JP3716650B2 - 表面疵検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば薄鋼板表面等の被検査面に光を照射してこの被検査面の表面疵等を光学的に検出する表面検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄鋼板表面等の被検査面に光を照射してこの被検査面からの反射光を解析することによつて、被検査面に存在する表面疵を光学的に検出する表面疵検査は従来から種々の手法が提唱され実施されている。
【0003】
例えば、被検査体表面に対して光を入射し、被検査体表面からの正反射光及び拡散反射光をカメラで検出する金属物体の表面探傷方法が特開昭58−204353号公報に提案されている。この表面探傷方法においては、被検査体表面に対して35゜〜75゜の角度で光を入射し、被検査体表面からの反射光を、正反射方向と入射方向又は正反射方向から20°以内の角度方向に設置した2台のカメラで受光する。そして、2台のカメラの受光信号を比較し、例えば両者の論理和を取る。そして、2台のカメラが同時に異常値を検出した場合のみ該当異常値を疵と見なすことにより、ノイズに影響されない表面探傷方法を実現している。
【0004】
また、被検査体からの後方散乱光を受光することによる被検査体表面の疵検査方法が特開昭60−228943号公報に提案されている。この疵検査方法においては、ステンレス鋼板に対して大きな入射角で光を入射し、入射側へ戻る反射光、すなわち後方散乱光を検出することにより、ステンレス鋼板表面のヘゲ疵を検出している。
【0005】
さらに、複数の後方散乱反射先を検出することによる平鋼熱間探傷装置が特開平8ー178867号公報に提案されている。この平鋼熱間探傷装置は熱間圧延された平鋼上の掻き疵を検出する。そして、この探傷装置においては、掻き疵の疵斜面角度は10゜〜40゜であり、この範囲の疵斜面からの正反射光をすべてカバーできるように後方散乱反射方向に複数台のカメラが配設されている。
【0006】
また、偏先を利用した表面の測定装置が特開昭57−166533号公報及び特開平9−166552号公報に提案されている。
【0007】
特開昭57−166533号公報に提案された測定装置においては、測定対象に45゜方向の偏光を入射し偏光カメラで反射光を受光している。偏光カメラにおいては、反射光をカメラ内部のビームスプリッタを用いて3つに分岐し、それぞれ異なる方位角の偏光フィルタを通して受光する。そして、偏光カメラからの3本の信号を、カラ−T5システムと同様の信号処理により、モニタに表示し、偏光状態を可視化する技術が開示している。この技術はエリプソメトリの技術を利用しており、光源は平行光であることが望ましく、例えばレーザ光が用いられている。
【0008】
また、特開平9−166552号公報に提案された表面検査装置においては、特開昭57−166533号公報の記載技術と同様にエリブソメトリを利用して鋼板表面の疵を検査している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各公開公報に提案された各測定技術は、いずれも顕著な凹凸性をもつ疵を検出するか、又は酸化膜等異物が存在する疵を検出することを目的としたものであり、顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ欠陥等に対してはすべての疵を確実に捕捉することは困難であった。
【0010】
例えば、特開昭58−204353号公報の探傷装置においては、正反射光と散乱反射光を受光する2台のカメラを有しているが、その目的は2つのカメラにおける検出信号の論理和によるノイズの影響除去である。したがって、顕著な凹凸性を有する疵、すなわち表面に割れ、めくれ上がりを生じないような疵に対しては両方のカメラで疵の信号が捕えられるので適用可能である。
【0011】
しかし、いずれか一方のカメラでしか疵の信号を捕らえられないような顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ欠陥のような疵の場合は、その疵をすべて検出することはできない。
【0012】
また、特開昭60−228943号公報の表面状態検査方法は、表面粗さの小さいステンレス鋼板上に顕在化した持ち上がったヘゲ疵を対象としている。したがって、顕在化していない持ち上がった部分のない疵や、疵の存在しない部分も入射側へ戻る光を反射するような表面の粗い鋼板に適用することはできない。
【0013】
特開平8−178867号公報の平鋼熱間探傷装置は、主に掻き傷を対象にしており、疵斜面での正反射光を捕らえることに基づいているため、顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵のような疵の場合には後方散乱では捕らえられないものも存在し、検出漏れを生ずる問題があった。また、一度カメラを設置し、どの角度の反射成分を受光するかが決定されると、容易にカメラ位置を変更できない問題もあった。
【0014】
さらに、特開昭57−166533号公報の測定装置及び特開平9−166552公報の表面検査装置は、エリプソメトリの技術を用いており、「簿い透明な膜の厚さ及び屈折率」や「物性値のむら」を検出することはできる。しかしながら、例えば表面処理鋼板のように、もともと疵部が母材部と異なる物性値を有していたとしても、その上から同一の物性値を有するものに覆われたような対象に対しては、有効性が低下してしまう問題があった。
【0015】
また、エリプソメトリでは、同一点からの反射光を各CCDの対応する画素で受光し、画素毎にエリプソパラメータを計算する必要がある。そのため、特開昭57−166533号公報においては反射光をビームスプリッタにより3分岐して3つのCCDにより検出しており、光量が低下したり、CCD間の画素合わせが困難であるという問題があった。
【0016】
また、特開平7−28633号公報では、3台のカメラを鋼板の進行方向に並べたり、縦または横に並べたり、3台のカメラの傾きを変えたりして、同一領域を見るようにしている。しかし、鋼板の速度が変化したときの処理が複雑である問題があった。また、各カメラの角度が異なるため光学条件が同一にならない。そのために、画素合わせが困難である問題があった。
【0017】
さらに、特開昭58−204353号公報や特開平8−178867号公報では複数台のカメラの光軸が共通でなく出射角が異なるため、得られる2つの画像の対応する画素の視野サイズが異なるほか、被検査面のバタツキや対象の厚さ変動による距離変化があると視野に位置ズレを生じるという問題があった。特に特開昭58−204353号公報では2つのカメラで同じ視野に対する論理和を取ることが要求されるため問題は大きかった。
【0018】
また、偏光を利用した特開昭57−166533号公報や特開平9−166552公報では、鋼板の製造条件の変更や鋼板品種が変わった場合、各方位角に設定されたカメラでは受光光量が大きく変化するため、最適な受光光量を得ることができず、S/N比の良い信号が得られない問題があった。
【0019】
すなわち、鋼板の製造条件の変更や鋼板品種が異なると、被検査対象表面の母材部の物性値が異なるため、被検査面の偏光に対する反射特性が変わり、受光する偏光成分強度比が変わる。このため、異なる方位角成分の偏光強度を受光するように設定されたカメラでは、ある条件の鋼板表面では、最適な光量に設定しておいても、異なる条件の鋼板表面になった時は、光量が低くなつたり、飽和したりすることがあり、正常な検査ができなかった。
【0020】
製品の品質検査ラインに組込まれる表面検査装置においては、製造製品に対する品質保証の観点から、疵の検出漏れがないことが絶対条件である。しかしながら、表面処理鋼板等まで検査対象とした表面疵検査装置は実用化されていなかった。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、被検査面からの反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分とを区別して検出し、かつ各成分の光量を所定値に制御することによって、被検査面における表面の割れ、扶れ、めくれ上がりのような顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ欠陥を確実に検出でき、高い欠陥検出精度を発揮でき、製品の品質保証ラインにも十分組込むことができる表面疵検査装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の表面疵検査装置においては、被検査面に対してこの被検査面に平行な方位角の成分及び垂直な方位角の成分を有する偏光を入射する線状拡散光源と、被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち鏡面拡散反射成分に比較して鏡面反射成分をよリ多く抽出する方位角の検光子を有する第1の受光手段と、被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち鏡面反射成分に比較して鏡面拡散反射成分をよリ多く抽出する方位角の検光子を有する第2の受光手段と、第1及び第2の受光手段で受光された鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分に基づいて被検査面の表面疵の有無を判定する判定処理部とを備えている、
さらに、第1及び第2の受光手段に対して、入射光の受光時間を調整することによって、この第1及び第2の受光手段に入射される各光量を所定値に制御するための電子シャッターをそれぞれ備えている。
【0023】
また別の発明の表面疵検査装置においては、上記発明の表面疵検査装置に対して、さらに、各受光手段にて受光された鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分の各受光光量を検出し、この検出された各受光光量がそれぞれ所定値に一致するように各受光手段に備えられた各電子シャッターの入射光の受光時間を自動制御するシャッター制御部を備えている。
【0024】
次に、上述した発明の動作原理を図面を用いて説明する。
【0025】
まず、本発明の表面疵検査装置が検査対象とする鋼板表面の光学的反射の形態を鋼板表面のミクロな凹凸形状と関連づけて説明する。
【0026】
例えば、検査対象が合金化亜鉛メッキ鋼板の場合においては、図7(a)に示すように、下地の冷延鋼板は溶融亜鉛メッキされたのち合金化炉を通過する。この間に下地鋼板1の鉄元素がメッキ層2の亜鉛中に拡散し、通常、図7(c)に示すように合金の柱状結晶3を形成する。このメッキされた鋼板4は次にロール5a,5bで調質圧延される。すると、図7(d)に示すように、柱状結晶3における特に突出した箇所がロール5a,5bで平坦につぶされ、それ以外の箇所は元の柱状結晶3の形状を維持したままとなる。
【0027】
そして、この調質圧延のロール5a,5bにて平坦につぶされた部分をテンパ部6と呼び、それ以外の調質圧延のロール5a,5bが当接しない元の凹凸形状を残した部分を非テンパ部7と称する。
【0028】
図8は、このようなテンパ部6と非テンパ部7とを有する鋼板4の表面でどのような光学的反射が生じるかをモデル化した断面模式図である。
【0029】
調質圧延のロール5a,5bによりつぶされたテンパ部6に入射した入射光8は、鋼板4の正反射方向に鏡面的に反射して鏡面反射光9となる。一方、調質圧延のロール5a,5bが当接しない元の柱状結晶3の構造を残す非テンパ部7に入射した入射光8は、ミクロに見れば柱状結晶3の各表面の微小面素一つーつにより鏡面的に反射されるが、反射の方向は鋼板4の正反射方向とは必ずしも一致しない鏡面拡散反射光10となる。
【0030】
したがって、鋼板4の表面におけるテンパ部6及び非テンパ部7の各反射光の角度分布は、マクロに見ればそれぞれ図9(a)、図9(b)のようになる。すなわち、テンパ部6では鋼板正反射方向に鋭い鏡面性の反射が発生し、非テンパ部7では柱状結晶3の表面の微小面素の角度分布に対応した広がりを持った反射光となる。前述したように、テンパ部6の反射光を鏡面反射光9と称し、非テンパ部7の反射光を鏡面拡散反射光10と称する。
【0031】
そして、実際には、テンパ部6と非テンパ部7はマクロ的には混在しているので、カメラ等の光学測定器で観察される反射光の角度分布は、図9(c)に示すように、鏡面反射光9及び鏡面拡散反射光10の角度分布をテンパ部6と非テンパ部7とのそれぞれの面積率に応じて加算したものとなる。
【0032】
以上、テンパ部6と非テンパ部7とを合金化亜鉛メッキ鋼板を例に説明したが、調質圧延により平坦部が生じる他の鋼板にも一般に成立つ。
【0033】
次に、本発明の検出対象となる顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ欠陥と呼ばれる欠陥の光学反射特性について説明する。
【0034】
図10に示すように、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に見られるヘゲ欠陥(ヘゲ部11)は、メッキ加工前の冷延鋼板原板にヘゲ欠陥(ヘゲ部11)が存在し、その上にメッキ層2が乗り、さらに下地鋼板1の鉄元素の拡散によるヘゲ欠陥の合金化が進行したものである。
【0035】
一般に、ヘゲ部11は鋼板4の正常部分を示す母材12と比較して、例えばメッキ厚に違いが生じたり、合金化の程度に違いが生じる。その結果、例えば、ヘゲ部11のメッキ厚が厚く母材12に対し凸の場合には、調質圧延が印加されることによりテンパ部6の面積が非テンパ部7に比べて多くなる。逆に、ヘゲ部11のメッキ厚が薄く母材12に比べ凹の場合には、ヘゲ部11は調質圧延のロール5a,5bが当接せず、非テンパ部7が大半を占める。また、ヘゲ部11の合金化が浅い場合には微小面素の角度分布は鋼板方線方向に強く、拡散性は小さくなる。
【0036】
次に、このようなヘゲ部11と母材部12の表面性状の相違により、模様状ヘゲ欠陥がどのように見えるかを説明する。
【0037】
上述したモデルに基づきヘゲ部11と母材部12の違いについて分類すると一般に次の3種類に分けられる。
【0038】
(a) ヘゲ部11におけるテンパ部6の面積率及び非テンパ部7の微小面素の角度分布が、母材部12におけるテンパ部6の面積率及び非テンパ部7の微小面素の角度分布と異なる(図12(a),図11(a))。
【0039】
(b) ヘゲ部11におけるテンパ部6の面積率は母材部12におけるテンパ部6の面積率と異なるが、ヘゲ部11における非テンパ部7の微小面素の角度分布は母材部12における非テンパ部7の微小面素の角度分布と変わらない(図12(b),図11(b))。
【0040】
(c) ヘゲ部11における非テンパ部7の微小面素の角度分布は母材部12における非テンパ部7の微小面素の角度分布と異なるが、ヘゲ部11におけるテンパ部6の面積率は母材部12におけるテンパ部6の面積率と変わらない(図12(c),図11(c))。
【0041】
図13に示すように、入射光8が当接する微小面素13の法線方向の鋼板4の鋼板法線方向に対する傾斜角度を微小面素13の法線角度ξとし、この法線角度ξとテンパ部6の面積率S(ξ)との関係を、上述した(a)(b)(c) の3つの場合について、図12(a)(b)(c)に示す。
【0042】
このようなテンパ部6の面積率S(ξ)及び微小面素13の角度分布の違いが、図11(a)(b)(c)に示すような反射光量の角度分布の違いとして観察される。図中実線で示す角度分布がヘゲ部11に対応するヘゲ部角度分布11aであり、図中点線で示す角度分布が母材部12に対応する母材部角度分布12aである。
【0043】
すなわち、図11(a)はヘゲ部角度分布11aと母材部角度分布12aとの間において、鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分とが共に差が存在する場合を示し、図11(b)は鏡面反射成分のみに差が存在する場合を示し、図11(c)は鏡面拡散反射成分のみに差が存在する場合を示す。
【0044】
そして、ヘゲ部角度分布11aと母材部角度分布12aとでテンパ部6の面積率S(ξ)に相違がある場合には、図11(a)(b)に示すように、その差は正反射方向から観察される。具体的には、正反射方向からヘゲ部11の反射光を測定した場合と母材部12の反射光を測定した場合に、ヘゲ部11のテンパ部6の面積率S(ξ)が母材部12のテンパ部6の面積率S(ξ)より大きい場合にはヘゲ部11は母材部12に比較して相対的に明るく見える。逆に、ヘゲ部11のテンパ率6が母材部12より小さいときにはヘゲ部11は母材部12に比較して相対的に暗く観察される。
【0045】
ヘゲ部角度分布11aと母材部角度分布12aとでテンパ部6の面積率S(ξ)に違いがない場合には図11(c)に示すように、正反射方向からの単なる受光強度の差を観察するのみではヘゲ部11の存在を観察できない。しかし、鏡面拡散反射成分の拡散性(角度分布)に違いがあるときには図11(c)に示すように正反射方向以外の拡散方向から欠陥が観察される。
【0046】
例えば、ヘゲ部11の鏡面拡散反射成分の拡散性(角度分布)が小さい時には、一般に正反射方向に比較的近い拡散方向からはヘゲ部11は明るく観察され、正反射方向から離れるに従い明るさは小さくなり、ある角度で観察不能となる。さらに正反射方向から遠ざかると今度はヘゲ部11は暗く観察される。
【0047】
このようなヘゲ部11を母材部12と確実に区別して検出するためには、図12において、どういう角度(法線角度ξ)の微小面素13からの反射光を抽出するのかを検討することが必要である。例えば、先の図11(a)(b)の例のように、正反射方向でヘゲ部11と母材部12の違いを検出するということは、図12で示される微小面素13の角度分布のうち微小面素13の法線角度ξ=0について抽出し、ヘゲ部11と母材部12との違いを検出していることになる。
【0048】
ここで、微小面素13の法線角度ξ=0の反射光を抽出するということを数学的に表現すると、図12の特性(面積率S(ξ))それぞれに、図14(a)に示すデルタ関数δ(ξ)で表される抽出特性を示す関数(以後この関数を重み関数I(ξ)と呼ぶ)を乗じて積分することに相当する。
【0049】
また、例えば、入射角60°において、正反射方向から20°ずれた40°の角度位置で反射光を測定することは、図14(b)のようなデルタ関数δ(ξ+10)なる重み関数I(ξ)を用いて計算することに相当する。
【0050】
なお、図13に示すように、反射角度θ´と微小面素13の法線角度ξと入射光8の入射角度θとの関係は簡単な幾何学的考察によって(1) 式で求まる。
【0051】
θ´=−θ+2ξ …(1)
すなわち、どういう角度(法線角度ξ)の微小面素13からの反射光を抽出するかということは、どのような重み関数I(ξ)を設計するかということに相当することが理解できる。
【0052】
このような観点から、図12(a)(b)(c)で表されるような各ヘゲ部11を母材部12と弁別し検出するための重み関数I(ξ)を考えると、図14(a)(b)に示すデルタ関数δ(ξ),δ(ξ+10)も有効な重み関数I(ξ)の一つである。
【0053】
なお、重み関数I(ξ)は、必ずしも図14に示した特定の法線角度のみを抽出する幅が無限小のデルタ関数δ(ξ)である必要はなく、ある程度の信号幅を有することも可能である。
【0054】
しかしながら、このような弁別手法においては、2つの光学系の視野を同一にすることはできない。また、拡散反射光を測定するために一旦カメラを設置すると、その重み関数I(ξ)を変更することは、カメラの設置位置を変更することが必要であるから、容易ではない。
【0055】
前者の課題に対しては同一光軸上の測定が必要ある。すなわち、拡散反射光を捉えるのでなく、鋼板4の正反射方向からの測定のみで鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分との両成分が捉えられることが望ましい。そして、後者の課題に対しては、重み関数I(ξ)をある程度自由度を持って設定できることが望ましい。
【0056】
そこで、本発明においては、まず光源として、レーザのような平行光源ではなく拡散特性をもつ線状の光源、すなわち線状拡散光源を用いている。また、鋼板4の正反射方向から鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分とを分離して抽出する必要があるので偏光を用いている。
【0057】
この線状拡散光源の効果を説明するために、図15(a)(b)に示すように、線状拡散光源14を鋼板4の表面に平行に配置し、光源に垂直な面内にあり、入射角が出射角と一致する方向である鋼板正反射方向から鋼板4上の一点を観察したときの反射特性を考える。
【0058】
図15(a)に示すように、線状拡散光源14の中央部から照射された入射光8の場合、テンパ部6に入射した入射光8は鏡面的に反射され、鋼板正反射方向で全て捉えられる。一方、非テンパ部7に入射した光は鏡面拡散的に反射され、たまたま鋼板法線方向と同一方向を向いている微小面素13により反射された分のみが捉えられる。このような方向を向いている微小面素13は非常に少ないので、鋼板正反射方向に配設された受光カメラで捉えられる反射光のうちではテンパ部6からの鏡面反射光が支配的である。
【0059】
これに対し、図15(b)に示すように、線状拡散光源14の中央部以外の位置から照射された入射光8の場合には、テンパ部6に入射した光は鏡面反射して鋼板正反射方向とは異なる方向へ反射する。そのため、鏡面反射した光は鋼板正反射方向では捉えることができない。一方、非テンパ部7に入射した光は鏡面拡散的に反射され、そのうち鋼板正反射方向に反射された分が受光カメラで捉えられる。したがって、鋼板正反射方向に配設された受光カメラで捉えられる反射光は全て非テンパ部7で反射した鏡面拡散反射光である。
【0060】
以上2つの場合を併せると、線状拡散光源14の長尺方向全体から照射される全ての入射光8のうち鋼板正反射方向からの観察で捉えられるのは、テンパ部6からの鏡面反射光と非テンパ部7からの鏡面拡散反射光との和である。
【0061】
次に、鋼板4の正反射方向から線状拡散光源14を使用して観察した場合に、偏光特性がどう変化するかについて説明する。
【0062】
一般に、鏡面状の金属表面での反射においては、電界の方向が入射面に平行な光(p偏光)あるいは入射面に直角な光(s偏光)においては、反射によっても偏光特性は保存される。すなわち、p偏光のまま又はs偏光のまま出射する。また、p偏光成分とs偏光成分とを同時に持つ任意の偏光角を有した直線偏光が反射されると、p、s偏光の反射率比 tanΨ及び位相差Δに応じた楕円偏光となって出射する。
【0063】
合金化亜鉛メッキ鋼板に線状拡散光源14から光が照射される場合を図16(a)(b)を用いて説明する。
【0064】
図16(a)に示すように、線状拡散光源14の中央部から出射した光は鋼板4のテンパ部6で鏡面反射して鋼板正反射方向で観察される。これに関しては上記一般の鏡面状の金属表面での反射がそのまま成立する。
【0065】
一方、図16(b)に示すように、線状拡散光源14の中央部以外の位置から出射した光は、鋼板4の非テンパ部7の結晶表面の傾いた微小面素13で鏡面反射して鋼板正反射方向で観察される。この場合、鋼板4の入射面に平行なp偏光の光を入射したとしても実際に反射する傾いた微小面素13に対して考えた場合には入射面は微小面素13に対して平行ではなく、p、s両偏光成分を持つ直線偏光であるため、楕円偏光となって出射する。線状拡散光源14からs偏光を入射した場合も同様である。
【0066】
また、線状拡散光源14からp、s両偏光成分を持つ任意の偏光角αの直線偏光が鋼板4に入射した場合、線状拡散光源14の中央部以外の位置から傾いた微小面素13に入射した光は偏光角αが傾いて作用するため、鋼板正反射方向に出射する楕円偏光の形状は、線状拡散光源14の中央部から入射してテンパ部6で鏡面反射した光とは異なる。
【0067】
以下、p,s両成分をもつ直線偏光を線状拡散光源14から鋼板4に入射する場合について詳細に検証する。
【0068】
まず、図17に示すように、線状拡散光源14からの入射光8を方位角(偏光角)αを有する偏光板15で直線偏光にした後、水平に配置された鋼板4に入射させ、その正反射光を受光カメラ16で受光する。前述したように、線状拡散光源14上のC点から出射された入射光8については、鋼板4におけるテンパ部6により鏡面反射された成分、及び、非テンパ部7におけるたまたま法線が鋼板4の鉛直方向を向いた法線角度ξ=0の微小面素13から鏡面拡散反射された成分が鋼板4上のO点から受光カメラ16方向へ反射する光に寄与している。
【0069】
一方、図18に示すように、線状拡散光源14上の鋼板4のO点から見て角度φだけずれた点Aからの入射光8については、鏡面反射成分は受光カメラ16方向とは異なる方向に反射されるため、前述した法線角度ξの微小面素13による鏡面拡散反射成分のみが寄与する。
【0070】
ここで、入射光8の入射方向を示す角度φと微小面素13の法線角度ξとの関係は、入射光8の鋼板4に対する入射角度θを用いて、簡単な幾何学的考察により、(2) 式で与えられる。
【0071】
次に、このようにして反射された光の偏光状態について考える。
【0072】
C点から出射された入射光8が、方位角(偏光角)αの偏光板15を通り、鋼板4上のO点にて鏡面反射された後の偏光状態E C は、偏光光学で一般に用い
られるジョーンズ行列を用いて、
E C =T・Ein …(3)
と表される。但し、Einは偏光板15の方位角(偏光角)αの直線偏光ベクト
ルを示し、Tは鋼板4の反射特性行列を示す。そして、直線偏光ベクトルE
in及び反射特性行列Tはそれぞれ(4) (5) 式で与えられる。
【0073】
【数1】
【0074】
但し、 tanΨ:p,s偏光の振幅反射率比
Δ:p,s偏光の反射率の位相差
rS :s偏光の振幅反射率
同様に、線状拡散光源14上のA点から出射した入射光8が、法線角度ξの微小面素13で受光器16方向に反射された光の偏光状態E A は、入射面が偏光
板15及び受光カメラ16の検光子と直交しているとすれば(6) 式で与えられる。
【0075】
E A =R(ξ)・T・R(−ξ)・Ein …(6)
但し、Rは回転行列であり、(7) 式で与えられる。
【0076】
【数2】
【0077】
(3) 式は、(6) 式において微小面素13の法線角度ξ=0とした特別の場合であり、鏡面反射成分についても鏡面拡散反射成分についても(6) 式を用いて統一的に考えることができる。(6) 式を計算し、法線角度ξの微小面素13からの反射光の楕円偏光状態を図示すると、図19に示すようになる。
【0078】
但し、ここで入射偏光の方位角(偏光角)αは45°、入射角θは60°、鋼板4の反射特性としてp,s偏光の振幅反射率比の逆正接Ψ=28゜、p,s偏光の反射率の位相差Δ=120゜とした。図19より、法線角度ξ=Oすなわち鏡面反射の場合の楕円に対して法線角度ξの値が変化するに従って、楕円が傾いていくのが理解できる。
【0079】
したがって、例えば受光カメラ16の前に検光子17を挿入し、その検光角βを設定することによって、どの法線角度ξの微小面素13からの反射光をより多く抽出するかを選択することができる。
【0080】
このことを定量化するために、図18に示すように、(3) 式で表される偏光状態E A の反射光に対して検光角βの検光子17を挿入した後における偏光状態
E 0 を求めると、(8) 式となる。
【0081】
但し、Aは検光子17を表す行列であり、(9) 式で示される。
【0082】
【数3】
【0083】
次に、この(8) 式から受光カメラ16で検出する法線角度ξの微小面素13からの反射光の光強度を求める。
【0084】
前述したように、該当微小面素13の面積率をS(ξ)とすると、下記(10) 式が成立する。
【0085】
上式におけるI(ξ,β)は、前述したように、法線角度ξの微小面素13からの反射光をどの程度抽出できるかを示す重み関数であり、光学系及び被検体の偏光特性に依存する。そして、それに鋼板4の反射率rS 2 、入射光光量EP 2 、面積率S(ξ)を乗じたものが検出される光強度になる。
【0086】
表面処理鋼板などのように、鋼板表面の材質が均−な対象を考える場合は反射率rS 2 の値は一定と考えられる。また、入射光光量EP 2 は入射光量が光源の位置によらず均一ならば同じく一定の値としてよい。
【0087】
したがって、受光カメラ16が検出する光強度を求めるには、法線角度ξの微小面素13の面積率S(ξ)と重み関数I(ξ,β)とを考えればよい。
【0088】
ここで、重み関数I(ξ,β)について考える。法線角度ξの微小面素13からの寄与が最も大きくなるような検光子17の検光角β0 を選定しようとした場合、その候補は次の(11)式をβについて解くことによって与えられる。
【0089】
【数4】
【0090】
(11)式により、法線角度ξ=0、すなわち鏡面反射成分の寄与が最も大きくなるような検光角βを求めると、検光角βは約−45°である。但し、ここでも、鋼板4の反射特性として前述した反射率比の逆正接Ψ=28°、位相差Δ=120°を採用し、線状拡散光源14からの入射光8に対する偏光板15の方位角(偏光角)α=45°を採用した。
【0091】
図20に、検光子17の検光角βが−45°の場合における微小面素13の法線角度ξと重み関数I(ξ,−45)との関係を示す。但し、見やすさのために重み関数I(ξ,−45)の最大値を[1]に規格化してある。
【0092】
図20の特性から、法線角度ξ=0°、すなわち鏡面反射成分が最も支配的で、逆に法線角度ξ=±35°付近の微小面素13からの鏡面拡散反射光が最も抽出されないことが理解できる。
【0093】
また、逆に法線角度ξ=±35°の反射光を最もよく抽出するような検光子17の検光角βを(10)式及び(11)式より求めると、およそβ=45°である。検光子17の検光角β=45°に対する微小面素13の法線角度ξと重み関数I(ξ,45)の関係を図21に示す。
【0094】
なお、図21の重み関数I(ξ,β)の特性が左右対称でないのは、入射面(微小面素13に対する入射光8と反射光により張られる平面)を基準に考えると、微小面素13の法線角度ξが正の場合、見かけ上入射光8の偏光の方位角(偏光角)αが小さくなる(p偏光に近づく)ことと、鋼板4のp偏光反射率がs偏光反射率より小さいことによる。
【0095】
また、検光子17の検光角β=−45°と45°の中間の特性となるβ=90°についても計算した重み関数I(ξ,90)も図21に示した。
【0096】
(10)式で示したように、法線角度ξの微小面素13からの反射光強度は、重み関数I(ξ,β)と面積率S(ξ)の積により与えられるから、最終的に受光カメラ16で受光する光強度は[S(ξ)・I(ξ,β)]を法線角度ξについて積分したものになる。例えば、図22に示すような反射特性を有する鋼板4からの反射光を、検光角βが−45°の検光子17を通して受光した場合、図22で示される面積率S(ξ)を図20に示す重み関数I(ξ,β)で示される重みをつけて積分したものが実際に受光した光強度となる。
【0097】
そこで、鋼板4の表面に、図11(a)(b)(c)に示されるような特性のヘゲ部11が存在した場合を考える。その場合の各面積率S(ξ)は、それぞれ図12(a)(b)(c)のようになっている。
【0098】
まず、図11(b)、図12(b)のように鏡面反射成分のみに違いがある場合を考える。このような疵を検光角β=−45°の検光子17を通して受光したときの光強度は、図12(b)に示す面積率S(ξ)に図20で表される重み関数I(ξ,β)をかけて積分したものに相当するから、母材部12とヘゲ部11との反射光量の違いを検出することができる。
【0099】
また、同一疵を検光角β=45°の度検光子17を通して受光したときの光強度については、図12(b)に示すように、鏡面拡散反射成分に違いがないため、図21の検光角β=45°の重み関数I(ξ,β)をかけて積分することを考えると明らかなように、母材部12とヘゲ部11との違いを検出することができない。
【0100】
また、図11(c)、図12(c)のように鏡面拡散反射成分のみに違いがある場合には、逆に、検光角β=−45°の検光子17を通したのでは検出できず、検光角β=45°の検光子17を通したときに検出できる。
【0101】
但し、母材部12とヘゲ部11の鏡面拡散反射成分の違いがなくなっている法線角度ξは、図12(c)では法線角度ξ=±20°付近であったが、もし、その角度がたまたま±30数度付近となる疵があると、検光角β=45°の検光子17を通しても検出できなくなる。
【0102】
その場合は、別の重み関数(例えばI(ξ,90))となるような検光角β(例えば90゜)の検光子17をもうーつ別に用意し、3番目の受光カメラ16で受光するようにすればよい。
【0103】
一般に、鋼板4の表面の母材部12とヘゲ部11の反射特性は図11(a)、(b)、(c)のいずれかであるので、ヘゲ部11の見落としをなくするためには、3つの異なる検光角βの検光子17を用い、対応する3つの法線角度ξの微小面素13からの反射光を抽出して受光するようにすることが必要である。
【0104】
また、図11(a)、図12(a)のように鏡面反射成分、鏡面拡散反射成分ともに違いがある場合には、基本的には、例えば−45°と+45°とのいずれの検光子17を通した反射光でも母材部12とヘゲ部11との違いを検出できる。
【0105】
したがって、本発明では線状拡散光源14を用い、第1の受光手段で被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち、鏡面拡散反射成分に比較して鏡面反射成分をより多く抽出し受光し、第2の受光手段で被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち、鏡面反射成分に比較して鏡面拡散反射成分をより多く抽出している。
【0106】
よって、たとえ被検査面からの正反射光のみを受光する第1,第2の受光手段にてでも、図11(a)(b)(c)に示す鋼板4の表面の各反射特性におけるヘゲ部11の存在を母材部12との比較において確実に検出できる。
【0107】
このような光学系により、正反射方向からの共通な光軸での測定であるため、鋼板距離変動や速度変化に影響されることなく、鏡面反射・鏡面拡散反射それぞれに対応した2つの信号を得ることが可能になり、顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵を検出もれを生じることなく検出可能な表面疵検査装置及び表面疵検査方法が実現する。
【0108】
また、鋼板の製造条件の変更や鋼板品種が変わった場合、被検査対象表面の母材部の物性値が異なるため、被検査面の偏光に対する反射特性が変わり、受光する偏光成分強度比が変わる。
【0109】
たとえば、合金化亜鉛メッキ鋼板の異なる品種A、Bの偏光反射特性は、鋼板の品種Aでは、p,s偏光の振幅反射率比の逆正接Ψ=28゜、p,s偏光の反射率の位相差Δ=120゜である。一方、鋼板の品種Bでは、p,s偏光の振幅反射率比の逆正接Ψ=28゜、p,s偏光の反射率の位相差Δ=80゜である。そして、(10)式に2品種の偏光反射特性値を代入し、前述した模様状ヘゲ疵を検出可能とする検光角90゜、45゜、−45゜における重み関数を算出し、表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
母材部は、調質圧延にて平坦につぶされたテンパ部7であるので、(10)式でξ=0として、算出された重み関数の値を各検光角の受光光量の相対値とみなすことが可能である。但し、ここで入射偏光の方位角(偏光角)αは45゜、入射角θは60゜とした。
【0112】
鋼板の品種A、Bそれぞれ3つの各検光角では受光光量が異なるために、3検光角全てについて、S/N比が良くなる最適な光量を得ることは困難である。
【0113】
さらに、鋼板の品種A、Bで比較すると、検光角90゜では、受光光量に変化はないが、45゜、−45゜で2倍程度の受光光量の変化が生ずる。したがって、品種Aと品種Bとを同一の光学条件で測定すると、検光角45゜、−45゜については、両品種でS/N比がよくなる信号を得ることができず、どちらかの品種で光量が低すぎる、あるいは飽和光量に達してしまう問題が発生する。
【0114】
よつて、本発明では、各受光手段に対して、入射光の受光時間を調整する電子シャッターを備えている。したがって、たとえ、被検査体の品種が変化したり、製造条件が変化して表面偏光反射特性が大きく変化したとしても、模様状ヘゲ疵を検出もれを生ずることなく検出可能な表面疵検査装置を実現する。
【0115】
【発明の実施の形熊】
以下に本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0116】
図1(a)は本発明の一実施形態に係わる表面疵検査装置の側面図であり、図1(b)は同表面疵検査装置の上面図である。
【0117】
この実施形態の表面疵検査装置は製鉄工場における合金化亜鉛メッキ鋼板の品質検査ラインに設置されている。図中矢印方向に搬送状態の鋼板21の搬送路の上方位置に、この帯状の鋼板21の幅方向に線状拡散光源22が配設されている。この線状拡散先源22は、ー部に拡散反射塗料を塗布した透明導光棒の両端から内部ヘメタルハライド光源の光を投光することによって、鋼板21の幅方向に一様の出射光を得る。
【0118】
線状拡散光源22の各位置から出射された鋼板21に対する入射光23は、シリンドリカルレンズ24と偏光板25を介して走行状態の鋼板21の全幅に対して例えば60゜の入射角θで照射される。偏光板25の方位角(偏光角)αは45゜に設定されている。
【0119】
鋼板21で反射された反射光26は鋼板の正反射方向に配置された受光部27に入射する。この受光部27は、レンズの前に検光角βがそれぞれ−45゜、45゜、90゜に設定された検光子28a、28b、28cを有する3台のリニアアレイカメラからなる受光カメラ29a、29b、29cから構成されている。
【0120】
各受光カメラ29a、29b、29cで受光された反射光26における鋼板21における幅方向の1ライン分の各画素毎の光強度はそれぞれ光強度信号a,b,cに変換されて判定処理部としての信号処理部40へ送信される。さらに、各受光カメラ29a、29b、29cから出力された各光強度信号a,b,cは、シャッター制御部50へ入力される。
【0121】
そして、この実施形態の表面疵検査装置においては、各受光カメラ29a、29b、29c内には、入射光の受光時間を調整するための電子シャッターの機能が組込まれている。そして、各受光カメラ29a、29b、29cにおける各電子シャッターの入射光の受光時間を示す開放時間Ta、Tb、Tcはシャッター制御部50にて自動制御される。
【0122】
このシャッター制御部50は、各受光カメラ29a〜29cに組込まれた各電子シャッターの各開放時間Ta〜Tcを調整することによって、被検査面である鋼板21の表面の反射光量に対応して、各受光カメラ29a〜29cで受光する反射光26の光量を十分確保するとともに、光量が飽和しない最適なレベルに制御することが可能である。
【0123】
図2はシャッター制御部50の概略構成を示すブロック図である。
【0124】
一45゜の検光子28aが組込まれた第1のカメラとしての受光カメラ29a、+45゜の検光子28bが組込まれた第2のカメラとしての受光カメラ29b、+90゜の検光子28cが組込まれた受光カメラ29cから入力された各光強度信号a,b,cはそれぞれ信号入力部51a、51b、51cへ入力されたのち、各信号レベル検出部52a、52b、52cへ転送される。
【0125】
各信号レベル検出部52a、52b、52cは、各受光カメラ29a、29b、29cからの各光強度信号a、b、cの信号レベルを検出して、次の各シャッター時間設定部53a、53b、53cへ転送する。各シャッター時間設定部53a、53b、53cは、各光強度信号a、b、cの信号レベルから、各電子シヤツターの開放時間Ta、Tb、Tcを決定し、各シャッタータイミング信号発生部54a、54b、54cに設定する。
【0126】
また、カメラ同期信号発生器55は、各受光カメラ29a、29b、29c及び各シャッタータイミング信号発生部54a、54b、54cに対して、1ライン分の走査時間Tsに相当する一定周期の走査同期信号gを印加する。
【0127】
そして、各シャッタータイミング信号発生部54a、54b、54cは、(12)式に示すように、一つの走査同期信号gの入力時刻から、1ライン分の走査時間(周期)Tsから設定された各開放時間(シャッター時間)Ta、Tb、Tcを減じた時間だけ経過したタイミングta、tb、tcで、各受光カメラ29a、29b、29cへシャッタータイミング信号Pa、Pb、Pcを送出する。
【0128】
ta=Ts―Ta
tb=Ts―Tb
tc=Ts―Tc …(12)
ここで、リニアアレイカメラとしての各受光カメラ29a、29b、29cにおける各受光光量は、受光カメラが鋼板21の表面を走査するときに、反射光量の最も暗い表面をもつ被検査対象に対しても、十分な値が得られる必要がある。このため、各電子シャッターの開放時間Ta、Tb、Tcの最大値は1ライン分の走査時間(周期)Tsとし、各値Ta、Tb、Tcはこの最大の走査時間(周期)Tsに対して設定されている。
【0129】
各受光カメラ29a、29b、29cにおいては、図3のタイミング図に示すように、シャッタータイミング信号発生器54a、54b、54cからシャッタータイミング信号Pa、Pb、Pcが入力されると、走査同期信号gの入力時刻から現在時刻までに受光センサに蓄積されている電荷Qを破棄する。そして、今回のシャッタータイミング信号Pa、Pb、Pcの入力時刻から次の走査同期信号gの入力時刻までに受光センサに蓄積された電荷Qa、Qb、Qcを該当受光カメラの光強度信号a、b、cとして出力する。
【0130】
なお、図3においては、説明を簡単にするために、一つの受光カメラ29aからの光強度信号aについてのタイミング図のみを記載したが、他の光強度信号b、cについてもほぼ同様のタイミング図となる。
【0131】
このような構成のシャッター制御部50において、信号レベル検出部52a、52b、52cで検出された各光強度信号a。b。cの信号レベルが飽和レベルになっている場合は、現在設定されているシャッター時間Ta、Tb、Tcを短くして受光光量を低下させる。逆に、S/N比が劣化するほど光量が低い場合には、シャッター時間Ta、Tb、Tcを長くして受光光量を増加させる。
【0132】
これにより、たとえ被検査面としての鋼板21の表面からの反射光の偏光成分強度比が変わっても、常に3台の受光カメラ29a、29b、29c相互間の受光先畳比率を同等にし、各受光カメラ29a、29b、29cを最適な受光先量にすることができる。
【0133】
また、各受光カメラ29a、29b、29cの各光軸は互いに平行に維持されている。また、3台の受光カメラ29a,29b,29c相互間における視野のズレは、信号処理部40において補正している。
【0134】
このように各受光カメラ29a、29b、29cの光軸が平行に維持されていると、3台の受光カメラ29a、29b、29cの各画素は同一視野サイズで一対一に対応する。このようにリニアアレイカメラを採用することによつて、ビームスプリッタを用いるのに比べて、光量のロスがなぐなり、効率的な測定が可能となる。
【0135】
ここで、受光部27において、リニアアレイカメラの代わりに2次元CCDカメラを使用することもできる。さらに、単一光検出素子とガルバノミラーやポリゴンミラーを組合わせた走査型の光検出器を使用することも可能である。
【0136】
また、線状拡散光源22として、蛍光灯を使用することもできる。また、バンドルファイバの出射端を直線上に整列させたファイバー光源を使用することもできる。各ファイバーからの出射光は、ファイバーのN/Aに対応して十分な広がり角を持つため、これを整列させたフアイバー光源は実質的に線状拡散光源となるためである。
【0137】
前述したように、各受光カメラ29a、29b、29cで受光された反射光26における鋼板21の幅方向における1ライン分の各画素毎の光強度はそれぞれ光強度信号a,b,cに変換されて判定処理部としての信号処理部40へ送信される。
【0138】
図4は信号処理部40の概略構成を示すブロック図である。
【0139】
前述と同様に、一45゜の検光子28aが組込まれた第1のカメラとしての受光カメラ29a、+45゜の検先子28bが組込まれた第2のカメラとしての受光カメラ29b、+90゜の検光子28cが組込まれた受光カメラ29cから入力された各光強度信号a,b,cはそれぞれ平均値間引き部30a,30b、30cへ入力される。
【0140】
各平均値間引き部30a〜30cは、各受光カメラ29a〜29cのスキャン周期毎に各受光カメラ29a〜29cから入力される各光強度信号a、b、cを加算平均し、鋼板21が信号処理における長手方向分解能に相当する距離を移動した場合に、1ライン分の信号を出力する。
【0141】
このような間引き処理を行うことにより、鋼板21の搬送速度が変化しても信号処理における1ラインの鋼板移動方向の分解能を一定にすることができる。また、走査(スキャン)周期毎の各光強度信号a、b、cを平均しているので、信号処理における1ラインの鋼板移動方向の分解能が受光カメラ29a〜29cの鋼板移動方向の視野サイズよりも十分大きい場合にも、間を細かく測定した信号の平均値を用いることができるので、見落としをなくすことができる。
【0142】
各平均間引き部30a〜30cで信号処理された各光強度信号a、b、cは次の各前処理部31a〜31cへ入力される。
【0143】
各前処理部31a〜31cは、1ラインの信号の輝度むらを捕正する。ここでいう輝度むらには、光学系に起因するムラも鋼板21の反射率に起因するムラも含まれる。また、各前処理部31a〜31cは、鋼板21の両側のエッジ位置も検出し、エッジにおける急峻な光強度信号a、b、cの変化を疵と誤認識することを防ぐ処理を実施する。各前処理部3Ia〜31cで信号処理された各光強度信号a、b、cは次の各2値化処理部32a〜32cヘ入力される。
【0144】
各2値化処理部32a〜32cは、各光強度信号a、b、cに含まれる各画素のデ一夕を予め決められたしきい値と比較し、疵候補点を抽出して、次の特徴量算出部33a〜33cヘ送出する。
【0145】
特微量抽出部33a〜33cは、一続きとなっている疵候捕点をーつの疵候捕領域と判定し、例えばスタートアドレス、エンドアドレスなどの位置特徴量や、ピーク値など濃度特徴量を算出する。
【0146】
鏡面性疵判定部34及ひ鏡面拡散性疵判定部35では、各受光カメラ29a〜29cに対応する各特徴量抽出部33a〜33cにより算出された特徴量に基づいて、疵の種類、程度を判定する。
【0147】
そして、疵総合判定部36では、鏡面性疵判定部34及び鏡面拡散性疵判定部35での判定結果及び特徴量により、検査対象としての鋼板21に対する最終的な疵種及びその程度を判定する。
【0148】
また、この総合判定部36では、各特徴量抽出部33a〜33cからの位置特徴量を基に、各受光カメラ29a〜29cにおける視野ズレの補正も行う。このように、特徴量単位で受光カメラ29a〜29c相豆間の視野ズレの補正を行うので、受光カメラ29a〜29c相互間の視野を画素単位で調整しておく必要はない。
【0149】
【実施例】
図1に示す実施形態の表面疵検査装置を用いた合金化亜鉛メッキ鋼板の表面疵の測定結果を図5,図6に示し、その測定結果に基づく判定結果を表2に示す。
【0150】
測定した各疵は、図11(b)に示すテンパ部6の面積率S(ξ)がヘゲ部11で母材部12より大きいが、非テンパ部7の拡散性は変わらない疵と、図11(c)に示すテンパ部6の面積率S(ξ)にはヘゲ部11と母材部12間に大きな差はないが、拡散性に差がある疵である。
【0151】
そして、鋼板21の幅方向の中央部に図11(b)に示すタイプの疵が発生した場合において、−45°、45°及び90°に各検光子28a,28b,28cの検光角βが設定された各受光カメラ29a,29b,29cで鋼板21を幅方向に1ライン分走査して得られた鋼材21の1幅分の光強度信号a〜cの変化を図5(a)(b)(c)に示す。
【0152】
図示するように、−45°に検光角βが設定された受光カメラ29aの光強度信号aに疵(ヘゲ部11)に対応するピーク波形が発生する。この場合、45°に検光角βが設定された受光カメラ29bの光強度信号bには疵(ヘゲ部11)に対応するピーク波形は発生しない。
【0153】
また、鋼板21の幅方向の中央部に図11(c)に示すタイプの疵が発生した場合において、−45°、45°及び90°に各検光子28a,28b,28cの検光角βが設定された各受光カメラ29a,29b,29cで鋼板21を幅方向に1ライン分走査して得られた鋼材21の1幅分の光強度信号a〜cの変化を図6(a)(b)(c)に示す。
【0154】
図示するように、45°に検光角βが設定された受光カメラ29bの光強度信号bに疵(ヘゲ部11)に対応するピーク波形が発生する。この場合、−45°に検光角βが設定された受光カメラ29aの光強度信号aには疵(ヘゲ部11)に対応するピーク波形は発生しない。
【0155】
【表2】
【0156】
図11(c)のタイプの疵については、図示するように、一般に拡散反射方向に検出不能となる角度が存在するが、その角度が異なる2種類の疵について測定を行った。
【0157】
なお、比較のため、従来技術で、入射角60°で光を入射し、正反射方向(60°)と入射方向から20°ずれた受光角(−40゜)方向から無偏光で測定した結果も同時に記載した。
【0158】
従来技術では、2つの受光角で受光しノイズ除去のために論理和をとっているが、これらの疵については、2つの受光角を同時に検出することは不可能である。さらに言うと、どちらの受光角でも検出できない疵も存在する。
【0159】
それに対し、本発明の実施形態では、3つの異なる受光角に対応する反射光成分を、検光子28a,28b,28cを用いることにより正反射方向から抽出しているから、いずれかの受光カメラ29a〜29cで検出することが可能である。また、検出する必要がある疵の反射特性に合わせて、検光角βを最適値に設定することも容易である。
【0160】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0161】
図1に示す実施形態装置においては、3台の受光カメラ29a、29b、29cを用いたが、−45°の検光子28aを有する受光カメラ29aと、+45°の検光子28bを有する受光カメラ29bとの2台の受光カメラのみであっても、鋼板表面からの正反射光の光軸方向からヘゲ部11の存在を母材部12と区別して十分検出できる。
【0162】
表3に、鋼板21における表1に示した偏光反射特性を有する品種Aに対応した検光角90゜、45゜、−45゜の受光カメラ29a、29b、29cの各電子シャッターの各シャッター時間(開放時間)Ta、Tb、Tcと、鋼板21における品種Bに対応した検光角90゜、45゜、−45゜の受光カメラ29a、29b、29cの各シャッター時間(開放時間)Ta、Tb、Tcとの対応を示す。
【0163】
【表3】
【0164】
なお、表3の各シャッター時間(開放時間)は、品種Aの検光角45゜を1としたときの、他の検光角のシャッター時間(開放時間)の比率を示したものであり、シャッター時間の絶対値は光源光量、鋼板の反射率、走査(スキャン)周期の関係から定まる。
【0165】
このように、鋼板21の品種A,Bが変更になり、それに伴って鋼板31の表面の偏光反射特性が変化するのに応じて、各受光カメラ29a、29b、29cに組込まれた電子シャッターのシャッター時間(開放時間)Ta、Tb、Tcが自動的に例えば表3に示す値に変化する。よって、各受光カメラ29a、29b、29cにおける受光光量は常に最適値に制御される。
【0166】
なお、図1に示す実施形態装置においては、3台の受光カメラ29a〜29cに電子シャッターを備えたが、品種A,Bが変更になっても、反射光量が変わらない検光角に設定された受光カメラがある場合には、反射光量が変化する検光角、ここでは検光角45゜と−45゜の受光カメラのみに電子シャッターを組込み、検光角90゜の受光カメラには固定値の光量減少フィルターを用いて光量調整をする構成としても、各検光角の受光カメラの受光光量を同等にすることが可能である。
【0167】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の表面疵検査装置においては、被検査面での正反射光が鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分とからなるという知見に基づいて、それぞれの成分を区別して抽出して検出している。具体的には、線状拡散光源を使用し、p偏光、s偏光を共に有する偏光を被検査面に入射し、鋼板の正反射方向から、検光角を適当に設定することにより、鏡面反射成分をより多く含む成分と鏡面拡散反射成分をより多く含む成分とを抽出する構成とし、さらに、正反射光の各成分の強度を受光する各受光カメラに受光光量を調整する電子シャッターを組込んでいる。
【0168】
この構成により、鏡面反射成分からのみでは観察できない疵も検出可能となり、従来検出できなかった顕著な凹凸性を持たない模様状ヘゲ疵を検出漏れすることなく検出することが可能となった。
【0169】
また、鋼板正反射方向からの同一光軸上での測定で両成分が捕らえられるため、鋼板距離変動や速度変化の影響を受けない測定が実現した。また、検光子の検光角を調整することにより、どの角度の鏡面拡散反射成分を抽出するかを選択できるようになった。
【0170】
さらに、被検査面の偏光反射特性の変化に応じて、各受光カメラに組込まれた電子シャッターの開放時間を自動的に調整して、各受光手段の受光光量を一定に保つことができるため、被検査対象の種類や製造条件が変更し、正反射光の鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分の強度比が変化した場合についても、各成分の受光手段の受光光量をS/N比の良いレベルに調整し、安定した表面疵検査結果が得られるようになった。
【0171】
さらに、品質保証の観点からは、表面疵検査装置は未検出がないことが絶対条件である。そこで、本発明により表面処理鋼板等へ広く適用可能な未検出のない表面検査装置が実現できたので、従来までは検査員による目視の検査に頼っていた表面疵検査を自動化できるようになった点で産業上の利用効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる表面疵検査装置の概略構成を示す側面図及び上面図
【図2】 同表面疵検査装置におけるシャッター制御部の概略構成を示ブロック図
【図3】 同表面疵検査装置における受光カメラにおけるシャッタータイミングを示す図
【図4】 同表面疵検査装置における信号処理部の概略構成を示すブロック図
【図5】 同表面疵検査装置で測定された光強度信号波形図
【図6】 同じく同表面疵検査装置で測定された光強度信号波形図
【図7】 同表面疵検査装置の検査対象となる合金化亜鉛メッキ鋼板の製造方法及び詳細断面構造を示す図
【図8】 検査対象の鋼板におけるテンパ部と非テンパ部における入射光と反射光との関係を示す断面模式図
【図9】 同テンパ部と非テンパ部とにおける反射光の角度分布図
【図10】 鋼板に存在するヘゲ部の生成過程を説明するための図
【図11】 ヘゲ部における鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分と、母材部における鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分との関係を示す図
【図12】 鋼板の照射部における微小面素の法線角度と面積率との関係を示す図
【図13】 鋼板に対する入射光の入射角と微小面素の法線角度との関係を示す図
【図14】 微小面素の法線角度と重み関数との関係を示す図
【図15】 線状拡散光源の各位置からの各入射光と鋼板上の入射位置との関係を示す図
【図16】 線状拡散光源の各入射光が偏光されていた場合における反射光の偏光状態を示す図
【図17】 線状拡散光源の中央部からの各入射光が偏光されていた場合における微小面素からの反射光を示す図
【図18】 線状拡散光源の中央部以外の位置からの各入射光が偏光されていた場合における微小面素からの反射光を示す図
【図19】 微小面素の法線角度と反射光の楕円偏光状態との関係を示す図
【図20】 反射光の光路に検光子を挿入した場合における微小面素の法線角度と重み関数との関係を示す図
【図21】 検光子の検光角を変更した場合における微小面素の法線角度と重み関数との関係を示す図
【図22】 微小面素の法線角度と面積率との関係を示す図
【符号の説明】
4、21…鋼板
6…テンパ部
7…非テンパ部
8,23…入射光
9…鏡面反射光
10…鏡面拡散反射光
11…ヘゲ部
12…母材部
14,22…線状拡散光源
15,25…偏光板
16,29a,29b,29c…受光カメラ
17,28a,28b,28c…検光子
24…シリンドリカルレンズ
26…反射光
27…受光部
30a,30b,30c…平均値間引部
31a,31b,31c…前処理部
32a,32b,32c…2値化処理部
33a,33b,33c…特徴量判定部
34…鏡面性疵判定部
35…鏡面拡散性疵判定部
36…疵総合判定部
40…信号処理部
50…シャッター制御部
51a,51b,51c…信号入力部
52a,52b,52c…信号レベル検出部
53a,53b,53c…シャッター時間設定部
54a,54b,54c…シャッタータイミング発生部
55…カメラ同期信号発生部
Claims (2)
- 被検査面に対してこの被検査面に平行な方位角の成分及び垂直な方位角の成分を有する偏光を入射する線状拡散光源と、
前記被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち鏡面拡散反射成分に比較して鏡面反射成分をよリ多く抽出する方位角の検光子を有する第1の受光手段と、
前記被検査面からの正反射光に含まれる鏡面反射成分と鏡面拡散反射成分のうち鏡面反射成分に比較して鏡面拡散反射成分をよリ多く抽出する方位角の検光子を有する第2の受光手段と、
前記第1及び第2の受光手段で受光された鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分に基づいて前記被検査面の表面疵の有無を判定する判定処理部と
を備えた表面疵検査装置であつて、
前記第1及び第2の受光手段に対して、入射光の受光時間を調整することによって、この第1及び第2の受光手段に入射される各光量を所定値に制御するための電子シャッターをそれぞれ備えたことを特徴とする表面疵検査装置。 - 前記各受光手段にて受光された鏡面反射成分及び鏡面拡散反射成分の各受光光量を検出し、この検出された各受光光量がそれぞれ前記所定値に一致するように前記各受光手段に備えられた各電子シャッターの入射光の受光時間を自動制御するシャッター制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の表面疵検査装置。
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