JP3029807B2 - 脱臭剤および脱臭器具 - Google Patents

脱臭剤および脱臭器具

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JP3029807B2
JP3029807B2 JP9075812A JP7581297A JP3029807B2 JP 3029807 B2 JP3029807 B2 JP 3029807B2 JP 9075812 A JP9075812 A JP 9075812A JP 7581297 A JP7581297 A JP 7581297A JP 3029807 B2 JP3029807 B2 JP 3029807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば室内のたば
こ臭、調理臭等の有機化合物を主成分とする臭気を除去
するために好適な脱臭剤およびこれを用いた脱臭器具に
関する。
【0002】
【従来の技術】室内のたばこ臭、調理臭等の有機化合物
を主成分とする臭気を除去するために特に好適な脱臭剤
として、本出願人による特開平7−155366号公報
に、臭気成分を吸着する多孔質担体に、四酸化ルテニウ
ムを含むルテニウム触媒を所定量担持させた脱臭剤が開
示されている。この四酸化ルテニウムを含むルテニウム
触媒は、多孔質担体に吸着された臭気成分のうち有機化
合物を酸化分解して主として二酸化炭素および水分を生
成させる。生成した二酸化炭素および水分は飛散し、そ
れにより多孔質担体の吸着能が回復し、もって多孔質担
体が吸着飽和に達するまでの有効寿命を大幅に延長させ
る。特に、当該ルテニウム触媒は、低沸点で酸化分解さ
れ易い有機化合物ばかりでなく、たばこ臭の成分である
イソプレン、ケトン類、低級有機酸類、フェノール類の
ように通常は酸化分解され難い有機化合物も容易に酸化
分解させることができるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、上記従来の脱臭剤の脱臭作用・機構について種
々検討したところ、上記触媒活性は、四酸化ルテニウム
ばかりでなく、一般に酸化ルテニウムを含むルテニウム
触媒においても同様に発揮されることを見い出した。し
かしながら、この酸化ルテニウム触媒は、条件によって
は、その活性が有効に発揮されないことも見い出した。
これにつきさらに検討した結果、酸化ルテニウム触媒を
多孔質担体に担持してなる脱臭剤は、臭気中に塩基性化
合物が含まれているとき、その触媒活性、すなわち有機
化合物の酸化分解活性が阻害されることが新たに分っ
た。したがって、上記従来の脱臭剤ばかりでなく、酸化
ルテニウムを含むルテニウム触媒を担持した多孔質担体
からなる脱臭剤は、これを例えば含窒素化合物等の塩基
性化合物を臭気成分として含有するたばこ煙を含む室内
臭気の除去に長期に渡って使用すると、酸化ルテニウム
を含むルテニウム触媒の酸化分解活性が失われ、脱臭剤
の寿命が短縮されてしまうのである。
【0004】従って、本発明は、上記従来の脱臭剤の利
点を維持しながら、塩基性化合物の存在下においてもよ
り長期間にわたって脱臭作用が低下しない脱臭剤および
これを用いた脱臭器具を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の脱臭剤に対する塩基性化合物の阻害作用を抑制するた
めに鋭意研究した結果、酸化ルテニウムを含むルテニウ
ム触媒を担持した多孔質担体からなる脱臭剤に酸性化合
物を共存させることが有効であることを見い出し本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、酸化ルテニウムを含
むルテニウム触媒を担持した臭気成分吸着性の第1の多
孔質担体と、塩基性化合物を吸着除去する酸性化合物と
を組み合わせて含有することを特徴とする脱臭剤を提供
する。
【0007】上記酸性化合物が固体酸性化合物である場
合、これを上記ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質
担体と混合することができる。固体酸性化合物は、−
3.0未満のハメットの酸度関数H0 に相当する酸強度
を示すもの(すなわち、−3.0未満のハメットの酸度
関数H0 を示すものか、これと同等の酸強度を示すも
の)であることが好ましく、ゼオライト、酸性粘土化合
物、酸形イオン交換樹脂からなる群の中から選ぶことが
できる。
【0008】上記酸性化合物が液体酸性化合物である場
合、これを第2の多孔質担体に吸着された形態で上記ル
テニウム触媒を担持した第1の多孔質担体と混合するこ
とができる。
【0009】また、本発明によれば、通気性支持体と、
この支持体に支持された本発明の脱臭剤とを備えた脱臭
器具が提供される。
【0010】
【作用】本発明の脱臭剤は、物理的吸着により臭気成分
を脱臭する第1の多孔質担体に強力な酸化能力を有する
酸化ルテニウムを含むルテニウム触媒を担持させてい
る。臭気成分は、第1の多孔質担体に吸着される。この
吸着された臭気成分のうち有機化合物はルテニウム触媒
に移行し、ルテニウム触媒により酸化されて主にCO2
およびH2 Oに分解される。すなわち、第1の多孔質担
体により吸着された臭気成分のうち有機化合物は容易に
飛散され得る形態に転化されるので、第1の多孔質担体
の吸着能力が回復し、吸着飽和に達するまでの期間が大
幅に延長される。臭気中に塩基性化合物が共存する場
合、塩基性化合物は、ルテニウム触媒よりも酸性化合物
に優先的に吸着され、捕捉される。そのため、第1の多
孔質担体に担持されたルテニウム触媒は塩基性化合物の
攻撃から保護され、上記優れた酸化分解作用を長期に渡
って発揮する。
【0011】
【発明の実施の態様】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0012】本発明の脱臭剤に用いられる臭気吸着性の
第1の多孔質担体は、例えば、活性炭、γ−アルミナ、
天然ゼオライト以外の合成ゼオライト(モレキュラーシ
ーブ)、モンモリロナイト、活性白土等、臭気成分を物
理的に吸着する能力を有する材料からなる。
【0013】これらのうち、活性炭は約1000m2
gの比表面積を有し、中でも繊維状活性炭や米国特許第
4,082,694号明細書に開示されているような特
殊粉末活性炭は、比表面積が300〜5000m2 /g
である。活性炭以外の材料の比表面積は、骨炭が110
2 /g、γ−アルミナが150〜340m2 /g、合
成ゼオライトが500〜700m2 /g、活性白土が1
20m2 /gである。従って、多孔質担体は、100〜
5000m2 /gの比表面積を有するものが好適に使用
できる。活性炭は、約1000m2 /gの比較的大きい
比表面積を有し、吸着能が高く、細孔径がガス分子の吸
着に適しており、表面が疎水性である一方で、有機化合
物との親和性が高く、かつ品質が一定でコストが低いた
め、特に好ましい。繊維状活性炭や特殊粉末活性炭は比
表面積が300〜5000m2 /gであるためさらに好
ましい。
【0014】上記第1の多孔質担体に担持される酸化ル
テニウムを含むルテニウム触媒は、臭気成分吸着性の第
1の多孔質担体に吸着された臭気成分のうち有機化合物
を酸化分解して、主にCO2 およびH2 Oを生成させ
る。酸化ルテニウムは、例えば、飽和炭化水素、オレフ
ィン、ジオール、アセチレン、芳香環化合物、アルコー
ル、エ−テルおよび有機硫黄化合物のような広範な有機
化合物に対して酸化作用を発揮する。特に、硫化水素、
メルカプタンおよびアルデヒドのような低沸点で酸化分
解され易い化合物だけでなく、たばこ臭いの一成分であ
るイソプレン、ケトン類、低級有機酸類、フェノール類
のように通常は酸化分解され難い有機化合物も酸化分解
させることができる。ルテニウム触媒により酸化分解さ
れて生成した二酸化炭素および水分は容易に飛散し、そ
れにより第1の多孔質担体の吸着能が回復し、もって第
1の多孔質担体が吸着飽和に達するまでの可使寿命を大
幅に延長させる。
【0015】なお、酸化ルテニウムは、RuO〜RuO
4 (RuOx :x=1〜4)の形態で第1の多孔質担体
に担持され、これが触媒活性点を構成する。なお、触媒
の活性点(酸点)である酸化ルテニウムに吸着された有
機化合物は、約60℃という比較的低い温度で分解を著
しく速めることができる。
【0016】酸化ルテニウムを含むルテニウム触媒は、
ルテニウムに換算して、第1の多孔質担体重量の1〜1
0重量%の割合で担持されることが特に好ましい。この
担持量が1重量%未満の場合には、有機化合物を十分に
酸化分解することができないおそれがある。他方、この
担持量が10重量%を越える場合には、第1の多孔質担
体の吸着量に限界があるため、これ以上担持させると後
述の製造方法においてルテニウムの分散性が悪化し、活
性低下につながるおそれがある。
【0017】第1の多孔質担体にルテニウム触媒を担持
させるには、まず、例えば、第1の多孔質担体を三塩化
ルテニウム水和物(RuCl3 ・3H2 O)の水溶液で
含浸させた後、水を蒸発させて三塩化ルテニウムを多孔
質担体に担持させる。ついで、この担持多孔質担体を約
80℃に加熱して、三塩化ルテニウムを酸化ルテニウム
に酸化させる。こうして、酸化ルテニウムを含むルテニ
ウム触媒を担持した多孔質担体を得ることができる。生
成した酸化ルテニウムは、RuO〜RuO4 (Ru
x )の形態で第1の多孔質担体上に存在することがX
線光電子分光法(XPS)等により確認されている。
【0018】上に述べたように、上記ルテニウム触媒を
担持した第1の多孔質担体を塩基性化合物を成分として
含む臭気の脱臭に使用すると、塩基性化合物がルテニウ
ム触媒表面に強く吸着し、その触媒作用を阻害すること
が本発明者らによって見い出された。塩基性化合物は、
第1の多孔質担体よりもルテニウム触媒の活性点(酸
点)に優先的に吸着し、その活性点を被毒し、脱臭剤の
寿命を短縮させる。このような塩基性化合物の被毒作用
を抑制し、ルテニウム触媒担持多孔質担体の寿命の短縮
を防止するために、本発明では、上記ルテニウム触媒を
担持した第1の多孔質担体を塩基性化合物を吸着除去す
る酸性化合物と組み合わせている。
【0019】本発明において使用される酸性化合物に
は、固体酸性化合物および液体酸性化合物が含まれる。
ここで、固体酸性化合物は、本発明の脱臭剤・脱臭器具
の使用環境温度(−20℃〜100℃)において固体で
ある酸性化合物をいい、液体酸性化合物は、本発明の脱
臭剤・脱臭器具の上記使用環境温度において液体である
酸性化合物をいう。塩基性化合物を長期間に渡って捕捉
できるという点で、液体酸性化合物よりも固体酸性化合
物の方が好ましい。
【0020】上記酸性化合物が固体酸性化合物である場
合、これを上記ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質
担体と組み合わせるためには、その粉末を上記ルテニウ
ム触媒を担持した第1の多孔質担体と混合することがで
きる。この固体酸性化合物としては、活性アルミナ、N
+ −モンモリロナイト等も使用できるが、ハメットの
酸度関数H0 が−3.0未満であるものか、これと同程
度の酸強度を示すもの(すなわち酸度関数H0 =−3.
0未満に相当する酸強度を示すもの)がさらに好まし
く、ハメットの酸度関数H0 が−5.6以下のものであ
るか、これと同程度の酸強度を示すもの(すなわち、酸
度関数H0 =−5.6以下に相当する酸強度を示すも
の)が殊に好ましい。そのような固体酸性化合物の例を
挙げると、ゼオライト(H+ −モルデナイト、H+ −ゼ
オライトY等)、酸性粘土化合物(酸性白土、活性白
土、セピオライト(例えば水澤化学社製エードプラス
G)等)、酸形イオン交換樹脂(ポリスチレンスルホン
酸系樹脂(例えばオルガノ社製アンバーリスト(Amberl
yst)15)、H形アクリル系樹脂(例えばオルガノ社
製アンバーライト(Amberlite)IRC−76)等)で
ある。ここに例示した固体酸性化合物は、疎水性でもあ
る。疎水性である酸性化合物には水分が吸着しないの
で、酸強度の低下が少なく、塩基性化合物の吸着除去に
より有利である。
【0021】上記ルテニウム触媒を担持した第1の多孔
質担体と固体酸性化合物との混合割合は、後者が前者の
重量(すなわち、第1の多孔質担体と、これに担持され
たルテニウム触媒(ルテニウムとして)との合計重量)
の10〜100%の割合であることが特に好ましい。
【0022】上記酸性化合物が液体酸性化合物である場
合、これを上記ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質
担体と組み合わせるためには、液体酸性化合物を別の多
孔質担体(第2の多孔質担体)に担持させ、それを上記
ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質担体と混合する
ことができる。液体酸性化合物を担持する第2の多孔質
担体は、液体酸性化合物を担持できるものであれば臭気
成分を吸着する性質を有する必要はないので、第1の多
孔質担体と同様のものの他、シリカ等を用いることがで
きる。
【0023】液体酸性化合物としては、塩酸、硫酸、過
塩素酸、ヘテロポリ酸(例えば、モリブドリン酸)等の
無機酸の他、アスコルビン酸、リンゴ酸等の有機酸を好
ましく例示することができる。
【0024】液体酸性化合物を第2の多孔質担体に担持
させるには、液体酸性化合物に第2の多孔質担体を浸漬
し、乾燥させればよい。
【0025】ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質担
体と液体酸性化合物を担持した第2の多孔質担体との混
合割合に特に制限はなく、第2の多孔質担体に担持され
た液体酸性化合物が第1の多孔質担体に担持されたルテ
ニウム触媒の塩基性化合物による劣化を防止するに十分
な量的割合で存在するように混合すればよい。具体的に
は、ルテニウム触媒と液体酸性化合物とが同じ割合で第
1および第2の多孔質担体に担持されている場合、当該
ルテニウムを担持した第1の多孔質担体と、当該液体酸
性化合物を担持した第2の多孔質担体とは、後者が前者
の50〜100重量%程度となるように混合することが
適当である。
【0026】臭気中に塩基性化合物が共存する場合、塩
基性化合物は、ルテニウム触媒よりも酸性化合物により
優先的に吸着され、捕捉される。そのため、第1の多孔
質担体に担持されたルテニウム触媒は塩基性化合物の攻
撃から保護され、上記優れた酸化分解作用を長期に渡っ
て発揮する。ちなみに、たばこ煙中には、アンモニア、
ピリジン類等の揮発性含窒素塩基性臭気成分が含まれて
いる。なお、酢酸等酸性臭気成分は、ルテニウム触媒に
吸着されることがない。
【0027】さらに、本発明において、ルテニウム触媒
を担持する第1の多孔質担体に、さらに共酸化剤を担持
させてもよい。共酸化剤は、塩化第二鉄、塩化第一コバ
ルト、塩化第三インジウム、塩素酸ナトリウム、臭素酸
ナトリウムおよびヨウ素酸ナトリウムからなる群から選
択される少なくとも1種を含有する。共酸化剤は、ルテ
ニウム1モルに対して1/10から1/5モルの割合で
第1の多孔質担体に担持させることが好ましい。共酸化
剤を併用することにより、酸化ルテニウムによる酸化能
力がより向上する。
【0028】本発明の脱臭剤は、様々な臭気成分の脱臭
に利用できる。例えば、特公昭59−19727号公
報、特開昭53−64675号公報、実開昭57−11
9724号公報等に開示されている、微粉末状活性炭を
抄紙段階で紙に混抄させ、ハニカムまたは片段ボール積
層状に成形したフィルタにおいて、微粉末状活性炭に代
えて本発明の脱臭剤を使用することができる。また、特
開平3−123625号公報に開示されている、格子状
のフィルタ基体と、フィルタ基体に接着されたガス吸着
剤粒子からなるエアコンディショナ用脱臭フィルタにお
いて、ガス吸着剤粒子として微粉末状の本発明の脱臭剤
を用いることができる。さらに、特開昭60−5822
4号公報、特公昭63−2644号公報に開示される脱
臭剤粒子を充填層に用いる場合に、その脱臭剤粒子に代
えて、本発明の脱臭剤を利用することもできる。
【0029】この他に、特開昭60−60433号公報
および実開昭52−56037号公報に開示されるよう
な、ネットに脱臭剤を種々の方法で接着させた脱臭フィ
ルターにも、本発明の脱臭剤を用いることができる。さ
らに、特開昭57−48325号公報および特開昭59
−227704号公報に開示される方法に従って、活性
炭を適当なバインダーと混合して押出成形し、ハニカム
状やモノリス状に成形し、加熱乾燥させたフィルターを
成形した後、この活性炭に上述のように酸化ルテニウム
を含有するルテニウム触媒を担持させて、本発明の脱臭
剤を得ることもできる。
【0030】ところで、本発明の脱臭器具は、通気性支
持体と、この支持体に支持された本発明の脱臭剤とを包
含するものである。通気性支持体としては、格子状また
はハニカム状のフィルター基体が好ましく、このフィル
ター基体に粘着剤を用いて上記本発明の脱臭剤を添着す
る。図1は、このような脱臭器具(脱臭フィルター)の
一例を示す平面図である。図1に示すように、この脱臭
フィルター10は、多数の六角形のセル(通気孔)12
をその六角形の一辺を共有する形で集合させた形態のハ
ニカム状基体11を有し、通気孔12を規定する隔壁部
13には、本発明の脱臭剤(図示せず)が粘着剤により
添着されている。この脱臭フィルター10は、室内エア
コンディショナーの室内空気流入側に設置して使用する
ことができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を記載する。
【0032】実施例1 <ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質担体の調製>
ヤシ殻活性炭(クラレケミカル製、銘柄GG、20〜4
2メッシュ)10gに、ルテニウムの量として活性炭に
対して5重量%に相当する三塩化ルテニウム水和物(R
uCl3 ・3H2 O)を水に溶解して得た三塩化ルテニ
ウム水溶液100mlを加えた。この混合物から水を蒸
発除去して、活性炭に三塩化ルテニウムを担持させた。
ついで、三塩化ルテニウムを担持する活性炭を80℃で
加熱乾燥させて、酸化ルテニウムを含むルテニウム触媒
を担持した活性炭を得た。
【0033】この活性炭の表面に存在するルテニウムの
存在形態を、X線光電子分光分析装置(XPS)で分析
した結果、ルテニウムのRu3dおよび3pのピークが
観察された。この結果から三塩化ルテニウムがRuO2
〜RuO4 の酸化ルテニウムに変換されていることが確
認された。
【0034】<液体酸性化合物を担持した第2の多孔質
担体の調製>ヤシ殻活性炭(クラレケミカル製、銘柄G
G、20〜42メッシュ)10gに、酸性化合物の量と
して活性炭に対して10重量%に相当する硫酸を水で希
釈した水溶液を加え、一晩放置した後、80℃で一昼夜
乾燥して、硫酸を担持した活性炭を調製した。
【0035】<脱臭剤の調製I>下記表1に示す固体酸
性化合物(これらのうち、酸性白土および活性白土は純
正化学社製のものを、セピオライトは、水澤化学社製エ
ードプラスGを使用し、アンバーリスト15は、オルガ
ノ社製のポリスチレンスルホン酸系イオン交換樹脂であ
り、Na+ −モンモリロナイトは、クニミネ工業社製ク
ニピア−Fを、活性アルミナは西尾工業社製のものを使
用した。)を100〜300℃で流量50ml/分の窒
素気流下に1時間前処理した後、それぞれを上記ルテニ
ウム触媒担持活性炭と重量比1:1で均一に混合して、
脱臭剤A〜Hを調製した。
【0036】<脱臭剤の調製II>上記ルテニウム触媒担
持活性炭を上記硫酸担持活性炭と重量比1:1の割合で
均一に混合して、脱臭剤Iを調製した。
【0037】<モデルガスを用いた触媒性能評価試験>
密閉可能な300ml三角フラスコにイソプレン2.0
μl(約20マイクロモル)とアンモニアまたはピリジ
ン各6マイクロモルからなるモデルガスを加え、フラス
コ内の系が均一になるまで十分放置した後、上記脱臭剤
A〜Hにあっては各60mgを、脱臭剤Iにあってはそ
のイソプレン吸着量を考慮して30mgを封入し、60
℃の恒温槽内に入れた。三角フラスコ内のガスは各時間
経過後ガスタイトシリンジで1mlずつ採取し、ガスク
ロマトグラフで分析した。この分析結果から定常状態
(24時間以降)におけるlogc/c0 (c0 は初期
イソプレン濃度、cは残存イソプレン濃度)を時間に対
してプロットした傾きの絶対値をイソプレン濃度減衰速
度定数として求めた。結果を下記表1に併記する。な
お、酸性化合物を共存させない系の結果についてもコン
トロールとして示してある。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 この実施例では、本発明の脱臭剤を適用した脱臭フィル
ターの性能を評価した。
【0040】<試験フィルターの作製>実施例1で得た
ルテニウム触媒担持活性炭と活性白土系吸着剤(水澤化
学社製ガレオナイト136、平均粒径30メッシュ)と
を重量比1:0.15で均一に混合し、この混合物4.
2gを図1に示す構造の大きさ5cm×5cm×1cm
(厚さ)で各通気孔径が5mmのクラフト紙製ハニカム
基体にアクリル系エマルジョン粘着剤を用いて添着し
た。
【0041】<たばこ煙の負荷処理>図2に示すような
ポリ塩化ビニル製ボックスチャンバー20(容積0.4
3)を準備する。このチャンバー20の上壁21に
は、チャンバー20内撹拌用ファン24が取付けられて
いる。チャンバー底壁22に試験フィルターTFを直立
させ、その後方から通気用ファン25を駆動して風をフ
ィルターに流通させるものである。なお、風の流れを矢
印で示している。
【0042】まず、チャンバー20内に試験フィルター
を設置し、チャンバー20内で市販の紙巻たばこを2.
5分間自然燃焼させた後、通気用ファン25を駆動して
通気下に1時間上記試験フィルターを放置することから
なるたばこ煙の負荷処理を所定回数行った。
【0043】<イソプレン除去効率の測定>図2に示す
ものと同じ構造のチャンバー(ただし、内容積は0.1
25m3 )にたばこ煙を所定回数負荷した試験フィルタ
ーTFを設置し、チャンバー20に内に側壁23を介し
てマイクロシリンジ26でイソプレンを注入してチャン
バー20内のイソプレン濃度を50ppmに調整した。
ついで、通気用ファン25により試験フィルターTFに
1m/秒の速度で30分間通気しながら、チャンバー2
0内のガスをマイクロシリンジ27で採取し、ガスクロ
マトグラフでイソプレン残存濃度を測定する。イソプレ
ン除去効率η(%)は、次式により算出する。 lnC=−(Qη/V)t+lnC0 上式において、C:イソプレン残存濃度、 C0 :イソ
プレン初期濃度、V:チャンバー容積(0.125
3 )、t:時間、Q:フィルター処理風量(0.15
3 /分)である。
【0044】得られた結果を図3に示す。なお、活性白
土を添加しないルテニウム触媒担持活性炭の結果につい
てもコントロールとして示した。この図からわかるよう
に、本発明の脱臭剤を用いた脱臭フィルターは、塩基性
化合物を含むたばこ煙を負荷した後であっても優れた脱
臭効果を示す。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の脱臭剤
は、物理的吸着により臭気成分を脱臭する多孔質担体
に、強力な酸化能力を有する酸化ルテニウムを含むルテ
ニウム触媒を担持させているとともに、これを酸性化合
物と組合わせたものである。多孔質担体に吸着された臭
気成分のうち有機化合物はルテニウム触媒により酸化分
解され、分解物のガス成分を放出するための可逆的な吸
脱着が行われ極めて脱臭効果が高い。また、触媒の活性
点を構成する酸点である酸化ルテニウムに吸着された有
機化合物は約60℃という比較的低い温度で分解を著し
く速めることができるので、エアコンディショナーが比
較的簡単に作り出せる熱風を脱臭剤の吸着能力が低下し
た場合にのみ通すことで、脱臭剤の性能を回復させるこ
とができ、多孔質担体の寿命を大幅に延長することがで
きる。臭気中にルテニウム触媒の活性を阻害する塩基性
化合物が含まれている場合でも、共存する酸性化合物が
優先的にこの塩基性化合物を吸着除去するので、ルテニ
ウム触媒の有する本来の活性が長期にわたって損われる
ことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱臭器具の一例としての脱臭フィルタ
ーを示す平面図。
【図2】脱臭フィルターの性能試験に使用する装置を説
明するための図。
【図3】本発明の脱臭フィルターの脱臭性能を示す図。
【符号の説明】
10…脱臭フィルター 11…通気性支持体 12…通気孔 13…隔壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 9/00 - 9/22 B01J 20/02 B01J 23/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ルテニウムを含むルテニウム触媒を
    担持した臭気成分吸着性の第1の多孔質担体と、塩基性
    化合物を吸着除去する酸性化合物とを組み合わせて含有
    することを特徴とする脱臭剤。
  2. 【請求項2】 該酸性化合物が固体酸性化合物であり、
    該ルテニウム触媒を担持した第1の多孔質担体と混合さ
    れている請求項1記載の脱臭剤。
  3. 【請求項3】 該固体酸性化合物が、−3.0未満のハ
    メットの酸度関数H0 に相当する酸強度を示す請求項2
    記載の脱臭剤。
  4. 【請求項4】 該固体酸性化合物が、ゼオライト、酸性
    粘土化合物、酸形イオン交換樹脂からなる群の中から選
    ばれる請求項3記載の脱臭剤。
  5. 【請求項5】 該酸性化合物が液体酸性化合物であり、
    第2の多孔質担体に吸着された形態で該ルテニウム触媒
    担持多孔質担体と混合されている請求項1記載の脱臭
    剤。
  6. 【請求項6】 通気性支持体と、該支持体に支持された
    請求項1ないし5のいずれか1項記載の脱臭剤とを包含
    する脱臭器具。
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