JP3655374B2 - ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3655374B2 JP3655374B2 JP28352695A JP28352695A JP3655374B2 JP 3655374 B2 JP3655374 B2 JP 3655374B2 JP 28352695 A JP28352695 A JP 28352695A JP 28352695 A JP28352695 A JP 28352695A JP 3655374 B2 JP3655374 B2 JP 3655374B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- weight
- styrene
- polymer
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Graft Or Block Polymers (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は衝撃強度と剛性のバランスに優れ、しかも光沢に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、耐衝撃性を得るためにゴム状重合体の粒子径(ゴム粒子径)を通常1〜3μmとしてスチレン系樹脂相中に分散させているが、光沢に劣るため外観を必要とする用途に使いにくいという問題があった。そこで、耐衝撃性と光沢のバランスを改良する目的で、1μm以下のゴム粒子径をもつゴム変性スチレン系樹脂に、シリコーンオイル等を含有させ耐衝撃性を補償する方法(特公平3−76338、特公平5−11143、特公平5−45624)、さらにこれにゲル成分とゴム成分の比率を調整する方法(特公平7−53816)が提案されている。しかし、これらの方法では衝撃強度と剛性のバランスが未だ不十分であった。
【0003】
また、特公平3−62723及び特公平1−34453では、ゴム状物質中に内蔵される芳香族ビニル重合体の平均粒子径を調整することで、着色性や外観性を改良することが提案されており、この他、コアシェル構造を有するゴム粒子とサラミ構造を有するゴム粒子をブレンドし、二峰性ゴム粒子径分布とする方法なども提案されているが、これらはいずれも光沢測定値は高い値を示すが実際の成形品を目視で評価した時の光沢感( 反射像の鮮明度) に欠けていたり、さらに表面硬度が低い等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、かかる欠点を克服し、優れた光沢と高い耐衝撃性・剛性を併せ持つ、光沢ムラの少ないゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、限られた粒子径範囲のゴム粒子を特定のゴム粒子構造で分散させたゴム変性スチレン系樹脂に、さらにシリコーンオイルを含有させることで、上記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、原料ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニル系単量体を重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法において、原料ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量体の原料溶液を、完全混合型反応器とプラグフロー型反応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給して、完全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲まで重合し、引き続きプラグフロー型重合反応器で重合してゴム状重合体を分散粒子化させつつ連続塊状重合を行った後、減圧下で揮発分を除去して造粒すると共に、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造工程中の任意の段階で、シリコーンオイルを添加することにより、(a)スチレン系樹脂マトリックス中に分散しているゴム状重合体の分散粒子の平均粒子径が0.4〜0.9μmの範囲にあり、かつ粒子径が1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下、0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%以下であり、(b)該組成物中に含有されているトルエン不溶分とゴム成分の比率が1.2〜2.5の範囲にあり、(c)該組成物中にシリコーンオイルが0.005〜0.5重量%含有されていることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0007】
そして、本発明においては、原料ゴム状重合体の5wt%スチレン溶液の25℃における溶液粘度(SV値)が10cps〜50cpsの範囲であることが望ましく、また、使用する原料ゴム状重合体の70重量%以上がローシスポリブタジエンゴム、スチレン成分が10wt%以下であるスチレン−ブタジエンゴム、あるいはこれらゴムの混合物の内から選ばれたものであることが望ましい。
【0008】
本発明について以下、詳細に説明する。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル系単量体を重合させることにより得ることができる。
本発明に使用する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α- メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンあるいはハロゲン含有ビニル系単量体等が例示でき、これらを1種もしくは2種以上使用することが出来る。
【0009】
本発明においては、さらに他のメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド等のスチレンと共重合可能なビニル系単量体を1種もしくは2種以上を組み合せて使用してもよい。これら、ビニル系単量体の使用量は、スチレン系単量体に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下の割合であることが望ましい。
【0010】
本発明で用いる原料のゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム等が使用できる。スチレンブタジエンゴムの構造は、ランダム型であってもよいし、ブロック型あるいはテーパー型であってもよい。これらのゴム状重合体は、その1種のみを用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
特に本発明でゴム状重合体として、ポリブタジエンゴムまたはスチレンブタジエンゴムを使用する場合、使用するゴム状重合体の70重量%以上、より好ましくは80重量%以上がローシスポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、あるいはこれらゴムの混合物の内から選ばれたものであることが衝撃強度をより向上させる点から望ましい。
【0011】
ここで、ローシスポリブタジエンゴムとは、1,4シス結合含量が15〜40%であるポリブタジエンゴムを意味するものとする。
またスチレン−ブタジエンゴム中のスチレン成分が増加するに従い低温時の衝撃強度が低下する傾向があるため、スチレン−ブタジエンゴム中のスチレン成分は10wt%以下、更に好ましくは5wt%以下であることが望ましい。
【0012】
本発明に使用する原料のゴム状重合体の5wt%スチレン溶液の25℃における溶液粘度(SV値) は10cps〜50cpsの範囲であることが望ましい。溶液粘度が10cps以下であると、ゴム状重合体分散粒子の平均粒子径を0.4μm以上に調節することが難しくなり、またコアシェル構造を有する分散粒子の割合が増加する傾向にある。また、溶液粘度が50cpsを越えると、ゴム状重合体分散粒子の平均粒子径を0.9μm以下に調節するための高速撹袢機あるいは分散器などの設備を導入する必要が生じて装置が高価になることと、分散粒子の粒子径分布が広がるために光沢が低下する傾向にあり好ましくない。
【0013】
本発明の樹脂組成物中のゴム状重合体の含有量は、4〜20重量%であることが好ましい。ゴム状重合体の含有量が4重量%未満では耐衝撃性が不十分であり、20重量%を超えると剛性が実用的な範囲以下に低下するため好ましくない。衝撃強度と剛性のバランスを考えると、6〜13重量%であることがより好ましい。本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物において、ゴム状重合体はスチレン系樹脂マトリックス中に分散している必要があり、分散粒子が実質的にサラミ構造を有することが望ましい。
ここでサラミ構造とは、粒子中に内包しているスチレン系重合体の粒子が3個以上であることを意味し、分散粒子が実質的にサラミ構造を有するとは、全分散粒子中に占めるサラミ構造を有する分散粒子の体積分率が90%以上であることを意味する。
【0014】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物に分散するゴム状重合体の分散粒子の重量平均粒子径は0.4〜0.9μm、好ましくは0.5〜0.8μmであることが必要である。重量平均粒子径が0.4μm未満では耐衝撃性が不十分であり、0.9μmを越えると光沢が著しく低下する。
またゴム変性スチレン系樹脂組成物中に分散する分散ゴム粒子の粒子径は、1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下であることが必要であり、3重量%以下であることが好ましい。また、分散ゴム粒子の粒子径が0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%以下であることが必要であり、3重量%以下であることが好ましい。1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%を超えると外観、特に像の鮮明度が低下し、0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%を超えると耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0015】
本発明において、光沢・耐衝撃性・剛性の物性バランスを満足するためには、組成物中に含まれるトルエン不溶分(X重量%) と、ゴム成分(Y重量%) の比率(X/Y) が、1.2〜2.5の範囲であることが必要であり、好ましくは1.2〜2.3、さらに好ましくは1.2〜2未満の範囲である。X/Yが1.2以下では、耐衝撃性の低下が著しくなり、逆に2.5以上では剛性が大きく低下するため、満足する物性バランスが得られない。
ここでトルエン不溶分とは、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のペレット1gをトルエン30mlに溶解させたときの不溶分を意味し、通常は遠心分離機で不溶分を分離させ、乾燥させて得られる固形分の重量を測定して求める。
【0016】
さらに、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物には、シリコーンオイルが0.005〜0.5重量%含有されている必要がある。シリコーンオイルの含有量が0.005重量%より少ないと耐衝撃性向上の効果が低くなり、0.5重量%より多くなると、シリコーンオイルの添加効果が頭打ちになるだけでなく、樹脂を成形した時に成形品表面にブリードして外観不良をきたす等の問題を生じる場合がある。使用するシリコーンオイルとしては特に限定しないが、25℃における表面張力が19〜22dyne/cm の範囲のシリコーンオイルが特に効果的であり、少量の添加で効果が発現する。シリコーンオイルの表面張力が19〜22dyne/cm の範囲をはずれると耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0017】
シリコーンオイルを使用する場合は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造工程の任意の段階で添加することができる。たとえば、重合を行なう前の原料に対して添加しても良く、重合途中の重合液に添加しても良く、また、重合終了後の造粒工程で添加しても良く、さらに、混練機を用いて添加したり、成形機において添加することができる。重合終了後に添加する方法として、たとえばスチレン系樹脂またはゴム変性スチレン系樹脂を用いてシリコーンオイルが高濃度のマスターペレットを製造し、このマスターペレットとゴム変性スチレン系樹脂を混合する方法を用いても良い。
【0018】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を製造するには、上記した原料ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量体に必要に応じて、有機過酸化物触媒と連鎖移動剤および有機溶媒等を添加した原料溶液を、完全混合型反応器と1もしくは必要に応じて複数のプラグフロー型反応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給して、完全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲まで重合し引き続きプラグフロー型重合反応器で重合してゴム状重合体を分散粒子化させる。
完全混合型反応器を用いないと、樹脂組成物中に含まれるトルエン不溶分量とゴム成分の比率を2.5以下に調節することが難しく、また完全混合型反応器を用いても、この段階でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲を越えて重合してしまうと、分散粒子の平均粒子径が著しく大きくなってしまう上に、得られた組成物の衝撃強度も低下する傾向があるため好ましくない。
【0019】
得られた重合反応溶液は、減圧下で揮発分を除去してから造粒する。なおシリコーンオイルは、上記重合工程中の任意の段階または造粒段階で添加されて本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を得ることができる。
その他本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物には、さらに必要に応じて、重合の任意の段階であるいは造粒の直前までに、連鎖移動剤,溶媒,内部潤滑剤,可塑剤,酸化防止剤,帯電防止剤,離型剤、難燃剤、着色剤等の添加剤等を添加してもかまわない。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の樹脂の物性は次に示す方法により求めた。
(1) トルエン不溶分
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の樹脂ペレット1gをトルエン30mlに溶解させた後、遠心分離機(国産遠心器株式会社製 H−2000B)により半径11.4cmのローターを用いて、回転数14000rpm、20℃で30分、遠心沈降させ、上澄み液を除去し不溶分を分離する。不溶分を乾燥させてトルエンを除去した後、トルエン不溶分の重量を測定し、下記の式でトルエン不溶分( 重量%)求める。
トルエン不溶分( 重量%)
=(トルエン不溶分の重量/樹脂組成物の重量)×100
【0021】
(2) ゴム成分
ウィス法により求めた。
(3) ゴム粒子径
樹脂を四酸化オスミウム染色し、超薄切片法により電子顕微鏡写真を撮影する。10000倍に拡大した写真において、分散ゴム粒子1000個以上の粒子径を測定して次式により重量平均粒子径を求める。
平均粒子径=ΣniDi4 /ΣniDi3
(ここでniは粒子径Diのゴム状重合体粒子の個数である)
【0022】
(4) IZ衝撃強度
JIS−6871( ノッチつき) に準拠して測定した。
(5) 曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠して求めた。
(6) 光沢
JIS K 7105に準拠して求めた。
( 7) 像鮮明度
JIS K 7105に準拠して求めた。
【0023】
【実施例】
実施例1.
スチレン90重量部、ローシスポリブタジエンゴム(SV値35cps)10重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部とジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサン0.015重量部を添加して溶解した原料液を22容量部/hrの供給速度で25容量部の内容積の第1の完全混合槽型反応器に連続的に供給し110℃で重合した後、引き続き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器である第2の反応器に連続的に装入して重合した。第2の反応器出口の重合温度は、140℃となるように調節した。撹袢機の回転数は、第1および第2の反応器ともに150回転/分とした。
第1の反応器の出口では、ゴム状重合体はまだ分散粒子化していない状態であり、第2の反応器で撹拌しながら重合した結果、第2の反応器の出口では重合液は分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器からなる第3の反応器に上記重合液を連続的に装入し、出口重合温度が160℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重合転化率85%になるまで重合を進行させた。この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dyne/cm)0.05重量部と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂組成物中のゴム状重合体の分散粒子は、実質的にサラミ構造を有しており、その樹脂の物性値の測定結果を表1に示す。
【0024】
実施例2.
スチレン90重量部、スチレン−ブタジエンゴム(SV値25cps)10重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部を添加して溶解した原料液を22容量部/hrの供給速度で25容量部の内容積の第1の完全混合槽型反応器に連続的に供給し123℃で重合した後、引き続き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器である第2の反応器に連続的に装入して重合した。第2の反応器出口の重合温度は、140℃となるように調節した。撹袢機の回転数は、第1および第2の反応器ともに150回転/分とした。
第1の反応器の出口では、ゴム状重合体はまだ分散粒子化していない状態であり、第2の反応器で撹拌しながら重合した結果、第2の反応器の出口では重合液は分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器からなる第3の反応器に上記重合液を連続的に装入し、重合温度が160℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重合転化率77%になるまで重合を進行させた。
この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dyne/cm)0.3重量部と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表1に示す。
【0025】
実施例3.
スチレン90重量部、スチレン−ブタジエンゴム(SV値25cps)5重量部、ローシスポリブタジエンゴム(SV値35cps) 5重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部とターシャリドデシルメルカプタン0.01重量部を添加した原料液を用いた以外は、実施例2と同様の条件で実施した。スチレンの最終重合転化率は74%であった。
得られた樹脂の物性値測定結果を表1に示す。
【0026】
実施例4.
スチレン92.5重量部、ローシスポリブタジエンゴム(SV値35cps)7.5重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部とターシャリドデシルメルカプタン0.01重量部およびジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサン0.015重量部を添加した原料液を用いた以外は、実施例1と同様の条件で実施した。スチレンの最終重合転化率は83%であった。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表1に示す。
【0027】
実施例5
スチレン92重量部、ローシスポリブタジエンゴム(SV値35cps)7.5重量部およびハイシスポリブタジエンゴム(SV値80cps)2.5重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部を添加した原料液を用い、第二反応器内の攪拌機の回転数を260回転/分とした以外は、実施例2と同様の条件で実施した。
樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力21.5dyne/cm )0.01重量部と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
比較例1.
第2の反応器内の撹袢機の回転数を380回転/分とした以外は、実施例1と同様の条件で実施した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表2に示す。
【0030】
比較例2.
スチレン92重量部、ローシスポリブタジエンゴム( SV値85cps) 8重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部とジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサン0.015重量部を添加して溶解した原料液を22容量部/hrの供給速度で25容量部の内容積の第1の完全混合槽型反応器に連続的に供給し128℃で重合した後、引き続き60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器である第2の反応器に連続的に装入して重合した。第2の反応器出口の重合温度は、140℃になるように調整した。
撹袢機の回転数は、第1の反応器を400回転/分、第2の反応器を150回転/分とした。第1の反応器の出口では、重合液はすでにゴム状重合体の分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器からなる第3の反応器に上記重合液を連続的に全量装入し、重合温度が160℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重合転化率80%になるまで重合を進行させた。この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dyne/cm)0.05重量部と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表2に示す。
【0031】
比較例3.
スチレン90重量部、ローシスポリブタジエンゴム(SV値35cps) 10重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部とジターシャリブチルパーオキシシクロヘキサン0.025重量部を添加して溶解した原料液を、22容量部/hrの供給速度で60容量部の撹拌機付き塔型プラグフロー型反応器である第1の反応器に連続的に装入して重合した。
第1の反応器内の重合温度は、118〜140℃の範囲で流れ方向に沿って温度が高くなるような温度勾配が生じるように調節し、撹袢機の回転数は120回転/分とした。第1の反応器で撹拌しながら重合した結果、第1の反応器の出口では重合液は分散粒子化が終了した状態であった。
次いで、内容積20容量部のプラグフロー型反応器を3器直列に連結した第2の反応器に上記重合液を連続的に装入し、重合温度が160℃となるように調節して重合を継続してスチレンの重合転化率87%になるまで重合を進行させた。この重合液を減圧下で揮発性成分を除去した後に、樹脂100重量部に対してシリコーンオイル(表面張力20.9dyne/cm)0.05重量部と流動パラフィン0.5重量部を添加してからペレット化した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表2に示す。
【0032】
比較例4.
スチレン92重量部、ハイシスポリブタジエンゴム( SV値80cps) 9重量部を溶解した混合液100重量部に対して、エチルベンゼン22重量部を添加した原料液を用い、第2の反応器内の撹袢機の回転数を200回転/分とした以外は、実施例2と同様の条件で実施した。
得られた樹脂の物性値の測定結果を表2に示す。
【0033】
比較例5.
シリコーンオイル(表面張力20.9dyne/cm)の添加量を樹脂100重量部に対して0.001重量部とした以外は、実施例1と同様の条件で実施した。 得られた樹脂の物性値の測定結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、光沢、耐衝撃性、剛性の優れたものであることから、たとえば電気・電子分野の製品のハウジング材を中心に、広範の範囲で使用することができ、特に、外観特性の要求される部品に好適である。
Claims (3)
- 原料ゴム状重合体の存在下で芳香族ビニル系単量体を重合して得られるゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法において、原料ゴム状重合体と芳香族ビニル系単量体の原料溶液を、完全混合型反応器とプラグフロー型反応器を直列に連結した重合装置に連続的に供給して、完全混合型反応器でゴム状重合体が分散粒子化しない範囲まで重合し、引き続きプラグフロー型重合反応器で重合してゴム状重合体を分散粒子化させつつ連続塊状重合を行った後、減圧下で揮発分を除去して造粒すると共に、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造工程中の任意の段階で、シリコーンオイルを添加することにより、(a)スチレン系樹脂マトリックス中に分散しているゴム状重合体の分散粒子の重量平均粒子径が0.4〜0.9μmの範囲にあり、かつ粒子径が1.2μm以上の分散粒子が全粒子の5重量%以下、0.2μm以下の分散粒子が全粒子の5重量%以下であり、(b)該組成物中に含有されているトルエン不溶分とゴム成分の比率が1.2〜2.5の範囲にあり、(c)該組成物中にシリコーンオイルが0.005〜0.5重量%含有されるゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 原料ゴム状重合体の5wt%スチレン溶液の25℃における溶液粘度(SV値) が10cps〜50cpsの範囲である請求項1記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
- 使用する原料ゴム状重合体の70重量%以上がローシスポリブタジエンゴム、スチレン成分が10wt%以下であるスチレン−ブタジエンゴムあるいはこれらゴムの混合物の内から選ばれたものである請求項1または請求項2記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28352695A JP3655374B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 |
US09/051,865 US6160052A (en) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | Rubber-modified aromatic vinyl resin composition and process for the production thereof |
EP96935494A EP0859026B1 (en) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | Rubber-modified aromatic vinyl resin composition and process for the production thereof |
CN96199283A CN1123598C (zh) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | 橡胶改性芳族乙烯基树脂组合物及其生产方法 |
DE69630137T DE69630137T2 (de) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | Kautschukmodifizierte aromatische vinylharzzusammensetzung und verfahren zu deren herstellung |
KR19980703199A KR100445932B1 (ko) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | 고무변성방향족비닐계수지조성물및이의제조방법 |
PCT/JP1996/003174 WO1997016489A1 (fr) | 1995-10-31 | 1996-10-30 | Composition de resine vinylique aromatique modifiee au caoutchouc et son procede de production |
TW085113431A TW390899B (en) | 1995-10-31 | 1996-11-04 | The formulation and process for high gloss, impact strength, rigidity balanced and rubber modified phenylethylene resin |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28352695A JP3655374B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09124885A JPH09124885A (ja) | 1997-05-13 |
JP3655374B2 true JP3655374B2 (ja) | 2005-06-02 |
Family
ID=17666683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28352695A Expired - Fee Related JP3655374B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3655374B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100583525B1 (ko) * | 2000-06-02 | 2006-05-24 | 제일모직주식회사 | 괴상중합 연속공정으로 제조된 낙하충격강도와 내마모성이우수한 고충격 폴리스티렌 수지 |
KR100781965B1 (ko) * | 2006-12-29 | 2007-12-06 | 제일모직주식회사 | 내충격성이 향상된 열가소성 수지 조성물 |
JP5003433B2 (ja) * | 2007-03-01 | 2012-08-15 | セイコーエプソン株式会社 | 現像装置および画像形成装置 |
CN113493582B (zh) * | 2020-03-18 | 2023-01-31 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种增韧剂组合物及其应用和hips树脂及abs树脂和其制备方法 |
-
1995
- 1995-10-31 JP JP28352695A patent/JP3655374B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09124885A (ja) | 1997-05-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002509576A (ja) | 高光沢及び高衝撃モノビニリデン芳香族ポリマー | |
JPH09503535A (ja) | マレイミド変性高熱abs樹脂 | |
KR960000567B1 (ko) | 고무-강화된 모노비닐리덴 방향족 중합체 수지 및 이의 제조방법 | |
CA1225772A (en) | Abs compositions and process for preparing same | |
CN1233677C (zh) | 高光泽度和抗冲击强度的橡胶改性聚苯乙烯树脂组合物的制备方法 | |
JP5607065B2 (ja) | 物理/機械的性質及び高い光沢を最適なバランスで有するゴム強化ビニル芳香族(コ)ポリマー | |
JP3655374B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法 | |
KR19980702040A (ko) | 고무-변성 스티렌계 수지 조성물 | |
JPH0623283B2 (ja) | 3つの異なるタイプのゴム粒子を含有するゴム変性モノビニリデン芳香族ポリマ−組成物 | |
US6160052A (en) | Rubber-modified aromatic vinyl resin composition and process for the production thereof | |
US4559386A (en) | ABS compositions and process for preparing same | |
JP3657370B2 (ja) | ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物 | |
JPH05132605A (ja) | ゴム変成ポリスチレン組成物 | |
JP3297496B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物およびその製造方法 | |
JPH03119030A (ja) | 熱可塑性重合体の粉末状混合物の製造方法 | |
JPH05247149A (ja) | ゴム変性芳香族ビニル系共重合体樹脂及びその製造方法 | |
JPS6028311B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3974225B2 (ja) | ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物の製造法 | |
KR100587650B1 (ko) | 실용충격강도가 우수한 고무변성 스티렌계 수지의 연속제조 방법 | |
JPH0676464B2 (ja) | スチレン系樹脂の製造方法 | |
JP3652438B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
JP2908093B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂組成物 | |
JP3045347B2 (ja) | ゴム変性スチレン系樹脂の製造方法 | |
JPH09183887A (ja) | ゴム変性芳香族ビニル系樹脂組成物 | |
KR970002529B1 (ko) | 외관 특성이 개선된 고무변성 폴리스티렌 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050117 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050301 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050303 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090311 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090311 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100311 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100311 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110311 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110311 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120311 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130311 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311 Year of fee payment: 9 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311 Year of fee payment: 9 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |