JPH0910577A - 真空装置用構造材料および真空装置用構造部材 - Google Patents

真空装置用構造材料および真空装置用構造部材

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JPH0910577A
JPH0910577A JP18212295A JP18212295A JPH0910577A JP H0910577 A JPH0910577 A JP H0910577A JP 18212295 A JP18212295 A JP 18212295A JP 18212295 A JP18212295 A JP 18212295A JP H0910577 A JPH0910577 A JP H0910577A
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Tsutomu Hasegawa
努 長谷川
Shigeyuki Nagashima
成行 長島
Norio Ozaki
寛夫 小崎
Hidenori Suwa
秀則 諏訪
Masashi Kikuchi
正志 菊池
Katsuhiko Mori
勝彦 森
Susumu Arai
進 新井
Yasuo Shimizu
康男 清水
Masayori Hirata
正順 平田
Hideyuki Ogata
英之 小形
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Abstract

(57)【要約】 [目的] プラズマ放電によって励起された含ハロゲン
系のエッチングガスに対して耐食性の優れた真空装置用
構造材料を提供すること。 [構成] 耐食性シャワープレート71はNi基耐食性
合金からなる厚さ4mmの板材74の全面がボルト孔7
2とガス整流孔73との部分も含めて厚さ1.3mmの
アルミニウム(A5052)で被覆されており、被覆ア
ルミニウムの表面には陽極酸化による厚さ20μmの酸
化アルミニウム層76が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は真空装置用構造材料およ
び真空装置用構造部材に関するものであり、更に詳しく
は含ハロゲン系のエッチングガスに対する耐食性に優れ
た真空装置用構造材料および真空装置用構造部材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】LSI(大規模集積回
路)、太陽電池、LCD(液晶ディスプレイ)などの広
く使用されている半導体製品は周知のように真空装置内
で蒸着、スパッタリング、CVD(化学的気相蒸着)、
その他の方法によって基板上へSi34 (窒化シリコ
ン)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、そ
の他各種の薄膜を形成させて製造されている。この時、
目的とする基板以外の真空装置内に設置される各種構造
部材にも薄膜が付着するが、基板を交換して成膜操作を
繰り返すにつれ厚い堆積物に成長し、ついには剥離、脱
離して発生させる微粒子、塵埃が真空装置内を汚染し
て、半導体製品の歩留まりを大きく低下させる。
【0003】従って、真空装置は高い頻度でのクリーニ
ングを必要とし、例えばプラズマCVD用の真空装置で
は1週間に2回の割りで成膜操作を停止してクリーニン
グが行なわれている。すなわち、真空装置内の温度を下
げて大気解放し、各種構造部材を交換するか付着堆積物
を除去して、再度、真空装置内を真空排気し加熱昇温し
て成膜操作が再開される。そしてこのクリーニングに1
日間以上を要しており、真空装置の稼働率を極めて低く
している。
【0004】このクリーニングの合理化のために、ドラ
イエッチング用の含ハロゲン系のエッチングガス、例え
ばNF3 (3フッ化窒素)、SF6 (6フッ化硫黄)、
CF4 (4フッ化炭素)、CClF3 (フロン13)を
真空装置内へ流し高周波電力を印加してプラズマを発生
させ、エッチングガスが分解して生じるハロゲンのラジ
カル、イオンを付着堆積物と化学反応させて、これらを
気体として真空装置外へ排除するクリーニング方法が採
用されるようになっている。このエッチングガスを使用
するクリーニング方法は真空装置を大気解放しなくても
よく、付着堆積物の除去に人手を要しないという点で好
ましいが、エッチングガス、例えばNF3 ガスがプラズ
マ放電によって励起されて生じるFラジカル、Fイオン
などの活性種は目的とする付着堆積物以外に真空装置に
使用されている金属製の構造部材との反応性も大きく真
空装置を腐食させ易い。NF3 ガスを使用する場合、ス
テンレス鋼は200℃以上では腐食され易いので、通常
は300℃〜400℃の温度に維持して成膜されるプラ
ズマCVD用真空装置をクリーニング時には100℃以
下の温度に下げる必要があり、その冷却やクリーニング
後の昇温にかなりの時間を要して必ずしも真空装置の稼
働率を大きく向上させるには至っていない。
【0005】図7はプラズマCVD成膜用の真空装置1
0の概略縦断面図であり、全体はステンレス鋼(SUS
430)で作製されている。排気口9を介して図示しな
い真空排気系と接続されている真空チャンバ1内には図
示しない冶具に固定した基板ホールダとしてのトレイ2
に基板3が取り付けられ、真空チャンバ1の上方から挿
入されてトレイ2の背後には基板3を加熱するためのヒ
ータ4が設けられている。真空チャンバ1の下方から挿
入されているガス導入パイプ5に続くガス分散器6には
ガスを整流し基板3へ均一に供給するためのシャワープ
レート7が取り付けられている。また、ガスをシャワー
プレート7から基板3の方へ誘導するための円筒状のチ
ムニー8が真空チャンバ1の底面に設置し、ガス導入パ
イプ5、ガス分散器6、シャワープレート7を囲むよう
に設けられている。更には、ガス導入パイプ5にはプラ
ズマ放電のためのRF電源18が接続されており、シャ
ワープレート7はカソードとして働く。また、シャワー
プレート7と一体的なガス分散器6を囲んでアースシー
ルド19が設けられ、アノードとなるトレイ2は真空チ
ャンバ1と共にアースされている。
【0006】このプラズマCVD用の真空装置10によ
る成膜と真空装置10内のクリーニングは次のようにし
て行なわれる。すなわち、真空チャンバ1を真空排気し
て所定の真空度に維持し、ヒータ4で基板3を加熱して
所定の温度に維持する。次いでガス導入パイプ5から原
料ガス、例えばSiH4 (モノシラン)とNH3 (アン
モニヤ)とを導入し、真空チャンバ1内の圧力が安定し
てから、RF電源18によって高周波電力を印加し、カ
ソードとしてのシャワープレート7とアノードとしての
トレイ2との間にプラズマ放電を生起させる。これによ
って原料ガスが分解され反応して、基板3の表面にSi
34 (窒化シリコン)の薄膜が形成される。この時、
基板3以外に、プラズマ領域に近いシャワープレート
7、トレイ2、チムニー8のような構造部材は勿論のこ
と、真空チャンバ1の内壁にも薄膜が付着する。基板3
は薄膜が所定の膜厚になると交換されるが、真空チャン
バ1を含む各種構造部材はそのままにして成膜が継続さ
れる。従って、付着物は厚膜化して大きい剥離応力を生
じるようになり、ついには剥離、脱落して真空チャンバ
1内を汚染し成膜収率を低下させるので、付着堆積物が
剥離、脱落する前に所定のインタバルで真空チャンバ1
内のクリーニングが行われる。
【0007】クリーニングは基板3を搬出した後、原料
ガスに代えてガス導入パイプ5からエッチングガスNF
3 を真空チャンバ1内へ導入する。次いでRF電源18
によって高周波電力を印加し、カソードとしてのシャワ
ープレート7とアノードとしてのトレイ2との間にプラ
ズマ放電を生起させる。NF3 ガスは励起されて活性の
大きいFラジカル、Fイオンを生じ、各構造部材に付着
しているSi34 と反応してこれらを気体として真空
チャンバ1外へ排出する。この時、高温でクリーニング
するとFラジカル、Fイオンによって真空チャンバ1を
含む各種構造部材が腐食されるので、エッチングガスに
対して耐食性のある真空装置用構造材料が求められてい
る。
【0008】このことに対して、下記のような対策が提
案され採用されている。
【0009】(第1従来例)真空装置内のステンレス部
材の表面に耐食性に優れているセラミックとしてのアル
ミナ(酸化アルミニウム)の粉末を溶射して、それらの
表面をアルミナ溶射被膜で覆うことが広く行われてい
る。しかし、この方法はステンレス部材とアルミナ溶射
被膜との間の密着が不十分で比較的早い時期から剥離を
生じ、またアルミナ溶射被膜はアルミナ粉末を焼結させ
形成されているので粉末間にクラックを生じ易い。従っ
て剥離、クラックによって発生する微粒子、塵埃が真空
装置内を汚染するので、アルミナ溶射被膜を設けた各種
構造部材は早期の交換を必要としている。
【0010】(第2従来例)特開平1−156496号
公報に係る「ステンレス部材の耐食被膜方法」において
は、ステンレス部材の表面にアルミニウムを溶射してア
ルミニウム被膜を形成させた後に、これを酸性水溶液中
で陽極酸化させてアルミニウム被膜の表面をアルミナ層
とする技術が開示されている。しかし、この方法もアル
ミニウムの溶融粒子を吹き付けてアルミニウム被膜を形
成させているので、これをベースに形成される酸化アル
ミニウム層は剥離脱落を生じ易い。被膜中には多数の微
小孔が存在し、この微小孔への腐食性エッチングガスの
侵入を無視し得ず、その耐食性は必ずしも十分なもので
はない。
【0011】(第3従来例)特開平6−14054号公
報に係る「プラズマCVD装置のクリーニング方法」に
おいては、真空装置内のプラズマにさらされる部材の少
なくとも表面をニッケル、その他の耐食性材料で覆って
クリーニングする方法が開示されている。ニッケルは他
の金属材料に比し耐食性に優れているが、なお、高温下
においてプラズマ放電によって励起されるNF3 からの
活性種に腐食されるので、上記の問題が完全に解決され
てはいない。また、ステンレス部材にニッケル鍍金を行
ったものはピンホールが残り易く、そこから腐食が進行
する。
【0012】すなわち、現在の時点では、プラズマ放電
によって励起されたエッチングガスに対して高温下で耐
性を有し、クリーニング時間を短縮させ真空装置の稼働
率を大幅に向上させ得るような真空装置用構造材料は見
出だされていない。
【0013】上記のエッチングガスを使用する成膜後の
クリーニングのほか、真空装置内において基板上の薄膜
に電子回路を形成させるためのプラズマエッチングが行
われるが、この本来のプラズマエッチング操作において
も、プラズマエッチングが繰り返されるうちに、目的と
する基板上の薄膜以外に、真空装置内における各種構造
部材が腐食されてくるという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は上述の問題
に鑑みてなされ、プラズマ放電によって励起される含ハ
ロゲン系のエッチングガスに対して優れた耐食性を有す
る真空装置用構造材料および真空装置用構造部材を提供
することを目的とする。
【0015】
【問題点を解決するための手段】以上の目的は、ニッケ
ル基の耐食性合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタ
ン等の母材となる金属の少なくとも一面を溶射以外の方
法によってアルミニウムまたはアルミニウム合金で被覆
したアルミニウム被覆金属の被覆アルミニウムの表面に
酸化アルミニウム層、または酸化アルミニウムを介在さ
せまたは介在させずにフッ化アルミニウム層が形成され
ていることを特徴とする真空装置用構造材料、によって
達成される。
【0016】また以上の目的は、ニッケル基の耐食性合
金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタン等の金属を母
材とし、少なくともその一面が溶射以外の方法によって
アルミニウムまたはアルミニウム合金で被覆され、その
被覆アルミニウムまたは被覆アルミニウム合金の表面に
酸化アルミニウム層、または酸化アルミニウムを介在さ
せまたは介在させずにフッ化アルミニウム層が形成され
ていることを特徴とする真空装置用構造部材、によって
達成される。
【0017】
【作用】本発明の真空装置用構造材料は母材金属を被覆
するアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面が酸化
アルミニウム層、またはフッ化アルミニウム層とされて
いるのでプラズマ放電によって励起される含ハロゲン系
のエッチングガスによって腐食されない。従って、本発
明の構造材料を使用した各種の成膜用真空装置の構造部
材はプラズマ放電下のエッチングガスを使用する高温ク
リーニングが可能でクリーニング時間を短縮させる。ま
た、本発明の構造材料を使用したプラズマエッチング用
真空装置の構造部材は寿命が長い。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例による真空装置用構造
材料および真空装置用構造部材について図面を参照して
具体的に説明する。
【0019】(第1実施例)図1は図7に示したプラズ
マCVD用の真空装置10のシャワ−プレート7に対応
する第1実施例の耐食性シャワープレート71の平面図
であり、周縁部には取り付けのための孔径8.5mmφ
のボルト孔72が座ぐりと共に設けられ、周縁部を除く
全面には孔径0.4mmφのガス整流孔73が20mm
ピッチで設けられている。
【0020】図2のDは耐食性シャワープレート71の
模式的部分断面図であり、図2のA、B、Cは図2のD
の耐食性シャワープレート71を得る製造プロセスの途
中での部分断面図である。図2のDを参照して、耐食性
シャワープレート71は母材としてNi(ニッケル)基
の耐食性合金(商品名、ハステロイC22)からなる厚
さ4mmの板材74の全面がボルト孔72とガス整流孔
73との部分も含めて厚さ1.3mmのアルミニウム
(A5052)75で被覆されており、被覆アルミニウ
ム75の表面に厚さ約20μmの酸化アルミニウム層7
6が形成されている。
【0021】耐食性シャワープレート71の製造はいわ
ゆる溶湯鍛造方式によって行われるが、図2のAを参照
して、ボルト孔72、ガス整流孔73となる孔72’、
73’を設けたNi基耐食性合金の板材74を鍛造容器
27の底面に敷いた厚さ1.3mmのアルミニウム(A
5052)シート75a上に載置し、押圧用のピストン
28を備えた上蓋29が図示しない締結具によって緊締
される。次いで鍛造容器27を上蓋29と共に500°
に加熱し、図示しない注入口から920℃に加熱され溶
融状態にあるアルミニウム(A5052)75bを注入
し、ピストン28によって1000トンの力で押圧す
る。この操作によって溶融アルミニウム75bはNi基
耐食性合金の板材74とアルミニウムシート75aとの
間のあらゆる箇所に入り込み、かつアルミニウムシート
75aと一体化する。この状態のまま冷却し、鍛造容器
27から取り出すことにより、図2のBに示すようなア
ルミニウム75で被覆したNi基耐食性合金の板材74
が得られる。これを機械加工してボルト孔72、ガス整
流孔73を設け、図2のCに示すような未処理シャワー
プレート71’が得られる。
【0022】この未処理シャワープレート71’を図3
に示すような陽極酸化装置31によって陽極酸化する。
すなわち、陽極酸化装置31は20%硫酸33を張った
電槽32内に未処理シャワープレート71’を陰極板3
4と共に浸漬し、電圧400Vの直流電源35に接続す
ることにより、被覆アルミニウム75の表面が陽極酸化
されて酸化アルミニウム(アルマイト)層76が形成さ
れる。所定の厚さの酸化アルミニウム層76が得られる
と電槽32から取り出し、十分に水洗した後に500℃
の温度が乾燥して図2のDで示す耐食性シャワープレー
ト71が得られる。上記によって得られる酸化アルミニ
ウム層76は均質な被覆アルミニウムに形成されるもの
であるため、また使用するアルミニウムとしてマグネシ
ウム(Mg)を含むA5052を使用しているので被覆
アルミニウムと酸化アルミニウムとの間の熱膨張の差が
小さく、形成される酸化アルミニウム層76が剥離しに
くい。
【0023】以上のようにして作製した耐食性シャワー
プレート71を図7の真空装置10のシャワープレート
7に代えて取り付け、NF3 をエッチングガスとしてプ
ラズマ放電下にクリーニングを行った。従来のステンレ
ス鋼によるシャワープレート7の場合には、腐食を抑え
るために温度100℃以下への冷却を必要とし、エッチ
ングレートも0.1μm/min程度であったに対し
て、第1実施例の耐食性シャワープレート71は真空装
置10のSi34 成膜時の温度350℃を下げること
なくクリーニングに移っても全く腐食を発生しなかっ
た。また、高温でのクリーニングが可能であるために、
プラズマ放電に400Wの高周波電力を印加して、エッ
チングレート0.5μm/minが達成され、クリーニ
ング時間は約1/5に短縮された。また、800Wの高
周波電力を印加して、最大0.7μm/minのエッチ
ングレートが得られた。
【0024】(第2実施例)第1実施例の表面に酸化ア
ルミニウム層76を設けたアルミニウム被覆Ni基耐食
性合金のシャワープレート71を希フッ酸(HF)に浸
漬して取り出した後、十分に水洗して500℃の温度で
乾燥することによって酸化アルミニウム層76の表面側
の大部分がフッ化アルミニウム層に変換された。被覆ア
ルミニウムとの間に酸化アルミニウム層を残して形成さ
れるフッ化アルミニウム層は剥離しにくい。勿論、酸化
アルミニウム層を残さずに完全にフッ化アルミニウム層
を形成させてもよい。この様にして得られた表面にフッ
化アルミニウム層を有するアルミニウム被膜Ni基耐食
性合金からなる耐食性シャワープレートはプラズマ放電
によって励起されたエッチングガスNF3 に対して第1
実施例の耐食性シャワープレート71と同等以上の耐食
性を示し、高速クリーニングが可能であった。
【0025】(第3実施例)図7に示したステンレス鋼
製のチムニー8に代えて、アルミニウム被覆Ni基耐食
性合金の表面に酸化アルミニウム層を形成させた耐食性
チムニー81を作製した。図4はNi基耐食性合金(商
品名、ハステロイC22)の厚さ4mmの板材84に厚
さ1mmのアルミニウム(A5052)のシート85の
被覆を行うための加熱圧着装置42の概略断面図であ
る。高圧容器44にバルブ45を介して真空ポンプ46
が接続され、バルブ47を介してアルゴンガスのボンベ
48が接続されている。また、高圧容器44の周囲には
内部を加熱するためのヒータ49が巻装されており、圧
力計43が取り付けられている。
【0026】アルミニウム(A5052)のシートから
なる浅皿85aに密接して母材となるNi基耐食性合金
の板材84を収容し、同じアルミニウムのシートからな
る上蓋85bを密接して被せる。これを高圧容器44内
に収容し、図示しない架台上に載置する。高圧容器44
を密閉した後、バルブ45を開けて真空ポンプ46で真
空排気しバルブ45を閉じる。続いて、バルブ47を開
けてボンベ48から高圧容器44内へアルゴンガスを導
入しバルブ47を閉じる。このような操作を数回繰り返
して高圧容器44内をアルゴンガスで完全に置換する。
次いで、バルブ45、47の閉を確認して、ヒータ49
で高圧容器44内を所定の温度に加熱し、アルゴンガス
を所定の圧力まで上昇させる。
【0027】上記の操作によって、Ni基耐食性合金の
板材84、アルミニウムの浅皿85aと上蓋85bはそ
れぞれ膨張すると共に、アルゴンガスの圧力によって全
体的に押圧されて、アルミニウムの浅皿85aと上蓋8
5bは一体化すると共にNi基耐食性合金の板材84と
強固に圧着される。得られたアルミニウム85で被覆さ
れたNi基耐食性合金の板材84を所定の直径に曲げ加
工して円筒状に成型し、第1実施例で使用した陽極酸化
装置31によって被覆アルミニウム85の表面に厚さ約
20μmの酸化アルミニウム(アルマイト)層を形成さ
せて、耐食性チムニー81を得た。
【0028】この耐食性チムニー81を図7に示したス
テンレス鋼製のチムニー8に代えて使用したが、プラズ
マ放電下にエッチングガスNF3 を流す温度350℃の
クリーニングに十分な耐食性を示した。
【0029】(第4実施例)図7に示したステンレス鋼
製の真空チャンバ1に代えて片面アルミニウム被覆ステ
ンレス鋼板のアルミニウム面にアルマイト層を形成させ
て内表面とする耐食性真空チャンバ11を作製した。図
5は片面アルミニウム被覆ステンレス鋼板12を作製す
る爆発圧着のプロセスを示す概略図である。
【0030】図5のAを参照し、基板94上に寝かせた
厚さ10mmのステンレス鋼(SUS430)の板材1
4に間隙gをあけて厚さ1mmのアルミニウム(A50
52)のシート15を合わせ置き、アルミニウムのシー
ト15の背全面に緩衝材95を挟んで爆薬96をセット
して雷管97で起爆させる。図4のBに示すように、爆
発の高エネルギによって、アルミニウムのシート15は
メタルジエット16を発生しつつステンレス鋼の板材1
4とアルミニウムのシート15との圧着が瞬間的に進行
する。そして図4のC示すように、さざ波状の境界面1
7を形成して片面アルミニウム被覆ステンレス鋼板12
が作成される。実際の爆発圧着時には、密着強度を高め
るための金属間化合物を形成させるべく、ステンレス鋼
の板材14とアルミニウムのシート15との間に厚さ1
mmのニッケルシートを挟み込んだ。
【0031】得られた片面アルミニウム被覆ステンレス
鋼板12のアルミニウム面を内側にして、図7の真空チ
ャンバ1と同様な形状に成型加工し、次いでそれ自身を
電槽兼陽極として濃度20%の蓚酸を満たして、別に浸
漬した陰極板との間に400Vの直流電圧を印加し、被
覆アルミニウムの表面に厚さ約20μmの酸化アルミニ
ウム(アルマイト)層を形成させ耐食性真空チャンバ1
1を得た。
【0032】この耐食性真空チャンバ11を図7におけ
る真空チャンバ1に代えて、プラズマCVDによる35
0℃でのSi34 薄膜の形成に連続使用した。薄膜成
分が耐食性真空チャンバ11の内壁面に付着堆積後に、
真空チャンバ11内の温度を維持したまま、プラズマ放
電下にエッチングガスNF3 を流してクリーニングを行
ったが、耐食性真空チャンバ11は十分な耐食性を示し
た。
【0033】また、ドライエッチング装置の真空チャン
バにも上記と同様な耐食性真空チャンバを適用して、C
4 ガスによるSi34 薄膜のプラズマエッチング、
CCl4 ガスによるAlアルミニウム薄膜のプラズマエ
ッチングを行ったが長期間の使用後も耐食性真空チャン
バには全く腐食が認められなかった。
【0034】更には、同様にしてスパッタ成膜用の真空
装置の真空チャンバに上記同様な耐食性チャンバを適用
してタングステン(W)の連続成膜のあと耐食性真空チ
ャンバを大気解放することなく、付着堆積物のクリーニ
ングをプラズマ放電下に励起させたNF3 ガスで行うこ
とを試みた。耐食性真空チャンバは腐食されることな
く、従来は大気解放し人手で行っていたクリーニングが
大幅に簡略化されると共にクリーニング時間も大幅に短
縮された。
【0035】以上、本発明の各実施例について説明した
が、勿論、本発明はこれらに限られることなく、本発明
の技術的思想に基づいて種々変形が可能である。
【0036】例えば、各実施例におてはプラズマCVD
用の真空装置、スパッタリング用の真空装置など単独の
真空装置について本発明の真空装置用構造材料を適用し
たが、複合枚葉式真空装置にも適用することができる。
図6は複合枚葉式真空装置の概略平面図であり、0点の
回りに回動し水平方向に伸縮するハンドを有する搬送ロ
ボット110が設置された中央の搬送室60の周囲にス
パッタリング成膜室20、ローディング室30、アンロ
ーディング室40、プラズマCVD成膜室50がそれぞ
れのゲートバルブ102、103、104、105を介
して接続されている。搬送ロボット110はローディン
グ室30から基板を取り出し、例えばプラズマCVD成
膜室50に搬入してプラズマCVDによる成膜を行わ
せ、成膜後にこれを取り出して次にスパッタリング成膜
室20に搬入し、スパッタリングによる成膜が完了する
とこれを取り出してアンローディング室40へ収納する
ように使用され、それぞれの成膜室20、50において
エッチングガスによるクリーニングを可能とした複合枚
葉式真空装置である。このような真空装置のスパッタリ
ング成膜室20、プラズマCVD成膜室50について本
発明の真空装置用構造材料を適用することができる。
【0037】また、実施例においてはNi基耐食性合金
として市販のハステロイC22(商品名)を使用した
が、これ以外のNi基耐食性合金として同じく市販され
ているインコネル(商品名)を使用してもよい。また、
本実施例においては、母材となる金属としてNi基耐食
性合金、ステンレス鋼を取り上げたが、表面に酸化アル
ミニウム層またはフッ化アルミニウム層を形成させた被
覆アルミニウムはプラズマ放電下における含ハロゲン系
のエッチングガスに対し耐食性に優れているので、母材
となる金属は機械的強度、耐熱強度を有するものであれ
ば金属の種類は問わないが、例えば鋼、チタン、ニッケ
ルなども母材金属として使用し得る。また、本実施例で
はアルミニウムとしてマグネシウムを含有するA505
2を使用したがマグネシウムとシリコンとを含有するA
6061を使用してもよい。純アルミニウムであるA1
052を使用する場合と比較して、何れの場合も表面に
形成させる酸化アルミニウム層がクラックや剥離を生じ
にくい。
【0038】また、第3実施例においては不活性ガスと
してアルゴンを使用したが、これはヘリウムに代え得る
し、窒素ガスを使用することもできる。
【0039】また、第4実施例のステンレス鋼の板材1
4とアルミニウムシート15との爆発圧着に際しては、
両者の間に金属間化合物を形成させるべくニッケルシー
トを挟んだが、このニッケルシートに代えてチタンシー
トを挟んでもよい。更には爆発圧着以外の方法でアルミ
ニウム被覆を行うに際しても、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金と金属間化合物を形成しにくいステンレス
鋼、鋼等を母材金属とする場合には、中間にニッケルま
たはチタンを介在させることによって高い密着強度が得
られる。
【0040】また、本発明の真空装置用構造材料の適用
対象例として、真空チャンバ、シャワープレート、チム
ニーを例示したが、これら以外に、不必要な箇所への薄
膜の付着を防止するための防着板、基板上へ部分成膜を
行わせるためのマスク、基板の周辺部を保持するカバー
リング、アースシールド、その他真空装置内で使用され
る各種の構造部材が適用対象となる。
【0041】また、第2実施例においてはフッ化アルミ
ニウム層は酸化アルミニウム層に稀フッ酸(HF)を反
応させる湿式法を採用したがHFガスを反応させる乾式
法で行ってもよい。また、酸化アルミニウム層からフッ
化アルミニウム層を形成させたが、アルミニウムの表面
にHFガスを反応させて直接にフッ化アルミニウム層を
形成させてもよい。
【0042】なお、エッチングガスによるクリーニング
前に基板と共に真空チャンバから外へ搬出される構造部
材については、本発明の真空装置用構造材料を適用して
のクリーニングの簡易化はできないが、あらかじめ被覆
アルミニウムを硫酸に浸漬処理しておくことより本発明
による効果とは別な効果によって真空装置外においての
クリーニングが簡易化されるので、真空装置内では被覆
アルミニウムの表面に酸化アルミニウム層またはフッ化
アルミニウム層を形成させた構造部材と被覆アルミニウ
ムの表面を硫酸に浸漬処理した構造部材とが併用されて
総合的にクリーニングの簡易化が達成される。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1に
よる真空装置用構造材料はこれを適用した真空装置用構
造部材に対し、プラズマ放電によって励起される含ハロ
ゲン系のエッチングガスに耐える耐食性を付与する。
【0044】また請求項2による真空装置用構造材料に
よれば、被覆アルミニウム、または被覆アルミニウム合
金が溶融状態で適用されるので、貫通孔、非貫通孔など
を有する複雑な形状の真空装置用構造部材に対し全面を
アルミニウム被覆し得る。
【0045】また請求項8による真空装置用構造部材に
よればプラズマ放電によって励起される含ハロゲン系の
エッチングガスによるクリーニングに耐えるのでクリー
ニング時間を短縮し、真空装置の稼働率を大幅に向上さ
せ、また真空装置を長寿命化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空装置用構造材料が適用された耐食
性シャワープレートの平面図である。
【図2】同シャワープレートの製造プロセスを示す部分
断面図である。
【図3】陽極酸化装置の概略断面図である。
【図4】加熱圧着装置の概略図である。
【図5】爆発圧着のプロセスを示す概略図である。
【図6】複合枚葉式真空装置の概略平面図である。
【図7】プラズマCVD成膜用真空装置の概略縦断面図
である。
【符号の説明】
14 ステンレス鋼板 15 被覆アルミニウム 27 鍛造容器 28 ピストン 32 電槽 34 陰極板 35 直流電源 44 高圧容器 46 真空ポンプ 47 ボンベ 49 ヒータ 71 耐食性シャワープレート 72 ボルト孔 73 ガス整流孔 74 Ni基耐食性合金板 75 被覆アルミニウム 76 酸化アルミニウム層 96 爆薬
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 26/00 C23C 26/00 Z 28/00 28/00 B // H01L 21/205 H01L 21/205 (72)発明者 小崎 寛夫 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 諏訪 秀則 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 菊池 正志 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 森 勝彦 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 新井 進 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 清水 康男 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 平田 正順 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 小形 英之 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル基の耐食性合金、ステンレス
    鋼、鋼、ニッケル、チタン等の母材となる金属の少なく
    とも一面を溶射以外の方法によってアルミニウムまたは
    アルミニウム合金で被覆したアルミニウム被覆金属の被
    覆アルミニウムの表面に酸化アルミニウム層、または酸
    化アルミニウムを介在させまたは介在させずにフッ化ア
    ルミニウム層が形成されていることを特徴とする真空装
    置用構造材料。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム被覆金属が前記ニッケ
    ル基の耐食性合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタ
    ン等の母材となる金属を溶融状態のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金に浸漬し、高圧をかけ冷却して製造さ
    れる請求項1に記載の真空装置用構造材料。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム被覆金属が前記ニッケ
    ル基の耐食性合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタ
    ン等の母材となる金属と固体状態のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金とを密接させ、高圧容器内において不
    活性ガスの雰囲気下に加熱し、昇圧される前記不活性ガ
    スの圧力で圧着して製造される請求項1に記載の真空装
    置用構造材料。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム被覆金属が前記ニッケ
    ル基の耐食性合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタ
    ン等の母材となる金属に固体状態のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金を爆発圧着させて製造される請求項1
    に記載の真空装置用構造材料。
  5. 【請求項5】 前記爆発圧着時に、前記ニッケル基の耐
    食性合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタン等の母
    材となる金属と前記固体状態のアルミニウムまたはアル
    ミニウム合金との間にニッケルまたはチタンを介在させ
    た請求項4に記載の真空装置用構造材料。
  6. 【請求項6】 前記酸化アルミニウム層が前記アルミニ
    ウム被覆金属の被覆アルミニウムを陽極酸化して形成さ
    れる請求項1から請求項5までの何れかに記載の真空装
    置用構造材料。
  7. 【請求項7】 前記フッ化アルミニウム層が前記酸化ア
    ルミニウム層にフッ化水素を反応させて形成される請求
    項1から請求項5までの何れかに記載の真空装置用構造
    材料。
  8. 【請求項8】 ニッケル基の耐食性合金、ステンレス
    鋼、鋼、ニッケル、チタン等の金属を母材とし、少なく
    ともその一面が溶射以外の方法によってアルミニウムま
    たはアルミニウム合金で被覆され、その被覆アルミニウ
    ムまたは被覆アルミニウム合金の表面に酸化アルミニウ
    ム層、または酸化アルミニウムを介在させまたは介在さ
    せずにフッ化アルミニウム層が形成されていることを特
    徴とする真空装置用構造部材。
  9. 【請求項9】 前記真空装置用構造部材が多数のガス整
    流孔を含めて全面にアルミニウムまたはアルミニウム合
    金で被覆され、その被覆アルミニウムまたは被覆アルミ
    ニウム合金の表面に酸化アルミニウム層、または酸化ア
    ルミニウムを介在させまたは介在させずにフッ化アルミ
    ニウム層が形成されたシャワ−プレートである請求項8
    に記載の真空装置用構造部材。
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