JP5528234B2 - 硫黄系臭気脱臭剤 - Google Patents

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Description

本発明は、複合臭気、特に硫黄系臭気を脱臭するための脱臭剤に関する。
下水、し尿、焼却場等のプラント設備からは、さまざまな種類の悪臭が日々発生している。これらの悪臭には硫化水素などの酸性ガス、アンモニアなどの塩基性ガス、更には硫化メチルなどの硫黄系ガスなどが含まれており、それぞれのガスの除去方法が問題とされている。現在、この様な複合臭気の脱臭は、各臭気に対応した吸着剤を組み合わせることで対処されている。また近年、単一活性炭で塩基性ガス、両性硫黄系ガス、酸性ガスから成る複合臭気の脱臭が可能な吸着剤も知られているが(特開2002-191968号公報、特開2002-191969号公報、特開2002-200424号公報)、アンモニア・両性硫黄除去が劣るという欠点を持っている。
また、両性硫黄系臭気を含む複合臭気を除去するために、臭素やヨウ素のアルカリ金属ハロゲン化物(カリウム塩)、不揮発性酸の硫酸やリン酸を多孔質担体に均一に担持させてなる吸着剤(特開2001-129392号公報、特開平6-126166号公報)も存在している。しかしながら、かかる吸着剤は、吸着成分であるアルカリ金属ハロゲン化物と、複合臭気に含まれる硫化水素などを浄化する際に発生する硫酸イオン等とが反応して白色析出物を形成し、当該析出物が吸着剤の脱臭効果を妨げるだけでなく、多孔質担体の圧力損失を上昇させてしまうため、長期間の使用に適さない。
本発明者は以前、多孔質担体の表面に鉄及び臭素を共担持させることにより、脱臭吸着剤の両性硫黄系ガスに対する吸着性能が向上することを見出し、鉄及び臭素を担持する多孔質担体を含むことを特徴とする、両性硫黄系ガスの脱臭吸着剤の開発に成功している(特開2006-61885号公報)。当該公報では、両性硫黄系ガスの除去性能の更なる向上のために、追加の吸着成分として硫酸等の無機酸を含む脱臭吸着剤も開示されている。しかしながら、臭素、鉄、硫酸を担持してなる脱臭吸着剤の性能は経時的に低下するという問題があった。
特開2002-191968号公報 特開2002-191969号公報 特開2002-200424号公報 特開2001-129392号公報 特開平6-126166号公報 特開2006-61885号公報
本発明は、硫黄系臭気を脱臭するための新規脱臭剤を提供する。
臭素、鉄、硫酸を担持してなる脱臭吸着剤の性能が経時的に低下する問題について、本発明者は当該吸着剤における硫酸の性質に着目した。例えば、硫酸は他の担持成分と反応し、延いてはその析出物が圧力損失の上昇を招くことがある。また特定の臭気に対する脱臭特性を向上させる手段として、活性炭等の多孔質担体に薬剤を担持させることが有効であるが、薬剤により細孔が閉塞され、結果、多孔質担体の物理的な吸着容量を低下させることがある。例えば、塩基性ガス等の吸着成分として使用される硫酸は分子量の大きい不揮発性酸であり、同様の無機酸でも分子量の小さい無機酸を同モル担持させた場合と比べ、薬剤による細孔の閉塞量が大きくなり、拠って吸着特性を低下させる要因になり得る。このような硫酸の性質が脱臭吸着剤の性能低下に関与するとの仮説のもと、本発明者は硫酸の代わりとなる酸や、当該酸と組み合わされる鉄化合物等の金属化合物の種類についての比較検討を行った。その結果、硫酸の代わりに塩酸又は臭化水素酸を使用し、これらの酸を種々の金属化合物と組み合わせることで、複合臭気の脱臭性能に優れ、耐久性の高い脱臭剤が提供されることを見い出し本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は、
1)塩酸又は臭化水素酸と、鉄化合物、銅化合物及びニッケル化合物から成る群から選択される1又は複数の金属化合物と、臭化水素とが多孔質担体に担持されてなる脱臭剤、
2)前記金属化合物が塩化第2鉄、塩化第1鉄、硝酸鉄、臭化鉄、塩化銅及び塩化ニッケルから成る群から選択される、1)に記載の脱臭剤、
3)前記塩酸又は臭化水素酸が、それぞれ塩化水素又は臭化水素として1.2〜4.5重量%前記多孔質担体に担持されている、1)又は2)に記載の脱臭剤、
4)前記金属化合物の金属成分が0.5〜4.4重量%前記多孔質担体に担持されている、1)〜3)のいずれかに記載の脱臭剤、
5)前記多孔質担体が活性炭である、1)〜4)のいずれか記載の脱臭剤、
6)前記活性炭が粒状又はハニカム状である、5)に記載の脱臭剤、
7)塩酸又は臭化水素酸と、鉄化合物、銅化合物及びニッケル化合物から成る群から選択される1又は複数の金属化合物と、臭化水素とを多孔質担体に担持させる工程を含んで成る、1)〜6)のいずれかに記載の脱臭剤の製造方法、
8)1)〜6)のいずれかに記載の脱臭剤を含む脱臭手段を備えている、脱臭装置、
を提供する。
本発明によれば、硫酸の代わりに塩酸又は臭化水素酸を使用し、当該酸を臭化水素及び特定の金属化合物と一緒に多孔質担体に担持することで、複合臭気の脱臭性能に優れ、且つ耐久性の高い脱臭剤が提供される。理論に拘束されることを意図するものではないが、不揮発性の硫酸と異なり、揮発性である塩酸又は臭化水素酸は、多孔質担体の細孔を閉塞させ難く、その結果、高い耐久性を本発明の脱臭剤にもたらしているものと考えられる。一方、揮発性酸は、通常多孔質担体の細孔から脱離し易いという問題がある。しかしながら、塩酸又は臭化水素酸と同時担持されている金属化合物は、塩酸又は臭化水素酸と化合物を形成するため、その結果塩酸又は臭化水素酸は脱離せずに細孔内に留まることになり、これにより長期間の脱臭効果が確保されるものと考えられる。
図1は、脱臭剤及び吸着剤に担持される無機酸の種類と、硫化水素浄化特性との関係を示すグラフである。 図2は、脱臭剤及び吸着剤に担持される鉄化合物の種類と、硫化メチル浄化特性との関係を示すグラフである。 図3は、脱臭剤及び吸着剤に担持される塩素含有量と、硫化水素浄化特性との関係を示すグラフである。 図4は、塩化第2鉄を担持した又は担持していない脱臭剤及び吸着剤の塩素含有量の変化を示すグラフである。 図5は、脱臭剤及び吸着剤に担持される鉄の量と、脱臭剤及び吸着剤中の塩素含有量との関係を示すグラフである。 図6は、脱臭剤及び吸着剤に担持される鉄の量と、硫化メチル浄化特性との関係を示すグラフである。
本発明の脱臭剤は、塩酸又は臭化水素酸と、鉄化合物、銅化合物及びニッケル化合物から成る群から選択される1又は複数の金属化合物と、臭化水素とが多孔質担体に担持されてなる。
上記塩酸又は臭化水素酸は、硫化水素の除去効率の観点から、塩化水素又は臭化水素として1.2〜4.5重量%、特に1.5〜4.2重量%多孔質担体に担持されているのが好ましい。1.2重量%未満又は4.5重量%超の担持量でも脱臭効果は得られるが、塩酸又は臭化水素酸の担持量は上記範囲内であることが望ましい。上記担持量は、蛍光X線分析装置で測定することができ、本明細書で使用する場合、スペクトリス社製Axiosで測定したものを表す。尚、本明細書で使用する場合の「重量%」又は「wt%」とは、脱臭剤又は吸着剤の重量に対する重量%を意味する。
塩酸又は臭化水素酸は揮発性の酸である。当該酸の揮発を防ぐために、これらの酸を構成するハロゲンと化合物を形成し易い金属化合物、例えば鉄化合物、銅化合物又はニッケル化合物が多孔質担体に共担持される。理論に拘束されることを意図するものではないが、鉄、銅、ニッケルはいずれも価数が変化する金属であるため、上記酸中のハロゲンは当該金属との関係で錯体のように保持されているものと考えられる。従って、鉄、銅、ニッケル以外の価数が変化する金属の化合物も本発明において使用されうる。
担持される金属化合物は1種類に限定されず、複数の金属化合物を多孔質担体に共担持させてもよい。当該金属化合物は、好ましくは塩化第2鉄、塩化第1鉄、硝酸鉄、臭化鉄、塩化銅及び/又は塩化ニッケルである。塩酸又は臭化水素酸のハロゲンを保持する観点からは、上記金属の担持量は好ましくは0.5重量%以上が好ましい。また、高い脱臭特性を確保する観点からは、金属の担持量は0.5〜4.4重量%でよいが、0.6〜4.0重量%が好ましく、0.7〜3.0重量%がより好ましい。これは、少なすぎる金属担持量では助触媒としての所望の効果が得られ難く、多すぎると多孔質担体の細孔内を閉塞してしまい、脱臭性能が低下してしまうためと考えられる。上記担持量は、蛍光X線分析装置で測定することができ、本明細書で使用する場合、スペクトリス社製Axiosで測定したものを表す。
臭素の酸化作用による硫黄系臭気の酸化除去のために、塩酸又は臭化水素酸、そして上記金属化合物に加え、臭化水素が多孔質担体に担持される。金属化合物と臭素とによる酸化特性の相乗効果及び酸の揮発を防ぐ観点から、多孔質担体に担持される臭素量は、当該担体上に担持されている鉄1molに対し、1.4〜3molが好ましい。
上記担持成分は多孔質担体上に高分散に担持されていることが好ましい。ここで、本発明で使用する多孔質担体は、活性炭、セピオライト、パリゴルスカイト、ゼオライト、活性炭素繊維、活性アルミナ、セピオライト混合紙、シリカゲル、活性白土、パーミキュライト、珪藻土などの無機質多孔質担体のほか、パルプ、繊維、布、高分子多孔質担体などの有機質多孔質担体も使用されうるが、中でも活性炭は種々の臭気成分に対する吸着能に優れるため好ましい。
また、多孔質担体の形状は特に限定されず、粒状又はハニカム状、あるいはフィルター状でもよい。しかしながら、本発明で使用する多孔質担体の種類や形状は、脱臭が意図される悪臭の種類や脱臭剤の設置場所に依存して選択することができる。例えば、設置場所によっては、ファンを備えた脱臭装置のように複雑な装置内に本発明の脱臭剤を設置する必要があるが、活性炭の形状をハニカム状にした場合、自然対流のみに依拠して複合臭気を脱臭できるため、ランニングコストの観点から好ましい。
上記担持成分を多孔質担体に高分散に担持せしめる方法として、担持成分を水またはその他の可溶性溶媒に溶解した後、その溶液を多孔質担体に含浸させる方法がある。このように溶液状のものを含浸させることにより、各成分を多孔質担体に同時に且つ均一に高分散状態で担持させることができる。このように、多孔質担体は、上記組合せの各成分をその構造中の細孔内に均一に保持し、悪臭ガスに対する接触面積を広げ、これらの成分による悪臭ガスの吸着性能を向上させる。
本発明の脱臭剤は、複合臭気、特に硫黄系臭気を効率よく脱臭することができるため、硫黄系臭気が問題となる下水処理施設、ゴミ処理施設等の各種プラント用の脱臭装置において好適に使用することができる。本発明の脱臭剤は、脱臭装置内の脱臭手段、例えば脱臭塔内に充填してもよい。あるいは、上記担持成分を担持したフィルターを脱臭装置内に配置することもできる。
複合臭気を脱臭するために、酸性臭気、塩基性臭気、中性臭気に対応した三層式の吸着剤が一般的に知られている。本発明の脱臭剤は一層で優れた硫黄系臭気脱臭効果を発揮するが、硫黄系臭気に対する脱臭性能向上を目的として、あるいは他の臭気に対処する目的で、他の脱臭手段と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明の脱臭剤を他の脱臭剤と混合することも考えられる。
吸着成分を担持していない未添着の多孔質担体は、本発明の脱臭剤と組み合わせる際に担持成分同士の反応を考慮する必要がなく、また、本発明の脱臭剤から漏れ出した臭気を未添着の多孔質担体が捕捉し得るため、好ましい。本発明の脱臭剤と他の脱臭剤とを積層する場合、本発明の脱臭剤は入りガス側又は出ガス側のいずれにも配置され得る。本発明の脱臭剤を2以上の脱臭剤と組み合わせる場合、入りガス側、出ガス側又はその間のいずれに配置してもよい。
以下に実施例、参考例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.無機酸の検討
イ)吸着剤、脱臭剤の調製
参考例1)
臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、35%塩酸を7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調製した。無機酸で処理したヤシ殻活性炭は、ベンゼン吸着量31wt%以上になるよう賦活を進めたヤシ殻活性炭を塩酸で前処理した物である。
参考例2)
無機酸の35%塩酸の代わりに、48%臭化水素酸11.3重量部に変え、その他は参考例1と同様にサンプル調製を実施した。
(比較例1)
無機酸の35%塩酸の代わりに、98%硫酸6.7重量部に変え、その他は参考例1と同様にサンプル調製を実施した。
(比較例2)
無機酸の35%塩酸の代わりに、85%リン酸8.7重量部に変え、その他は参考例1と同様にサンプル調製を実施した。全てのサンプルの無機酸量は、0.07mol/100gになるよう調製した。
上記脱臭剤及び吸着剤を以下の表に要約する。
Figure 0005528234
ロ)脱臭性能の評価
上記脱臭剤及び吸着剤の硫化水素、硫化メチル脱臭性能について試験した。直径30mmのガラスカラムに上記サンプル各18mlを採取し、硫化水素(30ppm)、硫化メチル(5ppm)の2種類の臭気を、3L/minで通過させた。経時時間毎に、この入りガスと出口ガスの濃度を測定し、以下の式から浄化率を算出した。
Figure 0005528234
上記臭気の通気速度(LV)と空塔速度(SV)は、それぞれ0.07m/sec、3,333/hで実施した。また、各臭気の濃度は、ガスクロマトグラフィー(島津社」製GC-8Ap(FPD);カラム:β,β’-ODPN 25% Chromosorb 60〜80メッシュ、内径3.0mmφ×3000mmガラスパックドカラム)を用い、以下の温度条件下で測定した。注入口/検出器:150℃;カラム:70℃。
ハ)揮発分分析
活性炭内の有機物などの揮発成分量を評価する指標として、耐久前の各脱臭剤及び吸着剤の揮発分(%)を測定した。揮発分の測定は、以下の揮発分分析(JIS K 1474分析法)に従い行った。揮発分分析は、細孔内に蓄積されている揮発成分量を分析する為に使用され、一般に活性炭の劣化状態の確認に使用されたりする。今回、硫化水素を通気させる前の耐久前の揮発分量は、薬剤担持による細孔の閉塞の指標として測定した。
最初に、未使用の上記脱臭剤及び吸着剤サンプル2〜3gの水分を115℃で除去した後、あらかじめ重量を測定した落し蓋付きルツボに入れ、1mgの桁まで秤量した。その後、900℃の電気炉に7分間加熱後、室内で1分間冷却後、デシケーター内で常温まで放冷した。その後、質量を測定し、減量を求めた。揮発分(%)は、以下の式から算出する。
揮発分(%) = 減量(g) ÷ 試料重量(g) × 100
揮発分の測定に加え、薬品担持成分の確認目的で、各脱臭剤及び吸着剤の臭素含有量(重量%)及び鉄含有量(重量%)を測定した。本実験では、所定量の薬剤が担持されている事を確認する為、未使用の脱臭剤及び吸着剤で元素分析を行った。分析は、サンプルを粉末状にし、蛍光X線分析装置(スペクトリス社製Axios)で測定した。
上記脱臭剤及び吸着剤の耐久前揮発分(%)、臭素含有量(重量%)、鉄含有量(重量%)についての結果を以下の表に、そして400時間硫化水素を通気させた後の各脱臭剤及び吸着剤の硫化水素浄化率(%)の結果を図1に示す。
Figure 0005528234
尚、表2における参考例2の臭素含有量(Br含有量)は、担持成分のうち、臭化水素に由来するものであり、臭化水素酸由来の臭素は除かれている。
上記表から、塩酸又は臭化水素酸を担持した本発明の脱臭剤は、同じ無機酸でも不揮発性の酸である硫酸又はリン酸を用いた比較例1又は2の吸着剤と比較して、400時間もの長期間高い硫化水素除去性能を維持しており、耐久性に優れていることが分かる。本発明の脱臭剤では、分子量の小さい揮発性酸を使用したことで、揮発成分が半減されている事が確認された。理論に拘束されることを意図するものではないが、本発明の脱臭剤には耐久性があり、長期間臭気を脱臭し得るのは、揮発性酸を用いたことで酸による活性炭細孔(有効な吸着容量)の閉塞が低減され、臭気吸着に有効な細孔量が多く確保されているためと考えられる。
2.鉄化合物の検討
イ)脱臭剤及び吸着剤の調製
参考例3)
臭化水素11重量部、硝酸鉄9.5重量部、35%塩酸を7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調製した。
(比較例3)
臭化水素11重量部、35%塩酸を7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調製した。
上記脱臭剤及び吸着剤を以下の表に要約する。
Figure 0005528234
上記脱臭剤及び吸着剤の一般物性値を以下の表に示す。pHの結果から、金属化合物の種類によって酸性度は変化していないことが分かる。尚、pHは好ましい酸性条件を確認する為、JIS K 1474に準じた。具体的には、未使用の乾燥サンプル3gを100mlの純水中で10分間煮沸し、冷却した後、100mlに調整してpH測定を実施した。
Figure 0005528234
ロ)脱臭性能の評価
上記脱臭剤及び吸着剤の硫化メチル脱臭性能について、上述した評価方法に従い試験した。結果を図2に示す。参考例1及び3の脱臭剤はいずれも高い硫化メチル除去性能を示したのに対し、鉄化合物を担持していない比較例3の吸着剤は硫化メチル除去性能が劣っていた。これらの結果から明らかなように、鉄化合物の有無により硫化水素浄化性能は顕著に異なり、また、鉄化合物の種類は高い浄化性能に影響を及ぼさない。理論に拘束されることを意図するものではないが、鉄化合物は、酸化触媒である臭素の助触媒として機能すると考えられる。
3.塩酸量の検討
イ)脱臭剤及び吸着剤の調製
参考例4〜8、比較例4、5)
参考例1と同様の工程により、塩酸量の異なる脱臭剤及び吸着剤を調製した(比較例4、参考例4〜8、比較例5)。各脱臭剤及び吸着剤は、塩酸量を7重量部から、2.5重量部(比較例4)、4重量部(参考例4)、5重量部(参考例5)、9重量部(参考例6)、12重量部(参考例7)、13重量部(参考例8)、15重量部(比較例5)へ変更した以外、参考例1の脱臭剤と同じである。
ロ)脱臭性能の評価
上記脱臭剤及び吸着剤の硫化水素脱臭性能について、上述した評価方法に従い試験した。調製した吸着剤上の塩素含有量(重量%)及びpHの結果を以下の表に、そして塩素含有量と400時間硫化水素を通気させた後の硫化水素浄化率(%)との関係について、結果を図3に示す。塩素含有量の測定は、粉末状にしたサンプルを蛍光X線分析装置(スペクトリス社製Axios)にかけて行った。
Figure 0005528234
かかる結果から、本発明の脱臭剤が優れた硫化水素浄化性能、特に70%以上の硫化水素浄化効果を発揮するには、多孔質担体に担持されている塩酸量が重要であり、1.2〜4.5重量%の担持量が望ましいことが分かる。
4.脱臭剤及び吸着剤中の塩素含有量に及ぼす鉄化合物の影響についての検討
イ)吸着剤の調製
(比較例6)
塩化第2鉄を添加しなかった点を除き、参考例1と同様の工程により吸着剤を調製した(比較例6)。
ロ)塩素含有量分析
参考例1の脱臭剤及び比較例6の吸着剤について、揮発性ハロゲンである塩素の含有量を測定した。試料として400時間硫化メチルを通気させる前と後の吸着剤を用い、これらの脱臭剤及び吸着剤を蛍光X線分析装置(スペクトリス社製Axios)にかけた。結果を図4に示す。
上記塩素含有量に加え、参考例1の脱臭剤及び比較例6の吸着剤の臭素含有量(重量%)、鉄含有量(重量%)と硫化メチル浄化率(%)を以下の表に示す。
Figure 0005528234
表6と図4に示したとおり、鉄が担持されている参考例1の脱臭剤は耐久試験前後で塩素含有量はほぼ変化しなかった。一方、鉄を欠く比較例6の吸着剤は耐久後の塩素含有量が半減したため、塩酸が多孔質担体から脱離していることが分かる。理論に拘束されることを意図するものではないが、鉄は価数が変化する金属であるため、様々な価数を持つことで塩酸中のハロゲンを錯体のように保持しているものと考えられる。
5.鉄の担持量の検討
イ)脱臭剤の調製
参考例9〜14)
参考例1と同様の工程により、塩化第2鉄量の異なる脱臭剤を調製した(参考例9〜14)。各脱臭剤は、塩化第2鉄を9.9重量部から、3重量部(参考例9)、4重量部(参考例10)、6重量部(参考例11)、12重量部(参考例12)、15.5重量部(参考例13)、16重量部(参考例14)へ変更した以外、参考例1の脱臭剤と同じである。
ロ)脱臭性能の評価
上記脱臭剤の硫化メチル脱臭性能について、上述した評価方法に従い試験した。調製した脱臭剤上の鉄の量(重量%)と、400時間硫化水素を通気させる前と後の塩素量(%重量)(それぞれ耐久前及び耐久後)と、耐久後の脱臭剤の硫化メチル浄化率(%)を測定した。塩素量の結果は、蛍光X線分析装置(スペクトリス社製Axios)を用いて得られたものである。試験結果を以下の表並びに図5及び6に示す。
Figure 0005528234
鉄担持量と耐久後の塩素量との関係を示す図5の結果によると、鉄の担持量は、塩素を保持する観点からは0.5重量%以上が好ましい。同様に、鉄担持量と硫化メチル脱臭性能との関係を示す図6の結果からも鉄は0.5重量%以上が好ましいことが分かる。一方、鉄の担持量が4.6重量%(比較例11)だと硫化メチル脱臭性能が低下した。
6.他の金属化合物の検討
イ)脱臭剤及び吸着剤の調製
(実施例15、16、比較例7)
参考例1と同様の工程により、異なる金属化合物を担持した二種類の脱臭剤、そして金属化合物を担持していない吸着剤を調製した(それぞれ、実施例15、16及び比較例7)。具体的には、塩化第2鉄の代わりに実施例15では塩化銅を、そして実施例16では塩化ニッケルを使用した。金属化合物の種類や有無を除き、上記吸着剤は参考例1の脱臭剤からの変更点はない。当該脱臭剤及び吸着剤を以下の表に要約する。
Figure 0005528234
ロ)脱臭性能の評価
上記脱臭剤及び吸着剤の硫化メチル脱臭性能について、上述した評価方法に従い試験した。結果を以下の表に示す。
Figure 0005528234
表に記載のとおり、塩化銅及び塩化ニッケルを担持した脱臭剤は、塩化第2鉄を担持したものと同程度の硫化メチル浄化率を示した。このことから、本発明において使用する金属化合物は、遷移金属の種類に関係なく担持されることで硫化メチル浄化性能の向上をもたらすことが分かった。また、塩素保持量も金属化合物を担持していない比較例8の吸着剤と比較して約2倍多かった。
7.基材の検討
イ)脱臭剤の調製
参考例17)
臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、35%塩酸を7重量部を水に溶解させ、活性炭ハニカム100重量部をその水溶液中に浸漬担持させ、水切り後、100℃で5時間乾燥させた。その後、30mmφにカットし、2.55cmの高さに揃え18mlに脱臭剤を調製した。
ロ)性能評価
上記脱臭剤の脱臭性能を前述の評価方法に従い評価した。結果を以下の表に示す。
Figure 0005528234
基材としてハニカムを用いて調製した参考例17の脱臭剤は参考例1と同程度の硫化メチル浄化性能を示した。
8.実ガス試験
イ)吸着剤の調製
(比較例8)
一般的な中性ガス用吸着剤として、比表面積1100m2/gのヤシ殻活性炭に臭化カリウム8重量部、75%硫酸7重量部を吸水担持させ、100℃で5時間乾燥させることでサンプルを作成した。
ロ)実ガス試験
参考例1の脱臭剤と、比較例1及び比較例8の吸着剤をそれぞれサンプルとして300mmφの塩ビカラムに充填した簡易脱臭装置を作成し、一般的な下水処理場の実ガスを通気させて、上記浄化率の測定試験に基づき約3ヶ月間脱臭評価を行った。結果を以下の表に示す。
Figure 0005528234
表中の濃度は臭気指数である。ここで、臭気指数とは、三点比較式臭袋法と言われる希釈倍率の異なる臭気試料を官能試験で評価し得られた臭気濃度を対数化したものである。
一般に、N = 10 log(D/T) N:臭気指数 D/T:臭気濃度 で示される。
上記の結果は、参考例1の脱臭剤が比較例のものと比較して実ガスの脱臭効果が顕著に高く、実際の脱臭装置内に配置するのに好適であることを示している。

Claims (8)

  1. 塩酸又は臭化水素酸と、銅化合物及びニッケル化合物から成る群から選択される1又は複数の金属化合物と、臭化水素とが多孔質担体に担持されてなる脱臭剤。
  2. 前記金属化合物が塩化銅及び塩化ニッケルから成る群から選択される、請求項1に記載の脱臭剤。
  3. 前記塩酸又は臭化水素酸が、それぞれ塩化水素又は臭化水素として1.2〜4.5重量%前記多孔質担体に担持されている、請求項1又は2に記載の脱臭剤。
  4. 前記金属化合物の金属成分が0.5〜4.4重量%前記多孔質担体に担持されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱臭剤。
  5. 前記多孔質担体が活性炭である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭剤。
  6. 前記活性炭が粒状、ハニカム状又はフィルター状である、請求項5に記載の脱臭剤。
  7. 塩酸又は臭化水素酸と、銅化合物及びニッケル化合物から成る群から選択される1又は複数の金属化合物と、臭化水素とを多孔質担体に担持させる工程を含んで成る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱臭剤の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱臭剤を含む脱臭手段を備えている、脱臭装置。
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