなく、鏡面反射・鏡面拡散反射それぞれに対応した2つの信号を得ることが可能になり、顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵を未検出を生じることなく検出可能な表面疵検査装置が実現する。そして、どの角度の鏡面拡散反射成分を検出するかは、検光角を設定することにより容易に変更可能となる。
【0078】
また、このように鏡面反射と鏡面拡散反射の強度あるいは比率を測定することにより、上記模様状ヘゲ疵以外でも、鏡面反射あるいは鏡面拡散反射に影響を及ぼす表面性状の変化を検出できる。例えば、ダル仕上げやヘアライン仕上げ等の金属帯の表面仕上げについても、微小な反射面の分布に変化があれば、原理的には検出可能であり、これらの表面性状の検査への適用も期待できる。このように、表面仕上げを施す場合の発明は、金属帯にダル仕上げ又はヘアライン仕上げを施す表面仕上げ工程と、前記金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、これら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する検査工程と、金属帯の表面にその疵に関する情報を示すマーキングを施すマーキング工程と、を有することを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法となる。
【0079】
なお、表面疵の検出および判定には、この発明の装置とともに、公知の方法および手段を併用してもよいことは言うまでもない。これについては、詳細を後述する。
【0080】
このようにして、表面疵が有ると判定された被検査面については、その位置がトラッキング手段によりトラッキングされる。トラッキングは、金属帯の搬送速度から表面疵の位置がマーキング手段に到達する時刻を算出することにより実施できる。マーキング手段は、トラッキング手段からのマーキング指示に基づき、金属帯表面にマーキングを行う。
【0081】
マーキングは、目的や用途に応じて種々の方法で行うことができる。これは、次の工程で検出しやすいマーキング方法であれば何でもよく、例えば、インクや塗料による印字、打刻機等による刻印、穿孔機による穿孔、グラインダ等による表面粗度の改変、あるいは金属帯が強磁性体の場合は磁気的マーキング等の所定の方法で行う。
【0082】
また、マーキングの位置は、表面疵の位置に一致させてもよいが、幅方向で一致させずに長手方向のみ位置を一致させてもよい。例えば、プレスライン等に材料として自動装入する場合は、マーキングの位置をむしろ幅方向に対して一定の位置とした方が、マーキングを検出しやすい場合もある。
【0083】
以上の発明の基本技術は、金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、これら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定し、金属帯表面にその疵に関する情報を示すマーキングを施すことを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法である。
【0084】
この発明により、前述の表面疵判定方法により表面疵が有ると判定された箇所には、金属帯表面にマーキングが施される。このように表面疵の存在を示すマーキングが施されているので、その後の工程、あるいは需要家において、表面疵の部分を取り除くことが可能となり、製品に紛れ込むことを防止できる。また、この製造方法により、金属帯の製造後、表面疵の部分を取り除くためのコイル分割等の作業を大幅に簡略化あるいは省略できるので、生産効率が向上する。
【0085】
また、金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出してこれら互いに異なる光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する工程と、金属帯の表面にその疵に関する情報を示すマーキングを施す工程と、このマーキングを施された金属帯を巻き取ってコイルとする工程と、このコイルを巻き戻してマーキングを検出する工程と、そのマーキングが示す情報に基づき金属帯の所定の範囲を回避または除去する工程と、金属帯の回避または除去されなかった残りの部分について所定の加工を行う工程と、を有することを特徴とする金属帯の加工方法としてもよい。
【0086】
この場合は、金属帯表面にマーキングを施した後、金属帯をコイル状に巻き取る。巻き取ったコイルは、工場等に運搬して薄板の成形加工を行う。成形加工の際は、事前にコイルを巻き戻して、目視あるいは簡単な検出器等によりマーキングを検出する。マーキングが検出された場合、その示す情報から金属帯における疵を含む不良部分を回避または除去する。
【0087】
ここで、不良部分の範囲は、例えば、疵の位置に一致させてマーキングが施されている場合は、マーキングが施された部分であり、マーキングが疵の種類や程度等の情報を有する場合は、その成形加工で不良となる疵の種類や程度に基づき決定する。また、金属帯の所定の範囲を回避または除去するというのは、金属帯の不良部分を切断して除去し、あるいは、加工の工程への金属帯の送り量(フィード)を調節して金属帯の不良部分を通過(パス)させる等、不良部分が加工されないように加工の工程への金属帯の供給を制御することである。
【0088】
また、異なる2種以上の光学条件で分離される表面からの反射成分の組合せが正常部とは異なる異常部について、表面にその疵に関する情報を示すマーキングが施されていることを特徴とするマーキング付き金属帯を製造することもできる。
【0089】
この金属帯は、前述のように表面の光学的解析により、正常部とは異なると判定された部分、即ち表面疵の位置にマーキングが施されている。従って、前述のように、この金属帯を使用する後工程、需要家において、その異常部の除去、製品への混入の防止が可能となる。
【0090】
さらに、表面からの鏡面反射成分あるいは多数の微小鏡面反射面による鏡面拡散反射成分の内、いずれか一方又は双方の成分の光量が異常となる部分について、表面にそれに関する情報を示すマーキングが施されていることを特徴とするマーキング付き金属帯を製造することもできる。
【0091】
この金属帯は、表面からの鏡面反射あるいは鏡面拡散反射の状況が、正常部とは異なる場合、その位置にマーキングが施されている。ここで、鏡面拡散反射というのは、前述のように、法線が特定の方向に向いた微小鏡面反射面が多数分布した面のことである。前述の発明同様、この金属帯を使用する際、異常部の処置が容易となる。
【0092】
装置としては、受光部と信号処理部とを有する表面疵検査手段を含む複数の表面疵検査手段と、それらの金属帯表面疵の検査結果を総合的に判定し、金属帯表面に関するマーキング情報を作成するマーキング情報作成手段とを備えていることを特徴とする金属帯の表面疵マーキング装置を用いることもできる。
【0093】
この装置は、受光部と信号処理部とを有する表面疵検査手段に加えて、疵や汚れ等の寸法・形状あるいは照射光の反射率等を検出して、疵や汚れ等の表面性状の異常を検査する通常の表面検査手段を組み合わせて、表面疵その他の異常部の種類や程度を分類する。これにより、鏡面拡散反射の異常を含む種々の表面性状の異常について、総合的な判定を行い、それら異常部に関する情報をマーキングすることが可能となる。さらに後述のように、マーキング情報作成工程において、種々の表面疵や表面性状の異常について、総合的な分類やランク付けを行い、マーキングのための情報を作成することもできる。
【0094】
発明は、互いに異なる2種以上の光学条件で抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の検査を行う表面疵の検査方法を含む複数の表面検査方法による検査結果を総合的に判定し、金属帯表面に関するマーキング情報を作成するマーキング情報作成工程を備えたことを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法である。
【0095】
この発明は、金属帯の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、これらの抽出された反射成分の組合せに基づき被検査面の検査を行う表面疵の検査方法に加えて、通常の表面検査方法を組み合わせて、表面疵の種類や程度を分類する。ここで通常の表面疵検査方法とは、例えば、疵の寸法・形状あるいは照射光の反射率等を検出して疵や汚れ等の表面性状の異常を検査する表面検査方法である。このように、鏡面拡散反射の異常を含む種々の表面性状の異常について総合的な判定を行い、それらの異常部に関する情報をマーキングする。
【0096】
また、異なる2種以上の光学条件で分離される表面からの反射成分の組合せが正常部とは異なる異常部を含む表面疵について、表面にその疵に関する情報を示すマーキングが施されていることを特徴とするマーキング付き金属帯を製造することもできる。
【0097】
この金属帯は、前述の発明における異常部に加えて、通常の表面疵検査、例えば、疵の寸法・形状あるいは照射光の反射率等に基づく表面検査結果あるいは種々の表面性状に関する情報について、その表面にマーキングが施されている。ここで、異常部というのは、前述のように反射光を2種以上の光学条件で分離したとき、反射成分の強度あるいは比率が、正常部とは異なる部分である。
【0098】
さらに、表面からの鏡面反射成分あるいは多数の微小鏡面反射面による鏡面拡散反射成分の内、いずれか一方又は双方の成分の光量が異常となる部分を含む金属帯表面に関する情報について、表面にその金属帯表面に関する情報を示すマーキングが施されていることを特徴とするマーキング付き金属帯を製造することもできる。
【0099】
この金属帯は、前述の異常部に加えて、通常の表面疵検査、例えば、疵の寸法・形状あるいは照射光の反射率等に基づく表面検査結果あるいは種々の表面性状に関する情報について、その表面にマーキングが施されている。ここで、異常部というのは、前述のように表面からの鏡面反射あるいは鏡面拡散反射の状況が、正常部とは異なる部分であり、反射光を2種以上の偏光条件で分離したとき、反射成分の強度あるいは比率が、正常部とは異なる部分として決定できる。
【0100】
以上の発明により、鏡面拡散反射の異常を含む種々の表面疵あるいは表面性状の異常部について、その情報を示すマーキングが金属帯の表面に施されているので、後工程あるいは需要家において、表面疵の種類や程度を知ることが可能となり、種々の用途、使用目的に対応することができる。
【0101】
また、このように、金属帯の表面にマーキングを施すことにより、表面疵等の部分を切断除去せずに金属帯を巻き取ることができるので、切断除去によりコイルの個数が増加するのを防止することができる。このように、コイルの個数が増加しないので、コイルのハンドリングにおいては、巻き取りの手間の増加が防止される。さらに、コイルの運搬、巻き戻し、および加工においても、コイルの処理個数が増加しないのでハンドリングの手間が軽減される。
【0102】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施の形態の1例を示すブロック図である。表面疵の検出装置41は、金属帯4の被検査面からの反射光を互いに異なる2種以上の光学条件で抽出し、信号処理部30で、これら反射成分の組合せに基づき被検査面の表面疵の有無を判定する。
【0103】
トラッキング手段43は、表面疵の位置がマーキング手段に到達する時刻を算出する。これは、搬送ロール45に取り付けられた回転計46で測定された回転速度に基づき、板長算出手段47により表面疵の位置を板長に換算し、マーキング手段44に到達するのに要する時間に換算して得られる。トラッキング手段43は、その時刻になると、マーキング手段44にマーキングを指示する信号を発信する。マーキング手段44は、金属帯表面に印字・穿孔等その位置を示すマーキングを行う。
【0104】
マーキングされた金属帯の例を図2に示す。この例では、マーキング49の位置を、長手方向では表面疵11の位置に一致させており、幅方向ではエッジから一定の位置としている。これにより、プレスライン等で使用する場合、表面疵11の位置によらず、エッジから一定の位置でマーキング49を検出することができ、表面疵11のある部分のリジェクト等の処置をとることが可能となり、不良品の製造を防止することができる。
【0105】
表面疵の検出装置41については、図3および図4にその1例を示す。線状拡散光源22として一部に拡散反射塗料を塗布した透明導光棒を使用し、その両端からメタルハライド光源の光を入射する。光源22の導光棒から拡散的に出射した光は、シリンドリカルレンズ25と45°偏光の偏光板26を透過した後、60゜の入射角で鋼板21の全幅に一直線上に集光されて入射する。反射光27は鋼板正反射方向に配置されたミラー28でさらに反射され、受光部を構成するカメラユニット29a〜dに入射する。
【0106】
これらのカメラユニット29a〜dは、図5に示すように板幅方向に配置されている。なお、このようにミラー28を用いることにより、装置をコンパクトにすることができる。また、ミラー28を鋼板21から適当に離して設置すると、図5のようにミラー28上に全カメラの視野から外れる領域(全カメラ視野外)が生じ、そこでミラーを分割して構成することができる。このようにミラーを分割することにより製作費を低く抑えることができる。
【0107】
受光部のカメラユニット29a〜dは、図6に示すように、レンズの前に検光角-45°、45°、90°の検光子33a〜cをもつ3台のリニアアレイカメラ32a〜cから構成され、その光軸は平行に保たれている。3台のカメラの視野のずれは、信号処理部30で補正している。このように光軸が平行に保たれていると、3台のカメラ32a〜cの各画素は同一視野サイズで一対一に対応する。また、ビームスプリッタを用いて1つの反射光を分割するのに比べて、光量のロスがなくなり、効率的な測定が可能となる。
【0108】
各カメラユニット29a〜29d内の各受光カメラ32a〜32c単体の受光範囲Aは、前掲の図5に示すように、両側に隣接する他のカメラユニット29a〜29d内の対応する受光カメラ32a〜32cの受光範囲Aと一部重複するように配置されている。言い換えれば,鋼板21上の幅方向の任意の位置からの反射光は、それぞれ少なくとも1つのカメラユニット29a〜29d内の3種類の受光カメラ32a〜32cで受光される.
ここで、受光部において、リニアアレイカメラの替わりに2次元CCDカメラを使用することもできる。また、投光部において、線状拡散光源22として、蛍光灯を使用することもできる。また、バンドルファイバの出射端を直線上に整列させたファイバ光源を使用することもできる。各ファイバからの出射光はファイバのN/A に対応して充分な広がり角を持つため、これを整列させたファイバ光源は実質的に拡散光源となるためである。
【0109】
ここで、複数のカメラの配置について、図5を用いてその詳細を説明する。各カメラユニット29a〜29dは、一定間隔で複数ユニットが配置されている。一つのカメラユニット29a〜29dは,異なる条件(-45 ,45,90度偏光)で受光する3つのカメラ32a〜32cから構成される。それぞれのカメラは,一定間隔離ごとに並べて平行に設置されている。従って、それぞれの視野も、カメラ間隔と同じだけずれることになる。
【0110】
各カメラユニット内のカメラの並び順序は同一である。例えば向かって左から45度,90度,-45 度の順とする。測定範囲(有効領域)は、例えば、光学条件が3条件で観察されている範囲とし、1条件のみ、あるいは2条件のみでしか観察されていない領域(両端部の領域)は無効とし、使用しない。カメラ間隔およびユニット間隔は、鋼板最大幅が測定範囲(有効領域)に入るような寸法として決定する。
【0111】
各ユニットの3台のカメラは同一視野にするための調整は行わず、各カメラで疵候補領域を決定した後、その疵候補領域単位で、各カメラの対応をとる。前述のように、各カメラのそれぞれの視野は、ずれているので、ある疵候補領域を視野に納めるカメラが3台揃わない(光学条件が3条件揃わない)場合もある。その場合は、隣のユニットのカメラの結果を用いて光学条件を3条件に揃える。この考え方は、3偏光を受光する場合に限らず、検査体全幅を複数視野に分割し、任意の2条件以上で観察する場合に適用可能である。
【0112】
これらの複数の受光部と信号処理部とをまとめて、疵検査手段と呼ぶことにすると、図1に示した表面疵マーキング装置は、図7に示すようになる。疵検査手段40は、受光部32a〜32c(図5と図6のカメラに相当)と信号処理部30を有している。信号処理部30は、異なる光学条件で抽出された反射光の強度に基づき、信号処理により前述の拡散鏡面反射成分を検出し、異常部の有無の判定を行う。その後は図1と同様、トラッキング手段43および板長算出手段47により表面疵の位置を算出し、マーキング手段44で異常部の位置にマーキングを行う。
【0113】
信号処理部分については、図8に1例をブロック図で示す。受光カメラ32a〜cからの光強度信号a〜cは、平均値間引き部34a〜cに入力され、平均値が算出される。次いで、被検査体の長手方向の所定距離の移動に伴い入力されるパルス信号により、幅方向の1ライン分の信号として出力される。この間引き処理により、長手方向の分解能を一定とする。また、平均値の算出頻度を、被検査体の長手方向の移動距離が受光カメラ32a〜cの視野よりも大きくならないようにすれば、見落としをなくすことができる。
【0114】
次いで、前処理部35a〜cでは、信号について輝度ムラを補正する。ここで、輝度ムラには、光学系に起因するもの、被検査体の反射率に起因するもの等を含む。また、前処理部35a〜cでは、金属帯のエッジの位置を検出し、エッジ部における急激な信号変化を疵と誤認識しないための処理を行う。
【0115】
前処理済みの信号は、2値化処理部36a〜cに入力され、予め設定されているしきい値との比較により、疵候補点が抽出される。抽出された疵候補点は、特徴量演算部37a〜cに入力され、疵判定のための信号処理が行われる。ここでは、疵候補点が一続きとなっている場合は1つの疵候補領域として、例えば、スタートアドレス、エンドアドレス等の位置特徴量や、そのピーク値その他の濃度特徴量などを算出する。
【0116】
算出されたこれらの特徴量については、元の信号a〜cの光学条件(検光角β)により、鏡面性疵判定部38aかあるいは鏡面拡散性疵判定部38bに入力される。特徴量演算部37aの出力は、元の信号aの光学条件が-45度検光(β=-45゜)である。そこで、この場合は鏡面性疵判定部38aに入力され、前述のように鏡面反射成分による母材部とヘゲ部の反射光量の違いが検出される。一方、特徴量演算部37b,cの出力は、元の信号b,cの光学条件が45度,90度検光(β=45゜90゜)であり、鏡面拡散反射成分のみに違いがある。そこで、鏡面拡散性疵判定部38bに入力され鏡面拡散反射成分による疵判定が行われる。
【0117】
最後に、疵総合判定部39では、鏡面性疵判定部38aおよび鏡面拡散性疵判定部38bの出力に基づき、金属帯の被検査面については最終的な疵種およびその程度を判定する。また、その際、各カメラ32a〜d間およびカメラユニット29a〜29d間の視野の重複(図5)を考慮し、隣のカメラユニットのカメラからの信号に基づく疵判定結果を適宜利用することが望ましい。
【0118】
このような鏡面拡散反射成分の異常を検出して疵判定を行う表面疵検査手段と、その他の方式による表面疵検査手段を組み合わせた例を、図9に示す。ここで、表面疵検査手段40aは、図7に示した物と同じであり、複数の受光部32a〜cで反射光を異なる光学条件で抽出し、信号処理部30で鏡面拡散反射成分の異常を検出して疵判定を行う。
【0119】
その他の方式の表面検査手段40bとしては、通常の表面疵検査手段、即ち疵の寸法・形状から表面疵を検出して判定する方式の装置、あるいは照射光の反射率等から表面の汚れや付着物を検出する方式の装置を用いることができる。表面検査手段40bでは、通常の表面疵や表面性状の異常について、その種類や程度を分類する。マーキング情報作成手段42では、検査手段40a,40bの検査結果に基づき、鏡面拡散反射の異常を含む種々の表面疵や表面性状の異常について、総合的な分類やランク付けを行い、マーキングのための情報を作成する。
【0120】
その後は図1と同様、トラッキング手段43および板長算出手段47により表面疵の位置を算出する。マーキング手段44では、マーキング情報に基づき、異常部の位置にマーキングを行うが、その際、表面疵の種類や程度に関する情報を示すことが望ましい。これは、マーキングの模様・形状・帯の幅等、検出可能な形態であればよい。また、バーコードあるいはOCR(光学式文字読取り)を併用すれば、さらに詳細な情報をマーキングすることが可能となる。
【0121】
このように、金属帯の表面にマーキングを施すことにより、コイルの個数の増加が抑制されるため、コイルの巻き取り、コイルの運搬、および巻き戻し等のハンドリングにおいても、作業の効率が向上する。また、金属帯の加工においても、金属帯が疵の部分で途切れることなく連続して供給されるので、作業の効率化が期待できる。
【0122】
【実施例】
図3の実施形態による合金化亜鉛鍍金鋼板の測定結果を、図10、11に示す。図10は、前述の図17(b)に、図11は図17(c)に対応しており、測定した疵は、図10に示されるような、テンパ部面積率がヘゲ部では母材部より大きいが、非テンパ部の拡散性は変わらないもの(図17b)と、図11に示されるような、テンパ部面積率には差はないが、拡散性に差がある疵(図17c)である。図11のタイプの疵については、一般に拡散反射方向に検出不能となる角度が存在するが、その角度が異なる2種類の疵について測定を行った。なお、比較のため、従来技術で、入射角60°で光を入射し、正反射方向(60°)と入射方向から20°ずれた受光角(-40゜)方向から無偏光で測定した結果も同図に載せた。以上の結果を、表1にまとめて示す。
【0123】
【表1】
【0124】
従来技術では、2つの受光角で受光しノイズ除去のために論理和をとっているが、これらの疵については、2つの受光角同時に検出することは不可能である。さらに言うと、どちらの受光角でも検出できない疵も存在する。
【0125】
それに対し、本願実施例では、3つの異なる受光角に対応する反射光成分を、検光子を用いることにより正反射方向から抽出しているから、いずれかのリニアアレイカメラで検出することが可能である。また、検出する必要がある疵の反射特性に合わせて、検光角の最適に設定することも容易である。
【0126】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、鋼板表面での反射が鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分とから成るという知見をもとに、それぞれの成分を抽出して捉える方法として、線状拡散光源を使用し、p偏光およびs偏光をともに有する偏光を被検査面に入射し、鋼板正反射方向から、検光角を適当に設定することにより、鏡面反射成分をより多く含む成分と、鏡面拡散反射成分をより多く含む成分を抽出する方法を採用した。
【0127】
この方法により鏡面反射成分からは疵が観察できない疵も検出可能となり、従来検出できなかった顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵を未検出することなく検出することが可能になった。また、鋼板正反射方向からの同一光軸上の測定で両成分が捉えられるため、鋼板距離変動や速度変化の影響を受けない測定が実現した。また、検光角を設定することにより、どの角度の鏡面拡散反射成分を抽出するかを選択できるようになった。
【0128】
品質保証の観点からは、こういった表面検査装置は未検出がないことが絶対条件である。本発明により初めて表面処理鋼板等へ広く適用可能な未検出のない表面疵検査装置を用いた表面疵マーキングによるマーキング付き金属帯の製造が実現できるので、従来検査員による目視の検査に頼っていた表面疵検査を自動化できるとともに、簡単な手段でその情報を後工程やユーザ側に知らせることが可能となり、その産業上の利用効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置の1例を示すブロック図。
【図2】本発明により製造した金属帯の1例を示す平面図。
【図3】本発明に用いる装置の表面疵検査装置の概略構成の1例を示す模式図。
【図4】同表面疵検査装置の断面模式図。
【図5】同表面疵検査装置に組込まれたカメラユニットの金属帯幅方向の配列を示す図。
【図6】1つのカメラユニットに組込まれたカメラの配置を示す図。
【図7】本発明に用いる装置の別の1例を示すブロック図。
【図8】本発明に用いる装置の信号処理部の1例を示すブロック図。
【図9】本発明に用いる装置のさらに別の1例を示すブロック図。
【図10】本発明に用いる装置で測定された光強度信号の1例を示す図。
【図11】本発明に用いる装置で測定された光強度信号の別の1例を示す図。
【図12】合金亜鉛メッキ鋼板の製造方法およびその詳細断面を示す図。
【図13】調質圧延後の金属帯表面のテンパ部と非テンパ部における入射光と反射光の関係を示す断面模式図。
【図14】同テンパ部と非テンパ部における反射光の角度分布図。
【図15】合金亜鉛メッキ鋼板におけるヘゲ部の生成過程を説明するための断面図。
【図16】ヘゲ部と母材部における鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分の角度分布図。
【図17】被検査面のヘゲ部と母材部における微小面素の法線角度と面積率の関係を示す図。
【図18】被検査面の微小面素における入射光と反射光等の角度の関係を示す図。
【図19】微小面素の法線角度と重み関数の関係を示す図。
【図20】線状拡散光源の各位置からの各入射光と被検査面の入射位置の関係を示す図。
【図21】線状拡散光源の各入射光が偏光されている場合の微小面素からの反射光の偏光状態を示す図。
【図22】線状拡散光源の中央部からの入射光が偏光されている場合の微小面素からの反射光を示す図。
【図23】線状拡散光源の中央部以外の部分からの入射光が偏光されている場合の微小面素からの反射光を示す図。
【図24】微小面素の法線角度と反射光の楕円偏光状態の関係を示す図。
【図25】微小面素の法線角度と重み関数の関係を示す図(検光角:-45゜)。
【図26】種々の検光角における微小面素の法線角度と重み関数の関係を示す図。
【図27】被検査面の微小面素の法線角度と面積率の関係を示す図。
【符号の説明】
4 金属帯
6 テンパ部
7 非テンパ部
8、24 入射光
10 鏡面拡散反射光
11 異常部(ヘゲ部)
12 母材部
14、22 線状拡散光源
15、26 偏光板
16、32a〜c 受光カメラ
17、33a〜d 検光子
21 鋼板
23 遮光ケース
24 入射光
25 シリンドリカルレンズ
26 45°偏光の偏光板26
27 反射光
28 ミラー
29a〜d カメラユニット
30 信号処理部
40a 表面疵検査手段
40b 表面検査手段
41 表面疵検出装置
43 トラッキング手段
44 マーキング手段
45 搬送ロール
46 回転計
47 板長算出手段
49 マーキング
Claims (1)
- 線状拡散光源からの光を、偏光板にてp偏光およびs偏光ともに含んだ直線偏光として調質圧延された鋼板の被検査面に照射する照射工程と、
前記被検査面のテンパ部からの鏡面反射成分と非テンパ部からの鏡面拡散反射成分からなる正反射方向に反射する光の鏡面反射成分をより透過する偏光角に設定された偏光子を通して受光する受光部と前記反射する光の鏡面拡散反射成分をより透過する偏光角に設定された偏光子を通して受光する受光部を用いて鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分を受光する受光工程と、
該受光工程で受光した鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分の強度、あるいは比率から、鏡面反射、あるいは、鏡面拡散反射に影響を及ぼす表面性状の変化を検出し前記被検査面の表面疵の有無を判定する検査工程と、
前記金属帯の表面にそれに関する情報を示すマーキングを施すマーキング工程とを有することを特徴とするマーキング付き金属帯の製造方法。
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