JPH08994A - 金属酸化物添着活性炭 - Google Patents

金属酸化物添着活性炭

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JPH08994A
JPH08994A JP6163251A JP16325194A JPH08994A JP H08994 A JPH08994 A JP H08994A JP 6163251 A JP6163251 A JP 6163251A JP 16325194 A JP16325194 A JP 16325194A JP H08994 A JPH08994 A JP H08994A
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JP
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activated carbon
cerium oxide
isothiocyanate
honeycomb
granular
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JP6163251A
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Inventor
Yasuhiro Tajima
康宏 田島
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Kuraray Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】炭素質原料を粒状またはハニカム状、繊維状に
成型して炭化し、水蒸気含有率15容量%以下の雰囲気で
賦活した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却
し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の金属
酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめてなる金属酸化物添
着活性炭及び常法により得られた粒状またはハニカム
状、繊維状活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気
を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で約500 ℃
以上で処理した後、そのままの雰囲気中で300 ℃以下ま
で冷却し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他
の金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめてなる金属酸
化物添着活性炭より成る。 【効果】気相中のイソチオシアン酸エステルの臭気の吸
着・除去性に優れた性質をもち家庭電化製品等を倉庫で
保管する場合に殺菌剤として使用される、イソチオシア
ン酸アリルの脱臭剤として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属酸化物添着活性炭に
関するものである。更に詳しく述べると、空気等ガス中
にイソチオシアン酸エステルの蒸気を含むガスは特有な
臭気を有するが、この金属酸化物添着活性炭はその臭気
の吸着・除去性に優れた性質をもっている。このため主
としてイソチオシアン酸エステル蒸気を含むガスの脱臭
剤に使用される。
【0002】
【従来の技術】家庭電化製品、例えば冷蔵庫を倉庫等に
保管する場合にはその電化製品を殺菌する必要がある。
このために使用される殺菌剤は食品衛生上安全で無害で
なければならないから、例えば、食品に含まれている成
分で殺菌効果がある成分を含む雰囲気を殺菌剤として使
用することが好ましい。この様な観点から、空気中に微
量のカラシ油の成分として知られるイソチオシアン酸ア
リルの蒸気を含む雰囲気は好ましい殺菌剤であり、この
様な目的に使用されている。
【0003】しかしながら、イソチオシアン酸アリルは
わさび臭を持っているため、殺菌剤として使用した後、
このガスを脱臭する必要がある。このため適用される脱
臭剤として、従来から高温で分解・無臭化させる貴金属
触媒等が知られていたが、常温で短時間で分解・無臭化
できるものは知られていない。この様な新しい脱臭剤の
開発が待望されていた。
【0004】一方、一般的に悪臭ガス脱臭剤としては活
性炭がよく使用されている。活性炭は無極性吸着剤とし
て極めて優れた吸着性を有する特異な材質で、殆どすべ
てのガス状物質に対して高い吸着性を示す。しかし、通
常の活性炭のみではイソチオシアン酸エステルの臭気を
充分に除去することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は殺菌等の目的
に使用したイソチオシアン酸エステルの蒸気を含むガス
を、常温で短時間に脱臭することを目的としたものであ
る。このため特に問題となるイソチオシアン酸アリルに
対して優れた脱臭効果を有し、且つ安全性が高く取扱が
容易な、イソチオシアン酸エステルの蒸気を含むガスの
脱臭性に優れた新しい組成物を提供しようとするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は吸着性が優
れ、更に常温・気相中においてイソチオシアン酸エステ
ルの分解触媒性が優れた、脱臭剤の調製法について種々
検討した。その結果、特定のプロセスにより調製された
粒状またはハニカム状、繊維状の活性炭に酸化セリウム
または、酸化セリウムの他バナジウム、マンガン、鉄、
銅、モリブデン等の1種または2種以上の金属酸化物を
添着した組成物は、イソチオシアン酸エステルの分解触
媒性に優れ、常温においても気相中に存在する微量のイ
ソチオシアン酸エステルの脱臭剤に適していることを見
出した。これに基づいて本発明に到達した。
【0007】すなわち、炭素質原料を粒状またはハニカ
ム状、繊維状に成型して炭化し、水蒸気含有率15容量%
以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で300 ℃
以下まで冷却し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及び
その他の金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめてなる
金属酸化物添着活性炭及び更に、常法により得られた粒
状またはハニカム状、繊維状活性炭を、実質的に酸素ま
たは/及び水蒸気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸
ガス中で約500 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲気
中で300 ℃以下まで冷却し、酸化セリウムまたは酸化セ
リウム及びその他の金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せ
しめてなる金属酸化物添着活性炭であり、またこれらの
組成物を使用したイソチオシアン酸エステルの脱臭方法
である。
【0008】ここで「常法により得られた粒状またはハ
ニカム状、繊維状活性炭」とは水蒸気含有率が15容量%
よりかなり高い雰囲気中で賦活し、賦活反応終了後充分
に冷却する以前に賦活炉から取り出して空気に接触せし
める通常の製法で得られた活性炭である。この様な活性
炭は本発明の担体として用いた場合、イソチオシアン酸
エステルの酸化触媒活性が低い。また、「実質的に酸素
または/及び水蒸気を含まない」とは、賦活後の活性炭
の熱処理において、活性炭表面に結合した酸素原子が存
在しない活性炭が得られる雰囲気の意味で、酸素及び水
蒸気が1〜2容量%以下の状態をいう。
【0009】以下本発明について詳しく説明する。
【0010】本発明に用いられる活性炭は、ヤシ殻炭、
石炭等の炭素質原料にフェノール樹脂、コールタール、
ピッチ等のバインダーを加えて、粒状またはハニカム
状、繊維状に成型した後炭化し、本発明の方法で賦活す
ることにより得らたものである。この際、賦活ガスは水
蒸気の他、炭酸ガスを含むが、水蒸気含有率は15容量%
以下とする必要がある。
【0011】通常使用されている活性炭賦活用ガスの組
成は水蒸気40〜60容量%で、それより更に高い場合も多
い。水蒸気による炭素質の賦活速度は炭酸ガスよりかな
り速いため、通常賦活ガスの組成は水蒸気分圧がなるべ
く高くなる様に設定されている。従って本発明の条件
は、常法に比べて著しく賦活速度を遅くしたマイルドな
条件になっている。表5の実施例9及び比較例5〜7に
示すように、水蒸気含有率が高い条件下で賦活された場
合は、イソチオシアン酸エステルの酸化触媒性がかなり
低下することが分かる。水蒸気含有率が低い賦活条件が
活性炭の酸化触媒性を向上させる機構の詳細は明らかで
ないが、かかる条件下で得られた粒状またはハニカム
状、繊維状活性炭はその表面に結合した酸素原子が存在
しない状態になっていることが指摘されている。
【0012】本発明の活性炭の比表面積は特に限定しな
いが、500m2/g 以上であることが好ましく、800m2/g 以
上であればより好ましい。
【0013】常法により得られた粒状、ハニカム状、繊
維状活性炭は、粒状またはハニカム状、繊維状に成型し
た炭素質原料を水蒸気、燃焼ガス等で賦活することによ
り製造されているが、かかる活性炭を本発明に使用して
も、充分な酸化触媒性を示さない。本発明の効果は前述
の様な特定の組成のガスで賦活された粒状またはハニカ
ム状、繊維状活性炭を用いることによって、初めて得ら
れるものである。
【0014】更に、賦活後においても、賦活ガスと同様
な組成のガスの中で活性炭を温度300 ℃以下に迄冷却
し、その後系外に取り出すことが必要である。冷却時の
雰囲気は賦活時に用いられたガスに限定されず、窒素ガ
ス、二酸化炭素ガス、水素ガスの混合ガス、或いは更に
水蒸気が15容量%以下、酸素ガスが1〜2容量%以下含
まれていてもよい。すなわち、賦活に用いるガスと冷却
に用いるガスとは必ずしも同一組成でなくてもよく、本
発明において「そのままの雰囲気で冷却」するとは前述
のような意味である。
【0015】この様にして得られた活性炭に酸化セリウ
ムまたは酸化セリウム及びその他の金属酸化物を添着す
れば、イソチオシアン酸エステルを速やかに酸化する強
い触媒性を示す。しかし、本発明の賦活された粒状また
はハニカム状、繊維状活性炭を賦活後、高温のまま系外
へ取り出し、酸素ガス或いは水蒸気を多量に含む雰囲気
中に放置すれば、得られた活性炭に酸化セリウムまたは
酸化セリウム及びその他の金属酸化物を添着しても、酸
化触媒としての能力が著しく低下した組成物しか得られ
ない。
【0016】賦活後の活性炭を300 ℃以上で空気中に取
り出すと、低温低濃度における酸化触媒としての能力が
著しく低下する。賦活後窒素ガス中で冷却した場合と、
空気中で冷却した場合の触媒性に及ぼす影響を、表1の
実施例1及び比較例1に示す。また賦活後活性炭が空気
に触れる温度が触媒性に及ぼす影響については、表4の
実施例7、8及び比較例3、4に示す。
【0017】更に本発明においては、常法により得られ
た粒状またはハニカム状、繊維状活性炭或いは調製され
た直後は高い酸化触媒性を示したが、使用中に空気等に
触れて表面が酸化され酸化触媒性が低下した、粒状また
はハニカム状、繊維状活性炭を、実質的に酸素または/
及び水蒸気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中
で温度500 ℃以上で処理し、そのままの雰囲気中で300
℃以下まで冷却することにより得られた活性炭も、前述
の様に調製した粒状またはハニカム状、繊維状活性炭と
同様に、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の
金属酸化物を添着することにより、イソチオシアン酸エ
ステルに対する高い酸化触媒性を示す。換言すれば、こ
の熱処理によって粒状またはハニカム状、繊維状活性炭
に高い酸化触媒能が付与される。この熱処理が適用され
る活性炭は、石炭、ヤシ殻炭等いずれの原料から得られ
たものでもよい。
【0018】常法により得られた粒状またはハニカム
状、繊維状活性炭はいずれもこの方法で処理することに
より、本発明に使用出来る活性炭が得られる。この際の
処理温度は500 ℃以上とする必要がある。処理時間は温
度によって変わるが、500 ℃の場合は通常、20〜180 分
が好ましく、800 ℃では数分の処理によっても充分その
効果が得られる。熱処理温度が酸化触媒性に及ぼす影響
については表1の実施例2及び3、比較例1(イ)に示
す。
【0019】本発明において活性炭に添着させる金属酸
化物は必須の成分として酸化セリウムを含有させる必要
がある。更に酸化セリウム以外の金属酸化物を含有させ
てもよく、その金属酸化物の種類は特に限定しないが例
えば、バナジウム、マンガン、鉄、銅、モリブデン等の
酸化物であり、これらの1種または2種の酸化物を併用
してもよい。
【0020】本発明の粒状またはハニカム状、繊維状活
性炭には金属酸化物を0.1 〜20重量%添着させる必要が
ある。金属酸化物の担持量が0.1 %以下の場合は触媒活
性が不充分であり、また10%以上になると添着量が多い
わりに触媒性が向上しない。また活性炭の吸着性能が阻
害されることも考慮すれば、添着量は20%以下とする必
要がある。またより好ましくは担持量の下限が0.5 %、
上限は10%である。
【0021】活性炭に金属酸化物を添着するには、前駆
体として水溶性の金属塩、例えば、金属硝酸塩、金属酸
アンモニウム塩等の水溶液を調製し、所定量活性炭に付
着させしかる後高温で乾燥することにより、目的とする
金属酸化物を活性炭に添着することができる。
【0022】添着方法としては具体的に以下の方法を適
用することができる。所定量の金属塩を溶解した水溶液
に粒状またはハニカム状、繊維状活性炭を入れて攪拌
し、金属塩を充分吸着させた後、液切りして200 ℃で乾
燥する。あるいは所定濃度の水溶液を活性炭に均一に振
りかけて吸水させ、これを高温で乾燥することによって
金属酸化物添着活性炭が得られる。
【0023】活性炭に吸着された硝酸塩或いはアンモニ
ウム塩は熱分解されて金属酸化物が生成され、活性炭の
細孔内に担持された状態となっている。
【0024】金属酸化物の担持量の調節は、水溶液中の
金属酸化物前駆体の濃度と活性炭量との比を変更するこ
とにより可能である。通常、溶液中の金属酸化物前駆体
は、ほぼ完全に活性炭に吸着される。
【0025】活性炭の細孔面に酸化セリウムまたは、酸
化セリウム及びその他の金属酸化物を担持された組成物
が、イソチオシアン酸エステルの臭気を脱臭するメカニ
ズムの詳細は明らかでない。しかし、空気中に含まれた
微量のイソチオシアン酸エステルの蒸気が、活性炭の細
孔面に吸着され、その細孔面の吸着性とそこに担持され
た酸化セリウム分子または酸化セリウム分子及びその他
の金属酸化物分子の作用が相まって、イソチオシアン酸
エステル分子を無臭な成分に分解させるため、脱臭効果
が長期間持続するものと考えられる。
【0026】後述の実施例において、イソチオシアン酸
エステルを本発明の組成物に吸着させた後、加熱・脱着
して生成したガス中に含まれるイソチオシアン酸エステ
ル量を測定した結果が表1〜5に示してある。吸着剤と
して酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の金属
酸化物を担持させた活性炭を使用した場合は、脱着ガス
中に含まれるイソチオシアン酸エステルの量が著しく少
なく、活性炭のみの場合は、脱着ガス中に多量のイソチ
オシアン酸エステルが含まれていることが分かる。従っ
て、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の金属
酸化物を担持させた場合は、高いイソチオシアン酸エス
テルの分解性を示すが、活性炭のみの場合はこれらのエ
ステルの分解性が著しく低いことが分かる (比較例
2)。
【0027】更に、イソチオシアン酸エステルを含む空
気を一定の速度で流して、カラムに充填した本発明の組
成物に吸着させた場合の放出ガス中の残存エステル濃度
をしらべた結果が図1から図5に示してある。これよ
り、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の金属
酸化物を担持させた場合は、放出ガス中の残存エステル
濃度が低い状態が長く持続する。すなわち、長時間イソ
チオシアン酸エステルの脱臭性を保持していることが分
かる。一方、活性炭のみの場合は比較的短時間で破過し
て残存エステル濃度が上昇し、イソチオシアン酸エステ
ルの脱臭性が長時間持続しない。
【0028】これらの結果より本発明の組成物の脱臭剤
としての作用は、活性炭の吸着性と担持させた酸化セリ
ウム等の金属酸化物の相互作用による、イソチオシアン
酸エステルの分解触媒性に依存するものと考えられる。
【0029】本発明にはこれらの組成物の他、組成物を
脱臭剤として使用する脱臭方法も含まれている。脱臭の
対象となる成分は主としてガス中に含まれたイソチオシ
アン酸エステルの臭気、すなわち気相中に蒸気の状態で
存在するイソチオシアン酸エステルの脱臭である。イソ
チオシアン酸エステルの種類は特に限定しない。広範囲
のイソチオシアン酸エステルに適用される。例えば、イ
ソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸エチル、イソ
チオシアン酸アリル、イソチオシアン酸イソアミル、イ
ソチオシアン酸フェニル等が挙げられる。
【0030】これらのイソチオシアン酸エステルの中、
特に家庭電化製品を倉庫等で保管する場合に殺菌剤とし
て使用されるイソチオシアン酸アリルの脱臭剤として好
適である。更にその他一般の脱臭剤としても使用可能で
ある。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0032】(実施例1〜3、比較例1、2)粒状活性
炭は原料として0.5mm 〜3mm の大きさに整粒した石炭を
使用した〔実施例1(イ)〕。また、ハニカム活性炭原
料としては、300 メッシュ以下に粉砕した石炭100 重量
部(以下、部という)に対し、バインダーとしてコール
タールを30重量部添加し、更に滑り材を必要量添加した
粉末をハニカム状に成型した、250 セル/inch2のハニカ
ム状炭素材料を使用した〔実施例1(ロ)〕。繊維状活
性炭の原料としてフェノール樹脂繊維カイノール〔日本
カイノール(株)製商品名〕を使用した〔実施例1
(ハ)〕。
【0033】これらの活性炭原料をプロパン燃焼ガス
(ガス組成:窒素80%、酸素0.2 %、炭酸ガス9.8 %、
水蒸気10%)を用いて、900 ℃で比表面積1300m2/gにな
るまで賦活した後、窒素ガス中で300 ℃以下に冷却して
それぞれ、粒状(イ)、ハニカム状(ロ)、繊維状活性
炭(ハ)を得た。
【0034】次に比較例1は、実施例1と同様にして比
表面積が1300m2/g になるまで賦活した後、活性炭
(イ) 、 (ロ) 、 (ハ) を窒素中に取り出し、500 ℃に
なるまで冷却し、更に空気中に取り出して放置冷却し
た。
【0035】更に、比較例1 (イ) の粒状活性炭を700
℃、N2 50 %、CO2 50%、の気流中で10分間処理した
後、窒素中に取り出し、室温まで冷却して実施例2の活
性炭を得た。
【0036】また、比較例1 (イ) の粒状活性炭を900
℃の窒素中で5分間処理した後、窒素中で室温まで冷却
して実施例3の活性炭を得た。
【0037】これらの活性炭50g に、金属として100 mg
を含有する金属硝酸塩または金属酸アンモニウム塩の水
溶液200 mlを加えてよく攪拌し、3時間放置した後200
℃で乾燥して金属添着量 2.0wt%の金属酸化物添着活性
炭を得た。
【0038】このようにして得られた金属酸化物を添着
した、粒状またはハニカム状、繊維状活性炭1gを3.9
リットルのガラス瓶に入れ、真空ポンプで脱気した後、
イソチオシアン酸アリル0.04 ml を注入して気化させ
た。次に空気を入れて常圧に戻したのち、イソチオシア
ン酸アリルの初期濃度を測定し、これを25℃の恒温槽中
に放置し、24時間経過後イソチオシアン酸アリルの濃度
を同様に測定した。その後、試料を取り出し、ガラス管
に充填し、窒素を流しながら、200 ℃で2時間加熱し、
脱着したイソチオシアン酸アリルの量を測定した。
【0039】その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】尚、比較例2は実施例1で得られた活性炭
に金属酸化物を添着せず、そのままの状態で同様に試験
したものである。
【0042】本発明の粒状またはハニカム状或いは繊維
状金属酸化物添着活性炭(実施例1〜3)は、いずれも
イソチオシアン酸アリルを短時間にほぼ完全に除去し、
かつ副反応による有害な悪臭物質も生成せず、優れた除
去能力を示した。一方比較例(1、2)に示す様に、常
法により得られた粉末状、粒状またはハニカム状或いは
繊維状活性炭のみ(比較例2)及び、本発明以外の方法
により調製された粉末状、粒状またはハニカム状或いは
繊維状金属酸化物添着活性炭(比較例1)は、いずれも
イソチオシアン酸アリル除去率が低いかまたは分解性が
不充分であった。
【0043】常法により得られた活性炭のみを使用した
場合の試験結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例4〜6)実施例1 (イ) の活性炭
に添着する金属酸化物の種類を変更した場合の、イソチ
オシアン酸アリル除去試験の結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表3に示す様に、酸化セリウム及び更に他
の金属酸化物を添着した活性炭もイソチオシアン酸アリ
ルの除去速度及びエステルの分解性が高く、有害な反応
副生物も生成しない。
【0048】(実施例7、8、比較例3、4)実施例1
において、賦活した粒状またはハニカム状、繊維状活性
炭をN2ガス中で冷却後、空気中に取り出すときの温度を
400 ℃ (比較例3)、350 ℃ (比較例4)、300 ℃ (実
施例7、8)と変更した試料を作り、実施例2と同様の
方法で金属酸化物を2重量%添着した粒状またはハニカ
ム状、繊維状金属酸化物添着活性炭を得た。これらの活
性炭を使用して実施例1と同様の方法で、イソチオシア
ン酸エステル除去試験をした。尚、イソチオシアン酸エ
ステルとして実施例7、比較例3及び4では前述の試験
と同様にイソチオシアン酸アリルを使用したが、実施例
8ではイソチオシアン酸エチルを使用した。
【0049】その結果及び使用した活性炭の性状を表4
に併せて示す。
【0050】
【表4】
【0051】表4に示す様に、本発明の粒状またはハニ
カム状、繊維状金属酸化物添着活性炭の性能は冷却後初
めて空気に接触する温度に依存し、300 ℃以上の場合に
はイソチオシアン酸エステル除去性が大幅に低下するこ
とが分かる。
【0052】(実施例9、比較例5〜7)実施例1の活
性炭原料を900 ℃で賦活する際、賦活ガスの水蒸気分圧
が異なる条件で比表面積1450m2/gになるまで賦活した
後、窒素で置換した容器内に活性炭を取り出し、窒素中
で300 ℃以下に冷却して表5に示す活性炭を得た。これ
らの試料に実施例1と同様の方法で金属酸化物を2.0 wt
%添着し、これらの粉末状、粒状またはハニカム状、繊
維状の酸化セリウム添着活性炭を使用して、実施例1と
同様な方法でイソチオシアン酸アリル除去試験をした。
【0053】その結果及び使用した活性炭の性状を表5
に併せて示す。
【0054】
【表5】
【0055】表5に示すように、本発明の粒状またはハ
ニカム状、繊維状酸化セリウム添着活性炭の性能は賦活
時の水蒸気濃度に依存し、水蒸気濃度が15%以下の場合
に高い触媒性を示すことが認められる。
【0056】更に前記で得られたこれらの試料を、それ
ぞれ内径12mm、長さ300mm のカラムに充填して25℃の恒
温槽中に保持し、前記の吸着試験に使用したガスと同一
濃度のイソチオシアン酸アリル或いは、イソチオシアン
酸エチル0.041 ml/lを含む空気を40 ml/hrで連続的に通
して、イソチオシアン酸エステルを試料に吸着させた。
カラムを通過した空気中に含まれるこれらのエステル濃
度をガスクロマトグラフで連続的に測定し、空気流通時
間とカラム通過後の空気中のイソチオシアン酸エステル
残存率との関係を図1〜図5に示した。
【0057】これらの図に示した結果より、前述の様に
特定の雰囲気で賦活し更に特定の条件で冷却した活性炭
に、酸化セリウムまたは酸化セリウムとその他の金属酸
化物を担持させた活性炭は、長時間イソチオシアン酸エ
ステルを除去する機能を有することが認められる。これ
以外の条件で調製された活性炭に、酸化セリウムまたは
酸化セリウムとその他の金属酸化物を担持させた場合、
或いは本願発明の特定の条件で調製された活性炭のみの
場合は、イソチオシアン酸エステルの除去性を保持して
いる時間が著しく短くなる。これはこれらの試料が、そ
の活性炭の細孔面に吸着されたイソチオシアン酸エステ
ルを分解する触媒性の差異によるものと考えられる。
【0058】
【発明の効果】本発明の組成物は特定の条件で調製され
た活性炭の細孔表面の性状と、担持された酸化セリウム
または更に他の金属酸化物の触媒性の相互作用によっ
て、気相中のイソチオシアン酸エステルの臭気の吸着・
除去性に優れた性質をもっている。このため家庭電化製
品等を倉庫で保管する場合に殺菌剤として使用される、
イソチオシアン酸アリルの脱臭剤として好適である。そ
の他一般の脱臭剤としても使用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気流通時間とカラム通過後の空気中のイソチ
オシアン酸エステル残存率との関係を示したものであ
る。
【符号の説明】
1 実施例1(イ) 2 〃 1(ロ) 3 〃 1(ハ) 4 比較例1(イ) 5 〃 1(ロ) 6 〃 1(ハ) 7 実施例2 8 〃 3
【図2】空気流通時間とカラム通過後の空気中のイソチ
オシアン酸エステル残存率との関係を示したものであ
る。
【符号の説明】
9 比較例2(イ) 10 〃 2(ロ) 11 〃 2(ハ)
【図3】空気流通時間とカラム通過後の空気中のイソチ
オシアン酸エステル残存率との関係を示したものであ
る。
【符号の説明】
12 実施例4 13 〃 5 14 〃 6
【図4】空気流通時間とカラム通過後の空気中のイソチ
オシアン酸エステル残存率との関係を示したものであ
る。
【符号の説明】
15 比較例3 16 〃 4 17 実施例7 18 〃 8
【図5】空気流通時間とカラム通過後の空気中のイソチ
オシアン酸エステル残存率との関係を示したものであ
る。
【符号の説明】
19 実施例9 20 比較例5 21 〃 6 22 〃 7
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】通常使用されている活性炭賦活用ガスの組
成は水蒸気40〜60容量%で、それより更に高い場合
も多い。水蒸気による炭素質の賦活速度は炭酸ガスより
かなり速いため、通常賦活ガスの組成は水蒸気分圧がな
るべく高くなる様に設定されている。従って本発明の条
件は、常法に比べて著しく賦活速度を遅くしたマイルド
な条件になっている。表5及び図5の実施例9及び比較
例5〜7に示すように、水蒸気含有率が高い条件下で賦
活された場合は、イソチオシアン酸エステルの酸化触媒
性がかなり低下することが分かる。水蒸気含有率が低い
賦活条件が活性炭の酸化触媒性を向上させる機構の詳細
は明らかでないが、かかる条件下で得られた粒状または
ハニカム状、繊維状活性炭はその表面に結合した酸素原
子が存在しない状態になっていることが指摘されてい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】賦活後の活性炭を300℃以上で空気中に
取り出すと、低温低濃度における酸化触媒としての能力
が著しく低下する。賦活後窒素ガス中で冷却した場合
と、空気中で冷却した場合の触媒性に及ぼす影響を、表
及び図1の実施例1及び比較例1に示す。また賦活後
活性炭が空気に触れる温度が触媒性に及ぼす影響につい
ては、表4及び図4の実施例7、8及び比較例3、4に
示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】常法により得られた粒状またはハニカム
状、繊維状活性炭はいずれもこの方法で処理することに
より、本発明に使用出来る活性炭が得られる。この際の
処理温度は500℃以上とする必要がある。処理時間は
温度によって変わるが、500℃の場合は通常、20〜
180分が好ましく、800℃では数分の処理によって
も充分その効果が得られる。熱処理温度が酸化触媒性に
及ぼす影響については表1及び図1の実施例2及び3、
比較例1(イ)に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】このようにして得られた金属酸化物を添着
した、粒状またはハニカム状、繊維状活性炭1gを3.
9リットルのガラス瓶に入れ、真空ポンプで脱気した
後、イソチオシアン酸アリル0.04mlを注入して気
化させた。次に空気を入れて常圧に戻したのち、イソチ
オシアン酸アリルの初期濃度を測定し、これを25℃の
恒温槽中に放置し、24時間経過後イソチオシアン酸ア
リルの濃度を同様に測定した。その後、試料を取り出
し、ガラス管に充填し、空気を流しながら、200℃で
2時間加熱し、脱着したイソチオシアン酸アリルの量を
測定した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【表4】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/10 M 23/34 M 23/648 23/72 M 35/04 301 M

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質原料を粒状またはハニカム状、繊
    維状に成型して炭化し、水蒸気含有率15容量%以下の雰
    囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で300℃以下まで
    冷却し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の
    金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめてなる金属酸化
    物添着活性炭。
  2. 【請求項2】 常法により得られた粒状またはハニカム
    状、繊維状活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気
    を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で約500 ℃
    以上で処理した後、そのままの雰囲気中で300 ℃以下ま
    で冷却し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他
    の金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめてなる金属酸
    化物添着活性炭。
  3. 【請求項3】 炭素質原料を粒状またはハニカム状、繊
    維状に成型して炭化し、水蒸気含有率15容量%以下の雰
    囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で300℃以下まで
    冷却し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の
    金属酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめた活性炭或いは
    また、常法により得られた粒状またはハニカム状、繊維
    状活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気を含まな
    い窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で約500 ℃以上で処
    理した後、そのままの雰囲気中で300 ℃以下まで冷却
    し、酸化セリウムまたは酸化セリウム及びその他の金属
    酸化物を0.1 〜20重量%担持せしめた活性炭を使用する
    ことを特徴とする脱臭方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002053196A1 (fr) * 2000-12-28 2002-07-11 Toshiba Lighting & Technology Corporation Dispositif desodorisant
JP2010274178A (ja) * 2009-05-27 2010-12-09 Kri Inc 揮発性有害物質除去材およびその製造方法
JP2014036949A (ja) * 2012-07-18 2014-02-27 Denso Corp 大気浄化触媒及びその製造方法
JP2014213233A (ja) * 2013-04-23 2014-11-17 株式会社化研 放射性汚染水または工場排水の浄化方法および浄化装置、並びに減容方法

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