JPH09308830A - 酸性ガス及び塩基性ガスの除去剤 - Google Patents

酸性ガス及び塩基性ガスの除去剤

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JPH09308830A
JPH09308830A JP8150314A JP15031496A JPH09308830A JP H09308830 A JPH09308830 A JP H09308830A JP 8150314 A JP8150314 A JP 8150314A JP 15031496 A JP15031496 A JP 15031496A JP H09308830 A JPH09308830 A JP H09308830A
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JP
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activated carbon
gas
cupric chloride
malodorous
atmosphere
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JP8150314A
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Yasuhiro Tajima
康宏 田島
Yoshiharu Fukunishi
義晴 福西
Kiyoto Otsuka
清人 大塚
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Kuraray Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】活性炭に塩化第二銅、または塩化第二銅及
び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、
マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた一種
または二種以上の金属の酸化物を担持せしめてなる、ガ
ス中に含まれる悪臭ガスの除去剤である。ここで活性炭
としては、炭素質原料を炭化し水蒸気含有率30容量%以
下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気中で300 ℃
以下まで冷却して得られたものまたは、常法で得られた
活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気を含まない
窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で温度500 ℃以上で熱
処理した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却し
て得られた活性炭が好ましい。 【効果】常温においても酸化触媒として高い機能を有
し、かつ主要な悪臭成分である硫黄化合物を吸着・除去
する能力が優れ、ゴミ処理場、畜産施設、その他悪臭が
発生している各種工場等の悪臭の除去に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は悪臭ガスの除去剤及び除
去方法に関するもので更に詳しく述べると、ガス中に含
まれる硫化水素及びメルカプタン類、スルフィド類、ジ
スルフィド類等の酸性化合物からなる悪臭ガス及び、ア
ンモニア及びアミン類等の塩基性化合物からなる悪臭ガ
スを除去するための、活性炭に塩化第二銅または塩化第
二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、
亜鉛、マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれ
た、一種または二種以上の金属の酸化物を担持させた除
去剤及び除去方法である。
【0002】
【従来の技術】悪臭防止法等で排出濃度が規制されてい
る代表的な悪臭物質としてメチルメルカプタン、硫化水
素、硫化ジメチル、二硫化ジメチル等の酸性ガス及びア
ンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガスが挙げられ
ている。し尿処理場またはゴミ処理場、畜産施設、その
他悪臭が発生している各種工場等の悪臭には、これらの
成分が含まれている。
【0003】従来はこれら悪臭物質を同時に除去するこ
とは困難なため、それぞれの対象物質の除去に適した脱
臭剤を複数併用するシステムが採用されていた。代表的
な例として悪臭物質を酸性物質、塩基性物質、中性物質
に分類し、それぞれの脱臭剤を併用して除去する方法で
ある。この方法は有効であるが、脱臭剤の選定が複雑に
なり、また装置が大型化する欠点がある。更に、複数種
類の脱臭剤の中一つでも寿命に達したら悪臭物質がリー
クするため、長期間の使用が困難である。
【0004】更に、特開昭55-51422号公報、特開昭50-1
30679 号公報には硫黄系悪臭物質を除去するため、臭素
あるいは塩素等刺激性有害物質を用いる方法が開示され
ている。しかし、その際これらの有害物質がリークする
おそれがあるため好ましくない。
【0005】これらの観点から、多成分の悪臭物質を同
時に簡便かつ安全な方法で効率よく除去できる脱臭剤の
開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の問題点
を考慮して悪臭を除去するため、ガス中に含まれるメチ
ルメルカプタン、硫化水素、硫化ジメチル、二硫化ジメ
チル等の酸性ガス及びアンモニア、トリメチルアミン等
の塩基性ガスを、同時に簡便かつ安全に効率よく除去す
ることができる除去剤及び除去方法を提供しようとする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、悪臭の原
因となるガス中の微量の酸性ガス及び塩基性ガスの除去
方法について検討した結果、多くの金属塩の中で特に塩
化第二銅を担持した活性炭は、塩化第二銅以外の銅塩を
担持した活性炭、または銅以外の金属塩を担持した活性
炭と較べて、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化ジメ
チル、二硫化ジメチル等の酸性悪臭ガス及びアンモニ
ア、トリメチルアミン等の塩基性悪臭ガスの除去性能が
著しく高い特異性を有することを見い出した。
【0008】また本発明者等の先願である特開平 7-802
99号公報には、炭素質原料を炭化し、水蒸気含有率15容
量%以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気で30
0 ℃以下迄冷却して得られた活性炭、或いは常法で得ら
れた活性炭を実質的に酸素または/及び水蒸気を含まな
い窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で500 ℃以上で熱処
理した後、そのままの雰囲気中で300 ℃以下まで冷却し
た活性炭に、更に鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マ
ンガン、亜鉛、銅、マグネシウム及びカルシウムからな
る金属の群から選ばれた、一種または二種以上を含む金
属塩を 0.1〜20重量%担持させた酸化触媒性を有する金
属塩担持活性炭が、メチルメルカプタン、トリメチルア
ミン等の悪臭ガスの除去性能に優れている旨述べられて
いる。
【0009】ここで「常法で得られた活性炭」とは、水
蒸気含有率が15〜30%よりかなり高い雰囲気中で賦活
し、賦活反応終了後充分に冷却する以前に賦活炉から取
り出して空気に接触させる通常の製法で得られた活性炭
を言う。また「実質的に酸素又は/及び水蒸気を含まな
い」とは、活性炭の熱処理において活性炭表面に結合し
た酸素原子が存在しないような雰囲気の意味で、酸素及
び水蒸気が1〜2%以下の状態をいう。
【0010】更に、この様な特定のプロセスによって得
られた活性炭に塩化第二銅または塩化第二銅及び鉄、ク
ロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシ
ウム、カルシウムからなる群から選ばれた一種または二
種以上の金属の酸化物を担持させると、常法で得られた
活性炭に担持させた場合と較べて、これらの酸性悪臭ガ
ス及び塩基性悪臭ガスの除去性が一層高められることを
見い出した。これらの知見に基づいて、本発明に到達し
た。
【0011】すなわち、活性炭に塩化第二銅、または塩
化第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、亜鉛、マグネシウム、カルシウムからなる群から選
ばれた一種または二種以上の金属の酸化物を担持せしめ
てなる、ガス中に含まれる酸性化合物からなる悪臭ガス
及び塩基性化合物からなる悪臭ガスの除去剤である。こ
こで活性炭としては、炭素質原料を炭化し水蒸気含有率
30容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰囲気
中で300 ℃以下まで冷却して得られたものまたは、常法
で得られた活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸気
を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で温度500
℃以上で熱処理した後、そのままの雰囲気で300 ℃以下
まで冷却して得られた活性炭が好ましい。
【0012】また、酸性化合物からなる悪臭ガス及び塩
基性化合物からなる悪臭ガスを含むガスを、塩化第二
銅、または塩化第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバ
ルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム、カルシウムから
なる群から選ばれた、一種または二種以上の金属の酸化
物を担持した活性炭と、接触させることを特徴とするガ
ス中の酸性化合物からなる悪臭ガス及び、塩基性化合物
からなる悪臭ガスを同時に除去する方法も本発明に含ま
れている。ここで活性炭としては、炭素質原料を炭化
し、水蒸気含有率30容量%以下の雰囲気で賦活した後、
そのままの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得られた活
性炭または、常法で得られた活性炭を、実質的に酸素ま
たは/及び水蒸気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸
ガス中で温度500 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲
気で300 ℃以下まで冷却して得られた活性炭が好まし
い。
【0013】更に前述の悪臭ガスの除去剤及び除去方法
において、酸性化合物からなる悪臭ガスが硫化水素及び
メルカプタン類、スルフィド類、ジスルフィド類からな
る群から選ばれた一種または二種以上のガスであり、塩
基性化合物からなる悪臭ガスがアンモニアまたは/及び
アミン類であるガスが好ましい。
【0014】以下本発明について詳しく説明する。
【0015】本発明に使用される活性炭は特に限定しな
い。炭素質原料としては、ヤシ殻炭、石炭等を炭化し、
賦活することによって得られる。
【0016】この際、賦活ガスは水蒸気の他、二酸化炭
素ガスまたは/及び窒素ガスを含むが、水蒸気含有率は
30%以下であることが好ましい。通常使用されている活
性炭賦活用ガスの組成は水蒸気40〜60%で、それより高
い場合も多い。水蒸気による炭素質の賦活速度は二酸化
炭素ガスより著しく速いため、通常賦活ガスの組成は水
蒸気分圧がなるべく高くなる様に設定されているためで
ある。従って本発明における好ましい賦活条件は、常法
に較べて賦活速度を遅くしたマイルドな条件である。
【0017】表3の実施例8〜10に示す様に、水蒸気含
有率が低い条件下で賦活された活性炭を塩化第二銅等の
担体として使用した場合は、メチルメルカプタン等悪臭
物質の酸化触媒性がかなり上昇することが認められる。
水蒸気含有率が低い賦活条件が、活性炭の酸化触媒能を
向上させる機構の詳細は明らかでないが、その様な条件
下で得られた活性炭は、表面に結合した酸素原子が存在
しない状態になっていることが知られている。また、そ
の様な条件下で得られた活性炭はミクロ孔が高度に発達
しており、塩化第二銅及びその他金属酸化物を担持させ
るために適した構造になっているものと考えられる。
【0018】本発明の活性炭は更に、賦活後もそのまま
の雰囲気中で温度300 ℃以下に冷却した後、系外に取り
出して得られたものが好ましい。ここで活性炭の冷却時
の雰囲気である賦活後「そのままの雰囲気で冷却する」
とは、実質的に酸素または/及び水蒸気を含まない窒素
ガス、炭酸ガスまたはこれらの混合ガスの雰囲気であれ
ばよく、賦活に用いるガスと冷却に用いるガスとは必ず
しも同一組成のものでなくてもよい。
【0019】賦活後の活性炭を300 ℃以下に冷却してか
ら空気中に取り出すと、低温低濃度における酸化触媒と
しての能力が更に上昇する。換言すれば賦活後300 ℃以
下となる迄酸素が遮断された状態で冷却されたものであ
る。賦活後窒素ガス中で冷却した場合と、空気中で冷却
した場合の触媒性に及ぼす影響を、表1の実施例1及び
2に示す。また賦活後活性炭が空気に触れる温度が触媒
性に及ぼす影響については、表2の実施例5〜7に示
す。
【0020】前記の様にして得られた活性炭の比表面積
は、800m2/g 以上であることが好ましく、1000m2/g以上
であればより好ましい。
【0021】また、空気等に触れて表面が酸化され酸化
触媒性が低下した廃活性炭或いは常法により調製された
活性炭を、前述の賦活ガスと同様な組成のガス中で温度
500℃以上で熱処理し、そのガス中で温度 300℃以下に
冷却して得られた活性炭を担体として使用すると、熱処
理前の活性炭を担体として使用した場合に較べて、塩化
第二銅、または塩化第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、
コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム、カルシウム
からなる群から選ばれた一種または二種以上の金属の酸
化物を担持させると、メチルメルカプタン、硫化水素、
硫化ジメチル、二硫化ジメチル等の酸性化合物からなる
悪臭ガス及びアンモニア、トリメチルアミン等の塩基性
化合物からなる悪臭ガスに対して、酸化触媒性が向上す
ることが認められる。
【0022】この熱処理が適用される活性炭は、石炭、
ヤシ殻炭等いかなる原料から得られたものでもよく、ま
たその形状も特に限定しない。熱処理時間は温度によっ
て変わるが500 ℃の場合は通常20〜180 分が好ましく、
800 ℃では数分の処理によって充分その効果が得られ
る。熱処理温度及び雰囲気が酸化触媒性に及ぼす影響に
ついては、表1の実施例2〜4に示す。
【0023】本発明で使用する活性炭には塩化第二銅を
担持させる必要がある。多くの金属塩の中で塩化第二銅
を担持した活性炭は、塩化第二銅以外の銅塩または銅酸
化物、或いはその他の金属塩または金属酸化物を担持し
た活性炭と較べて、メチルメルカプタン、硫化水素、硫
化ジメチル、二硫化ジメチル等の酸性化合物からなる悪
臭成分及びアンモニア、トリメチルアミン等の塩基性化
合物からなる悪臭成分の両者の除去性能が著しく優れて
いる。これは本発明の除去剤及び除去方法の最も重要な
性質である。
【0024】塩化第二銅の担持量は特に限定しないが
0.1〜20重量%(以下、担持量は金属量換算で示す。ま
た、固体及び液体の組成を%で表示する場合には重量%
を示し、単に%と表記する)が好ましく、0.5 〜5%が
より好ましい。
【0025】塩化第二銅と併用してその他の金属酸化物
も担持させることができるが、塩化第二銅以外の成分の
担持量は塩化第二銅担持量以下にすることが好ましい。
塩化第二銅と併用できる金属酸化物は鉄、クロム、ニッ
ケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム、カル
シウムからなる群から選ばれた一種または二種以上の金
属の酸化物である。塩化第二銅は水への溶解度が高く、
担持に水溶液を利用できるため操作が簡便かつ安全であ
る。また、熱に対する安定性が高く乾燥等の熱処理中に
も変質しない。
【0026】活性炭に塩化第二銅を担持させるには水溶
液に所定量の塩化第二銅を溶解し、この溶液中に活性炭
を入れて攪拌し塩化第二銅を充分吸着させた後、液切り
して空気中または窒素ガス中で300 ℃以下で乾燥する。
または活性炭をミキサー等で攪拌しながら、塩化第二銅
の水溶液を活性炭に均一に振りかけた後、乾燥する方法
で調製してもよい。
【0027】塩化第二銅の担持量が 0.1%以下の場合は
触媒活性が不十分となる傾向がみられ、また20%以上に
なると担持量が多いわりには触媒性が向上せず、また担
体である活性炭自体の吸着性能が阻害されるので、添着
量は20%以下とすることが好ましい。塩化第二銅の担持
量の調節は、水溶液中の塩化第二銅の量と活性炭の量と
の比率を変更することにより行われる。通常、溶液中の
塩化第二銅はほぼ完全に活性炭に吸着される。
【0028】塩化第二銅以外の第二、第三の成分等を活
性炭に担持させる場合は、それらの成分を所定量含む水
溶液または酸溶液を調製し、塩化第二銅を担持させた活
性炭を投入して攪拌し、それらの成分を活性炭に充分吸
着させた後、液切りして空気中または窒素ガス中で300
℃以下で乾燥して調製される。または、塩化第二銅を担
持させた活性炭をミキサー等で攪拌しながら、それらの
第二、第三の成分等の水溶液または酸溶液を振りかけ
て、その後乾燥する方法でもよい。
【0029】本発明の除去剤の対象はガス中に含まれる
酸性化合物からなる悪臭ガス及び塩基性化合物からなる
悪臭ガスである。酸性化合物からなる悪臭ガスは主とし
て硫化水素及びメルカプタン類、スルフィド類、ジスル
フィド類であり、また塩基性化合物からなる悪臭ガスは
主としてアンモニアまたは/及びアミン類である。
【0030】ここで、メルカプタン類としてはメチルメ
ルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタ
ン等のアルキルメルカプタン、フェニルメルカプタン等
のアリールメルカプタンが挙げられる。
【0031】スルフィド類としては硫化ジメチル、硫化
エチル、硫化プロピル等の硫化アルキル、硫化フェニル
等の硫化アリールが挙げられる。また、ジスルフィド類
としては、二硫化ジメチル、二硫化エチル、二硫化プロ
ピル等の二硫化アルキルが挙げられる。
【0032】またアミン類としてはメチルアミン、ジメ
チルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン等のア
ルキルアミン、アニリン等のアリールアミンが挙げられ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明で使用される活性炭の形状
は特に限定されない。破砕状、円柱状、球状、板状、繊
維状及びハニカム状のいずれの形状でも使用できる。粉
末状の場合には予め塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた一種ま
たは二種以上の金属の酸化物を担持させた後、バインダ
ーによって円柱状等に成型することによっても使用でき
るし、また、成型後に塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた一種ま
たは二種以上の金属の酸化物を担持させても使用でき
る。本発明の担持活性炭は充填塔方式、エアーフィルタ
ー等各種の脱臭装置に使用することができる。
【0034】メチルメルカプタン、硫化水素、硫化ジメ
チル、二硫化ジメチル等の酸性悪臭ガス及びアンモニ
ア、トリメチルアミン等の塩基性悪臭ガスは極微濃度で
も著しい悪臭を発生させるが、本発明の除去剤はこれら
極微濃度の悪臭ガスの除去にも優れた効果を発揮する。
また、その除去効果は長期間にわたって持続する特徴が
ある。
【0035】これらの悪臭物質が塩化第二銅または塩化
第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、亜鉛、マグネシウム、カルシウムからなる群から選
ばれた一種または二種以上の金属の酸化物を担持させた
活性炭に吸着された場合、これらの硫黄化合物がそれぞ
れどの様に変化するかは未だ充分に解明されていない。
しかし、メチルメルカプタンは塩化第二銅等の酸化触媒
作用によって高沸点の二硫化ジメチルに変化することが
知られており、活性炭に吸着され易い物質に変化してい
る。他の酸性悪臭化合物も塩化第二銅または塩化第二銅
及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜
鉛、マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた
一種または二種以上の金属酸化物を担持させた活性炭の
酸化触媒作用によって、より高沸点の物質に変化するも
のと推定される。酸化反応に寄与する酸化剤には、空気
中の酸素分子を利用することができる。また、アンモニ
ア、アミン類は銅と錯塩を形成することによって除去さ
れるものと推定される。
【0036】本発明の塩化第二銅または塩化第二銅及び
鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、マ
グネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた、一種
または二種以上の金属の酸化物を担持した活性炭は、常
温においても酸化触媒として高い機能を有するため、単
独で多成分の酸性化合物及び塩基性化合物からなる悪臭
成分を、同時に効率的に除去する脱臭剤として優れてい
る。更に、活性炭の吸着性と塩化第二銅の触媒性の相乗
作用によって、吸着した悪臭化合物を活性炭に吸着され
易い他の成分に変化させるため、除去効果が長期間保持
される特徴がある。このため、し尿処理場、ゴミ処理
場、畜産施設、その他各種工場等から発生する悪臭の主
要な成分であるメチルメルカプタン、硫化水素、硫化ジ
メチル、二硫化ジメチル等の酸性化合物及びアンモニ
ア、トリメチルアミン等の塩基性化合物を除去する脱臭
能力が優れている。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0038】(実施例1〜13、比較例1〜6)実施例1
は10〜30メッシュに粉砕したヤシ殻を800 ℃で乾留した
後、プロパン燃焼ガス(ガス組成;窒素80%、酸素0.2
%、炭酸ガス9.8 %、水蒸気10%)を用いて、900 ℃で
比表面積1100m2/gになるまで賦活した後、窒素ガスで置
換した容器内に活性炭を取り出し、窒素ガス中で300 ℃
以下に冷却して活性炭担体を得た。
【0039】次に実施例2は実施例1と同様にして、比
表面積が1100m2/gになるまで賦活した活性炭を窒素中に
取り出し、500 ℃になるまで冷却した後空気中に取り出
し放置冷却して活性炭担体を得た。更に実施例2の活性
炭担体を窒素中において 500℃で10分間処理した後、そ
のままの雰囲気中で室温まで冷却して実施例3の活性炭
担体を得た。また、実施例2の活性炭担体を窒素50%、
炭酸ガス50%の気流中において 800℃で5分間処理した
後、窒素中で室温まで冷却して実施例4の活性炭担体を
得た。
【0040】これらの活性炭に次の様にして金属塩を担
持させた。例えば、塩化第二銅を4.0 %担持した活性炭
を調製するには、塩化第二銅を金属(銅)として 2.0g
含む量を純水に溶解させた後、活性炭担体50g を加えて
よく攪拌し、12時間放置した後水切りし、60℃で乾燥し
て塩化第二銅担持量4.0 %の活性炭を得た。尚、2種類
以上の金属塩を担持させる場合には上記の操作を繰り返
し行って調製した。
【0041】以下の実施例1〜13及び比較例1〜6にお
いて、脱臭性能試験は総て次の方法で行った。前記の方
法で調製した各種活性炭 0.2g を4リットルのデシケー
ター内にセットして真空脱気した後、測定ガス2ml(50
0ppm相当)を注入し、外気を導入して常圧に戻し、25℃
で放置した。一定時間毎にシリンジでサンプリングし、
ガスクロマトグラフまたは検知管で濃度を分析した。
【0042】測定結果及び使用した担持活性炭の性状を
表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】本発明の塩化第二銅担持活性炭(実施例1
〜4)を使用した場合には、硫化水素はいずれも4時間
程度でほぼ除去され、優れた脱臭能力を有することが分
かる。
【0045】次に、実施例1と同様にして賦活した活性
炭を取り出す際、N2中で冷却後空気中に取り出すときの
温度を変えた活性炭を作り、実施例1と同様の方法で塩
化第二銅を担持した活性炭を得た。これらの活性炭を使
用して実施例1と同様の方法で、アンモニアの除去性能
を測定した。
【0046】その結果及び使用した担持活性炭の性状を
表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】次に、ヤシ殻炭を賦活する際、賦活ガスの
水蒸気分圧が異なる条件において、900 ℃で比表面積11
00m2/gになるまで賦活した後、窒素ガスで置換した容器
内に活性炭を取り出し、窒素ガス中で 300℃以下に冷却
し、更に実施例1と同様の方法で塩化第二銅を担持させ
た活性炭を使用して、実施例1と同様な方法でメチルメ
ルカプタンの除去性能を測定した。
【0049】その結果及び使用した担持活性炭の性状を
表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】次に、比較のため実施例1と同様な方法で
塩化第二銅以外の金属塩を担持した活性炭を調製し、実
施例1と同様に担持活性炭を調製した。また、金属塩を
担持していない活性炭を調製した。これらの活性炭を使
用して、実施例1と同様な方法で二硫化ジメチルの除去
性能を測定した。
【0052】その結果及び使用した活性炭の性状を表4
に示す。
【0053】
【表4】
【0054】表4に示す様に、本発明の塩化第二銅担持
活性炭(実施例13)は悪臭成分である二硫化ジメチルの
酸化触媒性能が優れているが、他の金属塩を担持した活
性炭または金属塩を担持していない活性炭(比較例1〜
6)は塩化第二銅を担持した活性炭と比較して、二硫化
ジメチルの除去性能が大幅に低下していることが分か
る。尚ここで本発明の塩化第二銅担持させた活性炭(実
施例13)は、塩化第二銅以外の銅塩である硫酸銅または
硝酸銅を担持させた活性炭(比較例2、3)と較べて
も、二硫化ジメチルの除去性能が著しく優れている点が
注目される。
【0055】(実施例14〜21)実施例1と同様にして塩
化第二銅及び第二成分担持活性炭を数種類作製した。こ
れらの活性炭を使用して、実施例1と同様な方法でトリ
メチルアミンの悪臭ガス除去性能を測定した。
【0056】その結果及び使用した担持活性炭の性状を
表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】表5に示すとおり、いずれの塩化第二銅及
び第二成分担持活性炭もトリメチルアミンを4時間程度
でほぼ完全に除去しており、優れた脱臭能力を有するこ
とが分かる。
【0059】(実施例22)次に、300 メッシュ以下に粉
砕した石炭 100重量部に対して、バインダーとしてター
ル30重量部を添加し、直径4mm、長さ 10 mmのペレット
を調製した。このペレット状活性炭原料を実施例1と同
様の条件で賦活し、ペレット状活性炭を得た。この活性
炭に実施例1と同様に塩化第二銅 3.0%及び酸化マンガ
ン 2.0%を担持した(比表面積 1050m2/g)。直径60mmの
ガラスカラムにこの活性炭1リットルを充填し、25℃の
恒温槽にセットした。
【0060】このカラムに硫化水素1ppm 、メチルメル
カプタン0.5ppm、硫化ジメチル0.3ppm 、二硫化ジメチ
ル0.3ppm、アンモニア0.5ppm、トリメチルアミン0.5ppm
を含む空気を3リットル/minで通し、カラム出口のガス
を定期的にサンプリングし、官能試験及び濃度測定を行
ったが、90日後でも臭気が感じられず6種のガスの濃度
はいずれも1ppb 以下であった。
【0061】(比較例5)実施例22と同様の方法でペレ
ット状活性炭を得た。この活性炭に何も担持せずそのま
ま直径60mmのガラスカラムに1リットル充填し、実施例
22と同様に悪臭ガス4種を含む空気を通した。カラム出
口ガスを定期的にサンプリングし、官能試験及び濃度測
定を行った。
【0062】その結果、7日目から臭気が感じられ、14
日後に各種ガスの濃度を測定したところ、硫化水素300p
pb、メチルメルカプタン 80ppb、硫化ジメチル 140ppb
、二硫化ジメチル 120ppb 、アンモニア500ppb及びト
リメチルアミン450ppbと総ての悪臭ガスが検知された。
【0063】
【発明の効果】本発明の塩化第二銅または塩化第二銅及
び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜鉛、
マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた、一
種または二種以上の金属の酸化物を担持させた活性炭
は、常温においても酸化触媒として高い機能を有し、特
に担体として水蒸気含有率が低い特定の条件で得られた
活性炭を使用した場合にはより優れた触媒性を示し、且
つ高い持続性を有する特徴がある。このため、主要な悪
臭成分であるメチルメルカプタン、硫化水素、硫化ジメ
チル、二硫化ジメチル等の硫黄化合物を吸着・除去する
能力が優れ、ゴミ処理場、畜産施設、その他悪臭が発生
している各種工場等の悪臭の除去に有効である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭に塩化第二銅、または塩化第二銅
    及び鉄、クロム、ニッケル、コバルト、マンガン、亜
    鉛、マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれた
    一種または二種以上の金属の酸化物を担持せしめてな
    る、ガス中に含まれる酸性化合物からなる悪臭ガス及び
    塩基性化合物からなる悪臭ガスの除去剤。
  2. 【請求項2】 活性炭が炭素質原料を炭化し、水蒸気含
    有率30容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのままの雰
    囲気で300 ℃以下まで冷却して得られたものまたは、常
    法で得られた活性炭を、実質的に酸素または/及び水蒸
    気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中で温度50
    0 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲気中で300 ℃以
    下まで冷却して得られた活性炭である、請求項1記載の
    ガス中に含まれる酸性化合物からなる悪臭ガス及び塩基
    性化合物からなる悪臭ガスの除去剤。
  3. 【請求項3】 酸性化合物からなる悪臭ガス及び塩基性
    化合物からなる悪臭ガスを含むガスを、活性炭に塩化第
    二銅、または塩化第二銅及び鉄、クロム、ニッケル、コ
    バルト、マンガン、亜鉛、マグネシウム、カルシウムか
    らなる群から選ばれた一種または二種以上の金属の酸化
    物を担持させた活性炭と、接触させることを特徴とす
    る、ガス中の酸性化合物からなる悪臭ガス及び塩基性化
    合物からなる悪臭ガスを同時に除去する方法。
  4. 【請求項4】 活性炭として、炭素質原料を炭化し、水
    蒸気含有率30容量%以下の雰囲気で賦活した後、そのま
    まの雰囲気で300 ℃以下まで冷却して得られた活性炭ま
    たは、常法で得られた活性炭を、実質的に酸素または/
    及び水蒸気を含まない窒素ガスまたは/及び炭酸ガス中
    で温度が500 ℃以上で処理した後、そのままの雰囲気中
    で300 ℃以下まで冷却して得られた活性炭を使用する、
    請求項3記載のガス中の酸性化合物からなる悪臭ガス及
    び塩基性化合物からなる悪臭ガスを同時に除去する方
    法。
  5. 【請求項5】 酸性化合物からなる悪臭ガスが硫化水素
    及びメルカプタン類、スルフィド類、ジスルフィド類か
    らなる群から選ばれた一種または二種以上のガスであ
    り、塩基性化合物からなる悪臭ガスがアンモニアまたは
    /及びアミン類である、請求項1〜4のいずれか1項に
    記載された悪臭ガスの除去剤または除去方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011178625A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Jx Nippon Oil & Energy Corp 金属担持繊維状活性炭及びその製造方法、並びにそれを用いた脱硫器、及び炭化水素油の脱硫方法
KR20200011834A (ko) * 2018-07-25 2020-02-04 주식회사 에이시티 표면개질된 활성탄을 이용하는 축산용 탈취 촉매 및 탈취제
CN111420633A (zh) * 2020-03-20 2020-07-17 西安工程大学 一种板栗壳基磁性活性炭材料及制备方法

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