JPH09124885A - ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法

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JPH09124885A
JPH09124885A JP28352695A JP28352695A JPH09124885A JP H09124885 A JPH09124885 A JP H09124885A JP 28352695 A JP28352695 A JP 28352695A JP 28352695 A JP28352695 A JP 28352695A JP H09124885 A JPH09124885 A JP H09124885A
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正行 野沢
Masaya Fujita
昌也 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃強度と剛性のバランスに優れ、しかも光
沢に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (a)スチレン系樹脂マトリックス中に
分散しているゴム状重合体の分散粒子の重量平均粒子径
が0.4〜0.9μmの範囲にあり、かつ粒子径が1.
2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下、0.2
μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%以下であり、
(b)該組成物中に含有されているトルエン不溶分とゴ
ム成分の比率が1.2〜2.5の範囲にあり、(c)該
組成物中にシリコーンオイルが0.005〜0.5重量
%含有されているゴム変性スチレン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衝撃強度と剛性のバ
ランスに優れ、しかも光沢に優れたゴム変性スチレン系
樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、耐衝撃性を得るためにゴム状重合体の粒子径(ゴム
粒子径)を通常1〜3μmとしてスチレン系樹脂相中に
分散させているが、光沢に劣るため外観を必要とする用
途に使いにくいという問題があった。そこで、耐衝撃性
と光沢のバランスを改良する目的で、1μm以下のゴム
粒子径をもつゴム変性スチレン系樹脂に、シリコーンオ
イル等を含有させ耐衝撃性を補償する方法(特公平3−
76338、特公平5−11143、特公平5−456
24)、さらにこれにゲル成分とゴム成分の比率を調整
する方法(特公平7−53816)が提案されている。
しかし、これらの方法では衝撃強度と剛性のバランスが
未だ不十分であった。
【0003】また、特公平3−62723及び特公平1
−34453では、ゴム状物質中に内蔵される芳香族ビ
ニル重合体の平均粒子径を調整することで、着色性や外
観性を改良することが提案されており、この他、コアシ
ェル構造を有するゴム粒子とサラミ構造を有するゴム粒
子をブレンドし、二峰性ゴム粒子径分布とする方法など
も提案されているが、これらはいずれも光沢測定値は高
い値を示すが実際の成形品を目視で評価した時の光沢感
( 反射像の鮮明度) に欠けていたり、さらに表面硬度が
低い等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、かかる欠点を克服し、優れた光沢と高い耐衝撃性・
剛性を併せ持つ、光沢ムラの少ないゴム変性スチレン系
樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、限られた粒子径範囲のゴム粒子を特定の
ゴム粒子構造で分散させたゴム変性スチレン系樹脂に、
さらにシリコーンオイルを含有させることで、上記課題
を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、原料ゴム状重合体の
存在下で芳香族ビニル系単量体を重合して得られるゴム
変性スチレン系樹脂組成物において、(a)スチレン系
樹脂マトリックス中に分散しているゴム状重合体の分散
粒子の平均粒子径が0.4〜0.9μmの範囲にあり、
かつ粒子径が1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重
量%以下、0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量
%以下であり、(b)該組成物中に含有されているトル
エン不溶分とゴム成分の比率が1.2〜2.5の範囲に
あり、(c)該組成物中にシリコーンオイルが0.00
5〜0.5重量%含有されていることを特徴とするゴム
変性スチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0007】そして、本発明においては、原料ゴム状重
合体の5wt%スチレン溶液の25℃における溶液粘度
(SV値) が10cps〜50cpsの範囲であること
が望ましく、また、使用する原料ゴム状重合体の70重
量%以上がローシスポリブタジエンゴム、スチレン成分
が10wt%以下であるスチレン−ブタジエンゴム、あ
るいはこれらゴムの混合物の内から選ばれたものである
ことが望ましい。更に原料ゴム状重合体と芳香族ビニル
系単量体の原料溶液を、完全混合型反応器とプラグフロ
ー型反応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給し
て、完全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しな
い範囲まで重合し、引き続きプラグフロー型重合反応器
で重合してゴム状重合体を分散粒子化させつつ連続塊状
重合を行った重合溶液を、減圧下で揮発分を除去してか
ら造粒することを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂製
造工程中の任意の段階で、シリコーンオイルを添加する
上記記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法で
ある。
【0008】本発明について以下、詳細に説明する。本
発明のゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在
下に芳香族ビニル系単量体を重合させることにより得る
ことができる。本発明に使用する芳香族ビニル系単量体
としては、スチレン、α- メチルスチレン、o-メチルス
チレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニル
エチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンあ
るいはハロゲン含有ビニル系単量体等が例示でき、これ
らを1種もしくは2種以上使用することが出来る。
【0009】本発明においては、さらに他のメタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、フェ
ニルマレイミド等のスチレンと共重合可能なビニル系単
量体を1種もしくは2種以上を組み合せて使用してもよ
い。これら、ビニル系単量体の使用量は、スチレン系単
量体に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量
%以下の割合であることが望ましい。
【0010】本発明で用いる原料のゴム状重合体として
は、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天
然ゴム等が使用できる。スチレンブタジエンゴムの構造
は、ランダム型であってもよいし、ブロック型あるいは
テーパー型であってもよい。これらのゴム状重合体は、
その1種のみを用いることもできるし、2種以上を組み
合わせて用いることもできる。特に本発明でゴム状重合
体として、ポリブタジエンゴムまたはスチレンブタジエ
ンゴムを使用する場合、使用するゴム状重合体の70重
量%以上、より好ましくは80重量%以上がローシスポ
リブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、あるい
はこれらゴムの混合物の内から選ばれたものであること
が衝撃強度をより向上させる点から望ましい。
【0011】ここで、ローシスポリブタジエンゴムと
は、1,4シス結合含量が15〜40%であるポリブタ
ジエンゴムを意味するものとする。またスチレン−ブタ
ジエンゴム中のスチレン成分が増加するに従い低温時の
衝撃強度が低下する傾向があるため、スチレン−ブタジ
エンゴム中のスチレン成分は10wt%以下、更に好ま
しくは5wt%以下であることが望ましい。
【0012】本発明に使用する原料のゴム状重合体の5
wt%スチレン溶液の25℃における溶液粘度(SV値)
は10cps〜50cpsの範囲であることが望まし
い。溶液粘度が10cps以下であると、ゴム状重合体
分散粒子の平均粒子径を0.4μm以上に調節すること
が難しくなり、またコアシェル構造を有する分散粒子の
割合が増加する傾向にある。また、溶液粘度が50cp
sを越えると、ゴム状重合体分散粒子の平均粒子径を
0.9μm以下に調節するための高速撹袢機あるいは分
散器などの設備を導入する必要が生じて装置が高価にな
ることと、分散粒子の粒子径分布が広がるために光沢が
低下する傾向にあり好ましくない。
【0013】本発明の樹脂組成物中のゴム状重合体の含
有量は、4〜20重量%であることが好ましい。ゴム状
重合体の含有量が4重量%未満では耐衝撃性が不十分で
あり、20重量%を超えると剛性が実用的な範囲以下に
低下するため好ましくない。衝撃強度と剛性のバランス
を考えると、6〜13重量%であることがより好まし
い。本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物において、
ゴム状重合体はスチレン系樹脂マトリックス中に分散し
ている必要があり、分散粒子が実質的にサラミ構造を有
することが望ましい。ここでサラミ構造とは、粒子中に
内包しているスチレン系重合体の粒子が3個以上である
ことを意味し、分散粒子が実質的にサラミ構造を有する
とは、全分散粒子中に占めるサラミ構造を有する分散粒
子の体積分率が90%以上であることを意味する。
【0014】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
分散するゴム状重合体の分散粒子の重量平均粒子径は
0.4〜0.9μm、好ましくは0.5〜0.8μmで
あることが必要である。重量平均粒子径が0.4μm未
満では耐衝撃性が不十分であり、0.9μmを越えると
光沢が著しく低下する。またゴム変性スチレン系樹脂組
成物中に分散する分散ゴム粒子の粒子径は、1.2μm
以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下であることが必
要であり、3重量%以下であることが好ましい。また、
分散ゴム粒子の粒子径が0.2μm以下の分散粒子が全
粒子の5重量%以下であることが必要であり、3重量%
以下であることが好ましい。1.2μm以上の分散粒子
が全粒子の5重量%を超えると外観、特に像の鮮明度が
低下し、0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%
を超えると耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0015】本発明において、光沢・耐衝撃性・剛性の
物性バランスを満足するためには、組成物中に含まれる
トルエン不溶分(X重量%) と、ゴム成分(Y重量%)
の比率(X/Y) が、1.2〜2.5の範囲であること
が必要であり、好ましくは1.2〜2.3、さらに好ま
しくは1.2〜2未満の範囲である。X/Yが1.2以
下では、耐衝撃性の低下が著しくなり、逆に2.5以上
では剛性が大きく低下するため、満足する物性バランス
が得られない。ここでトルエン不溶分とは、ゴム変性ス
チレン系樹脂組成物のペレット1gをトルエン30ml
に溶解させたときの不溶分を意味し、通常は遠心分離機
で不溶分を分離させ、乾燥させて得られる固形分の重量
を測定して求める。
【0016】さらに、本発明のゴム変性スチレン系樹脂
組成物には、シリコーンオイルが0.005〜0.5重
量%含有されている必要がある。シリコーンオイルの含
有量が0.005重量%より少ないと耐衝撃性向上の効
果が低くなり、0.5重量%より多くなると、シリコー
ンオイルの添加効果が頭打ちになるだけでなく、樹脂を
成形した時に成形品表面にブリードして外観不良をきた
す等の問題を生じる場合がある。使用するシリコーンオ
イルとしては特に限定しないが、25℃における表面張
力が19〜22dyne/cm の範囲のシリコーンオイルが特
に効果的であり、少量の添加で効果が発現する。シリコ
ーンオイルの表面張力が19〜22dyne/cm の範囲をは
ずれると耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0017】シリコーンオイルを使用する場合は、ゴム
変性スチレン系樹脂組成物の製造工程の任意の段階で添
加することができる。たとえば、重合を行なう前の原料
に対して添加しても良く、重合途中の重合液に添加して
も良く、また、重合終了後の造粒工程で添加しても良
く、さらに、混練機を用いて添加したり、成形機におい
て添加することができる。重合終了後に添加する方法と
して、たとえばスチレン系樹脂またはゴム変性スチレン
系樹脂を用いてシリコーンオイルが高濃度のマスターペ
レットを製造し、このマスターペレットとゴム変性スチ
レン系樹脂を混合する方法を用いても良い。
【0018】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を
製造するには、上記した原料ゴム状重合体と芳香族ビニ
ル系単量体に必要に応じて、有機過酸化物触媒と連鎖移
動剤および有機溶媒等を添加した原料溶液を、完全混合
型反応器と1もしくは必要に応じて複数のプラグフロー
型反応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給し
て、完全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しな
い範囲まで重合し引き続きプラグフロー型重合反応器で
重合してゴム状重合体を分散粒子化させる方法が望まし
い。完全混合型反応器を用いないと、樹脂組成物中に含
まれるトルエン不溶分量とゴム成分の比率を2.5以下
に調節することが難しく、また完全混合型反応器を用い
ても、この段階でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲
を越えて重合してしまうと、分散粒子の平均粒子径が著
しく大きくなってしまう上に、得られた組成物の衝撃強
度も低下する傾向があるため好ましくない。
【0019】得られた重合反応溶液は、減圧下で揮発分
を除去してから造粒する。なおシリコーンオイルは、上
記重合工程中の任意の段階または造粒段階で添加されて
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を得ることがで
きる。その他本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に
は、さらに必要に応じて、重合の任意の段階であるいは
造粒の直前までに、連鎖移動剤,溶媒,内部潤滑剤,可
塑剤,酸化防止剤,帯電防止剤,離型剤、難燃剤、着色
剤等の添加剤等を添加してもかまわない。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明を更に詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではない。なお、実施例中の樹脂の物性は
次に示す方法により求めた。 (1) トルエン不溶分 ゴム変性スチレン系樹脂組成物の樹脂ペレット1gをト
ルエン30mlに溶解させた後、遠心分離機(国産遠心
器株式会社製 H−2000B)により半径11.4c
mのローターを用いて、回転数14000rpm、20
℃で30分、遠心沈降させ、上澄み液を除去し不溶分を
分離する。不溶分を乾燥させてトルエンを除去した後、
トルエン不溶分の重量を測定し、下記の式でトルエン不
溶分( 重量%)求める。 トルエン不溶分( 重量%)=(トルエン不溶分の重量/
樹脂組成物の重量)×100
【0021】(2) ゴム成分 ウィス法により求めた。 (3) ゴム粒子径 樹脂を四酸化オスミウム染色し、超薄切片法により電子
顕微鏡写真を撮影する。10000倍に拡大した写真に
おいて、分散ゴム粒子1000個以上の粒子径を測定し
て次式により重量平均粒子径を求める。 平均粒子径=ΣniDi4 /ΣniDi3 (ここでniは粒子径Diのゴム状重合体粒子の個数で
ある)
【0022】(4) IZ衝撃強度 JIS−6871( ノッチつき) に準拠して測定した。 (5) 曲げ弾性率 ASTM D−790に準拠して求めた。 (6) 光沢 JIS K 7105に準拠して求めた。 ( 7) 像鮮明度 JIS K 7105に準拠して求めた。
【0023】
【実施例】
実施例1.スチレン90重量部、ローシスポリブタジエ
ンゴム(SV値35cps)10重量部を溶解した混合
液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部と
ジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサン0.01
5重量部を添加して溶解した原料液を22容量部/hr
の供給速度で25容量部の内容積の第1の完全混合槽型
反応器に連続的に供給し110℃で重合した後、引き続
き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器で
ある第2の反応器に連続的に装入して重合した。第2の
反応器出口の重合温度は、140℃となるように調節し
た。撹袢機の回転数は、第1および第2の反応器ともに
150回転/分とした。第1の反応器の出口では、ゴム
状重合体はまだ分散粒子化していない状態であり、第2
の反応器で撹拌しながら重合した結果、第2の反応器の
出口では重合液は分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器から
なる第3の反応器に上記重合液を連続的に装入し、出口
重合温度が160℃となるように調節して重合を継続し
てスチレンの重合転化率85%になるまで重合を進行さ
せた。この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後
に、樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面
張力20.9dyne/cm)0.05重量部と流動パ
ラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂組成物中のゴム状重合体の分散粒子は、実
質的にサラミ構造を有しており、その樹脂の物性値の測
定結果を表1に示す。
【0024】実施例2.スチレン90重量部、スチレン
−ブタジエンゴム(SV値25cps)10重量部を溶
解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン2
2重量部を添加して溶解した原料液を22容量部/hr
の供給速度で25容量部の内容積の第1の完全混合槽型
反応器に連続的に供給し123℃で重合した後、引き続
き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器で
ある第2の反応器に連続的に装入して重合した。第2の
反応器出口の重合温度は、140℃となるように調節し
た。撹袢機の回転数は、第1および第2の反応器ともに
150回転/分とした。第1の反応器の出口では、ゴム
状重合体はまだ分散粒子化していない状態であり、第2
の反応器で撹拌しながら重合した結果、第2の反応器の
出口では重合液は分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器から
なる第3の反応器に上記重合液を連続的に装入し、重合
温度が160℃となるように調節して重合を継続してス
チレンの重合転化率77%になるまで重合を進行させ
た。この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、
樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力
20.9dyne/cm)0.3重量部と流動パラフィ
ン0.5重量部を添加してからペレット化した。得られ
た樹脂の物性値の測定結果を表1に示す。
【0025】実施例3.スチレン90重量部、スチレン
−ブタジエンゴム(SV値25cps)5重量部、ロー
シスポリブタジエンゴム(SV値35cps) 5重量部
を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼ
ン22重量部とターシャリドデシルメルカプタン0.0
1重量部を添加した原料液を用いた以外は、実施例2と
同様の条件で実施した。スチレンの最終重合転化率は7
4%であった。得られた樹脂の物性値測定結果を表1に
示す。
【0026】実施例4.スチレン92.5重量部、ロー
シスポリブタジエンゴム(SV値35cps)7.5重
量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベ
ンゼン22重量部とターシャリドデシルメルカプタン
0.01重量部およびジターシャリブチルパーオキシシ
クロヘキサン0.015重量部を添加した原料液を用い
た以外は、実施例1と同様の条件で実施した。スチレン
の最終重合転化率は83%であった。得られた樹脂の物
性値の測定結果を表1に示す。
【0027】実施例5 スチレン92重量部、ローシスポリブタジエンゴム(S
V値35cps)7.5重量部およびハイシスポリブタ
ジエンゴム(SV値80cps)2.5重量部を溶解し
た混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重
量部を添加した原料液を用い、第二反応器内の攪拌機の
回転数を260回転/分とした以外は、実施例2と同様
の条件で実施した。樹脂100重量部に対してシリコー
ンオイル(表面張力21.5dyne/cm )0.01重量部
と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット
化した。得られた樹脂の物性値の測定結果を表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】比較例1.第2の反応器内の撹袢機の回転
数を380回転/分とした以外は、実施例1と同様の条
件で実施した。得られた樹脂の物性値の測定結果を表2
に示す。
【0030】比較例2.スチレン92重量部、ローシス
ポリブタジエンゴム( SV値85cps) 8重量部を溶
解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン2
2重量部とジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサ
ン0.015重量部を添加して溶解した原料液を22容
量部/hrの供給速度で25容量部の内容積の第1の完
全混合槽型反応器に連続的に供給し128℃で重合した
後、引き続き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー
型反応器である第2の反応器に連続的に装入して重合し
た。第2の反応器出口の重合温度は、140℃になるよ
うに調整した。撹袢機の回転数は、第1の反応器を40
0回転/分、第2の反応器を150回転/分とした。第
1の反応器の出口では、重合液はすでにゴム状重合体の
分散粒子化が終了した状態であった。次いで、内容積2
0容量部のプラグフロー型反応器からなる第3の反応器
に上記重合液を連続的に全量装入し、重合温度が160
℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重合
転化率80%になるまで重合を進行させた。この重合液
を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重量
部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dyn
e/cm)0.05重量部と流動パラフィン0.5重量
部を添加してからペレット化した。得られた樹脂の物性
値の測定結果を表2に示す。
【0031】比較例3.スチレン90重量部、ローシス
ポリブタジエンゴム(SV値35cps) 10重量部を
溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン
22重量部とジターシャリブチルパーオキシシクロヘキ
サン0.025重量部を添加して溶解した原料液を、2
2容量部/hrの供給速度で60容量部の撹拌機付き塔
型プラグフロー型反応器である第1の反応器に連続的に
装入して重合した。第1の反応器内の重合温度は、11
8〜140℃の範囲で流れ方向に沿って温度が高くなる
ような温度勾配が生じるように調節し、撹袢機の回転数
は120回転/分とした。第1の反応器で撹拌しながら
重合した結果、第1の反応器の出口では重合液は分散粒
子化が終了した状態であった。次いで、内容積20容量
部のプラグフロー型反応器を3器直列に連結した第2の
反応器に上記重合液を連続的に装入し、重合温度が16
0℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重
合転化率87%になるまで重合を進行させた。この重合
液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重
量部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dy
ne/cm)0.05重量部と流動パラフィン0.5重
量部を添加してからペレット化した。得られた樹脂の物
性値の測定結果を表2に示す。
【0032】比較例4.スチレン92重量部、ハイシス
ポリブタジエンゴム( SV値80cps) 9重量部を溶
解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン2
2重量部を添加した原料液を用い、第2の反応器内の撹
袢機の回転数を200回転/分とした以外は、実施例2
と同様の条件で実施した。得られた樹脂の物性値の測定
結果を表2に示す。
【0033】比較例5.シリコーンオイル(表面張力2
0.9dyne/cm)の添加量を樹脂100重量部に
対して0.001重量部とした以外は、実施例1と同様
の条件で実施した。 得られた樹脂の物性値の測定結果
を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物
は、光沢、耐衝撃性、剛性の優れたものであることか
ら、たとえば電気・電子分野の製品のハウジング材を中
心に、広範の範囲で使用することができ、特に、外観特
性の要求される部品に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08L 51/04 83:04)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニ
    ル系単量体を重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂
    組成物において、(a)スチレン系樹脂マトリックス中
    に分散しているゴム状重合体の分散粒子の重量平均粒子
    径が0.4〜0.9μmの範囲にあり、かつ粒子径が
    1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下、
    0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%以下であ
    り、(b)該組成物中に含有されているトルエン不溶分
    とゴム成分の比率が1.2〜2.5の範囲にあり、
    (c)該組成物中にシリコーンオイルが0.005〜
    0.5重量%含有されていることを特徴とするゴム変性
    スチレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 原料ゴム状重合体の5wt%スチレン溶液
    の25℃における溶液粘度(SV値) が10cps〜5
    0cpsの範囲である請求項1記載のゴム変性スチレン
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 使用する原料ゴム状重合体の70重量%
    以上がローシスポリブタジエンゴム、スチレン成分が1
    0wt%以下であるスチレン−ブタジエンゴムあるいは
    これらゴムの混合物の内から選ばれたものである請求項
    1または請求項2記載のゴム変性スチレン系樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 原料ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量
    体の原料溶液を、完全混合型反応器とプラグフロー型反
    応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給して、完
    全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲
    まで重合し、引き続きプラグフロー型重合反応器で重合
    してゴム状重合体を分散粒子化させつつ連続塊状重合を
    行った後、減圧下で揮発分を除去して造粒することを特
    徴とするゴム変性スチレン系樹脂製造工程中の任意の段
    階で、シリコーンオイルを添加する請求項1記載のゴム
    変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
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