JPH09101621A - サイクリング安定性および耐油性が改善された電子写真用光伝導体 - Google Patents

サイクリング安定性および耐油性が改善された電子写真用光伝導体

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JPH09101621A
JPH09101621A JP8193877A JP19387796A JPH09101621A JP H09101621 A JPH09101621 A JP H09101621A JP 8193877 A JP8193877 A JP 8193877A JP 19387796 A JP19387796 A JP 19387796A JP H09101621 A JPH09101621 A JP H09101621A
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ヴァーノン・マウントキャッスル・バルシス
Ronald Aaron Merten
ロナルド・アーロン・マーテン
Robert J Rumery
ロバート・ジェイムス・ルマリー
Robert L Vollmer
ロバート・リー・ヴォルマー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真再生装置に使用し、優れたサイクリ
ング安定性と、液体トナーとともに使用した場合の良好
な耐油性を有する光伝導体を提供する。 【解決手段】 電荷発生層に、中分子量ポリ塩化ビニル
バインダに分散したフタロシアニン染料、具体的には金
属を含有しないX型フタロシアニンを用い、電荷移動層
に、ポリエステルカーボネートバインダに分散した電荷
移動分子、具体的にはDEHなどのヒドラゾン類を用い
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電荷発生層と電荷
移動層とを有し、優れたサイクリング安定性と耐油性を
示す、電子画像再生装置に使用される光伝導性部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明に係る電子写真用光伝導体は、電
荷発生層と電荷移動層とがこの順序でコーティングされ
た金属のアース面を有する基材を有する光伝導体であ
る。このような光伝導体は、金属面と電荷発生層との間
に設けたバリア層、バリア層と電荷発生層との間に設け
た接着層、または電荷移動層の上面に設けたオーバーコ
ート層、あるいはこれらの組合せを含むものでもよい。
この種の光導電体では、電荷発生機能と電荷移動機能と
は異なる分離した層において発現し、これらの層は光伝
導体製造中の異なる時期においてコーティングされる。
【0003】電子写真では、表面の部分を選択的に光に
露出することにより、絶縁性の光導電性材料の表面上に
潜像が形成される。光に露出した表面部分と露出しなか
った表面部分との間では、静電荷密度に差が生じる。静
電潜像は、顔料成分と熱可塑性成分とを含有する静電ト
ナーにより現像されて可視像となる。光伝導体の表面、
現像電極、およびトナー上の相対的な静電荷によって、
トナーは、光伝導体の光に露出した部分と露出しなかっ
た部分のいずれかに選択的に吸引される。光伝導体は正
に荷電したものでも負に荷電したものでもよく、トナー
システムも同様に負に荷電した粒子を含むものでも、正
に荷電した粒子を含むものでもよい。レーザプリンタ用
としては、好ましい実施例では、光伝導体とトナーは同
じ極性を有するが、荷電レベルが異なる。
【0004】紙または中間転写媒体は、トナーの静電荷
と反対の静電荷が与えられた後、光伝導体の表面近くを
通過すると、光伝導体の表面から現像された像のパター
ンのまま、トナーを紙または中間転写媒体上に引きつけ
る。直接転写、または中間転写媒体使用時には間接転写
の後に、一組の融着ローラがトナーを溶融して紙に定着
させ、印刷像を形成する。
【0005】したがって、静電印刷プロセスは、印刷が
行われるたびに光伝導体の表面が充電されたり放電され
たりする一連の工程からなる。形成された像の品質が確
実に均一になるように、それぞれの印刷ページにおいて
光伝導体の表面の充電電圧と放電電圧を一定に保つこと
が重要である(サイクリング安定性)。ドラムのサイク
ルごとに充電/放電電圧が異なると、すなわち光伝導体
の表面に疲労があると、印刷されたページの品質が均一
ではなくなり、不満足なものになる。
【0006】印刷されたページの解像度をできるだけ高
めるには、電子写真印刷プロセスで液体トナーを使用す
ることが望ましい。しかし、ほとんどの光伝導体の表面
では、液体トナー中に存在する油性担体が光伝導体のド
ラムから電荷移動分子を抽出する傾向がある。これによ
りトナーが破壊され、ドラム上の放電電圧が高くなり、
形成された印刷ページの品質が低下する。この油による
抽出は液体トナーを使用することが原因であるが、電荷
発生層も破壊する。
【0007】したがって、光伝導体の設計に当たって
は、液体トナー使用時の耐油性と、サイクリング安定性
の両方が最大となるようにすることが重要である。
【0008】本発明により、電荷発生層と電荷移動層に
特定の成分を使用することにより、従来の光伝導体と比
較してサイクリング安定性と耐油性の両方が改善され
る。本発明では、電荷発生層にフタロシアニン染料、好
ましくは金属を含有しないX型フタロシアニンを、中分
子量のポリ塩化ビニルのバインダとともに使用し、電荷
移動層にポリエステルカーボネートのバインダを使用し
て、これらの結果を改善したものである。
【0009】電子写真再生装置に使用される光伝導体中
の顔料として、金属を含有しないX型フタロシアニンを
使用することはすでに開示されている。1992年12
月1日にウォズマンドらに与えられた米国特許第5,1
68,022号明細書には、X型フタロシアニン材料の
製法が記載されている。これらの材料は、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルアセテートなどの重合体バインダ
とともに使用することにより、光伝導体作像部材の電荷
発生層として有用であると教示されている。
【0010】1974年6月11日にバーンに与えられ
た米国特許第3,816,118号明細書には、バイン
ダに分散されたフタロシアニン顔料を含む電子写真プレ
ートが記載されている。X型のフタロシアニンが好まし
い。開示された発明に有用なバインダは、従来の多くの
バインダ材料の他に、ポリ塩化ビニルおよびポリカーボ
ネートが含まれている。
【0011】1971年4月20日にバーンらに再交付
された米国特許再交付第27,117号明細書には、バ
インダと混合して基板上にコーティングすると光伝導性
材料として有用であると教示されたX型のフタロシアニ
ンが開示されている。
【0012】1994年11月15日にニュイェンに与
えられた米国特許第5,364,727号明細書には、
微粒子のフタロシアニン顔料とアミン型の感光剤が重合
体バインダに分散された、液体トナーとして使用する正
電荷充電型の光伝導体が記載されている。X型フタロシ
アニンは好ましい顔料であると教示されており、一方、
ポリカーボネートを含む従来のあらゆる重合体バインダ
が有用であると教示されている。
【0013】1991年12月24日にイチノに与えら
れた米国特許第5,075,189号明細書には、顔料
と従来のバインダ樹脂を含む電荷発生層とともに、N−
アルコキシル化またはN−アルキル化したポリアミド共
重合体アンダーコート層からなる電子写真用光受容体が
記載されている。X型フタロシアニンは、塩化ビニル樹
脂およびポリカーボネート樹脂を含む従来のバインダと
ともに、開示された発明に使用できる多数の顔料のひと
つであると教示されている。
【0014】1993年4月20日にコバタらに与えら
れた米国特許第5,204,200号明細書には、アル
コールに溶解性のポリアミド樹脂をアンダーコートに使
用した積層有機感光材料が記載されている。この発明で
は、電荷発生層はX型フタロシアニンと、バインダとし
て塩化ビニルとエチレンの共重合体、および塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、マレイン酸の共重合体の混合物を含有
する。電荷移動層のバインダ樹脂はポリカーボネート材
料が用いられる。
【0015】1980年8月19日にシマダらに与えら
れた米国特許第4,218,528号明細書には、暗衰
微(ダークディケイ)を防止するため、活性化光を使用
して静電画像を形成する方法が記載されている。この方
法では、光伝導体は他の多数の材料の中で、金属を含有
しないフタロシアニンなどの光伝導性の微粉末を、フェ
ノール樹脂が好ましいが、ポリカーボネートを含む樹脂
に分散したものを含む。
【0016】1990年11月27日にホリエらに与え
られた米国特許第4,973,536号明細書には、電
荷発生層にフタロシアニン顔料を含み、電荷移動層に特
定のヒドラゾンを含む電子写真用光受容体が記載されて
いる。好ましくはないが、X型フタロシアニンが明確に
開示されている。有用なバインダには、他の多数のバイ
ンダの中でポリカーボネートおよびポリ塩化ビニルが含
まれる。
【0017】1990年12月4日にフジマキらに与え
られた米国特許第4,975,350号明細書には、電
荷発生層に金属を含有しないX型フタロシアニンを、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニルなど、従来のバインダ
とともに含む光受容体が記載されている。開示された光
受容体は、ヒドラゾン類などの特定のキャリア移動材料
も含んでいる。
【0018】1991年10月1日にサカグチらに与え
られた米国特許第5,053,303号明細書には、電
荷発生層に金属を含有しないX型フタロシアニンと、バ
インダ(ポリ塩化ビニルは開示されていない)を含み、
電荷移動層にヒドラゾン、ブタジエンまたはピラゾリン
化合物をポリカーボネートのバインダとともに含む電子
写真用感光材料が記載されている。
【0019】ポリ塩化ビニルとポリカーボネートは、光
伝導体のバインダとしても知られている。たとえば、1
992年7月14日にアドレイらに与えられた米国特許
第5,130,215号明細書には、電荷移動層と電荷
発生層の一方または両方のバインダとして特注のポリエ
ステルカーボネートを用いた多層光伝導体が記載されて
いる。ヒドラゾンとポリエステルカーボネートバインダ
からなる電荷移動層を有する構造が明確に開示されてい
る。上記の発明は、放電域の疲労が減少し、室内光に露
光した場合の疲労も減少することを教示している。光伝
導体のポリ塩化ビニルおよび/またはポリカーボネート
を使用することに関しては、上述の米国特許第4,97
3,536号、第3,816,118号、第5,36
4,727号、第5,204,200号、第4,97
5,350号、および第5,053,303号明細書も
参照されたい。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の特許には、本発明の利点を達成するのに必要な、金属
を含有しないX型フタロシアニンと中分子量ポリ塩化ビ
ニルバインダーとからなる電荷発生層と、ポリエステル
カーボネートバインダを含む電荷移動層とを組み合わせ
たものについては何も開示されていない。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、約10〜約5
0重量部のフタロシアニン材料(好ましくは金属を含有
しないX型フタロシアニン)、および約50〜約90重
量部の中分子量ポリ塩化ビニルバインダからなり、フタ
ロシアニンは微粉砕化されて上記のポリ塩化ビニルに分
散された電荷発生層を、ポリエステルカーボネートバイ
ンダを含有する電荷移動層とともに有する光伝導体に関
するものである。
【0022】具体的には、本発明は、(a)アース面を
有する基材と、(b)上記基材上に設けた、約10〜約
50重量部のフタロシアニンと、約50〜約90重量部
の分子量が約25,000〜約300,000のポリ塩
化ビニルとからなり、フタロシアニンが微粒子として前
記ポリ塩化ビニル中に分散する電荷発生層と、(c)前
記電荷発生層上に設けた、約30〜約70重量部の電荷
移動分子と、約30〜約70重量部の分子量が約40,
000〜約100,000のポリエステルカーボネート
バインダとからなる電荷移動層、とを備える光伝導性部
材に関するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に用いる光伝導性部材は、
複写機、印刷機などの電子写真再生装置に利用すること
ができ、第一層(電荷発生層)が光を吸収しその結果電
荷キャリアを発生させ、上記第一層上の第二層(電荷移
動層)がこれらの電荷キャリアを光伝導体の露出された
表面に移動する多層構造を有することを特徴とするもの
である。
【0024】この光伝導性部材では、柔軟性を有する織
布、ベルトなどや、非柔軟性のドラムなどが、アース面
としての金属アルミニウムの薄層によってコーティング
されて基材を形成している。なお、金属板や金属箔のみ
からなるものを基材として用いてもよい。上記アルミニ
ウム層は電気的なアース面として機能する。このような
基材の好ましい実施例では、アルミニウムは陽極酸化さ
れ、アルミニウムの表面はこれより厚い酸化アルミニウ
ム(厚さ約2〜約12μm、好ましくは約4〜約7μ
m)に変化している。このような基材としては、1)ア
ルミニウム、ニッケルなどの金属板、2)金属ドラムも
しくは箔、3)たとえばアルミニウム、酸化スズ、もし
くは酸化インジウムを真空蒸着したプラスチックフィル
ム、または4)導電性物質をコーティングした紙、プラ
スチックフィルム、もしくはドラムを用いることができ
る。
【0025】次に、アルミニウム層に、ポリ塩化ビニル
バインダと感光性フタロシアニン分子からなる、薄い、
厚さが均一な電荷発生層をコーティングする。最後に、
電荷発生層の上に厚さが均一な電荷移動層をコーティン
グする。電荷移動層は、電荷移動分子を含有するポリエ
ステルカーボネートのバインダからなる。
【0026】この構造中の各層の厚さは特に重要ではな
く、当業者に周知のとおりである。例示した光伝導体で
は、接地面層の厚さは約0.01〜約0.07μm、電
荷発生層の厚さは約0.05〜約5.0μm、好ましく
は約0.1〜約2.0μm、最も好ましくは約0.1〜
約0.5μm、電荷移動層の厚さは約10〜約25μ
m、好ましくは約20〜約25μmである。接地面と電
荷発生層との間にバリア層を使用する場合は、その厚さ
は約0.05〜約2.0μmである。
【0027】本発明に使用する電荷発生層を形成するに
は、フタロシアニン染料の微粒子を中分子量のポリ塩化
ビニルバインダに分散させ、この分散液を接地面層にコ
ーティングする。これは、通常、フタロシアニン、バイ
ンダ、および溶剤を含有する分散液を調製し、この分散
液をアース面を有する基材にコーティングし、乾燥する
ことにより行われる。
【0028】本発明に使用する染料は、当業者に周知の
フタロシアニンである。このような材料の例は、197
4年6月11日にバーンに与えられ、本明細書に参照と
して添付した米国特許第3,816,118号明細書に
教示されている。本発明に使用する電荷発生層を調製す
るには、好適に用いられるものであれば、どのようなフ
タロシアニンでもよい。使用するフタロシアニンは、い
かなる結晶形のものでもよい。それは、環状部と直鎖部
のいずれか(または両方)において、置換されているも
のでも、置換されていないものでもよい。有用な材料お
よびその合成については、本明細書に参照として添付し
たモーゼルとトーマスの、「フタロシアニン化合物」
(レインホールド・パブリッシング社、1963年発
行)に記載されている。好ましいフタロシアニン材料
は、構造中心の金属がチタンであるもの(すなわち、チ
タニルフタロシアニン)および金属を含有しないフタロ
シアニンである。金属を含有しないフタロシアニンが特
に好ましく、とりわけX型の金属を含有しないフタロシ
アニンが好ましい。このような材料は、本明細書に参照
として添付した1967年12月12日にバーンらに与
えられた米国特許第3,357,989号明細書、19
74年6月11日にバーンに与えられた米国特許第3,
816,118号明細書、および1993年4月20日
にコバタに与えられた米国特許第5,204,200号
明細書に開示されている。X型の金属を含有しないフタ
ロシアニンは、下記の式で表される。
【0029】
【化2】
【0030】このような材料は、高純度の電子写真用グ
レードとして、たとえばゼネカ社からProgen−X
PCの商品名で市販されている。
【0031】電荷発生層を形成するバインダとして使用
するポリ塩化ビニル(PVC)化合物は、平均分子量
(重量平均)約25,000〜約300,000、好ま
しくは約50,000〜約125,000、最も好まし
くは約80,000の中分子量物質である。この物質
は、無置換であるものが好ましいが、塩素、オキシラ
ン、アクリロニトリル、ブチラールなど、各種の置換基
を含むものでもよい。本発明に有用なポリ塩化ビニル材
料は、当業者に周知のものである。このような材料の例
として、ゼオン社から、GEON110X426の商品
名で市販されているものがある。同様のポリ塩化ビニル
は、ユニオンカーバイド社からも市販されている。
【0032】フタロシアニン染料の混合物は、ポリ塩化
ビニル中で生成する。この混合物は、通常、約10〜約
50重量部、好ましくは約10〜約30重量部、最も好
ましくは約20部のフタロシアニン成分と、約50〜約
90重量部、好ましくは約70〜約90重量部、最も好
ましくは約80部のポリ塩化ビニル成分を含有する。業
界で周知の塩化ビニル、酢酸ビニル、無水マレイン酸共
重合体などのポリ塩化ビニル共重合体は、電荷発生層中
に単独で使用するバインダとしては、本発明では有用で
はないが、このような共重合体は、他の従来から知られ
ているバインダ同様、ポリ塩化ビニルとともに補助バイ
ンダとして本発明に使用することはできる。補助バイン
ダを使用する場合は、バインダ混合物全量の少なくとも
75重量%はポリ塩化ビニルにする必要がある。
【0033】次にフタロシアニンとポリ塩化ビニルの混
合物を、さらに加工するために溶剤または分散媒体と混
合する。溶剤としては、(1)高分子量重合体に対する
真溶剤であり、(2)すべての成分と反応せず、(3)
低毒性のものでなければならない。本発明に単独または
好ましい溶剤とともに、使用することができる分散媒体
または溶剤の例には、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレンなどの炭化水素、塩化メチレン、臭化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロ
エタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジク
ロロプロパン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベ
ンゼンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エ
チル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノー
ル、ヘプタノール、エチレングリコール、メチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ、酢酸セロソルブなどのアルコ
ール類およびこれらの誘導体、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン、フラン、フルフラールなどのエー
テルおよびアセタール類、ピリジン、ブチルアミン、ジ
エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールア
ミンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミドな
どのアミド類を含む窒素化合物、脂肪酸類およびフェノ
ール類、二硫化炭素、リン酸トリエチルなどのイオウお
よびリンの化合物がある。本発明において好ましく用い
られる溶剤は、塩化メチレン、シクロヘキサノン、およ
びテトラヒドロフラン(THF)である。生成された混
合物は、約10〜約50重量%、好ましくは約10〜約
重量30%、最も好ましくは約20重量%のフタロシア
ニンとポリ塩化ビニルの混合物、および約50〜約重量
90%、好ましくは約70〜約90重量%、最も好まし
くは約80%重量の溶剤/分散媒体を含む。
【0034】次に、従来の粉砕装置を用いて混合物全体
を、所望の染料粒径に達し、かつ、混合物中に分散する
まで粉砕する。有機顔料(フタロシアニン)は、例えば
ボールミル、ホモミキサ、サンドミル、超音波分散機、
磨砕機、サンドグラインダなどを用いて微粉砕し、微粒
子を得ることができる。好ましい装置はサンドミル粉砕
機である。フタロシアニン染料の(粉砕後の)粒径は、
サブミクロン(例えば、約0.01μm)から約5μm
の範囲であるが、約0.05〜約0.5μmの粒径が好
ましい。
【0035】次に、電荷発生層をアース面を有する基材
にコーティングする。電荷発生層を形成する分散液を、
ディップコーティング、スプレーコーティング、ブレー
ドコーティング、ロールコーティングなどの周知の方法
を用いて基材にコーティングした後、これを乾燥する。
本発明で用いるのに好ましい方法はディップコーティン
グである。形成された電荷発生層の厚さは、好ましくは
約0.1〜約2.0μm、最も好ましくは約0.5μm
とする必要がある。形成される層の厚さは、基材を浸漬
する分散液の稠度と、浸漬工程の温度および時間に依存
する。アース面を有する基材を電荷発生層でコーティン
グした後、約10〜約60分間、好ましくは約30分
間、約60〜約160℃、好ましくは約100℃の温度
で硬化させる。
【0036】次に、電荷発生層を被覆するようにし基材
上に電荷移動層を形成する。電荷移動層は、ポリエステ
ルカーボネートバインダ中に電荷移動分子を含有する溶
液から、この溶液を電荷発生層にコーティングした後、
コーティング層を乾燥させて形成する。
【0037】電荷移動層を形成するために使用するポリ
エステルカーボネートバインダは業界で周知のものであ
り、本明細書に参照として添付した1982年5月18
日にベイルズに与えられた米国特許第4,330,66
2号明細書、および1992年7月14日にアドレイら
に与えられた米国特許第5,130,215号明細書に
記載されている。上記米国特許第4,330,662号
明細書には、本発明で使用している種類のポリエステル
カーボネート共重合体が記載されている。この特許に記
載されている重合体材料は、耐熱性、透明性および耐衝
撃性に優れ、強靭な透明フィルムを形成するのに有用で
あると言われている。本明細書で使用するポリエステル
カーボネートの名称は、上記の米国特許第4,330,
662号と第5,130,215号の明細書に記載され
ている材料を意味する。この材料の分子構造は、下記の
式で表される。
【0038】
【化3】
【0039】この式で、本発明に使用するポリエステル
カーボネートのエステル含有量は約35〜約70重量
%、好ましくは約60〜約70重量%の範囲である。こ
の範囲では、約70重量%のエステル含有量が最も好ま
しい。これらの材料は、熱可塑性の芳香族(すなわち、
芳香族エステル成分を含有する)ポリエステルカーボネ
ート類である。これらの分子量(重量平均)は、約4
0,000〜約100,000、好ましくは約60,0
00である。これらの材料のガラス転移温度(これは、
確実に適切な処理を行う上で重要である)は、約160
〜約190℃、好ましくは約170℃である。本発明に
使用するのに好ましい材料は、マイルス社からAPEC
DP9−9308の品名で市販されている。電荷移動
層の形成には、ポリエステルカーボネート類に補助バイ
ンダを含まないことが好ましい。
【0040】本発明に使用される電荷移動分子は、業界
で周知のものである。これらの低分子量有機化合物の基
本的な必要条件は、露光から現像までの時間より短時間
の間に、電荷移動層を電荷が通過するような移動度(層
を通っての正孔の移動)でなければならない。正孔の移
動は、ドナーとアクセプタの相関性に関連する状態から
の電荷の移動によって起こる。これは、一電子酸化還
元、またはドナーアクセプタプロセスとして説明されて
いる。酸化電位の測定値は、電荷移動分子の効力を評価
するのに使用されている。このような化合物の例は、本
明細書に参照として添付した、1991年10月1日に
坂口らに与えられた米国特許第5,053,303号明
細書に開示されている。好ましい電荷移動分子は、ヒド
ラゾン類、ブタジエン類、ピラゾリン類、およびこれら
の化合物の混合物から選択されたものである。本発明に
有用なヒドラゾン類は、下記の一般式を有する化合物で
ある。
【0041】
【化4】
【0042】ここで、R1、R2、R8、R9は、相互
に独立な水素または低級アルキル基を示す。
【0043】本発明に有用なブタジエン類は、下記の一
般式を有する化合物である。
【0044】
【化5】
【0045】ここで、R3、R4は相互に独立な低級ア
ルキル基を示し、R1、R5、R6、R7、R10、R
11は、相互に独立な水素または低級アルキル基を示
す。
【0046】本発明に有用なピラゾリン化合物は、下記
の一般式を有する化合物である。
【0047】
【化6】
【0048】ここで、R3、R4、R12、R13は相
互に独立な低級アルキル基を示し、R14はフェノール
基を示しこのフェノール基は1個以上の置換基を含むも
のであってもよい。
【0049】ヒドラゾン類は本発明に用いる電荷移動分
子として好ましく、下記の構造を有するものが最も好ま
しい。
【0050】
【化7】
【0051】ここで、R1、R8、R9は相互に独立な
水素または低級アルキル基を示し、R3、R4は相互に
独立な低級アルキル基を示す。
【0052】最も好ましい電荷移動分子はDEHと呼ば
れるもので、化学名はp−ジメチルアミノベンズアルデ
ヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンである。この化合
物は下記の構造式を有する。
【0053】
【化8】
【0054】電荷移動層は、業界で周知であり、その業
界で確立された濃度で含有されるある種の任意成分を含
むものであってもよい。このような成分の例としては、
光伝導体の表面をコーティングする時に、コーティング
層の流動を良くするためのシリコーン添加剤(例えば、
低分子量のポリジメチルシロキサン材料など)や、室内
光からの保護剤(アセチゾールイエロー染料など)があ
る。
【0055】次に、バインダ約30〜約70重量%、好
ましくは約60重量%と、電荷移動分子約30〜約70
重量%、好ましくは約40重量%の成分を有する電荷移
動分子とバインダの混合物を配合する。この混合物を、
上述の電荷発生層の形成に使用したような溶剤/分散媒
体に添加する。好ましい溶剤は、THF、シクロヘキサ
ノン、および塩化メチレンである。溶液は、約10〜約
40重量%、好ましくは約25重量%のバインダと電荷
移動分子の混合物と、約60〜約90重量%、好ましく
は約75%重量の溶剤を含有するものが好ましい。次
に、上述の従来のコーティング技術を用いて、電荷移動
層をアース面を有する基材上の電荷発生層上にコーティ
ングする。ディップコーティングが好ましい。電荷移動
層の厚さは、一般に約10〜約25μm、好ましくは約
20〜約25μmである。溶液中の固形分%、溶液の温
度、および引き上げ速度が移動層の厚さを制御する。
【0056】上述の層の他に、基材(基板)と電荷発生
層の間に、アンダーコート層を設けてもよい。これは実
質的に、基板層の不完全部分を覆い、形成した薄い電荷
発生層の均一性を良くするための下塗層である。このア
ンダーコート層を形成するのに使用できる材料には、エ
ポキシ、ポリアミド、およびポリウレタンが挙げられ
る。オーバーコート層(すなわち、表面保護層)を電荷
移動層の上に設けることもできる。この層は、印刷工程
中の磨耗および摩擦から電荷移動層を保護する。このオ
ーバーコート層を形成するのに使用できる材料には、ポ
リウレタン、フェノール樹脂、ポリアミド、およびエポ
キシが挙げられる。これらの構造は当業者には周知のも
のである。
【0057】下記の実施例は、本発明の光伝導体を説明
するためのものである。この例は、説明のためのもので
あり、本発明を制限するものではない。
【0058】
【実施例】本発明の二層光伝導体ドラムを下記の方法で
作製した。
【0059】ポリ塩化ビニル重合体バインダ(分子量=
80,000、ゼオン社から市販のもの)を、THF、
シクロヘキサノン、1,2−ジクロロメタン、およびこ
れらの混合物から選択した溶剤に溶解した。この溶液
は、溶剤中に約5〜約25重量部(好ましくは約10〜
約20重量部、最も好ましくは約16重量部)のポリ塩
化ビニルを含有する。粒状で超高純度の、金属を含有し
ないX型フタロシアニン染料(Progen−XPC、
ゼネカ社から市販のもの)を、ポリ塩化ビニルと溶剤か
らなる上記溶液に混合した。このとき、フタロシアニン
とポリ塩化ビニル重合体との重量比は、フタロシアニン
20重量部に対してポリ塩化ビニル重合体80重量部に
なるようにした。この混合物中の溶剤は、混合物全体の
約80重量部を占める。次に、得られた混合物をサンド
ミル分散機で約2時間粉砕した。なお、好適に用いられ
る種類の粉砕機としては、モアハウスインダストリー
ズ、ドライスベルケ社、プレミアミル社、ネッチェ社か
ら市販されている。分散混合物の温度を30℃以下に保
つために、分散チャンバの周囲には冷却水ジャケットが
必要である。この用途では、直径が約0.7〜1.2m
mのビーズからなる粉砕媒体が最も有効であった。得ら
れたフタロシアニン粒子の粒径は、約0.05μmであ
った。
【0060】アルミニウムのドラムを、表面に酸化アル
ミニウム層(厚さ約6μm)が形成されるように陽極酸
化した後、このドラムを約20℃の温度で、フタロシア
ニン、PVC、THFの混合物に浸漬してディップコー
ティングを行なった。次に、ドラムを混合物から、所望
の厚さの層が得られる速度で引き上げた。このドラム
を、100℃の温度で30分間硬化させた。光学濃度計
で測定した、ドラム上に形成された電荷発生層の厚さは
約0.5μmであった。
【0061】次に、分子量(重量平均)が約60,00
0、ガラス転移温度が約170℃のポリエステルカーボ
ネート材料(マイルス社、APEC DP9−930
8)を、DEH電荷移動分子(イーストマンケミカル社
から市販されているもの)と、約20℃の温度で混合し
て、電荷移動層を形成するのに使用する混合物を調製し
た。この混合物は、DEH約40重量%、ポリエステル
カーボネート約58.5重量%、流動性を良くするため
のシリコーン添加剤(ダウコーニング社、200センチ
ストークスPDMS)を微量分、および室内光保護剤
(アセチゾールイエロー染料、サンドケミカルから市販
されているもの)約1.5%とを含有している。この混
合物をTHFに添加した(固形分25重量%、THF重
量75%)。次に、コーティングされたアルミニウムの
コアを、約20℃の温度でこの移動層混合物中に浸漬し
た。次に、このアルミニウムのコアを混合物から所望の
厚さの層が得られる速度で引き上げ、100℃で1時間
硬化させた。形成された電荷移動層の厚さは約20〜約
25μmであった。
【0062】
【発明の効果】本発明により形成した光伝導体は、従来
の光伝導体と比較して、優れたサイクリング安定性と、
液体トナーとともに使用した場合、改善された耐油性を
示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正内容】
【0052】 最も好ましい電荷移動分子はDEHと呼
ばれるもので、化学名はp−ジチルアミノベンズアル
デヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンである。この化
合物は下記の構造式を有する。
フロントページの続き (72)発明者 ロナルド・アーロン・マーテン アメリカ合衆国 80303 コロラド、ボウ ルダー、エルスワース・プレイス 5138 (72)発明者 ロバート・ジェイムス・ルマリー アメリカ合衆国 80501 コロラド、ロン グモント、カーティス・プレイス 4 (72)発明者 ロバート・リー・ヴォルマー アメリカ合衆国 80305 コロラド、ボウ ルダー、イースト・アパシェ・コート 3901

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アース面を有する基材と、(b)
    該基材上に設けた、約10〜約50重量部の、金属を含
    有しないX型フタロシアニンと、約50〜約90重量部
    の分子量が約25,000〜約300,000のポリ塩
    化ビニルとからなり、フタロシアニンが微粒子として上
    記ポリ塩化ビニル中に分散している電荷発生層と、
    (c)該電荷発生層上に設けた、約30〜約70重量部
    の電荷移動分子と、約30〜約70重量部の分子量が約
    40,000〜約100,000のポリエステルカーボ
    ネートとからなる電荷移動層とを備える、光伝導性部
    材。
  2. 【請求項2】 電荷発生層の厚さが、約0.1〜約2.
    0μmであることを特徴とする請求項1に記載の光伝導
    性部材。
  3. 【請求項3】 電荷移動層の厚さが、約10〜約25μ
    mであることを特徴とする請求項2に記載の光伝導性部
    材。
  4. 【請求項4】 電荷移動分子が、ブタジエン類、ヒドラ
    ゾン類、ピラゾリン類およびこれらの混合物からなる群
    から選択されたものであることを特徴とする請求項3に
    記載の光伝導性部材。
  5. 【請求項5】 ポリエステルカーボネートが、下記の式
    を有することを特徴とする請求項4に記載の光伝導性部
    材。 【化1】 ここで、XおよびNは、上記ポリエステルカーボネート
    のエステル含有量が約35〜約70重量%となるような
    値である。
  6. 【請求項6】 電荷移動分子がヒドラゾン類であること
    を特徴とする請求項5に記載の光伝導性部材。
  7. 【請求項7】 電荷発生層が、約10〜約30重量部の
    フタロシアニンと、約70〜約90重量部のポリ塩化ビ
    ニルとを含有することを特徴とする請求項6に記載の光
    伝導性部材。
  8. 【請求項8】 フタロシアニンの粒径が約0.01〜約
    0.5μmであることを特徴とする請求項7に記載の光
    伝導性部材。
  9. 【請求項9】 電荷移動分子がDEH(p−ジメチルア
    ミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾ
    ン)であることを特徴とする請求項7に記載の光伝導性
    部材。
  10. 【請求項10】 ポリ塩化ビニルの分子量が、約50,
    000〜約125,000であることを特徴とする請求
    項9に記載の光伝導性部材。
  11. 【請求項11】 電荷発生層が約20重量部のフタロシ
    アニンと約80重量部のポリ塩化ビニルとを含有し、電
    荷移動層が約60重量部のポリエステルカーボネートと
    約40重量部のDEHとを含有することを特徴とする請
    求項10に記載の光伝導性部材。
  12. 【請求項12】 約10〜約50重量部の、金属を含有
    しないX型フタロシアニンと、約50〜約90重量部の
    中分子量ポリ塩化ビニルバインダとからなり、フタロシ
    アニンが微粉砕化されて前記ポリ塩化ビニル中に分散し
    ている電荷発生層と、ポリエステルカーボネートバイン
    ダからなる電荷移動層とを有する光伝導性部材。
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